特許第6649711号(P6649711)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6649711
(24)【登録日】2020年1月21日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】板ばねを備える電磁弁
(51)【国際特許分類】
   F16F 1/32 20060101AFI20200210BHJP
   F16K 31/06 20060101ALI20200210BHJP
   F16F 1/02 20060101ALI20200210BHJP
【FI】
   F16F1/32
   F16K31/06 305S
   F16F1/02 B
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-136430(P2015-136430)
(22)【出願日】2015年7月7日
(65)【公開番号】特開2016-17636(P2016-17636A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2018年5月21日
(31)【優先権主張番号】10 2014 109 517.0
(32)【優先日】2014年7月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510247618
【氏名又は名称】エスファオエム シュルツ フェアヴァルトゥングス−ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SVM Schultz Verwaltungs−GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ロバート、ミュレル
(72)【発明者】
【氏名】マリオ、シュワイガト
【審査官】 熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−187571(JP,A)
【文献】 実開平04−034566(JP,U)
【文献】 特開2009−091934(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102013203711(DE,A1)
【文献】 特開昭50−000420(JP,A)
【文献】 米国特許第05758865(US,A)
【文献】 実開昭51−035704(JP,U)
【文献】 特表2007−508503(JP,A)
【文献】 特開平02−221669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 1/00− 6/00
F16K 31/06−31/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁弁開口部と管路とを閉鎖するシール部材として使用する円盤状の板ばねの製造方法であって、前記板ばねが、半径方向の外側にシール部分を有するとともに、半径方向の内側に複数のスプリングアームを有しており、前記板ばねにおいて前記スプリングアームが打抜きされ、前記シール部分が打抜きプロセス中にプレス及び/又は成形されながら構造化される、方法。
【請求項2】
打抜きした後に前記板ばねを熱処理すること、及び/又は前記シール部分にシールリップによって形成される縁部シール輪郭ができるように、前記打抜きプロセス中に前記シール部分が構造化されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
電磁弁(100)のシール部材として使用する板ばねであり、請求項1又は2による方法によって製造された板ばね
【請求項4】
半径方向の外側シールリングの形で形成されているシール部分(210)を有し、半径方向の内側には複数のスプリングアーム(222、224、226)を有している、電磁弁(100)の開口部と管路とを閉鎖するシール部材として使用する板ばねであり、該板ばね(200)は、さらにいくつかの端部又は全ての端部に沿って打抜き端部を有しており前記スプリングアームがそれぞれ打抜き端部によって境界されている、板ばね
【請求項5】
前記板ばね1.5mm〜2.5mmの板厚を有していること、及び/又は前記板ばね防錆のオーテスナイト系クロム‐ニッケル鋼から形成されていることを特徴とする、請求項3又は4に記載の板ばね
【請求項6】
前記板ばねが内部リング(230)を有しており、半径方向の内側では前記内部リングまで前記スプリングアーム(222、224、226)が通じており、前記内部リングは電磁弁(100)のアンカーロッド(150)ホルダに前記板ばね(200)を取り付けるための穴(240)を有していること、及び/又は前記スプリングアーム(222、224、226)がほぼらせん形に配置されていること、及び/又は前記板ばねが、3つ、4つ、5つ又はそれより多い数の前記スプリングアーム(222、224、226)を有していることを特徴とする、請求項3〜5のいずれか一項に記載の板ばね
【請求項7】
前記スプリングアーム(222、224、226)の平面方向の幅が、それぞれ、前記スプリングアームの厚さと同じか、それよりも大きい幅を有していることを特徴とする、請求項3〜6のいずれか一項に記載の板ばね
【請求項8】
隣接する前記スプリングアーム間に挟まれた中間スペースの幅が、それぞれ、前記スプリングアーム(222、224、226)の厚さと同じか、それよりも大きい幅を有していることを特徴とする、請求項3〜7のいずれか一項に記載の板ばね
【請求項9】
前記板ばねばね鋼から製造されており、前記スプリングアーム(222、224、226)の平面方向の幅及び/又は隣接する前記スプリングアーム(222、224、226)間に挟まれた中間スペースの幅が、それぞれ、前記スプリングアーム(222、224、226)の厚さの少なくとも90%にあたる幅を有していることを特徴とする、請求項3〜8のいずれか一項に記載の板ばね
【請求項10】
前記シール部分(210)が、環状のシールリップ(212、214)によって境界されており、前記シールリップ(212、214)が、深絞り及び/又はプレスあるいは冷間鍛造を用いて形成されていることを特徴とする、請求項3〜のいずれか一項に記載の板ばね
【請求項11】
前記シール部分が、環状のシールリングとして形成されていることを特徴とする、請求項3〜10のいずれか一項に記載の板ばね
【請求項12】
・ヨーク(110)、
・マグネットコア(120)、
・アンカー(140)、
・前記アンカー(140)を収納するアンカーハウジング(145)を少なくとも部分的に取り囲む巻線(130)、
・第1の長手方向端部及び第2の長手方向端部を有するンカーロッド(150)、
・このとき、前記アンカーロッド(150)は、その第1の長手方向端部で前記アンカー(140)に接続されており、該アンカー(140)は前記アンカーロッド(150)とともに、電流を印加できる前記巻線(130)によって前記電磁弁(100)の少なくとも1つの閉じられた終端位置と開かれた終端位置との間を移動することができ、
・少なくとも1つの入口(118)及び少なくとも1つの出口(114)を備える弁室(116)、
を有する電磁弁であって、
請求項3〜11のいずれか一項に記載の板ばね(200)が、前記アンカーロッド(150)とともに動くように、また前記閉じられた終端位置で前記出口(114)を塞ぎ、前記開かれた終端位置で前記出口(114)を開放するように、前記アンカーロッド(150)上に取り付けられていることを特徴とする、電磁弁。
【請求項13】
前記板ばね(200)の前記シール部分(210)に、前記出口(114)を取り囲むシール輪郭を有していることを特徴とする、請求項12に記載の電磁弁。
【請求項14】
前記シール輪郭が環状のシールリップを有していることを特徴とする、請求項13に記載の電磁弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板ばねの製造方法、板ばね、ならびにそのような板ばねを備える電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
業界標準の板ばねは、とくに電磁的に操作される業界標準の電磁弁において弁室の出口開口部を制御可能に閉じるために用いられる。このために、周知の板ばねは、例えば独立したシール部材(板ばねとは異なる材料から成る)を保持し、これらのシール部材は外側に配置され、さらに内側のスプリングアームに取り付けられている。スプリングアームは、通常、例えば電磁石内で巻線と圧縮ばねとによって上下運動が可能なアンカーロッドに接続される。これにより、巻線に電流を流すか、又は流さないかによって、出口開口部を閉鎖又は解放することができる。
【0003】
業界標準の板ばねは、通常、周知の切削加工によって製造される。次に、そのようにして製造された板ばねに、独立したシール部材が、例えば接着などによって取り付けられる。この種の方法は非常に高コストであることが判明している。さらに、使用可能なばね鋼の品質選択にも制限がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の課題は、その他に、例えばより簡単に実行可能な板ばねの製造方法を提供することである。さらに、本発明の課題は、該当する板ばね、ならびにそのような板ばねを備える電磁弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このことは、本発明に基づき、請求項1による方法、請求項3による板ばね及び請求項13による電磁弁によって達成される。有利な実施形態は、例えばそれぞれの従属請求項に含まれている。
【0006】
本発明は、とくに電磁弁のシール部材として使用する板ばねの製造方法に関し、この板ばねは、半径方向の外側にシール部分を有するとともに、半径方向の内側に多数のスプリングアームを有している。本発明に基づき、この板ばねは、打抜きされるようになっている。このことは、詳細にはスプリングアームが打抜きされることを意味してもよい。外側にあるシール部分は、打抜きプロセス中にプレス又は成形されながら構造化される。このことにより、シール部分を1つの作業工程で形成することができる。
【0007】
本発明に基づく方法は、切削加工による成形に基づく周知の方法よりも明らかに簡単に実行できるため、迅速かつ低コストでもある。加工工程では、ばね特性及び密閉特性も、主材料としての部材、例えば金属円板などである部材の中に刻み込まれる。これによって生じる板ばねは、ばね機能と密閉機能という二重機能を有している。この統合的な工程は、板ばねの製造において、時間を節約するだけでなく、独立して取り付けられるシール材の使用も回避する。従来技術の解決方法によれば、切削加工で製造される板ばねではこのシール材を接着する必要があった。従って、本発明に基づく提案は、より迅速な製造と資源保護とを組み合わせている。さらに、原料として均等な厚さの円板を使用することで、自動的に均等な板ばねが得られることも有利である。この他に、打抜き加工の場合、切削加工では使用できない品質のばね鋼も使用することができる。
【0008】
好ましくは、打抜きした後に板ばねを熱処理する。これにより、例えば機械的負荷又は化学的負荷などに対する板ばねの抵抗を向上させることができる。
【0009】
とくに好ましいのは、このシール部分に、好ましくはシールリップによって形成される縁部シール輪郭ができるように、打抜きプロセス中にシール部分が構造化されることである。この種のシールリップは、電磁弁の弁室の出口開口部を封印するのにとくに有利である。なぜなら、シールリップが出口開口部を取り囲むことで、例えば油圧オイルなどの制御媒体の侵入を防止できるからである。
【0010】
さらに、本発明は、詳細には電磁弁のシール部材として使用する板ばねであり、本発明に基づく方法によって製造された板ばねにも関する。従って、板ばねについても、すでに上述した本方法の利点が達成される。本方法に関しては、上述した実施形態及び変更例を全て用いることができる。従って、説明した利点が相応に当てはまる。
【0011】
さらに、本発明は、半径方向の外側に好ましくはシールリングの形で形成されているシール部分を有し、半径方向の内側には多数のスプリングアームを有している、詳細には電磁弁のシール部材として使用する板ばねにも関する。本発明に基づき、この板ばねは、いくつかの端部又は全ての端部に沿って打抜き端部を有するようになっており、このとき、詳細にはスプリングアームがそれぞれ打抜き端部によって境界されている。
【0012】
打抜き端部をもつ板ばねの上述の実施形態により、とくに、打抜きによる板ばねの簡単な製造が可能になる。このとき、一般的には、板ばねに見られる種類の打抜き端部が形成される。この板ばねは、例えば、本発明に基づく方法によって製造することができる。
【0013】
好ましくは板ばねが一定の板厚を有しており、とくに好ましくは1.5mm〜2.5mm、さらに好ましくは2mmの板厚を有している。これらの値は、とくに電磁弁での一般的な使用に有利であることが判明している。
【0014】
好ましくは板ばねが鋼製であり、好ましくは防錆のオーテスナイト系クロム‐ニッケル鋼、とくに好ましくは1.4310鋼から形成されている。これらの材料は、とくに有利であることが判明している。しかしながら、その他の材料、例えば多様な品質のステンレス鋼、ばね鋼あるいはその他の化学的及び/又は機械的に安定した鋼なども使用できることを言及しておかなければならない。
【0015】
好ましくは、板ばねが、柔軟なばね鋼から製造されている。この板ばねは、一般的な使用に有利であることが証明されている。
【0016】
好ましくは、板ばねがさらに内部リングを有しており、半径方向の内側ではこの内部リングまでスプリングアームが通じており、この内部リングは、例えば電磁弁のアンカーロッドなどのホルダに板ばねを取り付けるための穴を有している。そのような内部リングを用いることで、例えば電磁石のアンカーロッドなどに板ばねを有利に固定することができる。
【0017】
好ましくは、スプリングアームがほぼ螺旋状に配置されている。これにより、ばね力を有利に形成することが可能になる。
【0018】
好ましくは、板ばねが、3つ、4つ、5つ又はそれより多い数のスプリングアームを有している。このような数によって、希望するばね作用を有利に実現することができる。
【0019】
好ましくは、スプリングアームが、それぞれ、スプリングアームの厚さと同じか、それよりも大きい幅を有している。これにより、希望する方向への有利な柔軟性が可能になる。このときの幅は、とくに、板ばねが空間的に最大に広がっている面で測定される。厚さは、詳細にはこの幅を横切る方向に測定される。
【0020】
好ましくは、スプリングアーム間の中間スペースが、それぞれ、スプリングアームの厚さと同じか、それよりも大きい幅を有している。それにより、希望するばね作用を達成できることが判明している。
【0021】
さらに好ましくは、スプリングアーム及び/又はスプリングアーム間の中間スペースが、それぞれ、スプリングアームの厚さの少なくとも90%にあたる幅を有している。このことは、有利であることが判明している。
【0022】
好ましくは、スプリングアームが、シール部分にオーバーストロークが生じた場合に、それぞれのスプリングアームの長さ全体に均等な負荷がかかるように構造化されている。これにより、詳細にはそれぞれのスプリングアームの負荷を均等にすることができるため、不均一な負荷によって一箇所が早期に破断してしまうことを回避する。この場合、オーバーストロークとは、板ばねを介して伝えられる圧力によって、シールする少なくとも1つの開口部に板ばねの外側のシール部分が接触するようになるまで、板ばねの中心がヨークの方へ引っ張られることを意味している。
【0023】
好ましくは、シール部分が、環状のシールリップによって境界されている。これにより、シールする開口部を塞ぐ際に、有利な密閉作用を達成することができる。とくに、シールに打ち勝つために媒体が進まなければならない距離を、シールリップによって拡大することが可能である。
【0024】
好ましくは、シールリップが、深絞り及び/又はプレスあるいは冷間鍛造を用いて形成されている。これらの加工方式は、実際に有利であることが判明している。例えば、プレスは、好ましくは板ばねが製造される打抜きプロセスと有利に組み合わせることができる。
【0025】
好ましくは、シール部分がシールリングとして形成されている。これにより、例えば多数の開口部を密閉するための環状のシーリングが可能となる。
【0026】
さらに、本発明は、
・ヨーク、
・マグネットコア、
・アンカー、
・アンカーを収納するアンカーハウジングを少なくとも部分的に取り囲む巻線、
・第1の長手方向端部及び第2の長手方向端部を有するンカーロッド、
・このとき、アンカーロッドは、その第1の長手方向端部でアンカーに接続されており、このアンカーはアンカーロッドとともに、電流を印加できる巻線によって電磁弁の少なくとも1つの閉じられた終端位置と開かれた終端位置との間を移動することができ、
・少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を備える弁室、
を有する電磁弁にも関する。
【0027】
そのような電磁弁は、電磁弁としても説明される。
【0028】
本発明に基づき、本発明に基づく板ばねは、このばねがアンカーロッドとともに動くように、また閉じられた終端位置で出口を塞ぎ、開かれた終端位置で出口を開放するように、アンカーロッド上に取り付けられている。
【0029】
本発明に基づく電磁弁により、本発明に基づく板ばねに関して上述した利点を電磁弁にも適用することができる。板ばねに関しては、上述した実施形態及び変更例を全て用いることができる。従って、説明した利点が相応に当てはまる。
【0030】
とくに、本発明に基づく電磁弁により、例えば油圧オイルなどの媒体を有利に制御することが可能となり、このとき、板ばねを製造する打抜きを有利に使用することで、電磁弁のコストを低下させることができる。
【0031】
好ましくは、板ばねのシール部分に、出口を取り囲むカウンタピースが割り当てられており、このカウンタピースは、好ましくは旋盤加工されているシール輪郭、及び/又は成形されているシール輪郭を有している。このことは、とくに、板ばねが滑らかに実施されているか、又は板ばねを滑らかに実施しなければならない場合に有利であり、それによって、構造化されたシール部分を製造するための特殊な加工プロセス又は加工工程を省略することができる。この場合、シール輪郭は、通常、制御媒体がシールに打ち勝つために進まなければならない距離を長くするために用いられる。
【0032】
とくに好ましくは、シール輪郭が環状のシールリップを有している。これらのシールリップは、とくに有効であることが判明している。
【0033】
好ましくは、板ばねが、平坦もしくは同じ高さに形成されている。これにより、とくに簡単な製造が可能になり、従って低コストに製造することができる。
【0034】
板ばね及び/又は電磁弁に関して説明された全ての特徴及び特性、しかしまた手順についても、本発明に基づく方法の表現に関して同じように転用が可能であり、本発明の課題を達成するように使用することができ、また開示されているものと見なされることをとくに指摘しておく。その逆も同様のことが当てはまる。つまり、方法に関してのみ言及されている、構造上の特徴、すなわち装置に応じた特徴も、装置の請求項において考慮され、また請求することができ、同様に公開内容に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図には、とくに本発明の実施例が示されている。
図1】電磁弁の図である。
図2a】第1の実施例による板ばねの図である。
図2b】第1の実施例による板ばねの図である。
図3a】第2の実施例による板ばねの図である。
図3b】第2の実施例による板ばねの図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図の中で、同一部材か、もしくは互いに一致する部材には、それぞれ同一の符号が付けられており、従って、必要でない限り、それらの部材に新たに説明は加えられない。明細書全体に含まれている公開内容は、同じように同一の符号もしくは同一の構成部品名称をもつ同一の部品に転用することができる。明細書の中で選択された、上部、下部、側面などの位置表示は、直接説明されている図ならびに示されている図に関係しており、位置が変更された場合にはそれに対応するように新しい位置に転記しなければならない。さらに、図示及び説明されているさまざまな実施例の個々の特徴又は特徴の組合せは、独立した、本発明の又は発明に基づく解決方法でもあり得る。
【0037】
図1は、電磁的に操作可能な電磁弁100を示している。
【0038】
電磁弁100はヨーク110を有しており、このヨークには、その他の、以下で説明するコンポーネントが取り付けられている。
【0039】
ヨーク110内には、アンカー穴111及びアンカーチャンバ145が形成されている。このアンカーチャンバ145は、上部がマグネットコア120によって塞がれている。アンカーチャンバ145内にはアンカー140が取り付けられており、このアンカーは、かしめによってアンカーロッド150に接続されている。
【0040】
マグネットコア120とアンカー140との間には圧縮ばね125があり、この圧縮ばねが、アンカー140をマグネットコア120から押し離している。アンカーチャンバ145の側面には巻線130が取り付けられ、この巻線はコイルシェル135によって取り囲まれている。巻線130に直流を流すとアンカー140に磁力を加えることができ、この磁力は、圧縮ばね125によって印加されている力に反対に作用する。これにより、巻線130を流れる直流のオン及びオフによって、アンカーロッド150とアンカー140の上下運動が可能になる。
【0041】
アンカーロッドは、アンカー140の反対側にあるアンカーロッド150の端部に隣接して、半径方向に外側へ突き出しているカラー152を有している。このカラー152は、ヨーク110内に形成されている窪みの中に入っている。
【0042】
図1に示されている状態では、アンカー140、アンカーロッド150及びカラー152が共通の上方位置に配置されている。この位置へは、圧縮ばね125の力に逆らって、巻線130から伝えられる磁力によって到達する。巻線130を流れる直流がオフになると、アンカー140、アンカーロッド150及びカラー152が一緒に下降して、共通の下方位置に移動することは明らかである。
【0043】
アンカーロッド150の下端部には、アンカーロッド150にかしめられているかしめリング160が取り付けられている。これにより、かしめリング160はアンカーロッド150に固定されている。
【0044】
カラー152とかしめリング160との間には、板ばね200が取り付けられている。この場合、板ばね200は、カラー152及びかしめリング160にそれぞれ直接接触するため、板ばねはカラー152とかしめリング160との間にしっかりと締め付けられている。従って、この板ばねは、上述した運動と連動して上方位置と下方位置との間を移動する。言い換えると、板ばね200も、巻線130によって制御されながら上下に運動することができる。
【0045】
ヨーク110内には、さらに、2つの管路112ならびに弁室116が形成されている。弁室116は、管路112が開始される2つの出口開口部114を有している。さらに、弁室116は入口118も有しており、ここから、例えば油圧オイルなどの制御媒体が弁室116内に流入可能である。
【0046】
図1で分かるように、板ばね200は外側のシール部分を有しており、このシール部分は、図示されている上方状態において両方の出口開口部114を閉鎖している。従って、この状態では、入口118から流入する媒体が管路112に流れ込むことはできない。これとは逆に、アンカー140、アンカーロッド150、カラー152、かしめリング160及び板ばね200から成る結合体が、図示されていない下方位置をとる場合、出口開口部114は板ばね200から解放される。これにより、入口118から弁室116に流入する媒体は、出口開口部114から管路112の中に流れ込む。従って、電磁弁の一般的な機能に該当するように、媒体の流れを制御することがでる。この場合、板ばね200のシール部分は、図1に示されている上方位置において、ある程度の閉鎖予圧によって出口開口部114に接触している。
【0047】
板ばね200の実施例を、別の図を用いて以下に説明する。
【0048】
図2aは、第1の実施例による板ばね200を上から見た図である。図2bは、図2aの板ばね200の側面図である。
【0049】
板ばね200は、外側のシール部分210を有している。このシール部分は、図1に示されているような電磁弁100などの電磁弁で使用する場合、例えば図1に示されている弁室116の出口開口部114のように開口部を閉鎖するために形成されている。
【0050】
シール部分210の内側には、ばね部分220が配置されている。このばね部分は、3つのらせん状のスプリングアーム、すなわち第1のスプリングアーム222、第2のスプリングアーム224及び第3のスプリングアーム226を有している。スプリングアーム222、224、226は、内側へ内部リング230に通じており、この内部リングは、スプリングアーム222、224、226の内側に配置されている。
【0051】
内部リング230は、穴240を有している。この穴240を使って、例えば図1に例として示されているように、適切なやり方で電磁弁100のアンカーロッドに板ばね200を固定することができる。
【0052】
図1に示されている内部リング230の取付け状況において、板ばね200がアンカーロッド150によって上方に移動する場合、シール部分210は、ある程度の高さ以降で出口開口部114に隣接し、これを閉鎖する。内部リング230がさらに上方へ動くと、それによってオーバーストロークが生じる。このことは、スプリングアーム222、224、226が変形して、それによってシール部分210に上方への圧力が加わることを意味する。これにより、出口開口部114に隣接するシール部分210の密閉作用が向上する。
【0053】
板ばね200は、打抜きによって製造されている。これにより、1つの工程での簡単な加工方式による製造が可能になる。これに応じて、板ばねのコストが下がるとともに、板ばねを含む電磁弁のコストも下げることができる。
【0054】
とくに図2bで分かるように、第1の実施例による板ばね200は、滑らかな表面を有している。この実施形態は、例えば、板ばねが平坦で滑らかな部品材料から打ち抜かれることによって達成可能である。この場合、表面を構造化するために特殊な措置が何も講じられなければ、この滑らかな表面は、打抜きされた板ばねにおいてもそのような滑らかな表面として残る。
【0055】
滑らかな表面を備える実施形態は、それぞれ閉鎖される出口開口部114がシール輪郭を有している場合にとくに有利であり、このシール輪郭は、シール部分210が接触している場合の密閉性を確実なものにする。
【0056】
図3aは、第2の実施例による板ばね200を上から見た図である。図3bは、図3aの板ばね200の側面図である。
【0057】
第2の実施例による板ばね200の詳細の多くに関しては、上述した図2a及び2bの説明を参照されたい。以下では、相違点のみに言及する。
【0058】
とくに図3bで分かるように、第2の実施例による板ばね200は、滑らかな表面を有していない。むしろ、側面のシール部分210には、第1のシールリップ212及び第2のシールリップ214が配置されている。この場合、第1のシールリップ212は外側に配置されており、第2のシールリップ214は内側に配置されている。
【0059】
シールリップ212、214は、閉じられた状態での密閉性を向上させるために用いられ、板ばね200によって閉鎖される出口開口部114が構造化されていない場合はとくに有利である。
【0060】
第2の実施例による板ばね200は、シール部分210の内側にさらに凹部205を有している。この凹部は、スプリングアーム222、224、226ならびに内部リング230が、第2のシールリップ214に比べて後ろに下がるように形成されている。
【0061】
第2の実施例による板ばね200もまた、打抜きによって製造されている。しかしながら、同時に、両方のシールリップ212、214の間にあるシール部分210を押し込むとともに、さらにシール部分210の内側にある凹部205の部分も押し込むプレス部材も使用されている。これにより、図示されている構造も1つの工程で製造できるため、例えば切削加工などのコストのかかる追加の加工プロセスを避けることができる。
【0062】
本出願とともに提出された請求項及び後で提出された請求項により、さらなる保護の獲得が損なわれることはない。
【0063】
この場合、より詳細な検査、詳細には関係する従来技術の検査において、本発明の目的のための何らかの特徴が、有利ではあるが決定的に重要ではないことが判明した場合、すでに現時点において、とくに主請求項にそのような特徴を有さない表現にするよう努めるのは当然である。そのような副結合も、本出願の公開内容に含まれている。
【0064】
さらに、さまざまな実施例で説明され、図示されている本発明の実施形態及び変更例が、任意に互いに組み合わせられることにも留意しなければならない。この場合、個々の特徴又は複数の特徴は任意に相互で交換可能である。これらの特徴の組合せも同様に開示されている。
【0065】
従属請求項に記載されている参照請求項は、主請求項の対象がそれぞれの下位請求項の特徴によってさらに形成されることを示している。しかしながら、これらは、参照されている下位請求項の特徴に対する独立した具体的な保護の獲得を放棄するものと見なしてはならない。
【0066】
明細書にのみ開示されている特徴又は多数の特徴を備える請求項に含まれる個々の特徴は、とりわけ、そのような特徴がその他の特徴と組み合わされて言及された場合や、その他の特徴との組合せでとくに有利な結果が達成される場合もまた、本発明に重要な意味をもつものとして、常に、従来技術から区別するために独立請求項の中で引き受けることができる。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b