(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記生物学的実体が、細胞、タンパク質、ペプチド、受容体、酵素、抗体、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、小分子、および炭水化物、またはこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
前記少なくとも1つの試験実体が、細胞、タンパク質、ペプチド、受容体、酵素、抗体、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、小分子、および炭水化物、またはこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
前記接触ステップが、溶液中で行われ、そして前記少なくとも1つの試験実体を分注するのに予めプログラムされた流体分注ユニットを利用することを含む、請求項1に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1Aは、蛍光についてのエネルギー準位図(吸収プロセス)の略図を提供する。
図1Bは、2次高調波発生についてのエネルギー準位図(2光子散乱プロセス)の略図を提供する。
【0023】
【
図2】
図2は、リガンドの結合によって誘導されるタンパク質(非線形活性タグで標識された)のコンホメーション変化、ならびにタンパク質が付着されている光学的界面に対する非線形活性標識の距離および/または配向に対するその影響の略図を提供する。
【0024】
【
図3】
図3A〜Dは、2次高調波光発生を使用するアルファ−シヌクレインのスペルミンまたはスペルミジン誘導コンホメーション変化の検出を実証するデータを示す。
図3Aは、アルファ−シヌクレインの5mMスペルミンへの曝露時のリアルタイムでのSHG応答を示す。矢印は、スペルミン添加を表す。SHG強度の変化は、注入の直前の値に対して正規化されている。
図3Bは、SHG(SHG濃度の変化は、パーセントシフトとして定量化されている)によって測定した場合のアルファ−シヌクレインのスペルミン誘導コンホメーション変化についての用量応答曲線(対数尺度でプロットされた)を示す。
図3Cは、アルファ−シヌクレインの3mMスペルミジンへの曝露時のリアルタイムでのSHG応答を示す。矢印は、スペルミジン添加を表す。SHG強度の変化は、注入の直前の値に対して正規化されている。
図3Dは、SHG(SHG濃度の変化は、パーセントシフトとして定量化されている)によって測定した場合のアルファ−シヌクレインのスペルミジン誘導コンホメーション変化についての用量応答曲線(対数尺度でプロットされた)を示す。エラーバー=SEM。N=3。
【0025】
【
図4】
図4は、非線形光検出に基づいて生物学的分子または他の生物学的実体のコンホメーション変化を決定するためのハイスループット分析システムのシステムアーキテクチャの一例を例示する。
【0026】
【
図5】
図5は、非線形光検出を使用して生物学的分子のコンホメーション変化を分析するのに使用される光学セットアップの一例の概略図を示す。
【0027】
【
図6】
図6は、非線形光検出を使用して生物学的分子のコンホメーション変化を分析するのに使用される光学セットアップの写真を示す。
【0028】
【
図7】
図7は、励起光が担体の上面で全反射を起こすように適切な入射角で励起光を向けるためのプリズムの使用を表す略図を示す。プリズムの右の2本の点線は、反射励起光、および非線形活性種が表面に繋ぎ止められているとき担体表面で発生される非線形光信号の光路を示す。担体は、測定間で再位置付けするためのX−Y並進ステージのアクチュエーターに任意選択で接続されている。プリズムの上面と担体の下部表面との間の曲線は、プリズムと担体との間の高い光カップリング効率を保証するのに使用される屈折率整合流体(index−matching fluid)の薄層(正確な拡大縮小比ではない)の存在を示す。
【0029】
【
図8】
図8A〜Cは、プリズム(この例において光学機器に取り付けられている)と担体(この例においてマイクロウェルプレートの透明底として構成されている)との間の高い光カップリング効率をもたらすために屈折率整合流体の連続的に再循環する流れを使用するシステムの一例示的設計概念の異なる図を示す。担体(マイクロウェルプレート)は、プリズムに対して自由に並進し、一方、示された流体チャネルによってもたらされる屈折率整合流体の連続流が励起光の担体との良好な光カップリングを保証する。
図8A:上面正面不等角投影図。
図8B:上面背面不等角投影図。
図8C:底面正面不等角投影図。
【0030】
【
図9】
図9は、プリズムと担体の上部表面との間の高い光カップリング効率を保証するための透明担体(この例においてマイクロウェルプレートフォーマットで構成されている)の下部表面に付着され、または隣接した屈折率整合エラストマー材料の層の使用を表す略図である。この手法の一部の実施形態では、プリズムの上部表面は、マイクロウェルプレートおよびプリズムを接触させるとき圧縮力を集中させ、それによってプリズムとエラストマー材料との間のエアギャップの形成を低減または排除するためにわずかにドーム状にされている。
【0031】
【
図10-1】
図10A〜Bは、励起光の担体の上面への良好な光カップリングをもたらすためにプリズムアレイが一体化されたマイクロウェルプレートを例示する。この手法では、
図4、5、7、および9の略図に示されたプリズムは、担体の下側に取り付けられたプリズムアレイによって置き換えられている。
図10A:上面不等角投影図。
図10B:底面不等角投影図。
【0032】
【0033】
【
図11】
図11は、
図10A〜Bに例示した設計概念を使用して全反射を介して励起光を担体表面にカップリングするための入射光および出射光の経路を例示する。
【0034】
【0035】
【0036】
【
図14】
図14は、第1の型設計および第1の射出成形プロセスを使用して製作されたプリズムアレイの交差偏光子画像を示す。観察される高レベルの応力誘起複屈折に留意されたい。
【0037】
【
図15】
図15は、
図13A〜Cおよび
図14に例示したプリズムアレイ設計を組み込んでいるマイクロウェルプレートデバイスの異なる位置で測定したSHG信号強度のデータを示す。SHG信号強度を、ウェルの列番号の関数として異なる行(異なるトレース)について測定した。
【0038】
【0039】
【
図17】
図17は、改善された型設計および最適化された射出成形プロセスを使用して製作されたプリズムアレイの交差偏光子画像を示す。観察される応力誘起複屈折のレベルは、
図14に示したものと比較して著しく低減されていることに留意されたい。
【0040】
【
図18】
図18は、
図16A〜Cおよび
図17に例示したプリズムアレイ設計を組み込んでいるマイクロウェルプレートデバイスの異なる位置で測定したSHG信号強度のデータを示す。SHG信号強度を、ウェルの列番号の関数として異なる行(異なるトレース)について測定した。SHG信号強度のレベルは、
図15に示したものと比較してマイクロウェルプレートにわたってより高く、より均一であることに留意されたい。
【0041】
【
図19】
図19は、
図16A〜Cに例示したプリズムアレイ部品を製作するのに使用した型ツールの破断図バージョンを示す。
【0042】
【
図20】
図20は、型からの放出中にプリズムアレイ部品に均一な圧力をもたらすために型ツールにおいて使用されるブレード様排出特徴のアレイを例示する。
【0043】
【
図21】
図21は、本明細書に開示のシステムの動作を制御するように構成することができるコンピューターシステムを例示する。
【0044】
【
図22】
図22は、本発明の例示的な実施形態に関連して使用することができるコンピューターシステムの第1の例示的なアーキテクチャを例示するブロック図である。
【0045】
【
図23】
図23は、複数のコンピューターシステム、複数の携帯電話および携帯情報端末、ならびにネットワーク接続型記憶装置(NAS)を有するネットワークの一実施形態を示すダイヤグラムである。
【0046】
【
図24】
図24は、一例示的実施形態による共有仮想アドレスメモリー空間を使用するマルチプロセッサコンピューターシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本明細書に開示のシステムおよび方法は、生物学的実体のコンホメーションのハイスループット分析に関する。さらに、記載したシステムおよび方法は、配向またはコンホメーション変化のハイスループット分析に同等に適している。本開示の一部の態様では、生物学的実体を1つまたは複数の試験実体と接触させることに応答した生物学的実体の配向、コンホメーション、または配向もしくはコンホメーションの変化を決定するためのシステムおよび方法が記載されている。本明細書で使用される場合、配向、コンホメーション、またはこれらの変化を決定することは、非線形活性標識またはタグの平均配向に関連している、かつ/または比例する非線形光信号の測定を伴い得る。本明細書で使用される場合、「ハイスループット」は、1つもしくは複数の試験実体と任意選択で接触された大多数の生物学的実体のコンホメーションの迅速分析を実施する能力、または大多数の試験実体と任意選択で接触された1つもしくは複数の生物学的実体のコンホメーションの迅速分析を実施する能力、あるいはこれらの2つのモダリティーの任意の組み合わせを指す。一般に、開示されるシステムおよび方法は、例えば、米国特許第6,953,694号および米国特許出願第13/838,491号で以前に記載されたように、配向、コンホメーション、またはコンホメーション変化を検出するための2次高調波発生(SHG)または関連した非線形光学技法の使用を利用する。
【0048】
2次高調波発生を使用するコンホメーションの検出
2次高調波発生は、より広く使用されている蛍光ベース技法と対照的に、同じ励起波長または周波数の2個の光子が非線形材料と相互作用し、2倍のエネルギー、すなわち、励起光子の2倍の周波数および半分の波長を有する単一光子として再放出される非線形光学プロセスである(
図1)。2次高調波発生は、反転対称性を欠く非線形材料において(すなわち、非中心対称材料において)のみ起こり、高強度励起光源を必要とする。これは、和周波発生の特別な場合であり、差周波発生などの他の非線形光学現象と関連している。
【0049】
2次高調波発生および他の非線形光学技法は、非線形活性種の配向に対するこれらの依存性のために表面選択的検出技法として構成され得る。例えば、表面に非線形活性種を繋ぎ止めると、分子が溶液中で回転拡散を自由に起こすとき存在しない全体的な配向度を植え付けることができる。界面での非線形活性種の配向依存性をモデル化するのに一般に使用される式は、
χ
(2)=N
s<α
(2)>
であり、式中、χ
(2)は、非線形磁化率であり、N
sは、界面での単位面積当たりの非線形活性分子の総数であり、<α
(2)>は、これらの分子の非線形超分極率(nonlinear hyperpolarizability)(α
(2))の平均配向である。SHGの強度は、非線形磁化率の2乗に比例し、したがって界面での配向した非線形活性種の数およびこれらの平均配向の変化の両方に依存する。
【0050】
2次高調波発生および他の非線形光学技法は、非線形活性種が固定化された光学的界面への励起光の送達のモードとして全反射を使用することによってさらに表面選択的にすることができる。入射励起光の全反射は、界面で「エバネッセント波」を生じ、それは、表面にごく接近している、すなわち、典型的には数十ナノメートルの程度であるエバネッセント波の空間減衰距離内にある非線形活性標識のみを選択的に励起するのに使用することができる。全反射は、表面選択的様式で蛍光を励起するのに、例えば、光学的界面に付着された蛍光ドナーを励起するのに使用することもでき、次いでそれは、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)機構を介して適当なアクセプター分子にエネルギーを移動させる。本開示では、励起光の全反射によって発生されるエバネッセント波は、非線形活性標識または分子を励起するのに優先的に使用される。非線形活性種を励起する効率は、これらの平均配向、および界面へのこれらの近接の両方に強く依存することになる。
【0051】
SHGおよび他の非線形光学技法のこの表面選択的性質は、界面に固定化された生物学的分子のコンホメーション変化を検出するのに活用することができる。例えば、リガンドの結合に起因する受容体分子のコンホメーション変化は、非線形活性標識または部分を使用して検出することができ、ここで標識は、コンホメーション変化が、界面に対する標識の配向または距離の変化(
図2)、およびしたがって非線形光信号の物理的性質の変化をもたらすように受容体に付着され、または会合している。最近まで、表面選択的非線形光学技法の使用は、物理および化学の適用に主に制限されていた。なぜなら、相対的に少数の生体試料が、本質的に非線形的に活性であるためである。最近、2次高調波活性標識(「SHG標識」)の使用が導入され、実質的に任意の分子または粒子を高度に非線形活性にすることが可能になった。これの第1の例は、タンパク質シトクロムcをオキサゾール色素で標識し、2次高調波発生を用いて空気−水界面でタンパク質コンジュゲートを検出することによって実証された[Salafsky, J.、「’SHG−labels’ for Detection of Molecules by Second Harmonic Generation」、Chem. Phys. Lett.、342巻(5〜6号):485〜491頁(2001年)]。アルファ−シヌクレインのスペルミンまたはスペルミジン誘導コンホメーション変化の検出を実証するSHGデータの例を
図3に示す。
【0052】
表面選択的非線形光学技法はまた、コヒーレントな技法であり、基本光線および非線形光学光線が、十分に規定された空間的関係および位相関係を伴って空間を伝播する波面を有することを意味する。生物学的分子または他の生物学的実体のコンホメーションを分析するための表面選択的非線形光検出技法の使用は、i)非線形活性種の配向および/または双極子モーメント(複数可)に対する非線形信号の感度のよい、かつ直接の依存性、それによってコンホメーション変化に対して感度を付与すること;(ii)非線形光信号は、非中心対称系を生じる表面のみで発生されるので蛍光ベース検出より高い信号対雑音(より低いバックグラウンド)である、すなわち、技法が本質的に非常に狭い「被写界深度」を有すること;(iii)狭い「被写界深度」の結果として、技法は、測定がオーバーレイ溶液(overlaying solution)の存在下で実施されなければならないとき、例えば、結合プロセスが分離またはすすぎステップによって除去または妨害され得る場合に有用であることを含めて、他の光学的手法に対していくつかの固有の利点を有する。本技法のこの側面は、バルク種の存在を必要とする平衡結合測定、または測定が規定される時間にわたって行われる動力学測定を実施するのに特に有用であり得;(iv)2光子吸収断面は、典型的には、所与の分子について1光子吸収断面よりはるかに低く、SHG(および和周波発生または差周波発生)は、吸収ではなく、散乱を伴うという事実に起因して、本技法は、蛍光で起こるものより少ない光退色および加熱効果を呈し;(v)基本光学ビームおよび非線形光学ビーム(例えば、2次高調波光)は、界面に対して十分に規定された入る方向および出る方向を有するので、最小限の収集光学系が要求され、より高い信号対雑音が予期される。これは、蛍光ベース検出と比較して特に有利である。なぜなら、蛍光放出が等方性であり、焦点が外れた平面蛍光性種から生じる、検出される信号に対する大きい蛍光バックグラウンドコンポーネントも存在し得るためである。
【0053】
ハイスループットシステムおよび方法
2次高調波発生または関連した非線形光検出技法の使用に基づいて生物学的実体のコンホメーションのハイスループット分析を実装するためのシステムおよび方法が本明細書に開示されている。本明細書で使用される場合、「ハイスループット」は、NMRまたはX線結晶学などの従来の技法を使用して実施される構造測定と比較して使用される相対的用語である。以下でより詳細に記載されることになるように、本明細書に開示のSHGベースの方法およびシステムは、これらの従来の技法より少なくとも1桁速い速度で構造的決定を実施することができる。
【0054】
一態様では、本開示は、1つまたは複数の生物学的実体のコンホメーションまたはコンホメーション変化をハイスループット検出するための方法であって、(i)1つまたは複数の標的生物学的実体、例えば、タンパク質分子を非線形活性標識またはタグで標識することと、(ii)平面担体表面の1つまたは複数の別々の領域で1つまたは複数の標識された標的生物学的実体を固定化することであって、担体表面は、光学的界面をさらに含むことと、(iii)外部光源に対して担体の位置を変更することによって各別々の領域を励起光に逐次曝露することと、(iv)各別々の領域が励起光に曝露される際に各別々の領域から放出される非線形光信号を収集することと、(v)前記非線形光信号を処理して、1つまたは複数の生物学的実体のそれぞれの配向、コンホメーション、またはコンホメーション変化を決定することと、を含む方法を提供する。別の態様では、方法は、(vi)励起光への第1の曝露の後に1つまたは複数の生物学的実体のそれぞれを1つまたは複数の試験実体と接触させることと、(vii)各別々の領域を励起光に1回または複数回引き続いて再曝露することと、(viii)各別々の領域が励起光に曝露される際に各別々の領域からの非線形光信号を収集することと、(ix)前記非線形光信号を処理して、配向またはコンホメーションの変化が、前記1つまたは複数の試験実体と接触させる結果として1つまたは複数の生物学的実体において起こったか否かを決定することとをさらに含む。本方法の一態様では、非線形光信号は、1つまたは複数の生物学的実体を1つまたは複数の試験実体と接触させた後、1回だけ検出され(すなわち、エンドポイントアッセイモード)、次いでコンホメーション変化が起こったか否かを決定するのに使用される。別の態様では、非線形光信号は、1つまたは複数の生物学的実体を1つまたは複数の試験実体と接触させた後、繰り返して、かつ規定された時間間隔で収集され(すなわち、動力学モード)、次いで1つまたは複数の生物学的実体のコンホメーション変化の動力学を決定するのに使用される。本方法の好適な態様では、担体の各別々の領域は、支持脂質二重層構造を含み、生物学的実体は、脂質二重層に繋ぎ止め、またはその中に包埋することによって各別々の領域内に固定化されている。本方法の別の好適な態様では、励起光は、全反射によって担体表面、すなわち光学的界面に送達され、担体表面の別々の領域から放出される非線形光信号は、反射励起光と同じ光軸に沿って収集される。
【0055】
非線形光検出を使用してコンホメーションまたはコンホメーション変化のハイスループット分析を実装するために、本明細書に記載のシステムは、(i)少なくとも1つの励起光線を光学的界面に送達するための少なくとも1つの適当な励起光源および光学系、(ii)光学的界面を含む互換性の担体であって、1つまたは複数の生物学的実体が、担体の別々の領域に繋ぎ止められ、または固定化された、担体、(iii)少なくとも1つの励起光源に対して担体を位置付けするための高精度並進ステージ、および(iv)担体の別々の領域のそれぞれに励起光を照射する結果として発生される非線形光信号を収集し、前記非線形信号を検出器に送達するための光学系、および(v)検出器から受信される非線形光信号データを分析し、担体に固定化された1つまたは複数の生物学的実体のコンホメーションまたはコンホメーション変化を決定するためのプロセッサーを含めた、いくつかのコンポーネントを必要とする(
図4に概略的に例示した)。一部の態様では、本明細書に開示のシステムおよび方法は、(vi)担体の別々の領域のそれぞれに試験実体を送達するためのプログラム可能な流体分注システムの使用、および(vii)光学系とのインターフェースで担体の自動位置付けおよび置き換えを行うためのプレートハンドリングロボティクスの使用をさらに含む。
【0056】
本明細書に開示の方法およびシステムは、複数の試験実体と接触された単一の生物学的実体の分析、もしくは単一の試験実体と接触された複数の生物学的実体の分析、またはこれらの任意の組み合わせのために構成することができる。1つまたは複数の生物学的実体を複数の試験実体と接触させるとき、接触ステップは、逐次、すなわち、固定化された生物学的実体を単一の試験実体に指定された時間にわたって曝露し、その後、試験実体溶液を除去するための任意選択のすすぎステップを続け、次の試験実体に導入する前に固定化された生物学的実体を再生することによって実施してもよく、または並行して、すなわち、同じ固定化された生物学的実体を含む複数の別々の領域を有し、複数の別々の領域のそれぞれの中の生物学的実体を異なる試験実体に曝露することによって実施してもよい。本明細書に開示の方法およびシステムは、少なくとも1つの生物学的実体、少なくとも2つの生物学的実体、少なくとも4つの生物学的実体、少なくとも6つの生物学的実体、少なくとも8つの生物学的実体、少なくとも10の生物学的実体、少なくとも15の生物学的実体、または少なくとも20の生物学的実体のコンホメーション変化の分析を実施するように構成することができる。一部の態様では、本明細書に開示の方法およびシステムは、せいぜい20の生物学的実体、せいぜい15の生物学的実体、せいぜい10の生物学的実体、せいぜい8つの生物学的実体、せいぜい6つの生物学的実体、せいぜい4つの生物学的実体、せいぜい2つの生物学的実体、またはせいぜい1つの生物学的実体のコンホメーション変化の分析を実施するように構成することができる。同様に、本明細書に開示の方法およびシステムは、1つまたは複数の生物学的実体を少なくとも1つの試験実体、少なくとも5つの試験実体、少なくとも10の試験実体、少なくとも50の試験実体、少なくとも100の試験実体、少なくとも500の試験実体、少なくとも1,000の試験実体、少なくとも5,000の試験実体、少なくとも10,000の試験実体、または少なくとも100,000の試験実体に曝露したときのコンホメーション変化の分析を実施するように構成することができる。一部の態様では、本明細書に開示の方法およびシステムは、1つまたは複数の生物学的試験実体をせいぜい100,000の試験実体、せいぜい10,000の試験実体、せいぜい5,000の試験実体、せいぜい1,000の試験実体、せいぜい500の試験実体、せいぜい100の試験実体、せいぜい50の試験実体、せいぜい10の試験実体、せいぜい5つの試験実体、またはせいぜい1つの試験実体に曝露したときのコンホメーション変化の分析を実施するように構成することができる。
【0057】
生物学的実体および試験実体
本明細書で使用される場合、語句「生物学的実体」は、それだけに限らないが、細胞、タンパク質、ペプチド、受容体、酵素、抗体、DNA、RNA、生物学的分子、オリゴヌクレオチド、溶媒、小分子、合成分子、炭水化物、またはこれらの任意の組み合わせを含む。同様に、語句「試験実体」も、それだけに限らないが、細胞、タンパク質、ペプチド、受容体、酵素、抗体、DNA、RNA、生物学的分子、オリゴヌクレオチド、溶媒、小分子、合成分子、炭水化物、またはこれらの任意の組み合わせを含む。一部の態様では、生物学的実体は、薬物標的またはこれらの一部分を含み得、一方、試験実体は、薬物候補、またはこれらの一部分を含み得る。
【0058】
非線形活性標識および標識技法
上述したように、ほとんどの生物学的分子は、本質的に非線形活性でない。例外としては、コラーゲン、ほとんどの構造組織または荷重負荷組織中に見つかる構造タンパク質がある。SHG顕微鏡検査は、コラーゲン含有構造、例えば、角膜の研究において広範に使用されている。他の生物学的分子または実体は、タグまたは標識などの非線形活性部分を導入することによって非線形活性にされなければならない。本発明で使用するための標識は、得られるシステムをより非線形光学的に活性にするために分子、粒子、または相(例えば、脂質二重層)に共有結合的または非共有結合的に結合することができる非線形活性部分、タグ、分子、または粒子を指す。標識は、分子、粒子、もしくは相(例えば、脂質二重層)が、システムを非線形活性にするのに非線形活性でない場合において、または追加の特徴付けパラメーターをシステムに加えるために既に非線形活性であるシステムとともに使用することができる。外因性標識を、分子、粒子、または他の生物学的実体に予め付着させることができ、任意の非結合または未反応の標識を、本明細書に記載の方法で使用する前に、標識された実体から分離することができる。本明細書に開示の方法の具体的な態様では、非線形活性部分は、担体表面の別々の領域内の標的分子または生物学的実体を固定化する前に、in vitroで標的分子または生物学的実体に付着される。生物学的分子または他の生物学的実体を非線形活性標識で標識すると、相互作用が表面選択的非線形光学技法を使用して生物学的分子または実体の配向またはコンホメーションの変化をもたらす場合において、標識された生物学的分子または実体と別の分子または実体(すなわち、試験実体)との間の相互作用を検出する直接の光学的手段が可能になる。
【0059】
本明細書に記載の方法およびシステムの代替の態様では、少なくとも2種の区別可能な非線形活性標識が使用される。次いで、付着された2種またはそれ超の区別可能な標識の配向が、発散しているコヒーレントな非線形光線の十分に規定された方向を助長するために選択される。2種またはそれ超の区別可能な標識をアッセイで使用することができ、この場合、光学的界面に対して1つまたは複数の偏光方向で入射する1つまたは複数の周波数の複数の基本光線が使用され、少なくとも2つの非線形光線の発散が生じる。
【0060】
非線形活性のタグまたは標識の例としては、それだけに限らないが、表1に列挙した化合物、およびこれらの誘導体がある。
【表1】
【0061】
種が非線形活性であり得るか否かの評価において、以下の特性が、非線形活性についての潜在性を示すことができる:双極子モーメントの大きい差異(分子の基底状態と励起状態との間の双極子モーメントの差異)、蛍光の大きいストークスシフト、または芳香族もしくは共役結合特性。このような種のさらなる評価において、実験者は、例えば、非線形活性種が分布している空気−水界面からのSHGの検出によって、非線形活性を確認するための当業者に公知の単純な技法を使用することができる。適当な非線形活性種が手近に実験のために選択された後、本明細書に開示の表面選択的非線形光学的方法およびシステムで使用するために、生物学的分子または実体に必要に応じて種をコンジュゲートさせることができる。
【0062】
以下の参考文献およびその中の参考文献には、合成色素および多くの他の分子から標識された生物学的実体を作出するのに利用可能な技法が記載されている:Greg T. Hermanson、Bioconjugate Techniques、Academic Press、New York、1996年。
【0063】
開示した方法およびシステムの具体的な態様では、金属ナノ粒子およびこれらのアセンブリーを改変して、生物学的な非線形活性標識を作出する。以下の参考文献には、金属ナノ粒子およびアセンブリーの改変が記載されている:J.P. NovakおよびD. L. Feldheim、「Assembly of Phenylacetylene−Bridged Silver and Gold Nanoparticle Arrays」、J. Am. Chem. Soc.、122巻:3979〜3980頁(2000年);J.P. Novakら、「Nonlinear Optical Properties of Molecularly Bridged Gold Nanoparticle Arrays」、J. Am. Chem. Soc.、122巻:12029〜12030頁(2000年);Vance, F.W.、Lemon, B. I.、およびHupp, J. T.、「Enormous Hyper−Rayleigh Scattering from Nanocrystalline Gold Particle Suspensions」、J. Phys. Chem. B、102巻:10091〜93頁(1999年)。
【0064】
本明細書に開示の方法およびシステムのさらに別の態様では、システムの非線形活性を、分子ビーコンに非線形類似体を導入することによって、すなわち、フルオロフォアおよびクエンチャーの代わりに非線形活性標識(またはそのモジュレーター)を組み込むように修飾された分子ビーコンプローブによって操作することもできる。分子ビーコンのこれらの非線形光学類似体は、分子ビーコン類似体(MB類似体またはMBA)と本明細書で呼ばれる。記載した方法およびシステムで使用されるMB類似体は、当業者に公知の手順に従って合成することができる。
【0065】
検出される生物相互作用のタイプ
本明細書に開示の方法およびシステムは、使用される生物学的実体、試験実体、および非線形活性標識技法の選択に応じて、生物学的実体同士間、または生物学的実体と試験実体との間の様々な相互作用の検出をもたらす。一態様では、本開示は、受容体中で誘導される得られるコンホメーション変化によって示される、結合事象、例えば、リガンドの受容体への結合の定性的検出をもたらす。別の態様では、本開示は、異なる濃度のリガンド分子を使用して反復測定を実施し、観察される最大のコンホメーション変化のパーセント変化を使用して用量−応答曲線を生成することによって、結合事象、例えば、リガンドの受容体への結合の定量分析をもたらす。同様に、本開示の他の態様は、酵素−阻害剤相互作用、抗体−抗原相互作用、生物学的巨大分子の複合体の形成、または受容体のアロステリックモジュレーターとの相互作用を定性的および定量的に測定するための方法を提供することができる。
【0066】
他の具体的な実施形態では、MB類似体を、溶液相ハイブリダイゼーションアッセイのような過剰量のプローブからプローブ−標的ハイブリッドを分離する必要なく、かつ標的オリゴヌクレオチドを標識する必要なく、相補的核酸標的の存在を検出することができるハイブリダイゼーションプローブとして本明細書に開示の方法に従って使用することができる。MB類似体プローブは、生細胞内のRNAの検出、バイオリアクターから抜き取った試料アリコート中の特異的核酸の合成の監視、およびセルフレポーティングオリゴヌクレオチド(self−reporting oligonucleotide)アレイの構築に使用することもできる。これらは、DNA中の単一のヌクレオチド変化を同定するために、および界面検出のための表面に固定化された病原体または細胞を検出するために均質1ウェルアッセイを実施するのに使用することができる。
【0067】
生物学的実体同士間、または生物学的実体と試験実体との間の相互作用(例えば、結合反応、コンホメーション変化など)は、以下の測定可能な非線形信号パラメーターに本開示の方法によって相関させることができる:(i)非線形光の強度、(ii)非線形光の波長もしくはスペクトル、(iii)非線形光の偏光、(iv)(i)、(ii)、もしくは(iii)の時間経過、および/またはvi)(i)、(ii)、(iii)、および(iv)の1つもしくは複数の組み合わせ。
【0068】
レーザー光源および励起光学系
図5は、2次高調波光が試料界面(または光学的界面)を含む担体の表面からの入射基本励起光を反射することによって発生される、本明細書に開示の方法およびシステムの一態様を例示する。
図6は、適当な光学セットアップの一例の写真を示す。レーザーは、試料界面で2次高調波光を発生させるのに必要な基本光をもたらす。典型的にはこれは、ピコ秒またはフェムト秒レーザーであり、波長調整可能であり、または調整可能でなく、かつ市販されている(例えば、Ti:サファイアフェムト秒レーザーまたはファイバーレーザーシステム)。基本周波数(w)の光がレーザーから出て、その偏光は、例えば、光の周波数および強度に適切な半波長板(half−wave plate)(例えば、Melles Griot、Oriel、またはNewport Corp.から入手可能)を使用して選択される。次いでビームは、基本光を通過させるが、非線形光(例えば、2次高調波光)を遮断するように設計された高調波分離器を通過する。このフィルターは、レージング特性の障害を引き起こし得るレーザーキャビティーへの2次高調波ビームの後方反射を防止するのに使用される。次いで鏡およびレンズの組み合わせが、最終の鏡から反射する前にビームを操向し形作るのに使用され、最終の鏡は、ビームが担体表面で全反射を起こすように、プリズムを介したビームを担体表面の特定の場所および特定の角度θで衝突するように向ける。光路中の鏡の1つを、検流計制御鏡スキャナー、回転多面鏡スキャナー、ブラッグ回折器、音響光学デフレクター(acousto−optic deflector)、または鏡の位置の制御を可能にする当技術分野で公知の他の手段を使用して、必要とされる場合スキャンすることができる。光学的界面および非線形活性試料表面を含む担体を、x−y並進ステージ(コンピューター制御される)に据えて、2次高調波ビームを発生させるための担体表面の特定の場所を選択することができる。本記載の方法およびシステムの一部の態様では、全反射のための入射の角度をわずかに変え、それによって照射励起光スポットの位置を実質的に変更することなく、担体表面の別々の領域から放出される非線形光信号を最大にするために、1つの鏡をスキャンまたは回転させることが望ましい。一部の態様では、異なる基本周波数を有する2つ(またはそれ超)のレーザーが、非線形活性試料が固定化されている光学的界面で和周波光または差周波光を発生させるのに使用される場合がある。
【0069】
担体フォーマット、光学的界面、および全反射
上述したように、本開示のシステムおよび方法は、担体の上面に1つまたは複数の生物学的実体を固定化するために平面担体を利用し、担体上面は、非線形光信号を励起するのに使用される光学的界面(または試料界面)をさらに含む。担体は、基本光線および2次高調波光線に対して透明であり、励起光が適切な角度で入射するとき担体/試料界面で全反射を支持するガラス、シリカ、石英ガラス、プラスチック、または任意の他の固体材料であり得る。本発明の一部の態様では、生物学的実体が含有されている別々の領域は、1次元または2次元アレイとして構成されており、疎水性コーティングまたは薄い金属層によって互いに分離されている。他の態様では、別々の領域は、担体表面にインデントを含み得る。さらに他の態様では、別々の領域は、担体がマイクロウェルプレート(またはマイクロプレート)の底を形成し、各個々の別々の領域がマイクロウェルプレート中の1つのウェルの底を形成するようにウェル形成コンポーネントによって互いに分離されている場合がある。本開示の一態様では、ウェル形成コンポーネントは、担体の上面を分離して96の別個のウェルにする。別の態様では、ウェル形成コンポーネントは、担体の上面を分離して384のウェルにする。さらに別の態様では、ウェル形成コンポーネントは、担体の上面を分離して1,536のウェルにする。これらの態様のすべてにおいて、担体は、平面アレイで構成されていても、インデントを付けられたアレイで構成されていても、またはマイクロウェルプレートフォーマットで構成されていても、ハイスループットシステムの他の光学コンポーネントおよび機械的コンポーネントとインターフェースする使い捨てまたは消費できるデバイスまたはカートリッジを含み得る。
【0070】
本明細書に開示の方法およびシステムは、どのように分離が別々の領域同士またはウェル同士間で維持されるかに関係なく、担体表面が分割される別々の領域またはウェルの数を指定することをさらに含む。担体により大きい数の別々の領域またはウェルを有することが、方法またはシステムの試料分析スループットを増大させる観点から有利であり得る。本開示の一態様では、1担体当たりの別々の領域またはウェルの数は、10から1,600の間である。他の態様では、別々の領域またはウェルの数は、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも750、少なくとも1,000、少なくとも1,250、少なくとも1,500、または少なくとも1,600である。開示した方法およびシステムのさらに他の態様では、別々の領域またはウェルの数は、せいぜい1,600、せいぜい1,500、せいぜい1,000、せいぜい750、せいぜい500、せいぜい400、せいぜい300、せいぜい200、せいぜい100、せいぜい50、せいぜい20、またはせいぜい10である。好適な態様では、別々の領域またはウェルの数は、96である。別の好適な態様では、別々の領域またはウェルの数は、384である。さらに別の好適な態様では、別々の領域またはウェルの数は、1,536である。当業者は、別々の領域またはウェルの数は、これらの値のいずれかによって囲まれた任意の範囲(例えば、約12〜約1,400)内に入り得ることを認識するであろう。
【0071】
本明細書に開示の方法およびシステムは、どのように分離が別々の領域同士またはウェル同士間で維持されるかに関係なく、担体表面が分割される別々の領域またはウェルの表面積を指定することもさらに含む。より大きい面積の別々の領域またはウェルを有すると、一部の場合では、関連した生物学的実体のアクセスの容易さおよび操作を促進し得、一方、より小さい面積の別々の領域またはウェルを有することは、アッセイ試薬体積必要量を低減し、方法またはシステムの試料分析スループットを増大させる観点から有利であり得る。本開示の一態様では、別々の領域またはウェルの表面積は、1mm
2から100mm
2の間である。他の態様では、別々の領域またはウェルの面積は、少なくとも1mm
2、少なくとも2.5mm
2、少なくとも5mm
2、少なくとも10mm
2、少なくとも20mm
2、少なくとも30mm
2、少なくとも40mm
2、少なくとも50mm
2、少なくとも75mm
2、または少なくとも100mm
2である。開示した方法およびシステムのさらに他の態様では、別々の領域またはウェルの面積は、せいぜい100mm
2、せいぜい75mm
2、せいぜい50mm
2、せいぜい40mm
2、せいぜい30mm
2、せいぜい20mm
2、せいぜい10mm
2、せいぜい5mm
2、せいぜい2.5mm
2、またはせいぜい1mm
2である。好適な態様では、別々の領域またはウェルの面積は、約35mm
2である。別の好適な態様では、別々の領域またはウェルの面積は、約8.6mm
2である。当業者は、別々の領域またはウェルの面積は、これらの値のいずれかによって囲まれた任意の範囲内(例えば、約2mm
2〜約95mm
2)に入り得ることを認識するであろう。
【0072】
担体表面の別々の領域は、励起光源に対して担体を再位置付けすることによって励起光に逐次曝露される(照射される)。入射励起光の全反射は、試料界面で「エバネッセント波」を生じ、非線形活性標識を励起し、2次高調波光(または一部の態様では、和周波光もしくは差周波光)を発生させる。エバネッセント波の強度、およびしたがって発生される非線形光信号の強度は、励起光線の入射角に依存するので、励起ビームの光軸に対する担体面の正確な配向およびビームの担体への効率的な光カップリングが、別々の領域のアレイにわたって最適なSHG信号を達成するのに重要である。本開示の一部の態様では、全反射は、担体表面からの励起光の単一反射によって達成される。他の態様では、担体は、導波路として構成されている場合があり、その結果励起光は、それが導波路に沿って伝搬する際に複数の全反射を起こす。さらに他の態様では、担体は、ゼロモード導波路として構成されている場合があり、エバネセント場は、ナノ加工構造によって生じる。
【0073】
図5および7に例示したものなどの光学セットアップ中の励起光線と担体との間の効率的な光カップリングは、典型的には、屈折率整合流体、例えば、鉱油、鉱油と水素化テルフェニルとの混合物、ペルフルオロカーボン流体、グリセリン、グリセロール、または1.5付近の屈折率を有する同様の流体などを使用することによって達成され、屈折率整合流体は、プリズムと担体の下部表面との間に吸い取られている。屈折率整合流体の静的無気泡膜は、担体の高速再位置付け中に破壊される可能性が高いので、本明細書に開示のシステムおよび方法は、ハイスループットシステムにおいて励起ビームの担体への効率的な光カップリングを作出するための代替手法を含む。
【0074】
図8は、屈折率整合流体の連続的に再循環するストリームが、光学系の一部として据えられているプリズムと、マイクロウェルプレートフォーマット(例えば、ガラス底マイクロプレートフォーマット)で構成されており、プリズムに対して自由に並進する担体との間の効率的な光カップリングを維持するのに使用される、本開示のハイスループットシステムの一態様を例示する。この場合、屈折率整合流体の連続流は、プリズムと担体と間の流体の薄膜が、2つのコンポーネントが互いに対して移動する際に決して破壊されず、すなわち、流体の薄層中のあらゆる小さい気泡または切れ目が流体の流れによってプリズムと担体との間のギャップから排除され、または押し出されることを保証する。屈折率整合流体は、図面に示した2つの流体チャネルを介してギャップ内に導入され、適当なリザーバーまたはサンプ中に収集することができ、このリザーバーまたはサンプから、屈折率整合流体が小さいポンプを使用して再循環され得る。同じ概念の代替の実装では、
図8に示した担体とプリズムとの間の線接触の代わりに、単一の別々の領域と円筒形全反射(TIR)プローブとの間の点接触が利用され、この場合、屈折率整合流体は、中心流体チャネルを通じて流上し、次いで円筒形のTIRプローブの側部にわたって流下して、適当なリザーバーまたはサンプ中に収集される。
【0075】
図9は、屈折率整合エラストマー材料の薄層が、プリズムと担体との間の効率的な光カップリングを維持するのに屈折率整合流体の代わりに使用される、本開示のハイスループットシステムの別の態様を例示する。この場合、担体は、マイクロウェルプレートフォーマット(例えば、ガラス底マイクロプレートフォーマット)でやはりパッケージ化されているが、担体の下部表面に付着した、または隣接した屈折率整合エラストマー材料の薄層とともにパッケージ化されており、その結果、プリズムの上部表面と接触して配置されるとき、エラストマーは、プリズムと担体との間のギャップを満たし、効率的な光カップリングをもたらす。使用され得るエラストマー材料の例としては、それだけに限らないが、約1.4の屈折率を有するシリコーンがある。本開示の一態様では、エラストマー材料の屈折率は、約1.35から約1.6の間である。他の態様では、屈折率は、約1.6もしくはそれ未満、約1.55もしくはそれ未満、約1.5もしくはそれ未満、約1.45もしくはそれ未満、約1.4もしくはそれ未満、または約1.35もしくはそれ未満である。さらに他の態様では、屈折率は、少なくとも約1.35、少なくとも約1.4、少なくとも約1.45、少なくとも約1.5、少なくとも約1.55、または少なくとも約1.6である。当業者は、エラストマー層の屈折率は、これらの値のいずれかによって囲まれた任意の範囲内(例えば、約1.4〜約1.6)に入り得ることを認識するであろう。この手法の一態様では、エラストマー材料の層の厚さは、約0.1mmから2mmの間である。他の態様では、エラストマー層の厚さは、少なくとも0.1mm、少なくとも0.2mm、少なくとも0.4mm、少なくとも0.6mm、少なくとも0.8mm、少なくとも1.0mm、少なくとも1.2mm、少なくとも1.4mm、少なくとも1.6mm、少なくとも1.8mm、または少なくとも2.0mmである。この手法の別の態様では、エラストマー層の厚さは、せいぜい2.0mm、せいぜい1.8mm、せいぜい1.6mm、せいぜい1.4mm、せいぜい1.2mm、せいぜい1.0mm、せいぜい0.8mm、せいぜい0.6mm、せいぜい0.4mm、せいぜい0.2mm、またはせいぜい0.1mmである。当業者は、エラストマー層の厚さは、これらの値のいずれかによって囲まれた任意の範囲内(例えば、約0.1mm〜約1.5mm)に入り得ることを認識するであろう。この手法の別の態様では、プリズムの上部表面は、圧縮力を集中させ、担体、エラストマー層、およびプリズム表面の間のより良好な接触をもたらすために部分的に円筒形の隆線を有し、またはドーム状にされている(
図9)。この手法はまた、担体を位置付けするための並進の第3の軸の使用を必要とする場合があり、すなわち、励起ステップと検出ステップとの間で、担体(マイクロウェルプレート)は、分析される次の別々の領域の場所に担体を再位置付けする前に、エラストマー層とプリズムとの間の接触を排除するためにわずかに上昇される。
【0076】
図10A〜Dは、プリズムまたは格子のアレイが担体の下部表面とともに一体化され(マイクロウェルプレートフォーマットで梱包され)、固定されたプリズムと取り替えるのに使用され、それによって屈折率整合流体またはエラストマー層の必要性を完全に排除する、本開示のハイスループットシステムの好適な態様を例示する。プリズム(または格子)のアレイは、入射励起光が、「入口プリズム」(「入口格子」)によって、入口プリズム(入口格子)に隣接するが、直上にない別々の領域またはウェルに、試料界面から励起光線の全反射を可能にする入射の角度で向けられるように(
図11を参照)、かつ、反射した励起ビーム、および照射された別々の領域で発生された非線形光信号が、調査下で別々の領域からやはりずれており(隣接するが直下にない)「出口プリズム」(「出口格子」)によって収集されるように、担体の上部表面で別々の領域またはウェルのアレイと整列されており、各別々の領域の入口プリズムおよび出口プリズム(入口格子および出口格子)は、アレイの異なる、固有ではないエレメントである。
【0077】
一般に、M行×N列の個々の特徴を含む別々の領域のアレイについて、対応するプリズムまたは格子アレイは、M+2行×N列、またはN+2列×M行の個々のプリズムまたは格子を有することになる。一部の実施形態では、Mは、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、または少なくとも50の行の値を有し得る。一部の実施形態では、Mは、せいぜい50、せいぜい45、せいぜい40、せいぜい35、せいぜい30、せいぜい25、せいぜい20、せいぜい18、せいぜい16、せいぜい14、せいぜい12、せいぜい10、せいぜい8、せいぜい6、せいぜい4、またはせいぜい2の行の値を有し得る。同様に、一部の実施形態では、Nは、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、または少なくとも50の列の値を有し得る。一部の実施形態では、Nは、せいぜい50、せいぜい45、せいぜい40、せいぜい35、せいぜい30、せいぜい25、せいぜい20、せいぜい18、せいぜい16、せいぜい14、せいぜい12、せいぜい10、せいぜい8、せいぜい6、せいぜい4、またはせいぜい2の列の値を有し得る。当業者に明らかとなるように、MおよびNは、同じ値または異なる値を有することができ、上記に指定した範囲内の任意の値、例えば、M=15およびN=45を有し得る。
【0078】
プリズムまたは格子アレイ層の厚さを含めた個々のプリズムまたは格子の幾何学および寸法は、励起光線に対する担体(マイクロウェルプレート)の位置とは独立に高い光カップリング効率で、入射光が担体の選択された別々の領域で全反射を起こし、選択された別々の領域で発生される非線形光信号が収集されるのを保証するように最適化される。
図12は、プリズムアレイプロトタイプの写真を示す。プリズムまたは格子アレイは、当業者に公知の様々な技法によって製作することができ、例えば、好適な態様では、これらは、滑らかに流れる低複屈折材料、例えば、環状オレフィンコポリマー(COC)もしくは環状オレフィンポリマー(COP)、アクリル、ポリエステル、または同様のポリマーなどから射出成形することができる。一部の態様では、プリズムまたは格子アレイは、別個のコンポーネントとして製作され、引き続いて担体の下部表面とともに一体化され得る。他の態様では、プリズムまたは格子アレイは、担体自体の一体型特徴として製作され得る。
【0079】
固定化化学
本明細書に開示するように、上述したフォーマットのいずれかでの担体は、指定された別々の領域内に生物学的実体を固定化するためにさらに構成される。生物学的分子または細胞の固定化は、当業者に公知の様々な技法、例えば、アミノプロピルシラン化学を使用してガラスまたは石英ガラス表面をアミン官能基で官能化し、その後、目的の生物学的分子と直接に、または中間のスペーサーまたはリンカー分子を介してアミン反応性共役化学を使用して共有結合性カップリングを行うことによって、達成することができる。非特異的吸着も、直接的に、または例えば、BSAの分子層を表面に最初に付着させ、次いでそれをN,N’−ジスクシンイミジルカーボネートで活性化することによって、BSA−NHS(BSA−N−ヒドロキシスクシンイミド)を使用することによって間接的に使用することができる。BSAの活性化されたリシン、アスパラギン酸、またはグルタミン酸残基は、タンパク質の表面アミンと反応する。
【0080】
本開示の好適な態様では、生物学的分子は、「支持脂質二重層」に繋ぎ止め、またはその中に包埋することによって表面に固定化することができ、後者は、疎水性相互作用および静電相互作用によってシリコンまたはガラス表面に閉じ込められた脂質二重層の小さいパッチを含み、二重層は、水性緩衝液の薄層上の担体表面の上に「浮いている」。支持リン脂質二重層も、例えば、Salafskyら、「Architecture and Function of Membrane Proteins in Planar Supported Bilayers:A Study with Photosynthetic Reaction Centers」、Biochemistry、35巻(47号):14773〜14781頁(1996年);Gennis, R.、Biomembranes、Springer−Verlag、1989年;Kalbら、「Formation of Supported Planar Bilayers by Fusion of Vesicles to Supported Phospholipid Monolayers」、Biochimica Biophysica Acta.、1103巻:307〜316頁(1992年);およびBrianら、「Allogeneic Stimulation of Cytotoxic T−cells by Supported Planar Membranes」、PNAS−Biological Sciences、81巻(19号):6159〜6163頁(1984年)に記載されているように、膜タンパク質または他の膜関連コンポーネントを伴って、またはそれらを伴わずに調製することができる。これらの文献の関連した一部分は、参照により本明細書に組み込まれている。支持リン脂質二重層は、当技術分野で周知であり、これらの製作に利用可能な多数の技法が存在する。支持二重層は、典型的には、空気に曝露されたときにこれらが破壊されるのを防止するために水溶液中に浸漬されるべきである。
【0081】
収集光学系および検出器
図5は、担体の別々の領域を逐次照射したときに発生される非線形光信号を検出するのに使用される収集光学系および検出器をさらに例示する。表面選択的非線形光学技法は、コヒーレントな技法であり、基本光線および非線形光学光線が、十分に規定された空間的関係および位相関係を伴って空間を伝播する波面を有することを意味するので、最小限の収集光学系が要求される。放出された非線形光信号は、プリズム(または上述したマイクロプレートデバイスの一体化されたプリズムもしくは格子アレイ)によって収集され、ダイクロイックレフレクターおよび鏡を介して検出器に向けられる。追加の光学コンポーネント、例えば、レンズ、光学バンドパスフィルター、鏡などが、検出器に到達する前にビームを形作り、操向、および/またはフィルタリングするのに任意選択で使用される。それだけに限らないが、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、光電子増倍管、CMOSセンサー、またはCCDデバイスを含めた様々な異なる光検出器を使用することができる。
【0082】
X−Y並進ステージ
図4に例示したように、本明細書に開示のハイスループットシステムの実装は、理想的には、励起光線に関して担体(上述したフォーマットのいずれかにおける)を再位置付けするための高精度X−Y(または一部の場合では、X−Y−Z)並進ステージを利用する。適当な並進ステージは、いくつかの供給業者、例えば、Parker Hannifinから市販されている。精密な並進ステージシステムは、典型的には、それだけに限らないが、リニアアクチュエーター、光学式エンコーダー、サーボモーターおよび/またはステッパーモーター、ならびにモーターコントローラーまたは駆動ユニットを含むいくつかのコンポーネントの組み合わせを備える。ステージ移動の高い精度および再現性は、光検出および/または液体分注の繰り返されるステップを差し入れるとき、非線形光信号の正確な測定を保証するために、本明細書に開示のシステムおよび方法に要求される。また、励起光の焦点のサイズ[直径または側面で20〜200ミクロン]は、担体上の別々の領域のサイズより実質的に小さいので、本開示の一部の態様では、反復測定を行うとき所与の別々の領域内のわずかに異なる位置に戻り、または単回測定の過程にわたって別々の領域の一部分にわたって励起ビームをゆっくりスキャンし、それによって長い曝露または先の曝露の光退色効果に関する潜在的な懸念を排除することが望ましい場合もある。
【0083】
したがって、本明細書に開示の方法およびシステムは、並進ステージが励起光線に関して担体を位置付けすることができる精度を指定することをさらに含む。本開示の一態様では、並進ステージの精度は、約1μmから約10μmの間である。他の態様では、並進ステージの精度は、約10μmもしくはそれ未満、約9μmもしくはそれ未満、約8μmもしくはそれ未満、約7μmもしくはそれ未満、約6μmもしくはそれ未満、約5μmもしくはそれ未満、約4μmもしくはそれ未満、約3μmもしくはそれ未満、約2μmもしくはそれ未満、または約1μmもしくはそれ未満である。当業者は、並進ステージの精度は、これらの値のいずれかによって囲まれた任意の範囲内(例えば、約1.5μm〜約7.5μm)に入り得ることを認識するであろう。
【0084】
流体分注システム
図4に例示したように、本明細書に開示のハイスループットシステムの一部の実施形態は、担体表面に固定化された生物学的または標的実体を試験実体(または試験化合物)と接触させることにおいて使用するための自動化されたプログラム可能な流体分注(または液体分注)システムをさらに備え、試験実体は、典型的には、小有機溶媒コンポーネント、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)の添加を伴うまたは伴わない水性緩衝液を含む溶液で分注される。適当な自動化されたプログラム可能な流体分注システムは、いくつかの供給業者、例えば、Beckman Coulter、Perkin Elmer、Tecan、Velocity 11、および多くの他社から市販されている。本明細書に開示のシステムおよび方法の好適な態様では、流体分注システムは、液体のプログラム可能な体積(例えば、約1マイクロリットル〜数ミリリットルに及ぶ)を担体の複数のウェルまたは場所に同時送達するための多チャネル分注ヘッド、例えば、4チャネル、8チャネル、16チャネル、96チャネル、または384チャネル分注ヘッドをさらに備える。
【0085】
プレート−ハンドリングロボティクス
本明細書に開示のハイスループットシステムの他の態様では、システムは、光励起および検出光学系に関して担体(上述したフォーマットのいずれかにおける)を自動で置き換えおよび位置付けするための、または光学機器と流体分注システムとの間で担体を任意選択で移動させるためのマイクロプレートハンドリング(またはプレートハンドリング)ロボットシステム(
図4)をさらに備える。適当な自動化された、プログラム可能なマイクロプレートハンドリングロボットシステムは、Beckman Coulter、Perkin Elemer、Tecan、Velocity 11、および他社を含めたいくつかの供給業者から市販されている。本明細書に開示のシステムおよび方法の好適な態様では、自動化されたマイクロプレートハンドリングロボットシステムは、固定化された生物学的実体、および/または試験化合物のアリコートを含むマイクロウェルプレートの収集物を冷蔵貯蔵ユニットに、およびそれから移動させるように構成されている。
【0086】
プロセッサー/コントローラー、および制約ベーススケジューリングアルゴリズム
本開示の別の態様では、開示したハイスループットシステムは、記載した様々なサブシステム(励起光学系および検出光学系、X−Y(またはX−Y−Z)並進ステージ、流体分注システム、ならびにプレートハンドリングロボティクス)を制御し、ハイスループットコンホメーション分析の実施に伴う異なる動作ステップを同期させるシステムソフトウェアを実行するように構成されたプロセッサー(またはコントローラー、もしくはコンピューターシステム)(
図4)をさらに備える。データ取得プロセス、すなわち、コンホメーション変化と関連した非線形光信号に対応する検出器からの出力電子信号の収集のハンドリングに加えて、プロセッサーまたはコントローラーはまた、典型的には、データを記憶し、データ処理を実施し、機能(配向またはコンホメーションの変化が、試験された生物学的実体、または生物学的実体および試験実体の組み合わせについて起こったか否かの決定を含む)を表示し、オペレーターによる双方向の制御についてグラフィカルユーザーインターフェースを動作させるように構成されている。プロセッサーまたはコントローラーは、他のプロセッサーとネットワークを形成し、または遠隔地の他の機器およびコンピューターと通信するためにインターネットと接続されている場合もある。
【0087】
プロセッサー/コントローラーの典型的な入力パラメーターとして、分析されるマイクロウェルプレートの総数などのセットアップパラメーター;1プレート当たりのウェルの数;励起ステップおよび検出ステップが、担体の各別々の領域またはマイクロプレートのウェルについて実施される回数(例えば、エンドポイントアッセイモードまたは動力学的アッセイモードを指定するための);動力学的データが各別々の領域またはウェルについて収集されるべき総時間経過;各別々の領域またはウェルに送達される試験化合物溶液の順序、タイミング、および体積;非線形光信号の収集および積分のための滞留時間;出力データファイルの名称(複数可);ならびに当業者に公知のいくつかのシステムセットアップパラメーターおよび制御パラメーターのいずれかを挙げることができる。
【0088】
本開示の好適な態様では、プロセッサーまたはコントローラーは、制約ベーススケジューリングアルゴリズムを実行することによってシステムスループット最適化を実施するようにさらに構成されている。このアルゴリズムは、上述したシステムセットアップパラメーターを利用して、互いに隣接していてもよく、隣接していなくてもよい別々の領域またはウェルについて差し入れられる励起/検出ステップおよび液体分注ステップの最適なシークエンスを決定し、その結果、システムの全体的なスループットは、1時間あたりに分析される生物学的実体および/または試験実体の数の観点から最大化される。システム動作ステップの最適化は、ハイスループット分析を達成する重要な側面である。開示した方法およびシステムの一部の態様では、分析システムの平均スループットは、1時間当たりに約10の試験される試験実体〜1時間当たりに約1,000の試験される試験実体の範囲となり得る。一部の態様では、分析システムの平均スループットは、1時間当たりに少なくとも10の試験される試験実体、1時間当たりに少なくとも25の試験される試験実体、1時間当たりに少なくとも50の試験される試験実体、1時間当たりに少なくとも75の試験される試験実体、1時間当たりに少なくとも100の試験される試験実体、1時間当たりに少なくとも200の試験される試験実体、1時間当たりに少なくとも400の試験される試験実体、1時間当たりに少なくとも600の試験される試験実体、1時間当たりに少なくとも800の試験される試験実体、または1時間当たりに少なくとも1,000の試験される試験実体であり得る。他の態様では、分析システムの平均スループットは、1時間当たりにせいぜい1,000の試験される試験実体、1時間当たりにせいぜい800の試験される試験実体、1時間当たりにせいぜい600の試験される試験実体、1時間当たりにせいぜい400の試験される試験実体、1時間当たりにせいぜい200の試験される試験実体、1時間当たりにせいぜい100の試験される試験実体、1時間当たりにせいぜい75の試験される試験実体、1時間当たりにせいぜい50の試験される試験実体、1時間当たりにせいぜい25の試験される試験実体、または1時間当たりにせいぜい10の試験される試験実体であり得る。
【0089】
コンピューターシステムおよびネットワーク
様々な実施形態では、本発明の方法およびシステムは、コンピューターシステムにインストールされたソフトウェアプログラムおよびその使用をさらに含み得る。したがって、上述したように、データ分析および表示を含めたハイスループットコンホメーション分析の実施に伴う様々なサブシステムのコンピューター化された制御および異なる動作ステップの同期化は、本発明の範囲内である。
【0090】
図21に例示したコンピューターシステム500は、媒体511および/または固定された媒体512を有するサーバー509に任意選択で接続することができるネットワークポート505からの命令を読むことができる論理装置として理解され得る。
図21に示したものなどのシステムは、CPU501、ディスクドライブ503、キーボード515および/またはマウス516などの任意選択の入力デバイス、ならびに任意選択のモニター507を備えることができる。データ通信は、ローカルな場所または遠隔地のサーバーに、示された通信媒体によって達成することができる。通信媒体は、データを送信および/または受信する任意の手段を含むことができる。例えば、通信媒体は、ネットワーク接続、無線接続、またはインターネット接続であり得る。このような接続は、ワールドワイドウェブによる通信をもたらすことができる。本開示に関連するデータは、
図21に例示した関係者522による受信および/または閲覧のためにこのようなネットワークまたは接続によって送信され得ることが想定されている。
【0091】
図22は、本発明の例示的な実施形態に関連して使用することができるコンピューターシステム100の第1の例示的なアーキテクチャを例示するブロック図である。
図22に表したように、例示的なコンピューターシステムは、命令を処理するためのプロセッサー102を備えることができる。プロセッサーの非限定的な例としては、Intel Xeon(商標)プロセッサー、AMD Opteron(商標)プロセッサー、Samsung 32−ビットRISC ARM 1176JZ(F)−S v1.0(商標)プロセッサー、ARM Cortex−A8 Samsung S5PC100(商標)プロセッサー、ARM Cortex−A8 Apple A4(商標)プロセッサー、Marvell PXA 930(商標)プロセッサー、または機能的に等価なプロセッサーがある。実行の複数のスレッドを並列処理のために使用することができる。一部の実施形態では、複数のプロセッサーまたは複数のコアを有するプロセッサーも、単一のコンピューターシステム内であっても、クラスター内であっても、または複数のコンピューター、携帯電話、および/もしくは携帯情報端末デバイスを含むネットワークによってシステムにわたって分布していても、使用することができる。
【0092】
図22に例示したように、高速キャッシュ104をプロセッサー102に接続し、またはその中に組み込んで、プロセッサー102によって最近使用された、または頻繁に使用される命令またはデータのための高速メモリーを提供することができる。プロセッサー102は、プロセッサーバス108によってノースブリッジ106に接続されている。ノースブリッジ106は、メモリーバス112によってランダムアクセスメモリー(RAM)110に接続されており、プロセッサー102によるRAM110へのアクセスを管理する。ノースブリッジ106は、チップセットバス116によってサウスブリッジ114にも接続されている。サウスブリッジ114は、今度は、周辺機器用バス118に接続されている。周辺機器用バスは、例えば、PCI、PCI−X、PCI Express、または他の周辺機器用バスであり得る。ノースブリッジおよびサウスブリッジは、プロセッサーチップセットと呼ばれることが多く、プロセッサー、RAM、および周辺機器用バス118上の周辺コンポーネントの間のデータ転送を管理する。一部の代替のアーキテクチャでは、ノースブリッジの機能性は、別個のノースブリッジチップを使用する代わりにプロセッサー中に組み込むことができる。
【0093】
一部の実施形態では、システム100は、周辺機器用バス118に取り付けられたアクセラレーターカード122を備えることができる。アクセラレーターは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)またはある特定の処理を加速するための他のハードウェアを含み得る。例えば、アクセラレーターは、適合性データ再構築のために、または拡張されたセット処理で使用される代数式を評価するのに使用することができる。
【0094】
ソフトウェアおよびデータは、外部記憶装置124に記憶されており、プロセッサーによって使用するためにRAM110および/またはキャッシュ104にロードすることができる。システム100は、システムリソースを管理するためのオペレーティングシステムを備え、オペレーティングシステムの非限定的な例としては、Linux(登録商標)、Windows(登録商標)、MacOS(商標)、BlackBerry OS(商標)、iOS(商標)、および他の機能的に等価なオペレーティングシステム、ならびに本発明の例示的な実施形態に従ってデータ記憶および最適化を管理するためにオペレーティングシステム上で実行するアプリケーションソフトウェアがある。
【0095】
本実施例では、システム100は、外部記憶装置、例えば、ネットワーク接続型記憶装置(NAS)および分散並列処理に使用することができる他のコンピューターシステムなどへのネットワークインターフェースをもたらすために周辺機器用バスに接続されたネットワークインターフェースカード(NIC)120および121も備える。
【0096】
図23は、複数のコンピューターシステム202aおよび202b、複数の携帯電話および携帯情報端末202c、ならびにネットワーク接続型記憶装置(NAS)204a、および204bを有するネットワーク200を示すダイヤグラムである。例示的な実施形態では、システム202a、202b、および202cは、ネットワーク接続型記憶装置(NAS)204aおよび204bに記憶されるデータについて、データ記憶を管理し、データアクセスを最適化することができる。数学的モデルをデータに使用し、コンピューターシステム202aおよび202b、ならびに携帯電話および携帯情報端末システム202cにわたって分散並列処理を使用して評価することができる。コンピューターシステム202aおよび202b、ならびに携帯電話および携帯情報端末システム202cは、ネットワーク接続型記憶装置(NAS)204aおよび204bに記憶されたデータの適合性データ再構築のための並列処理をもたらすこともできる。
図23は、一例のみを例示し、多種多様な他のコンピューターアーキテクチャおよびシステムを本発明の様々な実施形態と併せて使用することができる。例えば、ブレードサーバーが並列処理をもたらすのに使用され得る。プロセッサーブレードを、バックプレーンを通じて接続して並列処理をもたらすことができる。記憶装置も、バックプレーンに、または別個のネットワークインターフェースを通じたネットワーク接続型記憶装置(NAS)として接続され得る。
【0097】
一部の例示的な実施形態では、プロセッサーは、他のプロセッサーによる並列処理のために別個のメモリー空間を維持し、ネットワークインターフェース、バックプレーン、または他のコネクターを通じてデータを転送することができる。他の実施形態では、プロセッサーの一部またはすべてが共有仮想アドレスメモリー空間を使用し得る。
【0098】
図24は、一例示的実施形態による共有仮想アドレスメモリー空間を使用するマルチプロセッサコンピューターシステム300のブロック図である。システムは、共有メモリーサブシステム304にアクセスすることができる複数のプロセッサー302a〜fを含む。システムは、メモリーサブシステム304内に複数のプログラマブルハードウェアメモリーアルゴリズムプロセッサー(MAP)306a〜fを組み込む。各MAP306a〜fは、メモリー308a〜fおよび1つまたは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)310a〜fを備え得る。MAPは、構成可能な機能的ユニットをもたらし、特定のアルゴリズムまたはアルゴリズムの一部分を、それぞれのプロセッサーと緊密に協調して処理するためにFPGA310a〜fに提供することができる。例えば、MAPは、例示的な実施形態においてデータモデルに関する代数式を評価し、適合性データ再構築を実施するのに使用され得る。本実施例では、各MAPは、これらの目的のためにプロセッサーのすべてによって広域的にアクセス可能である。一構成では、各MAPは、直接メモリーアクセス(DMA)を使用して関連メモリー308a〜fにアクセスすることができ、各MAPにそれぞれのマイクロプロセッサ302a〜fと独立に、かつ非同調性にタスクを実行させる。この構成では、MAPは、アルゴリズムのパイプライン化および並列実行のために別のMAPに直接結果を送ることができる。
【0099】
上記コンピューターアーキテクチャおよびシステムは、例だけであり、一般的なプロセッサー、コプロセッサー、FPGA、ならびに他のプログラマブルロジックデバイス、システムオンチップ(SOC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、ならびに他の処理およびロジックエレメントの任意の組み合わせを使用するシステムを含めた多種多様な他のコンピューター、携帯電話、ならびに携帯情報端末アーキテクチャおよびシステムを、例示的な実施形態に関連して使用することができる。一部の実施形態では、コンピューターシステムのすべてまたは一部をソフトウェアまたはハードウェアで実装することができる。ランダムアクセスメモリー、ハードドライブ、フラッシュメモリー、テープドライブ、ディスクアレイ、ネットワーク接続型記憶装置(NAS)、ならびに他のローカルまたは分散型データ記憶デバイスおよびシステムを含めた任意の様々なデータ記憶媒体を、例示的な実施形態に関連して使用することができる。
【0100】
例示的実施形態では、コンピューターシステムは、上記または他のコンピューターアーキテクチャおよびシステムのいずれかで実行するソフトウェアモジュールを使用して実装され得る。他の実施形態では、システムの機能は、ファームウェア、
図24で参照したフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのプログラマブルロジックデバイス、システムオンチップ(SOC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、または他の処理およびロジックエレメントで部分的または完全に実装され得る。例えば、セットプロセッサーアンドオプティマイザー(Set Processor and Optimizer)を、
図22に例示したアクセラレーターカード122などのハードウェアアクセラレーターカードを使用することによってハードウェアアクセラレーションを用いて実装することができる。
【実施例】
【0101】
実施例1(例示的)
Gタンパク質共役受容体(例えば、セロトニン、ドーパミン、グルタミン酸、ケモカイン、およびヒスタミン受容体)は、リガンドによって活性化されるときコンホメーション変化を起こすタンパク質の一クラスであり、したがって本発明を使用する研究に適用できる。本質的に非線形活性でないGPCRは、非線形活性標識を使用して標識することができ、コンホメーション変化は、非線形活性標識の配向の変化を介して検出される。1種または複数の標識GPCRタンパク質を、例えば、ガラス担体上の支持脂質二重層構造のアレイ中にタンパク質分子を包埋することによって表面に付着させることができ、この場合、アレイ中の各二重層構造は、単一種のGPCR分子を含有する。本発明の好適な実施形態では、各支持脂質二重層構造は、マイクロプレートの個々のウェル内に閉じ込められている。リガンドの結合がGPCR受容体を活性化するとき生じるコンホメーション変化は、分子が固定化されている光学的界面に対する標識の配向の変化、およびしたがって、非線形光ビーム(例えば、2次高調波光)の性質、例えば、強度、波長、または偏光などの変化を引き起こす。
【0102】
スクリーニング実験では、固定化されたGPCRを含有するマイクロウェルプレートをハイスループット分析システムの並進ステージ機構に位置付けし、第1のウェルの信号を測定する位置に移動させる。バックグラウンド信号は、第1のウェルからの非線形光信号を測定し、マイクロウェルプレートを第2のウェルに再位置付けしてバックグラウンド測定を繰り返すなどによって固定化されたGPCR分子を試験化合物に曝露する前に1種または複数のGPCR試料について測定することができる。次いで非線形光信号の繰り返し測定を、試験化合物を添加した後の1つ(エンドポイントアッセイモード)またはそれ超(動力学的測定モード)の規定された時点で各ウェルについて行い、分析して試験化合物が1種または複数のGPCR種のコンホメーション変化を誘導したか否かを決定する。
【0103】
一部の場合では、試験化合物がGPCR分子に結合すると、GPCRが試験化合物によって活性化されなくても測定される非線形光学的性質が変化し得る。例えば、これは、受容体分子のコンホメーションの変化ではなく、受容体分子に対する付着された標識の配向を変更する結合複合体中の試験化合物とGPCR分子との間の相互作用に起因し得る。例えば、所与のGPCR受容体に結合するがコンホメーション変化を生じさせないことが公知である化合物を使用することによって、非線形光学的性質の測定された変化を受容体の結合または活性化に割り当てるのに、必要に応じてコントロールを実施することができる。必要であれば、GPCR上の標識の位置は、非線形光信号の観察された変化が受容体活性化またはコンホメーション変化に相関することを保証するために、標識の共役化学を変化させ、かつ/または受容体を遺伝的に改変して新しい標識部位を導入することによって変更することができる。
【0104】
上述した例では、ガラス担体上の脂質二重層構造のアレイに固定化された(かつGPCR分子が存在するウェルによってさらに分離された)GPCR分子のそれぞれを、上記に開示した再循環する屈折率整合流体、屈折率整合エラストマー、またはプリズム格子の設計を介して効率的な光カップリングを維持しながら、精密なX−Y並進ステージを使用することにより励起光線に対してガラス担体(マイクロプレート)を再位置付けすることによって測定および分析にかけられる。
【0105】
典型的には、マイクロプレートのウェルへの試験化合物溶液の分注は、光学機器システムに一体化されているプログラム可能な、自動化された液体分注ユニットによって実施されることになる。マイクロプレートのウェルに固定化されたGPCR種のそれぞれは、同じ試験化合物に曝露されてもよく、またはそれぞれは、異なる試験化合物に曝露されてもよい。本発明の一部の態様では、ハイスループット分析システムは、分析されるGPCR試料を含むマイクロウェルプレートを外部記憶装置システムから並進ステージの「ホーム」位置に移動させるため、または分析が完了したGPCR含有マイクロプレートを新しい試料プレートに置き換えるためのロボティクスをさらに備えることになる。本発明の他の態様では、ハイスループット分析システムは、試験化合物の収集物を含有する標準的なマイクロプレートを液体分注ユニットの「ホーム」位置内に、またはその外に移動させるための追加のロボティクスをさらに備えることになる。
【0106】
本発明の好適な態様では、コンピューターシステム(すなわち、プロセッサーまたはコントローラー)は、(i)ハイスループット分析システムのすべてのプログラム可能なコンポーネントを制御し、(ii)位置内にかつ位置の外にマイクロウェルプレートを移動させるステップ、バックグラウンド光学的測定を取るステップ、試験化合物溶液を分注するステップ、およびエンドポイントアッセイまたは動力学的モードアッセイで使用するために光学的測定を繰り返すステップの動作ステップを同期させ、(iii)検出器から受信した非線形光信号データを記憶および処理し、(iv)入力システムセットアップパラメーター(例えば、分析されるマイクロウェルプレートの数、1プレート当たりのウェルの数、試験される試験化合物の数、エンドポイント測定モード対動力学的測定モードなど)を使用して各マイクロプレート上の異なるウェルについてバックグラウンド測定ステップ、試験化合物分注ステップ、および繰り返し測定ステップを差し入れるための最適な順序を計算することによって、分析の全体的なスループットを最適化する(例えば、1時間あたりに分析されるGPCR試料/試験化合物組み合わせの数の観点から)ためのソフトウェアを実行するように構成されている。
【0107】
実施例2(プリズムアレイを製作するための型設計&プロセス)
型を作出して、特殊光学成形所(specialty optical molding house)(Apollo Optical、Rochester、NY)によって実施される射出成形プロセスを用いて、
図13に示した最初の「スキッププリズム(skip−prism)」設計を製作した。得られた部品は、応力複屈折を示し(
図14中の交差偏光子画像を参照)、測定されるSHG信号は、この複屈折によって悪影響を受け(
図15)、プリズムアレイの長さに沿って信号が低下する。
【0108】
SHG信号に対する複屈折効果を低減または排除するために、本発明者らは、使用されるプラスチックのタイプ(COP、COC、アクリルなど)、異なる成形加工条件(温度、圧力、流量、サイクル時間など)、および成形後アニーリングについて実験した。本発明者らは、中程度に複屈折を低減させる材料およびプロセスパラメーターを見つけることができたが、これらの条件は、プラスチック部品を型にしっかりと接着させ、型から放出すると破損させる傾向もあった。(注:この型は、排出デバイスを含有し、それは、部品のベント端部およびゲート端部でのみ押した)。部品をアニールすると応力複屈折が著しく低減されたが、部品の過剰な機械的な反りを引き起こし、それによって部品を使用不可能にした。
【0109】
射出成形フローシミュレーションは、応力が平面ゲートからプリズム構造部品への移行部で主に生じることを示した(結果を示さず)。シミュレーション結果は、部品を要求されるより長く作製し、次いで切り取って長さを整え、それによって成形部品の応力のかかった領域を機械的に除去し、最初の設計と同じ最終長さのプリズムアレイをもたらすことができることも予測した。
【0110】
型フローシミュレーションの結果を使用していくつかの重要な変更を含む新しい型を設計した。
1.部品の全長を増大させて複屈折移行ゾーンを切り取ることを可能にした。
2.ゲート特徴およびベント特徴をより長くしてプラスチック中のせん断応力を低減した。
3.型排出特徴を部品の長さおよび幅に沿って加えて、型からの放出を助長し、放出中に部品を破損する機会を低減した。
4.「接着剤隆起(glue bump)」をアレイの平面側に添加して、プリズムアレイがガラス底マイクロプレートに積層されるときの接着剤層の厚さを制御し、温度変動中の接着剤接着を改善した。
【0111】
ゲート(左)特徴およびベント(右)特徴を含む新しい部品設計を
図16に示す。
図19は、型ツールの破断図バージョンを示す。放出中の部品により均一な圧力を適用するのに離型中に使用される6×3アレイの「イジェクターブレード」デバイス(すなわち、「排出デバイス」)が存在することに留意されたい(
図20)。追加の排出特徴(図示せず)もゲート領域およびベント領域中に使用される。一般に、光学品質成形部品は、イジェクター特徴をまったく使用しない。なぜなら、イジェクターは、部品の表面に衝撃を与え、傷を作出し得るためである。本発明者らのプリズムアレイ設計は、光学的に対処されないいくつかの領域を有するので、本発明者らは、部品の光学性能が重要ではない領域内にかぎり部品に衝撃を与えるようにイジェクターブレードを配列することができた。
【0112】
一般に、排出デバイスのm×nアレイ中のブレード様イジェクター特徴の数が大きいほど、より均一な圧力が離型中に部品に発揮される。一部の実施形態では、mおよび/またはnは、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、または少なくとも20の値を有することになる。一部の実施形態では、mおよび/またはnは、せいぜい20、せいぜい19、せいぜい18、せいぜい17、せいぜい16、せいぜい15、せいぜい14、せいぜい13、せいぜい12、せいぜい11、せいぜい10、せいぜい9、せいぜい8、せいぜい7、せいぜい6、せいぜい5、せいぜい4、せいぜい3、またはせいぜい2の値を有することになる。mおよびnの値は、同じであってもよく、または異なっていてもよく、上記指定範囲内の値の任意の組み合わせを含み得る。
【0113】
新しい型設計、具体的には排出特徴は、射出成形業者に最初の型において放出−破損を引き起こしたはずである異なる圧力および温度プロファイルで実験することを可能にした。これらの条件は、成形プロセス中のプラスチックの応力を有効に解消するが、部品を光学型表面によりしっかりと接着させる。部品の長さおよび幅にわたって分布したイジェクター特徴は、部品が破損することなく型から排出されることを可能にする。新しい型で作製されるプリズム部品は、
図17の交差偏光子画像に示したように、無視できる応力複屈折を有する。SHGデータも、プリズムアレイの長さに沿ってはるかにより均一な信号応答を示す(
図18)。残留複屈折は、依然として検出可能であるが、部品の追加の長さは、本発明者らに最も大きな複屈折が存在する移行領域(データを示さず)を切り離す切り取り場所を最適化することを可能にした。
【0114】
本発明の好適な実施形態を本明細書に示し、記載してきたが、このような実施形態は、単なる例として提供されていることが当業者に明白となるであろう。多数のバリエーション、変更、および置換が、本発明から逸脱することなく、当業者に今では見出されるであろう。本明細書に記載の本発明の実施形態に対する様々な代替案が、本発明の実践において使用され得ることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を規定し、これらの特許請求の範囲内の方法および構造、ならびにこれらの均等物は、それによって包含されることが意図されている。