【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のこの課題は、請求項1に記載した電子コンポーネント用のケーシングによってほとんど解決され、及び、本発明によるケーシングを含みかつ熱電クーラ及びレーザダイオードが装着されたレーザモジュールによって解決される。
【0009】
本発明の有利な実施形態及び発展形態は、従属請求項に記載した発明、明細書及び図面から明らかである。
【0010】
本発明は、電子コンポーネント用のケーシングに関する。
【0011】
本発明は、特にレーザダイオード用のケーシングに関する。本発明は特別には、取付状態において気密に閉じられるケーシングに関しており、このケーシングは有利には10ピンパッケージとして構成されている。
【0012】
このケーシングには、上面及び下面を備えた基体が含まれている。下面は、取付状態においてプリント基板側を向いている面である。
【0013】
上面と下面との間には、電子コンポーネント用の取付領域が配置されている。
【0014】
上記基体は特に、バスタブ状に構成されており、したがって複数の側壁が含まれており、これらの側壁の間に取付領域が配置されている。
【0015】
この基体は、1つ以上の電子コンポーネントを取り付けた後、カバーによって閉じることができる。
【0016】
さらに基体には、光導体用の引込み部を備えた側壁が含まれている。
【0017】
最も簡単なケースでは上記引込み部は、貫通孔として構成される。
【0018】
一般的に光導体は、スリーブによって取り付けられ、このスリーブは、基体に溶接されるか又はろう接され、かつこのスリーブでは光導体が注封材料、特にろう内に配置されている。
【0019】
このスリーブは、基体の一部であってもよく、特に基体と一体に形成可能である。
【0020】
本発明によれば、基体の底部には、熱電クーラ用のヒートシンクも、電子コンポーネントを接触接続する複数のピン用の複数の引込み部も共に含まれている。
【0021】
これらのピンは、有利には金属からなる基体とは反対側で注封材料内に埋め込まれている。
【0022】
特に引込み部はガラス封止部として、有利には圧縮ガラス封止部として構成されている。
【0023】
圧縮ガラス封止部は、例えば、ガラスリングと共にピンをそれぞれ底部の貫通孔にはめ込むことによって得られる。つぎにコンポーネントが加熱されると、ソルダガラスが溶融する。このようにしてガラス封止された引込み部の冷却時にはこの貫通孔は、基体の材料の熱膨張係数がより大きいことに起因してより強く縮まり、隣接する基体とのその材料結合に加えてガラス引込み部を圧着する。
【0024】
熱電クーラ用のヒートシンクも同様に基体の底部に配置されている。したがってピンと熱電クーラとは同じ側から取り付けられ、これによって製造が簡単になる。
【0025】
引込み部をガラス封止部として構成する場合は特に、部材の加熱による処理ステップにおいて、このガラス封止部が作製されるのと同時にヒートシンクが基体に硬ろう付けされるようにする。
【0026】
上記のピン用の引込み部は有利にはヒートシンクの横に配置される。
【0027】
ここでは特に、底部においてヒートシンクがケーシングの主延在方向に沿って延在するようにし、この際に複数のピンは、両側で複数の列になってヒートシンクの横に延在する。
【0028】
ヒートシンクは、本発明の一実施形態に行われるように、基体の底部を越えて突出する。この領域には特に、ケーシングを固定するため、孔又は切欠き部のような形状結合要素を設けることができる。
【0029】
ここでは特に、電子コンポーネントを取り付けるケーシングが、表面実装(SMD、surface mounted device)のための電子部材として提供されるようにする。
【0030】
この際にはピンは、引込み部の下側で側方に曲げられ、基体を越えて、側方に突き出ている。
【0031】
ピンはヒートシンクから離隔されているため、ヒートシンクとピンとの間には絶縁部は不要である。この距離は、(プリント基板、パッケージの)異なる熱膨張係数によって引き起こされる、発生する複数の機械的な応力を補償するためにも使用される。これにより、注封材料へのこれらの応力の印加が低減され、封止の信頼性が高められる。ヒートシンクと、これらのピンとの距離は有利には、少なくとも0.2mmである。
【0032】
特にSMD部材では、ヒートシンクが、その取り付けのために形状結合要素を含むとよい。
【0033】
しかしながら別の実施形態では、差し込み取り付けのための部材として、本発明によるケーシングを構成してもよい。これらのピンは、曲げられることはなく、底部からまっすぐ突き出ている。このような部材では一般に、ろう付けされたピンに加えてこれをボードに固定する必要はない。
【0034】
本発明の有利な一実施形態では、基体は、深絞り部材として形成される。
【0035】
基体は有利には金属、特に鋼又は鉄ニッケル合金からなる。
【0036】
基体は有利には、5〜20ppm/K、特に有利には11〜15ppm/Kの熱膨張係数を有する。
【0037】
本発明の発展形態では、基体の底部は、接触接続のためのピン用の引込み部の領域において厚みが増されて構成される。
【0038】
特にガラス封止部の周りに底部がカラーを有する底部が提供される。
【0039】
これにより、引込み部の領域における壁厚は、隣接領域よりも大きく、これにより、有利には深絞り部材として構成される基体の壁厚が小さくても、有利にはガラス封止部として構成される引込み部に対し、十分に長い距離が得られる。
【0040】
基体の壁厚は有利には0.3〜0.7mmである。引込み部の周りに厚みが増された部分が設けられている場合、この領域における壁厚は有利には少なくとも0.1、特に有利には少なくとも0.2mm大きい。
【0041】
ヒートシンクは有利には、基体よりも大きな熱膨張係数を有する。ヒートシンクは有利には銅又は銅合金から構成される。
【0042】
複数の上記部材を接続した後、例えば硬ろう付け及び引込み部のガラス封止により、比較的大きな熱膨張係数に起因してヒートシンクは比較的大きく縮み、これによってこのガラス封止部に加わる基体の圧力の異方性が引き起こされ得る。
【0043】
しかしながら動作時にはヒートシンクは再び膨張し、この膨張は再度上記の異方性に対向するため、例えば鋼/銅の材料を組み合わせたのにも拘わらず、高い温度安定性が得られる。
【0044】
しかしながら基体に取り付けたヒートシンクは、本発明の一実施形態において行われているように、上で説明した異方性が大きくなり過ぎないようにするため、引込み部の縁部から最小距離を有するとよい。
【0045】
しかしながら少なくとも0.15、有利には少なくとも0.2mmの、ガラス挿入部の縁部とヒートシンクとの距離で十分である。特にこの距離は0.7未満、有利には0.3mm未満である。
【0046】
本発明の発展形態において基体の底部は、ヒートシンク用の開口部を有する。
【0047】
これによってヒートシンクに直接、上記電子コンポーネント、特に熱電クーラを取り付けることができる。
【0048】
一実施形態によれば、ヒートシンクは、底部の下面に固定される。特にこの実施形態において、ろうは基体の底部の表面に配置され、これにより、部材をろう付けするための十分に大きな面積が保証される。
【0049】
ヒートシンクは、特にこの実施形態において、台も含んでおり、この台は底部の開口部内に突出しているか又はケーシング内部において底部を越えて突き出ており、これによって取付領域内に突入している。これにより、場合によっては、電子コンポーネントに接触接続するためのワイヤの長さを低減することができる。
【0050】
本発明の一実施形態ではヒートシンクに、熱膨張係数の異なる少なくとも2つの材料が含まれている。
【0051】
これにより、例えば、ヒートシンクの台をこのヒートシンクの残りの部分よりも熱膨張係数の低い材料から形成して、熱電クーラの熱膨張係数に適合させるようにする。
【0052】
しかしながら、別の実施形態において行われているように、ヒートシンクと基体との接続を基体の開口部の側壁において行うことも考えられる。
【0053】
本発明の一発展形態において基体には形状結合要素が含まれており、これによって取付ツールにおいてただ1つのはめ込み方向が許容される。この基体はしたがって、例えば非対称に形成されているか又は切欠き部又は凹部を有することができ、これによって基体は取り付け時に1つの方向だけにはめ込むことができる。このことによっても取り付けが容易になる。
【0054】
少なくとも基体は有利にはコーティングをさらに有する。特に基体はニッケル又は金メッキされる。
【0055】
本発明の一発展形態において基体及び/又は基体が接合されるカバーには、周囲を取り囲む垂直部分が含まれている。これにより、抵抗溶接を用いて基体とカバーとを特に簡単に接合することができる。この際には基体とカバーとの間に十分な大きな電流を入れるだけでよい。上記垂直部分の領域において電流密度が最大になるため、この領域では、特に容易に溶接接合部が形成される。
【0056】
択一的にはシーム溶接を用いて基体とカバーとを接合することも考えられる。
【0057】
上記ケーシングを含むレーザモジュールは特に、少なくとも200mW、有利には少なくとも350mWの最大出力電力を有する高出力レーザダイオードを備えたレーザモジュールとして構成される。
【0058】
レーザモジュールは特に、サーミスタが設けられている10ピンパッケージであり、ここではこのサーミスタを介し、熱電クーラを用いてレーザダイオードの温度を制御することができる。
【0059】
このサーミスタを別個の部材として構成する必要はなく、例えばレーザダイオードの一部分又は熱電クーラの一部分であってもよいことは明らかである。
【0060】
したがってこのレーザダイオードによって有利には、900〜1000nmの波長のビームが放射される。