(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
基板の処理面のうち周縁部における周縁側の細幅領域のみを処理するためには、基板の処理面のうち当該周縁側の細幅領域のみに処理液を供給する必要が有る。しかしながら、特許文献1、2の基板処理装置は、基板の上面全体に処理液を供給するため、基板の処理面のうち当該細幅領域のみに処理液を供給することができないといった問題がある。
【0008】
また、特許文献3の装置では、処理液が基板の周縁部のうち平坦部分に向けて吐出されるため、処理液が基板の周縁部において拡がってしまい、基板の処理面のうち周縁部の細幅領域のみを処理することができないといった問題がある。特許文献3の装置によって当該細幅領域を処理するために、処理液の吐出目標領域を、基板の端面ぎりぎりに設定すると、基板の平坦部と端部との境界部分に処理液が当たることによって処理液の流れが乱れる。すなわち、基板に当たった処理液が基板の中心側に拡がったり、端面側に流れたりする。そのため、処理液により処理される処理幅は、基板の周方向に沿って、不均一となり、基板の回転中心側に拡がった処理液の先端を結ぶ線が、基板の周方向に沿って波形となる。このため、基板の周縁部の処理幅が不均一になるといった問題がある。
【0009】
本発明は、こうした問題を解決するためになされたもので、基板の周縁部を処理する基板処理技術において、基板の周縁部の処理幅を細くできるとともに、処理幅の均一性を向上できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、第1の態様に係る基板処理装置は、基板を下方から略水平に保持し、所定の回転軸を中心に回転可能に設けられた保持部材と、前記保持部材を、前記回転軸を中心に回転させることができる回転機構と、前記保持部材に保持されている前記基板の端面と隙間を隔てて前記基板の径方向に沿って前記基板の外側に配置される別部材と、少なくとも一部が前記別部材の上面に含まれる吐出目標領域に当たるように前記吐出目標領域の上方から処理液を吐出するノズルと、を備え、前記別部材と前記基板の端面との前記隙間は、前記吐出目標領域に当たった前記処理液が、前記別部材の上面を流れて当該上面の前記回転軸側の内側端から排出され、前記基板の上面周縁部に上方から当たるように設定されている。
【0011】
第2の態様に係る基板処理装置は、第1の態様に係る基板処理装置であって、前記吐出目標領域の全てが、前記別部材の上面に含まれている。
【0012】
第3の態様に係る基板処理装置は、第1または第2の態様に係る基板処理装置であって、前記ノズルと前記別部材とを一体的に保持するノズル保持部材をさらに備える。
【0013】
第4の態様に係る基板処理装置は、第1または第2の態様に係る基板処理装置であって、前記別部材は、前記回転軸を中心とする前記基板の周方向に沿って前記基板の周縁を取り囲む環状部材であり、前記基板処理装置は、前記別部材を前記基板と同じ回転速度で回転させる前記環状部材用の回転機構をさらに備える。
【0014】
第5の態様に係る基板処理装置は、第4の態様に係る基板処理装置であって、前記環状部材は、複数の円弧状部材を含んでおり、前記複数の円弧状部材は、前記基板の周方向に沿って隣り合う2つの円弧状部材を含み、前記2つの円弧状部材のそれぞれの前記基板の周方向における一端同士が互いに対向しており、前記2つの円弧状部材は、それぞれの他端を中心に水平面内でそれぞれ回動可能に設けられており、前記基板処理装置は、前記2つの円弧状部材のそれぞれの他端を回転中心としてそれぞれの一端が互いに前記基板の径よりも離れるように前記2つの円弧状部材をそれぞれ回動させることができる回動機構をさらに備える。
【0015】
第6の態様に係る基板処理装置は、第1から第5の何れか1つの態様に係る基板処理装置であって、前記別部材を前記基板の径方向に移動可能な径方向駆動部と、前記径方向駆動部と、前記ノズルとを制御する制御部と、を備え、前記吐出目標領域に当たった前記処理液が、前記別部材の上面を流れて当該上面の前記回転軸側の内側端から排出され、前記基板の上面周縁部に上方から当たるときの前記別部材の位置によって前記別部材の処理位置を定義したとき、前記制御部は、前記径方向駆動部に前記別部材を前記処理位置よりも前記基板の径方向の外側の外側位置に配置させている間に、前記ノズルに前記吐出目標領域に向けて前記処理液の吐出を開始させるともに、前記ノズルに前記処理液の吐出をさせつつ、前記径方向駆動部に前記別部材を前記外側位置から前記処理位置に移動させる。
【0016】
第7の態様に係る基板処理装置は、第1から第6の何れか1つの態様に係る基板処理装置であって、前記別部材の上面の前記回転軸側の内側端が、前記基板の周縁よりも前記基板の径方向に沿って前記回転軸側に位置する。
【0017】
第8の態様に係る基板処理装置は、第1から第7の何れか1つの態様に係る基板処理装置であって、前記別部材は、前記基板の前記端面に対向する内側面を含み、前記内側面がその下端から上端に向かって前記回転軸に近づくように前記回転軸に対して傾斜している。
【0018】
第9の態様に係る基板処理装置は、第1から第7の何れか1つの態様に係る基板処理装置であって、前記別部材は、前記基板の前記端面に対向する内側面を含み、前記内側面は、その下端から上端に向かって前記回転軸に近づくとともに、前記回転軸に対して斜め上方に張り出して湾曲している。
【0019】
第10の態様に係る基板処理装置は、第1から第7の何れか1つの態様に係る基板処理装置であって、前記別部材は、前記基板の前記端面に対向する内側面を含み、前記回転軸を含む平面における前記内側面の断面形状は、前記基板の端面に沿って湾曲している。
【0020】
第11の態様に係る基板処理方法は、基板処理装置における基板処理方法であって、当該基板処理装置は、基板を下方から略水平に保持し、所定の回転軸を中心に回転可能に設けられた保持部材と、前記保持部材を、前記回転軸を中心に回転させる回転機構と、前記基板から離れて配置される別部材と、処理液を吐出可能なノズルと、を備え、前記基板処理方法は、前記別部材を前記基板の端面と隙間を隔てて前記基板の径方向に沿って前記基板の外側に配置するステップと、少なくとも一部が前記別部材の上面に含まれる吐出目標領域に当たるように、前記ノズルに前記吐出目標領域の上方から処理液を吐出させるステップと、を備え、前記別部材と前記基板の端面との前記隙間は、前記吐出目標領域に当たった前記処理液が、前記別部材の上面を流れて当該上面の前記回転軸側の内側端から排出され、前記基板の上面周縁部に上方から当たるように設定されている。
【発明の効果】
【0021】
第1および第11の何れの態様に係る発明によっても、別部材の上面に少なくとも一部が含まれる吐出目標領域に当たるようにノズルから処理液が吐出される。別部材は、基板の端面と隙間を隔てて基板の径方向に沿って基板の外側に配置されており、当該隙間は、吐出目標領域に当たった処理液が、別部材の上面を流れて当該上面の回転軸側の内側端から排出され、基板の上面周縁部に上方から当たるように設定されている。従って、処理液による基板の上面周縁部の処理幅を細くできるとともに、処理幅の均一性を向上できる。
【0022】
第2の態様に係る発明によれば、吐出目標領域の全てが、別部材の上面に含まれている。従って、基板の上面周縁部に当たる処理液は、全て、吐出目標領域から別部材の上面を流れて当該上面の回転軸側の内側端から排出される処理液である。従って、処理液が基板の上面周縁部に当たる位置と、別部材の内側端との基板の径方向に沿った距離を短くできる。これにより、処理液による基板の上面周縁部の処理幅をさらに細くできる。
【0023】
第3の態様に係る発明によれば、ノズル保持部材がノズルと別部材とを一体的に保持するので、一定の吐出目標領域に当たるように処理液が吐出される。これにより、内側端から排出される処理液の排出態様を安定させることができる。従って、基板の上面周縁部の処理幅を安定させることができる。
【0024】
第4の態様に係る発明によれば、別部材は、回転軸を中心とする基板の周方向に沿って基板の周縁を取り囲む環状部材であり、別部材は基板と同じ回転速度で回転される。従って、別部材を基板とともに回転させる場合においても、基板の上面周縁部の処理幅の均一性を向上できる。
【0025】
第5の態様に係る発明によれば、2つの円弧状部材は、一端同士が対向して基板の周方向に沿って隣り合って設けられており、それぞれの他端を回転中心としてそれぞれの一端が互いに基板の径よりも離れるように回動させられ得る。従って、2つの円弧状部材の当該回動によって基板処理装置への基板の搬出入が可能となる。
【0026】
第6の態様に係る発明によれば、処理位置よりも基板の径方向の外側の外側位置に配置されている別部材の吐出目標領域に向けてノズルが処理液の吐出を開始し、ノズルが処理液を吐出している間に、別部材が外側位置から処理位置に移動される。従って、吐出開始時における処理液の液流の乱れの影響によって、基板の上面周縁部の処理幅が不均一になることを抑制できる。
【0027】
第7の態様に係る発明によれば、別部材の上面の回転軸側の内側端が、基板の周縁よりも基板の径方向に沿って回転軸側に位置する。従って、基板の上面周縁部の処理幅を広くできる。
【0028】
第8の態様に係る発明によれば、別部材の内側面は、その下端から上端に向かって回転軸に近づくように回転軸に対して傾斜している。従って、別部材を昇降できる場合、処理位置の上方からの別部材の降下によって別部材を処理位置に配置することができる。
【0029】
第9の態様に係る発明によれば、別部材の内側面は、その下端から上端に向かって回転軸に近づくとともに、回転軸に対して斜め上方に張り出して湾曲している。従って、基板の端面と別部材との基板の径方向の隙間を、さらに均一化できる。これにより、基板の端面の処理効率を向上できる。
【0030】
第10の態様に係る発明によれば、別部材は、基板の端面に対向する内側面を含み、回転軸を含む平面における内側面の断面形状は、基板の端面に沿って湾曲している。従って、基板の端面と別部材との基板の径方向の隙間を、さらに均一化できる。これにより、基板の端面の処理効率を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら、実施の形態について説明する。以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。また、以下に参照する各図では、理解容易のため、各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。上下方向は鉛直方向であり、スピンチャックに対して基板側が上である。
【0033】
<実施形態について>
<1.基板処理装置1の全体構成>
基板処理装置1の構成について、
図1〜
図3を参照しながら説明する。
図1〜
図3は、実施形態に係る基板処理装置1の構成を説明するための図である。
図1、
図2は、基板処理装置1の側面模式図、上面模式図である。
図3は、基板処理装置1を斜め上方からみた概略斜視図である。
【0034】
図1〜
図3では、ノズル51、別部材52がそれぞれの処理位置に配置された状態で、基板9がスピンチャック21によって回転軸a1周りに所定の回転方向(矢印AR1の方向)に回転している状態が示されている。また、
図2には、待避位置に配置されたノズル51、別部材52等が仮想線で示されている。
図2、
図3では、基板処理装置1の構成要素のうち飛散防止部3等の一部の構成要素の記載は省略されている。
【0035】
基板9の表面形状は略円形である。基板9の基板処理装置1への搬入搬出は、ノズル51等が待避位置に配置された状態で、ロボット等により行われる。基板処理装置1に搬入された基板9は、スピンチャック21により着脱自在に保持される。
【0036】
なお、以下の説明において、「処理液」には、薬液処理に用いられる「薬液」と、薬液をすすぎ流すリンス処理に用いられる「リンス液(「洗浄液」とも称される)」と、が含まれる。
【0037】
基板処理装置1は、回転保持機構2、飛散防止部3、処理部5、ノズル移動機構6および制御部130を備える。これら各部2〜3、5〜6は、制御部130と電気的に接続されており、制御部130からの指示に応じて動作する。制御部130としては、例えば、一般的なコンピュータと同様のものを採用できる。すなわち、制御部130は、例えば、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM、制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスク、等を備えている。制御部130においては、プログラムに記述された手順に従って主制御部としてのCPUが演算処理を行うことにより、基板処理装置1の各部を制御する。
【0038】
<2.基板9>
次に、基板処理装置1にて処理対象とされる基板9について、
図13を参照しながら説明する。
図13は、中心軸を含む平面における基板9の周縁部付近を示す断面図である。
図13の断面図は、基板9の主面の中心c1を通る基板9(スピンチャック21)の回転軸a1を含む平面における断面図(「縦断面図」とも称される)である。
【0039】
基板処理装置1にて処理対象とされる基板9は、例えば、シリコン(Si)により構成される中心層901、中心層901の外側に成膜された下層膜902、および、下層膜902の外側に成膜された上層膜903、の三層構造を備える。基板9の表面形状は略円形である。基板9の半径は、例えば、150mmである。下層膜902は、例えば、熱酸化膜(Th−SiO
2)、あるいは、絶縁膜(例えば、Hf(ハフニューム)膜、または、酸化Hf膜、等)である。また、上層膜903は、例えば、バリアメタル膜(例えば、TiN膜、TaN膜、等)、あるいは、メタル膜(例えば、Al膜、W膜、NiSi膜、Cu膜、等)である。もっとも、基板処理装置1で処理対象とされる基板9は、例えば、中心層901と下層膜902との二層構造を備えるものであってもよいし、4層以上の構造を備えるものであってもよい。
【0040】
以下において、基板9の2つの主面のうちのデバイスパターンが形成される方の面を「上面91」という。また、上面91の反対側の面を「下面92」という。さらに、上面91における、デバイスパターンが形成される領域を「デバイス領域90」という。また、上面91における、デバイス領域90よりも外側の周縁領域を「上面周縁部911」という。上面周縁部911は、具体的には、例えば、基板9の端(「周縁」)94から微小幅D1(例えば、D1=0.3mm〜1.0mm)の環状の領域である。基板9の端94は、基板9の表面のうち基板9の径方向に沿って最も外側の部分である。基板9の上面視における端94の形状は、円形である。また、下面92における、端94から微小幅D1の環状の領域を「下面周縁部921」という。上面周縁部911と下面周縁部921とを合せた領域は、単に「周縁部」とも称される。
【0041】
基板9の端面93は、基板9の表面のうち上面91および下面92のそれぞれの平坦部を除いた環状の部分である。端面93は、具体的には、例えば、端94から微小幅D2(例えば、D2=0.3mm程度)の環状の領域である。基板9の縦断面において、端面93は、基板9の径方向に沿って基板9の外側に張り出して湾曲している。端面93のうち端94よりも上側の環状の部分は、上側端面93aであり、端94よりも下側の環状の部分は、下側端面93bである。上側端面93aは、上面周縁部911に含まれ、下側端面93bは、下面周縁部921に含まれている。
【0042】
基板処理装置1は、基板9を処理対象として、その上面周縁部911および下側端面93bに対する処理(例えば、上面周縁部911および下側端面93bに形成されている薄膜を除去する処理)を行うことができる。
【0043】
<3.基板処理装置1の各部の構成>
<回転保持機構2>
回転保持機構2は、基板9を、その一方の主面を上方に向けた状態で、略水平姿勢に保持しつつ回転可能な機構である。回転保持機構2は、基板9を、主面の中心c1を通る鉛直な回転軸a1を中心に回転させる。
【0044】
回転保持機構2は、基板9より小さい円板状の部材であるスピンチャック(「保持部材」、「基板保持部」)21を備える。スピンチャック21は、その上面が略水平となり、その中心軸が回転軸a1に一致するように設けられている。スピンチャック21の下面には、円筒状の回転軸部22が連結されている。回転軸部22は、その軸線を鉛直方向に沿わすような姿勢で配置される。回転軸部22の軸線は、回転軸a1と一致する。また、回転軸部22には、回転駆動部(例えば、サーボモータ)23が接続される。回転駆動部23は、回転軸部22をその軸線まわりに回転駆動する。従って、スピンチャック21は、回転軸部22とともに回転軸a1を中心に回転可能である。回転駆動部23と回転軸部22とは、スピンチャック21を、回転軸a1を中心に回転させる回転機構231である。回転軸部22および回転駆動部23は、筒状のケーシング24内に収容されている。
【0045】
スピンチャック21の中央部には、図示省略の貫通孔が設けられており、回転軸部22の内部空間と連通している。内部空間には、図示省略の配管、開閉弁を介して図示省略のポンプが接続されている。当該ポンプ、開閉弁は、制御部130に電気的に接続されている。制御部130は、当該ポンプ、開閉弁の動作を制御する。当該ポンプは、制御部130の制御に従って、負圧と正圧とを選択的に供給可能である。基板9がスピンチャック21の上面に略水平姿勢で置かれた状態でポンプが負圧を供給すると、スピンチャック21は、基板9を下方から吸着保持する。ポンプが正圧を供給すると、基板9は、スピンチャック21の上面から取り外し可能となる。
【0046】
この構成において、スピンチャック21が基板9を吸着保持した状態で、回転駆動部23が回転軸部22を回転すると、スピンチャック21が鉛直方向に沿った軸線周りで回転される。これによって、スピンチャック21上に保持された基板9が、その面内の中心c1を通る鉛直な回転軸a1を中心に矢印AR1方向に回転される。
【0047】
<飛散防止部3>
飛散防止部3は、スピンチャック21とともに回転される基板9から飛散する処理液等を受け止める。
【0048】
飛散防止部3は、スプラッシュガード31を備える。スプラッシュガード31は、上端が開放された筒形状の部材であり、回転保持機構2を取り囲むように設けられる。なお、スプラッシュガード31の外側に、回転保持機構2を取り囲むようにガードがさらに設けられてもよい。
【0049】
スプラッシュガード31は、円環状の底部と、底部の内側縁部から上方に延びる円筒状の内側壁部と、底部の外側縁部から上方に延びる円筒状の外側壁部と、を備える。内側壁部の少なくとも先端付近は、回転保持機構2のケーシング24に設けられた鍔状部材241の内側空間に収容される。外側壁部の上部(「上端側部分」、「上端部分」)は内側上方に向かって延びている。すなわち、当該上部は、回転軸a1に向かって斜め上方に延びている。
【0050】
スプラッシュガード31の底部には、内側壁部と外側壁部との間の空間と連通する排液溝(図示省略)が形成される。この排液溝は、工場の排液ラインと接続される。また、この排液溝には、溝内を強制的に排気して、内側壁部と外側壁部との間の空間を負圧状態とする排気液機構が接続されている。内側壁部と外側壁部との間の空間は、基板9の処理に使用された処理液を集めて排液するための空間であり、この空間に集められた処理液は、排液溝から排液される。
【0051】
スプラッシュガード31には、これを昇降移動させるガード駆動機構32が配設されている。ガード駆動機構32は、例えば、ステッピングモータにより構成される。スプラッシュガード31は、ガード駆動機構32の駆動を受けて、各々の上方位置と下方位置との間で移動される。スプラッシュガード31の上方位置は、スプラッシュガード31の上端縁部が、スピンチャック21上に保持された基板9の側方、かつ、上方に配置される位置である。一方、スプラッシュガード31の下方位置は、スプラッシュガード31の上端縁部が、スピンチャック21の上面よりも下方に配置される位置である。基板処理装置1に基板9が搬出入される際は、スプラッシュガード31は下方位置に配置される。ガード駆動機構32は、制御部130と電気的に接続されており、制御部130の制御下で動作する。つまり、スプラッシュガード31の位置は、制御部130によって制御される。
【0052】
なお、基板処理装置1が飛散防止部3を備えていないとしても本発明の有用性を損なうものではない。
【0053】
<処理部5>
処理部5は、スピンチャック21上に保持された基板9の上面周縁部911および下側端面93bに対する処理を行う。具体的には、処理部5は、スピンチャック21上に保持された基板9の上面周縁部911に処理液を供給する。処理部5は、ノズル保持部材50、ノズル51、別部材52、および処理液供給部83を備えている。
【0054】
ノズル保持部材50は、ノズル51と別部材52とを一体的に保持する部材である。ノズル保持部材50は、後述するノズル移動機構6が備える長尺のアーム63の先端に取り付けられている。アーム63は、水平面に沿って延在する。
【0055】
ノズル保持部材50は、例えば、鉛直面に沿って延在する板状部材と、当該板状部材の上端から突出する突出部材とが接合されて形成されている。当該板状部材の上端は、アーム63の先端に取り付けられている。当該突出部材は、当該板状部材に対してアーム63と反対側に、アーム63の延在方向に沿って突出している。ノズル51は、当該突出部材の先端に取り付けられている。ノズル保持部材50の板状部材の下端には、別部材52が取り付けられている。
【0056】
ノズル51は、スピンチャック21上に保持されて回転している基板9の上面周縁部911の一部に当たるように処理液の液流L1を吐出する。液流L1は、ノズル51の吐出口から液柱状の形状で吐出される。ノズル51の先端部(下端部)は、下方に突出しており先端に吐出口を備える。当該吐出口は、別部材52の上面に対向している。ノズル51には、これに処理液を供給する配管系である処理液供給部83が接続されている。具体的には、ノズル51の上端には、処理液供給部83の配管832の一端が接続している。ノズル51は、処理液供給部83から処理液を供給され、供給された処理液の液流L1を先端の吐出口から液柱状の形状で吐出する。ノズル51は、少なくとも一部が別部材52の上面に含まれる吐出目標領域521に当たるように吐出目標領域521の上方から処理液を吐出する。
【0057】
処理液供給部83は、ノズル51に処理液を供給する。処理液供給部83は、具体的には、処理液供給源831、配管832、および開閉弁833を、組み合わせて構成されている。処理液には、薬液とリンス液とが含まれる。薬液として、例えば、SC−1、DHF、SC−2などが用いられる。リンス液として、例えば、純水、温水、オゾン水、磁気水、還元水(水素水)、各種の有機溶剤(イオン水、IPA(イソプロピルアルコール)、機能水(CO
2水など)、などが用いられる。
【0058】
処理液供給部83から処理液がノズル51に供給されると、ノズル51は当該処理液の液流L1を吐出する。ただし、処理液供給部83が備える開閉弁833は、制御部130と電気的に接続されている図示省略のバルブ開閉機構によって、制御部130の制御下で開閉される。つまり、ノズル51からの処理液の吐出態様(具体的には、吐出される処理液の吐出開始タイミング、吐出終了タイミング、吐出流量、等)は、制御部130によって制御される。すなわち、処理部5のノズル51は、制御部130の制御によって、回転軸a1を中心に回転している基板9の上面周縁部911に当たるように処理液の液流L1を吐出する。
【0059】
別部材52は、スピンチャック21に保持されている基板9の端面93と隙間を隔てて基板9の径方向に沿って基板9の外側に配置される部材である。より詳細には、別部材52の重心が基板9の径方向に沿って基板9の外側に配置される。別部材52の上面には、吐出目標領域521の少なくとも一部が含まれる。別部材52の構成および他の構成例については、後述する。
【0060】
<ノズル移動機構6>
ノズル移動機構6は、ノズル51および別部材52をそれぞれの処理位置と退避位置との間で移動させる機構である。ノズル移動機構6は、水平に延在するアーム63、ノズル基台66、昇降駆動部68、回転駆動部69を備える。ノズル保持部材50は、アーム63の先端部分に取り付けられている。
【0061】
アーム63の基端部は、ノズル基台66の上端部分に連結されている。ノズル基台66は、その軸線を鉛直方向に沿わすような姿勢でケーシング24の外側に配置されている。ノズル基台66は、その軸線に沿って鉛直方向に延在し、軸線周りに回転可能な回転軸を備えている。ノズル基台66の軸線と回転軸の軸線とは一致する。回転軸の上端には、ノズル基台66の上端部分が取り付けられている。回転軸が回転することにより、ノズル基台66の上端部分は回転軸の軸線、すなわちノズル基台66の軸線を中心に回転する。ノズル基台66には、その回転軸を当該軸線を中心に回転させる回転駆動部69が設けられている。回転駆動部69は、例えば、サーボモータなどを備えて構成される。
【0062】
また、ノズル基台66には、昇降駆動部68が設けられている。昇降駆動部68は、例えば、サーボモータなどを備えて構成される。昇降駆動部68は、その出力軸に連結されたボールねじを有するボールねじ機構などを介して、ノズル基台66の回転軸をその軸線に沿って昇降させる。
【0063】
回転駆動部69は、ノズル基台66の回転軸を介してノズル基台66の上端部分を回転させる。当該上端部分の回転に伴って、ノズル保持部材50もノズル基台66の軸線周りに回転する。これにより、回転駆動部69は、ノズル51および別部材52を水平移動させる。すなわち、回転駆動部69は、別部材52を基板9の径方向に移動可能な「径方向駆動部」である。
【0064】
昇降駆動部68は、ノズル基台66の回転軸をその軸線に沿って昇降させることによって、ノズル保持部材50、すなわちノズル51および別部材52を昇降させる。昇降駆動部68と回転駆動部69とは、協働して、スピンチャック21に保持された基板9の近傍の処理位置と、処理位置から基板9の径方向に沿って外側、かつ、上方の待避位置との間で、ノズル保持部材50を移動させる。ノズル保持部材50が処理位置に配置されると、ノズル51および別部材52がそれぞれの処理位置に配置される。
【0065】
ノズル保持部材50、ノズル51および別部材52のそれぞれの待避位置は、これらが基板9の搬送経路と干渉せず、かつ、これらが相互に干渉しない各位置である。各退避位置は、例えば、スプラッシュガード31の外側、かつ、上方の位置である。
【0066】
駆動部68、69は、制御部130と電気的に接続されており、制御部130の制御下で動作する。つまり、ノズル保持部材50の位置は、制御部130によって制御される。すなわち、ノズル51および別部材52の位置は、制御部130によって制御される。
【0067】
<4.別部材52の構成と、別部材の他の構成例>
図4は、A1−A1切断線(
図2)における別部材52と基板9の周縁部の断面模式図である。
図5は、
図4の位置関係とは異なる位置関係に配置された別部材52と基板9とを説明するための断面模式図である。
図6〜
図9は、他の実施形態に係る別部材52A〜52Dを説明するための断面模式図である。
図4〜
図9は、縦断面図によって示されている。
図10は、別部材52における吐出目標領域521の例を示す上面模式図である。別部材52における吐出目標領域521の他の配置例を示す上面模式図である。
図12は、別部材52の他の構成例として別部材52Eを説明するための上面模式図である。
【0068】
図4に示されるように、別部材52は、軸線が基板9の周方向に略沿って延在する三角柱状の部材である。別部材52の縦断面は、略三角形である。別部材52は、上面53、外側面54、内側面(「対向面」)55、側面57、側面58を備える。
【0069】
上面53は、略水平な矩形の面である。外側面54は、別部材52のうち基板9の径方向に沿って最も外側の面であり、基板9の径方向に対して略垂直に設けられている。内側面55は、基板9の端面93に対向しており、その下端から上端に向かって回転軸a1に近づくように回転軸a1に対して傾斜している。側面57、58は、上面53および外側面54のそれぞれと垂直な略三角形状の面である。側面57、58は、互いに平行でもよいし、基板9の径方向に沿ってそれぞれ延在していてもよい。上面53の回転軸a1側の内側端は、基板9の端94、すなわち周縁よりも基板9の径方向に沿って回転軸a1側に位置する。当該内側端は、基板9の上面周縁部911の上方に位置している。
【0070】
基板9の径方向における別部材52の長さD5(
図10)は、例えば、約10mmである。基板9の端94の接線方向における別部材52の長さD6(
図10)は、例えば、約20mmである。回転軸a1に沿う別部材52の高さD7(
図4)は、例えば、約5mmである。
【0071】
なお、別部材52に代えて、例えば、
図12に示される別部材52Eが採用されてもよい。別部材52Eは、基板9の端面93と隙間を空けて対向する内側面を備え、当該内側面が基板9の周縁(端94)に沿って基板9の周方向に弧状に延在している。これにより、上面周縁部911における処理幅の均一性を向上できる。
【0072】
別部材52には、略円形の吐出目標領域521が含まれている。吐出目標領域521は、仮想の領域である。ノズル51から吐出される処理液の液流L1の径は、吐出目標領域521の径D3とほぼ同じ長さである。径D3は、基板9の端面93の幅D2と略同じ長さである。
図4、
図10に示されるように、吐出目標領域521の全てが、別部材52の上面53に含まれている。
図11に示されるように、基板9の上面視において、吐出目標領域521のうち一部が別部材52の上面53の内側端から回転軸a1側にはみ出していてもよい。
【0073】
図4に示されるように、ノズル51から液流L1として吐出目標領域521に当たるように吐出された処理液は、吐出目標領域521から上面53上で周囲に拡がる。一部の処理液は、上面53を流れて上面53の回転軸a1側の内側端から別部材52の外部に排出される。別部材52と基板9の端面93との隙間97(
図4)は、排出された処理液が、基板9の上面周縁部911に上方から当たるように設定されている。従って、当該処理液は、上面周縁部911に上方から上面周縁部911に当たる。上面周縁部911の平坦部と上側端面93aとの境界と、内側面55との基板9の径方向に沿った距離D4は、端面93の幅D2と略同じ長さである。
【0074】
上面周縁部911に当たった処理液は、隙間97を通って、基板9の端面93に沿って下方に流れる。これにより、基板9の上面周縁部911のうち処理液が当たった部分よりも端94側の部分および下側端面93bが処理液によって処理される。
【0075】
図5に示されるように、別部材52の上面53が基板9の上面91の平坦部とほぼ同じ高さの水平面となるように別部材52が配置されてもよい。
図5では、上面周縁部911の平坦部と上側端面93aとの境界と、内側面55との基板9の径方向に沿った距離D4は、
図4と同様に、端面93の幅D2と略同じ長さである。この距離D4は、当該境界から、別部材52の上面53の内側端までの距離である。
【0076】
また、別部材52に代えて
図6に示される別部材52Aが採用されてもよい。別部材52Aは、水平な上面53Aと、鉛直面である外側面54Aとを備える。上面53A、外側面54Aは、別部材52(
図4)の上面53、外側面54と、同様に構成されている。別部材52Aは、別部材52の内側面55に代えて、基板9の端面93に対向する内側面55Aを備えている。内側面55Aは、その下端から上端に向かって回転軸a1に近づくとともに、回転軸a1に対して斜め上方に張り出して湾曲している。また、別部材52Aは、内側面55Aおよび外側面54Aの下端を接続し、上面53Aに平行な下面56Aを備えている。
【0077】
また、別部材52に代えて
図7に示される別部材52Bが採用されてもよい。別部材52Bは、別部材52の上面53、外側面54と略同様に構成された上面53B、外側面54Bとを備えるとともに、上面53Bと平行な下面56Bを備える。下面56Bは、上面53Bと同じ形状および大きさに形成されている。別部材52Bは、さらに、別部材52の内側面55に代えて、基板9の端面93に対向する内側面55Bを備える。回転軸a1を含む平面における内側面55Bの断面形状は、基板9の端面93に沿って湾曲している。上面53Bは、基板9の上面91よりも上方に位置し、下面56Bは、基板9の下面92よりも下方に位置している。
【0078】
また、別部材52に代えて
図8に示される別部材52Cが採用されてもよい。別部材52Cは、別部材52Bが、回転軸a1方向に沿って縮められた形状を有している。別部材52Cは、上面53C、下面56C、外側面54C、および内側面55Cを備えている。
【0079】
上面53Cは、別部材52Bの上面53Bと同一形状を有する水平面である。下面56Cは、別部材52Bの下面56Bと同一形状を有する水平面である。上面53Cは、基板9の上面91の平坦部と同じ水平面に含まれる。下面56Cは、基板9の下面92の平坦部と同じ水平面に含まれる。外側面54Cは、鉛直面である。内側面55Cは、上面53Cと下面56Cとのそれぞれの内側端を接続して形成されている。回転軸a1を含む平面における内側面55Cの断面形状は、基板9の端面93に沿って湾曲している。
【0080】
また、別部材52に代えて
図9に示される別部材52Dが採用されてもよい。別部材52Dは、上面53D、下面56D、外側面54D、および内側面55Dを備えている。別部材52Dは、別部材52Cの湾曲している内側面55Cに代えて、鉛直面である内側面55Dを備えている。内側面55Dは、基板9の径方向に対して垂直である。別部材52Dは、直方体状の形状を備えている。上面53D、下面56Dは、別部材52Cの上面53C、下面56Cと同一の形状を有している。上面53Dは、基板9の上面91の平坦部と同じ水平面に含まれ、下面56Dは、下面92の平坦部と同じ水平面に含まれている。内側面55Dが平面であるため、基板9の端面93の端94と、内側面55Dとの間には、隙間が設けられている。このため、上面周縁部911の平坦部と上側端面93aとの境界と、内側面55Dとの距離(基板9の径方向の距離)D4は、端面93の幅D2よりも長くなっている。しかしながら、別部材52D上の吐出目標領域521に吐出された処理液の一部は、上面53Dの内側端から端面93に当たる。これにより、上面周縁部911および下側端面93bのうち基板9の端94の近傍の細幅の領域を処理することができる。なお、基板処理装置1は、ノズル保持部材50によってノズル51と別部材52とを一体的に保持して移動させるが、基板処理装置1がノズル保持部材50を備えず、ノズル51、別部材52のそれぞれに対して昇降機構、基板9の径方向への移動機構が個別に設けられてもよい。
【0081】
<5.基板処理装置の動作について>
図14は、基板処理装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
図15は、
図14のフローチャートに示される動作を説明するための図である。
【0082】
以下に、
図14〜
図15を参照しつつ、基板処理装置1の動作の一例を説明する。当該動作例は、ノズル51および別部材52をそれぞれの処理位置に配置して、ノズル51から基板9の上面周縁部911に処理液を吐出する動作である。
図14の動作フローの開始に先立って、ノズル51および別部材52は、例えば、待避位置に配置されており、スピンチャック21は、基板9を保持しているが、回転をしていないこととする。
【0083】
基板処理装置1の制御部130は、回転機構231を制御して、回転軸a1を中心にスピンチャック21の回転を開始させる(
図14、
図15のステップS110)。当該回転は、例えば、2000rpmの回転速度で行われる。
【0084】
制御部130は、昇降駆動部68、回転駆動部69を制御して、ノズル保持部材50を待避位置から、処理位置に対して、基板9の側方(基板9の径方向)の外側位置に配置する。昇降駆動部68、回転駆動部69は、ノズル51、別部材52を、それぞれの待避位置から、それぞれの外側位置に配置する(
図14、
図15のステップS120)。ノズル51、別部材52のそれぞれの外側位置は、それぞれの処理位置に対して基板9の側方(径方向)の外側に位置する。
【0085】
制御部130は、処理部5を制御してノズル51に、別部材52上の吐出目標領域521への処理液の吐出を開始させる(
図14、
図15のステップS130)。ノズル51から別部材52の吐出目標領域521に吐出された処理液は、別部材52の上面53に沿って拡がり、別部材52の内側端から別部材52の外部に排出される。しかし、ノズル51、別部材52は、それぞれの外側位置に配置されているため、別部材52の外部に排出された処理液は、基板9の上面周縁部911に当たらない。
【0086】
制御部130は、ノズル51による処理液の液流L1の吐出状態が安定するまで待つ(
図14、
図15のステップS140)。当該待ち時間は、例えば、予め、実験等によって取得され、制御部130のROM等に記憶されている。
【0087】
制御部130は、回転駆動部69を制御して、ノズル保持部材50を基板9の径方向に沿って基板9の端面93側の処理位置に配置する。これにより、回転駆動部69は、ノズル51、別部材52を基板9の側方、より詳細には、端面93の側方のそれぞれの処理位置(「内側位置」とも称される)に配置する(
図14、
図15のステップS150)。各処理位置へのノズル51、別部材52の移動の過程で、ノズル51は処理液を吐出し続ける。このため、ノズル51、別部材52がそれぞれの処理位置に配置されたときは、吐出目標領域521に吐出される処理液の液流L1の吐出状態は安定した状態である。すなわち、吐出目標領域521から別部材52の上面53の内側端に向かって流れる処理液の液膜の状態も安定している。
【0088】
制御部130は、処理位置に配置されたノズル51に、そのまま、処理液の吐出を続行させることにより、基板9の上面周縁部911の処理を行う(
図14、
図15のステップS160)。
【0089】
制御部130は、例えば、定められた時間が経過して基板9の上面周縁部911の処理が完了すると、処理部5を制御して、ノズル51からの処理液の吐出を停止する(
図14、
図15のステップS170)。制御部130は、処理部5にノズル51からの処理液の吐出を停止させる前に、ノズル51から処理液を吐出させつつ、回転駆動部69にノズル51と別部材52とをそれぞれの外側位置に配置させた後に、ノズル51からの処理液の吐出を停止させてもよい。
【0090】
制御部130は、回転機構231を制御して、スピンチャック21の回転を停止させ(
図14、
図15のステップS180)、
図14のフローチャートの動作を終了させる。
【0091】
<6.他の実施形態について>
図16は、他の実施形態に係る基板処理装置1Aの構成を説明するための側面模式図である。
図17は、基板処理装置1Aの構成を説明するための上面模式図である。
図18は、基板処理装置1Aへの基板9の搬出入時における基板処理装置1Aの別部材73の動作を説明するための上面模式図である。
【0092】
基板処理装置1Aは、基板処理装置1と同様に、回転軸a1を中心に回転されている基板9の上面周縁部911等に処理液を吐出して上面周縁部911等の処理を行う装置である。
【0093】
基板処理装置1Aは、基板処理装置1と異なる構成として、基板処理装置1のノズル保持部材50に代えて、台座25を備え、別部材52に代えて、別部材73を備えている。ノズル51は、アーム63の先端の下方に固定されている。
【0094】
台座25は、円環状の部材であり、回転軸部22を中央の孔部に挿通して、回転軸部22に固定されている。台座25の軸心は、回転軸部22の軸心と同じく、回転軸a1と一致して設けられている。これにより、回転軸部22は、回転軸a1を中心として、基板9と同じ方向に同じ速度で回転される。
【0095】
別部材73は、回転軸a1を中心とする基板9の周方向に沿って基板9の周縁(端94、端面93)を取り囲む板状の環状部材である。
【0096】
別部材73は、複数(図示の例では3つ)の円弧状部材73a〜73cを備えている。2つの円弧状部材73a、73bのそれぞれの基板9の周方向における一端同士は、互いに対向している。円弧状部材73a、73bは、それぞれの他端を中心に水平面内でそれぞれ回動可能に設けられている。円弧状部材73a、73bは、基板9の周縁の約4分の1の長さに沿って延設されており、円弧状部材73cは、基板9の周縁の約半分の長さに沿って延設されている。別部材73の上面は、略水平面である。別部材73(円弧状部材73a〜73c)の縦断面の形状として、例えば、別部材52、52A〜52Dの断面形状などが採用される。
【0097】
円弧状部材73cは、台座25の上面から上方に突設された2つの突片75によって、台座25の上面と隙間を隔てて台座25に対して固定されている。円弧状部材73a、73bは、それぞれの他端に取り付けられた突片74を介して、台座25に固定されている。より詳細には、突片74は、ステッピングモータなどにより構成される回転駆動部(「回動機構」)79によってその軸心を中心に回転可能に構成されている。当該軸心は鉛直軸である。
【0098】
従って、基板処理装置1Aは、回転機構231に台座25を回転させることによって、台座25等を介して、別部材73を基板9と同じ回転速度で回転させる。回転駆動部23、回転軸部22、台座25、回転駆動部79、突片74、突片75は、別部材73を、回転軸a1を中心に回転させる回転機構251である。
【0099】
円弧状部材73a、73bは、
図17に示される状態から、
図18に示されるように、各突片74、すなわち、それぞれの他端を回転中心としてそれぞれの一端が互いに基板9の径よりも離れるように回転駆動部79によって突片74を介して回動される。円弧状部材73a、73bの一端が互いに離された状態で、基板処理装置1に基板が搬出入される。
【0100】
基板処理装置1Aは、上記の相違点を除いて、基板処理装置1と同様の構成を備えており、基板9の上面周縁部911に対する処理を行う。
【0101】
すなわち、別部材73は、スピンチャック21に保持されている基板9の端面93と隙間を隔てて基板9の径方向に沿って基板9の外側に配置される。ノズル51は、少なくとも一部が別部材73の上面に含まれる吐出目標領域731に当たるように吐出目標領域731の上方から処理液を吐出する。別部材73と基板9の端面93との隙間は、吐出目標領域731に当たった処理液が、別部材73の上面を流れて当該上面の回転軸a1側の内側端から排出され、基板9の上面周縁部911に上方から当たるように設定されている。基板処理装置1Aは、ノズル51と別部材73とを別々に移動させる。ノズル51は、昇降駆動部68、回転駆動部69によって基板9の径方向および鉛直方向に移動されるが、別部材73は、その一部(円弧状部材73a、73b)を除いて、台座25に対して固定されており、台座25とともに、すなわち、基板9とともに回転する。吐出目標領域731の全てが別部材73の上面に含まれもよいし、吐出目標領域731の一部が、別部材73の上面の内側端から回転軸a1側にはみ出していてもよい。
【0102】
なお、円弧状部材73a〜73cを、それぞれの処理位置と、処理位置に対して基板9の径方向の外側の外側位置との間で駆動する駆動機構を回転駆動部79、および各突片75の下方に備えてもよい。この場合、基板処理装置1Aにおいても、別部材73(円弧状部材73a〜73c)を外側位置に配置して、ノズル51から処理液を別部材73に吐出させ、吐出状態の安定を待って、別部材73(円弧状部材73a〜73c)を処理位置に配置させることができる。
【0103】
以上のように構成された本実施形態に係る基板処理装置、および基板処理方法のいずれによっても、別部材52(73)の上面に少なくとも一部が含まれる吐出目標領域521(731)に当たるようにノズル51から処理液が吐出される。別部材52(73)は、基板9の端面93と隙間を隔てて基板9の径方向に沿って基板9の外側に配置されており、当該隙間は、吐出目標領域521(731)に当たった処理液が、別部材52(73)の上面を流れて当該上面の回転軸a1側の内側端から排出され、基板9の上面周縁部911に上方から当たるように設定されている。従って、処理液による基板9の上面周縁部911の処理幅を細くできるとともに、処理幅の均一性を向上できる。
【0104】
また、以上のように構成された本実施形態に係る基板処理装置によれば、吐出目標領域521(731)の全てが、別部材52(73)の上面に含まれている。従って、基板9の上面周縁部911に当たる処理液は、全て、吐出目標領域521(731)から別部材52(73)の上面を流れて当該上面の回転軸a1側の内側端から排出される処理液である。従って、処理液が基板9の上面周縁部911に当たる位置と、別部材52(73)の内側端との基板9の径方向に沿った距離を短くできる。これにより、処理液による基板9の上面周縁部911の処理幅をさらに細くできる。
【0105】
また、以上のように構成された本実施形態に係る基板処理装置によれば、ノズル保持部材50がノズル51と別部材52とを一体的に保持するので、一定の吐出目標領域521に当たるように処理液が吐出される。これにより、内側端から排出される処理液の排出態様を安定させることができる。従って、基板9の上面周縁部911の処理幅を安定させることができる。
【0106】
また、以上のように構成された本実施形態に係る基板処理装置によれば、別部材73は、回転軸a1を中心とする基板9の周方向に沿って基板9の周縁を取り囲む環状部材であり、別部材73は基板9と同じ回転速度で回転される。従って、別部材73を基板9とともに回転させる場合においても、基板9の上面周縁部911の処理幅の均一性を向上できる。
【0107】
また、以上のように構成された本実施形態に係る基板処理装置によれば、2つの円弧状部材73a、73bは、一端同士が対向して基板9の周方向に沿って隣り合って設けられており、それぞれの他端を回転中心としてそれぞれの一端が互いに基板9の径よりも離れるように回動させられ得る。従って、2つの円弧状部材73a、73bの当該回動によって基板処理装置への基板9の搬出入が可能となる。
【0108】
また、以上のように構成された本実施形態に係る基板処理装置によれば、処理位置よりも基板9の径方向の外側の外側位置に配置されている別部材52(73)の吐出目標領域521(731)に向けてノズル51が処理液の吐出を開始し、ノズル51が処理液を吐出している間に、別部材52(73)が外側位置から処理位置に移動される。従って、吐出開始時における処理液の液流L1の乱れの影響によって、基板9の上面周縁部911の処理幅が不均一になることを抑制できる。
【0109】
また、以上のように構成された本実施形態に係る基板処理装置によれば、別部材52(73)の上面の回転軸a1側の内側端が、基板9の周縁よりも基板9の径方向に沿って回転軸a1側に位置する。従って、基板9の上面周縁部911の処理幅を広くできる。
【0110】
また、以上のように構成された本実施形態に係る基板処理装置によれば、別部材52の内側面55は、その下端から上端に向かって回転軸a1に近づくように回転軸a1に対して傾斜している。従って、別部材52を昇降できる場合、処理位置の上方からの別部材52の降下によって別部材52を処理位置に配置することができる。
【0111】
また、以上のように構成された本実施形態に係る基板処理装置によれば、別部材52Aの内側面55Aは、その下端から上端に向かって回転軸a1に近づくとともに、回転軸a1に対して斜め上方に張り出して湾曲している。従って、基板9の端面93と別部材52Aとの基板9の径方向の隙間を、さらに均一化できる。これにより、基板9の端面93の処理効率を向上できる。
【0112】
また、以上のように構成された本実施形態に係る基板処理装置によれば、別部材52B(52C)は、基板9の端面93に対向する内側面55B(55C)を含み、回転軸a1を含む平面における内側面55B(55C)の断面形状は、基板9の端面93に沿って湾曲している。従って、基板9の端面93と別部材52B(52C)との基板9の径方向の隙間を、さらに均一化できる。これにより、基板9の端面93の処理効率を向上できる。
【0113】
本発明は詳細に示され記述されたが、上記の記述は全ての態様において例示であって限定的ではない。したがって、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。