特許第6649866号(P6649866)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6649866コラーゲン産生促進効果に優れる化粧料又は皮膚外用剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6649866
(24)【登録日】2020年1月21日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】コラーゲン産生促進効果に優れる化粧料又は皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/67 20060101AFI20200210BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20200210BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20200210BHJP
   A61K 31/375 20060101ALI20200210BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20200210BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20200210BHJP
   C07D 307/62 20060101ALN20200210BHJP
【FI】
   A61K8/67
   A61Q19/00
   A61Q19/08
   A61K31/375
   A61P17/00
   A61P43/00 107
   !C07D307/62
【請求項の数】5
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2016-212059(P2016-212059)
(22)【出願日】2016年10月28日
(65)【公開番号】特開2018-70508(P2018-70508A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2018年5月9日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000147213
【氏名又は名称】株式会社成和化成
(74)【代理人】
【識別番号】100094477
【弁理士】
【氏名又は名称】神野 直美
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 正人
(72)【発明者】
【氏名】平 徳久
(72)【発明者】
【氏名】壺井 辰哉
(72)【発明者】
【氏名】勝山 雄志
【審査官】 田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−003893(JP,A)
【文献】 特開2011−079772(JP,A)
【文献】 特開2016−113394(JP,A)
【文献】 特開2013−230984(JP,A)
【文献】 特開2006−008620(JP,A)
【文献】 特開2013−014555(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0204017(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
A61K 31/33−33/44
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00−47/69
C07D 307/00−307/94
A61P 1/00−43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表わされるアスコルビン酸誘導体を有効成分として含有することを特徴とする化粧料又は皮膚外用剤。
【化1】
[式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基、又は、直鎖状もしくは分岐状の炭素数7〜21のアルキル基又はアルケニル基である。但し、R、R、R、Rの少なくとも1の基は炭素数1〜3のアルキル基であり、R、R、R、Rの少なくとも1の基は直鎖状もしくは分岐状の炭素数7〜21のアルキル基又はアルケニル基である。]
【請求項2】
前記一般式(I)中のRが、直鎖状もしくは分岐状の炭素数7〜19のアルキル基又はアルケニル基であり、Rがメチル基であり、R及びRが、メチル基、又は直鎖状もしくは分岐状の炭素数7〜19のアルキル基もしくはアルケニル基であるアスコルビン酸誘導体を有効成分として含有する請求項1に記載の化粧料又は皮膚外用剤。
【請求項3】
前記一般式(I)中のRが、直鎖状もしくは分岐状の炭素数11〜17のアルキル基であり、Rがメチル基であり、R及びRがメチル基又は直鎖状の炭素数11〜17のアルキル基であるアスコルビン酸誘導体を有効成分として含有する請求項1に記載の化粧料又は皮膚外用剤。
【請求項4】
下記構造式(A)又は(B)で表されるアスコルビン酸誘導体を有効成分として含有する化粧料又は皮膚外用剤
【化2】
[式中、Rは、炭素数13〜17の直鎖状のアルキル基である。]
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の化粧料又は皮膚外用剤であって、前記アスコルビン酸誘導体を、0.001〜30質量%含有する化粧料又は皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の構造のアスコルビン酸誘導体を有効成分として含有し、コラーゲン産生促進効果に優れる化粧料又は皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
アスコルビン酸は、安全かつ有用な抗酸化物質であり、優れた美白効果等を有する化合物として知られており、又コラーゲン産生促進能が高い化合物としても知られている。その一方で、光、熱、酸化に対して不安定であり、化粧品分野での利用が妨げられていた。そこで、アスコルビン酸の前記の優れた効果を有するとともに光、熱、酸化に対する安定性を向上させた化合物として、種々のアスコルビン酸誘導体又はその塩が提案されている。さらに、特許文献1では、前記のアスコルビン酸誘導体又はその塩の美白用の皮膚外用剤への配合が、提案されており、又特許文献2では、化粧料への配合が提案されている。
【0003】
しかし、前記のアスコルビン酸誘導体及びその塩の多くは、経時により着色や臭いを発生する等の問題があり、その経時安定性はなお不十分であり、生体内での活性の持続も短くその改善が望まれている。
【0004】
特許文献3には、優れた経時安定性、優れたメラニン産生抑制効果を有するものとして、種々のアスコルビン酸誘導体及びその塩が開示されており、さらに、これらの、美白用の皮膚外用剤への配合、保湿剤としての配合、コラーゲン産生促進剤等の目的での化粧料への配合が提案されている。しかしながら、これらアスコルビン酸誘導体及びその塩は、油剤への溶解性が悪く、化粧料として使用した際に、角層との馴染みが悪く十分な浸透性が得られないとの問題があった。又、コラーゲン産生促進効果についても十分に満足できるものではなかった。
【0005】
油剤への溶解性が優れるアスコルビン酸誘導体として、トリ/テトラピバロイルアスコルビン酸(特許文献4、5)やアスコルビン酸テトラ分岐脂肪酸エステル(特許文献6〜9)が開示されている。特許文献4、5、6及び7では美白効果や肌荒れ改善効果については記載されているものの、コラーゲン産生促進効果については開示が無い。特許文献8及び9ではコラーゲン産生促進効果について開示されているが、アスコルビン酸テトラ分岐脂肪酸エステル単独使用でのコラーゲン産生促進効果は十分に満足できるものではなかった。
【0006】
近年、化粧料や皮膚外用剤への要求はさらに高度化しており、より優れた機能が求められている。特に、より優れたコラーゲン産生促進効果を有する化粧料や皮膚外用剤が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭62−221611号公報
【特許文献2】特開平1−228978号公報
【特許文献3】特許第4681670号
【特許文献4】特開昭61−85308号公報
【特許文献5】特公平6−78223号公報
【特許文献6】特開2003−238380号公報
【特許文献7】特開2003−306419号公報
【特許文献8】特開2003−342159号公報
【特許文献9】特許第4574384号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来よりもさらに優れたコラーゲン産生促進効果を有するとともに、油剤への溶解性も優れるアスコルビン酸誘導体を有効成分として用いた化粧料、皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記実情に鑑みて鋭意検討した結果、特定構造のアシル化アスコルビン酸誘導体が、コラーゲン産生促進効果、油剤への溶解性に優れることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
本発明は、下記一般式(I)で表わされるアスコルビン酸誘導体を有効成分として含有することを特徴とする化粧料又は皮膚外用剤(請求項1)を提供する。
【0011】
【化1】
【0012】
[式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基、又は、直鎖状もしくは分岐状の炭素数7〜21のアルキル基又はアルケニル基である。但し、R、R、R、Rの少なくとも1の基は炭素数1〜3のアルキル基であり、R、R、R、Rの少なくとも1の基は直鎖状もしくは分岐状の炭素数7〜21のアルキル基又はアルケニル基である。]
、R、R又はRで表される炭素数7〜21のアルキル基又はアルケニル基が分岐状の場合は、分岐がα位以外の位置にあるものが好ましい。
【0013】
請求項2に記載の発明は、前記一般式(I)中のRが、直鎖状もしくは分岐状の炭素数7〜19のアルキル基又はアルケニル基であり、Rがメチル基であり、R及びRが、メチル基、又は直鎖状もしくは分岐状の炭素数7〜19のアルキル基もしくはアルケニル基であるアスコルビン酸誘導体を有効成分として含有する化粧料又は皮膚外用剤を提供するものである。このアスコルビン酸誘導体は、より優れたコラーゲン産生促進効果を有しているので、より優れたコラーゲン産生促進効果を奏する化粧料又は皮膚外用剤が提供される。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記一般式(I)中のRが、直鎖状もしくは分岐状の炭素数11〜17のアルキル基であり、Rがメチル基であり、R及びRがメチル基又は直鎖状の炭素数11〜17のアルキル基であるアスコルビン酸誘導体を有効成分として含有する化粧料又は皮膚外用剤を提供するものである。このアスコルビン酸誘導体は、油剤への溶解性、経時安定性により優れているので、より優れたコラーゲン促進効果を有するとともに、油剤への溶解性、経時安定性により優れる化粧料又は皮膚外用剤が提供される。
【0015】
中でも、下記構造式(A)又は(B)で表されるアスコルビン酸誘導体は、特にコラーゲン産生促進効果及び油剤への安定性に優れている。請求項4に記載の発明は、下記構造式(A)又は(B)で表されるアスコルビン酸誘導体を有効成分として含有する化粧料又は皮膚外用剤であり、コラーゲン産生促進効果及び油剤への安定性に特に優れた化粧料又は皮膚外用剤が提供される。
【0016】
【化2】
【0017】
[式中、Rは、炭素数13〜17の直鎖状のアルキル基である。]
【0018】
さらに本発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の化粧料又は皮膚外用剤であって、前記アスコルビン酸誘導体を、0.001〜30質量%含有する化粧料又は皮膚外用剤(請求項5)を提供する。
【0019】
さらに本発明は、請求項5に記載の化粧料又は皮膚外用剤を皮膚に適用することを特徴とするコラーゲン産生促進方法を提供する(請求項6)。
【発明の効果】
【0020】
本発明の化粧料又は皮膚外用剤に有効成分として含有される特定構造のアスコルビン酸誘導体は、優れたコラーゲン産生促進効果を有しており、かつ安定性や油剤に対する溶解性にも優れている。従って、この特定構造のアスコルビン酸誘導体を有効成分として含有する本発明の化粧料又は皮膚外用剤は、コラーゲン産生促進効果に優れ、かつ安定性や油剤に対する溶解性にも優れており、本発明の化粧料又は皮膚外用剤を皮膚に適用する方法によれば、従来の化粧料や皮膚外用剤と比べて、コラーゲン産生をより促進することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の実施形態について説明するが、本発明の範囲はこの実施形態に限定されるものではない。
【0022】
本発明のアスコルビン酸誘導体の具体的な例としては、例えば、以下に示す化合物を挙げることができる。
2,3,5−トリ−O−アセチル−6−O−アルカノイルアスコルビン酸、2,3,5−トリ−O−アセチル−6−O−アルケノイルアスコルビン酸、2,3,6−トリ−O−アセチル−5−O−アルカノイルアスコルビン酸、2,3,6−トリ−O−アセチル−5−O−アルケノイルアスコルビン酸、2,5,6−トリ−O−アセチル−3−O−アルカノイルアスコルビン酸、2,5,6−トリ−O−アセチル−3−O−アルケノイルアスコルビン酸、3,5,6−トリ−O−アセチル−2−O−アルカノイルアスコルビン酸、3,5,6−トリ−O−アセチル−2−O−アルケノイルアスコルビン酸等のトリアセチルモノエステルアスコルビン酸誘導体、
【0023】
5,6−ジ−O−アセチル−2,3−ジ−O−アルカノイルアスコルビン酸、5,6−ジ−O−アセチル−2,3−ジ−O−アルケノイルアスコルビン酸、5,6−ジ−O−アセチル−2−O−アルカノイル−3−O−アルケノイルアスコルビン酸、5,6−ジ−O−アセチル−2−O−アルケノイル−3−O−アルカノイルアスコルビン酸、3,6−ジ−O−アセチル−2,5−ジ−O−アルカノイルアスコルビン酸、3,6−ジ−O−アセチル−2,5−ジ−O−アルケノイルアスコルビン酸、3,6−ジ−O−アセチル−2−O−アルカノイル−5−O−アルケノイルアスコルビン酸、3,6−ジ−O−アセチル−2−O−アルケノイル−5−O−アルカノイルアスコルビン酸、2,6−ジ−O−アセチル−3,5−ジ−O−アルカノイルアスコルビン酸、2,6−ジ−O−アセチル−3,5−ジ−O−アルケノイルアスコルビン酸、2,6−ジ−O−アセチル−3−O−アルカノイル−5−O−アルケノイルアスコルビン酸、2,6−ジ−O−アセチル−3−O−アルケノイル−5−O−アルカノイルアスコルビン酸、3,5−ジ−O−アセチル−2,6−ジ−O−アルカノイルアスコルビン酸、3,5−ジ−O−アセチル−2,6−ジ−O−アルケノイルアスコルビン酸、3,5−ジ−O−アセチル−2−O−アルカノイル−6−O−アルケノイルアスコルビン酸、3,5−ジ−O−アセチル−2−O−アルケノイル−6−O−アルカノイルアスコルビン酸、2,5−ジ−O−アセチル−3,6−ジ−O−アルカノイルアスコルビン酸、2,5−ジ−O−アセチル−3,6−ジ−O−アルケノイルアスコルビン酸、2,5−ジ−O−アセチル−3−O−アルカノイル−6−O−アルケノイルアスコルビン酸、2,5−ジ−O−アセチル−3−O−アルケノイル−6−O−アルカノイルアスコルビン酸、2,3−ジ−O−アセチル−5,6−ジ−O−アルカノイルアスコルビン酸、2,3−ジ−O−アセチル−5,6−ジ−O−アルケノイルアスコルビン酸、2,3−ジ−O−アセチル−5−O−アルカノイル−6−O−アルケノイルアスコルビン酸、2,3−ジ−O−アセチル−5−O−アルケノイル−6−O−アルカノイルアスコルビン酸等のジアセチルアスコルビン酸誘導体、
【0024】
2,3,5−トリ−O−アルカノイル−6−O−アセチルアスコルビン酸、2,3,5−トリ−O−アルケノイル−6−O−アセチルアスコルビン酸、2,3,6−トリ−O−アルカノイル−5−O−アセチルアスコルビン酸、2,3,6−トリ−O−アルケノイル−5−O−アセチルアスコルビン酸、2,5,6−トリ−O−アルカノイル−3−O−アセチルアスコルビン酸、2,5,6−トリ−O−アルケノイル−3−O−アセチルアスコルビン酸、3,5,6−トリ−O−アルカノイル−2−O−アセチルアスコルビン酸、3,5,6−トリ−O−アルケノイル−2−O−アセチルアスコルビン酸、
【0025】
2,3,5−トリ−O−プロパノイル−6−O−アルカノイルアスコルビン酸、3,5−ジ−O−プロパノイル−2,6−ジ−O−アルカノイルアスコルビン酸、2,3,5−トリ−O−アルカノイル−6−O−プロパノイルアスコルビン酸等のプロパノイルアルカノイルアスコルビン酸、2,3,5−トリ−O−ブタノイル−6−O−アルカノイルアスコルビン酸、3,5−ジ−O−ブタノイル−2,6−ジ−O−アルカノイルアスコルビン酸、2,5,6−トリ−O−アルカノイル−3−O−ブタノイルアスコルビン酸等のブタノイルアルカノイルアスコルビン酸を挙げることができる。
【0026】
なお、上記の例示において、アルカノイル基とは、R−CO−(Rは炭素数7〜21のアルキル基、アルケニル基を示す)を示し、例えば、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ペンタデカノイル基、ヘキサデカノイル基、へプタデカノイル基、オクタデカノイル基、ノナデカノイル基、エイコサノイル基、ヘニコサノイル基、ドコサノイル基等の直鎖状のアルカノイル基、
2−エチルヘキサノイル基、3−エチルヘキサノイル基、5−メチルヘプタノイル基等のイソオクタノイル基、2−オクチルデカノイル基、17−メチルヘプタデカノイル基等のイソオクタデカノイル基、イソノナノイル基、イソデカノイル基、イソウンデカノイル基、イソドデカノイル基、イソトリデカノイル基、イソテトラデカノイル基、イソペンタデカノイル基、イソヘキサデカノイル基、イソへプタデカノイル基、イソノナデカノイル基、イソエイコサノイル基、イソヘニコサノイル基、イソドコサノイル基等の分岐状のアルカノイル基、
オクテノイル基、ノネイル基、デセノイル基、ウンデセノイル基、ドデセノイル基、トリデセノイル基、テトラデセノイル基、ペンタデセノイル基、ヘキサデセノイル基、へプタデセノイル基、オクタデセノイル基、ノナデセノイル基、エイコセノイル基、ヘニコセノイル基、ドコセノイル基等の直鎖状のアルケノイル基等を挙げることができる。
【0027】
本発明の前記式(I)で表されるアスコルビン酸誘導体は、アスコルビン酸とアシル化剤とを混合してアシル化する公知の種々の方法で製造することができる。例えば、アスコルビン酸と種々の酸クロライドを混合する方法、アスコルビン酸と種々の酸無水物を混合する方法、濃硫酸中にアスコルビン酸と種々のカルボン酸とを混合しアシル化する方法を挙げることができる。又、市販されているアシル化アスコルビン酸をアシル化することで得ることができる。
【0028】
例えば、上記酸クロライドとしては、アセチルクロリド、プロピオニルクロリド、ブタノイルクロリド、オクタノイルクロリド、ノナノイルクロリド、デカノイルクロリド、ウンデカノイルクロリド、ドデカノイルクロリド、トリデカノイルクロリド、テトラデカノイルクロリド、ペンタデカノイルクロリド、ヘキサデカノイルクロリド、ヘプタデカノイルクロリド、オクタデカノイルクロリド、ノナデカノイルクロリド、エイコサノイルクロリド、ヘニコサノイルクロリド、ドコサノイルクロリド、2−エチルヘキサノイルクロリド、3−エチルヘキサノイルクロリド、5−メチルヘプタノイルクロリド、2−オクチルデカノイルクロリド、17−メチルヘプタデカノイルクロリド、イソノナノイルクロリド、イソデカノイルクロリド、イソウンデカノイルクロリド、イソドデカノイルクロリド、イソトリデカノイルクロリド、イソテトラデカノイルクロリド、イソペンタデカノイルクロリド、イソヘキサデカノイルクロリド、イソへプタデカノイルクロリド、イソノナデカノイルクロリド、イソエイコサノイルクロリド、イソヘニコサノイルクロリド、イソドコサノイルクロリド等を使用することができる。
【0029】
本発明のアスコルビン酸誘導体又はその塩の製造に用いられるアスコルビン酸は、4位5位の炭素の立体配置がS体、R体のいずれでもよい。
【0030】
前記の反応で使用できる溶媒の種類は特に制限は無く、例えば溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキサン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、ピリジン等から選ばれる溶媒又はこれらの混合溶媒を挙げることができる。その中でも、DMSO、DMF、ジオキサン、アセトニトリル、THF等の非プロトン性溶媒が副生成物の生成が少ない溶媒として好適に使用することができる。
【0031】
前記のようにして製造されるアスコルビン酸誘導体において、アスコルビン酸の水酸基に異なる炭素鎖のアシル基を結合させる場合、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー、イオン交換樹脂等の樹脂を用いたカラムクロマトグラフィー、活性炭処理、抽出、蒸留、結晶化等の手段により精製し、得られた誘導体に更に炭素鎖の異なるアシル化剤と反応させることで、異なる炭素鎖のアシル基をアスコルビン酸に導入することもできる。又、この方法により得られたアスコルビン酸誘導体も前記精製方法により精製を行うことができる。
【0032】
本発明の化粧料又は皮膚外用剤への前記アスコルビン酸誘導体の配合量は、特に制限されず、化粧料、皮膚外用剤の種類等によりその好ましい範囲は変動するが、通常、その好ましい範囲は、0.001質量%〜30.0質量%の範囲内である。0.001質量%以下の場合は、コラーゲン産生促進効果を十分に示せない場合が多い。一方、30.0質量%を超える場合は剤型を壊す場合がある。さらに、0.01質量%〜10.0質量%の範囲で前記アスコルビン酸誘導体を配合すると、配合量に見合った効果を得やすいので好ましく、さらに好ましくは、0.1質量%〜5.0質量%の範囲である。
【0033】
本発明の化粧料には、必須成分(有効成分)である前記アスコルビン酸誘導体の他に、化粧料や皮膚外用剤に通常用いられる成分、例えば、油性原料、界面活性剤、保湿剤、高分子化合物、酸化防止剤、美白剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、タンパク加水分解物、アミノ酸又はそれらの誘導体、pH調整剤、防腐剤、増粘剤、色素や他の薬剤等が適宜配合される。
【0034】
本発明の化粧料や皮膚外用剤の剤系は任意であり、溶液系、可溶化系、乳化系、ゲル系、粉末分散系、水−油二層系等いずれも可能であり、目的とする製品の種類に応じて上記一般式(I)で表されるアスコルビン酸誘導体と上記他の配合成分とを、公知の方法で配合して製造することができる。
【実施例】
【0035】
次に、本発明を実施するための具体的な形態を実施例によって説明するが、本発明の範囲は以下の実施例により限定されるものではない。
【0036】
先ず、比較例に用いるアスコルビン酸誘導体の合成例、実施例に用いるアスコルビン酸誘導体の製造例を記す。合成例、製造例、試験例において用いた2,6−ジ−O−パルミトイルL−アスコルビン酸、6−O−パルミトイルL−アスコルビン酸、6−O−ステアロイルL−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸マグネシウム、2−O−α−D−グルコピラノシルアスコルビン酸及びグリセリルアスコルビン酸は、東京化成工業社製の試薬である。又、16−メチルヘプタデカン酸は和光純薬社製の試薬である。他の薬剤も、表中に記載のものを除き、試薬を用いた。
【0037】
合成例1
アルゴン雰囲気下、L−アスコルビン酸3.00gにDMSO10mLを加え撹拌し、撹拌しながらトリエチルアミン9.47g、無水酢酸9.56gを加え、60℃に加温し3時間撹拌した後、酢酸エチルで抽出し水洗した(以上を、「合成工程」とする)。抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下にて濃縮して、得られた残渣2.87gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。ヘキサン/酢酸エチル混液にて溶出(ヘキサン/酢酸エチル=5/1→1/1→1/5)し、減圧下にて濃縮を行い(合成工程終了後、この濃縮までの工程を「精製工程」とする)、1.72gの生成物を得た。
【0038】
この生成物について、下記のMASS分析条件により質量分析を行ったところ、ESIマススペクトルより下記に示すピークが検出された。
ポジティブイオン:362([M+NHに相当)
この測定結果より、生成物は、下記構造式で示される2,3,5,6−テトラ−O−アセチルアスコルビン酸であることが確認された。
【0039】
【化3】
【0040】
[MASS分析条件]
移動相:
5mmol/L酢酸アンモニウム水溶液:アセトニトリル=50:50
流量 :0.2mL/min
検出器電圧 :1.15kV
インターフェイス電圧 :4.5kV
ヒートブロック温度 :200℃
インターフェイス温度 :300℃
ネプライザガス :1.5L/min
ドライングガス :15L/min
イオン化モード :ESI−ポジティブ又はネガティブ
測定モード :スキャンモード
試料導入方法 :FID(試料直接導入)
【0041】
合成例2
無水酢酸9.56gをブタン酸無水物14.8gに代えた以外は、合成例1と同条件で、同様にして合成工程及び精製工程を行い、5.18gの生成物を得た。この生成物について、合成例1と同じMASS分析条件により質量分析を行ったところ、ESIマススペクトルより下記に示すピークが検出された。
ポジティブイオン:470([M+NHに相当)
この測定結果より、生成物は、下記構造式で示される2,3,5,6−テトラ−O−ブタノイルアスコルビン酸であることが確認された。
【0042】
【化4】
【0043】
合成例3
無水酢酸9.56gをオクタン酸無水物25.4gに代えた以外は、合成例1と同条件で、同様にして、合成工程及び精製工程を行い、5.62gの生成物を得た。この生成物について、合成例1と同じMASS分析条件により質量分析を行ったところ、ESIマススペクトルより下記に示すピークが検出された。
ポジティブイオン:698([M+NHに相当)
この測定結果より、生成物は、下記構造式で示される2,3,5,6−テトラ−O−オクタノイルアスコルビン酸であることが確認された。
【0044】
【化5】
【0045】
合成例4
無水酢酸9.56gをピバル酸無水物17.4gに代え、60℃での加温時間3時間を8時間に変えた以外は、合成例1と同条件で、同様にして、合成工程及び精製工程を行い、1.12gの生成物を得た。この生成物について、合成例1と同じMASS分析条件により質量分析を行ったところ、ESIマススペクトルより下記に示すピークが検出された。
ポジティブイオン:530([M+NHに相当)
この測定結果より、生成物は、下記構造式で示される2,3,5,6−テトラ−O−ピバロイルアスコルビン酸であることが確認された。
【0046】
【化6】
【0047】
合成例5
アルゴン雰囲気下、L−アスコルビン酸3.00gにDMSO10mL、水0.1mL、水酸化ナトリウム0.75gを加えて撹拌し、撹拌しながらトリエチルアミン5.15g、ピバル酸無水物9.49gを加え、60℃に加温し8時間撹拌した後、酢酸エチルで抽出し水洗した。抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下にて濃縮して、得られた残渣4.86gをシリカゲルクロマトグラフィーに付した。クロロホルム/メタノール/水混液にて溶出(クロロホルム/メタノール/水=30/3/0.3→10/3/0.3)し、減圧下にて濃縮を行い、1.05gの第1生成物を得た。
【0048】
この1.05gの第1生成物をL−アスコルビン酸3.00gの代わりに用い、トリエチルアミンの量を0.77gに、無水酢酸の量を0.78gに変えた以外は、合成例1と同条件で、同様にして、合成工程及び精製工程を行い、0.31gの第2生成物を得た。この第2生成物について、合成例1と同じMASS分析条件により質量分析を行ったところ、ESIマススペクトルより下記に示すピークが検出された。
ポジティブイオン:446([M+NHに相当)
この測定結果より、生成物は、下記構造式で示される3,5−ジ−O−アセチル−2,6−ピバロイルアスコルビン酸であることが確認された。
【0049】
【化7】
【0050】
合成例6
ピバル酸無水物9.49gをブタン酸無水物8.08gに代え、トリエチルアミンの量を5.13gに変え、60℃での撹拌時間を3時間とした以外は、合成例5における第1生成物を得る場合と同条件で、同様にして、1.18gの第1生成物を得た。この1.18gの第1生成物をL−アスコルビン酸3.00gの代わりに用い、トリエチルアミンの量を0.94gに、無水酢酸の量を0.95gに変えた以外は、合成例1と同条件で、同様にして、合成工程及び精製工程を行い、0.36gの第2生成物を得た。この第2生成物について、合成例1と同じMASS分析条件により質量分析を行ったところ、ESIマススペクトルより下記に示すピークが検出された。
ポジティブイオン:418([M+NHに相当)
この測定結果より、生成物は、下記構造式で示される3,5−ジ−O−アセチル−2,6−ブタノイルアスコルビン酸であることが確認された。
【0051】
【化8】
【0052】
合成例7(2,3,5,6−テトラ−O−ヘキサデカノイルアスコルビン酸)
アルゴン雰囲気下、2,6−ジパルミトイルアスコルビン酸(1.00g)にDMSO10mLを加えて撹拌し、撹拌しながらトリエチルアミン(0.30g)、パルミチン酸無水物(1.47g)を加え、60℃に加温し3時間撹拌した後、酢酸エチルで抽出し水洗した。抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下にて濃縮して、得られた残渣2.10gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。ヘキサン/酢酸エチル混液にて溶出(ヘキサン/酢酸エチル=5/1→1/1→1/5)し、減圧下にて濃縮を行い、2,3,5,6−テトラ−O−ヘキサデカノイルアスコルビン酸(0.39g)を得た。
【0053】
得られたこの生成物を、上記MASS分析条件により質量分析を行ったところ、ESIマススペクトルより下記に示すピークが得られた。測定結果より、生成物は、下記構造式で示される2,3,5,6−テトラ−O−ヘキサデカノイルアスコルビン酸であることが確認された。
【0054】
【化9】
【0055】
[ESIマススペクトル測定結果:検出されたピーク]
ポジティブイオン:1146([M+NHに相当)
【0056】
[NMRによる分析結果]
H−NMR(400MHz,CDCl): δppm 0.88(12H,t),1.25(96H,brs),1.62(8H,m),2.34(4H,t),2.44(4H,t),4.29(1H,dd),4.40(1H,dd),5.34(1H,d),5.49(1H,dt−like)
【0057】
製造例1
アルゴン雰囲気下、2,6−ジ−O−パルミトイルL−アスコルビン酸3.00gにDMSO10mLを加えて撹拌し、撹拌しながらトリエチルアミン1.39g、無水酢酸1.40gを加え、60℃に加温し3時間撹拌した後、酢酸エチルで抽出し水洗した。抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下にて濃縮して、得られた残渣3.15gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。ヘキサン/酢酸エチル混液にて溶出(ヘキサン/酢酸エチル=5/1→1/1→1/5)し、減圧下にて濃縮を行い、1.05gの生成物を得た。
【0058】
得られたこの生成物1.05gを、合成例1と同じMASS分析条件により質量分析を行ったところ、ESIマススペクトルより下記に示すピークが検出された。
ポジティブイオン:754([M+NHに相当)
又、H−NMR、13C−NMR測定及び赤外吸収スペクトル測定(IR測定)を行ったところ下記の結果が得られた。これらの測定結果より、生成物は、下記構造式で示される3,5−ジ−O−アセチル−2,6−ジ−O−ヘキサデカノイルアスコルビン酸であることが確認された。
【0059】
【化10】
【0060】
[NMRによる分析結果]
H−NMR(400MHz,CDCl): δppm 0.85(6H,t),1.23(48H,brs),1.62(4H,m),2.03(3H,s),2.24(3H,s),2.30(2H,t),2.49(2H,t),4.28(1H,dd),4.37(1H,dd),5.35(1H,d),5.45(1H,dt−like),
13C−NMR(100MHz,CDCl): δppm 14.1,20.3,20.4,22.7,24.5,24.8,28.9,29.07,29.15,29.2,29.3,29.4,29.6,31.9,33.3,34.0,61.8,66.4,74.9,122.1,149.6,164.7,165.2,169.1,170.0,173.1
【0061】
[IR測定結果]
ATR(波数 cm−1) 2916,2849,1782,1757,1742,1231,1152,1099
【0062】
製造例2
2,6−ジ−O−パルミトイルL−アスコルビン酸を6−O−パルミトイルL−アスコルビン酸3.00gに代え、トリエチルアミンの量を3.29gに、無水酢酸の量を3.33gに変えた以外は製造例1と同条件で、同様にして各工程を行い1.09gの生成物を得た。この生成物1.09gについて、合成例1と同じMASS分析条件により質量分析を行ったところ、ESIマススペクトルより下記に示すピークが検出された。
ポジティブイオン:558([M+NHに相当)
又、H−NMR、13C−NMR測定及び赤外吸収スペクトル測定(IR測定)を行ったところ下記の結果が得られた。これらの測定結果より、生成物は、下記構造式で示される2,3,5−トリ−O−アセチル−6−O−ヘキサデカノイルアスコルビン酸であることが確認された。
【0063】
【化11】
【0064】
[NMRによる分析結果]
H−NMR(400MHz,CDCl): δppm 0.85(3H,t),1.23(24H,brs),1.59(2H,m),2.02(3H,s),2.23(3H,s),2.25(3H,s),2.30(2H,t),4.28(1H,dd),4.37(1H,dd),5.35(1H,d),5.46(1H,dt−like)
13C−NMR(100MHz,CDCl): δppm 14.1,20.3,20.4,22.7,24.8,29.1,29.2,29.3,29.4,29.6,29.7,31.9,33.9,61.8,66.4,74.9,122.0,149.8,164.7,165.1,166.1,170.0,173.1
【0065】
[IR測定結果]
ATR(波数 cm−1) 2916,2851,1771,1738,1240,1219,1150,1093,1057
【0066】
製造例3
アルゴン雰囲気下、6−O−ステアロイルL−アスコルビン酸3.00gにDMSO10mL、水0.1mL、水酸化ナトリウム0.75gを加えて撹拌し、撹拌しながらトリエチルアミン5.15g、ステアリン酸無水物9.37gを加え、60℃に加温し8時間撹拌した後、酢酸エチルで抽出し水洗した。抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下にて濃縮して、得られた残渣12.3gをシリカゲルクロマトグラフィーに付した。クロロホルム/メタノール/水混液にて溶出(クロロホルム/メタノール/水=30/3/0.3→10/3/0.3)し、減圧下にて濃縮を行い、4.34gの第1生成物を得た(第1生成物を得る工程を反応工程1とする)。
【0067】
得られた4.34gの第1生成物にDMSO15mLを加えて撹拌し、撹拌しながらトリエチルアミン(1.55g)、無水酢酸(1.56g)を加え、60℃に加温し3時間撹拌した後、酢酸エチルで抽出し水洗した。抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下にて濃縮して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。ヘキサン/酢酸エチル混液にて溶出(ヘキサン/酢酸エチル=5/1→1/1→1/5)し、減圧下にて濃縮を行い、0.73gの第2生成物を得た(第1生成物から第2生成物を得る工程を反応工程2とする)。
【0068】
この第2生成物について、合成例1と同じMASS分析条件により質量分析を行ったところ、ESIマススペクトルより下記に示すピークが検出された。
ポジティブイオン:810([M+NHに相当)
この測定結果より、生成物は、下記構造式で示される3,5−ジ−O−アセチル−2,6−ジ−O−オクタデカノイルアスコルビン酸であることが確認された。
【0069】
【化12】
【0070】
製造例4
6−O−ステアロイルL−アスコルビン酸に代えて6−O−パルミトイルL−アスコルビン酸3.00gを用い、トリエチルアミンの量を1.10gに、ステアリン酸無水物の量を5.99gに変えた以外は、製造例3と同条件、同様にして反応工程1を行い、1.53gの第1生成物を得た。
この1.53gの第1生成物にDMSO10mLを加えて撹拌し、その後は、トリエチルアミンの量を0.57gに、無水酢酸の量を0.57gに変えた以外は、製造例3と同条件、同様にして反応工程2を行い、0.31gの第2生成物を得た。
この生成物について、合成例1と同じMASS分析条件により質量分析を行ったところ、ESIマススペクトルより下記に示すピークが検出された。
ポジティブイオン:782([M+NHに相当)
この測定結果より、生成物は、下記構造式で示される3,5−ジ−O−アセチル−6−O−ヘキサデカノイル−2−O−オクタデカノイルアスコルビン酸であることが確認された。
【0071】
【化13】
【0072】
製造例5
6−O−ステアロイルL−アスコルビン酸3.00gに代えてL−アスコルビン酸3.00gを用い、ステアリン酸無水物に代えてラウリン酸無水物19.5gを用いた以外は、製造例3と同条件、同様にして反応工程1を行い、2.75gの第1生成物を得た。この2.75gの第1生成物にDMSO10mLを加えて撹拌し、その後は、トリエチルアミンの量を1.29gに、無水酢酸の量を1.31gに変えた以外は、製造例3と同条件、同様にして反応工程2を行い、0.64gの第2生成物を得た。この生成物について、合成例1と同じMASS分析条件により質量分析を行ったところ、ESIマススペクトルより下記に示すピークが検出された。
ポジティブイオン:642([M+NHに相当)
この測定結果より、生成物は、下記構造式で示される3,5−ジ−O−アセチル−2,6−ジ−O−ドデカノイルアスコルビン酸であることが確認された。
【0073】
【化14】
【0074】
製造例6
アルゴン雰囲気下、6−O−パルミトイルL−アスコルビン酸3.00gにDMSO10mLを加えて撹拌し、撹拌しながらトリエチルアミン1.61g、無水酢酸1.63gを加え、60℃に加温し8時間撹拌した後、酢酸エチルで抽出し水洗した。抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下にて濃縮して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。クロロホルム/メタノール/水混液にて溶出(クロロホルム/メタノール/水=30/3/0.3→10/3/0.3)し、減圧下にて濃縮を行い、1.18gの第1生成物を得た(第1生成物を得る工程を反応工程1とする)。
【0075】
得られた1.18gの第1生成物にDMSO10mLを加えて撹拌し、撹拌しながらトリエチルアミン(0.26g)、パルミチン酸無水物(1.29g)を加え、60℃に加温し3時間撹拌した後、酢酸エチルで抽出し水洗した。抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下にて濃縮して、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付した。ヘキサン/酢酸エチル混液にて溶出(ヘキサン/酢酸エチル=5/1→1/1→1/5)し、減圧下にて濃縮を行い、0.47gの第2生成物を得た(第1生成物から第2生成物を得る工程を反応工程2とする)。この第2生成物について、合成例1と同じMASS分析条件により質量分析を行ったところ、ESIマススペクトルより下記に示すピークが検出された。
ポジティブイオン:754([M+NHに相当)
又、H−NMR及び13C−NMR測定を行ったところ下記の結果が得られた。これらの測定結果より、生成物は、下記構造式で示される2,5−ジ−O−アセチル−3,6−ジ−O−ヘキサデカノイルアスコルビン酸であることが確認された。
【0076】
【化15】
【0077】
[NMRによる分析結果]
H−NMR(400MHz,CDCl): δppm 0.88(6H,t),1.25(48H,brs),1.63(4H,m),2.04(3H,s),2.25(3H,s),2.35(2H,t),2.52(2H,t),4.31(1H,dd),4.39(1H,dd),5.37(1H,d),5.47(1H,dt−like),
13C−NMR(100MHz,CDCl): δppm 14.1,20.1,20.4,22.7,24.2,24.7,24.8,28.81,28.88,29.06,29.10,29.17,29.20,29.25,29.38,29.44,29.59,29.67,29.70,31.9,33.5,33.97,34.03,35.3,61.8,66.4,75.0,121.8,150.0,165.3,166.1,167.8,169.9,173.1,179.9
【0078】
製造例7
アルゴン雰囲気下、濃硫酸30g中にL−アスコルビン酸3.00g(17.0mmol)、ステアリン酸7.24gを加え、室温にて2時間撹拌した後、反応液を水500mLに撹拌しながらゆっくりと添加し、水相を除去した後、酢酸エチルで抽出し水洗した。抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下にて濃縮して、得られた残渣8.70gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。クロロホルム/メタノール/水混液にて溶出(クロロホルム/メタノール/水=30/3/0.3→10/3/0.3)し、減圧下にて濃縮を行い、1.88gの第1生成物を得た(第1生成物を得る工程を反応工程1とする)。
【0079】
得られた第1生成物(1.88g)にDMSO10mLを加えて撹拌し、撹拌しながら無水酢酸1.93g、トリエチルアミン1.92gを加え、60℃に加温し3時間撹拌した後、酢酸エチルで抽出し水洗した。抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下にて濃縮して、得られた残渣2.91gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。ヘキサン/酢酸エチル混液にて溶出(ヘキサン/酢酸エチル=5/1→1/1→1/5)し、減圧下にて濃縮を行い、0.51gの第2生成物を得た(第1生成物から第2生成物を得る工程を反応工程2とする)。
【0080】
この第2生成物について、合成例1と同じMASS分析条件により質量分析を行ったところ、ESIマススペクトルより下記に示すピークが検出された。
ポジティブイオン:586([M+NHに相当)
この測定結果より、生成物は、下記構造式で示される2,3,5−トリ−O−アセチル−6−O−オクタデカノイルアスコルビン酸であることが確認された。
【0081】
【化16】
【0082】
製造例8
ステアリン酸7.24gの代わりにラウリン酸5.1gを用いた以外は、製造例7と同条件、同様にして反応工程1を行い2.29gの第1生成物を得た。得られた2.29gの第1生成物にDMSO10mLを加えて撹拌した後は、無水酢酸の量を2.11gに、トリエチルアミンの量を2.09gに変えた以外は、製造例7と同条件、同様にして反応工程2を行い0.57gの第2生成物を得た。
【0083】
この第2生成物について、合成例1と同じMASS分析条件により質量分析を行ったところ、ESIマススペクトルより下記に示すピークが検出された。
ポジティブイオン:516([M+NHに相当)
この測定結果より、生成物は、下記構造式で示される2,3,5−トリ−O−アセチル−6−O−ドデカノイルアスコルビン酸であることが確認された。
【0084】
【化17】
【0085】
製造例9
ステアリン酸の代わりに16−メチルヘプタデカン酸(イソステアリン酸)7.25gを用いた以外は、製造例7と同条件、同様にして反応工程1を行い1.80gの第1生成物を得た。得られた1.80gの第1生成物にDMSO10mLを加えて撹拌した後は、無水酢酸の量を1.87gに、トリエチルアミンの量を1.85gに変えた以外は、製造例7と同条件、同様にして反応工程2を行い0.47gの第2生成物を得た。
【0086】
この第2生成物について、合成例1と同じMASS分析条件により質量分析を行ったところ、ESIマススペクトルより下記に示すピークが検出された。
ポジティブイオン:586([M+NHに相当)
この測定結果より、生成物は、下記構造式で示される2,3,5−トリ−O−アセチル−6−O−(16−メチルヘプタデカノイル)アスコルビン酸であることが確認された。
【0087】
【化18】
【0088】
製造例10
6−O−パルミトイルL−アスコルビン酸3.00gの代わりに2,6−ジ−O−パルミトイルL−アスコルビン酸3.00gを用い、トリエチルアミンの量を0.51gに、無水酢酸の量を0.47gに変えた以外は製造例6と同条件で、同様にして反応工程1を行い1.28gの第1生成物を得た。得られた1.28gの第1生成物にDMSO10mLを加えて撹拌した後は、トリエチルアミンの量を0.18gに、パルミチン酸無水物の量を0.95gに変えた以外は製造例6と同条件で、同様にして反応工程2を行い0.34gの第2生成物を得た。
【0089】
この第2生成物について、合成例1と同じMASS分析条件により質量分析を行ったところ、ESIマススペクトルより下記に示すピークが検出された。
ポジティブイオン:950([M+NHに相当)
又、H−NMR及び13C−NMR測定を行ったところ下記の結果が得られた。これらの測定結果より、生成物は、下記構造式で示される5−O−アセチル−2,3,6−トリ−O−ヘキサデカノイルアスコルビン酸であることが確認された。
【0090】
【化19】
【0091】
[NMRによる分析結果]
H−NMR(400MHz,CDCl): δppm 0.88(9H,t),1.26(72H,brs),1.63(6H,m),2.02(3H,s),2.35(4H,s),2.51(2H,s),4.30(1H,dd),4.39(1H,dd),5.36(1H,m),5.48(1H,m)
13C−NMR(100MHz,CDCl): δppm 14.1,20.3,22.7,24.2,24.6,24.7,24.8,24.85,28.91,29.06,29.10,29.25,29.38,29.44,29.60,29.68,29.70,31.9,33.3,33.5,34.0,61.8,66.4,74.9,121.9,149.8,165.3,167.8,169.1,169.9,173.1,179.7
【0092】
製造例11
アルゴン雰囲気下、L−アスコルビン酸3.00gにDMSO10mLを加えて撹拌し、撹拌しながらトリエチルアミン2.58g、オレイン酸無水物10.4gを加え、60℃に加温し3時間撹拌した後、酢酸エチルで抽出し水洗した。抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下にて濃縮して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。クロロホルム/メタノール/水混液にて溶出(クロロホルム/メタノール/水=30/3/0.3→10/3/0.3)し、減圧下にて濃縮を行い、1.84gの第1生成物を得た。
【0093】
得られた1.84gの第1生成物にDMSO10mLを加えて撹拌し、撹拌しながらトリエチルアミン1.39gを加え、無水酢酸1.49gを加え、60℃に加温し3時間撹拌した後、酢酸エチルで抽出し水洗した。抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下にて濃縮して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。ヘキサン/酢酸エチル混液にて溶出(ヘキサン/酢酸エチル=5/1→1/1→1/5)し、減圧下にて濃縮を行い、0.49gの第2生成物を得た。
【0094】
この第2生成物について、合成例1と同じMASS分析条件により質量分析を行ったところ、ESIマススペクトルより下記に示すピークが検出された。
ポジティブイオン:566([M+NHに相当)
又、H−NMR及び13C−NMR測定を行ったところ下記の結果が得られた。これらの測定結果より、生成物は、下記構造式で示される2,3,5−トリ−O−アセチル−6−O−(9,10−オクタデセノイル)アスコルビン酸であることが確認された。
【0095】
【化20】
【0096】
[NMRによる分析結果]
H−NMR(400MHz,CDCl): δppm 0.88(3H,t),1.27/1.31(72H,brs),1.68(2H,m),2.02(2H,m),2.06(3H,s),2.09(3H,s),2.26(3H,s),2.52(2H,t),4.31(1H,dd),4.41(1H,dd),5.34(2H,m)5.38(1H,m),5.49(1H,dt−like)
13C−NMR(100MHz,CDCl): δppm 14.1,20.36,20.40,20.67,22.7,24.5,27.15,27.22,28.8,29.1,29.3,29.5,29.7,29.8,31.9,33.3,62.1,66.4,74.9,122.1,129.7,130.1,130.3,149.6,164.7,165.2,169.1,170.1,170.3
【0097】
試験例1:コラーゲン産生促進評価試験
合成例1〜7のアスコルビン酸誘導体を比較例1〜7とし、製造例1〜11のアスコルビン酸誘導体を実施例1〜11とし、さらに、市販品のアスコルビン酸誘導体である、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸マグネシウム、2−O−α−D−グルコピラノシルアスコルビン酸、グリセリルアスコルビン酸、6−O−パルミトイルL−アスコルビン酸を比較例8〜12とし、それぞれのコラーゲン産生促進作用を下記の方法で評価した。
【0098】
[コラーゲン産生促進評価試験法]
正常ヒト皮膚線維芽細胞を5%牛胎児血清(以下、FBSと言う)含有D−MEM培地を用いて、96穴プレートに2.5×10cells/wellで播種し、37℃で、5%CO下で24時間培養を行い、培養後、培地を除去し、試料が所定の濃度になるように添加調整したD−MEM培地を各ウェルに添加し、さらに48時間培養した。培養終了後、培養上清中のI型コラーゲンをELISA assayで測定した。アスコルビン酸誘導体を用いていない群をコントロール群とし、コントロール群のコラーゲン産生促進量を100%として、各被検培養液中のコラーゲン量産生促進率を算出した。コラーゲン量産生促進率を表1、2中の「判定」の欄のカッコ内示す。
【0099】
試験試料を0.1μmol/L又は1μmol/Lで適用したときのコラーゲン量産生促進率を、下記に基づき判定し、その結果を表1、2に示す。
200%未満 :±
200%以上−350%未満 :+
350%以上−500%未満 :++
500%以上 :+++
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【0102】
実施例1及び実施例3〜6に使用したアスコルビン酸誘導体は、分子内にアセチル基を2つ有するとともに炭素数12〜18のアルカノイル基を有するアスコルビン酸誘導体であり、実施例2及び実施例7〜9、11は分子内にアセチル基を3つ有するとともに炭素数12〜18のアルカノイル基又はオレイノイル基(実施例11)を有するアスコルビン酸誘導体であり、実施例10は分子内にアセチル基を一つ有するとともに炭素数17のヘキサデカノイル基を3つ有したアスコルビン酸誘導体である。それらいずれのアスコルビン酸誘導体においても、優れたコラーゲン産生促進効果を示し、中でも、炭素数16又は炭素数18のアシル基(アルカノイル基又はアルケノイル基)を有するアスコルビン酸誘導体(実施例1〜4、実施例7、実施例9、実施例11)においては、特に優れたコラーゲン産生促進効果を有していた。
【0103】
一方、比較例1、5、6に使用したアスコルビン酸誘導体は、分子内にアセチル基を有しているが、炭素数7以上のアルカノイル基を有しない。又、比較例2〜4、7に使用したアスコルビン酸誘導体は、分子内にアセチル基を有しない。これらのアスコルビン酸誘導体及び市販品のアスコルビン酸誘導体(比較例8〜12)は、本試験で実施した低い濃度においては、優れたコラーゲン産生効果を有していなかった。これらのことから、分子内にアセチル基を有するとともに、炭素数7以上のアルカノイル基又はアルケノイル基を有するアスコルビン酸誘導体は、優れたコラーゲン産生促進効果を有し、優れたコラーゲン産生促進剤(を有する化粧料、皮膚外用剤)として使用できることが確認された。
【0104】
試験例2:実使用試験(乳液)
表3に示す組成(表中の数字は質量%)の乳液を調製し、2ヶ月間連用後のシワ、肌のはり、弾力、かさつきの少なさを評価した。実施例12では製造例1のアスコルビン酸誘導体を使用し、比較例13では、市販品のL−アスコルビン酸を用いた。
【0105】
【表3】
【0106】
上記乳液による試験は、10人の被験者に、実施例、比較例を明らかにせず、乳液A及びBとして、毎日二度(朝晩)、顔面の左右全体にA又はBの乳液をそれぞれ約0.2g塗布させ(Aの塗布面、Bの塗布面は常に同じにする)、その連用試験を2ヶ月間続けた。2ヶ月の連続使用試験終了後、各被験者に、シワ、はり、弾力、かさつきのなさについての連用前との比較を、各項目について下記基準に基づき自己評価させた。
【0107】
シワ:
3:連用前と比較して、シワの面積や深さが改善したと感じる。
2:連用前と比較して、シワの面積や深さがやや改善したと感じる。
1:連用前と比較して、ほとんど変わらない、又は悪化した。
はり:
3:連用前と比較して、目尻や頬周辺の皮膚のハリが改善したと感じる。
2:連用前と比較して、目尻や頬周辺の皮膚のハリがやや改善したと感じる。
1:連用前と比較して、ほとんど変わらない、又は悪化した。
弾力:
3:連用前と比較して、肌の弾力が改善したと感じる。
2:連用前と比較して、肌の弾力がやや改善したと感じる。
1:連用前と比較して、ほとんど変わらない、又は悪化した。
かさつきのなさ:
3:連用前と比較して、肌の潤いが増し改善したと感じる。
2:連用前と比較して、肌の潤いがやや改善したと感じる。
1:連用前と比較して、ほとんど変わらない、又は悪化した。
【0108】
10人の評価結果の合計を下記のように分類した。その結果を表4に示す。
15未満 :±
15以上−20未満 :+
20以上−25未満 :++
25以上 :+++
【0109】
【表4】
【0110】
表4に示したように、本発明のコラーゲン産生促進剤であるアスコルビン酸誘導体を配合した乳液を連用した場合(実施例12)、シワ、はり、弾力及びかさつきのなさの全ての項目において優れた改善が確認された。一方、本発明のコラーゲン産生促進剤を配合しない場合(比較例13)では、連用による改善効果は見られなかった。よって、本発明のコラーゲン産生促進剤であるアスコルビン酸誘導体は、既存のアスコルビン酸と比べ特段優れたコラーゲン産生促進効果を持っていることが確認された。
【0111】
試験例3:実使用試験(クリーム)
表5に示す組成(表中の数字は質量%)のクリームを調製し、2ヶ月間連用後のシワ、肌のはり、弾力、かさつきのなさを評価した。実施例13では製造例2のアスコルビン酸誘導体を使用し、比較例14では、市販品のグリセリルアスコルビン酸を用いた。
【0112】
【表5】
【0113】
上記クリームによる試験は、10人の被験者に、実施例、比較例を明らかにせず、クリームA及びBとして、毎日二度(朝晩)、顔面の左右全体にA又はBのクリームをそれぞれ約0.2g塗布させ(Aの塗布面、Bの塗布面は常に同じにする)、その連用試験を2ヶ月間続けた。2ヶ月の連続使用試験終了後、各被験者に、シワ、はり、弾力、かさつきのなさについて、連用前と比較して各項目について上記試験例2と同様の基準に基づき自己評価させ、評価結果を試験例2と同様に分類した。その結果を表6に示す。
【0114】
【表6】
【0115】
表6に示したように、本発明のコラーゲン産生促進剤であるアスコルビン酸誘導体を配合した乳液を連用した場合(実施例13)、シワ、はり、弾力、及びかさつきのなさの全ての項目において優れた改善が確認された。一方、本発明のコラーゲン産生促進剤を配合しない場合(比較例14)では、連用による改善効果は見られなかった。よって、本発明のコラーゲン産生促進剤であるアスコルビン酸誘導体は、既存のアスコルビン酸と比べ特段優れたコラーゲン産生促進効果を持っていることが確認された。
【0116】
試験例4:油溶解性試験
表7に示すアスコルビン酸誘導体について、スクワラン、流動パラフィン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルの各種油剤に対する溶解性を確認した。各種アスコルビン酸誘導体の濃度が10質量%となるように油剤を添加し10分間室温で撹拌し、撹拌後の各種サンプルの外観について下記基準に従い評価を行った。なお、比較品のアスコルビン酸誘導体は試験例1と同様市販品を使用した。
【0117】
◎:澄明な状態となり、溶け残りがない。
○:ほとんど溶解した状態であり、わずかに溶け残りがある。
△:わずかに溶解している。
×:ほとんど溶解せずに残存している。
【0118】
【表7】
【0119】
本発明のアスコルビン酸誘導体からなるコラーゲン産生促進剤は、シワ、皮膚のはり、弾力、かさつきの改善を目的として化粧品に配合して利用できる。以下に、本発明のコラーゲン産生促進剤を配合した化粧品の処方例として、表8にオイル製剤の例(化粧品応用例1)を、表9にジェル製剤の例(化粧品応用例2)を示す。
【0120】
【表8】
【0121】
【表9】