(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】マグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズを示す三元相図である。
【
図1B】マグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズを示す三元相図である。
【
図1C】マグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズを示す三元相図である。
【
図1D】マグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズを示す三元相図である。
【
図2A】マグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズにおける組成物について、x線回折パターンを示すプロットである。
【
図2B】マグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズにおける組成物について、x線回折パターンを示すプロットである。
【
図2C】マグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズにおける組成物について、x線回折パターンを示すプロットである。
【
図2D】マグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズにおける組成物について、x線回折パターンを示すプロットである。
【
図3】
図3は、マグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズにおける組成物の構造を示す三元相図である。
【
図4】
図4Aおよび
図4Bは、マグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズにおける試料組成物由来の後方散乱電子像である。
【
図5A】マグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズについて、マグネシウムイオンの原子パーセントに対する850℃での直流伝導率を示すグラフである。
【
図5B】マグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズにおける試料組成物について、電気インピーダンス分光法の結果を示すグラフである。
【
図5C】マグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズにおける試料組成物について、電気インピーダンス分光法の結果を示すグラフである。
【
図5D】マグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズにおける試料組成物について、電気インピーダンス分光法の結果を示すグラフである。
【
図5E】マグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズにおける試料組成物について、電気インピーダンス分光法の結果を示すグラフである。
【
図5F】マグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズにおける試料組成物について、電気インピーダンス分光法の結果を示すグラフである。
【
図5G】マグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズにおける試料組成物について、電気インピーダンス分光法の結果を示すグラフである。
【
図6A】マグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズについて、850℃での、スカンジウムイオンの原子パーセントに対する直流伝導率を示すグラフである。
【
図6B】マグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズについて、850℃での、酸素化学量論組成に対する直流伝導率を示すグラフである。
【
図6C】マグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズについて、850℃での直流伝導率の結果を示す三元相図である。
【
図7A】イットリアおよびマグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の2つの態様シリーズの三元相図である。
【
図7B】イットリアおよびマグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の2つの態様シリーズにおける組成物について、x線回折パターンを示すプロットである。
【
図7C】イットリアおよびマグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の2つの態様シリーズにおける組成物について、x線回折パターンを示すプロットである。
【
図8A】イットリアおよびマグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の2つの態様シリーズについて、850℃での、イットリウムイオンの原子パーセンテージに対する直流伝導率を示すグラフである。
【
図8B】イットリアおよびマグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズにおける試料組成物について、電気インピーダンス分光法の結果を示すグラフである。
【
図8C】イットリアおよびマグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズにおける試料組成物について、電気インピーダンス分光法の結果を示すグラフである。
【
図8D】イットリアおよびマグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズにおける試料組成物について、電気インピーダンス分光法の結果を示すグラフである。
【
図8E】イットリアおよびマグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズにおける試料組成物について、電気インピーダンス分光法の結果を示すグラフである。
【
図9A】イットリアおよびマグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の2つの態様シリーズにおける試料組成物について、電気インピーダンス分析法の結果を示すグラフである。
【
図9B】イットリアおよびマグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の2つの態様シリーズにおける試料組成物について、電気インピーダンス分析法の結果を示すグラフである。
【
図9C】イットリアおよびマグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の2つの態様シリーズにおける試料組成物について、電気インピーダンス分析法の結果を示すグラフである。
【
図9D】イットリアおよびマグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の2つの態様シリーズにおける試料組成物について、電気インピーダンス分析法の結果を示すグラフである。
【
図10】
図10Aは、マグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物、ならびにイットリアおよびマグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズについて、850℃での、スカンジウムイオンの原子パーセンテージに対する直流伝導率を示すグラフである。
図10Bは、マグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物、ならびにイットリアおよびマグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズについて、850℃での、酸素化学量論組成に対する直流伝導率を示すグラフである。
【
図11A】酸化亜鉛をドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズにおける試料組成物について、x線回折パターンを示すプロットである。
【
図11B】2θ=25〜50の範囲内の角度についての、
図11Aのx線回折パターンの拡大図である。
【
図11C】2θ=80〜88の範囲内の角度についての、
図11Aのx線回折パターンの拡大図である。
【
図12A】マグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズおよび酸化亜鉛をドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の類似したシリーズの、850℃での直流伝導率を比較するグラフである。
【
図12B】酸化インジウムをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズについて、x線回折パターンを示すプロットである。
【
図12C】酸化インジウムをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズについて、850℃での、酸化インジウムのモルパーセントに対する直流伝導率を示すグラフである。
【
図13A】酸化インジウムおよびマグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズ、ならびに酸化インジウムをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズについて、電子回折分光法のパターンを示すプロットである。
【
図13B】変動する量の酸化インジウムおよびマグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズにおける試料組成物について、x線回折パターンを示すプロットである。
【
図14A】変動する量のイットリア、マグネシア、酸化インジウム、および/または酸化亜鉛をドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズにおける試料組成物について、電気インピーダンス分光法の結果を示すグラフである。
【
図14B】変動する量のイットリア、マグネシア、酸化インジウム、および/または酸化亜鉛をドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズにおける試料組成物について、電気インピーダンス分光法の結果を示すグラフである。
【
図14C】変動する量のイットリア、マグネシア、酸化インジウム、および/または酸化亜鉛をドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズにおける試料組成物について、電気インピーダンス分光法の結果を示すグラフである。
【
図14D】変動する量のイットリア、マグネシア、酸化インジウム、および/または酸化亜鉛をドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズにおける試料組成物について、電気インピーダンス分光法の結果を示すグラフである。
【
図15】変動する量のイットリアおよび酸化ガリウムをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズの三元相図である。
【
図16】
図16Aは、変動する量のイットリアおよび酸化ガリウムをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズにおける試料組成物について、x線回折パターンを示すプロットである。
図16Bは、2θ=82〜85の範囲内の角度についての、
図16Aのx線回折パターンの拡大図である。
【
図17】
図17Aは、変動する量のイットリアおよび酸化ガリウムをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズについて、850℃での、イットリアイオンおよびガリウムイオンの原子パーセンテージに対する直流伝導率を示すグラフである。
図17Bは、変動する量のイットリアおよび酸化ガリウムをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズについて、850℃での、スカンジウムイオンの原子パーセンテージに対する直流伝導率を示すグラフである。
【
図18】イットリア、酸化ガリウム、およびマグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズについて、850℃での、ガリウムイオンの原子パーセンテージに対する直流伝導率を示すグラフである。
【
図19A】酸化インジウムおよびセリアをドープしたスカンジア安定化ジルコニアの種々のシリーズの試料組成物について、850℃で、スカンジウム含量の関数として直流伝導率を示すグラフである。
【
図19B】酸化インジウムおよびセリアをドープしたスカンジア安定化ジルコニアの種々のシリーズの試料組成物について、850℃で、インジウム含量の関数として直流伝導率を示すグラフである。
【
図19C】酸化インジウムおよびセリアをドープしたスカンジア安定化ジルコニアの種々のシリーズの試料組成物について、850℃で、インジウムに対するスカンジウムの比の関数として直流伝導率を示すグラフである。
【
図20】
図20Aは、種々のドーパントの組み合わせを有するスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズについて、850℃で、スカンジウム含量の関数として直流伝導率を示すグラフである。
図20Bは、種々のドーパントの組み合わせを有するスカンジア安定化ジルコニア組成物の態様シリーズについて、850℃で、酸素化学量論組成の関数として直流伝導率を示すグラフである。
【
図21】マグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニア組成物の2つの態様シリーズの試料高伝導率組成物を示す三元相図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
態様の詳細な説明
種々の態様が、ドープスカンジア安定化ジルコニアを含むSOFCのための電解質の組成物を提供する。1つの態様において、ジルコニアに、スカンジウムおよび異原子価の原子を共ドープし、共沈により作製する。
【0016】
相組成および伝導率の両方は、合成条件に非常に依存する可能性があるため、多数の研究が、合成および焼結のための技術を開発することに集中している。固体状態合成は、カチオン移動の遅い速度論のために、相の不均質性をもたらすことが公知であり、従って、高い焼結温度が相形成のために必要とされ得る。組成上の均質性および高い程度の緻密化の達成により、共沈、燃焼、およびゾル-ゲルなどの代替技術がより成功すると立証され得る。
【0017】
種々の態様において、粉末を、化学量論組成的な量のスカンジウム、ならびに、酸化マグネシウムもしくは炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、および/または酸化ガリウムのうちの少なくとも1つ(ならびに任意で、組成物に応じて上記の酸化物に加えて酸化イットリウム)を熱いHNO
3中に溶解する工程、それに続く、ジルコニウムアセチルアセトナートまたは他のZr前駆化合物が溶解している水溶液と混合する工程を含む、共沈を用いて取得することができる。混合物を、ホットプレート上での加熱の下で撹拌し、その後室温へ冷却して、pH=9までのアンモニアで沈殿させることができる。形成された沈殿を、濾過し、乾燥し、1200℃で5時間、か焼することができる。結果として生じた粉末を、破砕し、ボールミル粉砕し、ペレットおよびバーにプレスし、1500〜1550℃で7時間焼結して緻密体にすることができる。焼結された生成物を、X線回折、粒子サイズ解析、SEM、TEM、および伝導率測定を用いて特徴決定することができる。高温でイオン伝導率の正確な値を得るために、試料の全抵抗に対するバルクおよび粒界の寄与を区別してもよい。
【0018】
これらの新たな電解質組成物の調製において、親電解質材料は、約89:11、例えば87〜91:13〜9である、ジルコニア(ZrO
2):スカンジア(Sc
2O
3)のモル比を有することができる。1つの態様において、ジルコニアに、マグネシア(MgO)、または異原子価のカチオン(例えば、Mg
2+)を有する他のイオン酸化物を、11%モルパーセント(モル%)まで、ScまたはZrのいずれかの原子パーセントを一定に保ちながらドープすることができる。他の態様において、ジルコニアに、マグネシア、イットリア、酸化亜鉛、および/または酸化インジウムの1つまたは複数の組み合わせをドープすることができる。他の態様において、ジルコニアに、マグネシア、イットリア、および酸化ガリウムの1つまたは複数の組み合わせをドープすることができる。
【0019】
1つの態様において、マグネシアを、スカンジア安定化ジルコニア中のスカンジアを置換するドーパントとして使用することができる。組成物の4つの例示シリーズを、下記でさらに詳細に議論する。
【0020】
組成物の1つの例示シリーズ(「Aシリーズ」)は、11モル% Sc
2O
3の組成物に基づいて調製することができ、Zr
0.802Sc
0.198-xMg
xO
1.90-0.5xの式を有することができる。この例示のAシリーズの組成物を示す三元相図を、
図1Aに示す。Aシリーズ組成物において、Sc
3+イオンを、1:1の比でMg
2+イオンにより置換することができ、それにより、ジルコニア含量を一定に保ちながら、組成物のスカンジウムおよび酸素の含量を低下させることができる。Aシリーズを形成するために使用され得る上記の式におけるx値は、0、0.009、0.018、0.027、および0.036であり、それにより以下の組成物を創出する。
A0:Zr
0.802Sc
0.198O
1.90
A1:Zr
0.802Sc
0.189Mg
0.009O
1.90
A2:Zr
0.802Sc
0.180Mg
0.018O
1.89
A3:Zr
0.802Sc
0.171Mg
0.027O
1.89
A4:Zr
0.802Sc
0.162Mg
0.036O
1.88
【0021】
この例示シリーズにおいて、x=0では、Sc
3+イオンは置換されておらず、従って、Sc
3+イオンの原子パーセントは、親材料における原子パーセントと同等である(すなわち、19.8%)。試験した最高のx値(x=0.36)では、スカンジウムイオンの原子パーセントは、最低になる(すなわち、16.2%)。
【0022】
組成物の別の例示シリーズ(「Bシリーズ」)を、11モル% Sc
2O
3の組成物に基づいて調製することができる。Bシリーズ組成物についての式は、Zr
0.802+xSc
0.198-2xMg
xO
1.90であることができる。
図1Bは、Bシリーズの組成物を示す三元相図である。この例示シリーズにおいては、2個のSc
3+イオンを、1個のZr
4+イオンおよび1個のMg
2+イオンにより置換することができ、それにより、酸素の含量および化学量論組成を1.90で一定に保ちながら、スカンジウム含量を低下させることができる。このBシリーズを形成するために使用され得るx値は、0、0.009、0.0135、0.018、0.027、および0.036であり、それにより以下の組成物を創出する。
B0:Zr
0.802Sc
0.198O
1.90
B1:Zr
0.811Sc
0.18Mg
0.009O
1.90
B1.5:Zr
0.815Sc
0.171Mg
0.0135O
1.90
B2:Zr
0.820Sc
0.162Mg
0.018O
1.90
B3:Zr
0.829Sc
0.144Mg
0.027O
1.90
B4:Zr
0.838Sc
0.126Mg
0.036O
1.90
【0023】
この例示シリーズにおいて、x=0では、Sc
3+イオンは置換されておらず、従って、Sc
3+イオンの原子パーセントは、親材料における原子パーセントと同等である(すなわち、19.8%)。試験した最高のx値(x=0.036)では、スカンジウムイオンの原子パーセントは、最低である(すなわち、12.6%)。この例示のBシリーズの組成物を示す三元相図を、
図1Bに示す。
【0024】
組成物の他の例示シリーズ(「Gシリーズ」および「Hシリーズ」)は、ZrイオンをMgイオンで置換し、それによりジルコニウムおよび酸素のレベルを低下させることによって、一定のスカンジア含量を維持し、かつマグネシアレベルを増大させることができる。組成物の例示のGシリーズは、5.3モル% Sc
2O
3を含む親組成物に基づいて調製することができ、Zr
0.9-xSc
0.1Mg
xO
1.95-xの式を有することができる。この例示のGシリーズにおける組成物を示す三元相図を、
図1Cに示す。Gシリーズ組成物を形成するために使用され得るx値は、0、0.025、0.05、0.075、および0.10であり、それにより以下の組成物を創出する。
G0:Zr
0.9Sc
0.1O
1.95
G1:Zr
0.875Sc
0.1Mg
0.025O
1.925
G2:Zr
0.85Sc
0.1Mg
0.05O
1.90
G3:Zr
0.825Sc
0.1Mg
0.075O
1.875
G4:Zr
0.80Sc
0.1Mg
0.10O
1.85
【0025】
x=0では、Mg
2+イオンは添加されておらず、従って、Sc
3+イオンの原子パーセントは、親材料における原子パーセントと同等である(すなわち、10.0%)。最高のx値(x=0.10)では、ジルコニウムイオンの原子パーセントは、最低である(すなわち、80.0%)。
【0026】
組成物の別の例示シリーズ(「Hシリーズ」)を、8.1モル% Sc
2O
3の親組成物に基づいて調製することができる。Hシリーズ組成物は、式Zr
0.85-xSc
0.15Mg
xO
1.925-xを有することができる。例示のHシリーズ組成物を示す三元相図を、
図1Dに示す。Hシリーズ組成物を形成するために使用され得るx値は、0、0.025、0.05、0.075、および0.10であり、それにより以下の組成物を創出する。
H0:Zr
0.85Sc
0.15O
1.925
H1:Zr
0.825Sc
0.15Mg
0.025O
1.90
H2:Zr
0.80Sc
0.15Mg
0.05O
1.875
H3:Zr
0.775Sc
0.15Mg
0.075O
1.85
H4:Zr
0.75Sc
0.15Mg
0.10O
1.825
【0027】
x線回折パターンにより、マグネシアをドープした各々のスカンジア安定化ジルコニア組成物について室温での安定相を判定することができる。組成物の例示のAシリーズ、Bシリーズ、Gシリーズ、およびHシリーズにおける組成物についての室温での相を、下記の表1に示す。
【0029】
11モル% Sc
2O
3のAシリーズおよびBシリーズの親組成物であるA0、B0の以前の研究により、これが室温で菱面体構造を有することが見出されている。組成物のAシリーズにおけるドーピングの最低レベル(x=0.09)では、構造は菱面体のままであり得るが、すべての他のドーピングレベルでは、立方蛍石構造が安定であり得る。例示のBシリーズについては、すべての組成物が、正方蛍石構造を有し得る。
図2Aは、例示のBシリーズ組成物についてのx線回折パターンを示す。
【0030】
マグネシウムを含まないG0試料のX線解析により、存在する正方蛍石相および単斜蛍石相の両方が示され、Ruhらによる、彼らの研究における知見(Ruh 1977)と一致した。
図2Bは、Gシリーズ組成物についてのx線回折(XRD)パターンを示し、Gシリーズにわたるマグネシア含量の増大が、存在する単斜相の量の低減をもたらすことを示す。例えば、
図2B中の低角度領域の接写図である
図2Cは、Gシリーズ組成物についてのx線回折パターンを示し、単斜晶反射の相対的なピークの高さが、マグネシウム含量の増大と共に低減することを示す。
【0031】
組成物のHシリーズに関しては、2.5〜7.5原子%のマグネシウムを有するMgOの添加が、立方相を安定化させる。マグネシウム含量を2.5原子%に増大させた際には、構造は正方のままであり得るが、マグネシウム含量を5.0および7.5原子%にさらに増大させた際には、立方構造が安定化され得る。マグネシウム含量の10原子%へのさらなる増大により、正方構造が安定になり得る。これは、Hシリーズ組成物についてのXRDパターンシリーズである、
図2Dに示されている。Bシリーズ、Gシリーズ、およびHシリーズの組成物について焼成相として示す三元相図を、
図3に示す。
【0032】
図4Aおよび
図4Bは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影された、それぞれ試料B2およびH2由来の後方散乱電子(BSE)像である。データによって示されるように、試料G2は、はるかにより微細な粒構造を有し得、これは、正方ジルコニアおよび単斜ジルコニアの存在と一致している。対照的に、試料H2は、立方ジルコニアに典型的である、はるかにより粗い微構造を有し得る。
【0033】
図5Aは、組成物のBシリーズ、Gシリーズ、およびHシリーズについて、850℃での例示の直流伝導率測定値の変動を、マグネシア含量(測定されたマグネシウムの原子パーセント)と共に示す。ピーク伝導率は、200 mS/cmまたはそれより上で、例えば、B1.5組成物(Zr
0.815Sc
0.171Mg
0.0135O
1.90)については200〜210 mS/cmで測定され得る。
【0034】
組成物のGシリーズについて、伝導率は、組成物の範囲全体にわたって、100 mS/cm未満のままであり得る。これらの相対的に低い伝導率は、室温で望ましくない低伝導率の単斜相の存在を示すXRDの結果と一致し得る。これらの低い結果はまた、マグネシアおよびスカンジアのGシリーズでのレベルが、850℃でジルコニアのより伝導性の立方相を安定化させるには不十分である可能性が高いことを示し得る。対照的に、組成物の例示のHシリーズは、150 mS/cmより上、例えば、5.0原子%またはそれより少ないマグネシウムを有する組成物で150〜199 mS/cmの伝導率を示し得る。伝導率は、マグネシア含量と共にほぼ直線的に、H2試料(5.0原子%マグネシウム)については199 mS/cmのピーク値まで増大し得る。7.5原子%マグネシウムへのさらなる増大は、79 mS/cmへの、伝導率の大きな下落をもたらし得る。
【0035】
図5Bは、5原子%マグネシウムを有する試料G2およびH2組成物についてのバルク伝導率を示す、電気インピーダンス分光法(EIS)の測定値を示す。
図5Cは、試料G2組成物およびH2組成物の粒界にわたる伝導率を示す、EIS測定値を示す。400℃で、低スカンジアG2試料は、スカンジア含量がより高いH2試料よりも、高いバルク伝導率を有し得るが、低い粒界伝導率を有し得る。温度が上昇するにつれて、伝導率のバルク成分および粒界成分は、スカンジア含量がより高い試料についてより速く増大し、850℃ではるかに優れた伝導率をもたらし得る。特定の理論により拘束されることを望むものではないが、Gシリーズ相の大きな粒界抵抗は、より低い伝導率の単斜相の存在の結果である可能性がある。
【0036】
組成物のHシリーズのマグネシウム含量を、5原子%から7.5原子%またはそれより高くまで増大させた際に、伝導率の大きな低下が観察され得る。
図5Dは、それぞれ5原子%および7.5原子%のマグネシウムを有するH2試料およびH3試料について全伝導率を示す、EIS測定値を示す。
図5Eは、H2およびH3について粒界にわたる伝導率を示す、EIS測定値を示す。
図5Fは、H2試料およびH3試料についてバルク伝導率を示すEIS測定値を示し、他方、
図5Gは、H2試料およびH3試料についてバルク抵抗率の測定値を示す。これらの測定値から、H2試料およびH3試料は非常に類似したバルク伝導率を有し得るが、H3ははるかに低い粒界伝導率を有し得ることが、観察され得る。従って、1〜6原子パーセントのMgO、例えば、1.3〜5原子パーセントが好ましい。
【0037】
図6Aは、組成物のBシリーズ、Gシリーズ、およびHシリーズについて、850℃での直流伝導率測定値の変動を、スカンジア含量(スカンジアの原子パーセントとして測定)と共に示す。
図6Bは、組成物のBシリーズ、Gシリーズ、およびHシリーズについて、850℃での直流伝導率測定値の変動を、酸素化学量論組成と共に示す。
図6Cは、850℃での直流伝導率の結果が、三元組成図上に呈示されることを示す。これらのプロットは、伝導率のピーク値が、15〜19原子%のスカンジア含量、5原子%未満のマグネシア含量(例えば、2〜5原子%)、および1.875〜1.9の酸素化学量論組成で達成され得ることを示す。
【0038】
スカンジアのレベルをさらに低下させるために、B1.5組成物およびB3組成物に基づいて、組成物の2つの追加のシリーズを開発することができる。
【0039】
別の態様において、スカンジア安定化ジルコニア組成物に、マグネシアおよびイットリアを共ドープすることができる。組成物の例示シリーズ(「Eシリーズ」)を、10.7モル% Sc
2O
3の親組成物に基づいて調製することができる。Eシリーズは、式Zr
0.815Sc
0.171-xY
xMg
0.0135O
1.90を有することができる。このシリーズの組成物においては、1個のY
3+イオンが1個のスカンジウムイオンを置換し、他方、ジルコニウム、マグネシウム、および酸素のレベルは一定のままである。Eシリーズ組成物を形成するために使用され得るx値は、0、0.018、0.036、0.054、および0.072であり、それにより以下のEシリーズ組成物を創出する。
E0:Zr
0.815Sc
0.171Mg
0.0135O
1.90(B1.5と同じ)
E1:Zr
0.815Sc
0.153Y
0.018Mg
0.0135O
1.90
E2:Zr
0.815Sc
0.135Y
0.036Mg
0.0135O
1.90
E3:Zr
0.815Sc
0.117Y
0.054Mg
0.0135O
1.90
E4:Zr
0.815Sc
0.099Y
0.072Mg
0.0135O
1.90
【0040】
x=0では、スカンジウムイオンは置換されておらず、スカンジウムの原子パーセントは、親組成物と同等である(すなわち、17.1%)。最高のx値であるx=0.072では、スカンジウムの原子パーセントは、シリーズの最低である(すなわち、9.9%)。
【0041】
組成物の別の例示シリーズ(「Fシリーズ」)を、7.9モル% Sc
2O
3の親組成物に基づいて調製することができる。Fシリーズは、式Zr
0.829Sc
0.144-xY
xMg
0.027O
1.90を有することができる。Fシリーズ組成物を調製するために使用され得るx値は、0、0.018、0.036、0.054、および0.072であり、それにより以下の組成物を創出する。
F0:Zr
0.829Sc
0.144Mg
0.027O
1.90(B3と同じ)
F1:Zr
0.829Sc
0.126Y
0.018Mg
0.027O
1.90
F2:Zr
0.829Sc
0.108Y
0.036Mg
0.027O
1.90
F3:Zr
0.829Sc
0.09Y
0.054Mg
0.027O
1.90
F4:Zr
0.829Sc
0.072Y
0.072Mg
0.027O
1.90
【0042】
このシリーズの組成物においては、Eシリーズにおいてと同様に、1個のY
3+イオンが1個のスカンジウムイオンを置換し、他方、ジルコニウム、マグネシウム、および酸素のレベルは一定のままである。x=0では、スカンジウムイオンは置換されておらず、スカンジウムの原子パーセントは、親組成物と同等である(すなわち、14.4%)。最高のx値であるx=0.072では、スカンジウムの原子パーセントは、シリーズの最低である(すなわち、7.2%)。例示のEシリーズおよびFシリーズの組成物の三元相図を、
図7Aに示す(イットリアは示していない)。
【0043】
EシリーズおよびFシリーズの組成物における例示のXRDパターンを、それぞれ
図7Bおよび
図7Cに示す。組成物のEシリーズは、5.4原子%またはそれより少ないイットリウム含量で正方であり得、7.2原子%で立方であり得る。Fシリーズ組成物は、正方のままであり得る。5.4原子%および7.2原子%のイットリウムで、Fシリーズ試料はまた、少量の単斜相も有し得る。表2は、E0からE4およびF0からF4の、例示組成物の室温相を示す。
【0045】
図8Aは、850℃で組成物のEシリーズおよびFシリーズについて測定された直流伝導率の変動を、イットリア含量と共に示す。データが示すように、伝導率のほぼ直線的な減少が、含量の増大と共に起こり得る。イットリア含有試料についての最高伝導率は、1.8原子%のイットリウムを有するE1についての199 mS/cmであり得る。
【0046】
図8Bは、Eシリーズ組成物のE1、E3、およびE4について全伝導率を示す、EIS測定値を示す。
図8Cは、E1、E3、およびE4についてバルク伝導率を示す、EIS測定値を示す。
図8Dは、E1、E3、およびE4について粒界面にわたる伝導率を示す、EIS測定値を示す。
図8Eは、E1、E3、およびE4について400℃でのバルク抵抗率の値を示す。
【0047】
図9Aは、各々が1.8原子%のイットリウムを有する試料E1およびF1について全伝導率を示す、EIS測定値を示す。
図9Bは、E1およびF1についてバルク伝導率を示す、EIS測定値を示す。
図9Cは、EおよびF1について粒界面にわたる伝導率を示す、EIS測定値を示す。
図9Dは、E1およびF1について400℃でのバルク抵抗率の値を示す。
【0048】
図10Aは、850℃でのシリーズA、B、G、およびH(ZrO
2-Sc
2O
3-MgO)、ならびにEおよびF(ZrO
2-Sc
2O
3-Y
2O
3-MgO)について、スカンジア含量に対する850℃での直流伝導率を示す。さらに、
図10Bは、これらのシリーズの各々について、酸素化学量論組成に対する850℃での直流伝導率を示す。イットリア含有試料における高伝導率のための条件は、イットリアを含まない試料について見出されているものと一致している。伝導率の最高値は、15〜19原子%のスカンジウム含量、5原子%未満のマグネシウム含量、および1.875〜1.9の酸素化学量論組成について見出され得る。
【0049】
別の態様において、Bシリーズ組成物に類似しているスカンジア安定化ジルコニア組成物に、マグネシアの代わりにまたはそれに加えて、酸化亜鉛(ZnO)または酸化インジウム(In
2O
3)のいずれかをドープすることができる。
【0050】
上記で議論されたB1.5試料組成物に基づき得る、組成物の例示シリーズ(「B-Znシリーズ」)においては、マグネシウムイオンを亜鉛イオンに置換することができる。B-Znシリーズは、Zr
0.802+xSc
0.198-2xZn
xO
1.90の式を有し得る。組成物のこのB-Znシリーズを調製するために使用され得るX値は、0、0.0135(B1.5に対応)、および0.027(B3に対応)であり、それにより以下の組成物を創出する。
B1.5Zn:Zr
0.815Sc
0.171Zn
0.0135O
1.90
B3Zn:Zr
0.829Sc
0.144Zn
0.0270O
1.90
【0051】
具体的には、このシリーズにおいては、2個のSc
3+イオンを、1個のZn
2+イオンおよび1個のZn
4+イオンにより置換することができる。Sc
3+がこれらのイオンにより置換されるため、酸素化学量論組成は一定のままである。組成物のこのB-Znシリーズにおける試料組成物についてのXRDパターンを、
図11A〜
図11Cに示し、
図11Bおよび
図11Cは、
図11Aの低角度領域および高角度領域の接写である。
【0052】
11モル% Sc
2O
3を有する対応するBシリーズ組成物および親組成物と比較した、B-Znシリーズ組成物の850℃での伝導率を、下記の表3に提供する。
【0054】
図12Aは、B1.5およびB3についてのマグネシウム含量に対する850℃での直流伝導率のプロット上に重ね合わせた、組成物のB-ZnシリーズについてのZnO含量(亜鉛の原子パーセントとして測定)に対する850℃での直流伝導率を示す。
【0055】
組成物の別の例示シリーズにおいて、酸化インジウムを、スカンジアとの共ドーパントとして使用することができる。Mg
2+が、Sc
3+を置換する共ドーパントである、Aシリーズの組成物と類似して、In
2O
3を共ドープした組成物においては、1:1の比でSc
3+イオンをIn
3+イオンに置換することができ、酸素含量は固定されたままである。このシリーズは、11モル% Sc
2O
3の親組成物に基づき得、Zr
0.802Sc
0.198-xIn
xO
1.90の式(式中0≦x≦0.198、例えば0.018≦x≦0.18)を有することができる。
【0056】
この態様の試料組成物は、0〜11モル% Sc
2O
3、例えば1〜9モル% Sc
2O
3、および0〜11モル% In
2O
3、例えば2〜10モル% In
2O
3を、11モル%の総ドーピング範囲(すなわち、Sc
2O
3およびIn
2O
3のモルパーセンテージの合計)で有することができる。1つの例において、組成物は、9モル% Sc
2O
3および2モル% In
2O
3を有することができ、従って、Zr
0.802Sc
0.162In
0.036O
1.90の式を有する。
【0057】
図12Bは、試料組成物が、0モル%から11モル%まで変動する離散整数の酸化インジウム含量、および11モル%から0モル%まで変動する離散整数のスカンジア含量を有する、このシリーズについてのXRDパターンを示す。
図12Cは、酸化インジウム含量が0モル%から11モル%まで変動する、離散整数の酸化インジウム含量(In
2O
3のモルパーセントとして測定)の関数として、これらの試料組成物の直流伝導率の変動を示す。データプロットにより示されるように、試料の直流伝導率は、80 mS/cm〜220 mS/cmの間の値であり得る。データプロットによりまた示されるように、少なくとも215 mS/cm、例えば215〜220 mS/cmのピーク直流伝導率レベルが、おおよそZr
0.802Sc
0.144In
0.054O
1.90の試料式に対応する、約3モル% In
2O
3で達成され得る。従って、このシリーズは、式Zr
1-w-ySc
wIn
yO
d(式中、0.018≦w≦0.18、0.018≦y≦0.18、および1.8≦d≦2)を有するとして記載することができる。1つの態様において、スカンジウムイオン濃度(w)は、w=0.198 - yを特徴とすることができる。別の態様において、インジウムイオン濃度(y)は、y=0.054を特徴とすることができる。
【0058】
別の態様において、Hシリーズ組成物に類似しているスカンジア安定化ジルコニア組成物に、マグネシアに加えて酸化インジウム(In
2O
3)をドープすることができる。上記で議論されたH2組成物に基づき得る、例示シリーズの組成物(「H-Inシリーズ」)においては、Sc
3+イオンを、1:1の比でMg
2+イオンに置換することができ、それにより、ジルコニアおよびインジウムの含量を一定に保ちながら、組成物のスカンジウムおよび酸素の含量を低下させることができる。H-Inシリーズは、Zr
0.8Sc
0.15-xIn
0.05Mg
xO
2-dの式(式中0≦x≦0.05)を有することができる。H-Inシリーズの式はまた、Zr
0.8Sc
0.15-xIn
0.05Mg
xO
d(式中1.8≦d≦2および0≦x≦0.05)としても書くことができる。x=0では、マグネシアは存在せず、試料組成物は式Zr
0.8Sc
0.15In
0.05O
2-dを有する。x=0.05では、試料組成物は式Zr
0.8Sc
0.10In
0.05Mg
0.05O
2-dを有する。
【0059】
例示の別のセットは、上記で議論されたE1試料組成物のバリアントを含む。1つの例示組成物において、ドーパントとして酸化亜鉛にマグネシアを置換することができ、式Zr
0.815Sc
0.153Y
0.018Zn
0.0135O
1.90を有し得る組成物「E1-Zn」を生成する。別の例において、In
2O
3を、イットリアを置換する共ドーパントとして使用することができ、式Zr
0.815Sc
0.153In
0.018Mg
0.0135O
1.90を有し得る組成物「E1-In」を生成する。
【0060】
図13Aは、試料組成物E1-Inおよび9Sc
2O
3-2In
2O
3のエネルギー分散x線(EDX)分光解析を示す。
図13Bは、これらの組成物についてのx線回折(XRD)パターンを、2θ=80〜88°の角度についての拡大図領域と共に示す。850℃で、E1-Inの850℃での直流伝導率は、約195 mS/cmであり得、他方、9Sc
2O
3-2In
2O
3の直流伝導率は、約170 mS/cmであり得る。従って、これらの組成物は、少なくとも170、例えば、180〜195 mS/cmの伝導率を有する。
【0061】
図14Aは、400℃でのE1試料組成物のバルクインピーダンス値を、E1バリアントのE1-ZnおよびE1-Inと共に示す。
図14Bは、E1、E1-Zn、およびE1-Inについてバルク伝導率の測定値を示す。
図14Cは、E1、E1-Zn、およびE1-Inについて全伝導率の測定値を示し、
図14Dは、E1、E1-Zn、およびE1-Inについて粒界面にわたる伝導率を示す。
【0062】
さらなる態様において、スカンジア安定化ジルコニアに、酸化ガリウムおよびイットリアを共ドープすることができる。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、より小さな半径のGa
3+イオンおよびより大きな半径のY
3+の組み合わせが、結晶構造のより少ない歪みをもたらす可能性がある。
【0063】
例示シリーズの組成物(「Iシリーズ」)を、式Zr
0.8018Sc
0.1782Y
0.02-xGa
xO
1.90で創出することができる。このシリーズの組成物においては、1個のY
3+イオンが1個のGa
3+イオンに置換され、他方、ジルコニウム、スカンジウム、および酸素のレベルは一定のままである。Iシリーズ組成物を形成するために使用され得るx値は、0、0.005、0.01、0.015、および0.02であり、それにより以下の組成物を創出する。
I0:Zr
0.802Sc
0.178Y
0.02O
1.90
I1:Zr
0.802Sc
0.171Y
0.015Ga
0.005O
1.90
I2:Zr
0.802Sc
0.171Y
0.01Ga
0.01O
1.90
I3:Zr
0.802Sc
0.171Y
0.005Ga
0.015O
1.90
I4:Zr
0.802Sc
0.171Ga
0.02O
1.90
【0064】
x=0では、イットリウムイオンは置換されておらず、ガリウムイオンは存在しない。最高のx値であるx=0.02では、すべてのイットリウムイオンが、ガリウムイオンにより置換されている。
【0065】
別の例示シリーズの組成物(「Jシリーズ」)を、式Zr
0.802Sc
0.188Y
0.01-xGa
xO
1.90で調製することができる。Jシリーズにおいては、1個のY
3+イオンが1個のGa
3+イオンに置換され、他方、ジルコニウム、スカンジウム、および酸素のレベルは一定のままである。Jシリーズ組成物を形成するために使用され得るx値は、0、0.0025、0.005、0.0075であり、それにより以下の組成物を創出する。
J0:Zr
0.802Sc
0.188Y
0.01O
1.90
J1:Zr
0.802Sc
0.188Y
0.0075Ga
0.0025O
1.90
J2:Zr
0.802Sc
0.188Y
0.005Ga
0.005O
1.90
J3:Zr
0.802Sc
0.188Y
0.0025Ga
0.0075O
1.90
【0066】
x=0では、イットリウムイオンは置換されておらず、ガリウムイオンは存在しない。最高のx値であるx=0.0075では、組成物は、2.5原子%のY
3+イオンおよび7.5原子%のGa
3+イオンを含有する。
【0067】
別の例示シリーズの組成物(「Kシリーズ」)を、式Zr
0.8018Sc
0.1682Y
0.03-xGa
xO
1.90で調製することができる。このシリーズの組成物においては、1個のY
3+イオンが1個のGa
3+イオンに置換され、他方、ジルコニウム、スカンジウム、および酸素のレベルは一定のままである。例示のKシリーズ組成物を形成するために使用され得るx値は、0.015であり、式Zr
0.8018Sc
0.1682Y
0.015Ga
0.015O
1.90を有するK2試料組成物を創出し得る。このx値で、Y
3+イオンおよびGa
3+イオンの原子パーセンテージは同等である。
【0068】
別の例示シリーズの組成物(「Lシリーズ」)を、式Zr
0.8018Sc
0.1582Y
0.04-xGa
xO
1.90で調製することができる。このシリーズの組成物においては、1個のY
3+イオンが1個のGa
3+イオンに置換され、他方、ジルコニウム、スカンジウム、および酸素のレベルは一定のままである。例示のLシリーズ組成物を形成するために使用され得るx値は、0.02であり、式Zr
0.8018Sc
0.1582Y
0.02Ga
0.02O
1.90を有するL2試料組成物を創出し得る。このx値で、Y
3+イオンおよびGa
3+イオンの原子パーセンテージは同等である。
【0069】
図15は、例示のIシリーズ、Jシリーズ、Kシリーズ、およびLシリーズの組成物を示す三元相図である。
図16Aは、これらのシリーズにおける試料組成物、I2、J2、K2、およびL2についてのXRDパターンを示す。
図16Bは、2θ=82〜85°の範囲にわたるXRDパターンの拡大である。
図17Aは、Iシリーズ、Jシリーズ、Kシリーズ、およびLシリーズの組成物について、850℃での直流伝導率の変動を、総酸化ガリウムおよびイットリア含量(ガリウムまたはイットリウムの原子パーセントとして測定)と共に示す。
図17Bは、直流伝導率の変動を、スカンジウム含量(スカンジウムの原子パーセントとして測定)と共に示す。データが示すように、0.015原子%のY
3+イオンおよび0.015原子%のGa
3+イオンを有するKシリーズ組成物は、200 mS/cmより上など、例えば221 mS/cmの最高伝導率を有する。
【0070】
試料組成物I2、I3、J2、J3、K2、およびL2の850℃での直流伝導率を、下記の表4に提供する。
【0072】
別の例示シリーズの組成物(「Mシリーズ」)を、式Zr
0.815Sc
0.15Y
0.02-xGa
xMg
0.015O
1.9で調製することができる。このシリーズの組成物においては、1個のY
3+イオンが1個のGa
3+イオンに置換され、他方、ジルコニウム、スカンジウム、マグネシウム、および酸素のレベルは一定のままである。Mシリーズを調製するために使用され得るx値は、0、0.01、および0.02であり、それにより以下の組成物を創出する。
M0:Zr
0.815Sc
0.15Y
0.02Mg
0.015O
1.9
M1:Zr
0.815Sc
0.15Y
0.01Ga
0.01Mg
0.015O
1.9
M2:Zr
0.815Sc
0.15Ga
0.02Mg
0.015O
1.9
【0073】
x=0では、イットリウムイオンは置換されておらず、ガリウムは存在せず、x=0.02では、すべてのイットリウムイオンが、ガリウムイオンで置換されている。
【0074】
850℃でのMシリーズ組成物の直流伝導率の結果を、下記の表5に提供する。
【0076】
図18は、変動する酸化ガリウム含量(原子パーセントガリウムとして測定)を有するMシリーズ組成物について、直流伝導率を示すグラフである。
【0077】
別の例示シリーズの組成物の(「Nシリーズ」)を、式Zr
0.815Sc
0.13Y
0.04-xGa
xMg
0.015O
1.90で創出することができる。このシリーズの組成物においては、1個のY
3+イオンが1個のGa
3+イオンに置換され、他方、ジルコニウム、スカンジウム、マグネシウム、および酸素のレベルは一定のままである。Nシリーズを作製するために使用され得るx値は、0、0.01、0.02、0.03、および0.04であり、それにより以下の組成物を創出する。
N0:Zr
0.815Sc
0.13Y
0.04Mg
0.015O
1.90
N1:Zr
0.815Sc
0.13Y
0.03Ga
0.01Mg
0.015O
1.90
N2:Zr
0.815Sc
0.13Y
0.02Ga
0.02Mg
0.015O
1.90
N3:Zr
0.815Sc
0.13Y
0.01Ga
0.03Mg
0.015O
1.90
N4:Zr
0.815Sc
0.13Ga
0.04Mg
0.015O
1.90
【0078】
x=0では、イットリウムイオンは置換されておらず、ガリウムは存在せず、x=0.04では、すべてのイットリウムイオンが、ガリウムイオンで置換されている。
【0079】
さらなる態様において、スカンジア安定化ジルコニアに、酸化インジウムおよびセリアを共ドープすることができる。例示シリーズの組成物(「Oシリーズ」)を、式Zr
0.809Sc
0.182-xCe
0.009In
xO
2-d(式中0≦x≦0.164)で創出することができる。このシリーズはまた、Zr
0.809Sc
0.182-xCe
0.009In
xO
d(式中1.8≦d≦2および0≦x≦0.164)としても書くことができる。このシリーズの組成物においては、1:1の比でSc
3+イオンがIn
3+イオンに置換され、他方、ジルコニウム、セリウム、および酸素のレベルは一定のままである。Oシリーズの組成物についての親ドーパント材料は、10Sc
2O
3-1CeO
2であり得る。試料組成物は、Sc
2O
3を9モル%までのIn
2O
3で置換することにより(例えば、9Sc
2O
3-1In
2O
3-1CeO
2〜1Sc
2O
3-9In
2O
3-1CeO
2)、創出することができる。
【0080】
他の例示組成物を、11モル%より低い総ドーパント量で創出することができる。例えば、1つのシリーズの組成物を、少なくとも8モル%、例えば9モル%の総ドーパントで、式Zr
0.843Sc
0.0926-xCe
0.009In
0.0556+xO
2-d(式中0≦x≦0.0741)で創出することができる。このシリーズについての式はまた、Zr
0.843Sc
0.0926-xCe
0.009In
0.0556+xO
d(式中1.8≦d≦2および0≦x≦0.0741)としても書くことができる。このシリーズの組成物においては、1:1の比でSc
3+イオンがIn
3+イオンに置換され、他方、ジルコニウム、セリウム、および酸素のレベルは一定のままである。親ドーパント材料は、5Sc
2O
3-3In
2O
3-1CeO
2を含み得る。試料組成物は、Sc
2O
3を4モル%までのIn
2O
3で置換することにより(例えば、5Sc
2O
3-3In
2O
3-1CeO
2〜1Sc
2O
3-7In
2O
3-1CeO
2)、創出することができる。別の例において、あるシリーズの組成物(「Pシリーズ」)を、10モル%の総ドーパントで、式Zr
0.825Sc
0.110-xCe
0.009In
0.055+xO
2-d(式中0≦x≦0.0917)で創出することができる。Pシリーズについての式はまた、Zr
0.825Sc
0.110-xCe
0.009In
0.055+xO
d(式中1.8≦d≦2および0≦x≦0.0917)としても書くことができる。このシリーズの組成物においては、1:1の比でSc
3+イオンがIn
3+イオンに置換され、他方、ジルコニウム、セリウム、および酸素のレベルは一定のままである。親ドーパント材料は、6Sc
2O
3-3In
2O
3-1CeO
2であり得る。試料組成物は、Sc
2O
3を5モル%までのIn
2O
3で置換することにより(例えば、6Sc
2O
3-3In
2O
3-1CeO
2〜1Sc
2O
3-8In
2O
3-1CeO
2)、創出することができる。Pシリーズを作製するために使用され得るいくつかのx値は、0および0.018であり、それにより以下の組成物を創出する。
P0:Zr
0.825Sc
0.110Ce
0.009In
0.055O
1.92
P1:Zr
0.825Sc
0.092Ce
0.009In
0.073 O
1.92
【0081】
x=0では、追加のスカンジウムイオンは置換されておらず、存在するインジウムの量は、親ドーパント材料においてと同じである。
【0082】
他の態様の組成物を、14モル%までのような、11モル%よりも高い総ドーパント量で創出することができる。例えば、1つのシリーズの組成物(「Qシリーズ」)を、11.5モル%の総ドーパントで、式Zr
0.801Sc
0.10-xCe
0.009In
0.091+xO
2-d(式中0≦x≦0.082)で創出することができる。Qシリーズについての式はまた、Zr
0.801Sc
0.10-xCe
0.009In
0.091+xO
d(式中1.8≦d≦2および0≦x≦0.082)として書くこともできる。このシリーズの組成物においては、1:1の比でSc
3+イオンがIn
3+イオンに置換され、他方、ジルコニウム、セリウム、および酸素のレベルは一定のままである。親ドーパント材料は、5.5Sc
2O
3-5In
2O
3-1CeO
2であり得る。試料組成物は、Sc
2O
3を4.5モル%までのIn
2O
3で置換することにより(例えば、5.5Sc
2O
3-5In
2O
3-1CeO
2〜1Sc
2O
3-9.5In
2O
3-1CeO
2)、創出することができる。Qシリーズを作製するために使用され得るいくつかのx値は、0および0.010であり、それにより以下の組成物を創出する。
Q0:Zr
0.801Sc
0.10Ce
0.009In
0.091O
1.91
Q1:Zr
0.825Sc
0.091Ce
0.09In
0.10O
1.91
【0083】
x=0では、追加のスカンジウムイオンは置換されておらず、存在するインジウムの量は、親ドーパント材料においてと同じである。
【0084】
別の例において、あるシリーズの組成物(「Rシリーズ」)を、12モル%の総ドーパントで、式Zr
0.793Sc
0.110-xCe
0.009In
0.090+xO
2-d(式中0≦x≦0.09)で創出することができる。Rシリーズについての式はまた、Zr
0.793Sc
0.110-xCe
0.009In
0.090+xO
d(式中1.8≦d≦2および0≦x≦0.09)としても書くことができる。このシリーズの組成物においては、1:1の比でSc
3+イオンがIn
3+イオンに置換され、他方、ジルコニウム、セリウム、および酸素のレベルは一定のままである。親ドーパント材料は、6Sc
2O
3-5In
2O
3-1CeO
2であり得る。試料組成物は、Sc
2O
3を5モル%までのIn
2O
3で置換することにより(例えば、6Sc
2O
3-5In
2O
3-1CeO
2〜1Sc
2O
3-10In
2O
3-1CeO
2)、創出することができる。Rシリーズを作製するために使用され得るいくつかのx値は、0、0.009、および0.018であり、それにより以下の組成物を創出する。
R0:Zr
0.793Sc
0.110Ce
0.009In
0.090 O
1.90
R1:Zr
0.793Sc
0.101Ce
0.009In
0.099 O
1.90
R2:Zr
0.793Sc
0.092Ce
0.009In
0.108O
1.90
【0085】
x=0では、追加のスカンジウムイオンは置換されておらず、存在するインジウムの量は、親ドーパント材料においてと同じである。
【0086】
別の態様において、全体で12モル%のドーパントを有する、関連するシリーズの組成物(「R'シリーズ」)もまた、インジウムのみを共ドープし、セリウムまたはセリアを欠失しているスカンジア安定化ジルコニアで創出することができる。R'シリーズは、式Zr
0.786Sc
0.143-xIn
0.071+xO
2-d(式中0≦x≦0.125)を有し得る。R'シリーズについての式はまた、Zr
0.786Sc
0.143-xIn
0.071+xO
d(式中1.8≦d≦2および0≦x≦0.125)としても書くことができる。このシリーズの組成物においては、1:1の比でSc
3+イオンがIn
3+イオンに置換され、他方、ジルコニウムおよび酸素のレベルは一定のままである。親ドーパント材料は、8Sc
2O
3-4In
2O
3であり得る。試料組成物は、Sc
2O
3を7モル%までのIn
2O
3で置換することにより(例えば、8Sc
2O
3-4In
2O
3〜1Sc
2O
3-11In
2O
3)、創出することができる。Rシリーズを作製するために使用され得るいくつかのx値は、0および0.036であり、それにより以下の組成物を創出する。
R'0:Zr
0.786Sc
0.143In
0.071O
1.89
R'1:Zr
0.786Sc
0.107In
0.107O
1.89
【0087】
x=0では、追加のスカンジウムイオンは置換されておらず、存在するインジウムの量は、親ドーパント材料においてと同じである。x=0.036では、インジウムおよびスカンジウムの量は、ドーパント材料においてと同等である。
【0088】
別の例において、13モル%の総ドーパントを有するあるシリーズの組成物(「Sシリーズ」)を、酸化インジウムおよびセリアを共ドープしたスカンジア安定化ジルコニアを用いて創出することができる。Sシリーズは、式Zr
0.777Sc
0.107-xCe
0.009In
0.107+xO
2-d(式中0≦x≦0.089)を有し得る。Sシリーズについての式はまた、Zr
0.777Sc
0.107-xCe
0.009In
0.107+xO
d(式中1.8≦d≦2および0≦x≦0.089)としても書くことができる。このシリーズの組成物においては、1:1の比でSc
3+イオンがIn
3+イオンに置換され、他方、ジルコニウム、セリウム、および酸素のレベルは一定のままである。親ドーパント材料は、6Sc
2O
3-6In
2O
3-1CeO
2であり得る。試料組成物は、Sc
2O
3を5モル%までのIn
2O
3で置換することにより(例えば、6Sc
2O
3-6In
2O
3-1CeO
2〜1Sc
2O
3-11In
2O
3-1CeO
2)、創出することができる。Sシリーズを作製するために使用され得るいくつかのx値は、0および0.018であり、それにより以下の組成物を創出する。
S0:Zr
0.777Sc
0.107Ce
0.009In
0.090 O
1.87
S1:Zr
0.793Sc
0.101Ce
0.009In
0.099 O
1.87
【0089】
別の態様において、全体で13モル%のドーパントを有する、関連するシリーズの組成物(S'シリーズ)もまた、インジウムのみを共ドープしたスカンジア安定化ジルコニアで創出することができる。S'シリーズは、式Zr
0.770Sc
0.142-xIn
0.088+xO
2-d(式中0≦x≦0.125)を有し得る。S'シリーズについての式はまた、Zr
0.770Sc
0.142-xIn
0.088+xO
d(式中1.8≦d≦2および0≦x≦0.125)としても書くことができる。このシリーズの組成物においては、1:1の比でSc
3+イオンがIn
3+イオンに置換され、他方、ジルコニウムおよび酸素のレベルは一定のままである。親ドーパント材料は、8Sc
2O
3-5In
2O
3であり得る。試料組成物は、Sc
2O
3を7モル%までのIn
2O
3で置換することにより(例えば、8Sc
2O
3-5In
2O
3〜1Sc
2O
3-12In
2O
3)、創出することができる。
【0090】
図19A〜
図19Cは、Oシリーズ、Pシリーズ、Qシリーズ、Rシリーズ、およびSシリーズの試料組成物について、直流伝導率の変動を示すグラフである。
図19Aは、スカンジウム含量が7.2原子%から18.2原子%まで変動する、離散整数のスカンジウム含量(原子% Sc
3+として測定)の関数として、これらのシリーズにおける試料組成物の直流伝導率を示す。
図19Bは、インジウム含量が0原子%から10.9原子%まで変動する、インジウム含量(原子% In
3+として測定)の関数として、試料組成物の直流伝導率の変動を示す。
図19Cは、インジウム含量に対するスカンジウム含量の比の関数として、試料組成物の直流伝導率の変動を示す(ドーパント組成物が0%の酸化インジウムを有するOシリーズ試料を除く)。
【0091】
データプロットにより示されるように、試料の直流伝導率は、80 mS/cm〜220 mS/cmの間の値であり得る。データプロットによりまた示されるように、少なくとも215 mS/cm、例えば215〜220 mS/cmのピーク直流伝導率レベルが、おおよそZr
0.809Sc
0.163Ce
0.009In
0.018O
1.9の試料式を有する、約16.3原子%スカンジウム、および約1.8原子%インジウムを含む試料において、Oシリーズ中で達成され得る。ピーク直流伝導率レベルでのスカンジウムおよびインジウムの量は、9モル% Sc
2O
3、1モル% In
2O
3、および1モル% CeO
2のドーパント材料に対応する。従って、Oシリーズのこのシリーズは、式Zr
1-w-y-zSc
wCe
zIn
yO
d(式中、0.072≦w≦0.182、0≦y≦0.1098、0.008≦z≦0.1、および1.8≦d≦2)を有するとして記載することができる。1つの態様において、スカンジウムイオン濃度(w)は、w=0.182 - yを特徴とすることができ、セリウムイオン濃度(z)は、z=0.009を特徴とすることができる。別の態様において、インジウムイオン濃度(y)は、y=0.018を特徴とすることができる。
【0092】
図20Aおよび
図20Bは、上記で議論された特性を有し得るスカンジア安定化ジルコニア組成物の種々の例示シリーズについて、直流伝導率の結果の概要を示すグラフである。
図20Aは、離散整数のスカンジウム含量(原子% Sc
3+として測定)の関数として、これらのシリーズにおける試料組成物の直流伝導率を示す。
図20Bは、酸素化学量論組成の関数として、これらのシリーズにおける試料組成物の直流伝導率を示す。
【0093】
図21は、態様BシリーズおよびHシリーズの、マグネシアをドープしたスカンジア安定化ジルコニアの試料高伝導率組成物を示す三元相図である。
【0094】
スカンジア安定化ジルコニア組成物の種々の例示シリーズにおいて実証されるように、BシリーズおよびHシリーズの組成物は、高い相対伝導率を有し得る。例えば、試料B1.5組成物は、232 mS/cmの直流伝導率を有し得る。別の例において、試料H2組成物およびH1組成物は、それぞれ、199mS/cmおよび171mS/cmの直流伝導率を有し得る。
【0095】
別の例において、試料K2組成物は、145mS/cmの相対的に高い伝導率を有し得る。別の例において、試料L2組成物もまた、145 mS/cmの相対的に高い伝導率を有し得る。別の例において、In
2O
3をドープした組成物は、約195mS/cmの相対的に高い伝導率を有し得る。
【0096】
上記の組成物を、固体酸化物燃料電池電解質のために使用することができる。電解質は、一方の側のアノード電極(例えば、ニッケルおよび安定化ジルコニアおよび/またはドープセリアサーメット)ならびに反対側のカソード電極(例えば、ランタンストロンチウムマンガナート)と共に成形された平板であってもよい。電解質、アノード電極およびカソード電極を含む燃料電池は、燃料電池スタック中に配置されてもよい。本明細書において使用される「燃料電池スタック」という用語は、共通の空気および燃料の入口および排出通路、マニホールド、またはライザーを共有し得る、インターコネクトにより分離されている複数の積層された燃料電池を意味する。本明細書において使用される「燃料電池スタック」は、電力調整装置に接続されている2個のエンドプレートおよびスタックの電力(すなわち電気)の出力を含む別個の電気実体を含む。従って、いくつかの構成においては、そのような別個の電気実体からの電力の出力を、他のスタックとは別々に制御することができる。本明細書において使用される「燃料電池スタック」という用語はまた、別個の電気実体の一部を含む。例えば、スタックは、同じエンドプレートを共有してもよい。この場合には、スタックは、カラムなどの別個の電気実体を連帯的に含む。この場合には、両方のスタックからの電力の出力を、別々に制御することはできない。
【0097】
上記の組成物を表す式は、本発明の範囲を特定の原子パーセンテージまたはモルパーセンテージに限定するようには意図されないが、関連する組成物の種々のシリーズの開示を促進するために提供される。例えば、「O
2-d」または「O
d」のような酸素の表示は、例えば、ドーピングの総量、組成物中のカチオンの原子価などに依存し得る、可変量の酸素を提供する。上記で議論された組成物のシリーズにおいて存在し得る酸素の例示量は、非限定的に、以下を含む:Pシリーズにおいて1.92原子%酸素;Qシリーズにおいて1.91原子%酸素、Rシリーズにおいて1.90原子%酸素;R'シリーズにおいて1.89原子%酸素;およびSシリーズにおいて1.87原子%酸素。
【0098】
本発明の前述の説明は、例証および説明の目的で呈示されている。これは、網羅的であること、または本発明を開示された正確な形態に限定することを意図されておらず、修飾および変動が、上記の教示を考慮して可能であり、または本発明の実施から獲得されてもよい。説明は、本発明の原理およびその実際の応用を明らかにするために選択された。本発明の範囲は、本明細書に添付されている特許請求の範囲およびその同等物により定義されることが、意図される。