(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6649878
(24)【登録日】2020年1月21日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】エアロゾル生成装置のエアロゾル搬送アダプタ及びエアロゾル生成装置内でエアロゾルを搬送する方法
(51)【国際特許分類】
A24F 47/00 20200101AFI20200210BHJP
【FI】
A24F47/00
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-520131(P2016-520131)
(86)(22)【出願日】2014年10月7日
(65)【公表番号】特表2016-535982(P2016-535982A)
(43)【公表日】2016年11月24日
(86)【国際出願番号】EP2014071453
(87)【国際公開番号】WO2015052192
(87)【国際公開日】20150416
【審査請求日】2017年9月26日
(31)【優先権主張番号】13187706.0
(32)【優先日】2013年10月8日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エス.エイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100104662
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智司
(72)【発明者】
【氏名】ローガン アンドリュー ロバート ジョン
(72)【発明者】
【氏名】スミス アーレン デボラ
【審査官】
土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−506594(JP,A)
【文献】
実開昭64−034998(JP,U)
【文献】
米国特許第04848375(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体分離され、それぞれが少なくとも1つのマウスピース入口(5a)から少なくとも1つのマウスピース出口(8)まで通じる少なくとも2つのマウスピース区画(9a;9b;9c;9d)と、
前記マウスピース入口(5a)の周囲に配置されたマウスピース継手(5)とを備え、
前記マウスピース継手(5)は、エアロゾル生成装置(100)にアライメント可能に接続されるように構成された、エアロゾル生成装置(100)のマウスピース(10b)であって、
前記少なくとも2つのマウスピース区画(9a;9b;9c;9d)の少なくとも1つは、その内部に配置されたエアロゾル調節媒体を備え、
前記エアロゾル調節媒体は、刻みタバコ、刻みタバコ派生物、又は、刻みタバコ及び/又は刻みタバコ派生物と香料の組み合わせからなる、エアロゾル生成装置(100)のマウスピース(10b)。
【請求項2】
前記エアロゾル調節媒体はろ過材からなる請求項1記載のマウスピース(10b)。
【請求項3】
前記エアロゾル調節媒体は保湿/乾燥パッドからなる請求項1記載のマウスピース(10b)。
【請求項4】
前記マウスピース区画(9a;9b;9c;9d)の少なくとも2つが、その内部に配置される異なるエアロゾル調節媒体を備えた請求項1乃至3記載のいずれかのマウスピース(10b)。
【請求項5】
エアロゾル生成装置(100)のエアロゾル搬送アダプタ(10)であって、
エアロゾルの生成に使用される液体(11a)を保持する貯液槽(11)と、前記貯液槽(11)から通じる空気流路(2)と、前記空気流路(2)の周囲に配置されたコネクタ継手(3)とを備えた貯液コンポーネント(10a)と、
請求項1乃至4記載のいずれかのマウスピース(10b)であって、前記マウスピース継手(5)が前記貯液コンポーネント(10a)の前記コネクタ継手(3)にアライメント可能に接続されるように構成されたマウスピース(10b)を備えたエアロゾル搬送アダプタ(10)。
【請求項6】
前記コネクタ継手(3)と前記マウスピース継手(5)との間に嵌め込まれ、前記貯液コンポーネント(10a)と前記マウスピース(10b)との間の境界を周囲環境に対して流体封止する少なくとも1つのシーリングリング(4)をさらに備えた請求項5記載のエアロゾル搬送アダプタ(10)。
【請求項7】
前記コネクタ継手(3)と前記マウスピース継手(5)とが補足的なスナップフィット部又は連結クリアランスを実現する請求項5又は6記載のエアロゾル搬送アダプタ(10)。
【請求項8】
前記マウスピース(10b)は前記貯液コンポーネント(10a)に対して回転可能であり、この回転により、前記空気流路(2)を、前記マウスピース(10b)の回転位置により決まる前記少なくとも2つのマウスピース区画(9a;9b;9c;9d)のうちの別の区画に接続させる請求項5乃至7記載のいずれかのエアロゾル搬送アダプタ(10)。
【請求項9】
前記マウスピース(10b)及び/又は前記貯液コンポーネント(10a)の外ハウジングに、前記マウスピース(10b)の回転位置を前記エアロゾル生成装置(100)の使用者に対して示すように構成された1つ又は複数のアライメントマーク(7a;7b)をさらに備えた請求項8記載のエアロゾル搬送アダプタ(10)。
【請求項10】
請求項5乃至9記載のいずれかのエアロゾル搬送アダプタ(10)と、
液体境界(1)において前記貯液槽(11)に連結され、前記貯液槽(11)内の液体(11a)を加熱して、前記空気流路(2)内にエアロゾルを生成するよう構成された発熱体(102)とを備えたエアロゾル生成装置(100)。
【請求項11】
前記発熱体(102)に連結され、前記発熱体(102)に電気エネルギーを供給するように構成された電力源(101)をさらに備えた請求項10記載のエアロゾル生成装置(100)。
【請求項12】
少なくとも前記発熱体(102)と前記電力源(101)とを内包するハウジング(103)をさらに備えた請求項11記載のエアロゾル生成装置(100)。
【請求項13】
エアロゾル生成装置(100)内でエアロゾルを搬送する方法(20)であって、
前記エアロゾル生成装置(100)の貯液槽(11)内の液体組成物の化合物を揮発させてエアロゾルを生成する工程(21)と、
生成されたエアロゾルを、流体分離され、それぞれがマウスピース入口(5a)からマウスピース出口まで通じる少なくとも2つのマウスピース区画(9a;9b;9c;9d)を備えた、前記エアロゾル生成装置(100)のマウスピース(10b)まで案内する工程(22)と、
前記マウスピース(10b)の位置を前記貯液槽(11)に対してアライメントする工程(23)と、
前記生成されたエアロゾルを、前記貯液槽(11)に対してアライメントされた前記マウスピース(10b)の位置によって決まる前記マウスピース区画(9a;9b;9c;9d)の少なくとも1つを通して案内する工程(24)を備えた方法(20)であって、
前記少なくとも2つのマウスピース区画(9a;9b;9c;9d)の少なくとも1つは、その内部に配置されたエアロゾル調節媒体を備え、
前記エアロゾル調節媒体は、刻みタバコ、刻みタバコ派生物、又は、刻みタバコ及び/又は刻みタバコ派生物と香料の組み合わせからなる方法(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に詰め替え可能な電子タバコ又は吸入器と共に使用する、エアロゾル生成装置のエアロゾル搬送アダプタ、このようなエアロゾル搬送アダプタを備えたエアロゾル生成装置、及びエアロゾル生成装置内でエアロゾルを搬送する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電動タバコ、いわゆる「電子タバコ(e−cigarette)」は、通常、電力源により動力供給されるヒータと、該ヒータを用いて揮発させて、該電子タバコのマウスピースを通る空気流として該電子タバコの使用者に搬送することができる風味液体が入った貯液槽とを含む。
【0003】
このような電動タバコは、例えば、米国特許出願公開第2013/0160764号明細書から知られている。
【0004】
現在の電子タバコを用いた場合、使用者は、一度に1つの特定の風味液体を選択し、対応する風味エアロゾルを作ることが可能である。残念ながら、使用者は、同じ1つの電子タバコで、自身の好みや気分によって使用前又は使用中に選択可能な複数の異なる風味液体から選択して複数の異なる風味エアロゾルを作ることはできない。楽しむエアロゾルの風味の変更を可能にするには、使用者は装置内のエアロゾル生成液体を取り換える必要があり、これはかなり面倒であり、また、装置や貯液槽又はこれを保持するカートリッジの内部又は外部へ液体が漏れる潜在的危険性があるため非衛生的ある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、エアロゾル生成装置の使い捨て可能な又は再利用可能なマウスピースであって、エアロゾル生成装置の使用者が吸入するエアロゾルの味プロファイル及び味特性を柔軟に調整できるようにするマウスピースの提供を本発明の目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の技術的特徴を有するエアロゾル生成装置のマウスピース、請求項
5の技術的特徴を有するエアロゾル搬送アダプタ、請求項
10の技術的特徴を有するエアロゾル生成装置、及び請求項
13の技術的特徴を有する、エアロゾル生成装置内でエアロゾルを搬送する方法により解決される。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、マウスピースは、流体分離され、それぞれが少なくとも1つのマウスピース入口から少なくとも1つのマウスピース出口まで通じる少なくとも2つのマウスピース区画と、マウスピース入口の周囲に配置され、エアロゾル生成装置にアライメント可能に接続されるように構成されたマウスピース継手とを備える。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、エアロゾル生成装置のエアロゾル搬送アダプタは、貯液コンポーネント(例えば、吸水性のあるプラスチックメッシュ又は貯蔵タンク)と、本発明の上記第1の態様に係るマウスピースとを備える。
【0009】
貯液コンポーネントは、エアロゾルの生成に使用される液体を保持する貯液槽と、該貯液槽内を通じる少なくとも1つの空気流路と、該空気流路の周囲に配置されたコネクタ継手とを備える。上記マウスピース継手は貯液コンポーネントのコネクタ継手にアライメント可能に接続されるように構成されている。
【0010】
本発明の第3の態様によれば、エアロゾル生成装置は、上記第2の態様に係るエアロゾル搬送アダプタと、液体境界において貯液槽に連結され、貯液槽内の液体を加熱して空気流路内にエアロゾルを生成するように構成された発熱体とを備える。
【0011】
本発明の第4の態様によれば、エアロゾル生成装置内でエアロゾルを搬送する方法は、エアロゾル生成装置の貯液槽内の液体組成物の化合物を揮発させることによりエアロゾルを生成する工程と、生成されたエアロゾルを、流体分離され、それぞれがマウスピース入口からマウスピース出口まで通じる少なくとも2つのマウスピース区画を備えた、エアロゾル生成装置のマウスピースまで案内する工程と、マウスピースの位置を貯液槽に対してアライメントする工程と、生成されたエアロゾルを、貯液槽に対してアライメントされたマウスピースの位置(又は電子タバコが取り付けられる領域)によって決まるマウスピース区画の少なくとも1つを通して案内する工程とを備える。
【0012】
本発明の実施形態
本発明の主な着想の一つは、エアロゾル生成装置の使い捨て可能なマウスピースコンポーネントであって、エアロゾル生成装置に接続可能であり、同時に、その様々な流通路がエアロゾル生成装置の出口にアライメントするようにエアロゾル生成装置の本体に対して様々な位置でアライメント可能なマウスピースコンポーネントの提供である。
【0013】
このようなコンポーネントの利点の一つは、エアロゾル生成装置自体を交換する必要がなく、それぞれアライメントされる流通路の多様な特性のおかげでマウスピースコンポーネントを通るエアロゾル生成装置のエアロゾルを含む空気流の特性を調節することが可能である点である。使用者は、例えば、エアロゾル生成装置に対するマウスピースコンポーネントの接続位置をねじる又は機械的に調整することによりエアロゾルの風味、流通量、又はその他の特性を選択・調整することが可能である。特に有利な点は、ろ過材、刻みタバコ又は刻みタバコ派生物、風味源又は保湿パッドといった多様なエアロゾル調節ツールを、エアロゾル生成装置の改変を必要とせずにマウスピースコンポーネントに組み込むことができる点である。
【0014】
特に風味については、マウスピースコンポーネント内の風味は、エアロゾルの生成に使用される他の原料、例えば原料液体と接触せず、直接加熱される必要もないので、より安定している点が有利である。これにより、不必要な熱分解材料の形成が防止されるとともに自然風味の不揮発性成分の発熱体への堆積が防止され、マウスピースコンポーネントの風味生成特性を長持ちさせることができる。
【0015】
エアロゾル調節成分として刻みタバコ又は刻みタバコ派生物を含有することはエアロゾル生成装置の味覚的及び感覚的特徴の改善を助け、その結果、これらの特徴が伝統的な可燃性の刻みタバコ製品により似たものとなる。
【0016】
エアロゾル生成装置から出る目に見える煙の量を取り除くために、又は望ましくない成分、粒子又は残留物を取り除くために、マウスピースコンポーネントにろ過材を用いることもできる。
【0017】
従属請求項は本発明の有利な実施形態及びさらなる改善形態の付加的な技術的特徴を提供する。
【0018】
エアロゾル搬送アダプタの一実施形態によれば、エアロゾル搬送アダプタは、さらに、コネクタ継手とマウスピース継手との間に嵌め込まれ、貯液コンポーネントとマウスピースとの間の境界を周囲環境に対して流体封止する少なくとも1つのシーリングリングを備える。これにより、外部からの不必要な空気又は粒子の流入を遮ることができ、その結果、マウスピース区画のエアロゾル改変特性を可能な限り予測可能で安定したものすることができる。
【0019】
エアロゾル搬送アダプタのさらなる実施形態によれば、コネクタ継手とマウスピース継手は補足的なスナップフィット部又は連結クリアランスを実現する。これには、貯液コンポーネントとマウスピースとを、アダプタを壊さずに逆回転することが極めて難しくなるように接続することができるという利点がある。したがって、貯液槽内の物質との接触や、使用者による望ましくないアダプタの不正改造を避けることができる。
【0020】
エアロゾル搬送アダプタのさらなる実施形態によれば、少なくとも2つのマウスピース区画のうち少なくとも1つは、その内部に配置されたエアロゾル調節媒体を備える。1つの可能性として、このエアロゾル調節媒体は、香料、刻みタバコ、刻みタバコ派生物、又はこれらの組み合わせから構成することができる。あるいは又はこれに加えて、エアロゾル調節媒体はろ過材から構成することができる。さらに、あるいは又はこれに加えて、エアロゾル調節媒体は保湿/乾燥パッドから構成することができる。
【0021】
さらに、あるいは又はこれに加えて、エアロゾル調節媒体は刻みタバコ又は刻みタバコ派生物から構成することができる。刻みタバコ又は刻みタバコ派生物の、湿度、pH値、粒径分布等の特徴は、味覚的及び感覚的特徴のコントロールが可能となるようにこれを改変することが可能である。例えば、平均粒径が小さくなると、表面積を増やすことで刻みタバコの香気成分の放出をより良くすることができる。しかしながら、粒子が小さくなると、刻みタバコ媒体を通過する際の圧力低下が大きくなりうる。
【0022】
マウスピースは様々な目的のために多様なエアゾロル調節媒体で満たすこともでき、これにより、エアロゾル生成装置の使用における柔軟性が、その全般的な機能性を変える必要性なく、又は様々なエアロゾル生成装置を使用する必要なく高められる。
【0023】
エアロゾル搬送アダプタのさらなる実施形態によれば、マウスピース区画の少なくとも2つがその内部に配置された異なるエアロゾル調節媒体を備える。これには、使用者が、エアロゾル生成装置使用中に、生成されるエアロゾルの特性を容易にかつ柔軟に変化させることができるという利点がある。
【0024】
エアロゾル搬送アダプタのさらなる実施形態によれば、マウスピースは貯液コンポーネントに対して回転可能であり、この回転により、マウスピースの回転位置によって決まる少なくとも2つのマウスピース区画うちの異なる区画に空気流路を接続させる。特に回転することから、左右対称に構成されたエアロゾル生成装置と対応するエアロゾル搬送アダプタの場合、このアライメント手順によって装置全体の外形を変えずに簡単、快適、確実に取り扱うことができる。
【0025】
エアロゾル搬送アダプタのさらなる実施形態によれば、エアロゾル搬送アダプタは、マウスピース及び/又は貯液コンポーネントの外ハウジングに、エアロゾル生成装置の使用者に対してマウスピースの回転位置を示すようにした1つまたは複数のアライメントマークを備える。このようなアライメントマークは、記号、色分けしたマーク、又は同様の視認可能な標示とすることができる。
【0026】
あるいは又はこれに加えて、凹部、クリアランス、及び/又はタペットを用いたロックマーク、スナップマーク又はラッチマークを設けて、マウスピースのアライメント時に、使用者に聴覚的な又は触覚的なフィードバックを与えるようにしてもよい。
【0027】
エアロゾル生成装置の一実施形態によれば、エアロゾル生成装置は、さらに、発熱体に連結され、該発熱体に電気エネルギーを与えるように構成された電力源を備えることができる。
【0028】
エアロゾル生成装置のさらなる実施形態によれば、エアロゾル生成装置は、さらに、少なくとも上記発熱体と上記電力源とを内包するハウジングを備えることができる。
【0029】
本発明の上記第3の態様に係る方法の一実施形態によれば、生成されたエアロゾルを案内する工程は、エアロゾル生成装置の使用者によるマウスピース出口を介した吸入動作を備える。
【0030】
本発明は、添付の図面に描かれた例示的な実施形態を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
添付の図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含められるものであり、本明細書に組み込まれてその一部を構成する。
【0032】
これらの図面は、本発明の実施形態を図示しており、その説明と共に、本発明の原理の説明に役立つ。本発明の他の実施形態及び本発明の意図された利点の多くは、以下の詳細な説明を参照して理解が深まると、容易に認識されるであろう。図面の各要素は必ずしも相対的な縮尺で示されているとは限らない。同様の参照符号は対応する類似の部品を指定する。
【0033】
【
図1】本発明の一実施形態に係るエアロゾル生成装置の概念を概略的に図示したものである。
【
図2】本発明のさらなる実施形態に係るエアロゾル生成装置の機能的描写を概略的に図示したものである。
【
図3】本発明のさらに別の実施形態に係るエアロゾル搬送アダプタの拡大斜視図を概略的に図示したものである。
【
図4】本発明のさらに別の実施形態に係るエアロゾル搬送アダプタの断面図を概略的に図示したものである。
【
図5】本発明のさらに別の実施形態に係るエアロゾル搬送アダプタの斜視図を概略的に図示したものである。
【
図6】本発明のさらに別の実施形態に係るエアロゾル生成装置内でエアロゾルを搬送する方法を概略的に図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
ここでは具体的な実施形態を図示して説明したが、当業者には、本発明の範囲を逸脱することなく、これら図示して説明した具体的な実施形態の代わりとして数多くの代替の及び/又は同等の実施態様を用いることができることが認識されるであろう。
【0035】
概して、本願は、ここで論じる具体的な実施形態のあらゆる適合形態及び変形形態を包含することを意図している。本発明では、エアロゾル生成器を参照する。このようなエアロゾル生成器又はエアロゾル生成装置は、概して、電気エネルギー及び/又は燃焼エネルギーを熱に変換して、エアロゾル生成装置の一部内に保持された、例えば液体組成物等の気化可能な材料中の粒子を加熱することにより揮発させることができる任意の装置からなることを意図している。本発明の意味の範囲内でのエアロゾル生成装置は、揮発粒子を空気流として該エアロゾル生成装置を通して装置の使用者に搬送することができ、装置の使用者は、エアロゾルの生成の開始又は停止ができるとともに、吐出し・吸入動作により空気流の持続時間、速度及び量をコントロールすることができる。
【0036】
図1は、エアロゾル生成装置100の概念を概略的に図示している。このエアロゾル生成装置100は、概して、電力源等の動力源101、例えばバッテリー又は蓄電池を備えることができる。この動力源101は、概して、発熱体102に作動的に連結されており、該発熱体にはその動作のためのエネルギーが動力源101により供給される。動力源101及び発熱体102は、エアロゾル生成装置100の基礎の一部であってもよい。エアロゾル生成装置100は、さらに、その外表面に、該エアロゾル生成装置100の動作を制御する電気回路構成及び/又は様々なボタン又は発光素子を備えることができるが、これらはすべて、図面の明確性の向上のために、
図1には示されていない。
【0037】
エアロゾル生成装置100は、2つの分離可能なコンポーネント10a及び10bから構成することができるエアロゾル搬送アダプタ10を備えることができる。コンポーネント10aは、発熱体102に作動的接続で連結することができる貯液コンポーネントとすることができ、その結果、発熱体102はこの貯液コンポーネント10a内に保持された液体に加熱エネルギーを供給することができ、これにより当該液体中に含まれる特定の化合物が揮発して、該貯液コンポーネント10a内を流れる空気流となる。貯液コンポーネント10a内の生成されたエアロゾルをエアロゾル生成装置100の使用者までマウスピース10bを通して案内するために、貯液コンポーネント10aをマウスピース10bに作動的に連結することができる。
【0038】
動力源101、発熱体102、エアロゾル搬送アダプタ10の全体的な配置は、
図1の概念図から外れたものであってもよく、エアロゾル生成装置100の設計及び目的に適応させることができる。例えば、エアロゾル生成装置100とエアロゾル搬送アダプタ10との間に電気接続を実施して、エアロゾル生成装置100内の制御回路構成がエアロゾル搬送アダプタ10の動作状態に関する情報を集められるようにすることが可能である。
【0039】
図2はエアロゾル生成装置100の機能的描写の概略図を示している。このエアロゾル生成装置100もまた、
図1に関して説明したような動力源101と発熱体102とを備えることができる。
【0040】
動力源101及び発熱体102は、例えば、気流Fが発熱体102内を又はこれに沿って貯液コンポーネント10aに向けて流れるようにするために発熱体102の略近傍に入口105を有するハウジング103に内包することができる。貯液コンポーネント10aは、揮発される化合物を含む液体組成物11aを保持することができる貯液槽11を備えることができる。貯液槽11は、液体11aに加熱エネルギーを伝えることができる液体境界1により発熱体102と接続されることができ、これにより、液体11の特定の化合物を蒸発又は揮発させる。気流又は空気流Fは、貯液槽11に進入し、液体11aの上方又は近傍で液体槽11内を通じる空気流路2を流れて、揮発又は蒸発された粒子を吸収し、このようにして貯液槽11内でエアロゾルを作ることができる。
【0041】
生成されたエアロゾルは、その後、空気流Fとしてマウスピース10bまで運ぶことができる。マウスピース10bは、流体分離され、それぞれが空気流路2と流体連通しているマウスピース入口から貯液コンポーネント10aから離れた端部に位置するマウスピース出口まで通じる少なくとも2つのマウスピース区画9a,9bを備えることができる。マウスピース出口において、エアロゾル生成装置100の使用者はマウスピース10b内を案内されたエアロゾルを吸入することができる。マウスピース区画9a,9bの数は2つに限定されず、任意の適切な数としてもよい。
【0042】
様々なマウスピース区画9a,9bは、マウスピース10b内を案内されるエアロゾルの特性を調節又は改変するために用いることができる。例えば、マウスピース区画9a,9bの1つ又は複数は、その内部に配置されたエアロゾル調節媒体を具備することができる。このようなエアロゾル調節媒体は、香料、例えば、固体マトリクスに吸収させた香料、カプセル化した香料、表面コーティングした香料粒子、刻みタバコ、刻みタバコ派生物、又は同様の材料から構成することができる。当然ながら、上記材料を組み合わせたものをエアロゾル調節媒体に含めることも可能である。
【0043】
エアロゾル調節媒体をろ過材で構成することも可能である。ろ過材は、例えば、目に見えるエアロゾルの量を減らすため又は使用者に流れる空気流から不必要な粒子又は成分を取り除くために用いることができる。エアロゾル調節媒体は、例えば、伝統的な刻みタバコ製品の味に可能な限り似せるために、湿度、pH値、粒径等のエアロゾルの特徴を変化させるために用いてもよい。
【0044】
この目的のために、エアロゾル調節媒体は、例えば、保湿/乾燥パッド、pH変更材料又はふるい手段で構成することもできる。
【0045】
マウスピース区画9a,9bにおけるエアロゾル調節媒体の数、配置及び量は様々であってよいが、マウスピース区画9a,9bの少なくとも2つにその内部に配置された異なるエアロゾル調節媒体を具備させることが好ましい。空気流Fが流通する区画9a,9bによって、異なる調節物がエアロゾルに対して使用されることになり、使用者に異なる吸入経験がもたらされる。例えば、マウスピース区画9a,9bの1つに香料を具備させて、マウスピース区画9a,9bの別の1つは空にしておくことができる。このような場合、マウスピース10bを貯液コンポーネント10aに対してアライメントすることにより、空気流Fを2つのマウスピース区画9a,9bの一方に選択的に向けることができ、このようにして調節されたエアロゾルの風味や強度の完全なコントロールが可能になる。マウスピース区画9a,9bをさらに細分化して、マウスピース区画9a,9b内でのエアロゾル調節媒体の位置決め及び固定を容易にすることも可能である。
【0046】
マウスピース10bを所望の位置にアライメントするために、使用者が貯液コンポーネント10aとマウスピース10bとの間により容易にトルクを生じさせることができるようにハウジング103を把持凹部104により分断してもよい。あるいは又はこれに加えて、ハウジングは、貯液コンポーネント10bが嵌め込まれるアライメント用のノッチ又は溝を有していてもよく、これにより、設計上内在的にマウスピース10aと貯液コンポーネント10bとの望ましくない同時回転が抑えられる。
【0047】
図3乃至
図5は、エアロゾル搬送アダプタ10の概略図をより詳細に示している。
図3のエアロゾル搬送アダプタ10は、例えば、
図1及び
図2に示して説明したエアロゾル生成装置に用いることができる。
【0048】
エアロゾル搬送アダプタ10は、貯液コンポーネント10a及びマウスピース10bを備える。貯液コンポーネントは、エアロゾルの生成に使用される液体を保持する貯液槽11を備える。空気流路2は貯液槽11内を通じており、貯液槽11は、エアロゾル生成装置100の発熱体102に液体境界1、例えばプラスチック製又は金属製のグロメットにより接続することができる。
【0049】
貯液コンポーネント10aは、空気流路2の周囲に配置されたコネクタ継手3も備えている。これに対応して、マウスピース10bは、マウスピース入口5aの周囲に配置され、貯液コンポーネント10aのコネクタ継手3にアライメント可能に接続されるように構成されたマウスピース継手5を備えている。コネクタ継手3及びマウスピース継手5は、例えば溶接手順により、補足的かつ対応的に構成し、補足的なスナップフィット部又は連結クリアランスを実現するようにすることができる。例えば、マウスピース継手5は、管状のコネクタ継手3を該マウスピース継手5に入れ込む際に該コネクタ継手3の凹部に連結する突出部を含んでいてもよい。
【0050】
コネクタ継手3とマウスピース継手5との間には、シーリングリング4、例えばゴム製Oリング等を嵌め込み、これにより貯液コンポーネント10aとマウスピース10との間の境界を周囲環境に対して流体封止するようにしてもよい。
【0051】
マウスピース10bは、貯液コンポーネント10aに対して回転可能に、基本的に円筒状に製造することができ、この回転により、貯液槽11内で中心から外して配置することができる空気流路2を、マウスピース10bの回転位置に応じて決まる、マウスピース区画9a,9b,9c,9dの少なくとも2つうちの異なる区画に接続させる。マウスピース10bの回転位置は、該マウスピース10b及び/又は貯液コンポーネント10aの外ハウジングの1つ又は複数のアライメントマーク7a,7bにより、エアロゾル生成装置の使用者に示すようにしてもよい。アライメントマーク7a,7bは、例えば、カラーコード又は記号ラベルのような視認可能なものとすることができる。あるいは又はこれに加えて、アライメントマーク7a,7bは、これに触れる使用者に対して触覚応答を与える、各コンポーネント上のへこみ、溝、ノッチ又はバンプといった触覚的なマークとすることができる。マウスピース10bの回転位置の聴覚的確認として、カチッとかパチッといったノイズ又は音が生成されるようにアライメントマーク7a,7bを配置することも可能である。加えて、記号ラベル又は動作モード標示6a,6bをマウスピース10b及び/又は貯液コンポーネント10aのハウジングに配置することもできる。
【0052】
加えて、回転可能なマウスピース10bの位置をエアロゾル生成装置100の電子制御回路に伝達することができ、その結果、個々の風味に対するパフォーマンスを最適化させるためにエアロゾル生成装置100の機能性を調節することが可能となる。例えば、吐き出し中に発する光の色を、例えばメントール風味の場合は緑というように、使用中の風味に一致させることが可能となったり、発熱体102の加熱プロファイルを風味の化学組成に適するように改変することが可能となったりする。
【0053】
図4は、
図3におけるエアロゾル搬送アダプタ10の断面図の概略図を示している。マウスピース10bのマウスピース区画9a,9bは、例えば成形された壁といった中央仕切り要素8aの周囲に配置されている。
図4に示すように、貯液槽11を通る空気流路2は、貯液槽11の中心から外れて位置するように設計されている。この構成は、マウスピース10bを回転させる際にマウスピース区画9a,9bを空気流路2に対して確実に適切かつ効果的にアライメントするのに役に立つ。コネクタ継手3とマウスピース継手5との間のシールの密封度並びに仕切り要素8aと貯液槽11の壁との間の距離によって、空気流路2からアライメントされた各マウスピース区画9a,9bを通して案内される空気流Fの量は様々である。例えば、残りのその時にアライメントされていないマウスピース区画が仕切り要素8aにより空気流路2から完全に切り離されている場合、貯液槽11で生成されたエアロゾルはすべてその時にアライメントされているマウスピース区画(一例として、
図3に示した位置では区画9a)を流れる。
【0054】
マウスピース10bを貯液槽11に対して180°回転させると、それぞれ別のマウスピース区画(一例として、
図3に示した位置では区画9b)が空気流路2とアライメントする。これは、使用者は、貯液槽11から自身の口までエアロゾルを搬送するために様々なマウスピース区画9a,9bを使用することができることを意味している。その様々なマウスピース区画9a,9b内のエアロゾル調節媒体の特性によって、使用者は吸入する空気流Fの風味の種類、風味の強さ、粒径、湿度等の特性を容易に変化させることができる。
【0055】
図5は、組み立てた状態のエアロゾル搬送アダプタ10の別の斜視図を示している。アライメント標示6a(及び/又は6b)により例示的に示されている動作状態“A”にマウスピース10bが回転された状態で、アライメントマーク7a,7bが相互に一致している。
図5の例示的なエアロゾル搬送アダプタ10は、マウスピース出口8において出口を有する4つのマウスピース区画9a,9b,9c,9dを具備している。
【0056】
図6は、
図1及び
図2のエアロゾル生成装置100のようなエアロゾル生成装置内でエアロゾルを搬送する方法20を概略的に図示している。この方法は、エアロゾル搬送アダプタ、例えば
図3乃至
図5に関連して示して説明したエアロゾル搬送アダプタ10を利用することができる。この方法20は、第1工程21として、エアロゾル生成装置の貯液槽内の液体組成物の化合物を揮発させてエアロゾルを生成することを備えることができる。生成されたエアロゾルは、その後、第2工程22において、流体分離され、それぞれがマウスピース入口からマウスピース出口まで通じる少なくとも2つのマウスピース区画を備えた、エアロゾル生成装置のマウスピースまで案内される。
【0057】
第3工程23において、マウスピース10bの位置が貯液槽に対してアライメントされ、その結果、第4工程24において、生成されたエアロゾルを、貯液槽に対してアライメントされたマウスピースの位置によって決まるマウスピース区画の少なくとも1つを通して案内することができる。エアロゾルの案内は、各場合において、エアロゾル生成装置の使用者のマウスピース出口を介した吸入動作によりもたらすことができる。
【0058】
上述の詳細な説明では、開示の効率化を目的として、様々な特徴を1つ又は複数の例に分類している。上記説明は限定的ではなく例示的であるように意図されていることが理解されるべきである。すべての代替形態、修正形態及び同等形態を包含することが意図されている。上記明細書を検討すれば、当業者にとっては多くの他の例が明白であろう。
【0059】
実施形態は、発明の原理及びその現実的な適用を最適に説明するために選択して説明したものであり、これにより、他の当業者は、個々の使用に適合させた様々な修正形態を考慮しながら本発明及び様々な実施形態を最適に利用することが可能となる。添付の特許請求の範囲及び本明細書全体を通して、「including」及び「in which」は、それぞれ「comprising」及び「wherein」と同等の平易な英語として使用されている。さらに、ここで使用される「a」及び「an」は、異なる旨が明確に記載されていない限り、1又は複数の意味であると理解されることを意図している。また、「第一」、「第二」、「第三」などの用語は、単に分類として使用されており、その対象に数値要件を課すこと、又はその対象の重要性の特定の順位を確立することを意図するものではない。「左」、「右」、「上」、「底」、「横」、「前」、「後」等の幾何学的又は空間的に向きを特定するためにここで用いた用語は、これを付した対象物の向きについて何かしらの具体的な限定を課すことを意図するものではなく、図面における個々の特徴をより容易に特定するのに役立つものである。
【符号の説明】
【0060】
1 液体境界
2 空気流路
3 コネクタ継手
4 シーリングリング
5 マウスピース継手
5a マウスピース入口
6a アライメント標示
6b アライメント標示
7a アライメントマーク
7b アライメントマーク
8 マウスピース出口
8a 仕切り要素
9a マウスピース区画
9b マウスピース区画
9c マウスピース区画
9d マウスピース区画
10 エアロゾル搬送アダプタ
10a 貯液コンポーネント
10b マウスピース
11 貯液槽
11a 液体
20 方法
21 方法工程
22 方法工程
23 方法工程
24 方法工程
100 エアロゾル生成装置
101 動力源
102 発熱体
103 ハウジング
104 把持凹部
105 空気入口
F 空気流