【文献】
岡野 恒一 他4名,”訪問歯科診療における口内法X線撮影/−身体的状況と撮影の失敗に関する分析−”,歯科放射線,2006年,46(4),pp.164-169
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ウ蝕や歯周病等を診断するための方策として、口内のX線撮影が広く行われている。口内をX線撮影する方法の一つとして、口内法がある。口内法は、口の中に感光体を入れ、外部からX線を照射して感光体を感光させる方策の総称である。口内に挿入される感光体は、X線を透過し、太陽光等を遮断する遮光フィルムで包装され、口内に装着される。そして撮影後に包装を外して感光体を取り出す。
【0003】
昨今は、この感光体としてX線撮影用のイメージングプレートが使用されることが多い。イメージングプレートは、X線撮影された画像をデジタル方式で記録することができる感光体であり、再利用が可能である。
【0004】
口内法に使用されるイメージングプレートは、X線を受けた後にレーザー光線を照射すると蛍光を発する材料を、プラスチック基板(有機フィルム)に塗布して構成された部材である。すなわち、
図4(a)に示す様に、イメージングプレート11は、X線に感光する感光面11aを有する。感光面11aには、画像データがデジタル形式で記録される。感光面11aは、イメージングプレート11の片面にのみ設けられている。
【0005】
図4(a)に示す様に、イメージングプレート11の外形は略長方形の薄板状を呈している。イメージングプレート11の隅部分は円弧状に面取り加工(R加工)されている。
イメージングプレート11は、薄い板状の部材であり、口内に配置し易い。
すなわち、イメージングプレート11は、感光体フィルム(X線フィルム)と同様に配線がない上に薄い板状の部材であって口内で嵩張らない。そのため、患者に苦痛を与えにくいというメリットがある。
【0006】
ところで、イメージングプレート11は、患者の口内に配置するため唾液が付着し、不衛生な環境で使用される。
そこで本出願人は、このイメージングプレート11を収容する保護カバーの特許出願をし、この特許出願が特許文献1に開示されている。
【0007】
図4(b),(c)に示す様に、特許文献1に開示された保護カバー7は、内装部材8と外装部材9からなる。
【0008】
内装部材8は、表側シート16と、裏側シート17で構成されている。表側シート16は、光を透過し、後述の収容部12内を視認できる。裏側シート17は、遮光機能を有する。表側シート16と裏側シート17は、押圧されると容易に変形する薄い略長方形のシート部材である。
表側シート16と裏側シート17の間には、収容部12が形成されている。収容部12は、三方が閉じた空間である。収容部12は、外部と開口18を介して連通している。収容部12内の幅寸法は、イメージングプレート11をちょうど収容できる大きさに設定されている。
【0009】
外装部材9は、内装部材8と同様の素材からなる表側シート26と、裏側シート27とで構成されている。表側シート26は、光を透過し、後述の収容部15内を視認できる。裏側シート27は、遮光機能を有する。表側シート26と裏側シート27は、押圧されると容易に変形する薄い略長方形のシート部材である。表側シート26の三方の辺が、裏側シート27の三方の辺と溶着されており、残りの一方側には開口28が形成されている。
【0010】
内装部材8と外装部材9の四隅は、イメージングプレート11の形状に合わせて、円弧状に丸みを帯びている。
【0011】
図4(a)に示すイメージングプレート11は、
図4(b)に示す内装部材8の開口18から内装部材8の収容部12内に収容される(
図5)。イメージングプレート11の感光面11aは、遮光機能を有する裏側シート17側にある。
イメージングプレート11を収容した内装部材8は、外装部材9の開口28から外装部材9の収容部15内に収容される(
図6)。
イメージングプレート11の感光面11aが、遮光機能を有する外装部材9の裏側シート27側にある。そのため、イメージングプレート11の感光面11aは、内装部材8及び外装部材9の遮光機能を有する裏側シート17,27によって覆われて遮光される。
【0012】
イメージングプレート11は、口内では内装部材8と外装部材9によって二重に保護されており、X線撮影後は口内から取り出され、
図7に示す様に、外装部材9から内装部材8のみを取り出す。その結果、イメージングプレート11は、外装部材9内に残される。
外装部材9とイメージングプレート11の間にはクリアランスがあり、イメージングプレート11は外装部材9内で円滑に移動することができるので、
図8(a),(b)に示す様に開口28を下側にすると、外装部材9からイメージングプレート11を落下させてイメージングプレート11を容易に取り出すことができる。
【0013】
すなわち、取扱者は唾液が付着した保護カバー7から、イメージングプレート11に触れることなく、イメージングプレート11を取り出すことができる。
よって、イメージングプレート11は、唾液が付着せず、清潔な状態が維持されており、洗浄しなくてもそのまま再利用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、特許文献1に開示されている構成では、患者自身,撮影者,又は撮影補助者等の取扱者が指で口内の撮影箇所にイメージングプレート11を押し当てて保持する必要がある。そのため、指に唾液が付着したり、指がX線で被曝してしまうという不具合がある。
そこで特許文献1に開示されている保持具(図示せず)でイメージングプレート11を口内で保持すると、指に唾液が付着したり、X線によって指が被曝することはなくなるが、口内の他の部位のX線による被曝は避けられない。
また、当該保持具でイメージングプレート11の位置を固定するためには、患者自身が上下の歯で保持具を噛む必要がある。よって、健康な歯が少ない患者にとっては、当該保持具の使用は困難である。
【0016】
そこで本発明は、患者の口内に容易に感光体を配置することができ、さらに撮影対象の部位以外の被曝を抑制することができる口内法X線撮影用補助具、並びに、口内法X線撮影具を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、口内法X線撮影用の感光体を口内で保持するための口内法X線撮影用補助具であって、口内配置部と把持部とアーム部を有し、前記口内配置部と前記把持部が前記アーム部で
一体化されており、前記口内配置部は、前記感光体と同等の面積を占める平面部を有しており、
前記感光体を収容する内袋と、前記内袋を収容する外袋を有し、前記外袋は開口を有し、内袋と口内配置部の前記平面部を、前記開口を介して外袋に収容することにより、前記感光体を前記口内配置部の平面部に装着させて保持可能であり、且つ前記感光体は前記口内配置部の平面部に対して着脱自在であり、
前記内袋と共に前記外袋に収容した前記平面部を外袋から取り出す際には抵抗が生じ、前記口内配置部に前記感光体を保持させた状態においては、前記感光体が口内配置部の前記平面部と対向する位置関係となることを特徴とする口内法X線撮影用補助具である。
関連する発明は、口内法X線撮影用の感光体を口内で保持するための口内法X線撮影用補助具であって、口内配置部と把持部とアーム部を有し、前記口内配置部と前記把持部が前記アーム部で繋がっており、前記口内配置部は、前記感光体と同等の面積を占める平面部を有しており、前記感光体を前記口内配置部の平面部に装着させて保持可能であり、且つ前記感光体は前記口内配置部の平面部に対して着脱自在であり、前記口内配置部に前記感光体を保持させた状態においては、前記感光体が口内配置部の前記平面部と対向する位置関係となることを特徴とする口内法X線撮影用補助具である。
【0018】
請求項1に記載の発明では、口内配置部と把持部がアーム部で繋がっているので、把持部を操作することによって口内配置部の位置を変更することができる。
すなわち、患者やX線撮影に携わる者が把持部を持ち、口内配置部を患者の口内に配置し、把持部を操作することによって口内における口内配置部の位置を変更又は微調整することができる。よって、口内配置部に保持された感光体は、口内の適切な位置に容易に配置される。そのため、感光体を指で押さえる必要がなく、患者や撮影者等のX線撮影に携わる者の指を被曝させずに済む。
また、口内配置部を口内に配置する際には、患者は口を開けるだけでよく、アーム部等を噛む必要がない。すなわち、患者は力を入れる必要がなく、楽な姿勢でX線撮影をすることができる。
口内配置部は、感光体と同等の面積を占める平面部を有しており、感光体を口内配置部の平面部に装着させて保持するので、感光体の保持が安定する。
さらに、感光体は口内配置部の平面部に対して着脱自在であるので、X線撮影後は平面部から感光体を容易に取り外すことができる。
口内配置部に感光体を保持させた状態においては、感光体が口内配置部の平面部と対向する位置関係となるので、感光体と平面部が重なる。そのため、平面部は口内で嵩張らない。
ここで同等の面積とは、感光体を安定して保持するに足る面積であり、感光体より大きくても小さくてもよい。平面部の面積は、感光体の面積の60%から200%とすることができ、80%から150%であるのが望ましく、さらに90%から110%であるのがより望ましい。
すなわち平面部の面積は、大きすぎると口内に配置しにくく、小さすぎると感光体の保持が安定しない。そのため、平面部の面積は、感光体の面積に対して例えばプラスマイナス10%程度であるのが最も望ましい。
また、平面部と感光体の外形形状は、相似形であるのが望ましいが、必ずしも相似形である必要はない。すなわち、X線撮影に差し支えがなければ、感光体の外形と平面部の外形が相違していてもよい。
さらに、平面部は、開口や切り欠きを有していてもよい。例えば、平面部を枠状とし、中央部分に大きな開口があってもよい。
【0019】
請求項2に記載の発明は、口内配置部の前記平面部と前記アーム部は同一面内にあり、前記平面部は薄板状の略長方形の外形を有し、前記平面部の一つの角部分に前記アーム部の一端が繋がっており、前記アーム部の軸線が、前記平面部の長方形の一辺に対して10度乃至45度傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の口内法X線撮影用補助具である。
【0020】
前記口内配置部は、X線を減衰させる素材で形成されている
のが好ましい。
【0021】
感光体は口内配置部と対向する位置関係であるので、感光体と口内配置部がX線の進行方向に重なる。そのため、患者の口内に向けて照射されたX線は、撮影対象部位と感光体を透過し、口内配置部の平面部に達する。
そして
この構成によると、口内配置部は、X線を減衰させる素材で形成されているので、感光体を透過したX線は口内配置部で減衰される。そのため、患者の口内の被曝量が減少する。
よって、患者は、X線撮影対象部位以外の部位の被曝量を抑制することができる。
【0022】
前記口内配置部は、前記把持部の軸線又は前記アーム部の軸線に対して傾斜した姿勢で前記アーム部に繋がっている
のが好ましい。
【0023】
この構成によると、口内配置部は、把持部の軸線又はアーム部の軸線に対して傾斜した姿勢でアーム部に繋がっているので、口内配置部を口内に配置した状態で患者は楽に把持部を把持することができる。
把持部の軸線又はアーム部の軸線に対する口内配置部の傾斜角は、例えば、10度から45度の間の角度とすることができ、20度から35度の間であるのが望ましい。
【0024】
請求項
1に記載の発明では、感光体を収容する内袋と、内袋を収容する外袋を有し、外袋内に、口内配置部が配置されるので、外袋内で口内配置部と感光体とが近接する。すなわち、感光体を透過したX線は、口内配置部に達し易く、口内配置部で確実に減衰する。また、口内配置部に対する外袋の着脱が容易である。すなわち、口内配置部に対する感光体の着脱が容易である。
【0025】
請求項
3に記載の発明は、前記口内配置部で保持された前記感光体が、液密が保たれる柔軟な袋部材に収容されていることを特徴とする請求項1
又は2に記載の口内法X線撮影用補助具である。
【0026】
請求項
3に記載の発明では、口内配置部で保持された感光体を、液密が保たれる柔軟な袋部材に収容したので、患者の口内に口内配置部を配置する際に、口内配置部,アーム部,及び患者の口内の形状等に沿って柔軟な袋部材は適宜変形する。袋部材は、患者の口内と口内配置部及び感光体の間に介在するので、口内配置部及び感光体に唾が付着しない。
すなわち、口内法X線撮影用補助具,及び感光体は、清潔な状態が保たれ、洗浄することなく再利用することができる。
【0027】
請求項
4に記載の発明は、口内法X線撮影用の感光体と、当該感光体を口内で保持する口内法X線撮影用補助具を有する口内法X線撮影具であって、前記口内法X線撮影用補助具は、口内配置部と把持部とアーム部を有し、
前記口内配置部と前記把持部が前記アーム部で一体化されており、前記口内配置部は、前記感光体と同等の面積を占める平面部を有しており、
前記感光体を収容する内袋と、前記内袋を収容する外袋を有し、前記外袋は開口を有し、内袋と口内配置部の前記平面部を、前記開口を介して外袋に収容することにより、前記感光体
が、前記口内配置部の平面部に装着されて保持され、且つ前記感光体
が、前記口内配置部の平面部に対して着脱自在
となり、
前記内袋と共に前記外袋に収容した前記平面部を外袋から取り出す際には抵抗が生じ、前記口内配置部に前記感光体を保持させた状態においては、前記感光体が口内配置部の前記平面部と対向する位置関係となることを特徴とする口内法X線撮影具である。
【0028】
請求項
4に記載の発明では、口内配置部と把持部がアーム部で繋がっているので、把持部を操作することによって口内配置部の位置を変更することができる。
患者やX線撮影に携わる者が把持部を持ち、口内配置部を患者の口内に配置し、把持部を操作することによって口内における口内配置部の位置を変更又は微調整することができる。よって、口内配置部に保持された感光体は、口内の適切な位置に容易に配置される。そのため、感光体を指で押さえる必要がなく、患者や撮影者等のX線撮影に携わる者の指を被曝させずに済む。
また、口内配置部を口内に配置する際には、患者は口を開けるだけでよく、アーム部等を噛む必要がない。すなわち、患者は力を入れる必要がなく、楽な姿勢でX線撮影をすることができる。
口内配置部は、感光体と同等の面積を占める平面部を有しており、感光体は口内配置部の平面部に装着されて保持されるので、感光体の保持が安定する。
さらに、感光体は口内配置部の平面部に対して着脱自在であるので、X線撮影後は平面部から感光体を容易に取り外すことができる。
口内配置部に感光体を保持させた状態においては、感光体が口内配置部の平面部と対向する位置関係となるので、感光体と平面部が重なる。そのため、平面部は口内で嵩張らない。
ここで同等の面積とは、感光体を安定して保持するに足る面積であり、感光体より大きくても小さくてもよい。平面部の面積は、感光体の面積の60%から200%とすることができ、80%から150%であるのが望ましく、さらに90%から110%であるのがより望ましい。
すなわち平面部の面積は、大きすぎると口内に配置しにくく、小さすぎると感光体の保持が安定しない。そのため、平面部の面積は、感光体の面積に対して例えばプラスマイナス10%程度であるのが最も望ましい。
また、平面部と感光体の外形形状は、相似形であるのが望ましいが、必ずしも相似形である必要はない。すなわち、X線撮影に差し支えがなければ、感光体の外形と平面部の外形が相違していてもよい。
さらに、平面部は、開口や切り欠きを有していてもよい。例えば、平面部を枠状とし、中央部分に大きな開口があってもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明の口内法X線撮影用補助具、並びに、口内法X線撮影具は、患者の口内において感光体の保持を安定させることができる。また、感光体を指で保持する必要がないため、指が被曝する事態を回避することができる。感光体を保持した口内配置部を口内に配置する際には、患者は口を開けるだけでよく、アーム部等を噛む必要がない。すなわち、患者は力を入れる必要がなく、楽な姿勢でX線撮影をすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る口内法X線撮影用補助具1(以下、単に補助具1と称する。)について説明する。なお、本実施形態では、従来技術の欄で説明したイメージングプレート11(感光体)と保護カバー7を使用する。よって、ここでは重複する説明は省略する。
【0032】
また、補助具1とイメージングプレート11を収容した保護カバー7とで口内法X線撮影具が構成されている。すなわち、この口内法X線撮影具と、X線照射装置(図示せず)を使用して口内法X線撮影を行う。以下、補助具1について説明する。
【0033】
図1,
図2に示す様に、補助具1は、口内配置部2,アーム部4,把持部6を有している。
【0034】
口内配置部2は、患者の口内に配置される部位であって、矢印T方向の厚みを有する薄板状の部位であり、
図4(a)に示すイメージングプレート11(感光体)と同等の面積を占める平面部2b(
図2)を有している。すなわち、口内配置部2の大きさ(形状及び面積)は、イメージングプレート11の大きさ(形状及び面積)と同程度である。
【0035】
平面部2bは、矢印W方向の幅と矢印L方向の長さを有する略長方形の外形を有する部位であり、X線の透過量を減衰させる素材で形成されている。長方形の角部分は面取りが施されており、長方形の各辺同士は円弧で滑らかに繋がっている。
【0036】
また、口内配置部2の矢印Wで示す幅寸法(
図1で見て上下方向の寸法)は、
図4(c)に示す保護カバー7の外装部材9の開口28から収容部15内にちょうど挿入できる程度の大きさである。口内配置部2の長方形の一つの角部分にはアーム部4の一端が繋がっている。
【0037】
アーム部4は、患者の口内から口外に渡って配置される部位であって、厚み寸法と幅寸法が小さい細長い直線状の部位である。すなわち、アーム部4は、横断面積が小さい部位である。
【0038】
アーム部4の一端側には口内配置部2が設けられており、他端側には把持部6の一部である後述の把持部構成部3が設けられている。本実施形態では、口内配置部2,アーム部4,把持部構成部3は連続しており、X線の透過を抑制する素材(例えば、ステンレス鋼)で一体成形されている。ステンレス鋼を採用した場合の口内配置部2部分の厚みは2mmである。すなわち、本実施形態では、口内配置部2を2mm厚のステンレス鋼で構成することによって、X線の透過量を減少させている。
【0039】
把持部6は、患者の口外に配置される部位であり、把持部構成部3と補強部材5を有している。
把持部構成部3は、把持部6の本体を構成しており、前述の様に、アーム部4の他端側と連続した部位である。また、把持部構成部3は、アーム部4よりも幅寸法が大きい部位である。
補強部材5は、剛性を有する部材であり、把持部構成部3の両側にねじ止めや接着等の固定手段によって固定されている。すなわち補強部材5は、把持部構成部3を補強する部材である。
【0040】
把持部構成部3と補強部材5を有する把持部6は、幅寸法と厚み寸法が大きい部位であり、把持し易い部位である。例えば、補強部材5は板状であり、把持部構成部3の両側に補強部材5を配置することにより、把持部6全体が把持し易い厚み寸法を呈している。すなわち、補強部材5の厚み寸法は、例えば4〜6mmであり、把持部構成部3の厚み寸法は、2〜3mmである。よって、把持部6全体の厚み寸法は、10〜15mm程度である。把持部6の厚み寸法と幅寸法は、10〜20mm程度であると把持し易い。また、把持部6は、100mm〜150mm程度の長さを有している。
【0041】
補助具1における、口内配置部2,アーム部4,把持部構成部3は同一面内にあり、正面図である
図3に示す様に、アーム部4及び把持部6の軸線10は口内配置部2の長方形の一辺2aに対して30度の傾斜角Aで傾斜して繋がっている。ここで、口内配置部2の一辺2aに対するアーム部4の傾斜角Aは、10度乃至45度の範囲であるのが好ましいが、特に20度乃至35度の範囲であるのがより好ましい。
【0042】
図3に示す様に、アーム部4と把持部構成部3は、幅の大きさは相違しているが、アーム部4の幅方向の中心と把持部構成部3の幅方向の中心は一直線上に配置されている。すなわち、把持部構成部3(把持部6)の延長線上にアーム部4がある。さらに換言すると、軸線10が把持部構成部3の中心及びアーム部4の中心と一致している。
【0043】
次に、補助具1で保護カバー7を保持し、イメージングプレート11を患者の口内に配置する形態について説明する。本実施形態では、従来技術で説明したイメージングプレート11と保護カバー7を使用する。よって、ここではイメージングプレート11と保護カバー7に関する重複する説明は省略する。
【0044】
前述の様に保護カバー7にはイメージングプレート11が収容されており、この保護カバー7の外装部材9の開口28から収容部15内に補助具1の口内配置部2(平面部2b)を挿入する。
【0045】
収容部15の周囲は、開口28以外の三方が閉じており、口内配置部2の矢印W方向(
図1)の幅寸法は、収容部15内の幅寸法と同程度であり、収容部15内には内装部材8と口内配置部2をちょうど収容することができる。すなわち、収容部15内から口内配置部2を取り出す際には若干の抵抗が生じ、たとえ開口28を上向きにしても、口内配置部2から保護カバー7は落下しない。そのため、補助具1による保護カバー7の保持は安定している。
【0046】
また、口内配置部2(平面部2b)とイメージングプレート11は同様の長方形状を呈していて、両者は対向する位置関係となっている。すなわち、両者は重なっており、平面部2bは口内で嵩張らない。平面部2bはイメージングプレート11と同等の面積を有している。
【0047】
さらに、口内配置部2(一辺2a)とアーム部4(把持部6)の軸線10は、30度の傾斜角A(
図3)で傾斜している。そのため、
図9乃至
図14に示す様に、口内のそれぞれ撮影する部位ごとに把持部6の向き,姿勢を変更し、患者,撮影者,又は撮影補助者の補助具1の取扱者は、最も楽な姿勢で把持部6を把持する。
【0048】
口内配置部2と把持部6がアーム部4で繋がっているので、把持部6を操作することによって口内配置部2の位置を変更することができる。すなわち、患者やX線撮影に携わる者が把持部6を持ち、口内配置部2を患者の口内に配置し、把持部6を操作することによって口内における口内配置部2の位置を変更又は微調整することができる。よって、口内配置部2に保持されたイメージングプレート11は、口内の適切な位置に容易に配置される。
把持部6,アーム部4の軸線10と、口内配置部2(一辺2a)が傾斜角Aで傾斜しているので、患者は、口内のどの歯顎でも把持部6を把持して楽に口内配置部2を口内に配置することができる。
【0049】
イメージングプレート11と平面部2bが、X線の進行方向に重なっており、イメージングプレート11は、補助具1の口内配置部2(平面部2b)よりも必ずX線の照射方向の上流側に配置されていなければならない。そして、例えば、
図1,
図2に示す様に、口内配置部2とアーム部4が接続された部位が上側となる姿勢で口内配置部2を外装部材9の開口28から収容部15内に挿入し、補助具1に保護カバー7を装着する。または、逆に、口内配置部2とアーム部4が接続された部位が下側となる姿勢で口内配置部2を外装部材9の開口28から収容部15内に挿入し、補助具1に保護カバー7を装着する。
【0050】
保護カバー7が、イメージングプレート11を収容する内装部材8(内袋)と、内装部材8を収容する外装部材9(外袋)を有し、外装部材9内に、口内配置部2が配置されるので、外装部材9内で口内配置部2とイメージングプレート11とが近接して対向する。すなわち、イメージングプレート11を透過したX線は、口内配置部2(平面部2b)から逸れることがなく、口内配置部2(平面部2b)で確実に減衰する。
【0051】
口内配置部2の平面部2bが、イメージングプレート11と同等の面積を占めるため、補助具1に保護カバー7を装着すると、イメージングプレート11の保持が安定する。
ここで同等の面積とは、イメージングプレート11を安定して保持するに足る面積であり、イメージングプレート11より大きくても小さくてもよい。平面部2bの面積は、例えば、イメージングプレート11の面積の60%から200%とすることができ、80%から150%であるのが望ましく、さらに90%から110%であるのがより望ましい。
すなわち平面部2bの面積は、大きすぎると口内に配置しにくく、小さすぎるとイメージングプレート11の保持が安定しない。そのため、平面部2bの面積は、イメージングプレート11の面積に対して例えばプラスマイナス10%程度であるのが最も望ましい。
【0052】
また、イメージングプレート11は口内配置部2の平面部2bに対して着脱自在であるので、X線撮影後は平面部2bからイメージングプレート11を容易に取り外すことができる。
口内配置部2に保護カバー7を保持させた状態においては、イメージングプレート11が口内配置部2の平面部2bと対向する位置関係となるので、イメージングプレート11と平面部2bが重なる。そのため、保護カバー7(イメージングプレート11)と口内配置部2の平面部2bは口内で嵩張らない。
【0053】
また、従来は、患者自身や撮影者等が保護カバー7(イメージングプレート11)を指で保持しなければならず、この場合には指が被曝してしまうが、本発明の補助具1で保護カバー7(イメージングプレート11)を保持することにより、指が被曝することを回避できる。患者自身が補助具1を持つのが難しい場合には、撮影者等が持ってもよい。
【0054】
補助具1は、口内に入る口内配置部2とアーム部4が一体形成されており、継ぎ目がないので、アルコール消毒やオートクレーブによって滅菌又は減菌し易い。両者は一体形成されていてネジ止めされていない。よって、ネジが緩んだり脱落する恐れがない。そのため、脱落したネジを患者が誤飲する恐れがない。
【0055】
以下に、患者の口内の各部位毎に、補助具1の使用し易い姿勢について説明する。
【0056】
(右側下顎の大臼歯)
右側下顎の大臼歯をX線撮影する場合には、
図9に示す様に、補助具1の把持部6を患者の左方(
図9で見ると右方)で且つ上方に配置し、口内配置部2を患者の右方で且つ下方に配置し、口内配置部2を右側下顎の大臼歯の裏面側(歯顎よりも内部側)に配置する。
【0057】
口内配置部2及び保護カバー7(イメージングプレート11)は、略長方形状を呈しており、アーム部4が、口内配置部2に対して30度の傾斜角A(
図3)で傾斜している。そのため、
図9に示す様に、補助具1は、アーム部4が患者の口外から口内に渡っており、口内配置部2を撮影対象部位である右側下顎の大臼歯に沿って配置することができる。患者は、把持部6を左手で楽に保持することができる。
【0058】
その際、患者は、アーム部4を噛む必要がない。すなわち、アーム部4を噛んで口内配置部2の位置を固定しなくても、把持部6を
図9に示す角度位置となる様に操作することにより、口内配置部2を適切に右側下顎の大臼歯に沿って配置し、その位置を保持することができる。また、口内配置部2が上下の歯顎の間を通過する際には、
図9に示す様に口を大きく開ける必要があるが、それは一瞬であり、アーム部4の横断面積が小さいため、口内配置部2が口内に入った後は口の開きを小さくし、力を抜いた楽な姿勢でX線撮影を実施することができる。
【0059】
図9に示す状態で、矢印Bで示す方向から図示しないX線照射装置によってX線を照射すると、右側下顎の大臼歯のX線撮影を実施することができる。このとき、X線は、大臼歯とイメージングプレート11を透過し、イメージングプレート11に大臼歯のX線画像が記録される。また、イメージングプレート11と口内配置部2が矢印Bで示すX線の進行方向に重なっているため、イメージングプレート11を透過したX線は口内配置部2(平面部2b)によって減衰され、口内配置部2を透過するX線量は少ない。
そのため、患者のX線撮影対象部位以外の部位が被曝することを抑制することができる。
【0060】
(右側上顎の大臼歯)
右側上顎の大臼歯をX線撮影する場合には、
図10に示す様に、補助具1の把持部6を患者の左方(
図10で見ると右方)で且つ下方に配置し、口内配置部2を患者の右方(
図10で見ると左方)で且つ上方に配置し、口内配置部2を右側上顎の大臼歯の裏面側(歯顎よりも内部側)に配置する。患者は、把持部6を左手で楽に保持することができる上に、X線の進行が口内配置部2で阻止され、無用な被曝を回避することができる。
なお、
図10と
図9を比較すると、口内配置部2の平面部2bの異なる面がイメージングプレート11側に配置されている。
【0061】
(左側下顎の大臼歯)
左側下顎の大臼歯をX線撮影する場合には、
図11に示す様に、補助具1の把持部6を患者の右方(
図11で見ると左方)で且つ上方に配置し、口内配置部2を患者の左方(
図11で見ると右方)で且つ下方に配置し、口内配置部2を左側下顎の大臼歯の裏面側(歯顎よりも内部側)に配置する。患者は、把持部6を右手で楽に保持することができる上に、X線の進行が口内配置部2で阻止され、無用な被曝を回避することができる。
【0062】
(左側上顎の大臼歯)
左側上顎の大臼歯をX線撮影する場合には、
図12に示す様に、補助具1の把持部6を患者の右方(
図11で見ると左方)で且つ下方に配置し、口内配置部2を患者の左方(
図12で見ると右方)で且つ上方に配置し、口内配置部2を左側上顎の大臼歯の裏面側(歯顎よりも内部側)に配置する。患者は、把持部6を右手で楽に保持することができる上に、X線の進行が口内配置部2で阻止され、無用な被曝を回避することができる。
なお、
図12と
図11を比較すると、口内配置部2の平面部2bの異なる面がイメージングプレート11側に配置されている。
【0063】
(小臼歯及び犬歯)
小臼歯や犬歯をX線撮影する場合についても、上述の上下左右の大臼歯を撮影する場合と同様に補助具1を使用することができる。そして、患者は、補助具1の把持部6を左手又は右手で楽に保持することができる上に、X線の進行が口内配置部2で阻止され、無用な被曝を回避することができる。
【0064】
(下顎の中切歯)
下顎の中切歯(前歯)をX線撮影する場合には、
図13に示す様に、補助具1の把持部6を患者の右方(
図13で見ると左方)で且つ上額より上方に配置し、口内配置部2を下顎の中切歯の裏面側(歯顎よりも内部側)に配置する。
図13に示す様に、口内配置部2は縦向き姿勢であり、口内配置部2の略長方形の幅狭側の辺が、中切歯の並び方向に沿っている。
また、下顎の中切歯をX線撮影する場合には、補助具1の左右の向きは逆にすることもできる。すなわち、患者は、自身にとって把持し易い方の手で把持部6を把持することができる。
下顎の中切歯をX線撮影する際においても、X線の進行が口内配置部2で阻止され、無用な被曝を回避することができる。
【0065】
(上顎の中切歯)
上顎の中切歯(前歯)をX線撮影する場合には、
図14に示す様に、補助具1の把持部6を患者の右方(
図14で見ると左方)で且つ下顎より下方に配置し、口内配置部2を上顎の中切歯の裏面側(歯顎よりも内部側)に配置する。
図14に示す様に、口内配置部2は縦向き姿勢であり、口内配置部2の略長方形の幅狭側の辺が、中切歯の並び方向に沿っている。
また、上顎の中切歯をX線撮影する場合には、補助具1の左右の向きは逆にすることもできる。すなわち、患者は、自身にとって把持し易い方の手で把持部6を把持することができる。
上顎の中切歯をX線撮影する際においても、X線の進行が口内配置部2で阻止され、無用な被曝を回避することができる。
【0066】
前述の
図13に示す下額の中切歯をX線撮影する場合と比較して、
図14では、保護カバー7に対して口内配置部2の平面部2bの面の向きが反対である。
すなわち、
図13では、保護カバー7(外装部材9)の開口28の上端側にアーム部4と口内配置部2の接続部があるのに対し、
図14では、開口28の下端側にアーム部4と口内配置部2の接続部がある
換言すると、
図13では、口内配置部2の一方側の面をイメージングプレート11側に向けているのに対し、
図14では、口内配置部2の他方側の面をイメージングプレート11側に向けている。
具体的には、
図1の状態の口内法X線撮影具60を、どの様に回転させても
図20に示す状態とはならない。
【0067】
以上、説明した様に、一つの共通の補助具1で上下左右の大臼歯,小臼歯,犬歯,上下の中切歯の全てをX線撮影することができる。
具体的には、本実施形態に係る補助具1は、口内配置部2に保護カバー7を装着する際、口内配置部2の平面部2b(
図2)のどちらの面をイメージングプレート11側に配置してもよいというリバーシブル構造となっており、口内の撮影対象部位毎にイメージングプレート11が適した向き(縦向き又は横向き)となり、さらに補助具1の把持部6を把持する者が把持し易い姿勢でX線撮影を実施することができる。
上述の
図9,
図12,
図13では、口内配置部2の平面部2bの同じ側の面がイメージングプレート11側に配置されているが、
図10,
図11,
図14では、平面部2bの
図9,
図12,
図13とは反対側の面がイメージングプレート11側に配置されている。
すなわち、本実施形態に係る補助具1を使用することによって、口内の各部位(例えば大臼歯と中切歯)毎に異なる形態の補助具を使用する必要がない。
【0068】
X線撮影後、撮影者は、外装部材9の開口28から収容部15内の口内配置部2を抜き出し、保護カバー7を補助具1から外す。さらにイメージングプレート11を外装部材9内に残したまま内装部材8のみを外装部材9から抜き出す。すると、イメージングプレート11のみが外装部材9内に残る。
【0069】
外装部材9に対してイメージングプレート11は円滑に移動することができるので、
図8(a)に示す様に、外装部材9の開口28を下向きにすると、収容部15内のイメージングプレート11は、重力の作用で外装部材9に対して円滑に摺動して外装部材9から排出される(
図8(b))。イメージングプレート11は、外装部材9から床面(図示せず)上に落下する。
【0070】
撮影者は、イメージングプレート11を清潔な床面又は机上に落下させ、唾液が付着した手袋を外した清潔な手でイメージングプレート11を拾い上げる。すなわち、撮影者は、イメージングプレート11を清潔な状態で容易に取り出すことができる。よって、イメージングプレート11を洗浄する必要がない。
【0071】
以上説明した実施形態では、保護カバー7は、内装部材8と外装部材9を有するものであり、外装部材9の収容部15に内装部材8と共に補助具1の口内配置部2を挿入して配置した場合を説明した。
【0072】
補助具1は、この様な形態の保護カバー7以外に、
図15(a)に示す様な保護カバー35を保持することもできる。保護カバー35は、保護カバー7における内装部材8を収容した外装部材9にベルト部37a,37bを設けた構造を有している。
図15(a)に示す様に、二つのベルト部37a,37bは離間して平行に設けられており、両端が外装部材9の幅方向の両側に固定されている。この様な保護カバー35は、
図15(b)に示す様に、ベルト部37a,37bを介して補助具1の口内配置部2(平面部2b)に保持される。平面部2bによる保護カバー35の保持は安定している。
保護カバー35(イメージングプレート11)は、口内配置部2の平面部2bに着脱自在である。
保護カバー35は、保護カバー7の外装部材9にベルト部37a,37bを設けた構造としたが、保護カバー35は、別の袋部材にベルト部37a,37bを設けて構成してもよい。
X線撮影後は、ベルト部37a,37bから口内配置部2を外し、保護カバー35内のイメージングプレート11を取出し、図示しない処理装置によって画像データを取得する。
【0073】
また、補助具1は、
図16(a)に示す様な保護カバー45を保持することもできる。保護カバー45は、保護カバー7における外装部材9に係止部47a,47b,48a,48bを設けた構造を有している。
保護カバー45では、保護カバー35のベルト部37aの代わりに、一対の係止部47a,47bが外装部材9に設けられており、ベルト部37bの代わりに、別の一対の係止部48a,48bが設けられている。
各係止部47a,47b,48a,48bは、
図16(a)に示す様に、くの字状のフックである。係止部47a,47b、及び係止部48a,48bは、外装部材9の一組の平行な各辺付近に離間して固定されている。
保護カバー45は、
図16(b)に示す様に、各対の係止部47a,47b,48a,48bを、補助具1の口内配置部2(平面部2b)に係合させることにより、口内配置部2(平面部2b)に保持される。すなわち、内装部材8に収容されたイメージングプレート11が内装部材8と共に外装部材9内に収容されており、口内配置部2に保護カバー45(イメージングプレート11)を装着すると、イメージングプレート11は口内配置部2に保持される。
保護カバー45(イメージングプレート11)は、口内配置部2の平面部2bに着脱自在である。平面部2bによる保護カバー45の保持は安定している。
【0074】
さらに、
図1に示す保護カバー7,
図15(a)に示す保護カバー35,及び
図16(a)に示す保護カバー45を、
図17に示す袋部材50ですっぽりと覆って使用することもできる。袋部材50は、液密が保たれる柔軟な素材(例えばポリエチレン)で構成されている。この場合には、袋部材50は、保護カバー7,35,45及び口内配置部2は元より、アーム部4の一部又は全部を覆っている。すなわち、袋部材50の一部は、患者の口外に出ている。
【0075】
口内配置部2で保持されたイメージングプレート11を、液密が保たれる柔軟な袋部材50内に収容したので、患者の口内に口内配置部2を配置する際に、口内配置部2,アーム部4,及び患者の口内の形状等に沿って柔軟な袋部材50は適宜変形する。
【0076】
そして、X線撮影が終了すると、患者の口内から保護カバー7,35,45を取出し、唾等が付着した袋部材50を補助具1から取り外す。補助具1や保護カバー7,35,45には唾等は付着しておらず、清潔である。よって、撮影者は手を汚すことなくイメージングプレート11を取り出すことができる。
イメージングプレート11や補助具1は、唾等が付着しないため、清潔な状態が保たれており、洗浄することなく再利用することができる。
【0077】
上述の実施形態では、補助具1は口内配置部2,アーム部4,把持部構成部3が同一素材で一体形成されている場合を説明したが、これらは別々に形成して組み合わせてもよい。すなわち、アーム部4と把持部構成部3は、X線を減衰させる素材で形成されている必要はない。また、アーム部4と把持部構成部3は、口内配置部2を支持することができる程度の剛性を有していればよい。
この場合においても、補助具1の口内配置部2,アーム部4,把持部構成部3は組み合わせて一体化されている。
【0078】
図18(a)は、
図1とは別の口内法X線撮影用補助具41(以下、補助具41と呼ぶ。)の正面図である。補助具41は、
図1の補助具1のアーム部4とは異なる構造のアーム部44を有しており、その他の構造は補助具1と同じである。
【0079】
アーム部44は、把持部6側に繋がる基端部42と、口内配置部2側に繋がる先端部43とを有している。
基端部42の軸線(中心線)49aは、把持部6の軸線(中心線)と一致しており、先端部43の軸線(中心線)49bは、口内配置部の一辺2aと平行であり、基端部42の軸線49aと先端部43の軸線49bは前述の角度A(傾斜角A)を成している。すなわち、アーム部44の基端部42と先端部43はそれぞれ直線状であり、角度Aで互いに交差している。
【0080】
換言すると、
図18(a)に示す例では、アーム部44は、途中の部位で屈曲しており、口内配置部2と繋がる先端部43は口内配置部2(一辺2a)に沿ってのびている。
すなわち、口内配置部2によって保持されるイメージングプレート(図示せず)は、アーム部44の基端部42の軸線(把持部6の軸線)49aに対して傾斜角Aで傾斜している。
【0081】
図18(b)は、
図1,
図18(a)とは別の口内法X線撮影用補助具51(以下、補助具51と呼ぶ。)の正面図である。
補助具51は、補助具1,41とは相違するアーム部52を有している。
補助具51のアーム部52は、補助具41のアーム部44の様に屈曲しておらず、湾曲している。そして、把持部6の軸線53と、アーム部52における口内配置部2と接続された部位における軸線54は、角度Aで交差している。
【0082】
アーム部52における口内配置部2と接続された部位の軸線54は、口内配置部2の一辺2aと平行である。すなわち、口内配置部2によって保持されているイメージングプレート(図示せず)は、軸線54に沿っており、軸線53とは傾斜角Aを成している。
【0083】
平面部2bとイメージングプレート11の外形形状は、相似形であるのが望ましいが、必ずしも相似形である必要はない。すなわち、X線撮影に差し支えがなければ、イメージングプレート11の外形と平面部2bの外形が相違していてもよい。
さらに、平面部2bは、開口や切り欠きを有していてもよい。例えば、平面部2bを枠状とし、中央部分に大きな開口があってもよい。以下、図示しながら説明する。
【0084】
図19(a)乃至
図19(c)は、
図3に示す口内配置部2の変形例を示している。
図19(a)に示す口内配置部55の外形形状は、楕円形を呈している。
図19(b)に示す口内配置部56の外形形状は、正方形を呈している。
すなわち、口内配置部55,56は、略長方形状のイメージングプレート11とは異なる外形を有している。しかし、口内配置部55,56は、イメージングプレート11と同等の面積を有している。口内配置部55は、イメージングプレート11よりも若干大きい面積を有しており、イメージングプレート11の全領域をカバーしている。
一方、口内配置部56は、イメージングプレート11と同等の面積を有しているが、形状が相違しており、イメージングプレート11の一部が口内配置部56からはみ出している。
また、
図19(c)に示す口内配置部57は、中央部分に開口58を有している。すなわち、口内配置部57は枠状である。
【0085】
上述の実施形態では、口内法X線撮影用補助具1,41,51が、X線の透過を抑制する素材(例えば、ステンレス鋼)で一体成形されている例を示したが、患者がX線の透過を抑制する素材に対してアレルギーを有する場合には、その他の素材(例えば、チタン合金,炭素繊維強化プラスチック等)を採用することもできる。この様な素材で口内法X線撮影用補助具1,41,51が構成されていても、口内法X線撮影用補助具1,41,51を把持する手のX線被曝は軽減される。
【0086】
また、上述の様に、口内配置部2部分の厚みは2mm程度とすることができるが、患者の負担を勘案すると、患者の口内に占める容積を少しでも減少させるのが好ましい。すなわち、口内配置部2の強度が確保されていれば、口内配置部2の厚みは2mm以下とするのが好ましい。