(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1個の前記外周部の前記外周面の、前記周方向における前記曲面部と前記第2曲面部との間には、前記軸方向から見たときに直線状をなす平面状の平面部が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のステータ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のモータのコストを低減する上で、ステータコアの製造コストは低いことが好ましい。そこで、本発明の課題は、カーリングコアであるステータコアを有するステータにおいて、ステータコアの製造コストを低減することが可能なステータを提供することにある。また、本発明の課題は、かかるステータを備えるモータを提供することにある。さらに、本発明の課題は、かかるモータを備えるポンプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明のステータは、筒状に形成されるとともに、コイルと、絶縁部材と、絶縁部材を介してコイルが巻回される複数の突極部を有するステータコアとを備えるステータであって、ステータコアは、環状に形成される外周環部と、外周環部からステータの径方向の内側に向かって突出するとともにステータの周方向において一定の間隔で配置される複数の突極部とを備え、外周環部は、複数の突極部と同じ数の外周部によって構成され、複数の外周部のそれぞれには、1個の突極部が繋がっており、
突極部は、突極部の先端部である突極先端部と、突極先端部と外周環部とを繋ぐ連結部とから構成され、径方向における外周部の外側面を外周面とすると、1個の外周部の外周面の、周方向における両端側部分のそれぞれは、ステータの軸方向から見たときに曲率半径が等しくかつ曲率中心が共通の円弧状をなす凸曲面状の曲面部となっており、1個の外周部の外周面の、周方向における2個の曲面部の間の部分の外径は、曲面部の外径よりも小さくなって
おり、1個の外周部の外周面の、周方向における2個の曲面部の間には、軸方向から見たときに径方向の外側に向かって膨らむ円弧状をなす凸曲面状の第2曲面部が形成され、1個の外周部において、第2曲面部は、周方向における連結部の両側に位置するように形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のステータでは、外周環部の一部を構成する1個の外周部の外周面の、周方向における両端側部分のそれぞれは、ステータの軸方向から見たときに曲率半径が等しくかつ曲率中心が共通の円弧状をなす凸曲面状の曲面部となっているが、1個の外周部の外周面の、周方向における2個の曲面部の間の部分の外径は、曲面部の外径よりも小さくなっている。そのため、本発明では、たとえば、1枚の板状の材料から
図8(A)に示すコア原体105のようなコア原体(またはコア原体を構成する薄板状のコア板)を複数形成する場合に、1個の外周部の外周面の全体が1つの曲面状に形成されている場合と比較して、多くのコア原体(またはコア板)を1枚の材料から形成することが可能になる。
【0008】
すなわち、本発明では、1個の外周部の外周面の、周方向における2個の曲面部の間の部分の外径が曲面部の外径よりも小さくなっているため、1個の外周部の外周面の全体が曲面部と曲率半径の等しい1つの曲面状に形成されている場合と比較して、1枚の材料から複数のコア原体(またはコア板)を形成する際に、帯状部分103に相当する帯状部分同士の距離を近づけてもコア原体(またはコア板)を形成することが可能になり、その結果、多くのコア原体(またはコア板)を1枚の材料から形成することが可能になる。すなわち、本発明では、1枚の材料からのコア原体(またはコア板)の取り数を増やすことが可能になる。したがって、本発明では、カーリングコアであるステータコアを有するステータにおいて、ステータコアの製造コストを低減することが可能になる。
また、本発明では、1個の外周部の外周面の、周方向における2個の曲面部の間に、軸方向から見たときに径方向の外側に向かって膨らむ円弧状をなす凸曲面状の第2曲面部が形成されているため、2個の曲面部が平面状の平面部によって繋がれている場合と比較して、外周環部の断面積を確保することが可能になる。したがって、外周環部での磁気飽和を効果的に抑制することが可能になる。
【0009】
本発明において、軸方向から見たときに、曲面部の曲率中心は、ステータの軸中心と一致していることが好ましい。すなわち、環状に形成される外周環部の外周面の一部は、ステータの軸中心を曲率中心とする円弧状をなす凸曲面状の曲面部となっていることが好ましい。このように構成すると、ステータコアの外径を小さくしつつ、外周環部の断面積を確保することが可能になる。したがって、ステータコアの外径を小さくしつつ、外周環部での磁気飽和を抑制することが可能になる。
【0011】
本発明において、たとえば、1個の外周部の外周面の、周方向における曲面部と第2曲面部との間には、軸方向から見たときに直線状をなす平面状の平面部が形成されている。
【0012】
本発明において、第2曲面部には、径方向の内側に向かって窪む凹部が形成され、凹部は、軸方向における第2曲面部の全域に形成されるとともに、軸方向から見たときの形状が円弧状となるように形成され、突極部と凹部とは、径方向で重なるように配置されていることが好ましい。このように構成すると、たとえば、
図8(A)に示すコア原体105のようなコア原体を折り曲げてステータコアを形成する際に折り曲げ用の治具を凹部に押し当ててコア原体を折り曲げることが可能になる。したがって、折り曲げ用の治具を用いて適切な形状のステータを形成することが可能になる。
【0013】
本発明のステータは、駆動用磁石を有しステータの内周側に配置されるロータを備えるモータに用いることができる。また、このモータは、ロータに取り付けられる羽根車と、羽根車およびロータが配置され流体が通過するポンプ室と、ステータとポンプ室との間に配置されステータの配置箇所へのポンプ室内の流体の流入を防止する隔壁部材と、ステータを覆う樹脂製の樹脂封止部材とを備えるポンプ装置に用いることができる。このモータおよびポンプ装置では、ステータコアの製造コストを低減することが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明では、カーリングコアであるステータコアを有するステータにおいて、ステータコアの製造コストを低減することが可能になる。また、本発明のモータおよびポンプ装置では、ステータコアの製造コストを低減することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
(ポンプ装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるポンプ装置1の断面図である。なお、以下の説明では、
図1の上側(Z1方向側)を「上」側とし、
図1の下側(Z2方向側)を「下」側とする。
【0018】
本形態のポンプ装置1は、キャンドポンプ(キャンドモータポンプ)と呼ばれるタイプのポンプであり、羽根車2と、羽根車2を回転させるモータ3と、モータ3を制御するための回路基板4とを備えている。モータ3は、ロータ5とステータ6とによって構成されている。羽根車2、モータ3および回路基板4は、ハウジング7と、ハウジング7の上部を覆う上ケース8とによって構成されるケース体の内部に配置されている。ハウジング7と上ケース8とは、図示を省略するネジによって互いに固定されている。
【0019】
上ケース8には、流体の吸入部8aと、流体の吐出部8bとが形成されている。ハウジング7と上ケース8との間には、吸入部8aから吸入された流体が吐出部8bに向かって通過するポンプ室9が形成されている。また、ハウジング7と上ケース8との接合部分には、ポンプ室9の密閉性を確保するためのシール部材(Oリング)10が配置されている。ハウジング7は、ポンプ室9とステータ6とを隔てるようにポンプ室9とステータ6との間に配置される隔壁部材11と、隔壁部材11の下面および側面を覆う樹脂製の樹脂封止部材12とを備えている。
【0020】
ロータ5は、駆動用磁石14と、円筒状のスリーブ15と、駆動用磁石14およびスリーブ15を保持する保持部材16とを備えている。保持部材16は、鍔付きの略円筒状に形成されている。駆動用磁石14は、保持部材16の外周側に固定され、スリーブ15は、保持部材16の内周側に固定されている。上側に配置される保持部材16の鍔部16aには、羽根車2が固定されている。羽根車2およびロータ5は、ポンプ室9の内部に配置されている。
【0021】
ロータ5は、固定軸17に回転可能に支持されている。固定軸17は、固定軸17の軸方向と上下方向とが一致するように配置されている。すなわち、上下方向は、ロータ5の軸方向である。固定軸17の上端は、上ケース8に保持され、固定軸17の下端は、ハウジング7に保持されている。固定軸17は、スリーブ15の内周側に挿通されている。また、固定軸17には、スリーブ15の上端面に当接するスラスト軸受部材18が取り付けられている。本形態では、スリーブ15がロータ5のラジアル軸受として機能し、スリーブ15およびスラスト軸受部材18がロータ5のスラスト軸受として機能している。
【0022】
ステータ6は、コイルとしての駆動用コイル23と、ステータコア24と、絶縁部材としてのインシュレータ25とを備えており、全体として筒状に形成されている。具体的には、ステータ6は、略円筒状に形成されている。ステータ6は、隔壁部材11を介して、ロータ5の外周側に配置されている。すなわち、ロータ5は、ステータ6の内周側に配置されている。また、ステータ6は、ステータ6の軸方向と上下方向とが一致するように配置されている。すなわち、上下方向は、ステータ6の軸方向である。また、ステータ6は、駆動用コイル23の端部が絡げられて電気的に接続される端子ピン26を備えている。ステータ6の具体的な構成については後述する。なお、以下の説明では、ロータ5およびステータ6の径方向を「径方向」とし、ロータ5およびステータ6の周方向(円周方向)を「周方向」とする。
【0023】
隔壁部材11は、鍔付きの略有底円筒状に形成されており、円筒部11bと底部11cと鍔部11dとを備えている。円筒部11bは、円筒状に形成されており、駆動用磁石14の外周面を覆うように配置されている。また、円筒部11bは、円筒部11bの軸方向と上下方向とが略一致するように配置されている。底部11cは、円筒部11bの下端を塞ぐ円板状に形成されている。鍔部11dは、円筒部11bの上端から径方向の外側へ広がるように形成されている。
【0024】
底部11cの上面には、固定軸17の下端側を保持する軸保持部11hが上側へ突出するように形成されている。底部11cの下面には、回路基板4を隔壁部材11に固定するための固定用突起11jと、回路基板4を位置決めするための位置決め用突起11kとが下側へ突出するように形成されている。
図1に示すように、隔壁部材11の内側および上側がポンプ室9となっており、羽根車2およびロータ5は、隔壁部材11の内側および上側に配置されている。隔壁部材11は、ステータ6の配置箇所へのポンプ室9内の流体の流入を防止する機能を果たしている。
【0025】
回路基板4は、回路基板4の厚さ方向と上下方向とが一致するように、底部11cの下面側に固定されている。具体的には、回路基板4は、固定用突起11jと位置決め用突起11kとによって位置決めされた状態で、固定用突起11jにねじ込まれるネジ34によって、底部11cの下面側に固定されている。また、回路基板4には、端子ピン26の下端側部分が半田付けされて固定されている。
【0026】
樹脂封止部材12は、回路基板4および駆動用コイル23等を完全に覆って、回路基板4および駆動用コイル23等を流体から保護するために設けられている。この樹脂封止部材12は、回路基板4およびステータ6が取り付けられた状態の隔壁部材11に対して、樹脂材料を射出することで形成されている。具体的には、回路基板4およびステータ6が取り付けられた隔壁部材11を金型内に配置し、この金型内に樹脂材料を注入して硬化させることで樹脂封止部材12が形成されている。樹脂封止部材12は、全体として略有底円筒状に形成されており、回路基板4、ステータ6、円筒部11bおよび底部11cを完全に覆っている。また、樹脂封止部材12は、鍔部11dの下面を覆っている。
【0027】
(ステータの構成)
図2は、
図1に示すステータ6の斜視図である。
図3は、
図2に示すステータコア24の平面図である。
図4は、
図2に示すインシュレータ25の分解斜視図である。
図5は、
図3に示すステータコア24の一部分の拡大図である。
【0028】
ステータ6は、上述のように、駆動用コイル23とステータコア24とインシュレータ25と端子ピン26とを備えている。ステータコア24は、磁性材料からなる薄い磁性板が積層されて形成された積層コアである。このステータコア24は、
図3に示すように、環状に形成される外周環部24aと、外周環部24aから径方向の内側に向かって突出する複数の突極部24bとを備えている。本形態のステータコア24は、6個の突極部24bを備えている。6個の突極部24bは、等角度ピッチで形成されており、周方向において一定の間隔で配置されている。なお、ステータコア24が有する突極部24bの数は、6個以外の数であっても良い。
【0029】
外周環部24aは、上下方向から見たときの外周面の形状が略円形状となり、上下方向から見たときの内周面の形状が略六角形状となる環状に形成されている。外周環部24aの外周面は、ステータコア24の外周面を構成している。上下方向から見たときの外周環部24aの軸中心は、ステータコア24の軸中心となっている。また、上下方向から見たときのステータコア24の軸中心は、ステータ6の軸中心と一致している。
【0030】
外周環部24aは、6個の外周部24eによって構成されている。すなわち、外周環部24aは、突極部24bと同じ数の外周部24eによって構成されている。周方向における外周環部24aの一部分であって、上下方向から見たときに略六角形状をなす外周環部24aの内周面の1つの頂点とその頂点に隣り合う頂点との間の部分が1つの外周部24eとなっている。すなわち、周方向における外周環部24aの一部分であって、上下方向から見たときに略六角形状をなす外周環部24aの内周面の一辺に対応する部分が1つの外周部24eとなっている。
【0031】
突極部24bは、周方向における外周部24eの中心に形成されている。すなわち、6個の外周部24eのそれぞれには、1個の突極部24bが繋がっている。また、突極部24bは、突極部24bの先端部である突極先端部24cと、突極先端部24cと外周環部24aとを繋ぐ連結部24dとから構成されている。突極先端部24cは、上下方向から見たときに、直線状に形成される連結部24dの先端(径方向内側端)から周方向の両側に向かって伸びる略円弧状に形成されている。径方向における突極先端部24cの内側面は、円筒部11bを介して駆動用磁石14の外周面と対向している。
【0032】
上述のように、外周環部24aは、上下方向から見たときの内周面の形状が略六角形状となる環状に形成されており、径方向における外周部24eの内側面は、連結部24dに直交する平面状に形成されている。外周環部24aの内周面の、周方向で隣接する外周部24eの境界部分には、径方向の内側へ突出する突出部24fが形成されている。突出部24fは、周方向で隣接する外周部24eの境界部分における外周環部24aの断面積を確保して、この境界部分での磁気飽和を防止するために形成されている。
【0033】
径方向における外周部24eの外側面を外周面24gとすると、外周面24gの周方向における両端側部分のそれぞれは、凸曲面状をなす曲面部24hとなっている。1個の外周面24gに形成される2個の曲面部24hは、上下方向から見たときに曲率半径が等しくかつ曲率中心が共通の円弧状となるように形成されている。本形態では、上下方向から見たときの曲面部24hの曲率中心C1(
図3参照)は、ステータ6の軸中心(すなわち、ステータコア24の軸中心)と一致している。1個の外周面24gの、周方向における2個の曲面部24hの間の部分の外径は、曲面部24hの外径(直径)D(
図5(A)参照)よりも小さくなっている。すなわち、
図5(A)に示すように、1個の外周面24gの、周方向における2個の曲面部24hの間の部分は、上下方向から見たときに、2個の曲面部24hを結ぶ、曲面部24hと曲率半径の等しい仮想円弧VAよりも径方向の内側に配置されている。
【0034】
1個の外周面24gの周方向における2個の曲面部24hの間には、上下方向から見たときに円弧状をなす凸曲面状の第2曲面部24jと、上下方向から見たときに直線状をなす平面状の2個の平面部24kと、上下方向から見たときに直線状をなす平面状の2個の平面部24nとが形成されている。第2曲面部24jには、径方向の内側に向かって窪む凹部24pが形成されている。2個の平面部24nのそれぞれの一端は、第2曲面部24jの両端側のそれぞれに繋がっている。2個の平面部24kのそれぞれの一端は、2個の平面部24nのそれぞれの他端に繋がり、2個の平面部24kのそれぞれの他端は、2個の曲面部24hのそれぞれに繋がっている。すなわち、外周面24gの周方向における曲面部24hと第2曲面部24jとの間に平面部24kが形成されている。
【0035】
凹部24pは、上下方向から見たときの形状が円弧状となるように形成されている。また、凹部24pは、上下方向における第2曲面部24jの全域に形成されている。さらに、凹部24pは、上下方向から見たときに、周方向における第2曲面部24jの中心に形成されている。第2曲面部24jは、上下方向から見たときに、周方向における第2曲面部24jの中心と突極部24bの中心とが周方向において一致するように形成されている。すなわち、第2曲面部24jは、上下方向から見たときに、周方向における第2曲面部24jの中心と突極部24bの中心とが径方向で重なるように形成されている。上述のように、凹部24pは、上下方向から見たときに、周方向における第2曲面部24jの中心に形成されているため、凹部24pと突極部24bとは、径方向で重なるように配置されている。
【0036】
平面部24kは、連結部24dに直交する平面状に形成されている。平面部24nの他端に繋がる平面部24kの一端は、第2曲面部24jの端部よりも径方向の外側に配置されている。平面部24nは、第2曲面部24jの両端のそれぞれから平面部24kの一端に向かって(すなわち、径方向の外側に向かって)形成されている。なお、本形態では、第2曲面部24jの曲率中心は、曲面部24hの曲率中心C1と一致しており、第2曲面部24jの曲率半径は、曲面部24hの曲率半径よりも小さくなっている。ただし、第2曲面部24jの曲率半径と曲面部24hの曲率半径とが等しくなるとともに、第2曲面部24jの曲率中心と曲面部24hの曲率中心C1とがずれていても良い。
【0037】
また、ステータコア24は、直線状に繋がっていた6個の外周部24e(
図6参照)を、外周部24eと外周部24eとの境界部分で折り曲げてその端部同士を繋ぐことで形成されるカーリングコアである。すなわち、ステータコア24は、外周環部24aとなる帯状のコアと、この帯状のコアの一方の面から立ち上がる6個の突極部24bとから構成されるコアの端部同士を繋ぐことで、環状に形成されている。そのため、
図3に示すように、周方向における外周部24eの間の1箇所には、つなぎ目24rが形成されている。本形態では、つなぎ目24rにおいて、帯状のコアの端部同士が溶接されて互いに固定されており、つなぎ目24rには、溶接跡が形成されている。
【0038】
インシュレータ25は、樹脂等の絶縁性材料で形成されている。このインシュレータ25は、突極部24bごとに取り付けられており、ステータ6は、6個のインシュレータ25を備えている。すなわち、ステータ6は、突極部24bと同じ数のインシュレータ25を備えている。また、インシュレータ25は、両端に鍔部を有する鍔付きの筒状に形成されており、インシュレータ25の軸方向とステータ6の径方向とが一致するように突極部24bに取り付けられている。インシュレータ25は、上下方向に分割可能な第1インシュレータ30と第2インシュレータ31とによって構成されており(
図4参照)、第1インシュレータ30と第2インシュレータ31とを組み合わせることでインシュレータ25が形成される。第1インシュレータ30は下側に配置され、第2インシュレータ31は上側に配置されている。
【0039】
図4に示すように、第1インシュレータ30は、連結部24dの下端側部分の側面および連結部24dの下面を覆う四角溝状の半筒部30aと、半筒部30aの径方向の内側端に繋がる内側鍔部30bと、半筒部30aの径方向の外側端に繋がる外側鍔部30cとから構成されている。内側鍔部30bは、径方向における半筒部30aの内側端から周方向の両側および下側へ広がる鍔状に形成されており、突極先端部24cの下端面および突極先端部24cの下端側部分の外周側を覆っている。
【0040】
外側鍔部30cは、径方向における半筒部30aの外側端から周方向の両側および下側へ広がる鍔状に形成されており、外周部24eの一部(すなわち、周方向における外周環部24aの一部)の下端面および外周部24eの一部の下端側部分の内周側を覆っている。また、周方向における外側鍔部30cの両端側には、
図4、
図5(B)に示すように、突出部24fを下側から覆うとともに、突出部24fの下端側部分を突極部24b側から覆う(すなわち、周方向における外周部24eの内側から覆う)覆部30dが形成されている。
【0041】
第2インシュレータ31は、
図4に示すように、連結部24dの上端側部分の側面および連結部24dの上面を覆う四角溝状の半筒部31aと、半筒部31aの径方向の内側端に繋がる内側鍔部31bと、半筒部31aの径方向の外側端に繋がる外側鍔部31cとから構成されている。内側鍔部31bは、径方向における半筒部31aの内側端から周方向の両側および上側へ広がる鍔状に形成されており、突極先端部24cの下端側部分の外周側を覆っている。
【0042】
外側鍔部31cは、径方向における半筒部31aの外側端から周方向の両側および上側へ広がる鍔状に形成されており、外周部24eの一部(すなわち、周方向における外周環部24aの一部)の上端面および外周部24eの一部の上端側部分の内周側を覆っている。また、周方向における外側鍔部31cの両端側には、
図4、
図5(B)に示すように、突出部24fを上側から覆うとともに、突出部24fの上端側部分を突極部24b側から覆う(すなわち、周方向における外周部24eの内側から覆う)覆部31dが形成されている。
【0043】
少なくとも突出部24fの上端側部分および下端側部分は、突極部24b側から覆部30dと覆部31dとによって覆われている。覆部30d、31dは、インシュレータ25を介して駆動用コイル23を巻回する際に、駆動用コイル23を構成する導線と突出部24fとが接触するのを防止する機能を果たしている。そのため、本形態では、駆動用コイル23を構成する導線と突出部24fとの接触に起因する導線の被膜の損傷を防止することが可能になっている。
【0044】
端子ピン26の上端側部分は、第1インシュレータ30に圧入されて固定されている。すなわち、端子ピン26は、第1インシュレータ30の下端面から突出するように第1インシュレータ30に固定されている。また、2本の端子ピン26が1個の第1インシュレータ30に固定されている。
【0045】
駆動用コイル23は、アルミニウム合金または銅合金からなる導線によって構成されている。この駆動用コイル23は、インシュレータ25を介して突極部24bに巻回されている。具体的には、駆動用コイル23は、半筒部30a、31aを介して連結部24dに巻回されている。駆動用コイル23の一端部は、第1インシュレータ30に固定される2本の端子ピン26の一方に絡げられて固定され、駆動用コイル23の他端部は、2本の端子ピン26の他方に絡げられて固定されている。
【0046】
(ステータの製造方法)
図6は、加工後に
図3に示すステータコア24となるコア原体54の平面図である。
図7(A)は、
図6に示すコア原体54を構成するコア板55の製造方法を説明するための図であり、
図7(B)は、
図7(A)に示す材料板60の一部の拡大図である。
【0047】
ステータ6は、以下のように製造される。まず、加工後にステータコア24となるコア原体54(
図6参照)を製造する。コア原体54は、
図6に示すように、折曲げ部54aを介して繋がる6個の外周部24eによって構成される直線状の帯状部54bと、6個の外周部24eのそれぞれから帯状部54bの長手方向に直交する方向へ突出する6個の突極部24bとを備えている。上述のようにステータコア24は積層コアであり、コア原体54は、厚さ方向から見たときにコア原体54と同形状を有する薄板状のコア板55が積層されて互いに固定されることで形成されている。なお、帯状部54bの両端および折曲げ部54aの近傍には、加工後に突出部24fとなる突出部54cが形成されている。
【0048】
コア原体54を製造するときには、まず、磁性材料からなる薄板状の材料板60から
図7(A)の斜線部分をプレスの打ち抜き加工によって打ち抜くことで、複数のコア板55を形成する。このプレス加工で使用される金型は、打ち抜かれるコア板55の、帯状部54bとなる部分同士が隣接配置されるとともに、1個のコア板55の、突極部24bとなる部分の間に、他のコア板55の、突極部24bとなる部分が配置されるように形成されている。また、材料板60から打ち抜かれた形成された複数のコア板55を積層して固定することでコア原体54を製造する。
【0049】
その後、コア原体54にインシュレータ25を取り付ける。また、第1インシュレータ30に端子ピン26を圧入して固定する。その後、インシュレータ25を介して突極部24bに駆動用コイル23を巻回するとともに、駆動用コイル23を端子ピン26に半田付けして固定する。インシュレータ25を介して突極部24bに駆動用コイル23を巻回する際には、インシュレータ25の覆部30d、31dによって、駆動用コイル23を構成する導線とステータコア24の突出部24fとの接触が防止される。
【0050】
その後、直線状の帯状部54bが環状をなす外周環部24aとなるように、かつ、径方向における外周環部24aの内側へ突極部24bが突出するように、帯状部54bを折曲げ部54aで順次、折り曲げる。帯状部54bを折り曲げるときには、凹部24pに折り曲げ用の治具(図示省略)を押し当てて帯状部54bを折り曲げる。その後、帯状部54bの端部同士を溶接等によって繋ぐ。帯状部54bの端部同士が繋がれるとステータ6が完成する。なお、ステータ6が完成すると、ステータ6の内周側に隔壁部材11の円筒部11bを挿入する。その後、回路基板4を隔壁部材11に固定するとともに、端子ピン26を回路基板4に半田付けして固定する。また、その後、ステータ6および回路基板4を覆うように樹脂封止部材12を形成する。
【0051】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のステータコア24では、1個の外周面24gの、周方向における2個の曲面部24hの間の部分の外径は、曲面部24hの外径Dよりも小さくなっている。そのため、本形態では、1枚の材料板60から複数のコア板55を形成するための金型において、打ち抜かれるコア板55の、帯状部54bとなる部分同士の距離を近づけることが可能になる。すなわち、1個の外周面24gの全体が曲面部24hと曲率半径の等しい1つの曲面状に形成されている場合には、たとえば、
図7(B)の一点鎖線で示す部分が隣り合うコア板55の一部と干渉するため、コア板55を形成するための金型において、打ち抜かれるコア板55の、帯状部54bとなる部分同士の距離を近づけることはできないが、本形態では、打ち抜かれるコア板55の、帯状部54bとなる部分同士の距離を近づけることが可能になる。
【0052】
したがって、本形態では、1個の外周面24gの全体が1つの曲面状に形成されている場合と比較して、材料板60から複数のコア板55を形成する際に、多くのコア板55を1枚の材料板60から形成することが可能になる。すなわち、本形態では、1枚の材料板60からのコア板55の取り数を増やすことが可能になる。したがって、本形態では、カーリングコアであるステータコア24の製造コストを低減することが可能になる。
【0053】
本形態では、曲面部24hは、ステータ6の軸中心を曲率中心C1とする円弧状をなす凸曲面状に形成されている。すなわち、本形態では、外周環部24aの外周面の一部は、テータ6の軸中心を曲率中心C1とする凸曲面状の曲面部24hとなっている。そのため、本形態では、ステータコア24の外径を小さくしつつ、外周環部24aの断面積を確保することが可能になる。したがって、本形態では、ステータコア24の外径を小さくしつつ、外周環部24aでの磁気飽和を抑制することが可能になる。
【0054】
また、本形態では、1個の外周面24gの周方向における2個の曲面部24hの間に、上下方向から見たときの形状が円弧状をなす凸曲面状の第2曲面部24jが形成されている。そのため、本形態では、周方向における2個の曲面部24hの間に凹部24pが形成されていても、2個の曲面部24hが平面状の平面部によって繋がれている場合と比較して、周方向における外周部24eの中心部分での外周環部24aの断面積を確保することが可能になる。したがって、本形態では、外周環部24aでの磁気飽和を効果的に抑制することが可能になる。
【0055】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0056】
上述した形態では、ステータコア24は、積層コアであるが、ステータコア24は、積層コアでなくても良い。この場合であっても、1枚の材料板からのコア原体54の取り数を増やすことが可能になるため、カーリングコアであるステータコア24の製造コストを低減することが可能になる。また、上述した形態では、上下方向から見たときの曲面部24hの曲率中心C1は、ステータ6の軸中心と一致しているが、曲率中心C1は、ステータ6の軸中心からずれていても良い。さらに、上述した形態では、外周部24eに凹部24pが形成されているが、外周部24eに凹部24pが形成されていなくても良い。
【0057】
上述した形態では、曲面部24hと第2曲面部24jとが2個の平面部24k、24nを介して繋がっているが、曲面部24hと第2曲面部24jとが平面状に形成される1個の平面部を介して繋がっていても良い。また、上述した形態では、1個の外周面24gの周方向における2個の曲面部24hの間に1個の第2曲面部24jが形成されているが、1個の外周面24gの周方向における2個の曲面部24hの間に、第2曲面部24jに加えて、第2曲面部24jと異なる1個以上の曲面部が形成されても良い。さらに、上述した形態では、1個の外周面24gの周方向における2個の曲面部24hの間に第2曲面部24jが形成されているが、平面状に形成される1個の平面部を介して2個の曲面部24hが繋がっていても良い。
【0058】
上述した形態では、6個の第1インシュレータ30および第2インシュレータ31のそれぞれが6個の突極部24bのそれぞれに取り付けられており、第1インシュレータ30および第2インシュレータ31は、突極部24bごとに分割されているが、第1インシュレータ30および第2インシュレータ31は、突極部24bごとに分割されていなくても良い。たとえば、6個の第1インシュレータ30が一体で形成され、6個の第2インシュレータ31が一体で形成されても良い。また、上述した形態では、モータ3は、ポンプ装置1で使用されているが、モータ3は、ポンプ装置1以外の装置で使用されても良い。また、上述した形態では、ステータ6は、モータ3で使用されているが、ステータ6は、発電機で使用されても良い。