特許第6649781号(P6649781)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6649781
(24)【登録日】2020年1月21日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】自動ドア
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20200210BHJP
   E05F 15/74 20150101ALI20200210BHJP
【FI】
   E05B49/00 J
   E05F15/74
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-11985(P2016-11985)
(22)【出願日】2016年1月26日
(62)【分割の表示】特願2015-128086(P2015-128086)の分割
【原出願日】2015年6月25日
(65)【公開番号】特開2017-8707(P2017-8707A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年3月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(72)【発明者】
【氏名】近藤 正仁
(72)【発明者】
【氏名】松井 清尚
(72)【発明者】
【氏名】森 朋之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寿隆
(72)【発明者】
【氏名】村田 泰久
【審査官】 野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−059085(JP,A)
【文献】 特開平10−197634(JP,A)
【文献】 特開2011−021327(JP,A)
【文献】 特開2003−120095(JP,A)
【文献】 特開2006−144226(JP,A)
【文献】 特開平05−231069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00 − 15/79
E05B 1/00 − 85/28
H03J 9/00 − 9/06
H04Q 9/00 − 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の中間方立部間に形成された出入口を開閉する左右のドアと、ドア開閉制御部と、通行者が所持する認証鍵との間で無線認証を行い、認証IDの一致に基いて前記ドア開閉制御部による前記左右のドアの開扉を許可するID認証ユニットとを備える両開き自動ドアであって、
前記出入口の幅方向中央部位の手前の領域であって、当該幅方向中央部位の近傍の中央部位近傍領域が当該出入口を通過しようとする通行者の立ち位置となっており、
前記ID認証ユニットは、前記出入口の側方に立設された一方の中間方立部に取付けられており、
前記ID認証ユニットは、通行者が所持する認証鍵との間で無線認証を行うための送受信領域を前記中間方立部から前記中央部位近傍領域に向かって設定し、前記送受信領域には前記立ち位置が含まれており、
前記ID認証ユニットは、前記立ち位置にいる通行者が所持する認証鍵との間で無線認証を行って前記左右のドアの開扉を許可し、出入口を通過しようとする通行者の目前で前記左右のドアの戸先側部位が離間しながら開扉するように構成されていることを特徴とする自動ドア。
【請求項2】
前記出入口の上部に配設され、検知領域内の人を検知するドア開閉用人検知センサを備え、
前記ドア開閉制御部はドア開閉用人検知センサによる人検知に応じてドアを自動的に開閉させるものであり、
前記ドア開閉用人検知センサの検知領域と前記ID認証ユニットの前記送受信領域はオーバーラップ領域を含み、前記オーバーラップ領域には前記立ち位置が含まれており、
前記ID認証ユニットは、前記オーバーラップ領域で無線認証を行うように構成されている、
請求項1に記載の自動ドア。
【請求項3】
前記ID認証ユニットは、ドア面方向に対して、前記ドア開閉用人検知センサと略同面またはドア開閉用人検知センサよりも僅かに後方に配設されていることを特徴とする請求項2に記載の自動ドア。
【請求項4】
前記人検知領域は、出入口の開口幅よりも狭く設定され、中間方立部側の開口領域を検知領域外とする一方、前記ID認証ユニットは、認証鍵に呼出信号を送信する指向性アンテナを有する送信部を備えることを特徴とする請求項2または3に記載の自動ドア。
【請求項5】
前記ID認証ユニットは、前記認証鍵に呼出信号を送信するとともに、前記認証鍵から応答信号を受信し、該応答信号に含まれる認証IDが正規の認証IDと一致する場合に前記ドア開閉制御部に対して開扉許可信号を出力することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の自動ドア。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ID認証ユニットを備えた自動ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
通行者が所持する認証鍵との間で無線認証を行い、認証IDの一致に基いてドアの開扉
を許可するID認証ユニットを備えた自動ドアが知られている。この種の自動ドアは、例
えば、マンションなどの集合住宅のエントランスに設置されており、認証鍵を所持してい
るマンションの住人は、鍵や認証用のICカードを取り出すことなく、ハンズフリーで入
退館することができる。また、その通過に際しては、両開き自動ドアの出入口中央付近(
ドアの戸先側付近)を目標として通過しようとするのが常である。
【0003】
また、ID認証ユニットには、呼出信号送信用の人検知センサが内蔵されたセンサ有り
タイプと、呼出信号送信用の人検知センサが内蔵されないセンサ無しタイプ(例えば、特
許文献1参照)とがあり、前者は、内蔵される呼出信号送信用の人検知センサによる人検
知に応じて認証鍵に呼出信号を送信するとともに、認証鍵から応答信号を受信し、該応答
信号に含まれる認証IDが正規の認証IDと一致する場合に自動ドアのドア開閉制御部に
対して開扉許可信号を出力するように構成されている。
【0004】
しかしながら、このものは、内蔵型故にコスト高となってしまうという問題点を有する
だけでなく、内蔵できる人検知センサが、例えば、センサ性能が劣る測距タイプ(反射型
)のものなどに限られてしまい、センサ性能に優れた広域タイプや指向性タイプのものを
内蔵しようとすると装置自体が大型化してしまい、更なるコスト高を招来するため実用性
に欠けるばかりか、ID認証ユニットの設置場所(例えば、自動ドア近傍の壁部)や出入
口上部に設置した際のセンサ方向によっては、安定した人検知ができず、認証鍵を持って
いても自動ドアが開かない状況が発生する虞があった。
【0005】
そこで、後者のものは、前者のものに比し、呼出信号送信用の人検知センサを内蔵する
必要がないため、コスト安にて製作でき、しかも、このものは、常に呼出信号を発信して
認証鍵からの応答信号を受け付けるため、認証鍵との間で確実に無線認証を行い、自動ド
アを開くことが可能であることから、一般的に採用されている。
しかしながら、後者のものでは、ID認証ユニットが人検知センサよりも前方となる室
内側または室外側の天井部に配設され、ID認証ユニットによる検知エリア(送受信エリ
ア)を広範囲に設定し、常に呼出信号を発信して認証鍵からの応答信号を受け付け、人検
知センサがONされたレディー(準備)状態であるため、認証鍵を持った人が呼出信号及
び応答信号の送受信エリア内で立ち止まった場合、自動ドアが長時間に亘って開扉許可状
態となり、第三者による不正入室を許してしまう虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−21327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の如き問題点を一掃すべく創案されたものであって、ID認証ユニット
による認証IDの一致に基いてドアの開扉を許可するのものでありながら、真に出入口を
通過しようとする認証鍵を所持する通行者をターゲットに、ID認証ユニットによる無線
認証をドアの直前で通過認証を行えるようにし、認証鍵を所持していても通過の意志のな
い者や、認証鍵を所持しない第三者の不正な入館・入室を防止することができる自動ドア
の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明の自動ドアは、出入口を開閉するドアと、ドア開閉制
御部と、通行者が所持する認証鍵との間で無線認証を行い、認証IDの一致に基いて前記
ドア開閉制御部による前記ドアの開扉を許可するID認証ユニットとを備える自動ドアで
あって、前記ID認証ユニットを、前記出入口の側方に立設される中間方立部又は縦枠部
に取付けると共に、前記ID認証ユニットの送受信エリアを、前記中間方立部又は縦枠部
側からドア手前の立ち位置側へ向けて設定せしめ、当該送受信エリアで前記ID認証ユニ
ットによる無線認証を行うよう構成されていることを特徴とするものである。
また本発明の自動ドアは、出入口を開閉するドアと、前記出入口の上部に配設されてそ
の近傍に設定される検知エリア内の人を検知するドア開閉用人検知センサと、前記ドア開
閉用人検知センサによる人検知に応じてドアを自動的に開閉させるドア開閉制御部と、通
行者が所持する認証鍵との間で無線認証を行い、認証IDの一致に基いて前記ドア開閉制
御部による前記ドアの開扉を許可するID認証ユニットとを備える自動ドアであって、前
記ID認証ユニットを、前記ドア開閉用人検知センサの人検知エリア近傍に配設すべく、
前記出入口の側方に立設される中間方立部又は縦枠部に取付けると共に、前記ドア開閉用
人検知センサによる床面方向への人検知エリアを、前記認証鍵を所持する通行者がドアの
直前で人検知されるよう設定せしめる一方、前記ID認証ユニットの送受信エリアを、前
記中間方立部又は縦枠部側から前記人検知エリア内に対して、開扉始動されるドア手前の
立ち位置側へ向けて交差状にオーバーラップするよう設定せしめ、当該オーバーラップ領
域で前記ID認証ユニットによる無線認証を行うよう構成されていることを特徴とするも
のである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、ID認証ユニットによる認証IDの一致に基いてドアの開扉を許
可するのものでありながら、ID認証ユニットが人検知センサの近傍となる中間方立部(
縦枠部)に配設されているので、無線認証に最適な高さ位置に取付けできるようになり、
設置の自由度が向上するだけでなく、ID認証ユニットによる送受信エリアの限定や特定
が行い易くなる。
請求項2の発明では、上記に加えて、その送受信エリアを、人検知エリアの広狭範囲設
定に影響されることなく、当該人検知エリア内において開扉始動されるドア手前の立ち位
置方向に交差状にオーバーラップさせて領域形成させ、ID認証領域として設定すること
ができるようになり、人検知エリアの範囲をスポット的に狭く設定しても、ドア直前で通
行者の人検知とID認証を行うことができる。しかも、オーバーラップ領域のエリア設定
も、人検知エリア内の全域をカバーする必要が無く、自動ドアの出入口開口部内の上方域
や両側域を除く中央域付近だけを対象に領域設定することが容易となり、真に出入口を通
過しようとする認証鍵を所持する通行者をターゲットに、ID認証ユニットによる無線認
証をドアの直前で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る自動ドアの斜視図である。
図2】自動ドアの構成を示すブロック図である。
図3】人検知センサの検知エリアとID認証ユニットの送受信エリアを示す説明図であり、(A)はその出入口中央付近の側面図、(B)は平面図である。
図4】ID認証ユニットの制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を好適な実施の形態として例示する自動ドア1を図面に基づ
いて詳細に説明する。図1は本発明の実施形態に係る自動ドア1の斜視図、図2は自動ド
アの構成を示すブロック図、図3は人検知センサの検知エリアとID認証ユニットの送受
信エリアを示す説明図である。これら図に示すように、該自動ドア1は、開口部2の左右
両端部に沿って立設される縦枠部3、開口部2の上端部に沿って配置される無目部4、開
口部2の左右中間部に立設される左右の中間方立部5、縦枠部3と中間方立部5との間の
開口を塞ぐはめ殺し部(袖部)6、左右の中間方立部5間に形成される出入口7を開閉す
る左右のドア8、無目部4又は天井部9に取付けられる室内側及び室外側のドア開閉用人
検知センサ10、出入口7内の人を検知する光電センサ11、無目部4内に配置される自
動ドア開閉機構(図示せず)、ドア開閉用電動モータ12及びドア開閉制御部13(図2
参照)などを備えて構成されている。
【0012】
ドア開閉用人検知センサ10としては、赤外線の反射変化に基づいて人を検知する光線
式反射センサ、人体から放出される熱エネルギーを検出する熱線センサ、マイクロ波の反
射変化に基づいて人を検知するマイクロ波センサなどが用いられる。ドア開閉用人検知セ
ンサ10の人検知エリア10aは、認証鍵20を所持する通行者がドア8の直前で人検知
されるよう出入口7の開口幅内を検知範囲として、開扉始動されるドア8手前の立ち位置
となる床面に向けて設定される。本実施形態における人検知エリア10aは、出入口7の
開口幅よりも狭く設定され、中間方立部5又は縦枠部3側の開口領域を検知エリア外とし
てスポット的に設定させているが、その検知範囲は任意に調整設定することができる。
【0013】
ドア開閉制御部13の制御によるドア8の開閉動作には、室外側のドア開閉用人検知セ
ンサ10による人検知に応じてドア8を開扉動作させる入館・入室時開扉動作や、室内側
のドア開閉用人検知センサ10による人検知に応じてドア8を開扉動作させる退館・退室
時開扉動作が含まれる。これらの開扉動作は、ID認証ユニット30によって制限するこ
とが可能であり、例えば、通常時は入館・入室時開扉動作及び退館・退室時開扉動作を規
制し、ID認証ユニット30の開扉許可信号出力に応じて入館・入室時開扉動作及び退館
・退室時開扉動作を許可するようにしたり、或いは、通常時は入館・入室時開扉動作のみ
を規制し、ID認証ユニット30の開扉許可信号出力に応じて入館・入室時開扉動作を許
可するようにすることができ、マンションのエントランスに設置される自動ドア1では、
後者の設定が広く採用されている。
【0014】
ID認証ユニット30は、通行者が所持する認証鍵20との間で無線認証を行い、認証
IDの一致に基いて自動ドア1の開扉を許可するユニットである。図2に示すように、認
証鍵20は、認証IDを記憶する認証ID記憶部21と、ID認証ユニット30から呼出
信号を受信する受信部22と、呼出信号の受信に応じて認証IDが含まれる応答信号を送
信する送信部23と、これらを制御する認証鍵制御部24とを備えて構成されている。
【0015】
ID認証ユニット30は、認証鍵20に呼出信号を送信する送信部31と、認証鍵20
から応答信号を受信する受信部32と、ドア開閉用人検知センサ10から人検知信号を入
力する人検知信号入力部33と、自動ドア1の開扉許可信号を出力する開扉許可信号出力
部34と、正規の認証IDを記憶する認証ID記憶部35と、これらを制御する認証制御
部36とを備えて構成されている。また、本実施形態においては、送信部31と受信部3
2には、送受信エリア30aの限定や特定して範囲設定が行い易い指向性アンテナが採用
されており、ドア開閉用人検知センサ10の人検知エリア10aの近傍横方向から検出領
域をドア8手前の立ち位置に対して限定設定すればよく、指向性の調整を適切かつ容易に
行うことができ、その精度をより一層高めることができる。また、その通信範囲もID認
証に支障のない短いものが採用できる。なお、人検知エリア10aの人検知設定に依存す
る場合には無指向性アンテナであっても良い。
【0016】
図1に示すように、ID認証ユニット30は、ドア開閉用人検知センサ10の近傍とな
る出入口7の側方に立設される中間方立部5(又は縦枠部3)の任意の高さに取付けられ
、且つ該中間方立部5(又は縦枠部3)に沿う配線37を介して室外側のドア開閉用人検
知センサ10及びドア開閉制御部13と接続(無線接続であっても良い)されている。ま
た、ID認証ユニット30の無目部4又は天井部9に取付けられたドア開閉用人検知セン
サ10との側面視状の配置関係は、ドア8の面方向(無目部4と中間方立部5との同一面
方向)に対して、ドア開閉用人検知センサ10と略同面またはドア開閉用人検知センサ1
0よりも僅かに後方(ドア8側)に配設されている。この様に、ID認証ユニット30を
中間方立部5又は縦枠部3(近傍の袖部6や無目部4を含む)に配設することにより、出
入口7の開口高さや片開きドアといった建物の出入口構造に応じて、無線認証に最適な高
さ位置に取付けできるようになり、設置の自由度が向上するだけでなく、ID認証ユニッ
ト30による送受信エリア30aを設置場所に応じて通過方向(帰宅又は外出)のドア8
の直前での無線認証領域の調整などを容易に最適化することができる。なお、本件におい
て中間方立部5又は縦枠部3に取付け(配設)するとは、中間方立部5や縦枠部3に近接
或いは近傍する部位の袖部6や無目部4への取付けを含むものである。
【0017】
そして、電波である呼出信号及び応答信号の送受信エリア30aは、図3に示すように
、人検知エリア10a内に対して、その近傍となる中間方立部5又は縦枠部3側から、僅
かに斜め前方となる開扉始動されるドア8手前の中央立ち位置側へ向けて交差状にオーバ
ーラップさせて的確かつ容易に領域形成することが可能となり、このオーバーラップ領域
をID認証領域として設定してある。この送受信エリア30aの設定は、人検知エリア1
0aが開口幅よりも広く、また、開口幅よりも狭く設定されていても、広狭範囲設定に影
響(依存)されることなく、ドア8の直前でID認証が行なわれるよう狭い範囲内におい
て、常に一定方向の指向性をもって固定的に可変調整することができる。
【0018】
つまり、オーバーラップ領域のエリア設定にあたっては、人検知エリア10a内の全域
をカバーする必要が無く、自動ドア1の出入口7の開口部内の上方域や両側域を除く中央
域付近だけを対象とし、かつ、ドア8手前の立ち位置に集中して領域設定され、ドア8の
直前でID認証ユニット10による無線認証を行うよう構成される。従って、オーバーラ
ップ領域のエリア外においては、人検知エリア10a内でドア開閉用人検知センサ10の
人検知に応じた送信部31からの呼出信号が送信されても、送受信エリア30a外であれ
ば認証鍵20の無線認証は行われず、送受信エリア30a内であっても人検知エリア10
a外であれば認証鍵20の無線認証は行われない。
【0019】
認証制御部36は、CPU、ROM、RAMなどを備えて構成されており、ROMに書
き込まれたソフトウエアとの協働により、室内(外)側のドア開閉用人検知センサ10に
よる人検知に応じて送信部31から呼出信号を送信させる呼出信号送信手段と、受信部3
2が認証鍵20から応答信号を受信した場合に、応答信号に含まれる認証IDが認証ID
記憶部35に記憶された正規の認証IDと一致するか否かを判断するID認証手段と、該
ID認証手段が一致すると判断した場合に、開扉許可信号出力部34から開扉許可信号を
出力させる開扉許可信号出力手段として機能する。
【0020】
つぎに、ID認証ユニット30の動作及び制御手順について、図4を参照しつつ説明す
る。図4に示すように、ID認証ユニット30の認証制御部36は、室外側のドア開閉用
人検知センサ10による人検知を判断し(S11)、この判断結果がYESである場合は
、送信部31から呼出信号を送信させる(S12:呼出信号送信手段)。呼出信号を送信
したら、受信部32が認証鍵20から応答信号を受信したか否かを判断する(S13)。
この判断は、人検知に応じて送信する呼出信号をある一定回数送信し、所定のタイムアウ
ト時間が経過するまで繰り返される(S14)。その間に認証鍵20が呼出信号を受信で
きれば認証鍵20から応答信号が送信され、受信部32が応答信号を受信したら、応答信
号に含まれる認証IDが認証ID記憶部35に記憶された正規の認証IDと一致するか否
かを判断する(S15、S16:ID認証手段)。この判断結果が一致である場合は、開
扉許可信号出力部34から開扉許可信号を出力させて自動ドア1の開扉を許可する(S1
7:開扉許可信号出力手段)。
【0021】
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、出入口7を開閉するドア8と、出
入口7の近傍に設定される検知エリア内の人を検知するドア開閉用人検知センサ10と、
人検知センサ10による人検知に応じてドア8を自動的に開閉させるドア開閉制御部13
と、を備える自動ドア1において、通行者が所持する認証鍵20との間で無線認証を行い
、認証IDの一致に基いてドア開閉制御部13によるドア8の開扉を許可するのであるが
、ID認証を行うID認証ユニット30を、ドア開閉用人検知センサ10の人検知エリア
10a近傍に配設すべく、出入口7の側方に立設される中間方立部5(又は縦枠部3)に
取付けられ、且つ該中間方立部5(又は縦枠部3)を介してドア開閉用人検知センサ10
とに沿う無線または配線37を介して接続されている。
【0022】
そして、ドア開閉用人検知センサ10による床面方向への人検知エリア10を、認証鍵
20を所持する通行者がドア8の直前で人検知されるよう設定せしめる一方、ID認証ユ
ニット30の送受信エリア30aを、中間方立部5(又は縦枠部3)側から人検知エリア
10a内に対して、開扉始動されるドア8の手前となる立ち位置側へ向けて交差状にオー
バーラップするよう設定せしめ、当該オーバーラップ領域でID認証ユニット30による
無線認証を行うよう構成されている。
【0023】
このように構成すると、ID認証ユニット30による認証IDの一致に基いてドアの開
扉を許可するのものでありながら、ID認証ユニット30が人検知センサ10の近傍とな
る中間方立部5(又は縦枠部3)に配設されているので、無線認証に最適な高さ位置に取
付けできるようになり、設置の自由度が向上するだけでなく、ID認証ユニット30によ
る送受信エリア30aの的確かつ容易に限定することが行い易くなり、その送受信エリア
30aを、人検知エリア10aの広狭範囲設定に影響されることなく、当該人検知エリア
10a内において、開扉始動されるドア8の手前の立ち位置方向に交差状にオーバーラッ
プさせて領域形成させ、ID認証領域として設定することができるようになり、人検知エ
リア10aの範囲をスポット的に狭く設定しても、ドア8の直前で通行者の人検知とID
認証を行うことができる。
【0024】
しかも、オーバーラップ領域のエリア設定も、人検知エリア10a内の全域をカバーす
る必要が無く、自動ドア1の出入口7となる開口部内の上方域や両側域を除くID認証に
必要な中央域付近だけを対象に領域設定することが容易となり、真に出入口7を通過しよ
うとする認証鍵を所持する通行者をターゲットに、ID認証ユニット30による無線認証
をドア8の直前で行うことができる。その結果、認証鍵20を所持していても通過の意志
のない者や、認証鍵20を所持しない第三者の不正な入館・入室を防止することができる
だけでなく、人検知エリア10aと送受信エリア30aを広範囲に設定する必要が無くな
り、指向性アンテナの採用やその通信範囲を短いものとするなどID認証ユニット30を
安価なものとでき、ID認証ユニット30と人検知センサ10とを配線37接続すること
も容易に行うことができる。
【0025】
また、ID認証ユニット30は、ドア面方向に対して、ドア開閉用人検知センサ10と
略同面またはドア開閉用人検知センサ10よりも僅かに後方に配設されているので、ID
認証ユニット30が天井や壁に設けられていたものに比し、その送受信エリア30aを、
近傍する横方向から、人検知エリア10aの広狭範囲設定に影響されることなく、開扉始
動されるドア8手前の立ち位置となる床面に向けて設定される当該人検知エリア10a内
に対して、ドア8手前の開扉待ち立ち位置側に向けて交差状にオーバーラップさせて領域
形成することができ、このオーバーラップ領域をドア8の直前で通行者の人検知とID認
証を行うID認証領域として調整設定することができる。従って、ドア8の直前で立ち止
まった開扉待ち位置でのID認証をスポット領域で行うことができ、タッチスイッチや床
マットスイッチによる通常の自動ドアと同様の通過動作によってドア8の開扉を許可する
開閉制御を行うことができる。
【0026】
また、人検知エリア10aは、出入口7の開口幅よりも狭く設定され、中間方立部5又
は縦枠部3側の開口領域を検知エリア外とする一方、ID認証ユニット30は、認証鍵2
0に呼出信号を送信する指向性アンテナを有する送信部31を備えるので、指向性の調整
に当たり、人検知エリア10aの横方向近傍からその検出領域をドア8手前の立ち位置に
向けて限定設定すればよく、その調整設定も精度をより一層高めた状態で適切かつ容易に
行うことができる。しかも、送受信エリア30aは、人検知エリア10aの広狭範囲設定
に影響されることなく、個別に調整設定することができるだけでなく、ドア8手前の立ち
位置から両開きドア8の半開状態での通過が行え、全開状態とすることなく閉扉動作を行
うよう制御することができ、認証鍵20を所持していても通過の意志のない者や、認証鍵
20を所持しない第三者の不正な入館・入室を防止に対して、更にその安全性を高めるこ
とができる。
【0027】
また、ドア開閉用人検知センサ10による人検知に応じて認証鍵20に呼出信号を送信
するとともに、認証鍵20から応答信号を受信し、該応答信号に含まれる認証IDが正規
の認証IDと一致する場合にドア開閉制御部13に対して開扉許可信号を出力するので、
ドア開閉用人検知センサ10の人検知エリア10aの設定に依存して、送受信エリア30
aを人検知エリア10aよりも広範囲に設定させた場合であっても、認証鍵20を持った
人が呼出信号及び応答信号の送受信エリア内で立ち止まった際に、ドア開閉用人検知セン
サ10の検知エリア外であれば、認証鍵20の認証は行われないことになり、その結果、
自動ドア1が開扉許可状態とはならず、第三者による不正入室を防止することが可能にな
る。
【符号の説明】
【0028】
1 自動ドア
2 開口部
3 縦枠部
4 無目部
5 中間方立部
6 はめ殺し部
7 出入口
8 ドア
9 天井部
10 ドア開閉用人検知センサ
10a 人検知エリア
11 光電センサ
12 ドア開閉用電動モータ
13 ドア開閉制御部
20 認証鍵
21 認証ID記憶部
22 受信部
23 送信部
24 認証鍵制御部
30 ID認証ユニット
30a 送受信エリア
31 送信部
32 受信部
33 人検知信号入力部
34 開扉許可信号出力部
35 認証ID記憶部
36 認証制御部
37 配線
図1
図2
図3
図4