特許第6649797号(P6649797)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6649797
(24)【登録日】2020年1月21日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】被膜形成方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 7/00 20060101AFI20200210BHJP
   E04F 13/02 20060101ALI20200210BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20200210BHJP
   B05D 1/36 20060101ALI20200210BHJP
【FI】
   B05D7/00 C
   E04F13/02 C
   B05D7/24 302P
   B05D1/36 Z
   B05D7/24 301F
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-33080(P2016-33080)
(22)【出願日】2016年2月24日
(65)【公開番号】特開2016-163878(P2016-163878A)
(43)【公開日】2016年9月8日
【審査請求日】2018年8月29日
(31)【優先権主張番号】特願2015-37736(P2015-37736)
(32)【優先日】2015年2月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】599071496
【氏名又は名称】ベック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 恵介
【審査官】 横島 隆裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−012454(JP,A)
【文献】 特開2009−050841(JP,A)
【文献】 特開2003−251269(JP,A)
【文献】 特開2007−268386(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/136464(WO,A1)
【文献】 特開2004−136283(JP,A)
【文献】 特開2000−319549(JP,A)
【文献】 特開2000−319474(JP,A)
【文献】 特開2004−209320(JP,A)
【文献】 特開2013−159537(JP,A)
【文献】 特開2010−188327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00−7/26
E04F 13/00−13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機質材料に対する被膜形成方法であって、
無機質材料の表面に対し、
第1工程として浸透性吸水防止材を塗付した後、
第2工程として、合成樹脂エマルションを含む被覆材(ただし、顔料容積濃度が30%以上のものを除く)を塗付し、
上記合成樹脂エマルションは、当該合成樹脂を構成するモノマーとして、
ホモポリマーのガラス転移温度が50℃以上、溶解度パラメータが9.5以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含み、
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルがシクロヘキシルメタクリレートを含むことを特徴とする被膜形成方法。
【請求項2】
上記合成樹脂エマルションは、ガラス転移温度が10〜60℃であることを特徴とする請求項1記載の被膜形成方法。
【請求項3】
上記合成樹脂エマルションは、平均粒子径が120nm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の被膜形成方法。
【請求項4】
上記合成樹脂エマルションは、シリコン変性アクリル樹脂エマルションであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の被膜形成方法。
【請求項5】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量が合成樹脂エマルションの固形分中に3〜70重量%である請求項1〜4のいずれかに記載の被膜形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート、セメントモルタル等の無機質材料に対する、新規な被膜形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物や土木構造物等の基材として用いられているコンクリート、セメントモルタル等の無機質材料に、吸水防止性を付与し、耐久性を向上させる方法として、浸透性吸水防止材を塗付する方法が広く用いられている。
【0003】
浸透性吸水防止材は、無機質材料の中に浸透して撥水層を形成するものである。よって、このような浸透性吸水防止材を塗付することで、外部から基材への水や炭酸ガス等の浸入を遮断し、基材の中性化による強度低下を防止し、さらに基材内部に存在する鉄骨あるいは鉄筋の腐食を抑制する効果等を発揮することができる。また、基材内部のカルシウム成分の移行による基材表層でのエフロレッセンス発生を防止することもできる。
【0004】
このような浸透性吸水防止材としては、シラン系化合物を主成分とするもの(例えば特許文献1)等が知られている。しかしながら、このような浸透性吸水防止材を塗付するのみでは、十分な撥水性、吸水防止性等が得られない場合があり、実用上改善の余地がある。
【0005】
特許文献2には、コンクリート表面に対し、溶剤系の撥水防水材(下塗り材)を塗付し、その表面にエマルション系透明合成樹脂からなる防水材(中塗り材)、さらに別の防水材(上塗り材)を塗付する方法が記載されている。このような方法によれば、コンクリート表面の吸水防止性が向上し、耐久性が高まるものと期待される。
【0006】
しかしながら、上記特許文献2の方法では、エマルション系防水材の密着性が不十分となり、吸水防止性、耐久性等において所望の効果が得られないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭63−256581号公報
【特許文献2】特開2002−89006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、無機質材料に優れた吸水防止性、耐久性等を付与することができる被膜形成方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討の結果、第1工程として浸透性吸水防止材を塗付した後、第2工程として特定の被覆材を塗付する方法に想到し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明の被膜形成方法は、以下の特徴を有するものである。
1.無機質材料に対する被膜形成方法であって、
無機質材料の表面に対し、
第1工程として浸透性吸水防止材を塗付した後、
第2工程として、合成樹脂エマルションを含む被覆材(ただし、顔料容積濃度が30%以上のものを除く)を塗付し、
上記合成樹脂エマルションは、当該合成樹脂を構成するモノマーとして、
ホモポリマーのガラス転移温度が50℃以上、溶解度パラメータが9.5以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含み、
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルがシクロヘキシルメタクリレートを含むことを特徴とする被膜形成方法。
2.上記合成樹脂エマルションは、ガラス転移温度が10〜60℃であることを特徴とする1.記載の被膜形成方法。
3.上記合成樹脂エマルションは、平均粒子径が120nm以下であることを特徴とする1.または2.記載の被膜形成方法。
4.上記合成樹脂エマルションは、シリコン変性アクリル樹脂エマルションであることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の被膜形成方法。
5.上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量が合成樹脂エマルションの固形分中に3〜70重量%である1.〜4.のいずれかに記載の被膜形成方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の被膜形成方法では、無機質材料の表面に対し、第1工程として浸透性吸水防止材を塗付した後、第2工程として、特定の合成樹脂エマルションを含む被覆材を塗付することにより、無機質材料に優れた吸水防止性、耐久性等を付与する被膜を形成することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0013】
本発明の被膜形成方法は、無機質材料の表面に対し、第1工程として浸透性吸水防止材を塗付した後、第2工程として特定の被覆材を塗付し被膜を形成するものである。
<無機質材料>
無機質材料は、建築物、土木構造物等の表面を構成するものである。このような基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、サイディングボード、押出成形板、石膏ボード、パーライト板、煉瓦、タイル等が挙げられる。これら基材は、その表面に、既に被膜が形成されたもの等であってもよい。本発明は特に、コンクリート壁面等のコンクリート面に対して適用することが好ましい。このようなコンクリート面は、通常、セメント、水、骨材、さらに混和材料を適当な割合に調合して練り混ぜて得られるコンクリートを、型枠内または所定の場所に流し込み、硬化、脱型することにより得られるものである。本発明は、新設されたコンクリート面、あるいは経年劣化したコンクリート面のいずれにも適用することができる。
【0014】
なお、本発明では、第1工程に先立ち、無機質材料に対し洗浄等の処理を行うこともできる。洗浄処理は、無機質材料に対し各種洗浄剤を塗付した後、水洗いする方法等を採用すればよい。
【0015】
<第1工程>
本願発明における第1工程の浸透性吸水防止材は、吸水防止効果が発揮可能な材料であれば特に制限されず使用でき、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を主成分として含む樹脂系浸透性吸水防止材;アルキルシリコネート化合物を主成分として含むシリコネート系浸透性吸水防止材;加水分解性シラン化合物及び/またはその縮合物を主成分として含むシラン系浸透性吸水防止材、等が挙げられる。本発明では、シラン系浸透性吸水防止材が好ましく使用できる。シラン系浸透性吸水防止材としては、例えば、オルガノアルコキシシラン化合物、オルガノアセトキシシラン化合物、オルガノハロゲンシラン化合物、オルガノジシラン化合物、オルガノシランカルボン酸化合物、オルガノシランチオール化合物、オルガノシリコンイソシアナート化合物、オルガノシリコンイソチアナート化合物、あるいはこれらの縮合物から選ばれる1種以上を含むもの等が挙げられる。
【0016】
浸透性吸水防止材は、上述の成分が媒体に溶解ないし分散した溶液であり、乳化剤等によって分散されたものであってもよい。浸透性吸水防止材における媒体としては特に限定されず、芳香族炭化水素系溶剤を主成分とする強溶剤系、脂肪族炭化水素系溶剤を主成分とする弱溶剤系、水を主成分とする水性系等の各種形態が使用可能であるが、本発明では特に、弱溶剤系が好ましく使用できる。なお、主成分となる溶剤は、それぞれの媒体中に50重量%以上(好ましくは70重量%以上)含まれていればよい。
【0017】
このような浸透性吸水防止材において、その主成分となる化合物の含有比率は、好ましくは0.1〜50重量%(より好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは2〜20重量%)である。このような範囲の場合、十分な吸水防止効果が発揮可能となる。
【0018】
本発明では特に、主成分となる化合物として、アルキル基の炭素数が1〜18であるアルキルアルコキシシラン化合物を0.1〜50重量%(より好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは2〜20重量%)含有するものが好ましい。このようなアルキルアルコキシシラン化合物は、珪素原子にアルキル基とアルコキシシリル基が結合した化合物であり、例えば下記式(1)で示される化合物及び/またはその縮合物を使用することができる。
−Si(OR (1)
(式中R、Rはアルキル基を示す。Rの炭素数は1〜18。)
【0019】
具体的に、アルキルアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、トリデシルトリメトキシシラン、トリデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ペンタデシルトリメトキシシラン、ペンタデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘプタデシルトリメトキシシラン、ヘプタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらの縮合物としては、平均縮合度1〜10程度のものが使用できる。これらは1種または2種以上で使用できる。
【0020】
アルキルアルコキシシラン化合物としては、アルキル基Rの炭素数が1〜18(好ましくは3〜12、より好ましくは5〜8)のものを使用する。アルキル基は、その一部がハロゲン等で置換されたものであってもよい。アルキル基の炭素数がこのような範囲内であれば、吸水防止性を高めることが可能となる。アルキルアルコキシシラン化合物におけるアルコキシル基としては、その炭素数(上記Rの炭素数)が1〜8(好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2)のものを使用すればよい。
【0021】
このような浸透性吸水防止材においては、アルキルアルコキシシラン化合物の作用を十分に発揮させるため、樹脂成分はあまり多く混合しないことが望ましく、アルキルアルコキシシラン化合物よりも低い含有比率とすることが望ましい。浸透性吸水防止材における樹脂成分(固形分)の含有比率は、好ましくは20重量%未満(より好ましくは10重量%以下)であり、樹脂成分を含まない形態も好適である。
【0022】
浸透性吸水防止材は、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内において、例えば着色剤、増粘剤、湿潤剤、凍結防止剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、樹脂、紫外線吸収剤、酸化防止剤、触媒等を含むものであってもよい。浸透性吸水防止材は、上述の各成分を常法により均一に混合することで製造することができる。
【0023】
第1工程では、このような浸透性吸水防止材を基材に均一に塗付する。塗付器具は特に限定されず、刷毛、スプレー、ローラー、コーター等公知の塗付器具を使用することができる。浸透性吸水防止材を塗付する際の所要量は、基材の種類・状態等を勘案して適宜設定すればよいが、好ましくは30〜500g/m(より好ましくは80〜400g/m)程度である。浸透性吸水防止材の塗付、乾燥は、好ましくは常温(0〜40℃)で行えばよい。本発明では、浸透性吸水防止材の乾燥後、次工程の塗装を行うことができる。工程間の間隔は、通常1時間以上10日以内、好ましくは3時間以上7日以内である。
【0024】
<第2工程>
第2工程の被覆材としては、特定の合成樹脂エマルションを含むものを使用する。この被覆材における合成樹脂エマルションは、当該合成樹脂を構成するモノマーとして、ホモポリマーのガラス転移温度(以下「Tg」ともいう。)が50℃以上(好ましくは60〜120℃)、溶解度パラメータ(以下「sp値」ともいう。)が9.5以下(好ましくは6〜9.5)である(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)(以下「(A)成分」ともいう。)を含むものである。このような成分を含む被覆材を塗付することにより、上述の浸透性吸水防止材との密着性において優れた性能を発揮し、無機質材料の耐久性等を高めることができる。なお、本発明では、アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルを合わせて、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと表記する。
【0025】
本発明の(A)成分としては、例えば、tert−ブチルメタクリレート(Tg:107℃、sp値:9.07)、シクロヘキシルメタクリレート(Tg:83℃、sp値:7.44)、等が挙げられる。(A)成分以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチルメタクリレート(Tg:105℃、sp値:9.93)、エチルアクリレート(−20℃、sp値:10.2)、n−ブチルアクリレート(Tg:−56℃、sp値:9.77)、n−ブチルメタクリレート(Tg:20℃、sp値:9.45)、2−エチルヘキシルアクリレート(Tg:−70℃、sp値:9.22)等が挙げられる。なお、ホモポリマーのガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量測定装置)によって測定可能である。また、溶解度パラメータは、「ポリマーエンジニアリングアンドサイエンス(POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE)」、1974年、VoL.14,No.2、P.147―154に記載の方法によって算出される値である。
【0026】
上記(A)成分の含有量は、本発明の合成樹脂エマルションの固形分中に、3〜70重量%(より好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは8〜40重量%)であることが好ましい。このような範囲である場合、上述の浸透性吸水防止材との密着性において優れた性能を発揮し、無機質材料の耐久性等を高めることができる。
【0027】
また、合成樹脂エマルションのガラス転移温度は、モノマーの種類、混合比率等を選定することで調整できる。このガラス転移温度は、最終的な要求性能等を考慮して適宜設定すればよいが、本発明では、10〜60℃(より好ましくは15〜55℃)であることが好ましい。このような場合、本発明の効果をより一層高めることができる。なお、合成樹脂エマルションのガラス転移温度は、Foxの計算式により求めることができる。
【0028】
さらに、合成樹脂エマルションは、平均粒子径が120nm以下(より好ましくは30nm以上100nm以下)であることが好ましい。このような場合、本発明の効果をより一層高めることができる。なお、平均粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。
【0029】
本発明の合成樹脂エマルションとしては、上記条件を満たすものであれば特に限定されず、例えば、アクリル樹脂エマルション、エポキシ変性アクリル樹脂エマルション、ウレタン変性アクリル樹脂エマルション、シリコン変性アクリル樹脂エマルション、フッ素変性アクリル樹脂エマルション、等、あるいはこれらの複合系等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
【0030】
本発明の合成樹脂エマルションは、シリコン変性アクリル樹脂エマルションであることが好ましい。シリコン変性アクリル樹脂エマルションは、反応性シリル基含有化合物を必須成分として得られるものである。シリコン変性アクリル樹脂エマルション使用することにより、密着性、耐久性等を高めることができ、さらに耐汚染性、耐候性、耐黄変性、耐水性、耐薬品性等が良好な塗膜を形成することができる。
【0031】
本発明において、シリコン変性アクリル樹脂エマルションとしては、例えば、モノマー成分として上記(A)成分を含み、さらに下記(1)〜(4)のいずれかの条件を満たすものが好適である。
(1)モノマー成分として反応性シリル基含有モノマーを含む合成樹脂エマルション
(2)モノマー成分として反応性シリル基含有モノマー、水酸基含有モノマー、及びカルボキシル基含有モノマーから選ばれる少なくとも1種以上のモノマーを含む樹脂に、シラン化合物を付加させてなる合成樹脂エマルション、
(3)樹脂中の官能基と、該官能基と反応可能な官能基を有するシランカップリング剤とを反応させてなる合成樹脂エマルション、
(4)樹脂中の官能基と、該官能基と反応可能な官能基を有するシランカップリング剤とを反応させ、さらにシラン化合物を付加させてなる合成樹脂エマルション、等が挙げられる。
【0032】
反応性シリル基としては、珪素原子にアルコキシル基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン等が結合したものが挙げられる。本発明では、珪素原子にアルコキシル基が結合したアルコキシシリル基が好適である。
【0033】
上記(1)、(2)における反応性シリル基含有モノマーは、反応性シリル基と重合性二重結合を含有する化合物であり、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、トリエトキシシリルプロピルビニルエーテル、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、メチルジメトキシシリルエチルビニルエーテル、メチルジメトキシシリルプロピルビニルエーテル等があげられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
【0034】
上記(2)における水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。(2)におけるカルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
【0035】
上記(2)、(4)におけるシラン化合物としては、反応性シリル基を一分子中に2個以上有するものが用いられ、例えば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラブトキシシラン等の4官能アルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリブトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリブトキシシラン等の3官能アルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジブトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン等の2官能アルコキシシラン類;テトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン等のクロロシラン類;テトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン等のアセトキシシラン類等があげられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。また、反応性シリル基を一分子中に1個有する化合物を併用することもできる。
【0036】
上記(3)、(4)における官能基の組み合わせとしては、例えば、水酸基とイソシアネート基、アミノ基とイソシアネート基、カルボキシル基とエポキシ基、アミノ基とエポキシ基、アルコキシシリル基どうし等が挙げられる。シランカップリング剤は、例えば、一分子中に、少なくとも1個以上の反応性シリル基とそのほかの置換基を有する化合物であり、具体的には、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、イソシアネート官能性シラン等があげられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
【0037】
これらモノマーと共重合可能なその他の共重合モノマーとしては、例えば、
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマー;
(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;アクリロニトリル等のニトリル基含有モノマー;
グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有モノマー;
スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル系モノマー;
スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸等のスルホン酸含有ビニルモノマー;
無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン等の塩素含有モノマー;
エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル等のアルキレングリコールモノアリルエーテル;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;
エチレン、プロピレン、イソブチレン等を使用することができる。これらは1種または2種以上で使用することができる。この他、エチレン性不飽和二重結合含有紫外線吸収剤、エチレン性不飽和二重結合含有光安定剤等を用いることもできる。
【0038】
シリコン変性アクリル樹脂エマルションにおけるシリコン成分量は、エマルションの固形分中にSiO換算で0.1〜30重量%(より好ましくは0.2〜10重量%)が好ましい。シリコン成分量がこのような範囲であることにより、上述の浸透性吸水防止材との密着性において優れた性能を発揮し、無機質材料の耐久性等を高めることができる。
【0039】
なお、SiO換算とは、Si−O結合をもつ化合物を、完全に加水分解した後に、900℃で焼成した際にシリカ(SiO)となって残る重量分にて表したものである。一般に、アルコキシシランやシリケート等は、水と反応して加水分解反応が起こりシラノールとなり、さらにシラノールどうしやシラノールとアルコキシにより縮合反応を起こす性質を持っている。この反応を究極まで行うと、シリカ(SiO)となる。これらの反応は一般式、
RO(Si(OR)O)R+(n+1)HO→nSiO+(2n+2)ROH
という反応式で表される。本発明では、この反応式をもとにシリコン成分量の換算を行っている。
【0040】
第2工程における被覆材は、クリヤー被膜を形成するものが好ましい。これにより、無機質材料の質感を活かすことができる。また、第2工程における被覆材は、上記成分以外に、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内において、例えば着色剤、増粘剤、湿潤剤、凍結防止剤、造膜助剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、樹脂、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、触媒等を含むものであってもよい。さらに、本発明の効果が著しく損なわれない限り、合成樹脂エマルションとして上記以外の合成樹脂エマルションを含むこともできる。被覆材は、上述の各成分を常法により均一に混合することで製造することができる。
【0041】
第2工程では、このような被覆材を基材に均一に塗付する。塗付器具は特に限定されず、刷毛、スプレー、ローラー、コーター等公知の塗付器具を使用することができる。被覆材を塗装する際の所要量は、基材の種類・状態等を勘案して適宜設定すればよいが、好ましくは30〜500g/m(より好ましくは80〜200g/m)程度である。被覆材の塗付、乾燥は、好ましくは常温で行えばよい。
【0042】
本発明では、第2工程の後、装飾性付与、または表面保護性を高める目的で、さらに第3工程として、第2工程と同様の被覆材または第2工程とは異なる被覆材を塗付することもできる。
【0043】
第3工程の被覆材としては、クリヤー被膜を形成するものが好ましく、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合物等の樹脂成分を含む被覆材を使用することが好ましい。また、この樹脂の形態としては、特に限定されないが、水溶性樹脂、水分散性樹脂が好ましい。
【0044】
第3工程の被覆材は、上記樹脂成分に加えて、低汚染化剤等を含有することが好ましい。低汚染化剤としては、シリケート化合物が好ましく、さらにはアルキレンオキサイド変性シリケートが好ましい。アルキレンオキサイドとしては、メチレンオキサイド、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等があげられ、このうちエチレンオキサイド及び/またはプロピレンオキサイドが好ましく使用される。このような特定の変性シリケートの作用によって被膜表面の親水性が高まり、耐汚染性において優れた性能を発揮することができる。
【0045】
さらに、第3工程の被覆材は、上記成分以外に、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内において、例えば着色剤、増粘剤、湿潤剤、凍結防止剤、造膜助剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、樹脂、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、触媒等を含むものであってもよい。
【0046】
第3工程における被覆材は、基材に均一に塗付することが望ましい。塗付器具は特に限定されず、刷毛、スプレー、ローラー、コーター等公知の塗付器具を使用することができる。被覆材を塗装する際の所要量は、基材の種類・状態等を勘案して適宜設定すればよいが、好ましくは30〜500g/m(より好ましくは80〜200g/m)程度である。被覆材の塗付、乾燥は、好ましくは常温で行えばよい。
【実施例】
【0047】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
[浸透性吸水防止材]
・浸透性吸水防止材A(ヘキシルトリメトキシシランと脂肪族炭化水素系溶剤の混合物、重量比率3:97)
・浸透性吸水防止材B(ヘキシルトリメトキシシランと脂肪族炭化水素系溶剤の混合物、重量比率12:88)
・浸透性吸水防止材C(ヘキシルトリメトキシシラン、可溶形アクリル樹脂、脂肪族炭化水素系溶剤の混合物、重量比率3:25:72)
【0048】
[被覆材]
・被覆材A
合成樹脂エマルションA[シリコン変性アクリル樹脂エマルション(シクロヘキシルメタクリレート・メチルメタクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート・γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合体のメチルトリメトキシシラン付加物、固形分中のシクロヘキシルメタクリレート含有量20重量%、固形分中のシリコン成分量2重量%、固形分50重量%、Tg32℃、平均粒子径78nm)]100重量部、造膜助剤4重量部、紫外線吸収剤0.2重量部、消泡剤0.1重量部、及び水10重量部を均一に混合し被覆材Aを得た。
【0049】
・被覆材B
合成樹脂エマルションB[シリコン変性アクリル樹脂エマルション(t-ブチルメタクリレート・シクロヘキシルメタクリレート・メチルメタクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート・γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合体のメチルトリメトキシシラン付加物、固形分中のt-ブチルメタクリレート含有量10重量%、固形分中のシクロヘキシルメタクリレート含有量10重量%、固形分中のシリコン成分量2重量%、固形分50重量%、Tg38℃、平均粒子径75nm)]100重量部、造膜助剤4重量部、紫外線吸収剤0.2重量部、消泡剤0.1重量部、及び水10重量部を均一に混合し被覆材Bを得た。
【0050】
・被覆材C
合成樹脂エマルションC[シリコン変性アクリル樹脂エマルション(シクロヘキシルメタクリレート・メチルメタクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート・γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合体のメチルトリメトキシシラン付加物、固形分中のシクロヘキシルメタクリレート含有量20重量%、固形分中のシリコン成分量2重量%、固形分50重量%、Tg50℃、平均粒子径72nm)]100重量部、造膜助剤5重量部、紫外線吸収剤0.2重量部、消泡剤0.1重量部、及び水10重量部を均一に混合し被覆材Cを得た。
【0051】
・被覆材D
合成樹脂エマルションD[シリコン変性アクリル樹脂エマルション(シクロヘキシルメタクリレート・メチルメタクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート・γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合体のメチルトリメトキシシラン付加物、固形分中のシクロヘキシルメタクリレート含有量20重量%、固形分中のシリコン成分量8重量%、固形分50重量%、Tg36℃、平均粒子径75nm)]100重量部、造膜助剤4重量部、紫外線吸収剤0.2重量部、消泡剤0.1重量部、及び水10重量部を均一に混合し被覆材Dを得た。
【0052】
・被覆材E
合成樹脂エマルションE[シリコン変性アクリル樹脂エマルション(シクロヘキシルメタクリレート・メチルメタクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート・γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合体のメチルトリメトキシシラン付加物、固形分中のシクロヘキシルメタクリレート含有量6重量%、固形分中のシリコン成分量2重量%、固形分50重量%、Tg32℃、平均粒子径78nm)]100重量部、造膜助剤3重量部、紫外線吸収剤0.2重量部、消泡剤0.1重量部、及び水10重量部を均一に混合し被覆材Eを得た。
【0053】
・被覆材F
合成樹脂エマルションF[シリコン変性アクリル樹脂エマルション(シクロヘキシルメタクリレート・メチルメタクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート・γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合体のメチルトリメトキシシラン付加物、固形分中のシクロヘキシルメタクリレート含有量20重量%、固形分中のシリコン成分量2重量%、固形分50重量%、Tg12℃、平均粒子径72nm)]100重量部、造膜助剤3重量部、紫外線吸収剤0.2重量部、消泡剤0.1重量部、及び水10重量部を均一に混合し被覆材Fを得た。
【0054】
・被覆材G
合成樹脂エマルションG[シリコン変性アクリル樹脂エマルション(シクロヘキシルメタクリレート・メチルメタクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート・γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合体のメチルトリメトキシシラン付加物、固形分中のシクロヘキシルメタクリレート含有量20重量%、固形分中のシリコン成分量2重量%、固形分50重量%、Tg32℃、平均粒子径130nm)]100重量部、造膜助剤4重量部、紫外線吸収剤0.2重量部、消泡剤0.1重量部、及び水10重量部を均一に混合し被覆材Gを得た。
【0055】
・被覆材H
合成樹脂エマルションH[アクリル樹脂エマルション(シクロヘキシルメタクリレート・メチルメタクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート共重合体、固形分中のシクロヘキシルメタクリレート含有量20重量%、固形分50重量%、Tg32℃、平均粒子径80nm)]100重量部、造膜助剤4重量部、紫外線吸収剤0.2重量部、消泡剤0.1重量部、及び水10重量部を均一に混合し被覆材Hを得た。
【0056】
・被覆材I
合成樹脂エマルションI[アクリル樹脂エマルション(メチルメタクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート共重合体、固形分50重量%、Tg32℃、平均粒子径80nm)]100重量部、造膜助剤4重量部、紫外線吸収剤0.2重量部、消泡剤0.1重量部、及び水10重量部を均一に混合し被覆材Iを得た。
【0057】
(実施例1〜10、比較例1)
セメントモルタルからなる試験基材に対し、第1工程として浸透性吸水防止材を所要量200g/mで全面に刷毛塗りし、標準状態(気温23℃・相対湿度50%)にて16時間乾燥させた。次いで、第2工程として被覆材を所要量100g/mで全面に刷毛塗りし、標準状態で24時間乾燥させ、側面養生した後さらに14日間乾燥させて試験体を作製し、以下の評価を行った。各試験体の形成被膜は、基材の質感を活かした仕上がりであった。なお、浸透性吸水防止材、及び被覆材の組み合わせ、並びに結果は表1に示す。
【0058】
・吸水防止性試験
試験体を垂直に固定し、その試験体に対しホースを用いて60分間連続的に散水を行い、その際の色変化を観察した。評価基準は、試験前後で色変化が認められなかったものを「◎」、色変化がほとんど認められなかったものを「○」、色変化が認められたものを「△」、著しい色変化が認められたものを「×」とした。
【0059】
吸水防止性試験後の試験体について、JIS K 5600−5−6に準じ、クロスカット法にて密着性を評価した。評価基準は、欠損部面積が5%以内のものを「◎」、欠損部面積が5%超20%以内のものを「○」、欠損部面積が20%超35%以内のものを「△」、欠損部面積が35%超のものを「×」とした。
【0060】
・耐久性試験
試験体について、水浸漬(20℃)18時間→−20℃3時間→50℃3時間を1サイクルとする温冷繰返しを合計10サイクル行った。その後、JIS K 5600−5−6に準じ、クロスカット法にて密着性を評価した。評価基準は、欠損部面積が5%以内のものを「◎」、欠損部面積が5%超20%以内のものを「○」、欠損部面積が20%超35%以内のものを「△」、欠損部面積が35%超のものを「×」とした。
【0061】
(実施例11)
実施例1と同様の方法で、第1工程として浸透性吸水防止材A、第2工程として被覆材Aを塗付・乾燥させた後、第3工程としてフッ素樹脂エマルション含有クリヤー被覆材を所要量100g/mで全面に刷毛塗りし、標準状態で24時間乾燥させ、側面養生した後さらに14日間乾燥させて試験体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。その結果、すべての試験において「◎」の評価が得られた。また、得られた試験体は、基材の質感を活かした仕上がりであった。
【0062】
【表1】