(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6649849
(24)【登録日】2020年1月21日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】鳥害防止具
(51)【国際特許分類】
H02G 7/00 20060101AFI20200210BHJP
A01M 29/32 20110101ALI20200210BHJP
【FI】
H02G7/00
A01M29/32
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-116421(P2016-116421)
(22)【出願日】2016年6月10日
(65)【公開番号】特開2017-221084(P2017-221084A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2019年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000139573
【氏名又は名称】株式会社愛洋産業
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】岸 泰至
【審査官】
久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】
間接活線対応鳥害対策品トマラインSP,電氣新聞,社団法人日本電気協会新聞部,2012年 1月27日,p.9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 7/00
A01M 29/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力線に固定する電力線固定部と、
前記電力線固定部から延設され、ワイヤを固定するワイヤ固定部と、
を備える鳥害防止具において、
前記電力線固定部は、
第1把持部と、前記第1把持部との間に電力線を挟む第2把持部とを備え、
前記第1把持部又は前記第2把持部のうち少なくとも一方の電力線との当接面には、
電力線の外部表面上に設けられた突起であって、電力線の軸方向に沿って設けられた軸方向突起を嵌め合わせる又は遊びをつけて嵌め合わせることが可能な溝部が、電力線の軸周方向に沿った状態に並べて設けられており、
前記溝部は、電力線の軸周方向に沿って並べられ、電力線の軸方向に沿って長尺な形状に形成された複数の長尺状突起によって、それぞれの前記長尺状突起の間に形成されており、
前記複数の長尺状突起は、前記第1把持部又は前記第2把持部のうち少なくとも一方と一体に形成されており、
また前記複数の長尺状突起は、前記第1把持部と前記第2把持部とが並ぶ方向に対して、電力線の中心が位置する方向に向かって傾斜した角度で突出していることを特徴とする鳥害防止具。
【請求項2】
電力線に固定する電力線固定部と、
前記電力線固定部から延設され、ワイヤを固定するワイヤ固定部と、
を備える鳥害防止具において、
前記電力線固定部は、
第1把持部と、前記第1把持部との間に電力線を挟む第2把持部とを備え、
前記第1把持部又は前記第2把持部のうち少なくとも一方の電力線との当接面には、
電力線の外部表面上に設けられた突起であって、電力線の軸方向に沿って設けられた軸方向突起を嵌め合わせる又は遊びをつけて嵌め合わせることが可能な溝部が、電力線の軸周方向に沿った状態に並べて設けられており、
前記溝部は、
電力線の軸方向に沿った中央部分が狭く、両端側に向かって拡幅された形状に形成されていることを特徴とする鳥害防止具。
【請求項3】
電力線に固定する電力線固定部と、
前記電力線固定部から延設され、ワイヤを固定するワイヤ固定部と、
を備える鳥害防止具において、
前記電力線固定部は、
第1把持部と、前記第1把持部との間に電力線を挟む第2把持部とを備え、
前記第1把持部又は前記第2把持部のうち少なくとも一方の電力線との当接面には、
電力線の外部表面上に設けられた突起であって、電力線の軸方向に沿って設けられた軸方向突起を嵌め合わせる又は遊びをつけて嵌め合わせることが可能な溝部が、電力線の軸周方向に沿った状態に並べて設けられており、
前記第1把持部又は前記第2把持部のうち少なくとも一方の電力線との当接面には、
複数の小突起を複数列に並べて形成し、
それぞれの前記小突起は、
各列の間に前記溝部が形成されるように並べられたことを特徴とする鳥害防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鳥害防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
電力線には、鳥害を防止するため、鳥害防止用のワイヤ(テグス)が張られることがある。この場合、ワイヤ架線用の鳥害防止具が電力線に取り付けられる(例えば、特許文献1)。この取り付けの際、電力線は、鳥害防止具が備える把持具に挟まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2015−157188号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、
図4(a)に示すように、鳥害防止具100は、雪害対策等のため、電力線300の外部表面上に、電力線300の軸方向に沿った長尺な形状に形成された突起である軸方向突起310が設けられることがある。
【0005】
この場合、軸方向突起310が電力線300と、鳥害防止具100の把持具110との間に挟まれると、その挟まれた位置から軸方向突起310が脱しようとして、
図4(b) に示すように、鳥害防止具100が傾いてしまう可能性があった。
【0006】
本発明は、電力線の外部表面上に軸方向突起を有する電力線に取り付けても傾きにくい鳥害防止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の鳥害防止具は、電力線に固定する電力線固定部と、電力線固定部から延設され、ワイヤを固定するワイヤ固定部と、を備える。
電力線固定部は、第1把持部と、第1把持部との間に電力線を挟む第2把持部とを備えている。
【0008】
第1把持部又は第2把持部のうち少なくとも一方の電力線との当接面には、電力線の外部表面上に設けられた突起であって電力線の軸方向に沿って設けられた軸方向突起を嵌め合わせる又は遊びをつけて嵌め合わせることが可能な溝部が、電力線の軸周方向に沿った状態に並べて設けられている。
【0009】
このようにすると、鳥害防止具を、軸方向突起を有する電力線に取り付けたとき、電力線の軸方向突起が鳥害防止具のいずれかの溝部に嵌ることとなる。そうすると、軸方向突起には、電力線を第1把持部と第2把持部とで挟んだときの力が加わらないので、軸方向突起には、挟まれた位置から脱しようとする力が働かない。
【0010】
したがって、本発明の鳥害防止具は、電力線の外部表面上に軸方向突起を有する電力線に取り付けても傾きにくい。
次に、本発明の鳥害防止具の溝部は、電力線の軸方向に沿った中央部分が狭く、両端側に向かって拡幅された形状に形成されていてもよい。電力線は、軸周りにひねられている場合がある。しかし、このような場合でも、溝部の形状を上記のような形状に形成すれば、軸方向突起が溝部に嵌る。したがって、本発明の鳥害防止具は、軸周りにひねられた電力線に取り付けても傾きにくい。
【0011】
次に、本発明の鳥害防止具では、第1把持部又は第2把持部のうち少なくとも一方の電力線との当接面に、電力線の軸方向に沿った長尺な形状に形成された複数の長尺状突起を、電力線の軸周方向に沿って並べてもよい。この場合、溝部は、複数の長尺状突起によって、それぞれの長尺状突起の間に形成される。溝部は、第1把持部又は第2把持部の電力線との当接部分を削って設けてもよいが、このように、長尺状突起を設けて溝部を設けてもよい。
【0012】
次に、本発明の鳥害防止具では、第1把持部又は第2把持部のうち少なくとも一方の電力線との当接面には、複数の小突起を複数列に並べて形成し、それぞれの小突起は、各列の間に溝部が形成されるように並べてもよい。溝部の形状は、必ずしも連続した形状ではなくてもよく、このように、複数の小突起により形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】
図2(a)は、鳥害防止具を構成する電力線固定部の本体部を
図1のIIA−IIA断面で切断した断面図である。
図2(b)及び
図2(c)は、電力線に鳥害防止具を固定する様子を、電力線固定部の一部を抜き出した部分図と電力線の断面図とで示した説明図である。
【
図3】鳥害防止具の他の例の説明図であり、電力線固定部の本体部を
図1のIIA−IIA断面図と同じ位置で切断した断面図である。
【
図4】
図4は、従来の鳥害防止具を構成する電力線固定部が電力線を固定する様子を、電力線固定部の一部を抜き出した部分図と電力線の断面図とで示した説明図であり、(a)は傾斜前、(b)は傾斜後の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の鳥害防止具1は、電力線固定部2と締結具3とワイヤ固定部4とを備えている。
【0015】
なお、以下の説明では、ワイヤ固定部4についてはどのような形態でもよいので、説明は省略する。
電力線固定部2は、鳥害防止具1を電力線300に固定する部位である。電力線固定部2は、コの字状に形成された本体部20と、この本体部20が形成するコの字の開口部分を閉じる蓋部21とを備えている。電力線固定部2は、蓋部21を閉じると、本体部20及び蓋部21で形成する四角形状の枠で囲まれた電線固定空間22を形成する。また、本体部20の下側端部には、突起29が設けられている。
蓋部21は、本体部20の上側端部(コの字の上側端部)に揺動可能に取り付けられ、遊端側には本体部20の下側端部(コの字の下側端部)に係合させるための係合部23が形成されている。この係合部23は、電線固定空間22の軸方向αの両端側に位置する両辺の一部を切り欠いたもので、蓋部21は、蓋部21を本体部20に対して閉じたときに係合部23を突起29に係合させることで本体部20に固定される。
【0016】
本体部20のうち、コの字の上辺部分を第1把持部24と呼ぶ。第1把持部24は、電線固定空間22を形成する側の面に、上方に向かって凹んだ三角形状の第1窪部240が設けられている。この第1窪部240は、軸方向αに沿った断面で見た形状が上方に向かって凹んだ三角形状に形成されている。そして、第1窪部240には、
図2(a)に示すように、下方から見たときに、第1窪部240が形成する三角形の頂点が軸方向αに沿って連続する連続線βを挟んで左右対称に配置され、かつ、連続線βに垂直な方向に沿って等間隔に並べられた複数の長尺状突起25が形成されている。これら長尺状突起25は、下方から見ると、軸方向αに沿って細長い形状であって、軸方向αに沿って長い対角線を有する菱形形状に形成されている。
【0017】
このように長尺状突起25を設けると、これら長尺状突起25の間には、
図2(b)(c)に示すように、電力線300の外部表面上に設けられた軸方向突起310であって、電力線300の軸方向に沿って設けられた軸方向突起310を、遊びをつけて嵌め合わせることが可能な溝部26が形成される。また、これら長尺状突起25は、上述したように並設すると、連続線βの両側で、電力線300の接線方向に沿って並べて設けられることとなる。
【0018】
締結具3は、
図1に示すように、電力線固定部2の本体部20のうち、コの字の下辺部分の上方側に第2把持部30、下方側にハンドル部39を備えている。本体部20のうち、コの字の下辺部分を、以下、基礎部27とよぶ。
【0019】
第2把持部30は、本体部20に対し、電線固定空間22内を上下方向に移動可能に取り付けられている。この第2把持部30の上方側の面には、下方に向かって凹んだ三角形上の第2窪部300が設けられている。この第2窪部300は、第1窪部240に対向する位置に設けられている。
【0020】
ハンドル部39は、基礎部27に対し回転可能に取り付けられている。第2把持部30は、このハンドル部39を回転させると、電線固定空間22内で上下に移動する。そして、所定位置で回転を止めると、その位置で固定され、ハンドル部39を回転させることによって電線固定空間22で移動した第2把持部30も、その移動した後の位置で固定される。
【0021】
本実施形態の鳥害防止具1を電力線300に固定する場合は、次のように取り付け、テグスを電力線300上に張る。
(1)作業者は、ハンドル部39を回転させて、第2把持部30を下端まで下げる。
【0022】
(2)作業者は、鳥害防止具1が鉛直になるように、鳥害防止具1を電力線300に取り付ける。本実施形態では、複数の溝部26が形成されているので、電力線300が軸周りにねじれていても、電力線300の軸方向突起310が、いずれかの溝部26に嵌る。
そうすると、鳥害防止具1は、傾きなく電力線300に取り付けることができる。
【0023】
(3)作業者は、蓋部21を閉める。
(4)作業者は、ハンドル部39を操作して第2把持部30を上方に移動させ、電力線300を第1把持部24と第2把持部30との間に挟む。
【0024】
(5)作業者は、電力線300に鳥害防止具1を取り付け終えたら、テグスをワイヤ固定部4に固定しながら、電力線300上に張る。
以上説明した鳥害防止具1の特徴的な作用効果について説明する。
【0025】
本実施形態の鳥害防止具1は、雪害対策用の電力線300のように、軸方向突起310を有する電力線300に取り付けたとき、電力線300の軸方向突起310が鳥害防止具1のいずれかの溝部26に嵌ることとなる。そうすると、電力線300の軸方向突起310には、電力線300を第1把持部24と第2把持部30とで挟んだときの力が加わらないので、電力線300の軸方向突起310には、挟まれた位置から脱しようとする力が働かない。
【0026】
したがって、本実施形態の鳥害防止具1は、電力線300の外部表面上に軸方向突起310を有する電力線300に取り付けても傾きにくい。
次に、本実施形態の鳥害防止具1の溝部26は、細長い菱形形状に形成されているので、電力線300が軸周りにひねられ、電力線300の周りに螺旋形状に巻かれたような状態になっても、電力線300の軸方向突起310が溝部26に嵌る。したがって、本実施形態の鳥害防止具1は、軸周りにひねられた電力線300に取り付けても傾きにくい。
【0027】
以上、実施形態について説明したが、特許請求の範囲に記載された発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
(1)上記実施形態では、長尺状突起25が、電力線300の接線方向に沿って並べて設けられる例について説明したが、これに限らず、電力線300の軸周方向に沿った状態に並べて設けられていればよい。例えば、長尺状突起25は、電力線300の軸周方向に沿って並べて設けられていてもよい。この場合、第1窪部240が、電力線300の円周に沿った形状に形成されていてもよい。
【0028】
(2)上記実施形態では、長尺状突起25を複数設けて溝部26を形成したが、第1把持部24を削って、長尺状突起25を設けることなく、溝部26を第1把持部24に設けてもよい。
【0029】
(3)上記実施形態では、菱形の長尺状突起25を用いて溝部26を形成したが、これに限るものではない。例えば、
図3に示すように、溝部26は、電力線300との当接面に、複数の小突起28を複数列に並べて形成してもよい。
【0030】
(4)上記実施形態では、溝部26を菱形形状に形成したが、溝部26は、電力線300の軸方向に沿った中央部分が狭く、両端側に向かって拡幅された形状に形成されていればよく、菱形は、その一形態である。
【0031】
(5)上記実施形態では、溝部26を第1把持部24に設けたが、第2把持部30に設けてもよい。また、溝部26は、第1把持部24と第2把持部30に設けてもよい。
(6)上記実施形態では、溝部26は、電力線300の軸方向突起310を、遊びをもって嵌め合わせる大きさの溝としたが、電力線300の軸方向突起310が遊びなく嵌る大きさに形成してもよい。
【符号の説明】
【0032】
1…鳥害防止具、2…電力線固定部、3…締結具、4…ワイヤ固定部、20…本体部、21…蓋部、22…電線固定空間、23…係合部、24…第1把持部、
25…長尺状突起、26…溝部、27…基礎部、28…小突起、29…突起、
30…第2把持部、39…ハンドル部、240…第1窪部、300…第2窪部。