(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
(1)実施形態に係る制御装置は、送信期間が設定された制御周期の繰り返しを管理する無線部に対して送信データを渡すことで、前記無線部に対して前記送信データの送信要求を行う送信要求部と、タイミング受領部と、識別部と、を備え、前記タイミング受領部は、前記無線部から前記制御周期に応じた周期で与えられるタイミング通知を受領するよう構成され、前記タイミング通知は、前記タイミング通知に対応する前記制御周期を示す識別子を含み、前記識別部は、特定のカテゴリの送信データを、前記タイミング通知に応じて前記無線部へ渡すべきかを、前記タイミング通知に含まれる識別子に基づいて、識別する。
【0020】
上記制御装置によれば、タイミング通知に含まれる制御周期の識別子に基づいて、特定のカテゴリの送信データを、前記タイミング通知に応じて前記無線部へ渡すべきかを、識別することができる。
【0021】
(2)前記識別部によって参照される設定情報を記憶した記憶部を更に備え、前記設定情報は、特定のカテゴリの送信データを、前記タイミング通知に応じて前記無線部へ渡すべきかを識別するために用いられる情報であるのが好ましい。この場合、設定情報を参照することで識別を行うことができる。
【0022】
(3)前記設定情報は、送信データのカテゴリ毎の送信期間が設定された情報を含むのが好ましい。この場合、カテゴリ毎の送信期間を参照することで識別を行うことができる。
【0023】
(4)実施形態に係る制御装置は、送信期間が設定された制御周期の繰り返しをタイマのタイマ値に基づいて管理する無線部に対して送信データを渡すことで、前記無線部に対して前記送信データの送信要求を行う送信要求部と、タイミング受領部と、識別部と、を備え、前記タイミング受領部は、前記無線部から与えられるタイミング通知を受領するよう構成され、前記タイミング通知は、前記タイマ値を含み、前記識別部は、特定のカテゴリの送信データを、前記タイミング通知に応じて前記無線部に渡すべきかを、前記タイミング通知に含まれるタイマ値に基づいて、識別する。
【0024】
上記制御装置によれば、タイミング通知に含まれるタイマ値に基づいて、特定のカテゴリの送信データを、前記タイミング通知に応じて前記無線部へ渡すべきかを、識別することができる。
【0025】
(5)前記識別部は、前記タイミング通知に含まれるタイマ値に基づいて、前記タイミング通知に対応する前記制御周期の番号を求め、前記番号に基づいて、特定のカテゴリの送信データを、前記タイミング通知に応じて前記無線部へ渡すべきかを識別するのが好ましい。この場合、タイマ値に基づいて求められた制御周期の番号に基づく識別が行える。
【0026】
(6)前記タイミング通知は、前記無線部から前記制御周期に応じた周期で与えられるのが好ましい。この場合、制御装置は、周期的にタイミング通知が得られるため処理が容易となる。
【0027】
(7)前記識別部によって参照される設定情報を記憶した記憶部を更に備え、前記設定情報は、特定のカテゴリの送信データを、前記タイミング通知に応じて前記無線部へ渡すべきかを識別するために用いられる情報であるのが好ましい。この場合、設定情報を参照することで識別を行うことができる。
【0028】
(8)前記設定情報は、送信データのカテゴリ毎の送信期間が設定された情報を含むのが好ましい。この場合、カテゴリ毎の送信期間を参照することで識別を行うことができる。
【0029】
(9)実施形態に係る無線装置は、送信期間が設定された制御周期の繰り返しをタイマのタイマ値に基づいて管理し、送信データを制御装置から受け取る。無線装置は、前記制御装置に対して、タイミング通知を与えるタイミング通知部を備え、前記タイミング通知は、前記タイマ値を含む。
【0030】
上記無線装置によれば、タイマ値を含むタイミング通知を制御装置に対して与えることができる。したがって、制御装置は、タイミング通知に含まれるタイマ値に基づいて、送信データをタイミング通知に応じて無線部へ渡すべきかを識別することができる。
【0031】
(10)実施形態に係る無線通信装置は、送信期間が設定された制御周期の繰り返しをタイマのタイマ値に基づいて管理する第1処理部と、前記第1処理部に対して送信データを渡す第2処理部と、を備える。前記第1処理部は、前記第2処理部に対して、前記タイマ値を含むタイミング通知を与え、前記第2処理部は、特定のカテゴリの送信データを、前記タイミング通知に応じて前記第1処理部に渡すべきかを、前記タイミング通知に含まれるタイマ値に基づいて、識別する。
【0032】
上記無線通信装置によれば、第2処理部は、タイミング通知に含まれるタイマ値に基づいて、特定のカテゴリの送信データを、前記タイミング通知に応じて第1処理部へ渡すべきかを、識別することができる。
【0033】
[2.実施形態の詳細]
[2.1 通信システム]
図1は、高度道路交通システム(ITS)の全体構成を示す概略斜視図である。なお、本実施形態では、道路構造の一例として、南北方向と東西方向の複数の道路が互いに交差した碁盤目構造を想定している。
高度道路交通システムのための通信システムは、無線通信装置として、路側通信機(基地局)2及び車載通信機(移動局;移動通信機)を含む。移動局としては、車載通信機に限られず、例えば、歩行者が所持する歩行者用通信機であってもよい。
高度道路交通システムは、路側通信機(基地局)2及び車載通信機(移動局;移動通信機)のほか、交通信号機1、中央装置4、及び、車両感知器や監視カメラ等よりなる路側センサ6を含む。
なお、本実施形態において特に説明しない点については、非特許文献1〜3に記載の通信方式に準拠する。
【0034】
交通信号機1と路側通信機2(2A,2B)は、複数の交差点A1〜A5,B1〜B5,C1〜C5,D1〜D5,E1〜E5のそれぞれに設置されている。複数の路側通信機2のうちの一部の路側通信機2Aは、電話回線等の有線通信回線7を介してルータ8に接続されている。このルータ8は交通管制センター内の中央装置4に接続されている。複数の路側通信機2には、ルータ8に接続されていない路側通信機2Bも含まれている。
【0035】
中央装置4は、自身が管轄するエリアの交通信号機1及び路側通信機2とLAN(Local Area Network)を構成している。なお、中央装置4は、交通管制センターではなく道路上に設置してもよい。
【0036】
中央装置4に有線通信回線7で接続されている路側通信機2A(オンライン路側通信機)は、中央装置4の管轄するエリアに含まれる全ての路側通信機のうちの一部であり、中央装置4に対して有線通信回線7で接続されていない路側通信機2B(スタンドアローン路側通信機)も存在する。
【0037】
図1では、交差点A1〜A5に設置された路側通信機2Aが、オンライン路側通信機であり、他の交差点B1〜B5,C1〜C5,D1〜D5及びE1〜E5に設置された路側通信機2Bが、スタンドアローン路側通信機である。このように、全ての路側通信機をオンライン路側通信機としないことで、有線通信回線7の設置・維持コストを低減できる。
なお、以下では、オンライン路側通信機2Aと、スタンドアローン路側通信機2Bと、を区別せず、両者を単に「路側通信機2」というものとする。
【0038】
路側センサ6は、各交差点に流入する車両台数をカウントする等の目的で、管轄エリア内の道路の各所に設置されている。この路側センサ6は、直下を通行する車両5を超音波感知する車両感知器、或いは、道路の交通状況を時系列に撮影する監視カメラ等よりなり、感知情報や画像データは通信回線7を介して中央装置4に送信される。
なお、
図1では、図示を簡略化するために、各交差点に信号灯器が1つだけ描写されているが、実際の各交差点には、互いに交差する道路の上り下り用として少なくとも4つの信号灯器が設置されている。
【0039】
複数の交差点それぞれに設置された複数の路側通信機(基地局)2は、その周囲を走行する車両の車載通信機(移動局)との間で無線通信(路車間通信)が可能である。
また、各路側通信機2は、自己の送信波が到達する所定範囲内に位置する他の路側通信機2との間でも無線通信(路路間通信)が可能である。
【0040】
同様に、車載通信機は、路側通信機2との間で無線通信を行うとともに、キャリアセンス方式でその周辺を走行する他の車載通信機との間で無線通信(車車間通信)が可能である。
【0041】
無線通信装置である路側通信機(基地局)2は、
図2に示すように、無線通信部20を備えている。無線通信部20は、制御装置30と、無線部40と、を備えている。
制御装置(第2処理部)30は、後述する各階層のうち上位階層の処理を行い、無線部(第1処理部)は、下位階層の処理を行う。
無線通信部20は、その機能の一部又は全部が、ハードウェア回路によって構成されていてもよいし、その機能の一部又は全部(アナログ機能を除く)が、コンピュータプログラムによって実現されていてもよい。無線通信部20の機能をコンピュータプログラムによって実現させる場合、無線通信部20は、コンピュータを含み、コンピュータによって実行されるコンピュータプログラムは、無線通信部20が有する記憶部に記憶される。
なお、車載通信機も
図2と同様の構成及び機能を有する。
【0042】
[2.2 無線フレーム]
図3(a)は、
図1の通信システムにおいて用いられる無線フレーム(スーパーフレーム)を示している。この無線フレームは、その時間軸方向の長さ(フレーム長)が100msに設定されている。つまり、1秒間に10フレームが発生する。一つの無線フレームの時間長は、非特許文献1〜3に規定する通信方式における制御周期に相当する。この通信方式においては、100msの制御周期(無線フレーム)が繰り返される。
【0043】
一つの無線フレーム(100ms)は、複数の路側機送信期間(基地局送信期間)SL1と、複数の車載機送信期間(移動局送信期間)SL2と、を含んで構成されている。
路側機送信期間SL1は、路側通信機(基地局)2に割り当てられる送信用のタイムスロット(基地局送信期間)であり、この時間帯SL1においては、路側通信機2による無線送信が許容される。路側機送信期間SL1は、一つの無線フレーム(制御周期:100ms)内に最大16個まで設定可能である。
【0044】
車載機送信期間SL2は、車載通信機用のタイムスロット(移動局送信期間)であり、この時間帯SL2は車載通信機によるCSMA方式による無線送信時間として開放するため、路側通信機2は車載機送信期間SL2では無線送信を行わない。
【0045】
無線フレームに含まれている路側機送信期間SL1と、車載機送信期間SL2とは、時間軸方向に交互に配置されている。
路側機送信期間SL1には、それぞれスロット番号n(=1〜16)が付されている。
それぞれの路側通信機2には、無線フレームに含まれる複数の路側機送信期間SL1のうちの、一つ又は複数の路側機送信期間SL1が送信期間として設定され、その他の路側機送信期間SL1は送信が禁止される。すなわち、路側通信機2にとっては、車載機送信期間SL2及び自機2に割り当てられていない路側機送信期間SL1は、送信禁止期間となる。
【0046】
図3(b)では、路側通信機2にn=4,5,6の3つの路側機送信期間SL1が送信期間として割り当てられている場合の送信禁止期間を示している。路側通信機2は、送信禁止期間以外の期間(設定された送信期間)でデータ送信を行う。
図3(b)に示す送信期間は、制御周期毎(100ms毎)に繰り返し発生する。つまり、路側通信機2は、100ms毎に周期的に割り当てられる送信期間において、通信パケットを送信することができる。
なお、複数の路側通信機2は、それぞれGPS信号などに基づいて、時刻同期が図られており、複数の路側通信機2それぞれの無線フレーム(制御周期)も同期がとれたものとなっている。
【0047】
一つの無線フレーム(制御周期)内において、一つの路側通信機2に割り当てられる送信期間の数は任意である。また、一つの送信期間の期間長は、路車通信期間SL1の期間長と等しくてもよいし、路側機送信期間SL1よりも短くてもよい。また、一つの路側機送信期間SL1内に複数の送信期間が設定されてもよい。
【0048】
[2.3 プロトコルスタック]
図4は、非特許文献1の標準規格に示す通信プロトコルスタックに、非特許文献2のガイドラインに示す拡張層(Extended Layer)ELを加えたものを示している。
非特許文献1に規定されるプロトコルスタックは、レイヤ1(L1,物理層:Physical Layer)、レイヤ2(L2,データリンク層:Data Link Layer)、車車間・路車間共用通信制御情報層(IVC−RVC層:Inter-Vehicle Communication - Road to Vehicle Communication Control Layer)及びレイヤ7(L7,アプリケーション層:Application Layer)の4層構造である。各階層は、システム管理のための情報を有するシステム管理にアクセスすることができる。
【0049】
レイヤ1は、IEEE802.11において規定される物理層に準拠して動作する。
レイヤ2は、MAC副層(Medium Access Control sublayer)と、LLC副層(Logical Link Control sublayer)と、から構成される。なお、MAC副層を、単に、MAC層(Medium Access Control layer)ともいい、LLC副層(Logical Link Control sublayer)を、単に、LLC層(Logical Link Control layer)ともいう。
【0050】
MAC層は、無線チャネルの通信管理として、フレーム制御及び同報通信(ブロードキャスト)を行う。路側通信機2のMAC層は、自機2に割り当てられた送信期間において、通信パケットを送信するため、送信タイミングを制御する処理を行う。
LLC層は、上位層のエンティティ間でパケット伝送を行うために、確認なしコネクションレス型通信のサービスを提供する。
【0051】
車車間・路車間共用通信制御情報層(IVC−RVC層)は、車車間・路車間共用通信制御に必要な情報の生成と管理を行う。非特許文献1では、路路間通信は規定されていないが、車車間・路車間共用通信制御情報層(IVC−RVC層)は、路路間通信も管理する。車車間・路車間共用通信制御情報層(IVC−RVC層)は、路側通信機2に割り当てられる送信期間が設定される管理情報ベース(MIB)41を有している。
MAC層は、管理情報ベース(MIB)41に設定された送信期間を参照して、送信タイミングを決定する。
【0052】
レイヤ7は、アプリケーションAPに対して通信制御手段を提供するためのものである。アプリケーションAPは、送信される通信パケットに格納されるアプリケーションデータ(交通情報、車両情報など)をレイヤ7に与えるとともに、受信した通信パケットに格納されていたアプリケーションデータをレイヤ7から取得する。
【0053】
非特許文献2に規定される拡張層ELは、レイヤ7の上位層として存在し、アプリケーションAPとレイヤ7との間の通信機能を拡張するためのものである。
拡張層ELは、アプリケーションAPに対してデータ伝送サービスを提供する。アプリケーションAPは、送信される通信パケットに格納されるアプリケーションデータ(交通情報、車両情報など)を含む送信要求(EL-BaseStationBroadcastData要求又はEL-MobileStationBroadcastData要求)を拡張層ELに与える。データ伝送サービス提供のため、拡張層ELは、レイヤ7以下の下位階層に対してデータ伝送要求(BaseStationBroadcast要求又はMobileStationBroadcastData要求)を出す。
【0054】
また、拡張層ELは、アプリケーションAPから与えられたアプリケーションデータを分割し、分割データをレイヤ7に与えることができる。また、レイヤ7から受け取った分割データを結合させてアプリケーションAPに与えることができる。
なお、拡張層ELは、レイヤ7とともに、セキュリティ管理SECにアクセスすることができる。
【0055】
図4に示す拡張層EL、レイヤ7、IVC−RVC層、レイヤ2、レイヤ1、アプリケーションAP、セキュリティ管理SEC、及びシステム管理に相当する機能は、路側通信機2の無線通信部20及び車載通信機の無線通信部それぞれによって実行される。
【0056】
以下では、制御装置(第2処理部)30は、
図4のアプリケーションAPに相当する機能を有し、無線部(第1処理部)40は、
図4のアプリケーションAPよりも下位の階層の機能(拡張層EL、レイヤ7、IVC−RVC層、レイヤ2、及びレイヤ1に相当する機能を有する。無線部(第1処理部)40は、セキュリティ管理SEC及びシステム管理の機能をも有する。
【0057】
本実施形態のアプリケーションAPは、複数のアプリケーションAP1,AP2を有している。
図4では、複数のアプリケーションとして、第1アプリケーションAP1と第2アプリケーションAP2とを示した。
【0058】
例えば、第1アプリケーションAP1は、路車間通信データを提供するためのアプリケーションであり、第2アプリケーションAP2は、路路間通信データを提供するためのアプリケーションである。
【0059】
[2.4 送信カテゴリ毎期間指定送信機能及び送信カテゴリ毎送信周期設定機能]
図5及び
図6は、非特許文献3に規定する送信カテゴリ毎期間指定送信機能及び送信カテゴリ毎送信周期設定機能を示している。
ここで、送信カテゴリとは、送信データのカテゴリであり、例えば、送信データ(アプリケーションデータ)が路車間通信データであるか、路路間通信データであるかを示す。送信カテゴリは送信データのカテゴリ毎に送信期間を指定するための識別子として用いられる。
【0060】
送信カテゴリ毎期間指定送信機能とは、送信データを、各送信データのカテゴリ毎に指定する送信期間に送信する機能である。送信カテゴリ毎期間指定送信機能により、路側通信機2に割り当てられた路側機送信期間SL1(基地局送信期間)のうち、どの送信期間SL1を路車間通信データの送信に用い、どの送信期間SL1を路路間通信データの送信に用いるかを指定することができる。
【0061】
図5(a)(b)は、二つの路側通信機(第1基地局及び第2基地局)それぞれのIVC−RVC層のMIB41に設定された情報を示している。
ここでは、第1基地局には、一の制御周期中の16個の基地局送信期間SL1(n=1〜16)のうち、n=4,5,10の基地局送信期間SL1が割り当てられ、第2基地局には、n=6,7,10の基地局送信期間SL1が割り当てられているものとする。
【0062】
図5(a)に示すように、第1基地局に割り当てられたn=4,5,10送信期間SL1のうち、n=4,5には、送信カテゴリラベル(送信カテゴリ情報)として「0」が設定され、n=10には、送信カテゴリラベル(送信カテゴリ情報)として「1」が設定されている。
図5(c)に示すように、送信カテゴリラベル=0は、路車間通信を示し、送信カテゴリラベル1は、路路間通信を示す。したがって、このように設定されたMIB41を参照する第1基地局の無線部40は、n=4,5のスロットを路車間通信用として用い、n=10のスロットを路路間通信用スロットとして用いる。
【0063】
同様に、
図5(b)に示すように、第2基地局に割り当てられたn=6,7,10送信期間SL1のうち、n=6,7には、送信カテゴリラベル(送信カテゴリ情報)として「0」が設定され、n=10には、送信カテゴリラベル(送信カテゴリ情報)として「1」が設定されている。したがって、このように設定されたMIB41を参照する第2基地局は、n=6,7のスロットを路車間通信用として用い、n=10のスロットを路路間通信用スロットとして用いる。
【0064】
送信カテゴリ毎送信周期設定機能は、送信カテゴリ毎に、送信周期を設定できるようにし、例えば、路路間通信データを、路車間通信データよりも長い送信周期で送信できるようにするための機能である。路路間通信データは、路車間通信データに比べて、送信頻度が少なく、一度に送信すべきデータ量も少ないため、路路間通信データの送信周期を、路車間通信データの送信周期よりも長くすることで、帯域を有効活用することができる。
送信周期は、
図5(a)(b)に示す「送信周期」として、送信期間SL1毎に設定される。
【0065】
例えば、
図5(a)に示すように、第1基地局に割り当てられた路車間通信用スロットSL1(n=4,5)の送信周期は、1[×10
2ms]に設定されているので、第1基地局は、1制御周期(100ms)毎に発生する送信期間(n=4,5)において路車間通信を行う。また、
図5(b)に示すように、第2基地局に割り当てられた路車間通信用スロットSL1(n=6,7)の送信周期は、1[×10
2ms]に設定されているので、第2基地局は、1制御周期(100ms)毎に発生する送信期間(n=6,7)において路車間通信を行う。
【0066】
一方、
図5(a)(b)に示すように、第1基地局及び第2基地局に割り当てられた路路間通信用スロットSL1(n=10)の送信周期は、5[×10
2ms]に設定されているので、第1基地局は、5制御周期(500ms)のうちの1回の制御周期において発生する送信期間(n=10)において路路間通信を行う。
各基地局が、5制御周期のうちのどの制御周期において発生する送信期間において路路間通信を行うかは、
図5(a)(b)に示す「送信オフセット」によって、設定される。「送信オフセット」も送信期間SL1毎に設定可能である。
図5(a)に示すように、第1基地局においては、n=10の路路間通信用スロットには、送信オフセットが0[×10
2ms]に設定され、
図5(b)に示すように、第2基地局においては、n=10の路路間通信用スロットには、送信オフセットが1[×10
2ms]に設定されている。
送信オフセットは、路路間通信が行われる送信期間が発生する制御周期の開始時点の、タイマリセット時点(タイマ値=0)からのオフセットを示している。
【0067】
図6は、MIB41が
図5(a)(b)のように設定されている場合の第1基地局及び第2基地局において、路路間通信データD
IRが送信されるタイミングを示している。なお、
図6において路車間通信は省略している。
各基地局のMAC副層は、MIB41に設定された
図5(a)(b)の情報を参照して、タイマ(1秒周期タイマ又はN秒周期タイマ;Nは1以上の整数)42が示すタイマ値に従って、送信タイミングを決定する。
タイマ42が1秒周期タイマである場合、タイマ42は、各基地局が受信するGPS信号に含まれる1PPS信号(1秒周期の信号)によって、タイマ値がリセットされる。タイマ42は、リセットされてから次のリセットまでタイマ値が増加し続ける。
MAC副層は、タイマ42のタイマ値に基づいて、制御周期(無線フレーム)の繰り返しを管理する。
【0068】
送信オフセットは、路路間通信が行われる送信期間が発生する制御周期の開始時点の、タイマリセット時点(タイマ値=0)からのオフセットを示している。
第1基地局は、設定された送信オフセットが0[×10
2ms]であるので、タイマリセット直後(送信オフセット=0[×10
2ms])の制御周期において発生する送信期間において、路路間通信データD
IRが送信され、その制御周期から送信周期=5[×10
2ms]後の制御周期において、次の路路間通信データD
IRの送信が行われ、その後も、500ms毎に路路間通信データD
IRの送信が行われる。
【0069】
一方、第2基地局は、設定された送信オフセットが1[×10
2ms]であるので、タイマリセットから100ms後の制御周期において発生する送信期間において、路路間通信データD
IRが送信され、その制御周期から送信周期=5[×10
2ms]後の制御周期において、次の路路間通信データD
IRの送信が行われ、その後も、500ms毎に路路間通信データD
IRの送信が行われる。
【0070】
以上のように、送信オフセットを基地局毎に異ならせることで、同じ路側送信期間(n=10)が割り当てられている第1基地局及び第2基地局は、異なる送信タイミングで路路間通信を行うことができる。したがって、第1基地局及び第2基地局が隣接配置されていても干渉を防止することができる。
【0071】
[2.5 上位階層への送信タイミング通知]
[2.5.1 概要]
図7は、データ送信に関する基地局の機能ブロックを示している。上位階層(アプリケーション;制御装置)30は、送信すべきデータ(アプリケーションデータ)を蓄積する送信データバッファ32、下位階層(無線部)40に対してデータの送信要求を行う送信要求部34と、タイミング受領部36と、識別部38と、設定情報記憶部39と、を備えている。下位階層(レイヤ1〜拡張層EL;無線部)40は、IVC−RVC層に設けられたMIB41のほか、N秒周期タイマ42、タイマ42を管理するタイマ管理部44、データの送信タイミングを制御する送信タイミング制御部46、タイミング通知部48を備えている。本実施形態において、タイマ管理部44、送信タイミング制御部46、タイミング通知部48は、MAC副層が有する機能である。N秒周期タイマ42は、非特許文献3(ITS FORUM RC−012(700MHz帯高度道路交通システム 実験用路路間通信ガイドライン ITS FORUM RC−012 1.0版(策定日:平成26年3月31日)))に規定する送信カテゴリ毎送信周期設定用N秒周期タイマとして機能する。
【0072】
タイマ42を管理するとともにMIB41を参照して送信タイミングを決定するMAC副層(下位階層)にとっては、制御周期(無線フレーム)及び送信タイミングは自明であるものの、MAC副層よりも上位階層にとっては、制御周期(無線フレーム)も送信タイミングは自明ではない。ところが、アプリケーションAPなどの上位階層は、タイマを管理する機能を有していなくても、適切なタイミングで送信データを下位階層であるMAC副層に渡す必要がある。
【0073】
例えば、上位階層が下位階層に送信データを受け渡すのが遅れた場合、送信が期待される送信期間では送信データを送ることができない可能性がある。とりわけ、非特許文献1〜3に準拠した場合、送ることができなかった送信データを次の送信期間において送信しようとしても、別の新たな送信データが下位階層に渡されることにより、古いデータが上書きされてしまい、古いデータを送信ができなくなる可能性がある。
また、上位階層が下位階層に送信データを受け渡すのが早すぎた場合、送信データが実際に送信されるまでの時間が、上位階層が期待する所要時間を大幅に超える場合がある。例えば、当該上位階層が当該下位階層にリアルタイム性の低い送信データを渡した直後にリアルタイム性の高い情報が生じた場合、上位階層は次の送信タイミングまで当該データを保持することになってしまい、リアルタイム性が重視される送信データの内容の正確性に問題を生じるおそれがある。一方、当該上位階層が適切なタイミングで下位階層に送信データを渡すことができれば、リアルタイム性の高い送信データを優先して送信することが可能となる。
したがって、アプリケーションAPなどの上位階層は、適切なタイミングで送信データを下位階層であるMAC副層に渡す必要がある。
【0074】
しかし、アプリケーションAPが、下位階層に対して送信データを渡すタイミングを正確に把握するのは困難である。アプリケーションAPのような上位階層がMAC副層と同様に送信タイミングを把握するには、アプリケーションAPもタイマを有し、MIB41に設定されている情報と同様の情報を持つことが考えられる。しかし、MAC副層が管理するタイマ42とは別にアプリケーションAPが管理するタイマを具備させると、コスト増加となる。しかも、両タイマ間の同期も問題となる。両タイマの同期がとれていなければ、アプリケーションAPは正確な送信タイミングを把握することができないが、タイマ同期のための機能を具備させると更なるコスト増加につながる。
【0075】
そこで、本実施形態では、
図8に示すように、制御周期(無線フレーム)及び送信タイミングを把握することが可能な下位階層(無線部40)のタイミング通知部48が、タイマ42のタイマ値に基づいて、タイミング通知(送信タイミング情報)T1〜T9,T0を、上位階層(制御装置30)に与える。
タイミング通知T1〜T9,T0は、下位階層(無線部40)に対して送信データを渡すタイミングを、上位階層(制御装置30)に知らせるための送信タイミング情報である。上位階層は、タイミング通知を受けることで下位階層にデータを渡すタイミングを把握することができる。
【0076】
[2.5.2 フレーム番号(制御周期の識別子)の通知]
タイミング通知T1〜T9,T0は、制御周期に応じた周期(100ms)で、上位階層(制御装置30)に与えられる。
タイミング通知T1〜T9,T0は、それぞれ、制御周期(無線フレーム)の番号(フレーム番号;制御周期の識別子)fnを含んでいる。フレーム番号fnは、
図8に示すように、例えば、6bitの情報である。
【0077】
ここで、下位階層(無線部40;MAC副層)にて管理される制御周期の番号(フレーム番号)fnは、タイマ42のリセット時から次のリセット時までにおいて、0〜(N×10−1)の値をとり、0〜(N×10−1)の値が繰り返し生じる。ここでのNは、N秒周期タイマ42におけるNの値と等しく、
図8ではN=1である。
下位階層において、フレーム番号fn=0の制御周期(無線フレーム)は、N秒周期タイマ42のリセット直後に発生する。フレーム番号fnは制御周期毎にインクリメントされ、N秒周期タイマ42のリセット直前の制御周期のフレーム番号fnは9(N×10−1)である。
【0078】
タイミング通知T1〜T9,T0に含まれるフレーム番号fnは、タイミング通知T1〜T9,T0が上位階層に与えられる制御周期の次の制御周期におけるフレーム番号fnを示している。
つまり、タイミング通知T1〜T9,T0は、次の制御周期に対応しており、次の制御周期を上位階層に知らせるためのものである。
【0079】
例えば、下位階層からみて、タイマリセット直後のフレーム番号fnは0であるが、このフレーム番号fn=0の制御周期において、上位階層(制御装置30)に与えられるタイミング通知T1に含まれるフレーム番号fnは1である。
同様に、下位階層からみてフレーム番号fn=1の制御周期において、上位階層(制御装置30)に与えられるタイミング通知T2に含まれるフレーム番号fnは2である。
また、下位階層からみてタイマリセット直前フレーム番号fn=9の制御周期において、上位階層(制御装置30)に与えられるタイミング通知T0に含まれるフレーム番号fnは0である。
【0080】
このように、タイミング通知T1〜T9,T0は、次の制御周期(対象制御周期)において送信されるべき送信データの送信タイミングを、当該対象制御周期の一つ前の制御周期において、下位階層(無線部40)から上位階層(アプリケーションAP;制御装置30)に知らせることができる。
ただし、タイミング通知T1〜T9,T0は、当該タイミング通知T1〜T9,T0が上位階層に与えられる制御周期に対応していてもよい。
例えば、下位階層からみてフレーム番号fn=0の制御周期において、上位階層に与えられるタイミング通知に含まれるフレーム番号fnは0であってもよい。
また、タイミング通知T1〜T9,T0は、当該タイミング通知T1〜T9,T0が上位階層に与えられる制御周期の2つ次の制御周期に対応していてもよい。
例えば、下位階層からみてフレーム番号fn=0の制御周期において、上位階層に与えられるタイミング通知に含まれるフレーム番号fnは2であってもよい。
このように、タイミング通知T1〜T9,T0は、当該タイミング通知T1〜T9,T0が上位階層に与えられる制御周期とは別の他の任意の制御周期に対応していてもよい。
各制御周期においてタイミング通知は、次の制御周期(対象制御周期)の開始よりも所定時間Δt時間前に、上位階層(制御装置30)に与えられる。
【0081】
所定時間Δtは、タイミング通知T1〜T9,T0を受け取った制御装置30が、無線部40(MAC副層)へ送信データ(路路間通信データ)を、対象制御周期の開始の前に渡すための所要時間が確保された時間である。アプリケーションAPからMAC副層までデータが届くには、各階層における処理及びセキュリティ処理などの処理を要するため、前記所定時間Δtが、その処理に通常要する時間以上の時間に設定されていることで、送信すべきデータを、そのデータが送信される送信期間が発生する制御周期(対象制御周期)の前に、MAC副層において送信可能な状態とすることができる。
【0082】
また、送信すべきデータが、対象制御周期の開始前において、MAC副層において送信可能な状態となることで、送信期間が、対象制御周期中のどの時点で(例えば、開始直後に)発生しても、送信することが可能である。
【0083】
図5(a)(b)に示すように設定された路車間通信データ(送信カテゴリラベル=0)のように、送信周期が100msに設定されて制御周期毎に送信される場合、制御装置30は、前述のタイミング通知に含まれるフレーム番号fnを特に考慮することなく、単に、下位階層からの通知にタイミング通知に応じて、データを下位階層に与えるだけでもよい。
【0084】
これに対して、
図5(a)(b)に示すように設定された路路間通信データ(送信カテゴリラベル=1)のように、送信周期が100msよりも長い場合、ある制御周期では、路路間通信データが送信されるが、他の制御周期では路路間通信データが送信されないことになる。
したがって、送信周期が制御周期よりも長いデータの場合、制御周期毎に下位階層から与えられる全てのタイミング通知に応じて、データを下位階層に与えると、不適切なタイミングでデータを下位階層に与えることになる。
【0085】
そこで、制御装置30の識別部38は、タイミング受領部36にて受領したタイミング通知T1〜T9,T0に含まれるフレーム番号に基づいて、特定のカテゴリのデータ(制御周期よりも送信周期の長いデータ;例えば、路路間通信データ)を、タイミング通知T1〜T9,T0に応じて、下位階層に渡すべきかを識別する。
【0086】
識別部38は、上述の識別のため、設定情報記憶部39に記憶された設定情報を参照する。設定情報記憶部39に記憶された設定情報は、MIB41に格納された送信期間設定情報(
図5(a)(b)参照)と同様のものである。
具体的には、
図9に示すように、設定情報記憶部39に記憶された設定情報は、送信データのカテゴリ毎に設けられており、路車間通信用データ(送信カテゴリラベル=0)のために設定された送信期間設定情報(第1情報)39aと、路路間通信用データ(送信カテゴリラベル=1)のために設定された送信期間設定情報(第2情報)39bと、を有している。
【0087】
識別部38は、タイミング通知T1〜T9,T0に含まれるフレーム番号と、設定情報記憶部39に記憶された設定情報と、に基づいて、送信データバッファ32に蓄積されている一又は複数のカテゴリの送信データそれぞれについて、下位階層に与えるべきかを識別する。
【0088】
具体的には、
図9の第1情報39aのように、送信周期が100msであるカテゴリのデータ(路車間通信データ)は、タイミング通知T1〜T9,T0毎にデータを下位階層に与えることが許される。
一方、
図9の第2情報39bのように、送信周期が200msであり、制御周期(100ms)よりも長いカテゴリのデータ(路路間通信データ)の場合、識別部38は、送信周期とともに設定された送信オフセットをも考慮して、タイミング通知T1〜T9,T0に応じてデータを下位階層に与えるか否か決定する。
【0089】
タイミング通知T1〜T9,T0に応じてデータを下位階層に与えるか否かの判定は、
(タイミング通知に含まれるフレーム番号fn)mod(送信周期)の式(演算式1)によって求められる値に基づいて行われる。なお、modは除算の余りを求める演算子である。
上記の演算式1によって求められる値を、
図10に示した。
図10では、送信周期が2(×10
2ms)に設定されている場合の値と、送信周期が5(×10
2ms)に設定されている場合の値と、を示した。
【0090】
演算式1の値と、
図9に示す送信オフセットの値(
図9の第2情報では1)と、が一致する場合、識別部38は、演算式1による演算で用いたフレーム番号を有するタイミング通知T1,T3,T5,T7,T9に応じて、データを下位階層に与えるべきと識別し、送信要求部34は識別部38の識別結果を受けて、送信データバッファ32に蓄積されている路路間通信データD
IR1〜D
IR6を、下位階層40に渡すことで送信要求を行う。無線部40のMAC副層における送信タイミング制御部46は、各対象制御周期(fn=1,3,5,7,9)の開始前までに送信データを受け取り、対象制御周期内の送信期間において、受け取った送信データを送信することができる。
【0091】
一方、演算式1の値と、
図9に示す送信オフセットの値(
図9の第2情報では1)と、が一致しない場合、識別部38は、タイミング通知T2,T4,T6,T8,T0を受け取っても、データを下位階層に与えるべきでないと識別する。したがって、この場合は、タイミング受領部36にてタイミング通知T2,T4,T6,T8,T0を受領し、仮に、送信データバッファ32に路路間通信データが蓄積されたとしても、送信要求部34は、路路間通信データについての送信要求は行わない。
このように、制御装置は、下位階層からのタイミング通知に基づいて、適切なタイミングで送信データを下位階層に渡すことができる。
【0092】
なお、
図10に示すように、路路間通信データの送信周期が5である場合、その送信オフセットが、例えば、3であるとすると、フレーム番号fn=3,8の制御周期おいて、路路間通信データの送信が行われる。
また、タイミング通知T1〜T9,T0が当該タイミング通知T1〜T9,T0が上位階層に与えられる制御周期に対応している場合、演算式1における(タイミング通知に含まれるフレーム番号fn)は、(タイミング通知に含まれるフレーム番号fn+1)とすればよい。
さらに、タイミング通知T1〜T9,T0が当該タイミング通知T1〜T9,T0が上位階層に与えられる制御周期の2つ次の制御周期に対応していている場合、演算式1における(タイミング通知に含まれるフレーム番号fn)は、(タイミング通知に含まれるフレーム番号fn−1)とすればよい。
このように、タイミング通知T1〜T9,T0が当該タイミング通知T1〜T9,T0が上位階層に与えられる制御周期とは別の他の任意の制御周期に対応していても演算式1における(タイミング通知に含まれるフレーム番号fn)を調整すれば演算式1を適用することができる。
【0093】
ここで、非特許文献1において1秒周期タイマとして規定されていたタイマが、非特許文献3においては、N秒周期タイマとして規定されており、リセット周期が任意のN秒に拡張されている。つまり、MAC副層が、何秒周期でリセットされるタイマに基づいて送信タイミングを決定するかは、非特許文献3において保証されていない。
【0094】
このため、非特許文献3に準拠した無線部40に対して送信データを渡す制御装置30(アプリケーションAP)を、無線部40とは別モジュールとして設計する場合、無線部40のタイマ42が何秒周期であっても対応する必要がある。この場合、前述のように制御装置30にもタイマを設けるやり方であると、制御装置30の設計が困難になるが、本実施形態のように、制御装置30が無線部40からタイミング通知を受ける方式であると、制御装置30にタイマを設ける必要がなく、無線部40のタイマが何秒周期であっても対応することができる。
【0095】
なお、データの送信周期が1,2,5,10[×10
2ms]であるときはN=1が好ましく、データの送信周期が4[×10
2ms]であるときはN=2が好ましく、データの送信周期が3,6[×10
2ms]であるときはN=3が好ましく、データの送信周期が7[×10
2ms]であるときはN=7が好ましく、データの送信周期が8[×10
2ms]であるときはN=4が好ましく、データの送信周期が9[×10
2ms]であるときはN=9が好ましい。
【0096】
また、本実施形態において、タイミング通知を生成するタイミング通知部48は、MAC副層に設けられている。タイミング通知は、MAC副層から、アプリケーションAPに直接与えられる。
ただし、タイミング通知部48は、無線部40が有する他の階層(例えば、IVC−RVC層)に設けられていても良い。
【0097】
また、
図2に示す無線通信部20は、一つの一体的な処理モジュールとして構成されていてもよいし、制御装置30と無線部40とがそれぞれ別の独立した処理モジュールとして構成され、制御装置30を構成する処理モジュールと無線部40を構成する処理モジュールの組み合わせによって無線通信部20が構成されていてもよい。
【0098】
また、上記の説明では、アプリケーションAPの機能だけを上位階層(制御装置30)に対応させ、拡張層EL以下の機能を下位階層(無線部)に対応させて説明したが、かかる対応に限定されるものではない。例えば、上位階層(制御装置30)は、アプリケーションAP及び拡張層ELの機能を有し、下位階層(無線部40)は、レイヤ7以下の階層の機能を有していても良い。非特許文献1〜3に準拠する場合、下位階層はMAC副層の機能を有していれば足り、上位階層は、MAC副層よりも上位にある少なくともいずれか一つの階層の機能を有していれば足りる。
また、N秒周期タイマ42は、1秒周期タイマであってもよい。
また、MAC副層によって生成されたタイミング通知は、順次上位の階層に与えられ、拡張層がアプリケーションAPに対してタイミング通知を行ってもよい。
【0099】
[2.5.3 タイマ値の通知]
上記の説明では、タイミング通知T1〜T9,T0は、それぞれ、制御周期の番号(フレーム番号)fnを含んでいた。したがって、制御装置30は、タイミング通知T1〜T9,T0に含まれる制御周期の番号fnを参照することで、制御周期の番号(フレーム番号)fnを把握することができる。
【0100】
これに対し、
図11に示すように、タイミング通知T1〜T9,T0は、それぞれ、制御周期の番号fnに代えて、タイマ42のタイマ値tvを含んでいても良い。制御装置30は、タイマ値tvに基づいて、例えば無線部において管理されている制御周期を把握し、送信データを無線部(無線装置)40に渡すべきかを識別することができる。なお、以下で特に説明しない点については、[2.5.2 フレーム番号(制御周期の識別子)の通知]における説明を援用する。
【0101】
本実施形態のタイマ値tvは、0[μ]からN×10
6−1[μs]の値をとる。例えば、タイマ42が1秒周期タイマである場合(N=1の場合)、タイマ値tvは、0[μs]から999999[μs]の値をとり、タイマ42が2秒周期タイマである場合(N=2)、タイマ値tvは、0[μs]から1999999[μs]の値をとる。
【0102】
タイマ値tvは、
図11に示すように、例えば、24bitの情報である。
図11では、タイマ値tvの上位4bit(bit23〜bit20)は、0であるが、これは、N=1の場合、タイマ値は下位20bit(bit19〜bit0)で表せるからである。Nが大きくなれば、上位4bit(bit23〜bit20)も使用される。
【0103】
無線部(無線装置)40のタイミング通知部48は、タイミング通知(送信タイミング情報)T1〜T9,T0を、上位階層(制御装置30)に与えるための所定のタイミングになったことを、タイマ42のタイマ値tvに基づいて検出し、所定のタイミングになると、その時点のタイマ値tvを含むタイミング通知を上位階層(制御装置30)に与える。上位階層は、タイミング通知を受けることで下位階層にデータを渡すタイミングを把握することができる。
【0104】
タイミング通知T1〜T9,T0は、制御周期に応じた周期(100ms)で、上位階層(制御装置30)に与えられる。タイミング通知T1〜T9,T0を上位階層(制御装置30)に与えるための所定のタイミングは、例えば、100msの時間幅を有する各制御周期の開示時点から50msの時点であり、1秒周期タイマ42のタイマ値tvでいうと、50ms,150ms,250ms,350ms,450ms,550ms,650ms,750ms,850ms,950msの各時点である。タイミング通知T1〜T9,T0には、これらの時刻のいずれかを示すタイマ値tvが格納される。
【0105】
制御装置30のタイミング受領部36が、タイミング通知T1〜T9,T0を受領すると、そのタイミング通知T1〜T9,T0に含まれるタイマ値tvは、識別部38に与えられる。識別部38は、タイマ値tvから、制御周期の番号(フレーム番号)fnを求める。本実施形態では、識別部38によって求められる制御周期の番号(フレーム番号)fnは、タイミング通知T1〜T9,T0が上位階層に与えられる制御周期の次の制御周期におけるフレーム番号fnである。
【0106】
フレーム番号fnは、次の式に基づいて算出することができる。
フレーム番号fn=roundup(タイマ値tv[μs]/100,000)
if fn ≧ N×10
fn=0
else
fn=fn
ここで、roundupは、小数点以下を切り上げる関数であり、roundup関数によって算出されたフレーム番号fnがN×10以上であれば、fnは0とし、そうでなければ、roundup関数によって算出されたフレーム番号fnをそのままフレーム番号fnとして採用する。
【0107】
例えば、N=2の場合、N秒周期タイマ42のタイマ値=50,000[μs]であれば、fn=roundup(50,000/100,000)=roundup(0.5)=1となり、fn=1<2×10=2であるので、fnは1となる。
図12に、N=2である場合のN秒周期タイマ42のタイマ値tvと、識別部38によって求められるフレーム番号fnと、の対応関係を示している。
【0108】
制御装置30によってフレーム番号fnが求められると、その後の処理は、フレーム番号fnが含まれたタイミング通知T1〜T9,T0にフレーム番号fnを受領した制御装置30と同様に行える。
すなわち、識別部38は、設定情報記憶部39に記憶された設定情報(
図9参照)を参照する。識別部38は、求めたフレーム番号fnと、設定情報記憶部39に記憶された設定情報と、に基づいて、送信データバッファ32に蓄積されている一又は複数のカテゴリの送信データそれぞれについて、下位階層に与えるべきかを識別する。識別の仕方の詳細は、[2.5.2 フレーム番号(制御周期の識別子)の通知]において説明したものと同様である。
【0109】
上記の説明では、識別部38は、タイミング通知T1〜T9,T0が上位階層に与えられる制御周期の次の制御周期におけるフレーム番号fnを求めていたが、識別部38は、タイミング通知T1〜T9,T0が上位階層に与えられる制御周期のフレーム番号fnを求めてもよい。また、識別部38は、タイミング通知T1〜T9,T0が上位階層に与えられる制御周期の2つ次の制御周期におけるフレーム番号fnを求めてもよい。
【0110】
また、上記の説明では、タイミング通知T1〜T9,T0は、制御周期に応じた周期(100ms)で周期的に制御装置30に与えられるため、制御装置30側では、タイミング通知T1〜T9,T0が一つの制御周期の中のどの時点で与えられるかを予め把握できるため、送信のための処理が容易となる。ただし、タイミング通知T1〜T9,T0にタイマ値tvが含まれる場合、タイミング通知T1〜T9,T0が周期的に与えられなくても、制御装置30は、タイマ値tvを参照すれば、タイミング通知T1〜T9,T0が一つの制御周期の中のどの時点で与えられたかを把握することができる。
【0111】
[3.付記]
上記実施の形態および変形例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。