(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
図8に燃焼装置の運転を制御する燃焼制御装置を用いた燃焼システムの一例を示す(例えば、特許文献1参照)。この燃焼システム200は、燃焼機器1と、燃焼制御装置2(2B)と、燃料流路3と、空気流路4とを備えている。
【0003】
燃焼機器1は、燃焼室5と、この燃焼室5内を加熱するメインバーナ6と、このメインバーナ6を点火するパイロットバーナ7と、このパイロットバーナ7を点火する点火装置(IG)8と、バーナ(パイロットバーナ7およびメインバーナ6)の火炎の強さを検出する火炎検出器9と、燃焼室5内の温度を検出する温度センサ10とを備えている。
【0004】
燃料流路3は、燃焼機器1に燃料を供給するための流路であり、外部から燃料が供給される主流路3aと、主流路3aから分岐した第1の流路3bおよび第2の流路3cとから構成されている。第1の流路3bはメインバーナ6に接続され、第2の流路3cはパイロットバーナ7に接続されている。また、主流路3aにはガス圧スイッチ15が設けられ、第1の流路3bには安全遮断弁11,12が設けられ、第2の流路3cには安全遮断弁13,14が設けられている。
【0005】
空気流路4は、一端がブロワ16に接続され、他端が第1の流路3bに接続されている。ブロワ16から吐出された空気(エアー)は、第1の流路3bを介して燃料(ガス)とともにメインバーナ6に供給される。また、空気流路4には、風圧スイッチ(エアーフロースイッチ)17やダンパ18が設けられている。
【0006】
燃焼制御装置2(2B)は、火炎検出器9からの火炎検出信号(バーナの火炎の強さを示す信号)、温度センサ10からの温度検出信号を入力とし、安全遮断弁11〜14や点火装置8、ブロワ16、ダンパ18などに対して制御信号を出力する。これにより、図中その構成要素を1点鎖線で囲んで示す燃焼装置19の運転が制御される。
【0007】
なお、燃焼装置19の種類によっては、メインバーナ6の点火が終わればパイロットバーナ7の火炎を消すタイプ、メインバーナ6の点火後もパイロットバーナ7の火炎を継続するタイプなどがあり、火炎検出器9は、前者のタイプでは、最初にパイロットバーナ7の火炎の強さを検出し、その後、メインバーナ6の火炎の強さを検出する。後者のタイプでは、パイロットバーナ7とメインバーナ6の火炎の強さを合わせて検出する。また、パイロットバーナ7を備えず、メインバーナ6のみとするタイプなどもある。本明細書では、パイロットバーナ7もメインバーナ6もバーナと呼び、そして火炎検出器9が検出する火炎をバーナの火炎と呼ぶ。
図8は、メインバーナ6の点火後もパイロットバーナ7の火炎を継続するタイプとされており、火炎検出器9はパイロットバーナ7およびメインバーナ6の火炎をバーナの火炎として検出する。
【0008】
また、燃焼制御装置2(2B)は、ガス圧スイッチ15や風圧スイッチ17、火炎検出器9などの状態を監視し、異常を検出した時に、安全遮断弁11〜14を閉とし、バーナへの燃料の供給を遮断する。すなわち、燃焼装置19をロックアウト状態とする。
【0009】
この燃焼システム200において、燃焼装置19の起動から正常燃焼に至るまでの動作順序は、燃焼シーケンスとして定められている。例えば、燃焼装置19の起動から正常燃焼に至るまでの動作順序として「スタートチェック」、「プレパージ」、「点火待機」、「イグニッショントライアル」、「パイロットトライアル」、「メイントライアル」、「正常燃焼」というように、各燃焼シーケンスの時間帯が定められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した燃焼システム200において、着火異常が発生した場合、ロックアウトの原因追及において、火炎の検出状態が悪いことから異常になることが分かっていてもそれが本当の原因とは限らず、真の原因を特定することは困難であった。
【0012】
そこで、着火異常の発生原因を特定するのに資するために、例えば特許文献2では、バーナ起動信号、パイロットバーナ点火信号、メインバーナ点火信号、フレーム電流変化曲線(火炎検出器が検出する火炎の強さの変化を示す曲線)を同期させてトレンドデータ監視画面として表示し、監視員に参照させるようにしている。
【0013】
この特許文献2に示された技術を採用すると、着火異常は、フレーム電流の異常により監視員が認識することができる。しかしながら、フレーム電流の異常の原因には複数の要因があり、この複数の要因からフレーム電流の異常の原因を特定することは難しい。すなわち、燃焼装置の運転中、燃焼制御装置では火炎の状態をフレーム電流を見ることで確認することはできるが、フレーム電流の大小などで着火異常の原因が燃焼装置の経年変化によるものなのか、センサ自体に故障による問題があるのか、または燃料供給の問題(ノズルのつまりなど)なのかなど、予想することは難しい。
【0014】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、着火異常の原因を特定することが可能な燃焼システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このような目的を達成するために本発明は、少なくともバーナ(6,7)を備えた燃焼装置(19)の運転を制御するとともにその燃焼装置(19)の運転の制御状態を監視する燃焼システム(100)であって、バーナ(6,7)の火炎の強さを検出する火炎検出器(9)と、火炎検出器(9)からの火炎検出信号(S7)を少なくとも含む燃焼制御情報を所定の周期で収集する燃焼制御情報収集部(2−1)と、燃焼制御情報収集部(2−1)によって収集された燃焼制御情報を時系列で蓄積する燃焼制御情報蓄積部(2−2)と、燃焼制御情報蓄積部(2−2)に蓄積されている燃焼制御情報に基づいて燃焼装置(19)について着火異常の有無を判定する着火異常判定部(2−3)と、着火異常判定部(2−3)で着火異常有りと判定された場合、燃焼制御情報蓄積部(2−2)に蓄積されている燃焼制御情報に基づいてその着火異常の原因を推定する着火異常原因推定部(2−4)と、着火異常判定部(2−3)での着火異常の判定結果および着火異常原因推定部(2−4)での着火異常の原因の推定結果を出力する出力部(2−5)と、出力部(2−5)から出力された着火異常の判定結果および着火異常の原因の推定結果を提示する提示部(20−1)とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明において、燃焼制御情報収集部(2−1)は、火炎検出器(9)からの火炎検出信号(S7)を少なくとも含む燃焼制御情報を所定の周期で収集する。この収集された燃焼制御情報は燃焼制御情報蓄積部(2−2)に時系列で蓄積される。着火異常判定部(2−3)は、この燃焼制御情報蓄積部(2−2)に蓄積されている燃焼制御情報に基づいて燃焼装置(19)について着火異常の有無を判定する。着火異常原因推定部(2−4)は、着火異常判定部(2−3)で着火異常有りと判定された場合、燃焼制御情報蓄積部(2−2)に蓄積されている燃焼制御情報に基づいてその着火異常の原因を推定する。出力部(2−5)は、着火異常判定部(2−3)での着火異常の判定結果および着火異常原因推定部(2−4)での着火異常の原因の推定結果を出力する。提示部(20−1)は、出力部(2−5)から出力された着火異常の判定結果および着火異常の原因の推定結果を提示する。監視員は、この提示される着火異常の判定結果および着火異常の原因の推定結果から、着火異常の原因を特定することが可能となる。
【0017】
なお、上記説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の構成要素を、括弧を付した参照符号によって示している。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、火炎検出器からの火炎検出信号を少なくとも含む燃焼制御情報を所定の周期で収集し、この収集した燃焼制御情報を時系列で蓄積し、この蓄積されている燃焼制御情報に基づいて燃焼装置について着火異常の有無を判定し、着火異常有りと判定した場合、蓄積されている燃焼制御情報に基づいてその着火異常の原因を推定し、この着火異常の判定結果および着火異常の原因の推定結果を出力し、この出力された着火異常の判定結果および着火異常の原因の推定結果を提示するようにしたので、この提示される着火異常の判定結果および着火異常の原因の推定結果から、着火異常の原因を特定することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に本発明の実施の形態に係る燃焼システム100の要部を示す。
【0021】
この燃焼システム100の基本構成は
図8に示した従来の燃焼システム200と同じであるが、燃焼制御装置2(2A)に「燃焼制御情報を収集する機能」と「収集した燃焼制御情報を蓄積する機能」と「着火異常を判定する機能」と「着火異常の原因を推定する機能」と「蓄積した燃焼制御情報を燃焼制御のトレンドデータとして出力する機能」と「着火異常の判定結果および着火異常の原因の推定結果を出力する機能」とを付加している。また、この燃焼システム100では、燃焼制御装置2(2A)から出力される燃焼制御のトレンドデータや着火異常の判定結果および着火異常の原因の推定結果を監視装置20へ送り、監視装置20の画面(監視画面)上に表示させるようにしている。
【0022】
この燃焼システム100において、燃焼制御装置2(2A)は、プロセッサや記憶装置からなるハードウェアと、これらのハードウェアと協働して各種機能を実現させるプログラムとによって実現され、本実施の形態特有の機能部として、燃焼制御情報収集部2−1と燃焼制御情報蓄積部2−2と着火異常判定部2−3と着火異常原因推定部2−4と出力部2−5と燃焼シーケンス時間帯記憶部2−6とを備えている。
【0023】
なお、
図1には、燃焼制御装置2(2A)に付加されている本実施の形態特有の機能部だけを抜粋して示している。また、燃焼装置19の基本構成については、
図8に示した構成を流用するものとする。
【0024】
この燃焼制御装置2(2A)において、燃焼制御情報収集部2−1は、燃焼制御情報を所定の周期(例えば、0.1s単位)で収集する。この実施の形態では、燃焼装置19の運転状態を示す入力・起動信号S1、メインバーナ6への空気の供給状態を示すエアーフロースイッチ信号S2、ブロワ16の作動状態を示す出力・ブロワ信号S3、点火装置8の作動状態を示す信号S4(入力・IGリレーフィードバック)、パイロットバーナ7への燃料の供給状態を示す信号S5(入力・PVリレーフィードバック)、メインバーナ6への燃料の供給状態を示す信号S6(入力・MVリレーフィードバック)、バーナ(パイロットバーナ7およびメインバーナ6)の火炎の強さを示す火炎検出信号S7などを燃焼制御情報として、例えば、0.1s単位で収集する。
【0025】
なお、燃焼制御装置2(2A)は、火炎検出信号S7の値から火炎の有無や着火異常などを判断する。燃焼制御情報収集部2−1が収集する燃焼制御情報には、燃焼制御装置2(2A)が判断する火炎の有無を示す情報S8、不着火を示す情報S9、断火を示す情報S10なども含まれる。
【0026】
燃焼制御情報蓄積部2−2には、燃焼制御情報収集部2−1によって収集された燃焼制御情報が時系列で蓄積される。着火異常判定部2−3は、燃焼制御情報蓄積部2−2に蓄積されている燃焼制御情報に基づいて燃焼装置19について着火異常の有無を判定する。着火異常原因推定部2−4は、着火異常判定部2−3で着火異常有りと判定された場合、燃焼制御情報蓄積部2−2に蓄積されている燃焼制御情報に基づいて燃焼装置19について着火異常の原因を推定する。燃焼シーケンス時間帯記憶部2−6には、焼制御装置2(2A)が実行する燃焼装置19の起動から正常燃焼に至るまでの各燃焼シーケンスの時間帯を示す情報S0が記憶されている。
【0027】
出力部2−5は、燃焼制御情報蓄積部2−2に蓄積されている燃焼制御情報を燃焼制御のトレンドデータとして読み出し、この読み出した燃焼制御のトレンドデータを燃焼シーケンス時間帯記憶部2−4に記憶されている各燃焼シーケンスの時間帯を示す情報S0と合わせて監視装置20に出力する。また、出力部2−5は、着火異常判定部2−3での着火異常の判定結果および着火異常原因推定部2−4での着火異常の原因の推定結果を監視装置20に出力する。
【0028】
監視装置20は、ディスプレイに監視画面を表示する表示部20−1を備え、この表示部20−1が表示する監視画面上に燃焼制御装置2(2A)からの燃焼制御のトレンドデータを各燃焼シーケンスの時間帯との関係が分かる形式でグラフ表示する。また、監視装置20は、表示部20−1が表示する監視画面上に着火異常判定部2−3での着火異常の判定結果および着火異常原因推定部2−4での着火異常の原因の推定結果を表示する。
【0029】
図2に燃焼制御のトレンドデータの表示例を示す。この例では、燃焼装置19の起動から正常燃焼に至るまでの各燃焼シーケンスの時間帯を示すグラフを#0とし、このグラフ#0における各燃焼シーケンスの時間帯を色分けして示している。
【0030】
このグラフ#0において、J1は「スタートチェック」の時間帯、J2は「プレパージ」の時間帯、J3は「点火待機」の時間帯、J4は「イグニッショントライアル」の時間帯、J5は「パイロットトライアル」の時間帯、J6は「メイントライアル」の時間帯、J7は「正常燃焼」の時間帯を示している。これらの時間帯J1〜J7は各燃焼シーケンスの時間帯を示す情報S0から得られる。
【0031】
また、このグラフ#0における各燃焼シーケンスの時間帯J1〜J7との関係が分かるように、時間軸を合わせて、入力・起動信号S1から得られる燃焼装置19の運転状態を示すグラフを#1として、エアーフロースイッチ信号S2から得られるメインバーナ6への空気の供給状態を示すグラフを#2として、出力・ブロワ信号S3から得られるブロワ16の作動状態を示すグラフを#3として示している。
【0032】
また、信号S4から得られる点火装置8の作動状態を示すグラフを#4として、信号S5から得られるパイロットバーナ7への燃料の供給状態を示すグラフを#5として、信号S6から得られるメインバーナ6への燃料の供給状態を示すグラフを#6として、火炎検出信号S7から得られるバーナの火炎の強さを示すグラフを#7として、火炎の有無を示す情報S8から得られる火炎の有無を示すグラフを#8として示している。
【0033】
なお、この例では、着火異常は生じておらず、不着火を示す情報S9から得られる不着火を示すグラフ#9,断火を示す情報S10から得られる断火を示すグラフ#10は表れていない。また、バーナの火炎の強さを示すグラフ#7については、火炎検出信号S7の値(フレーム電圧(特許文献2でいうフレーム電流に相当))の変化を波形として示している。
【0034】
また、本実施の形態では、
図2に示した燃焼制御のトレンドデータのグラフG1と合わせて表G2(
図3)を表示するようにし、この表G2内に点火装置8が作動してから火炎検出信号S7の値が所定値thを超えるまでの時間tdを着火遅れ時間として数値で示すようにしている。
【0035】
また、表G2内には、燃焼装置19におけるこれまでの着火回数、燃焼時間、運転時間、着火遅れ時間の数回分の履歴(過去の着火遅れ時間)、点火装置8が作動してから所定時間経過後の火炎検出信号S7の値(イグニッショントライアル開始から一定時間までのフレーム電圧)も数値として示される。
【0036】
なお、表G2内に示される情報は、燃焼制御装置2(2A)で求められ、燃焼制御装置2(2A)の内部のメモリに保存されており、出力部2−5からの燃焼制御のトレンドデータと合わせて監視装置20に送られてくる。
【0037】
この燃焼システム100において、ユーザは例えば毎日、グラフG1や表G2を監視装置20の画面(監視画面)上に表示させる。これにより、燃焼装置19の起動から正常燃焼に至るまでの燃焼制御情報の変化を各燃焼シーケンス毎に確認することができ、グラフG1や表G2に示される情報を異常の早期発見などメンテナンスに役立てることができるようになる。
【0038】
すなわち、グラフG1によって、燃焼装置19の起動から正常燃焼に至るまでの各燃焼シーケンス毎における負荷の状態やフレーム電圧の上下の振れなどを時系列で確認することができ、火付けが悪い、火炎状態が不安定などの予兆をとらえ、メンテナンスに役立てることができる。
【0039】
また、表G2によって、着火遅れ時間、着火回数、燃焼時間、運転時間、着火遅れ時間の変化、イグニッショントライアル開始から一定時間までのフレーム電圧の変化などを確認することができ、機器の部品の交換時期/故障予知などのメンテナンスに役立てることができる。
【0040】
図4を用いて燃焼制御装置2(2A)における着火異常判定部2−3および着火異常原因推定部2−4での処理動作の一例について説明する。
図4(a)は点火装置8の作動状態を示す信号S4の変化を示し、
図4(b)はパイロットバーナ7への燃料の供給状態を示す信号S5の変化を示す。また、
図4(c),(d)は不着火時の火炎検出信号S7の値(フレーム電圧)の変化例を示す。
【0041】
着火異常判定部2−3は、燃焼装置19の点火装置8が作動してから第1の所定時間T1よりも長い第2の所定時間T2以内に火炎検出信号S7の値が第1の所定値th1を超えたか否かを確認し、その確認結果が第1の所定値th1を超えなかったとする確認結果であった場合、燃焼装置19について着火異常有りと判定する。この判定結果は着火異常原因推定部2−4に送られる。
【0042】
着火異常原因推定部2−4は、着火異常判定部2−3からの着火異常有りの判定結果を受けて、燃焼装置19の点火装置8が作動してから第1の所定時間T1までの間の火炎検出信号S7の値の最大値と最小値との差を求め、その差が第1の所定値th1よりも小さな値として定められている第2の所定値th2を超えているか否かを確認する。
【0043】
ここで、その確認結果が第2の所定値th2を超えているとする確認結果であった場合(
図4(d)に示した例)、着火異常原因推定部2−4は、着火異常の原因は点火装置8または火炎検出器9の性能劣化が原因であると推定する。例えば、着火異常の原因として、火炎の強さの不足、火炎レベルが低い、センサにススがついているなどと推定する。
【0044】
これに対し、その確認結果が第2の所定値th2を超えていないとする確認結果であった場合(
図4(c)に示した例)、着火異常原因推定部2−4は、着火異常の原因は点火装置8または火炎検出器9の故障もしくは火炎検出器9の設置位置が原因であると推定する。例えば、火が全くない、火炎検出センサの故障、火炎検出センサの位置が悪いなどと推定する。
【0045】
図5を用いて燃焼制御装置2(2A)における着火異常判定部2−3および着火異常原因推定部2−4での処理動作の他の例について説明する。
図5(a)は点火装置8の作動状態を示す信号S4の変化を示し、
図5(b)はパイロットバーナ7への燃料の供給状態を示す信号S5の変化を示す。また、
図5(c)は不着火時の火炎検出信号S7の値(フレーム電圧)の変化例を示す。
【0046】
着火異常判定部2−3は、燃焼装置19の点火装置8が作動してから第1の所定時間M1以内に火炎検出信号S7の値が第1の所定値TH1を超えたか否かを確認し、その確認結果が第1の所定値TH1を超えなかったとする確認結果であった場合、燃焼装置19について着火異常有りと判定する。
【0047】
着火異常原因推定部2−4は、着火異常判定部2−3が燃焼装置19について着火異常有りと判定した場合、燃焼装置19の点火装置8が作動してから第1の所定時間M1よりも長い第2の所定時間M2以内に火炎検出信号S7の値が第1の所定値TH1を超えたか否かを確認し、その確認結果が第1の所定値TH1を超えたとする確認結果であった場合、着火異常の原因は燃焼装置19における燃料ガス供給系統上の異常であると推定する。例えば、バルブの配管が長い、バルブが開くのが遅いなどと推定する。
【0048】
この着火異常判定部2−3での着火異常の判定結果および着火異常原因推定部2−4での着火異常の原因の推定結果は出力部2−5へ送られる。出力部2−5は、燃焼制御のトレンドデータと合わせて、着火異常判定部2−3での着火異常の判定結果および着火異常原因推定部2−4での着火異常の原因の推定結果を監視装置20に出力する。監視装置20は、この燃焼制御装置2(2A)から送られてくる着火異常判定部2−3での着火異常の判定結果および着火異常原因推定部2−4での着火異常の原因の推定結果を燃焼制御のトレンドデータと合わせて監視画面上に表示する。
【0049】
図6に着火異常の判定結果および着火異常の原因の推定結果の表示例を示す。この例では、燃焼制御のトレンドデータのグラフと合わせて異常情報のメッセージ欄G3を表示し、この異常情報のメッセージ欄G3に着火異常が発生した旨の情報と、推定された着火異常の原因とを文字で表示する。監視員は、この表示される着火異常の判定結果および着火異常の原因の推定結果から、着火異常の原因を特定することができる。
【0050】
なお、上述した実施の形態では、不着火時における着火異常判定部2−3および着火異常原因推定部2−4での処理動作について説明したが、断火時にも適切なルールを定めることによって着火異常の判定や着火異常の原因の推定を行わせることができる。
【0051】
また、上述した実施の形態では、燃焼装置19の起動から正常燃焼に至るまでの各燃焼シーケンスの時間帯J1〜J7についてその全区間の燃焼制御情報の変化をグラフ表示するようにしているが、例えば「プレパージ」の時間帯J2は長いので、この「プレパージ」の時間帯J2の途中の区間を省略するなどしてもよい。
【0052】
また、上述した実施の形態では、燃焼制御装置2(2A)とは別に監視装置20を設け、この監視装置20の画面(監視画面)上に燃焼制御のトレンドデータと合わせて着火異常の判定結果および着火異常の原因の推定結果を表示するようにしたが、燃焼制御装置2(2A)内に監視画面を表示する表示部を設け、この表示部が表示する監視画面に燃焼制御のトレンドデータと合わせて着火異常の判定結果および着火異常の原因の推定結果を表示するようにしてもよい。
【0053】
また、
図7に示すように、燃焼制御装置2(2A)内に送信部2−7を設け、この送信部2−7からインターネット30を介して、遠隔地の監視装置(遠隔監視装置)20に燃焼制御のトレンドデータと各燃焼シーケンスの時間帯を示す情報S0とを合わせて送り、また着火異常判定部2−3での着火異常の判定結果および着火異常原因推定部2−4での着火異常の原因の推定結果を合わせて送り、監視装置20の画面(監視画面)上に燃焼制御のトレンドデータと合わせて着火異常の判定結果および着火異常の原因の推定結果を表示するようにしてもよい。
【0054】
また、上述した実施の形態では、監視装置20の画面(監視画面)上に燃焼制御装置2(2A)からの燃焼制御のトレンドデータと合わせて着火異常の判定結果および着火異常の原因の推定結果を表示するようにしたが、監視画面に表示するのではなく、プリンタによって紙面に印刷するようにしてもよい。
【0055】
また、監視装置20をパーソナルコンピュータ(パソコン)とし、このパソコンに燃焼制御装置2(2A)からの情報を保存させるようにしてもよい。また、正常燃焼している時のデータをパソコンに保存しておき、異常が発生したときのデータと比較することで、現在、燃焼装置19に何が起きているのかの検証を行うことも可能である。
【0056】
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。