特許第6649908号(P6649908)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6649908電子コンポーネント用ケーシング及びレーザモジュール
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6649908
(24)【登録日】2020年1月21日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】電子コンポーネント用ケーシング及びレーザモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/022 20060101AFI20200210BHJP
   H01S 5/024 20060101ALI20200210BHJP
   H01L 23/34 20060101ALI20200210BHJP
   H01L 23/38 20060101ALI20200210BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20200210BHJP
【FI】
   H01S5/022
   H01S5/024
   H01L23/34 D
   H01L23/38
   H05K7/20 D
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-23061(P2017-23061)
(22)【出願日】2017年2月10日
(65)【公開番号】特開2017-163132(P2017-163132A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2017年2月10日
(31)【優先権主張番号】10 2016 102 327.2
(32)【優先日】2016年2月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ローベアト ヘットラー
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル ファン
【審査官】 百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−044026(JP,A)
【文献】 実開平06−017260(JP,U)
【文献】 特開平01−243488(JP,A)
【文献】 特開2015−023201(JP,A)
【文献】 特開平08−064712(JP,A)
【文献】 実開平03−036161(JP,U)
【文献】 特開2009−135269(JP,A)
【文献】 特開2014−215455(JP,A)
【文献】 特開2012−156345(JP,A)
【文献】 特開2004−186309(JP,A)
【文献】 特開2008−135516(JP,A)
【文献】 特開2010−123776(JP,A)
【文献】 特開2003−174226(JP,A)
【文献】 特開昭62−276892(JP,A)
【文献】 米国特許第04807956(US,A)
【文献】 特開昭63−64008(JP,A)
【文献】 特開平1−227486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00−5/50
H01L 23/34−23/46
H05K 7/20
G02B 6/24
G02B 6/36−6/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子コンポーネント用のケーシング(1)であって、前記ケーシング(1)は、上面(4)及び下面(3)を備えた基体(9)を有しており、前記上面(4)と前記下面(3)との間には前記電子コンポーネント用の取付領域が配置されており、
前記基体(9)の側壁は、光導体用の引込み部(11)を有しており、
前記基体(9)の底部(8)は、熱電クーラ用のヒートシンク(5)も、前記電子コンポーネントの接触接続のための複数のピン(2)用の複数の引込み部(14)も、共に有しており、
前記ヒートシンク(5)は、少なくとも部分的に前記ケーシング(1)の外部に配置されている、ケーシング(1)において、
複数の前記ピン(2)用の複数の前記引込み部(14)は、ガラス封止部として構成されており、
前記基体(9)は、深絞り部材として構成されている、
ことを特徴とする、ケーシング(1)。
【請求項2】
電子コンポーネント用のケーシング(1)であって、前記ケーシング(1)は、上面(4)及び下面(3)を備えた基体(9)を有しており、前記上面(4)と前記下面(3)との間には前記電子コンポーネント用の取付領域が配置されており、
前記基体(9)の側壁は、光導体用の引込み部(11)を有しており、
前記基体(9)の底部(8)は、熱電クーラ用のヒートシンク(5)も、前記電子コンポーネントの接触接続のための複数のピン(2)用の複数の引込み部(14)も、共に有しており、
前記ヒートシンク(5)は、前記底部(8)を越えて突出しており、
前記基体(9)は、深絞り部材として構成されており、前記基体(9)の前記底部(8)は、複数の前記ピン(2)用の複数の引込み部(14)の領域において、カラーによって厚みが増されて構成されている、
ケーシング(1)。
【請求項3】
複数の前記ピン(2)用の複数の前記引込み部(14)は、前記ヒートシンク(5)の横に配置されている、
請求項1または2に記載のケーシング(1)。
【請求項4】
前記基体(9)は、金属からなり、及び/又は、
前記基体は、5〜20ppm/Kの熱膨張係数を有している
請求項1からまでのいずれか1項に記載のケーシング(1)。
【請求項5】
前記基体(9)の前記底部(8)は、前記ヒートシンク(5)用の開口部(21)を有する、
請求項1からまでのいずれか1項に記載のケーシング(1)。
【請求項6】
前記ヒートシンク(5)は、前記基体(9)よりも大きな熱膨張係数を有しており、及び/又は、
前記ヒートシンク(5)は、銅又は銅合金から構成されており、及び/又は、
前記ヒートシンクは、熱膨張係数の異なる少なくとも2つの材料を含む、
請求項1からまでのいずれか1項に記載のケーシング(1)。
【請求項7】
前記基体(9)は、形状結合要素として、側壁における凹部(22)を有しており、これにより、取付ツールにおいてただ1つのはめ込み方向が許容され、及び/又は、
前記基体(9)及び/又は前記基体を閉じるカバー(19)は、周囲を取り囲む垂直部分を有する、
請求項1からまでのいずれか1項に記載のケーシング(1)。
【請求項8】
請求項1からまでのいずれか1項に記載のケーシング(1)を含むレーザモジュール(30)であって、
前記ケーシング(1)に少なくとも1つの熱電クーラ(26)及びレーザダイオード(27)が取り付けられている、
レーザモジュール(30)。
【請求項9】
前記レーザモジュール(30)は、少なくとも200mWの最大出力電力を有するレーザダイオード(27)を含んでおり、及び/又は、
前記レーザダイオードは、900〜1000nmの波長の電磁ビームを放射し、及び/又は、
前記ケーシングにサーミスタが取り付けられており、前記サーミスタを介し、前記熱電クーラを用いて前記レーザダイオード(27)の温度を制御可能である、
請求項に記載のレーザモジュール(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子コンポーネント用ケーシング、特に高出力レーザダイオード用ケーシングと、レーザダイオードを含むケーシングを備えたレーザモジュールに関する。本発明は特にいわゆる10ピン又は14ピンパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザを備えたオプトエレクトロニクスモジュールは特に、比較的長い距離において光信号を増幅するために公知である。これらのオプトエレクトロニクスモジュールは、ファイバレーザを光ポンピングするために使用される。市場で入手可能であるのは特にいわゆる10ピンバタフライ型パッケージである。これは、取付状態において気密に閉じられたケーシングであり、このケーシングは、両側の2つの側壁に複数のピン用の引込み部を有しており、ここでこれらのピンは、ケーシング内に設けられているモジュールの給電に使用される。このようなケーシングは、例えば刊行物米国特許出願公開第2002/0070045号明細書(US 2002/0070045 A1)から公知である。
【0003】
このケーシングは、複数の引込み部を備えた基体から構成されており、この基体は、取付領域を構成している。この取付領域には一般的に、少なくとも1つのレーザダイオードと、熱電クーラと、温度センサとしてのサーミスタとが配置されている。波長のずれを阻止するため、レーザダイオードの温度は、サーミスタの抵抗値に基づいて一定値に制御される。
【0004】
熱電クーラの温度を下げるため、ケーシングは、一般的に底部に取り付けられるヒートシンクを有する。
【0005】
上記基体は、光導体を接続するための、側壁に入れられる1つの引込み部をさらに有する。
【0006】
電子コンポーネント用のこのような公知のケーシングの製造にはコストがかかる。特にケーシングの側壁に複数の引込み部を入れることは問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これに対して本発明は、特に装着式レーザモジュールとして構成される電子コンポーネント用のケーシングを提供するという課題を有しており、ここでこのケーシングは、容易に製造することができ、かつ、頑強に構成されており、特に高い温度安定性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のこの課題は、請求項1に記載した電子コンポーネント用のケーシングによってほとんど解決され、及び、本発明によるケーシングを含みかつ熱電クーラ及びレーザダイオードが装着されたレーザモジュールによって解決される。
【0009】
本発明の有利な実施形態及び発展形態は、従属請求項に記載した発明、明細書及び図面から明らかである。
【0010】
本発明は、電子コンポーネント用のケーシングに関する。
【0011】
本発明は、特にレーザダイオード用のケーシングに関する。本発明は特別には、取付状態において気密に閉じられるケーシングに関しており、このケーシングは有利には10ピンパッケージとして構成されている。
【0012】
このケーシングには、上面及び下面を備えた基体が含まれている。下面は、取付状態においてプリント基板側を向いている面である。
【0013】
上面と下面との間には、電子コンポーネント用の取付領域が配置されている。
【0014】
上記基体は特に、バスタブ状に構成されており、したがって複数の側壁が含まれており、これらの側壁の間に取付領域が配置されている。
【0015】
この基体は、1つ以上の電子コンポーネントを取り付けた後、カバーによって閉じることができる。
【0016】
さらに基体には、光導体用の引込み部を備えた側壁が含まれている。
【0017】
最も簡単なケースでは上記引込み部は、貫通孔として構成される。
【0018】
一般的に光導体は、スリーブによって取り付けられ、このスリーブは、基体に溶接されるか又はろう接され、かつこのスリーブでは光導体が注封材料、特にろう内に配置されている。
【0019】
このスリーブは、基体の一部であってもよく、特に基体と一体に形成可能である。
【0020】
本発明によれば、基体の底部には、熱電クーラ用のヒートシンクも、電子コンポーネントを接触接続する複数のピン用の複数の引込み部も共に含まれている。
【0021】
これらのピンは、有利には金属からなる基体とは反対側で注封材料内に埋め込まれている。
【0022】
特に引込み部はガラス封止部として、有利には圧縮ガラス封止部として構成されている。
【0023】
圧縮ガラス封止部は、例えば、ガラスリングと共にピンをそれぞれ底部の貫通孔にはめ込むことによって得られる。つぎにコンポーネントが加熱されると、ソルダガラスが溶融する。このようにしてガラス封止された引込み部の冷却時にはこの貫通孔は、基体の材料の熱膨張係数がより大きいことに起因してより強く縮まり、隣接する基体とのその材料結合に加えてガラス引込み部を圧着する。
【0024】
熱電クーラ用のヒートシンクも同様に基体の底部に配置されている。したがってピンと熱電クーラとは同じ側から取り付けられ、これによって製造が簡単になる。
【0025】
引込み部をガラス封止部として構成する場合は特に、部材の加熱による処理ステップにおいて、このガラス封止部が作製されるのと同時にヒートシンクが基体に硬ろう付けされるようにする。
【0026】
上記のピン用の引込み部は有利にはヒートシンクの横に配置される。
【0027】
ここでは特に、底部においてヒートシンクがケーシングの主延在方向に沿って延在するようにし、この際に複数のピンは、両側で複数の列になってヒートシンクの横に延在する。
【0028】
ヒートシンクは、本発明の一実施形態に行われるように、基体の底部を越えて突出する。この領域には特に、ケーシングを固定するため、孔又は切欠き部のような形状結合要素を設けることができる。
【0029】
ここでは特に、電子コンポーネントを取り付けるケーシングが、表面実装(SMD、surface mounted device)のための電子部材として提供されるようにする。
【0030】
この際にはピンは、引込み部の下側で側方に曲げられ、基体を越えて、側方に突き出ている。
【0031】
ピンはヒートシンクから離隔されているため、ヒートシンクとピンとの間には絶縁部は不要である。この距離は、(プリント基板、パッケージの)異なる熱膨張係数によって引き起こされる、発生する複数の機械的な応力を補償するためにも使用される。これにより、注封材料へのこれらの応力の印加が低減され、封止の信頼性が高められる。ヒートシンクと、これらのピンとの距離は有利には、少なくとも0.2mmである。
【0032】
特にSMD部材では、ヒートシンクが、その取り付けのために形状結合要素を含むとよい。
【0033】
しかしながら別の実施形態では、差し込み取り付けのための部材として、本発明によるケーシングを構成してもよい。これらのピンは、曲げられることはなく、底部からまっすぐ突き出ている。このような部材では一般に、ろう付けされたピンに加えてこれをボードに固定する必要はない。
【0034】
本発明の有利な一実施形態では、基体は、深絞り部材として形成される。
【0035】
基体は有利には金属、特に鋼又は鉄ニッケル合金からなる。
【0036】
基体は有利には、5〜20ppm/K、特に有利には11〜15ppm/Kの熱膨張係数を有する。
【0037】
本発明の発展形態では、基体の底部は、接触接続のためのピン用の引込み部の領域において厚みが増されて構成される。
【0038】
特にガラス封止部の周りに底部がカラーを有する底部が提供される。
【0039】
これにより、引込み部の領域における壁厚は、隣接領域よりも大きく、これにより、有利には深絞り部材として構成される基体の壁厚が小さくても、有利にはガラス封止部として構成される引込み部に対し、十分に長い距離が得られる。
【0040】
基体の壁厚は有利には0.3〜0.7mmである。引込み部の周りに厚みが増された部分が設けられている場合、この領域における壁厚は有利には少なくとも0.1、特に有利には少なくとも0.2mm大きい。
【0041】
ヒートシンクは有利には、基体よりも大きな熱膨張係数を有する。ヒートシンクは有利には銅又は銅合金から構成される。
【0042】
複数の上記部材を接続した後、例えば硬ろう付け及び引込み部のガラス封止により、比較的大きな熱膨張係数に起因してヒートシンクは比較的大きく縮み、これによってこのガラス封止部に加わる基体の圧力の異方性が引き起こされ得る。
【0043】
しかしながら動作時にはヒートシンクは再び膨張し、この膨張は再度上記の異方性に対向するため、例えば鋼/銅の材料を組み合わせたのにも拘わらず、高い温度安定性が得られる。
【0044】
しかしながら基体に取り付けたヒートシンクは、本発明の一実施形態において行われているように、上で説明した異方性が大きくなり過ぎないようにするため、引込み部の縁部から最小距離を有するとよい。
【0045】
しかしながら少なくとも0.15、有利には少なくとも0.2mmの、ガラス挿入部の縁部とヒートシンクとの距離で十分である。特にこの距離は0.7未満、有利には0.3mm未満である。
【0046】
本発明の発展形態において基体の底部は、ヒートシンク用の開口部を有する。
【0047】
これによってヒートシンクに直接、上記電子コンポーネント、特に熱電クーラを取り付けることができる。
【0048】
一実施形態によれば、ヒートシンクは、底部の下面に固定される。特にこの実施形態において、ろうは基体の底部の表面に配置され、これにより、部材をろう付けするための十分に大きな面積が保証される。
【0049】
ヒートシンクは、特にこの実施形態において、台も含んでおり、この台は底部の開口部内に突出しているか又はケーシング内部において底部を越えて突き出ており、これによって取付領域内に突入している。これにより、場合によっては、電子コンポーネントに接触接続するためのワイヤの長さを低減することができる。
【0050】
本発明の一実施形態ではヒートシンクに、熱膨張係数の異なる少なくとも2つの材料が含まれている。
【0051】
これにより、例えば、ヒートシンクの台をこのヒートシンクの残りの部分よりも熱膨張係数の低い材料から形成して、熱電クーラの熱膨張係数に適合させるようにする。
【0052】
しかしながら、別の実施形態において行われているように、ヒートシンクと基体との接続を基体の開口部の側壁において行うことも考えられる。
【0053】
本発明の一発展形態において基体には形状結合要素が含まれており、これによって取付ツールにおいてただ1つのはめ込み方向が許容される。この基体はしたがって、例えば非対称に形成されているか又は切欠き部又は凹部を有することができ、これによって基体は取り付け時に1つの方向だけにはめ込むことができる。このことによっても取り付けが容易になる。
【0054】
少なくとも基体は有利にはコーティングをさらに有する。特に基体はニッケル又は金メッキされる。
【0055】
本発明の一発展形態において基体及び/又は基体が接合されるカバーには、周囲を取り囲む垂直部分が含まれている。これにより、抵抗溶接を用いて基体とカバーとを特に簡単に接合することができる。この際には基体とカバーとの間に十分な大きな電流を入れるだけでよい。上記垂直部分の領域において電流密度が最大になるため、この領域では、特に容易に溶接接合部が形成される。
【0056】
択一的にはシーム溶接を用いて基体とカバーとを接合することも考えられる。
【0057】
上記ケーシングを含むレーザモジュールは特に、少なくとも200mW、有利には少なくとも350mWの最大出力電力を有する高出力レーザダイオードを備えたレーザモジュールとして構成される。
【0058】
レーザモジュールは特に、サーミスタが設けられている10ピンパッケージであり、ここではこのサーミスタを介し、熱電クーラを用いてレーザダイオードの温度を制御することができる。
【0059】
このサーミスタを別個の部材として構成する必要はなく、例えばレーザダイオードの一部分又は熱電クーラの一部分であってもよいことは明らかである。
【0060】
したがってこのレーザダイオードによって有利には、900〜1000nmの波長のビームが放射される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】電子コンポーネント用ケーシングの第1実施例の斜視図である。
図2】電子コンポーネント用ケーシングの第1実施例の別の斜視図である。
図3図1の断面図である。
図4図3の詳細図である。
図5】光導体を接続するためのスリーブを示す図である。
図6】冷却素子の実施形態を示す図である。
図7】冷却素子の別の実施形態を示す図である。
図8】冷却素子のさらに別の実施形態を示す図である。
図9】ケーシングの別の実施形態を示す図である。
図10】ケーシングの別の実施形態を示す図である。
図11】ケーシングの別の実施形態を示す図である。
図12】ケーシングの一実施例の基体の斜視図である。
図13図12の断面図である。
図14図12の詳細図である。
図15】基体の別の実施形態を示す斜視図である。
図16】基体の別の実施形態を示す別の斜視図である。
図17】同様に基体の別の実施形態を示す斜視図である。
図18】同様に基体の別の実施形態を示す別の斜視図である。
図19】ケーシングの別の実施例の斜視図である。
図20図19の断面図である。
図21】ケーシングの別の実施形態の斜視図である。
図22図21に示したケーシングの断面図である。
図23】ケーシングのさらに別の実施形態の斜視図である。
図24図23に示したケーシングの断面図である。
図25】ケーシングのさらに別の実施形態の斜視図である。
図26図25に示したケーシングの断面図である。
図27】ケーシングのさらに別の実施形態の斜視図である。
図28図27に示したケーシングの断面図である。
図29】6個のピンだけを有するケーシングの斜視図である。
図30図29のケーシングの部分断面図である。
図31図29に示したケーシングの断面図である。
図32】装着されたケーシングの実施例を示す断面図である。
図33】図示したすべての実施形態に使用可能なカバーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下では図1図33を参照し、本発明の複数の実施例に基づいて本発明を説明する。
【0063】
図面の詳細な説明
図1には、電子コンポーネント用、特にレーザダイオード用のケーシング1の下面3が見える斜視図で示されている。
【0064】
ケーシング1には、実質的に平行六面体状に構成されたバスタブ状の基体9が含まれている。
【0065】
基体の下面3が見えるこの図において見て取れるのは、基体9の底部から引き出されている複数のピン2である。
【0066】
ピン2は、2列で延在している。
【0067】
ピン2の間には銅ないしは熱伝導率の高い別の金属からなるヒートシンク5が設けられている。
【0068】
ヒートシンク5は、基体9の底部を越えて突出しており、かつ、一方の側に孔6を、また他方の側に複数の切欠き部7を有しており、これらは、ケーシング1を固定するための形状結合要素として使用される。
【0069】
図2は、ケーシング1の基体9の上面4の方向から見た斜視図である。
【0070】
バスタブ状の基体9が、その内部で(図示しない)電子コンポーネント用の取付領域を構成していることがわかる。
【0071】
ピン2は、その端部にコンタクト10を有しており、このコンタクト10は、ケーシング1の内部空間に配置されている。
【0072】
コンタクト10を介して、ケーシング内に設けられた電子コンポーネントが接触接続される。
【0073】
ケーシング1は特に、レーザダイオード、熱電クーラ用及びサーミスタ用の2つずつのコンタクトを有し得る。
【0074】
さらに孔として構成された引込み部11を見て取ることができ、この引込み部11を介して(図示しない)光導体を差し込んで、この光導体がレーザダイオードに結合される。
【0075】
この実施例において基体9の底部8には開口部が含まれており、この開口部を通して、内部空間からヒートシンク5にアクセスすることができる。これにより、このケーシングにおいて複数の電子コンポーネントを直接ヒートシンク5に固定することができる。
【0076】
図3には、図1及び図2に示したケーシングの断面図が、ケーシングの短辺の方向で示されている。
【0077】
ピン2をケーシングの内部空間にガイドする引込み部14を基体9が有することが見て取れる。
【0078】
さらに見て取れるのは、ヒートシンク5が、プレート12及び台13から構成されることである。台13により、ヒートシンクは基体9に接続されている。
【0079】
図4は、引込み部14の領域Aの詳細図である。
【0080】
ピン2は、ガラス封止部15によって基体の底部8にはめ込まれている。
【0081】
この実施例においてピン2は、直径が拡大されたコンタクト10を有しており、このコンタクト10には、電子コンポーネントを接触接続するための複数のワイヤを被着することができる。
【0082】
さらにこの実施例ではガラス封止部15の深さを大きくするため、底部8の開口部に、はめ込み部16が導入されている。このはめ込み部16は、例えば、硬ろう付け又は溶接することが可能である。これにより、この引込み部の長さは、底部だけによって実現可能な長さよりも長くなる。
【0083】
図5a及び図5bは、図示したすべての実施形態において光導体を接続するために使用可能であるようなスリーブ17の概略断面図である。
【0084】
図5aに示したスリーブ17は、基体の引込み部に係止するために構成されている。
【0085】
図5bに示したスリーブ17の実施形態は、フランジを有しており、これを介してこのスリーブを溶接することができる。
【0086】
すなわちスリーブ17は、本発明の有利な実施形態において、基体に溶接又はろう接される別の部材として構成されている。これによって上記の基体を深絞り部材として供給することができる。
【0087】
図6図8には、ヒートシンクの種々異なる実施例の斜視図が示されている。
【0088】
図6に示したヒートシンク5は、ケーシングを固定するための形状結合要素として使用される複数の孔6を有している。
【0089】
このヒートシンク5は、ヒートシンク5の端部の間に、主延在方向に対して横方向に見た縁部側に延在している複数の切欠き部18を有する。これらの切欠き部18の領域において、ヒートシンク5の横から複数のピンを引き出すことができる。
【0090】
図7には、プレートとして構成された簡単なヒートシンク5が示されている。このようなヒートシンク5は特に、差し込み式コンポーネントとして構成されるケーシングに関連して設けられる。なぜならばこのケーシングは一般的に、はんだ付けされたピンだけによって固定されるからである。
【0091】
図8にはヒートシンクの一実施形態が示されており、ここではヒートシンクは、プレート12と、このプレート12から突出した台と、から構成されている。このプレート12はここでも形状結合要素、特に取り付けための複数の孔を有する。
【0092】
台13は、前面が基体の底部に固定されるか又は基体の開口部内に突出するかのいずれかが可能である。
【0093】
さらに台13を介し、取付状態において、ボードからの基体の距離を大きくすることができ、これによって得られる中間空間において、側方に遠ざかるようにピンをガイドする。
【0094】
台13を備えたこのようなヒートシンク5は有利には、一体の部材として、特にフライス加工部材として供給される。しかしながら例えばプレート12にろう付けされる台13により、ヒートシンク5を2つの部材から構成することも考えられる。
【0095】
ヒートシンクは、同様の複数の材料から構成することも、異なる2つの材料からなるハイブリッド材料として構成することも共に考えられる。このアプローチにより、例えば、熱電クーラに適合させた熱膨張係数の低い材料から台を形成し、熱伝導率の高い材料からヒートシンクを形成する可能性が得られる。
【0096】
図9は、ケーシング1の別の実施形態の斜視図である。
【0097】
このケーシング1はここでもバスタブ状に形成された基体9を有しており、その下面にはヒートシンク5が取り付けられている。ピン2は、側方に遠ざかるようにガイドされており、これはSMDコンポーネントである。
【0098】
取付状態においてカバー19を用いて、基体9を閉じることができる。カバー19は有利には溶接される。
【0099】
図10は、ケーシングの長手面に沿った図9の断面図である。
【0100】
ここでも、光導体用の引込み部11を備えかつ深絞り部材として構成された基体9が見て取れる。
【0101】
さらに見て取れるのは、ヒートシンク5が台を有しており、この台が基体9の底部8の前面に固定されていることである。この接合は硬ろう付けによって行われ、この実施例では簡単に、周囲を取り囲むろう付け部24の十分に大きな面積を得ることができる。
【0102】
図11は、ケーシング1の下面を見た平面図である。ここでは、ヒートシンク5の横に出る複数のピン2を見て取ることができ、これらのピンは、側方に遠ざかるようにガイドされている。
【0103】
ピン2aだけが引込み部を通らずに延在しており、基体に直接、接続されている。なぜならばこのピン2aはアース端子として使用されているからである。
【0104】
図12は、基体9の一実施例の斜視図である。
【0105】
この基体9もバスタブ状に構成されている。
【0106】
基体9は、光導体用の引込み部11を側壁に有している。
【0107】
基体9の底部はその下面に、矩形に形成された開口部21をさらに有しており、この開口部21を介して、完成したケーシングのヒートシンクが内部空間から露出される。
【0108】
さらにケーシング内に取り付けられた電子コンポーネントを接続するための複数のピン用の別の9つの引込み部14が見て取れる。
【0109】
図13は、図12に示した基体9の断面図である。
【0110】
ここには引込み部14が見て取れる。
【0111】
図14は、図13の領域Bの拡大図である。
【0112】
ここで見て取れるのは、基体の底部が、引込み部14の領域にカラー20を有しており、したがって引込み部14のこの領域において、隣接する領域よりも壁厚が厚いことである。これにより、壁厚の薄い深絞り部材であっても、引込み部14に埋め込まれるガラス封止部は十分に長くなる。
【0113】
引込み部14の周りのカラーのこのような厚み付けは有利には、型押しにより、例えば深絞りなどとほぼ同時に行われる。
【0114】
図15及び図16は、基体9の別の実施形態の斜視図である。
【0115】
図15において見て取れるように、この基体9も、光導体用の引込み部を備えた側壁を有する。
【0116】
さらに見て取れるのは、一方の側面において、凹部22が短辺の側壁23に突出していることである。
【0117】
特に図16において良好に見て取れるように凹部22を介して、容易に形状結合要素が得られ、この形状結合要素は、取り付け時に一方の方向だけに基体9を(図示しない)取付ツールにはめ込むことができるようにする。
【0118】
図17及び図18は、基体9の別の実施形態の斜視図である。
【0119】
図17において見て取れるように、底部8は、ピン用の引込み部14の領域において、この実施例では厚みが増されずに構成されている。
【0120】
しかしながらこの底部も同様にヒートシンク用の開口部21を有する。
【0121】
図18において見て取れるのは、前に示した別の複数の実施例と同様に基体9が、その上面4にカラーを有することであり、このカラーにはカバーを取り付けることができる。
【0122】
図19には、ケーシング1の別の実施例が斜視図で示されている。
【0123】
このケーシング1では簡単なプレート状のヒートシンク5が基体9に載置されている。
【0124】
ここではピン2は曲げられておらず、底部からまっすぐ出て延在している。したがってこのコンポーネントは、差し込み取り付けのために構成されている。
【0125】
図20は、図19の断面図である。
【0126】
ここでは、引込み部を通してガイドされている、電子コンポーネントの接触接続のためのピン2と、アース端子として使用されるピン2aと、が見て取れる。
【0127】
底部8には開口部が含まれており、プレート状のヒートシンクは、ケーシングの内部空間に突出することなく、前面が底部8にろう付けされている。これにより、例えば比較的厚いコンポーネントを取り付ける際にはさらなる構成スペースが得られる。
【0128】
図21は、SMD取り付けのために構成されたケーシングの別の実施例である。
【0129】
このため、骨形状に構成されたヒートシンク5の横に配置されている複数のピン2が、側方に向かって曲げられている。
【0130】
図22は、図21の断面図である。
【0131】
この実施例では、基体9の底部8が、ヒートシンク5用の開口部を有していないことが見て取れる。
【0132】
本発明のこの実施例において冷却はむしろ、ヒートシンク5への基体の底部8の熱伝導によって行われる。基体は有利には、壁厚の薄い深絞り部材として構成されているため、多くの場合には、底部に開口部を入れる必要はない。
【0133】
図23及び図24には、ケーシングの別の実施形態が示されている。
【0134】
この実施形態においてヒートシンク5は、特に図23において見て取れるように、プレート12及び延長部13を有する。
【0135】
図24の断面図において見て取れるように延長部13は、底部8の開口部にはめ込まれている。
【0136】
したがってろう付け部24は、側面に配置されている。
【0137】
本発明のこの実施例では、ケーシング1の内部空間においてヒートシンク5は底部8と面一になっている。
【0138】
図25には、ヒートシンク5を備えたケーシングの別の実施例の、斜視図による実施形態が示されている。
【0139】
図26に示した断面図において見て取れるように、ピン2、2aはヒートシンク5の横で側方に遠ざかるようにガイドされている。
【0140】
側方に遠ざかるようにガイドされるこれらのピンは、ヒートシンク5とほぼ同じ高さにあるのに対し、図23及び図24に示した実施例では、ヒートシンク5は、このヒートシンク5の下面がピンから離隔されるような高さを有している。
【0141】
図27及び図28には、ケーシング1の別の実施形態が示されている。図27において見て取れるように、ケーシング1は、バスタブ状の基体9及びヒートシンク5を有しており、このヒートシンク5は、下面から見ると、図21に示した実施形態と同じである。
【0142】
図28において見て取れるように、ヒートシンク5は台13を有しており、この台13は、基体の下面にろう付けされている。基体9の底部8は、開口部21を有しているため、ヒートシンク5の台13に直接、電子コンポーネントを載置することができる。
【0143】
しかしながらろう付け部24は、底部8の下面にあり、したがって図26に示した実施形態とは異なり、側面に形成されてはいない。
【0144】
この実施例においてもピン2及びピン2aは、側方に遠ざかるようにガイドされており、これはSMDコンポーネントである。
【0145】
図29には、6個のピンだけを有するケーシング1の別の実施例が示されている。
【0146】
このケーシング1にはヒートシンク5が含まれている。
【0147】
ピン2は、側方に曲げられており、これはSMDコンポーネントである。
【0148】
図30は、図29の部分断面図である。
【0149】
この実施例において見て取れるのは、ヒートシンクの実質的に円形の延長部13がケーシングの内部空間に突出していることである。
【0150】
これにより、引込み部14を通って延在するピンのコンタクトの高さに、このケーシングに取り付けられるコンポーネントの高さを適合させることができる。
【0151】
図31に示した断面図において見て取れるのは、ヒートシンクの延長部13が、ケーシングの内部空間25に突出していることである。
【0152】
ろう付け部24は、この実施例において側面に形成されている。
【0153】
図32には、装着されたケーシング、したがってレーザモジュール30の断面図が示されている。
【0154】
この実施例のレーザモジュール30には、曲げられたピン2が含まれており、SMDコンポーネントとして構成されている。
【0155】
ヒートシンク5は、基体9のケーシングの底部における開口部を通してはめ込まれている。
【0156】
これにより、ペルチェ素子として構成された熱電クーラ26をヒートシンク5に直接、載置することができる。
【0157】
熱電クーラ26は、ワイヤ28を介してピン2に接続されている。
【0158】
熱電クーラ26には高出力レーザダイオード27が取り付けられている。
【0159】
このレーザダイオード27も、複数のピンにまで延在するワイヤを介して接触していることは明らかであるが、この図ではこれらのワイヤを見て取ることはできない。
【0160】
レーザモジュール30は有利にはサーミスタもさらに有しており、このサーミスタを介して熱電冷却素子26を駆動制御し、これによって動作時にはレーザダイオード27の温度が一定に維持される。
【0161】
図33には、カバー19の詳細図が示されており、このカバー19により、図32に示したケーシングを、また別の複数の実施例に示したケーシングも閉じることができる。
【0162】
カバー19は、周囲を取り囲む垂直部分29を有しており、この垂直部分29は、抵抗溶接を用いて基体にカバー19を固定するのに使用される。
【0163】
基体のカラーにカバー19を載置すると、抵抗溶接時に電流密度が垂直部分29の領域において最大になるため、ここでこれらの部材を互いに溶接する加熱が行われる。
【0164】
垂直部分29を基体のカラーに取り付ける(図示せず)ことも同様に大いに考えられる。
【0165】
択一的には垂直部分のないカバーを使用することも考えられる。このカバーは、例えばシーム溶接を用いて取り付けることが可能である。
【0166】
本発明により、レーザダイオードのような高出力コンポーネントに対して高い耐熱性を備えかつ容易に製造可能なケーシングを得ることができた。
【符号の説明】
【0167】
1 ケーシング
2 ピン
2a グランドピン
3 下面
4 上面
5 ヒートシンク
6 孔
7 切欠き部
8 底部
9 基体
10 コンタクト
11 引込み部
12 プレート
13 台
14 引込み部
15 ガラス封止部
16 はめ込み部
17 スリーブ
18 切欠き部
19 カバー
20 カラー
21 開口部
22 凹部
23 側壁
24 ろう付け部
25 内部空間
26 熱電クーラ
27 レーザダイオード
28 ワイヤ
29 垂直部分
30 レーザモジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33