(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記押付機構は、前記当接面に向かって前記搬送対象物の端面を押す押付部と、前記押付部を駆動するエアシリンダと、前記押付部の動きを検知する検知機構とを備えることを特徴とする請求項1記載の産業用ロボット。
4個の前記ハンドのうちの一番上に配置される前記ハンドを第1ハンドとし、上から二番目に配置される前記ハンドを第2ハンドとし、上から三番目に配置される前記ハンドを第3ハンドとし、一番下に配置される前記ハンドを第4ハンドとすると、
中空状に形成され前記第1ハンドの基端側部分の下面側が固定される第1中空回動軸と、中空状に形成され前記第1中空回動軸の外周側にかつ前記第1中空回動軸と同軸上に配置されるとともに前記第2ハンドの基端側部分の下面側が固定される第2中空回動軸と、中空状に形成され前記第2中空回動軸の外周側にかつ前記第1中空回動軸と同軸上に配置されるとともに前記第3ハンドの基端側部分の下面側が固定される第3中空回動軸と、中空状に形成され前記第3中空回動軸の外周側にかつ前記第1中空回動軸と同軸上に配置されるとともに前記第4ハンドの基端側部分の下面側が固定される第4中空回動軸とを備え、
前記第1ハンドおよび前記第2ハンドの前記保持部は、前記端面当接部材と前記押付機構とを備え、
前記第3ハンドおよび前記第4ハンドの前記保持部は、前記搬送対象物を吸引して保持することを特徴とする請求項2記載の産業用ロボット。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
(産業用ロボットの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の平面図である。
図2は、
図1に示す産業用ロボット1の側面図である。
図3は、
図2に示す産業用ロボット1の手首部11の断面図である。
【0019】
本形態の産業用ロボット1は、搬送対象物としての半導体ウエハ2を搬送するための水平多関節型ロボットである。この産業用ロボット1は、半導体ウエハ2が搭載される4個のハンド3〜6と、4個のハンド3〜6が回動可能に連結されるアーム7と、アーム7の基端側が回動可能に連結される本体部8とを備えている。以下の説明では、産業用ロボット1を「ロボット1」とし、半導体ウエハ2を「ウエハ2」とする。
【0020】
4個のハンド3〜6は、4個のハンド3〜6の基端側が上下方向で重なるようにアーム7の先端側に連結されている。以下、4個のハンド3〜6を区別して表す場合には、4個のハンド3〜6のうちの一番上に配置されるハンド3を「第1ハンド3」とし、上から二番目に配置されるハンド4を「第2ハンド4」とし、上から三番目に配置されるハンド5を「第3ハンド5」とし、一番下に配置されるハンド6を「第4ハンド6」とする。本形態では、第1ハンド3と第2ハンド4とによって第1ハンド対が構成されており、第3ハンド5と第4ハンド6とによって第2ハンド対が構成されている。
【0021】
本体部8は、略四角柱状に形成されている。本体部8の内部には、アーム7を昇降させるアーム昇降機構(図示省略)が収納されている。アーム7は、第1アーム部9と第2アーム部10とから構成されている。第1アーム部9および第2アーム部10は、中空状に形成されている。第1アーム部9の基端側は、本体部8に回動可能に連結されている。第2アーム部10の基端側は、第1アーム部9の先端側に回動可能に連結されている。また、ロボット1は、本体部8に対して第1アーム部9を回動させる第1アーム駆動機構(図示省略)と、第1アーム部9に対して第2アーム部10を回動させる第2アーム駆動機構(図示省略)とを備えている。
【0022】
4個のハンド3〜6は、第2アーム部10の先端側に回動可能に連結されている。ハンド3〜6と第2アーム部10との連結部は、手首部11となっている。ハンド3〜6は、アーム7に対して個別に回動可能となっている。また、ハンド3〜6は、上下方向から見たときに共通の回動中心C1(
図1参照)を中心に回動可能となっている。本体部8と第1アーム部9と第2アーム部10とハンド3〜6とは、上下方向において、下側からこの順番で配置されている。
【0023】
また、ロボット1は、第1ハンド3を回動させる第1ハンド駆動機構と、第2ハンド4を回動させる第2ハンド駆動機構と、第3ハンド5を回動させる第3ハンド駆動機構と、第4ハンド6を回動させる第4ハンド駆動機構とを備えている。第1ハンド駆動機構は、モータ12を備えている。第2ハンド駆動機構は、モータ13を備えている。また、第3ハンド駆動機構は、モータ14を備え、第4ハンド駆動機構は、モータ15を備えている。
【0024】
モータ12、13は、第1アーム部9と本体部8との連結部分に配置されている。また、モータ12とモータ13とは、隣り合うように配置されている。モータ14、15は、第2アーム部10の基端側の内部に配置されている。また、モータ14とモータ15とは、隣り合うように配置されている。本形態では、モータ12、13が第1アーム部9の基端側に配置されているため、本体部8に対する第1アーム部9の回動時のイナーシャを低減することが可能となっている。また、本形態では、モータ14、15が第2アーム部10の基端側に配置されているため、第1アーム部9に対する第2アーム部10の回動時のイナーシャを低減することが可能となっている。
【0025】
また、第1ハンド駆動機構は、モータ12の動力を第1ハンド3に伝達するためのプーリ16およびベルト17(
図3参照)等を備えている。同様に、第2ハンド駆動機構は、モータ13の動力を第2ハンド4に伝達するためのプーリ18およびベルト19(
図3参照)等を備え、第3ハンド駆動機構は、モータ14の動力を第3ハンド5に伝達するためのプーリ20およびベルト21(
図3参照)等を備え、第4ハンド駆動機構は、モータ15の動力を第4ハンド6に伝達するためのプーリ22およびベルト23(
図3参照)等を備えている。
【0026】
(第1ハンドおよび第2ハンドの構成)
図4は、
図1に示す第1ハンド3の先端側部分の構成を説明するための平面図である。
図5は、
図4のE部の拡大図である。
【0027】
第1ハンド3および第2ハンド4は、上下方向から見たときに屈曲するように形成されている。具体的には、第1ハンド3および第2ハンド4は、上下方向から見たときに所定の角度で1回屈曲するように形成されている。また、第1ハンド3および第2ハンド4は、上下方向から見たときに所定の軸線を対称軸とする略線対称に形成されている。すなわち、上下方向から見たときの第1ハンド3の屈曲方向と第2ハンド4の屈曲方向とは逆方向となっている。
【0028】
第1ハンド3は、基端側部分3aと先端側部分3bとによって構成されている。また、第1ハンド3は、上下方向から見たときに基端側部分3aと先端側部分3bとのなす角度が鈍角となるように、1回屈曲しており、全体として略L形状(あるいは略「く」の字形状)に形成されている。先端側部分3bは、ウエハ2が搭載される搭載部としてのウエハ搭載部3cと、ウエハ搭載部3cを支持する支持部3dとから構成されている。支持部3dは、基端側部分3aとウエハ搭載部3cとの間に配置されており、基端側部分3aとウエハ搭載部3cと繋いでいる。ウエハ搭載部3cの先端側は、二股状に形成されており、上下方向から見たときのウエハ搭載部3cの形状は、略Y形状となっている。ウエハ搭載部3cは、平板状に形成されている。基端側部分3aおよび支持部3dは、中空状に形成されている。また、基端側部分3aの内部は、支持部3dの内部に通じている。
【0029】
同様に、第2ハンド4は、基端側部分4aと先端側部分4bとによって構成されている。また、第2ハンド4は、上下方向から見たときに基端側部分4aと先端側部分4bとのなす角度が鈍角となるように、1回屈曲しており、全体として略L形状(あるいは略「く」の字形状)に形成されている。先端側部分4bは、ウエハ2が搭載される搭載部としてのウエハ搭載部4cと、ウエハ搭載部4cを支持する支持部4dとから構成されている。支持部4dは、基端側部分4aとウエハ搭載部4cとの間に配置されており、基端側部分4aとウエハ搭載部4cと繋いでいる。ウエハ搭載部4cは、ウエハ搭載部3cと同形状に形成されている。基端側部分4aおよび支持部4dは、中空状に形成されている。また、基端側部分4aの内部は、支持部4dの内部に通じている。
【0030】
第1ハンド3および第2ハンド4は、ウエハ2を保持する保持部30を備えている。保持部30は、
図4に示すように、ウエハ2の端面(外周面)が当接する当接面31aを有する端面当接部材31と、ウエハ2の端面が当接面31aに押し付けられるようにウエハ2を押す押付機構32とを備えるグリップ型の保持部である。端面当接部材31は、二股状に形成されるウエハ搭載部3c、4cの先端側の上面に固定されている。すなわち、ウエハ搭載部3c、4cには、2個の端面当接部材31が固定されている。なお、ウエハ搭載部3c、4cの基端側の上面の2箇所には、ウエハ2が載置されるウエハ載置部材33が固定されており、ウエハ2は、端面当接部材31とウエハ載置部材33とに搭載される。
【0031】
押付機構32は、当接面31aに向かってウエハ2の端面(外周面)を押す押付部34と、押付部34を駆動するエアシリンダ35と、押付部34の動きを検知する検知機構36とを備えている。押付部34は、ウエハ2の端面に接触するローラ37と、ローラ37を回転可能に保持するローラ保持部材38とを備えている。検知機構36は、ローラ保持部材38に固定される検知板39と、2個のセンサ40とを備えている。
【0032】
ローラ保持部材38は、細長い略直方体状に形成されている。ローラ保持部材38の基端側は、エアシリンダ35のロッドに固定されている。ローラ37は、ローラ保持部材38の先端側に保持されている。このローラ37は、上下方向を回転の軸方向として回転可能となっている。押付部34は、
図5の二点鎖線で示すようにローラ37がウエハ2の端面に接触して当接面31aに向かってウエハ2を押し付ける押付位置と、
図5の実線で示すようにローラ37がウエハ2の端面から離れるように退避する退避位置との間で直線的に移動する。
【0033】
センサ40は、互いに対向するように配置される発光素子と受光素子とを有する透過型の光学式センサである。検知板39には、センサ40の発光素子と受光素子との間を遮るための遮光部39aが形成されている。押付部34が押付位置にあるときには、2個のセンサ40のうちの一方のセンサ40の発光素子と受光素子との間が遮光部39aによって遮られ、押付部34が退避位置にあるときには、2個のセンサ40のうちの他方のセンサ40の発光素子と受光素子との間が遮光部39aによって遮られる。
【0034】
エアシリンダ35は、中空状に形成される支持部3d、4dの内部に配置されている。ローラ保持部材38は、ローラ保持部材38の先端側の一部分を除いて、支持部3d、4dの内部に配置されており、検知板39は、支持部3d、4dの内部に配置されている。また、センサ40は、支持部3d、4dの内部に配置されている。すなわち、検知機構36は、支持部3d、4dの内部に配置されている。なお、
図5に示すように、支持部3d、4dの内部には、直線的に移動するローラ保持部材38を案内するためのガイドレール41が固定されている。ガイドレール41には、ローラ保持部材38の下面側に固定されるガイドブロック42が係合している。
【0035】
(第3ハンドおよび第4ハンドの構成)
第3ハンド5および第4ハンド6は、第1ハンド3および第2ハンド4と同様に、上下方向から見たときに屈曲するように形成されている。すなわち、第3ハンド5および第4ハンド6は、上下方向から見たときに所定の角度で1回屈曲するように形成されている。また、第3ハンド5および第4ハンド6は、上下方向から見たときに所定の軸線を対称軸とする略線対称に形成されており、上下方向から見たときの第3ハンド5の屈曲方向と第4ハンド5の屈曲方向とは逆方向となっている。
【0036】
第3ハンド5は、基端側部分5aと先端側部分5bとによって構成されている。また、第3ハンド5は、上下方向から見たときに基端側部分5aと先端側部分5bとのなす角度が鈍角となるように、1回屈曲しており、全体として略L形状(あるいは略「く」の字形状)に形成されている。先端側部分5bは、ウエハ2が搭載されるウエハ搭載部5cと、ウエハ搭載部5cを支持する支持部5dとから構成されている。支持部5dは、基端側部分5aとウエハ搭載部5cとの間に配置されており、基端側部分5aとウエハ搭載部5cと繋いでいる。
【0037】
同様に、第4ハンド6は、基端側部分6aと先端側部分6bとによって構成されている。また、第4ハンド6は、上下方向から見たときに基端側部分6aと先端側部分6bとのなす角度が鈍角となるように、1回屈曲しており、全体として略L形状(あるいは略「く」の字形状)に形成されている。先端側部分6bは、ウエハ2が搭載されるウエハ搭載部6cと、ウエハ搭載部6cを支持する支持部6dとから構成されている。支持部6dは、基端側部分6aとウエハ搭載部6cとの間に配置されており、基端側部分6aとウエハ搭載部6cと繋いでいる。
【0038】
第3ハンド5は、中空状に形成されている。すなわち、基端側部分5a、ウエハ搭載部5cおよび支持部5dは、基端側部分5aの内部とウエハ搭載部5cの内部と支持部5dの内部とが通じる中空状に形成されている。同様に、第4ハンド6は、中空状に形成されている。すなわち、基端側部分6a、ウエハ搭載部6cおよび支持部6dは、基端側部分6aの内部とウエハ搭載部6cの内部と支持部6dの内部とが通じる中空状に形成されている。
【0039】
第3ハンド5および第4ハンド6は、ウエハ2を保持する保持部45を備えている。保持部45は、ウエハ2を吸引して保持する吸引孔46(
図1参照)を備えている。すなわち、第3ハンド5および第4ハンド6は、吸引型の保持部45を備えており、ウエハ2を吸引して保持する。吸引孔46は、ウエハ搭載部5c、6cの先端側に形成されている。この吸引孔46は、中空状に形成されるウエハ搭載部5c、6cの内部から上側へ貫通するように形成されている。ウエハ搭載部5cに形成される吸引孔46には、後述の空気配管64の一端が繋がっている。ウエハ搭載部6cに形成される吸引孔46には、後述の空気配管62の一端が繋がっている。
【0040】
(手首部の構成)
図6は、
図3に示す中空回動軸54の一部分の断面図である。
図7は、
図3に示す軸支持部材55の断面図である。
図8は、
図7のF−F方向から軸支持部材55の一部を示す図である。
【0041】
手首部11には、
図3に示すように、中空状に形成される第1中空回動軸としての中空回動軸51と、中空状に形成され中空回動軸51の外周側に配置されるとともに中空回動軸51と同軸上に配置される第2中空回動軸としての中空回動軸52と、中空状に形成され中空回動軸52の外周側に配置されるとともに中空回動軸51と同軸上に配置される第3中空回動軸としての中空回動軸53と、中空状に形成され中空回動軸53の外周側に配置されるとともに中空回動軸51と同軸上に配置される第4中空回動軸としての中空回動軸54とが配置されている。
【0042】
中空回動軸51〜54は、細長い略円筒状に形成されており、中空回動軸51〜54の軸方向と上下方向とが一致するように配置されている。また、中空回動軸51〜54は、上下方向から見たときに共通の回動中心C1を中心に回動可能となっている。中空回動軸51の長さは、中空回動軸52の長さよりも長くなっている。また、中空回動軸52の長さは、中空回動軸53の長さよりも長くなっており、中空回動軸53の長さは、中空回動軸54の長さよりも長くなっている。また、中空回動軸51の上端、中空回動軸52の上端、中空回動軸53の上端および中空回動軸54の上端は、上側からこの順番で配置され、中空回動軸51の下端、中空回動軸52の下端、中空回動軸53の下端および中空回動軸54の下端は、下側からこの順番で配置されている。
【0043】
中空回動軸51の上端には、第1ハンド3の基端側部分3aの下面側が固定され、中空回動軸52の上端には、第2ハンド4の基端側部分4aの下面側が固定され、中空回動軸53の上端には、第3ハンド5の基端側部分5aの下面側が固定され、中空回動軸54の上端には、第4ハンド6の基端側部分6aの下面側が固定されている。中空回動軸51の下端側には、プーリ16が固定され、中空回動軸52の下端側には、プーリ18が固定され、中空回動軸53の下端側には、プーリ20が固定され、中空回動軸54の下端側には、プーリ22が固定されている。
【0044】
図3に示すように、プーリ16、18、20、22は、第2アーム部10の先端側の内部に配置されている。すなわち、中空回動軸51〜54の下端側部分は、第2アーム部10の先端側の内部に配置されている。第2アーム部10の先端側には、円筒状に形成され中空回動軸54の外周側に配置されるとともに中空回動軸51と同軸上に配置される軸支持部材55が固定されている。軸支持部材55は、第2アーム部10の上面側に固定されている。
【0045】
第1ハンド3の基端側部分3aの下面側には、中空状に形成される基端側部分3aの内部が中空回動軸51の内周側に通じるように貫通孔3eが形成されており、基端側部分3aの内部と中空回動軸51の内周側とは、貫通孔3eを介して繋がっている。第2ハンド4の基端側部分4aには、上下方向に貫通する貫通孔4eが形成されている。貫通孔4eには、中空回動軸51の上端側部分が挿通されている。第3ハンド5の基端側部分5aには、上下方向に貫通する貫通孔5eが形成されている。貫通孔5eには、中空回動軸51、52の上端側部分が挿通されている。第4ハンド6の基端側部分6aには、上下方向に貫通する貫通孔6eが形成されている。貫通孔6eには、中空回動軸51〜53の上端側部分が挿通されている。
【0046】
第2ハンド4の貫通孔4eに挿通される中空回動軸51の上端側部分には、中空回動軸51の径方向で中空回動軸51を貫通するように形成されるとともに中空回動軸51の周方向を長手方向とするスリット状の切欠き部51aが形成されている。この切欠き部51aは、中空回動軸52の上端よりも上側に配置されている。基端側部分4aの内部には、管状に形成される管状部材56が固定されている。管状部材56は、管状部材56の軸方向と中空回動軸51の径方向とが一致するように配置されており、管状部材56の一端側部分は、中空回動軸51の径方向において切欠き部51aに挿通されている。管状部材56の一端は、中空回動軸51の内周面よりも内周側に配置されている。
【0047】
軸支持部材55には、軸支持部材55の下端面から軸支持部材55の内周面に通じる2個の空気孔55a、55bが形成されている。空気孔55a、55bは、軸支持部材55の下端面の外周側部分から上側に向かって形成される縦孔と、この縦孔の上端から軸支持部材55の内周面に向かって形成される横孔とから構成されている。
図7、
図8に示すように、空気孔55aと空気孔55bとは、軸保持部材55の周方向においてずれている。また、空気孔55aの横孔と空気孔55bの横孔とは上下方向においてずれている。
【0048】
図3に示すように、空気孔55bの下端には継手57が固定されており、継手57には、空気配管58の一端が接続されている。空気配管58の他端は、たとえば、本体部8の内部に配置される空気の吸引手段(図示省略)に接続されている。同様に、空気孔55aの下端にも継手(図示省略)が固定されており、この継手には、空気配管(図示省略)の一端が接続されている。この空気配管の他端は、たとえば、本体部8の内部に配置される空気の吸引手段(図示省略)に接続されている。
【0049】
図7に示すように、軸支持部材55の内周面には、空気孔55aの横孔が通じる円環状の空気溝55cと、空気孔55bの横孔が通じる円環状の空気溝55dとが形成されている。また、軸支持部材55の内周面の、空気溝55cの上側、空気溝55dの下側、および、空気溝55cと空気溝55dとの間には、Oリング59が配置される円環状のシール配置溝55eが形成されている。このOリング59は、空気溝55c、55dからの空気の漏れを防止する機能を果たしている。
【0050】
中空回動軸54には、中空回動軸54の外周面から中空回動軸54の内周面に通じる空気孔54aが形成されている。空気孔54aは、上下方向において空気溝55cと同じ高さに配置されており、中空回動軸54の外周面に形成される空気孔54aの一端は、空気溝55cに通じている。
図6に示すように、中空回動軸54の内周面には、空気孔54aの他端が通じる円環状の空気溝54bが形成されている。また、中空回動軸54の内周面の、空気溝54bの上側、および、空気溝54bの下側には、Oリング59が配置される円環状のシール配置溝54cが形成されている。このOリング59は、空気溝54bからの空気の漏れを防止する機能を果たしている。
【0051】
また、中空回動軸54には、中空回動軸54の外周面から中空回動軸54の上端面に通じる空気孔54dが形成されている。空気孔54dは、中空回動軸54の外周面から中空回転軸54の径方向の内側に向かって形成される横孔と、この横孔の径方向内側端から上側に向かって形成される縦孔と、この縦孔の上端から径方向の外側に向かって形成される横孔と、この横孔の径方向外側端から中空回動軸54の上端面に向かって形成される縦孔とから構成されている。
図6に示すように、空気孔54aと空気孔54dとは、回動中心軸54の周方向においてずれている。
【0052】
空気孔54dの、中空回動軸54の外周面から中空回転軸54の径方向の内側に向かって形成される横孔は、上下方向において空気溝55dと同じ高さに配置されており、中空回動軸54の外周面に形成されるこの横孔の一端は、空気溝55dに通じている。空気孔54dの上端には、継手61が固定されている。継手61は、第4ハンド6の基端側部分6aの内部に配置されている。継手61には、空気配管62の一端が接続されている。空気配管62の他端は、ウエハ搭載部6cに形成される吸引孔46に接続されており、空気配管62は、第4ハンド6の内部で引き回されている。
【0053】
中空回動軸53には、中空回動軸53の外周面から中空回動軸53の上端面に通じる空気孔53aが形成されている。空気孔53aは、中空回動軸53の外周面から中空回転軸53の径方向の内側に向かって形成される横孔と、この横孔の径方向内側端から上側に向かって形成される縦孔と、この縦孔の上端から径方向の外側に向かって形成される横孔と、この横孔の径方向外側端から中空回動軸53の上端面に向かって形成される縦孔とから構成されている。
【0054】
空気孔53aの、中空回動軸53の外周面から中空回転軸53の径方向の内側に向かって形成される横孔は、上下方向において空気溝54bと同じ高さに配置されており、中空回動軸53の外周面に形成されるこの横孔の一端は、空気溝54bに通じている。空気孔53aの上端には、継手63が固定されている。継手63は、第3ハンド5の基端側部分5aの内部に配置されている。継手63には、空気配管64の一端が接続されている。空気配管64の他端は、ウエハ搭載部5cに形成される吸引孔46に接続されており、空気配管64は、第3ハンド5の内部で引き回されている。
【0055】
第1ハンド3の支持部3dの内部に配置されるエアシリンダ35用の2本の空気配管71および支持部3dの内部に配置される検知機構36用の配線(具体的には、センサ40用の配線)72は、中空回動軸51の内周側を通過して第1ハンド3の基端側部分3aの内部に引き込まれている。具体的には、本体部8から引き出されて、アーム7の内部を通過した空気配管71および配線72は、中空回動軸51の下端から上端に向かって中空回動軸51の内周側を通過するとともに、貫通孔3eを通過して基端側部分3aの内部に引き込まれている。また、基端側部分3aの内部に引き込まれた空気配管71および配線72は、基端側部分3aの内部を通過して支持部3dの内部まで引き回されている。なお、2本の空気配管71のうちの一方の空気配管71は、給気用の配管であり、他方の空気配管71は、排気用の配管である。また、
図4、
図5では、配線72の図示を省略している。
【0056】
第2ハンド4の支持部4dの内部に配置されるエアシリンダ35用の2本の空気配管73および支持部4dの内部に配置される検知機構36用の配線(具体的には、センサ40用の配線)74は、中空回動軸51の内周側を通過した後、管状部材56を通過して第2ハンド4の基端側部分4aの内部に引き込まれている。すなわち、空気配管73および配線74は、中空回動軸51の内周側を通過した後、切欠き部51aを通過して第2ハンド4の基端側部分4aの内部に引き込まれている。
【0057】
具体的には、本体部8から引き出されて、アーム7の内部を通過した空気配管73および配線74は、中空回動軸51の下端から上端側に向かって中空回動軸51の内周側を通過するとともに、管状部材56を通過して基端側部分4aの内部に引き込まれている。また、基端側部分4aの内部に引き込まれた空気配管73および配線74は、基端側部分4aの内部を通過して支持部4dの内部まで引き回されている。なお、2本の空気配管73のうちの一方の空気配管73は、給気用の配管であり、他方の空気配管73は、排気用の配管である。
【0058】
上述のように、軸支持部材55には、空気孔55aと、空気孔55aの横孔が通じる空気溝55cとが形成されている。また、中空回動軸54には、空気溝55cと同じ高さに配置される空気孔54aと、空気孔54aが通じる円環状の空気溝54bとが形成されている。さらに、中空回動軸53には、空気孔53aが形成され、空気孔53aの、中空回動軸53の外周面から中空回転軸54の径方向の内側に向かって形成される横孔は、上下方向において空気溝54bと同じ高さに配置されている。また、空気孔53aの上端には、第3ハンド5の基端側部分5aの内部に配置される継手63が固定されている。
【0059】
このように、中空回動軸53、54および軸支持部材55には、基端側部分5aの内部に通じる空気孔53a、54a、55aが形成されている。また、空気孔55aの下端には、継手および空気配管を介して空気の吸引手段が接続され、空気孔53aの上端は、継手63および空気配管64を介して、ウエハ搭載部5cに形成される吸引孔46に繋がっており、空気孔53a、54a、55a、空気溝54b、55c、継手63および空気配管64等によって、ウエハ搭載部5cに形成される吸引孔46でウエハ2を吸引するための空気の吸引路(通り道)が形成されている。
【0060】
また、上述のように、軸支持部材55には、空気孔55bと、空気孔55bの横孔が通じる空気溝55dとが形成されている。また、中空回動軸54には、空気溝55dと同じ高さに配置される横孔を有する空気孔54dが形成されている。さらに、空気孔54dの上端には、第4ハンド6の基端側部分6aの内部に配置される継手61が固定されている。このように、中空回動軸54および軸支持部材55には、基端側部分6aの内部に通じる空気孔54d、55bが形成されている。また、空気孔55bの下端には、継手57および空気配管58を介して空気の吸引手段が接続され、空気孔54dの上端は、継手61および空気配管62を介して、ウエハ搭載部6cに形成される吸引孔46に繋がっている。すなわち、空気孔54d、55b、空気溝55d、継手57、61および空気配管58、62等によって、ウエハ搭載部6cに形成される吸引孔46でウエハ2を吸引するための吸引路(通り道)が形成されている。
【0061】
なお、本形態では、空気溝55cの上側、空気溝55dの下側、および、空気溝55cと空気溝55dとの間に配置される3個のOリング59と、空気溝55c、55dとによって、回動中心軸54と軸支持部材55との間にロータリージョイント66が形成されている。また、空気溝54bの上下の両側に配置される2個のOリング59と、空気溝54bとによって回動中心軸54と回動中心軸53との間にロータリージョイント67が形成されている。
【0062】
(産業用ロボットの概略動作)
図9、
図10は、
図1に示すロボット1の動作を説明するための平面図である。
【0063】
本形態のロボット1は、半導体製造システムに組み込まれて使用される。たとえば、ロボット1は、半導体製造システムの入り口に配置されている。この場合、ロボット1は、ウエハ2が所定のピッチで上下方向に重なるように収容されるカセット81と、ウエハ2が上下方向で重ならないように配置される処理装置82との間でウエハ2を搬送する。
【0064】
具体的には、ロボット1は、
図9(A)、(B)に示すように、処理装置82で処理される前の処理前の2枚のウエハ2を第1ハンド3および第2ハンド4によってカセット81から同時に搬出する。また、ロボット1は、2枚のウエハ2を第1ハンド3および第2ハンド4によってカセット81から搬出した直後に、
図9(C)に示すように、処理装置82で処理された後の処理後の2枚のウエハ2を第3ハンド5および第4ハンド6によってカセット81へ同時に搬入する。第1ハンド3および第2ハンド4がカセット81からウエハ2を搬出するときには、第1ハンド3の先端側と第2ハンド4の先端側とが上下方向で重なっている。また、第3ハンド5および第4ハンド6がカセット81にウエハ2を搬入するときには、第3ハンド5の先端側と第4ハンド6の先端側とが上下方向で重なっている。
【0065】
また、ロボット1は、
図10(A)に示すように、処理装置82で処理された後の処理後の2枚のウエハ2を第3ハンド5および第4ハンド6によって処理装置82から同時に搬出する。また、ロボット1は、2枚のウエハ2を第3ハンド5および第4ハンド6によって処理装置82から搬出した直後に、
図10(B)、(C)に示すように、処理装置82で処理される前の処理前の2枚のウエハ2を第1ハンド3および第2ハンド4によって処理装置82へ同時に搬入する。第3ハンド5および第4ハンド6が処理装置82からウエハ2を搬出するときには、第3ハンド5の先端側と第4ハンド6の先端側とが上下方向で重なっていない。第1ハンド3および第2ハンド4が処理装置82にウエハ2を搬入するときには、第1ハンド3の先端側と第2ハンド4の先端側とが上下方向で重なっていない。
【0066】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のロボット1は、アーム7の先端側に連結される4個のハンド3〜6を備えており、4個のハンド3〜6は、アーム7に対して個別に回動可能となっている。そのため、本形態では、上述のように、処理装置82で処理される前の処理前の2枚のウエハ2を第1ハンド3および第2ハンド4を用いてカセット81から同時に搬出した直後に、処理装置82で処理された後の処理後の2枚のウエハ2を第3ハンド5および第4ハンド6を用いてカセット81へ同時に搬入することができる。また、本形態では、上述のように、第3ハンド5および第4ハンド6を用いて処理後の2枚のウエハ2を処理装置82から同時に搬出した直後に、第1ハンド3および第2ハンド4を用いて処理前の2枚のウエハ2を処理装置82へ同時に搬入することができる。したがって、本形態では、ロボット1が組み込まれて使用される半導体製造システムのタクトタイムを短縮することが可能になる。
【0067】
ここで、一般に、カセット81の中でのウエハ2の配置位置精度は要求されないが、処理装置82の中でのウエハ2の配置位置精度は要求される。すなわち、カセット81に対してウエハ2を精度良く搬入する必要はないが、処理装置82に対してウエハ2を精度良く搬入する必要がある。本形態では、ウエハ2の端面が当接する当接面31aを有する端面当接部材31と、ウエハ2の端面が当接面31aに押し付けられるようにウエハ2を押す押付機構32とを有するグリップ型の保持部30を備えた第1ハンド3および第2ハンド4によって、ウエハ2がカセット81から搬出されるとともに処理装置82に搬入されている。そのため、本形態では、処理装置82に搬入されるウエハ2を第1ハンド3および第2ハンド4に精度良く搭載することが可能になり、その結果、処理装置82に対してウエハ2を精度良く搬入することが可能になる。
【0068】
また、吸引型の保持部45の場合、グリップ型の保持部30と比較して、第3ハンド5および第4ハンド6に搭載されるウエハ2の位置精度は低下するが、グリップ型の保持部30のように、手首部11において2本の空気配管71、73および配線72、74を引き回す必要がないため、手首部11の構成を簡素化することが可能になる。本形態では、第3ハンド5および第4ハンド6が吸引型の保持部45を備えているため、第3ハンド5および第4ハンド6がグリップ型の保持部30を備えている場合と比較して、手首部11の構成を簡素化することが可能になる。また、本形態では、吸引孔46を有する吸引型の保持部45を備えた第3ハンド5および第4ハンド6によって、ウエハ2が、処理装置82から搬出されるとともに、カセット81に搬入されているが、カセット81では、ウエハ2の搬入位置精度が要求されないため、カセット81へのウエハ2の搬入位置に起因する問題は生じにくい。
【0069】
また、本形態では、グリップ型の保持部30を有する第1ハンド3および第2ハンド4が、吸引型の保持部45を有する第3ハンド5および第4ハンド6よりも上側に配置されており、中空回動軸51の内周側を利用して空気配管71、73および配線72、74が引き回されているため、第3ハンド5および第4ハンド6が第1ハンド3および第2ハンド4よりも上側に配置されている場合と比較して、手首部11の構成を簡素化することが可能になる。
【0070】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0071】
上述した形態では、第1ハンド3および第2ハンド4がグリップ型の保持部30を備え、第3ハンド5および第4ハンド6が吸引型の保持部45を備えているが、第1ハンド3および第2ハンド4が吸引型の保持部45を備え、第3ハンド5および第4ハンド6がグリップ型の保持部30を備えていても良い。また、上述した形態では、モータ14、15は、第2アーム部10の基端側の内部に配置されているが、モータ14、15は、第1アーム部9の内部に配置されても良い。
【0072】
上述した形態では、アーム7は、第1アーム部9および第2アーム部10の2個のアーム部によって構成されているが、アーム7は、3個以上のアーム部によって構成されても良い。また、上述した形態では、ロボット1は、ウエハ2を搬送するためのロボットであるが、ロボット1は、液晶用のガラス基板等の他の搬送対象物を搬送するロボットであっても良い。