【実施例1】
【0035】
図1〜
図25は本発明の実施例1を示し、同図に示すように、キャリア1は、自走式の車両2のルーフ3上の後部側に設けられ、キャリア本体たる略平板状のラック部4を備える。
【0036】
図3に示すように、前記車両2の前方には車室11が設けられ、後方には後部動力室12が設けられ、これら車室11と後部動力室12の間に、剛性を有する仕切パネル13が設けられており、この仕切パネル13を囲む金属製のロールバー14が配設されている。尚、仕切パネル13は、車両2に設けた構造材である。
【0037】
また、
図4などに示すように、前記ロールバー14は、合成樹脂などからなるロールバーガーニッシュ15に覆われており、前記ロールバーガーニッシュ15は少なくとも車両2の前後方向に延びる上側板状部16を備えており、上側板状部16の左右下部に外側側板部17,17を設けると共に、中央下部に左右の中央側板部18,18を左右に間隔を置いて設け、外側側板部17と中央側板部18との間には、前記上側板状部16より低い位置で後方に下側板状部29が設けられている。
【0038】
尚、前記上側板状部16と外側側板部17,17が前記ロールバー14の被覆部である。また、ロールバーガーニッシュ15は車両2の外面を構成する外装部材である。
【0039】
前記仕切パネル13には、その中央と左右にリアウインド19,19A,19Aが設けられ、これらリアウインド19,19A,19Aに対応して、前記ロールバーガーニッシュ15には、開口部20,20A,20Aが設けられている。
【0040】
そして、前記ラック部4は、ルーフ3の後部から、リアウインド19,19Aの後部上に跨って取り付けられる。
【0041】
図12の左上に示すように、前記仕切パネル13は、仕切パネル本体21と、この仕切パネル本体21の上と左右で車両前方側に設けたパネル枠部22とを備え、このパネル枠部22が前記ロールバー14に固定されている。また、
図9に示すように、前記パネル枠部22は、間隔を置いて配置した外側板状部23と内側板状部24からなり、仕切パネル本体21の縁を前側に屈曲した屈曲縁部21Fと前記両板状部23,24の後縁23F,24Fとを重ね合わせ、スポット溶接などにより固定している。尚、
図12の左上の図では、内側板状部24が見えるように、外側板状部23の左側を一部切り欠いている。また、
図9では、屈曲縁部21Fと後縁23F,24Fとの間に隙間があるが、少なくとも一部が接して重なり合っている。
【0042】
前記上側板状部16はルーフ3の後部を構成する。また、車両2の後部には、後部動力室12の上部開口を開閉する後部開閉部26が設けられ、この後部開閉部26の後側が車両2に枢着され、
図1に示すように、前側が開閉し、後部開閉部26が閉まった状態で、該後部開閉部26と前記下側板状部29とが略面一となる。
【0043】
前記キャリア1は、ラック部4を車両2に固定する縦方向の前側及び後側支持棒31,32を備え、前側及び後側支持棒31,32はそれぞれ左右一対設けられ、前記ラック部4は車両2の外部に位置して取り付けられる。尚、後側支持棒32が第1の支持棒であり、前側の支持棒31が第2の支持棒である。
【0044】
図9などに示すように、前記前側支持棒31は、前記上側板状部16に穿設した貫通孔16Aに挿通されている。また、
図10などに示すように、後側支持棒32は、下側板状部29の貫通孔29Aに挿通されている。これらの挿通は、支持棒31,32と貫通孔16A,29Aとの間に隙間がある遊挿であるから、通常は支持棒31,32からロールバーガーニッシュ15に力が加わることがない。
【0045】
前記ラック部4は、略平板状をなすラック本体33と、このラック本体33の下面に取り付けた取付枠34とからなり、ラック本体33は合成樹脂製、取付枠34は金属製などのものを用いることができる。
【0046】
前記ラック本体33の左右には、中央より上下方向に厚いウイング部35,35が形成され、このウイング部35の左右幅は前後方向において略同一である。また、ラック本体33には、その中央に前側が広い略台形状の中央開口部36と、この中央開口部36の左右に後側が広い略台形状の左,右開口部37,37が貫通形成されている。また、これら左,右開口部37,37には、前後方向と交差する斜めの斜辺部38,38が設けられ、左,右開口部37,37が斜辺部38,38により左右に区切られ、それら左右の斜辺部38,38は後側に向かって間隔が広くなるように形成されている。
【0047】
図18,
図21及び
図25などに示すように、ラック本体33の後縁部33Rの左右方向中央には、後側斜め上向きに整流板部39が突設され、荷物(図示せず)を載せない状態では、走行中に整流板部39によりダウンホースが得られ、荷物を載せた状態では、整流板部39により荷物の後側へのずれを抑制できる。
【0048】
図21などに示すように、前記ラック本体33の前縁部33Fと後縁部33Rには、帯係合部たる凹部41が形成され、この凹部41は、ラック本体33の左右方向中央と、左右のそれぞれ2箇所で5箇所に略等間隔で設けられている。尚、前縁部33Fと後縁部33Rで凹部41は同一位置である。また、
図23及び
図24などに示すように、前記ウイング部35の下縁の前後方向中央に前記凹部41が形成されている。尚、整流板部39の中央に前記凹部41が形成されている。
【0049】
そして、前記凹部41には、タイダウンベルトなどの帯状押え部材の帯部42が挿入される。尚、帯状押え部材は、ラック本体33に係止するフックなどの係止部(図示せず)を備える。また、帯状押え部材は、自動巻取り・ラチェット締込式のものを用いることができ、荷物に帯状押え部材を掛けたり巻き付けるたりすることにより荷物をラック本体33上に固定することができる。尚、帯部42の両端側をラック本体33に係止する。
【0050】
図25に示すように、前記中央開口部36の前側の内縁は、断面略く字状に形成され、上面側から開口面積が狭まる上傾斜面36Uと、この上傾斜面36Uの下端から開口面積が広がる下傾斜面36Dとを備え、上傾斜面36Uの高さを下傾斜面36Dの高さより高く設定している。また、前記左,右開口部37の後側の内縁は、断面略く字状に形成され、上面側から開口面積が狭まる上傾斜面37Uと、この上傾斜面37Uの下端から開口面積が広がる下傾斜面37Dとを備え、上傾斜面37Uの高さを下傾斜面37Dの高さより高く設定している。従って、前記上傾斜面36U,37Uに、前記帯状押え部材のフックなどの係止部を下面側から係止しても、そのフックがラック本体33の上面側に突出することがない。
【0051】
さらに、前記ラック本体33の下面には、帯係合部43が設けられ、この帯係合部43は、帯部42を収納する間隔を置いて突設された一対の突起44,44からなる。その間隔は前記帯部42が挿入可能な幅を有する。
図22などに示すように、前記帯係合部43は、ラック本体33の下面で、前記上傾斜面36Uに対応した箇所と、前記上傾斜面37Uの左右に対応した箇所と、左,右開口部37,37の前側で左右方向外側とに設けられている。
【0052】
従って、凹部41及び突起44,44間に帯部42を挿入することにより、帯部42の幅方向のずれを防止することができる。
【0053】
図22などに示すように、前記取付枠34は、左右方向の前枠部51と、左右方向の後枠部52と、これら前,後枠部51,52を連結する左右の斜め枠部53,53とを一体に有する。
図7(A)などに示すように、前記前枠部51と後枠部52はビス等の固定部材54によりラック本体33の前側と後側の下面に固定され、左右の斜め枠部53,53は前記左右の斜辺部38,38の下面に沿って配置される。
【0054】
図7及び
図12の右下などに示すように、前記前枠部51と前記斜め枠部53との連結箇所55には、凹所56を形成し、この凹所56の底板部57は前記ラック本体33の下面から離れた下方に位置し、前記底板部57に透孔57Tを穿設し、この透孔57Tに対応して前記底板部57の下面に、筒状の支持棒上部62を一体に設け、この支持棒上部62は前記支持棒31の上部を構成するものである。尚、
図12に示すように、凹所56は、前記底板部57と左右の側板部58,58により形成され、前記連結箇所55において左右の側板部58,58が前記前枠部51に一体に固定されている。
【0055】
前記透孔57T及び支持棒上部62には、取付ボルト63が挿通され、
図9に示すように、取付ボルト63の下部は支持棒上部62の下端から下方に突出し、また、前記取付ボルト63の頭部63Tが前記底板部57の上に表れ、この状態で、前記頭部63Tは平面視でラック本体33の下に隠れるが、ラック本体33の下面と凹所56の隙間から工具(図示せず)を挿入し、該工具により頭部63Tを操作して取付ボルト63を回ることができるように凹所56が形成されている。尚、頭部63Tが工具が係合する工具係合部であり、六角頭部などが例示される。また、頭部63Tの基端には鍔部63Fが一体に設けられている。
【0056】
取付ボルト63の下部には、後述するナット体64の上側雌螺子部64Bと螺合可能な第二雄螺子部としての雄螺子部63Aが形成されている。
【0057】
前記後枠部52の左右には、前記後側支持棒32,32の上端が固定され、左右の後側支持棒32,32の間隔は、左右の前側支持棒31,31の間隔より広い。
【0058】
次に、前記前側支持棒31の取付構造について説明する。
図9及び
図12などに示すように、前記ロールバーガーニッシュ15の下側板状部29の下方には、前記外側板状部23と内側板状部24とが配置されており、外側板状部23の上面に前記貫通孔16Aに対応して透孔23Tを穿設し、この透孔23Tに連通して、前記外側板状部23の上面に、支持棒下部たる前記ナット体64が固定され、このナット体64には雌螺子部64Mが貫通形成されている。尚、この例では、ナット体64が取付用雌螺子体である。
【0059】
雌螺子部64Mには、内側ボルト67の雄螺子部70と螺合可能な下側雌螺子部64Aと、取付ボルト63の雄螺子部63Aと螺合可能な上側雌螺子部64Bが形成されている。なお、本実施例では、下側雌螺子部64Aと上側雌螺子部64Bが連続して形成されて雌螺子部64Mを構成しているが、雄螺子部70と雄螺子部63Aにそれぞれ螺合可能であれば、下側雌螺子部64Aと上側雌螺子部64Bは連続していなくてもよい。本実施例の仕切パネル13と底板部57の連結においては、雄螺子部70が第一雄螺子部に相当し、雄螺子部63Aが第二雄螺子部に相当し、下側雌螺子部64Aが第一雌螺子部に相当し、上側雌螺子部64Bが第二雌螺子部に相当する。
【0060】
前記ナット体64を固定する内側ボルト67を備え、この内側ボルト67は、円柱状の本体68の先端に段部69を介して該本体68より小径の雄螺子部70を一体に有し、ワッシャ71と前記透孔23Tに前記雄螺子部70を挿通し、この雄螺子部70を前記ナット体64に螺合することにより、該ナット体64と段部69の間に外側板状部23とワッシャ71とを挟持し、これによりナット体64を外側板状部23に固定している。尚、段部69が外側板状部23の下面側に係合する係合部であり、この段部69とナット体64とにより外側板状部23を挟み付けることができる。
【0061】
本実施例では、ワッシャ71が第二固定部に相当するが、透孔23Tの直径を雄螺子部70の直径よりも大きく形成し、かつ、本体68の直径よりも小さく形成し、ワッシャ71を用いずに段部69を外側板状部23に直接固定した場合には、段部69が第二固定部に相当する。
【0062】
また、前記内側板状部24には前記本体68を挿通可能な透孔24Tを穿設し、前記本体68の基端には前記内側板状部24の下面に係止する係止部たる係止鍔部72が形成され、この係止鍔部72は前記本体68より外形が大きく、さらに、前記本体68の基端面には、六角穴などの工具係合部73が形成されている。従って、内側板状部24の下側から透孔24Tに本体68を嵌入し、前記工具係合部73に係合した工具(図示せず))により、内側ボルト67を回してナット体64に螺合すると共に、係止鍔部72を内側板状部24の下面に当接又は近接し、この係止鍔部72は、連結部であって、外側板状部23と内側板状部24とが内側ボルト67により連結される。
【0063】
本実施例では、係止鍔部72が第一固定部に相当する。
【0064】
従って、ナット体64を上側に引っ張る力が加わると、外側板状部23と内側板状部24の両者に分散することができ、また、ナット体64を傾ける力などに対しても、外側板状部23と内側板状部24の両者に分散することができる。
【0065】
図8及び
図9などに示すように、取付状態で、ナット体64の先端は上側板状部16の上面から突出し、ナット体64の上面は水平に配置され、ナット体64の上部に、前記取付ボルト63を挿入した状態の前記支持棒上部62を配置し、工具を用いて頭部63Tを回し、取付ボルト63をナット体64に螺合することにより、前側支持棒31を外側板状部23に固定することができ、ラック部4の前側を車両2に取り付けることができる。
【0066】
本実施例の仕切パネル13と底板部57の連結においては、ナット体64が第一連結具に相当し、内側ボルト67が第二連結具に相当し、取付ボルト63が第三連結具に相当する。そして、ナット体64と、内側ボルト67と、取付ボルト63により締結具5が構成されている。
【0067】
図8及び
図10などに示すように、後側支持棒32は、左右方向に長い長孔状の断面形状を有するパイプからなり、上下方向中央に屈曲部32Kを設け、この屈曲部32Kから下が垂直に配置され、その屈曲部32Kから上が後側に僅かに斜めに形成され、上述したように、後側支持棒32の上端がラック本体33の後部下面に連結されている。尚、後側支持棒32及びラック本体33の後縁部33Rは、開閉の際に後部開閉部26に当たることはなく、且つ、ラック本体33の後部と開閉途中の後部開閉部26との間には所定の間隔が設けられており、ラック本体33の後に荷物の後部が部分的に出っ張っても、後部開閉部26を開閉することができる。
【0068】
前記後側支持棒32の下端は、前記パイプを前後方向から潰して二重の平坦部77が形成され、この平坦部77に透孔77Tが穿設され、その平坦部77は縦方向に設けられている。尚、
図10中、78は前記仕切パネル13に固定した横桟部であり、この横桟部78の上に前記下側板状部29が重ね合わせて配置される。
【0069】
次に、前記後側支持棒32の取付構造について説明する。
図10、
図11及び
図13などに示すように、前記仕切パネル13の仕切パネル本体21には、後側支持棒32の前記透孔77Tに対応して、透孔21Tが穿設されている。前記後側支持棒32を固定する内側ボルト81は、頭部82と、雄螺子部83と、これら頭部82と雄螺子部83の間に設けた径大な鍔部84とを一体に備える。そして、頭部82の先端に雌螺子部85を形成することにより、取付用雌螺子体たるナット体86を構成している。また、
図13に示すように、前記頭部82の基端側には径大部87を形成し、この径大部87の外周には工具係合部たる一対の平面凹部88,88が該ナット体86の中心軸を挟んで形成されている。また、雄螺子部83に螺合するナット89には径大な鍔部89Aが形成されている。
【0070】
そして、後側から雄螺子部83を透孔77Tとワッシャ90に挿通し、その雄螺子部83にナット89を螺合することにより、鍔部84とワッシャ90で仕切パネル本体21を挟持し、仕切パネル13にナット体86を固定する。こうすることにより、
図13に示すように、ナット体86が後部動力室12に表れる。また、取付用螺子手段たる取付ボルト91は、工具係合部たる六角形などの頭部92を有し、この頭部92の基端に鍔部93を一体に備える。
【0071】
本実施例の仕切パネル13(仕切パネル本体21)と後側支持棒32との連結においては、内側ボルト81とナット体86により連結用金具94が構成されている。そして、連結用金具94が第一連結具に相当し、ナット89が第二連結具に相当し、取付ボルト91が第三連結具に相当する。さらに、ナット体86と、ナット89と、取付ボルト91により締結具5が構成されている。
【0072】
図11に示すように、連結用金具94には、第三雄螺子部としての雄螺子部83と、第二雌螺子部としての雌螺子部85が形成されている。また、ナット89には、第三雌螺子部としての雌螺子部89Bが形成されている。また、取付ボルト91には、第二雄螺子部としての雄螺子部91Aが形成されている。雄螺子部83と雌螺子部89Bは螺着可能であり、雌螺子部85と雄螺子部91Aは螺着可能である。
【0073】
ラック部4の後側を取り付ける際には、上から貫通孔29Aに後側支持棒32の下部を挿通し、ナット体86の雌螺子部85に透孔77Tを合わせ、この透孔77Tに挿通した取付ボルト91を雌螺子部85に螺合して、ナット体86に後側支持棒32を固定する。このように作業するには、後部開閉部26を開く必要があるため、不用意に取付ボルト91が外されることがない。
【0074】
尚、図中61は、前記開口部20の上部に位置するストップランプであり、ブレーキ操作に連動して点灯する。
【0075】
上述したラック部4の取付構造では、従来のブラケットなどを用いることなく、車体の仕切パネル13に取付用雌螺子体たるナット体64,64,86,86を固定しておくことにより、この例では、4本の取付ボルト63,63,91,91によりラック部4の取り付けと取り外しを簡便に行うことができる。
【0076】
図17はラック部4を取り外した状態を示し、後側支持棒32を取り外したナット体86に取付ボルト91を螺合しており、再度の取付の際まで、取付ボルト91が紛失することがない。
【0077】
このように本実施例では、請求項1に対応して、被取付部材に相当する仕切りパネル13に締結具5を介して取付部材に相当するキャリア1を固定する固定構造であって、締結具5は、第一連結具に相当するナット体64と、第二連結具に相当する内側ボルト67と、第三連結具に相当する取付ボルト63とを備え、ナット体64と内側ボルト67とが着脱可能であり、ナット体64と内側ボルト67とを連結することによりナット体64が仕切パネル13に固定され、ナット体64と取付ボルト63とが着脱可能であり、ナット体64と取付ボルト63とを連結することによりナット体64がキャリア1に固定されることで、仕切パネル13にキャリア1を取り付け固定することができる。
【0078】
同様に、請求項1に対応して、被取付部材に相当する仕切りパネル13に締結具5を介して取付部材に相当するキャリア1を固定する固定構造であって、締結具5は、第一連結具に相当する連結用金具94と、第二連結具に相当するナット89と、第三連結具に相当する取付ボルト91とを備え、連結用金具94とナット89とが着脱可能であり、連結用金具94とナット89とを連結することにより連結用金具94が仕切パネル13に固定され、連結用金具94と取付ボルト91とが着脱可能であり、連結用金具94と取付ボルト91とを連結することにより連結用金具94がキャリア1に固定されることで、仕切パネル13にキャリア1を取り付け固定することができる。
【0079】
また、請求項1に対応して、仕切りパネル13が略平行に配置された第一板状部に相当する内側板状部24と第二板状部に相当する外側板状部23とを有し、内側ボルト67が内側板状部24に固定可能な第一固定部に相当する係止鍔部72と、外側板状部23に固定可能な第二固定部に相当するワッシャ71とを有しているから、仕切りパネル13の内側板状部24と外側板状部23への内側ボルト67の固定を簡便に行うことができる。
【0080】
また、請求項2に対応して、ナット体64が第一雌螺子部に相当する下側雌螺子部64Aと第二雌螺子部に相当する上側雌螺子部64Bとを有し、内側ボルト67が下側雌螺子部64Aと螺合可能な第一雄螺子部に相当する雄螺子部70を有し、取付ボルト63が上側雌螺子部64と螺合可能な第二雄螺子部に相当する雄螺子部63Aを有しているから、下側雌螺子部64Aと雄螺子部70を螺合し、上側雌螺子部64と雄螺子部63Aを螺合することにより、キャリア1を仕切りパネル13に簡便に固定することができる。
【0081】
【0082】
また、請求項
3に対応して、被取付部材が車両の前方に設けられた車室11と後方に設けられた後部動力室12との間に配設された仕切パネル13であって、仕切パネル13がロールバーガーニッシュ15により覆われており、取付部材が車両に取り付ける荷物
車両用キャリア1であって、ナット体64と取付ボルト63とがロールバーガーニッシュ15の外側から着脱可能であることにより、ロールバーガーニッシュ15を取り外すことなく、キャリア1を仕切パネル13に固定することができる。
【0083】
同様に、請求項
3に対応して、被取付部材が車両の前方に設けられた車室11と後方に設けられた後部動力室12との間に配設された仕切パネル13であって、仕切パネル13がロールバーガーニッシュ15により覆われており、取付部材が車両に取り付ける荷物
車両用キャリア1であって、連結用金具94と取付ボルト91とがロールバーガーニッシュ15の外側から着脱可能であることにより、ロールバーガーニッシュ15を取り外すことなく、キャリア1を仕切パネル13に固定することができる。
【0084】
また、請求項
4に対応して、仕切りパネル13が袋状閉断面を形成しているから、内側ボルト67及び内側ボルト81の挿通方向に対して直角方向の仕切パネル13の強度を確保することができる。
【0085】
また、請求項
5に係る発明は、前方には車室11が設けられ、後方には後部動力室12が設けられ、これらの間に仕切パネル13とこれを囲むロールバー14が配設される車両2に取付けられるキャリア1において、ロールバー14はロールバーガーニッシュ15に覆われており、キャリア1はラック部4と支持棒31,32とを備え、ラック部4は車両2の外部に位置しており、支持棒31,32は、ロールバーガーニッシュ15を貫通すると共に、仕切パネル13に固定した取付用雌螺子体たるナット体64,86に取付用螺子手段たる取付ボルト63,91を螺合して該仕切パネル13に取り付けられているから、取付ボルト63,91により支持棒31,32の固定及び取外を簡便に行うことができる。
【0086】
また、請求項
6に係る発明は、内側から仕切パネル13に挿通した内側ボルト67に取付用雌螺子体たるナット体64が螺合されているから、ナット体64を内側ボルト67により仕切パネル13に固定することができる。
【0087】
【0088】
また、請求項
7に係る発明は、仕切パネル13は、間隔を置いて配置した外側板状部23と内側板状部24とを備え、外側板状部23が内側ボルト67と取付用雌螺子体たるナット体64により挟持され、内側板状部24に内側ボルト67が連結されているから、支持棒31に加わる力を2つの板状部23,24に分散することができる。
【0089】
また、請求項
8に係る発明は、後部動力室12に後部開閉部26が設けられ、支持棒32の下部を後部動力室12側に配置し、後部動力室12側から支持棒32の下部に挿通した取付用螺子手段たる取付ボルト91が、取付用雌螺子体たるナット体86に螺合されているから、後部動力室12内から取付ボルト91を操作して支持棒32を固定することができ、また、後部開閉部26を開かなければ、取付ボルト91を操作することができない。
【0090】
以下、実施例上の効果として、キャリア1は、略平板状のラック本体33を備えるから、荷物を載せない状態で、整流効果が得られ、また、外観意匠性にも高いものとなる。また、ラック本体33に開口部36,37を設けることにより、軽量化が可能となる。さらに、ラック本体33の両端のウイング部35,35により整流効果が得られると共に、ウイング部35はラック本体33の上面よりも突出しているから、荷物の左右方向のずれを防止できる。
【0091】
前記パネル枠部22は、屈曲縁部21Fと後縁23F,24Fとを重ね合わせ、スポット溶接などにより固定し、外側板状部23と内側板状部24は補強用のスペーサ30により一体化して強度を確保しているから、そのパネル枠部22に支持棒31を取り付けることにより、前側支持棒31の取付強度を確保することができる。
【0092】
前記ラック本体33の前,後縁部33F,33Rに帯係合部たる凹部41を設けたり、ラック本体33の下面側に帯係合部43を設けたりすることにより、帯状押え部材を凹部41に係合して荷物の固定を行うことができる。また、左右のウイング部35,35の下縁に凹部41を設けることにより、帯部42を荷物の左右方向に掛けて固定することができる。さらに、開口部36,37の内縁には、上面側から下面側に向かって低くなるように傾斜した凹部たる上傾斜面36U,37Uが形成され、この上面より低い上傾斜面36U,37Uに、ラック本体33の下面側から前記帯状押え部材のフックなどの係止部を係止することにより、係止部が上面側に出っ張らない。しかも、上傾斜面36U,37Uの高さを下傾斜面36D,37Dの高さより高く設定したから、前記上傾斜面36U,37Uと下傾斜面36D,36Dの角部に、前記帯状押え部材のフックなどの係止部を下面側から係止し易いと共に、係止状態でそのフックがラック本体33の上面側に突出して荷物に接触することがない。また、ラック本体33の上面は平板状をなすから、籠状タイプのものに比べて、前後幅の広いものも搭載可能となる。
【0093】
前記取付ボルト63の頭部63Tを凹所56に収容し、凹所56の上部はラック本体33により塞がれているから、ラック本体33から取付枠34を外さない限り、取付ボルト63を取り外すことができず、取付ボルト63の紛失を防止できる。また、ナット体64に設けた工具係合部たる平面凹部65,65により、ナット体64を回ることができ、さらに、
図9及び
図12などに示すように、ロールバーガーニッシュ15を取り付けた状態では、ロールバーガーニッシュ15の下側板状部29により平面凹部65,65が隠れ、平面凹部65,65の無い先端が下側板状部29の上面に部分的に突出するから、ナット体64を緩めることを防止できる。さらに、ラック部4を外した状態では、ナット体64の先端のみがロールバーガーニッシュ15の外面に表れるため、取外状態で出っ張り部分が少ない。
【0094】
前記内側ボルト67には、先端側に雄螺子部83を設け、基端側に内側板状部24に連結する係止鍔部72と工具係合部73を設け、内側板状部24の透孔24Tに内側から雄螺子部83側を挿通すると共に、ナット体64に螺合することにより、係止鍔部72が内側板状部24に当接又は圧接又は近接状態で連結されるから、取付作業性に優れたものとなる。
【0095】
前記ラック本体33は、ルーフ3の後部から、リアウインド19,19Aの後部上に跨って取り付けられているから、キャリア1が後部開閉部26の開閉の邪魔にならず、後方の視界を狭めることもなく、また、開閉式のルーフ3を開閉することができ、さらに、外観意匠性にも優れたものとなる。
【0096】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、実施例では、第1の支持棒と第2の支持棒によりラック部を車両に取り付けたが、第1の支持棒と第2の支持棒の一方を用いてラック部を車両に取り付けてもよい。また、整流板部をラック本体の左右方向全長に設けても良い。