(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6649508
(24)【登録日】2020年1月20日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】テルル酸塩結晶成長方法及びその音響光学デバイス
(51)【国際特許分類】
C30B 29/46 20060101AFI20200210BHJP
C30B 19/02 20060101ALI20200210BHJP
H01S 3/16 20060101ALI20200210BHJP
G02F 1/11 20060101ALI20200210BHJP
【FI】
C30B29/46
C30B19/02
H01S3/16
G02F1/11 501
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-554742(P2018-554742)
(86)(22)【出願日】2017年9月30日
(65)【公表番号】特表2019-513684(P2019-513684A)
(43)【公表日】2019年5月30日
(86)【国際出願番号】CN2017104972
(87)【国際公開番号】WO2018129962
(87)【国際公開日】20180719
【審査請求日】2018年10月18日
(31)【優先権主張番号】201710021372.6
(32)【優先日】2017年1月12日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】594196624
【氏名又は名称】山東大学
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】陶 緒堂
(72)【発明者】
【氏名】盧 偉群
(72)【発明者】
【氏名】高 沢亮
(72)【発明者】
【氏名】孫 友軒
(72)【発明者】
【氏名】呉 倩
【審査官】
井上 政志
(56)【参考文献】
【文献】
特表昭61−502423(JP,A)
【文献】
NOGUERA O.et al.,Refinement of the Crystal Strucutre of Zirconium Tritelluate (IV), ZrTe3O8,Z.Kristallogr. NCS,2003年 8月26日,218(2003),293-294
【文献】
SAKIDA Shinichi et al.,Part 1. 125Te NMR study of tellurite crystals,Journal of Non-Crystalline Solids,1998年 9月18日,243(1999),1-12
【文献】
GHRIBI N. et al.,X-ray powder diffraction and Raman vibrational study of new doped compound TiTe3O8:Ce4+,J. Mater. Environ. Sci.,2015年 1月 5日,6(4)(2015),989-996
【文献】
YU Hongtao et al.,Ultra-low sintering temperature ceramics for LTCC applications: a review,J Mater Sci: Mater Electron,2015年 6月10日,(2015)26,9414-9423
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B1/00−35/00
G02F1/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式MTe3O8(M=Ti、Zr、Hf)で表され、立方晶系のIa-3空間群に属し、可視光から赤外線にかけての透過波長帯を有し、透明度が70%以上であり、
長さ20mm以上、厚さ10mm以上に結晶成長させられたテルル酸塩単結晶を、
音響光学結晶として備える
ことを特徴とする音響光学デバイス。
【請求項2】
上記テルル酸塩結晶に希土類元素(Re)をドープしてもよく、上記希土類元素のドープ量がモル比で0<Re/M≦1に制御され、前記モル比が5%であることが好ましく、前記希土類元素をドープしたテルル酸塩結晶はMTe3O8(M=Ti、Zr、Hf)である
請求項1に記載の音響光学デバイス。
【請求項3】
上記希土類元素がLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及び/又はLuである
請求項2に記載の音響光学デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載のテルル酸塩結晶を成長させる方法であって、
(1)原料としてMO2(M=Ti、Zr、Hf)とTeO2とをMTe3O8化学量論比で配合し、均一に混合させたものをタブレットにし、そのタブレットを500〜650℃で20〜40時間焼結し、冷却し、研磨した後、600〜700℃で20〜40時間焼結し、単一相のテルル酸塩多結晶を得、該単一相のテルル酸塩多結晶をフラックス系中に添加して、結晶成長用物質を得たか、あるいは、原料としてMO2(M=Ti、Zr、Hf)とTeO2とをMTe3O8化学量論比で配合したものを、そのままフラックス系中に添加し、均一に混合させて、結晶成長用物質を得たという工程と、
(2)工程(1)で得られた結晶成長用物質を、白金製るつぼに入れ、急速昇温して完全に溶解させ、均一になるまで十分に攪拌し、温度を徐々に降下して結晶を自発的に核となって成長させるか、あるいは、工程(1)で得られた結晶成長用物質を、白金製るつぼに入れ、急速昇温して完全に溶解させ、均一になるまで十分に攪拌し、温度を溶融液の飽和点になるまで徐々に降下した後、テルル酸塩の種結晶を送り込み、結晶成長を行い、温度を徐々に降下して結晶を成長させるという工程とを含み、
上記フラックス系は、(a)TeO2、(b)A2CO3とTeO2とのモル比が2:(1〜5)であるA2CO3-TeO2(A=Li、Na、K、Rb及び/又はCs)、(c)MoO3、(d)B2O3、(e)PbO-B2O3からなる群のうちいずれか1つであり、
上記テルル酸塩とフラックス系とのモル比が1:(1〜5)であり、
上記結晶を成長させる温度が750〜900℃であり、冷却速度が0.01〜5℃/hであるフラックス法である
ことを特徴とするテルル酸塩結晶を成長させる方法。
【請求項5】
工程(2)におけるテルル酸塩結晶成長の条件は、回転速度が5〜50rdであり、加速時間が1〜10sであり、作業時間が30〜180sであり、間隔時間が5〜50sである
請求項4に記載のテルル酸塩結晶を成長させる方法。
【請求項6】
工程(2)におけるテルル酸塩結晶成長の冷却法は、0.01〜4℃/hの速度で750〜850℃まで冷却し、成長周期を40〜70日とするものである
請求項4に記載のテルル酸塩結晶を成長させる方法。
【請求項7】
前記工程(1)において、希土類元素材料Re2O3とMO2(M=Ti、Zr、Hf)とTeO2とを配合して希土類元素をドープした結晶成長用物質を得、前記工程(2)により成長させて希土類元素をドープしたテルル酸塩結晶を得る
請求項4に記載のテルル酸塩結晶を成長させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テルル酸塩結晶及びその成長方法と使用に関し、結晶材料という技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
音響光学効果とは、超音波によって媒体の屈折率を変化させ、時間と空間に伴って周期的に変化する分布を形成し、これが位相格子に相当し、入射レーザーが超音波によって変調された媒体を通過すると回折され、その回折されたレーザーの周波数、強度、方向などが超音波の変化に伴って変化する現象を指す。
【0003】
20世紀30年代初頭に、デバイらは実験により音響光学効果を論証したが、その時には、用いられる音響光学相互作用媒体は通常、等方性のもの、例えば、水とガラスであり、光は普通な非コヒーレント光源である。このような音響光学相互作用により引き起こされる光強度と光方向の変化は、無視されてもよく、且つ実用的な価値があまりないことを考慮するため、十分に重視されていない。
【0004】
20世紀60年代に至るまで、世界中で最初の固体ルビーレーザーの誕生以来、人々は音響光学相互作用の理論研究と用途開発を重視して力を注ぐようになってきた。レーザーおよびマイクロエレクトロニクス技術の急速な発展、特に性能に優れた超音波遅延線の出現に伴い、音響光学デバイスの急速な発展が促進されている。目下、音響光学デバイスは、レーザービームの変調に幅広く用いられているだけでなく、時間領域及び周波数領域における高密度、高帯域幅のリアルタイム信号処理においても世間に注目される素晴らしい成果をあげ、新興信号処理技術(音響光学信号処理技術)は徐々に形成及び発展されてきた。しかし、音響光学信号処理技術が一層幅広く応用されるために、依然として音響光学デバイスの性能をさらに向上させる必要がある。これは、音響光学デバイスの設計方法を改善することだけでなく、さらに重要なこととして、性能に優れた新規音響光学材料を開発することを頼りにする。
好適な音響光学材料は、以下の性質を具備すべきである。1、フィギュア・オブ・メリットが高いこと(回折光パワーはフィギュア・オブ・メリットに正比例する);2、音響減衰が低いこと;3、透過波長帯が広く、透明度が高く、入射レーザー光と回折レーザー光の双方に対して良好な透過性を有すること;4、レーザー損傷閾値が高く、強レーザー下でも材料は欠陥が生じにくいこと;5、大寸法且つ高光学品質の結晶を得やすいこと;6、物理的及び化学的特性が安定で、潮解、分解しにくいこと;7、加工しやすく、且つ低価であることなど。
【0005】
なお、レーザー結晶は、軍事、工業、通信、医療のような広範なニーズがある幅広い分野において重要なものである。全固体レーザーの動作特性が全固体レーザーの核心部分であるレーザー結晶の結晶特性によって決まる。
【0006】
また、従来から、多機能複合結晶材料が求められている。レーザー自己Q切替結晶とは音響光学Q切替特性とレーザー特性とを結び付けることができる、複合全固体レーザーの運転損耗を低減し、複合全固体レーザーの作業能率を向上させることができる結晶材料を指す。したがって、レーザー自己Q切替結晶は高効率かつコンパクトなマイクロ型複合全固体レーザーを製造するために望ましい材料である。
【0007】
そのため、優れた音響光学性能とレーザー性能とを有する結晶を求めることがやらずには済まない。TeO
2結晶は広い透過率範囲と高いフィギュア・オブ・メリットを有することとMO
2(M=Ti、Zr、Hf)結晶は低い音響減衰、優れた熱的性質、高い化学的安定性を有することに鑑み、本発明は上記両者を結合してなるテルル酸塩結晶を新規な優れた高周波音響光学材料とすることができる。また、テルル酸塩結晶は広い透過波長帯と低いフォノンエネルギーを有するため、優れたレーザー結晶、特に優れたレーザー自己Q切替結晶とすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記先行技術の不足に鑑みて、本発明は、新規なテルル酸塩結晶を提供すると共に、テルル酸塩結晶の成長方法及び当該結晶の使用を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に記載の結晶は、多結晶であると特に記載した場合を除き、単結晶として解釈されるべきである。
本願に係る発明は、以下の通りである。
【0010】
化学式MTe
3O
8(M=Ti、Zr、Hf)で表され、立方晶系のIa-3空間群に属し、可視光から赤外線にかけての透過波長帯を有し、透明度が70%以上であるテルル酸塩結晶。
【0011】
本発明においては、上記テルル酸塩結晶に希土類元素(Re)をドープすることが好ましく、上記希土類元素のドープ量は、モル比で、0<Re/M≦1に制御され、より好ましくは、5%であり;希土類元素をドープしたテルル酸塩結晶の化学式は、Re:MTe
3O
8(M=Ti、Zr、Hf)であり;
上記希土類元素は、さらに好ましくは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及び/又はLuである。
本発明においては、上記透過波長帯は、好ましくは、300〜6500nmである。
【0012】
本発明においては、上記テルル酸塩結晶の成長方法としては、フラックス法、チョクラルスキー法またはブリッジマン―ストックバッガー法を用いることが出来る。
【0013】
(1)原料としてMO
2(M=Ti、Zr、Hf)とTeO
2とをMTe
3O
8化学量論比で配合し、均一に混合させたものをタブレットにし、該タブレットを500〜650℃で20〜40時間焼結し、冷却し、研磨した後、600〜700℃で20〜40時間焼結し、単一相のテルル酸塩多結晶を得、該単一相のテルル酸塩多結晶をフラックス系中に添加して、結晶成長用物質を得たか、あるいは、原料としてMO
2(M=Ti、Zr、Hf)とTeO
2とをMTe
3O
8化学量論比で配合したものを、そのままフラックス系中に添加し、均一に混合させて、結晶成長用物質を得たという工程と、
【0014】
(2)工程(1)で得られた結晶成長用物質を、白金製るつぼに入れ、急速昇温して完全に溶解させ、均一になるまで十分に攪拌し、温度を徐々に降下して結晶を自発的に核となって成長させるか、あるいは、工程(1)で得られた結晶成長用物質を、白金製るつぼに入れ、急速昇温して完全に溶解させ、均一になるまで十分に攪拌し、温度を溶融液の飽和点になるまで徐々に降下した後、テルル酸塩の種結晶を送り込み、結晶変換を行い、温度を徐々に降下して結晶を成長させるという工程とを含み、
【0015】
上記フラックス系は、(a)TeO
2、(b)M
2CO
3とTeO
2とのモル比が2:(1〜5)であるA
2CO
3-TeO
2(A=Li、Na、K、Rbまたは/およびCs)、(c)MoO
3、(d)B
2O
3、(e)PbO-B
2O
3からなる群のうちいずれか1つであり、これらに限られず;
上記テルル酸塩とフラックス系とのモル比が1:(1〜5)であり;
上記結晶成長温度が750〜900℃であり、冷却速度が0.01〜5℃/hであるフラックス法により結晶を成長させる本発明のテルル酸塩結晶の成長方法。
【0016】
本発明のテルル酸塩結晶の成長方法においては、好ましくは、工程(2)におけるテルル酸塩結晶成長の結晶変換パラメーターは、回転速度が5〜50rdであり、加速時間が1〜10sであり、作業時間が30〜180sであり、間隔時間5〜50sである。
【0017】
本発明のテルル酸塩結晶の成長方法においては、好ましくは、工程(2)におけるテルル酸塩結晶成長の冷却法は、0.01〜4℃/hの速度で750〜850℃まで冷却し、成長周期を40〜70日とするものである。
本発明においては、得られたテルル酸塩単結晶は、長さが20mm以上であり、厚さが10mm以上である。
本発明においては、チョクラルスキー法、ブリッジマン―ストックバッガー法などの溶融法を用いて結晶を成長させてもよく、先行技術に従えばよい。
【0018】
本発明のテルル酸塩結晶の成長方法においては、好ましくは、工程(1)において希土類元素材料Re
2O
3とMO
2(M=Ti、Zr、Hf)とTeO
2とを割合で配合し、希土類元素をドープした結晶成長用物質を得、工程(2)により成長させて希土類元素をドープしたテルル酸塩結晶を得る。
【0019】
本発明においては、音響光学結晶としての上記テルル酸塩結晶は光学変調デバイスの製作に用いられるものであり;より好ましくは、上記光学変調デバイスは、音響光学変調器、音響光学偏向器または音響光学Q切替器である。
好ましくは、上記テルル酸塩結晶は、さらに以下の用途を有する。
テルル酸塩結晶のレーザー基板材料としての使用;
テルル酸塩結晶のラマンレーザー結晶としての使用;
テルル酸塩結晶の窓材料としての使用;
テルル酸塩結晶のプリズム材料としての使用;
テルル酸塩結晶の単結晶基板としての使用;
テルル酸塩結晶の誘電媒質としての使用;
テルル酸塩結晶の絶縁材料としての使用;
テルル酸塩結晶の触媒材料としての使用;
テルル酸塩結晶の高エネルギ粒子検出用材料としての使用が挙げられる。
【0020】
本発明における結晶を成長させるために用いられる方法は所要の成長条件が簡便で且つ容易に実施されるものであり;得られたセンチメートルオーダーのテルル酸塩単結晶は、配向処理及び固有特性テストという需要を十分に満たすものであり;また、本発明における結晶を成長させるために用いられる化学原料は、いずれも市場から直接に安価で購入することができるものである。
【0021】
本発明の方法により成長させて得たテルル酸塩単結晶は、実験的な粉末X線回折パターンが、理論計算により得られた標準粉末X線回折パターンと一致する点からすれば、成長した結晶が立方晶系のテルル酸塩結晶であることが明らかになっている。
【発明の効果】
【0022】
1.先行技術では、テルル酸塩結晶の構造のみに限られるのに対し、本発明では、国際的に率先してサイズと質量とがいずれも実用化を十分に満たすテルル酸塩単結晶を育成できる。
2.成長して得た大寸法及び高品質を有するテルル酸塩単結晶を対象にその重要な固有特性を包括的に測定した結果、広範な応用の見込みが見出された。
【0023】
3.本発明におけるテルル酸塩単結晶は、安定な物理的及び化学的特性を有し、耐潮解性及び耐分解性をも有する。また、関連の産業用途に適するために、結晶の成長周期は実用的なニーズに応じて調整されて実際に必要なサイズに適するテルル酸塩を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明実施例1における成長したテルル酸チタン多結晶の実験的な粉末X線回折パターンと理論計算により得られた結果とを示す(aは実験的な粉末X線回折パターンであり、bは理論計算により得られた結果である)。
【
図2】実施例1で調製されたテルル酸チタンの種結晶の写真
【
図3】実施例2で調製されたテルル酸チタンの単結晶の写真
【
図4】実施例3で調製されたテルル酸チタンの単結晶の写真
【
図5】実施例4で調製されたテルル酸チタンの単結晶の写真
【
図8】典型的なレーザー自己Q切替結晶の運転模式図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、具体的な実施例により本発明に係る発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限られない。
【0026】
<実施例1:テルル酸チタン種結晶の成長>
原料としてTiO
2とTeO
2とをTiTe
3O
8化学量論比で配合したものを、フラックス系Li
2CO
3-TeO
2(Li
2CO
3とTeO
2とのモル比が2:3である)中に添加し、テルル酸チタンとフラックス系とのモル比が1:3であり、それを体積Φ50mm×70mmの白金製るつぼに入れ、980℃まで急速昇温して原料を完全に溶解させ、均一になるまで十分に攪拌した後、白金棒を送り込み、結晶変換を行い、温度を溶融液の飽和点になるまで0.55℃/hの冷却速度で徐々に降下し、5日間の成長周期で成長させた後、種結晶棒を取り出して、オレンジ色の多結晶を得た(
図2に示される)。その実験的な粉末X線回折パターンを測定した結果、理論計算により得られたものと一致すること(
図1に示される)からすれば、得られたのが立方晶系のテルル酸チタン結晶であることが明らかになった。その中から品質の比較的良好な微小単結晶をサイズの比較的大きな結晶を成長させるための種結晶として選び取った。
【0027】
<実施例2:テルル酸チタン単結晶の成長>
原料としてTiO
2とTeO
2とをTiTe
3O
8化学量論比で配合したものを、フラックス系Li
2CO
3-TeO
2(Li
2CO
3とTeO
2とのモル比が2:3である)中に添加し、テルル酸チタンとフラックス系とのモル比が1:3であり、それを体積Φ50mm×70mmの白金製るつぼに入れ、980℃まで急速昇温して原料を完全に溶解させ、均一になるまで十分に攪拌し、温度を溶融液の飽和点になるまで徐々に降下し、実施例1で得られた微小単結晶を種結晶として冷却速度が0.25℃/hであり、且つ成長周期が10日間であるという成長条件下で結晶を成長させ、オレンジ色の塊状単結晶(
図3に示される)を得た。その実験的な粉末X線回折パターンを測定した結果、理論計算により得られたものと一致することからすれば、得られたのが立方晶系のテルル酸チタン結晶であることが明らかになった。
【0028】
実施例2で得られたテルル酸チタン単結晶を配向処理により所要サイズのウェーハとし、その透過スペクトルを測定した結果、広い透過波長帯(480〜6000nm)を有することが示された。
この結晶を大気中で6ヶ月放置した結果、潮解及び分解が生じないから、この結晶の物理的及び化学的特性が安定であることが明らかになった。
【0029】
<実施例3:テルル酸チタン単結晶の成長>
原料としてTiO
2とTeO
2とをTiTe
3O
8化学量論比で配合したものを、フラックス系Li
2CO
3-TeO
2(Li
2CO
3とTeO
2とのモル比が2:3である)中に添加し、テルル酸チタンとフラックス系とのモル比が1:3であり、それを体積Φ50mm×70mmの白金製るつぼに入れ、980℃まで急速昇温して原料を完全に溶解させ、均一になるまで十分に攪拌し、温度を溶融液の飽和点になるまで徐々に降下し、[100]方向の結晶を種結晶として冷却速度が0.06℃/hであり、且つ成長周期が20日間であるという成長条件下で結晶を成長させ、オレンジ色の塊状単結晶(
図4に示される)を得た。その実験的な粉末X線回折パターンを測定した結果、理論計算により得られたものと一致することからすれば、得られたのが立方晶系のテルル酸チタン結晶であることが明らかになった。
【0030】
<実施例4:テルル酸チタン単結晶の成長>
原料としてTiO
2とTeO
2とをTiTe
3O
8化学量論比で配合したものを、フラックス系TeO
2中に添加し、テルル酸チタンとフラックス系のモル比が1:3であり、それを体積Φ50mm×70mmの白金製るつぼに入れ、1080℃まで急速昇温して原料を完全に溶解させ、均一になるまで十分に攪拌し;温度を溶融液の飽和点になるまで徐々に降下し、[100]方向の結晶を種結晶として温度降下速度が0.05℃/hであり、且つ成長周期が40日間であるという条件下で結晶を成長させ、塊状単結晶(
図5に示される)を得た。その実験的な粉末X線回折パターンを測定した結果、理論計算により得られたものと一致することからすれば、得られたのが立方晶系のテルル酸チタン結晶であることが明らかになった。
【0031】
<実施例5:Yb:TiTe
3O
8単結晶の成長>
原料としてTiO
2とTeO
2とをTiTe
3O
8化学量論比で配合したものを、Yb
2O
3と共にフラックス系TeO
2中に添加し、Yb
2O
3とTiO
2とのモル比が0.05:1であり、テルル酸チタンとフラックス系とのモル比が1:3であり、それを体積Φ50mm×70mmの白金製るつぼに入れ、1100℃まで急速昇温して原料を完全に溶解させ、均一になるまで十分に攪拌し、温度を溶融液の飽和点になるまで徐々に降下し、[100]方向の結晶を種結晶として冷却速度が0.04℃/hであり、且つ成長周期が50日間であるという条件下で結晶を成長させ、Yb:TiTe
3O
8塊状単結晶を得た。
【0032】
<実施例6:テルル酸チタン単結晶の音響光学結晶としての使用>
実施例3で成長して得られたテルル酸チタン単結晶を用いて音響光学用Qスイッチデバイスを作製し、運転模式図は
図6に示される。1はレーザーダイオードであり、その出力光は集束系2によりNd:YVO
4/Nd:YAGレーザー結晶3に集中される。共振空洞は平凹の構造を採用し、音響光学媒体5はテルル酸チタン単結晶を採用した。
【0033】
<実施例7:Yb:TiTe
3O
8単結晶のレーザー結晶としての使用>
実施例5で成長して得られたYb:TiTe
3O
8単結晶を用いてレーザーデバイスを作製し、運転模式図は
図7に示される。7はレーザーダイオードであり、その出力光は集束系8によりYb:TiTe
3O
8レーザー結晶10に集中される。
【0034】
<実施例8:Yb:TiTe
3O
8単結晶のレーザー自己Q切替結晶としての使用>
実施例5で成長して得られたYb:TiTe
3O
8単結晶を用いてレーザー自己Qスイッチレーザーデバイスを作製し、運転模式図は
図8に示される。12はレーザーダイオードであり、その出力光は集束系13によりYb:TiTe
3O
8レーザー自己Q切替結晶15に集中される。共振空洞は平凹の構造を採用した。
【0035】
<実施例9:テルル酸ジルコニウム単結晶の成長>
原料としてZrO
2とTeO
2とをZrTe
3O
8化学量論比で配合したものを、フラックス系TeO
2中に添加し、テルル酸ジルコニウムとフラックス系のモル比が1:4であり、それを体積Φ50mm×70mmの白金製るつぼに入れ、急速昇温して原料を完全に溶解させ、均一になるまで十分に攪拌し、温度を溶融液の飽和点になるまで徐々に降下し、[100]方向の結晶を種結晶として温度降下速度が0.02℃/hであり、且つ成長周期が40日間であるという条件下で結晶を成長させ、テルル酸ジルコニウム単結晶を得た。その実験的な粉末X線回折パターンを測定した結果、理論計算により得られたものと一致することからすれば、得られたのが立方晶系的テルル酸ジルコニウム単結晶であることが明らかになった。
【0036】
<実施例10:テルル酸ハフニウム単結晶の成長>
原料としてHfO
2とTeO
2とをHfTe
3O
8化学量論比で配合したものを、フラックス系Li
2CO
3-TeO
2(Li
2CO
3とTeO
2とのモル比が2:3である)中に添加し、テルル酸ハフニウムとフラックス系とのモル比が1:4であり、それを体積Φ50mm×70mmの白金製るつぼに入れ、急速昇温して原料を完全に溶解させ、均一になるまで十分に攪拌し、温度を溶融液の飽和点になるまで徐々に降下し、[100]方向の結晶を種結晶として温度降下速度が0.02℃/hであり、且つ成長周期が60日間であるという条件下で結晶を成長させ、テルル酸ハフニウム単結晶を得た。その実験的な粉末X線回折パターンを測定した結果、理論計算により得られたものと一致することからすれば、得られたのが立方晶系的テルル酸ハフニウム単結晶であることが明らかになった。
【符号の説明】
【0037】
1、7及び12 レーザーダイオード
2、8及び13 集束系
3、14 凹面鏡
4 Nd:YVO
4/Nd:YAGレーザー結晶
5 TiTe
3O
8音響光学媒体
6、9、11及び16 平面鏡
10 Yb:TiTe
3O
8レーザー結晶
15 Yb:TiTe
3O
8レーザー自己Q切替結晶