(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6649792
(24)【登録日】2020年1月21日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】車両用オーナメント
(51)【国際特許分類】
B60R 13/00 20060101AFI20200210BHJP
B60R 1/00 20060101ALI20200210BHJP
B60R 11/04 20060101ALI20200210BHJP
【FI】
B60R13/00
B60R1/00 A
B60R11/04
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-29102(P2016-29102)
(22)【出願日】2016年2月18日
(65)【公開番号】特開2017-144919(P2017-144919A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2018年8月21日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】北山 恵一
(72)【発明者】
【氏名】綾部 正雄
(72)【発明者】
【氏名】成田 康秀
(72)【発明者】
【氏名】市川 貴茂
【審査官】
高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−078819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/00
11/02
11/04
13/00
13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外部に設けられ、光を透過する透過部が設けられる装飾体と、
前記装飾体の裏側に設けられると共に、外部に露出されるレンズが設けられ、前記装飾体の表側を前記透過部及び前記レンズを介して撮像する撮像手段と、
前記透過部から前記撮像手段への光入射経路に設けられ、光透過率が高い高透過部と光透過率が低い低透過部とが交互に配置されて隣接される前記低透過部間に前記高透過部が配置されると共に、前記レンズの前記撮像手段外部への露出部分全体と前記透過部の肉厚方向において対向される配置部と、
を備えた車両用オーナメント。
【請求項2】
車両の外部に設けられ、光を透過する透過部が設けられる装飾体と、
前記装飾体の裏側に設けられ、前記装飾体の表側を前記透過部を介して撮像する撮像手段と、
前記透過部から前記撮像手段への光入射経路に設けられ、光透過率が高い高透過部と光透過率が低い低透過部とが交互に配置される配置部と、
を備え、
前記撮像手段の焦点が前記配置部の前記装飾体表側に配置される車両用オーナメント。
【請求項3】
車両の外部に設けられ、光を透過する透過部が設けられる装飾体と、
前記装飾体の裏側に設けられ、前記装飾体の表側を前記透過部を介して撮像する撮像手段と、
前記透過部から前記撮像手段への光入射経路に設けられ、光透過率が高い高透過部と光透過率が低い低透過部とが交互に配置される配置部と、
を備え、
前記低透過部の前記装飾体裏側の部分の光反射率を低くすると共に、前記低透過部の前記装飾体表側の部分の光反射率を高くする車両用オーナメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾体の裏側に撮像手段が設けられる車両用オーナメントに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のデバイスでは、ロゴの裏側にカメラが設けられている。
【0003】
ここで、このデバイスでは、ロゴの表側にカメラ(レンズ)が露出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2015−520069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、装飾体の表側から撮像手段が視認されることを抑制できる車両用オーナメントを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1
〜請求項3に記載の車両用オーナメントは、車両の外部に設けられ、光を透過する透過部が設けられる装飾体と、前記装飾体の裏側に設けられ、前記装飾体の表側を前記透過部を介して撮像する撮像手段と、前記透過部から前記撮像手段への光入射経路に設けられ、光透過率が高い高透過部と光透過率が低い低透過部とが交互に配置される配置部と、を備えている。
【0007】
請求項2に記載の車両用オーナメントは
、前記撮像手段の焦点が前記配置部の前記装飾体表側に配置される。
【0008】
請求項3に記載の車両用オーナメントは
、前記低透過部の前記装飾体裏側の部分の光反射率を低くすると共に、前記低透過部の前記装飾体表側の部分の光反射率を高くする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1
〜請求項3に記載の車両用オーナメントでは、車両の外部に装飾体が設けられると共に、装飾体に透過部が設けられており、透過部が光を透過する。さらに、装飾体の裏側に撮像手段が設けられており、撮像手段が装飾体の表側を透過部を介して撮像する。
【0010】
ここで、透過部から撮像手段への光入射経路に配置部が設けられており、配置部に光透過率が高い高透過部と光透過率が低い低透過部とが交互に設けられる。このため、配置部の高透過部を光が透過することで、撮像手段が装飾体の表側を配置部を介して撮像できる。さらに、配置部の低透過部が光の透過を制限することで、装飾体の表側から配置部を介して撮像手段が視認されることを抑制できる。
【0011】
請求項2に記載の車両用オーナメントでは、撮像手段の焦点が配置部の装飾体表側に配置される。このため、撮像手段が装飾体の表側を配置部を介して撮像する際に、撮像手段が配置部を撮像することを抑制できる。
【0012】
請求項3に記載の車両用オーナメントでは、配置部の低透過部の装飾体裏側の部分の光反射率を低くしている。このため、配置部の装飾体裏側の部分による光の乱反射を少なくでき、撮像手段が装飾体の表側を配置部を介して良好に撮像できる。
【0013】
さらに、配置部の低透過部の装飾体表側の部分の光反射率を高くしている。このため、配置部の装飾体表側の部分による光の乱反射を多くでき、装飾体の表側から配置部を介して撮像手段が視認されることを良好に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両用オーナメントを示す車両右斜め後方から見た分解斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る車両用オーナメントを示す車両後方から見た正面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る車両用オーナメントを示す下方から見た断面図(
図2の3−3線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1には、本発明の実施形態に係る車両用オーナメント10が車両右斜め後方から見た分解斜視図にて示されている。さらに、
図2には、車両用オーナメント10が車両後方から見た正面図にて示されており、
図3には、車両用オーナメント10が下方から見た断面図(
図2の3−3線断面図)にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車両右方を矢印RHで示し、上方を矢印UPで示している。
【0016】
本実施形態における車両用オーナメント10は、車両のバックドア(設置体、図示省略)の車両後側部の車幅方向中央部分に設置されており、車両用オーナメント10の表側及び上方は、それぞれ車両の後方及び上方に向けられている。
【0017】
図1〜
図3に示す如く、車両用オーナメント10には、略楕円板状の装飾体12が設けられている。装飾体12の車両前側(裏側)の端面は、バックドアの車両後側面に配置されており、装飾体12の車両後側面(表側面)は、車両後側に向けられている。
【0018】
装飾体12には、透過部材としての略楕円板状の透明材14が設けられており、透明材14は、光を透過可能にされている。
【0019】
透明材14の車両前側面には、装飾部としてのマーク16(エンブレム)が設けられている。マーク16の中央側部分には、膜状の表示部16Aが設けられており、表示部16Aは、マーク16の文字又は図柄を透明材14を介して装飾体12の車両後側に表示すると共に、光を透過不能にされている。マーク16には、表示部16Aの周囲において、膜状の背景部16Bが設けられており、背景部16Bは、マーク16の背景意匠を透明材14を介して装飾体12の車両後側に表示すると共に、光を透過不能にされている。マーク16の車両右側部分には、矩形状の透過部16C(開口部)が形成されており、透過部16Cは、背景部16Bが設けられないことで形成されて、光を透過可能にされている。
【0020】
装飾体12の車両前側には、収容体としてのハウジング18が設けられており、ハウジング18は、バックドア内に固定されている。また、ハウジング18の周壁は、光を透過不能にされている。
【0021】
ハウジング18の車両後側端部には、略楕円板状の支持板18Aが設けられており、支持板18Aは、車両後側面に装飾体12が固定されて、装飾体12を支持している。支持板18Aの車両右側部分には、矩形状の開口20が貫通形成されており、開口20は、装飾体12(マーク16)の透過部16Cに車両前後方向において対向されている。
【0022】
支持板18Aの車両右側部の車両前側には、略直方体形箱状の収容箱18Bが一体に設けられており、収容箱18Bの車両後側壁は、支持板18Aが構成している。収容箱18Bは、支持板18Aから車両前側に延出されており、収容箱18B内は、支持板18Aの開口20を介して車両後側に開放されている。
【0023】
収容箱18B内には、撮像手段としてのカメラ22が収容かつ固定されており、カメラ22は、ハウジング18(支持板18A)の開口20に対し車両前側に離間されている。カメラ22には、略直方体状のカメラ本体22Aが設けられており、カメラ本体22Aの車両後側端部には、レンズ22Bが設けられている。レンズ22Bは、カメラ本体22Aから車両後側に露出されており、レンズ22Bの光軸は、車両後方に向けられると共に、開口20の中心軸線と一致されている。
【0024】
カメラ22(カメラ本体22A)は、制御手段としての制御装置24に電気的に接続されており、カメラ22は、制御装置24の制御により、レンズ22Bを介して撮像する。制御装置24には、表示手段としてのモニタ26に電気的に接続されており、モニタ26は、カメラ22が撮像した画像を制御装置24の制御により表示する。モニタ26は、車室内に設けられており、モニタ26が表示する画像を車両の乗員(特に運転手)が目視可能にされている。
【0025】
装飾体12(マーク16)の透過部16C内には、配置部としての外形矩形状の網部28が設けられており、網部28は、装飾体12の透明材14の車両前側に固定されると共に、カメラ22のレンズ22Bの焦点位置(例えばレンズ22Bから車両後方に1m離間した位置)の車両前側に配置されている。
【0026】
網部28には、線状(棒状)の低透過部30が複数設けられており、低透過部30の光透過率は、例えばほぼ0%にされて、低くされている。一群の低透過部30は、それぞれ第1方向に延伸されると共に、互いに第2方向(第1方向に対し交差(特に直交)する方向)において離間されており、他群の低透過部30は、それぞれ第2方向に延伸されると共に、互いに第1方向において離間されている。一群の低透過部30と他群の低透過部30とは互いに交差(特に直交)されており、複数の低透過部30は、網状にされている。低透過部30間には、高透過部32(空間部)が形成されており、高透過部32の光透過率は、例えばほぼ100%にされて、低透過部30の光透過率に比し高くされている。
【0027】
低透過部30の車両前側部分(車両前後方向中央より車両前側の部分)の内側周面30Aは、例えば黒色にされて、光反射率が低くされており、低透過部30の車両後側部分(車両前後方向中央より車両後側の部分)の外側周面30Bは、例えば白色にされて、光反射率が内側周面30Aに比し高くされている。
【0029】
以上の構成の車両用オーナメント10では、カメラ22が制御装置24の制御により装飾体12の車両後側(表側)を装飾体12の透明材14、透過部16C(網部28を含む)及びハウジング18(支持板18A)の開口20を介して撮像する。さらに、カメラ22が撮像した画像をモニタ26が制御装置24の制御により表示する。このため、モニタ26が表示する画像を乗員が目視することで、乗員の車両後側の視認が補助される。
【0030】
ここで、透過部16C内の網部28に高透過部32と低透過部30とが交互に設けられる。このため、網部28の高透過部32を光が透過することで、カメラ22が装飾体12の車両後側を網部28を介して撮像できる。さらに、網部28の低透過部30が光の透過を制限することで、装飾体12の車両後側から透明材14、透過部16C(網部28を含む)及び開口20を介してカメラ22が視認されることを抑制できる。
【0031】
しかも、カメラ22がハウジング18に収容されており、ハウジング18の周壁が光を透過不能にされている。このため、装飾体12の車両後側に比しハウジング18内におけるカメラ22の車両後側を暗くすることができ、装飾体12の車両後側から網部28を介してカメラ22が視認されることを一層抑制できる。
【0032】
さらに、カメラ22のレンズ22Bの焦点位置が網部28の車両後側に配置されている。このため、カメラ22が装飾体12の車両後側を網部28を介して撮像する際に、カメラ22(レンズ22B)の焦点が網部28に合わないことで、カメラ22が網部28を撮像することを抑制でき、カメラ22による乗員の視認の補助性能が網部28により低下することを抑制できる。
【0033】
また、網部28の低透過部30の車両前側の内側周面30Aの光反射率が低くされている。このため、網部28の車両前側(カメラ22側)の内側周面30Aによる光の乱反射を少なくでき、カメラ22が装飾体12の車両後側を網部28を介して良好に撮像できて、カメラ22による乗員の視認の補助性能が網部28により低下することを良好に抑制できる。
【0034】
さらに、網部28の低透過部30の車両後側の外側周面30Bの光反射率が高くされている。このため、網部28の車両後側(カメラ22とは反対側)の外側周面30Bによる光の乱反射を多くでき、装飾体12の車両後側から網部28を介してカメラ22が視認されることを良好に抑制できる。
【0035】
なお、本実施形態では、本発明の配置部を網部28にして、網部28の低透過部30を線状にした。しかしながら、本発明の配置部をドット部にして、ドット部の低透過部を点状にしてもよい。この場合、ドット部の複数の低透過部が分散配置されて、低透過部の周囲に高透過部が形成される。
【0036】
さらに、本実施形態では、本発明の配置部(網部28又はドット部)を装飾体12の透過部16C内に配置した。しかしながら、本発明の配置部(網部28又はドット部)は、装飾体12の透過部16Cからカメラ22のレンズ22Bへの光入射経路に配置されればよい。
【0037】
また、本実施形態では、装飾体12を車両のバックドアの外部に設けた。しかしながら、装飾体12を車両のバックドア以外の外部に設けてもよい。
【符号の説明】
【0038】
10 車両用オーナメント
12 装飾体
16C 透過部
22 カメラ(撮像手段)
28 網部(配置部)
30 低透過部
32 高透過部