(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、複雑化により高い精度や技術が求められる診療内容を実習することができる歯科診療実習装置及び歯科診療実習システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、歯科模型に対して診療器具を作用させて模擬診療する歯科診療実習装置であって、前記歯科模型及び前記診療器具に関する既知三次元情報に基づく画像情報を実習者の視野に重畳表示する表示部と、前記歯科模型、前記診療器具及び前記表示部の三次元位置情報を検出する三次元位置検出部と、前記模擬診療に関する項目を選択する選択部と、該三次元位置検出部によって検出された三次元位置情報に基づいて、該選択部で選択された項目に応じた、少なくとも不可視部分の前記画像情報を前記表示部に重畳表示する表示制御部とが備えられ、前記選択部は、使用する前記診療器具を選択する器具選択部が備えられ、前記表示制御部が、前記器具選択部で選択された前記診療器具の取出しが検出され、前記
三次元位置検出部が取出した前記診療器具の三次元位置を検出し、前記診療器具の前記既知三次元情報を重畳表示するとともに、前記模擬診療中における前記歯科模型に対する前記診療器具の作用状態を前記表示部に重畳表示し、前記診療器具が前記歯科模型を切削する切削器具であり、前記診療器具の作用状態を前記表示部に重畳表示する状態表示画像が、予め設定され、該切削器具で切削する前記歯科模型における切削到達点に対する前記切削器具の先端の相対位置を表示し、前記状態表示画像は、前記歯科模型に設ける孔の中心を鉛直方向から見た第一方向と第二方向の基準線が十字状に設けられ、前記孔の中心である十字状の交点に中心を合わせた円形の円形インジケータであり、該円形インジケータには、前記切削器具の基端部付近の平面方向位置を示す切削器具点と、前記円形インジケータと同心上に配置され、前記切削器具の先端と、前記孔の先端との深さ方向の残差距離を示す円形の先端位置表示リングとを表示することを特徴とする。
【0008】
上記診療器具は、ファイルやリーマ、切削バーなどの切削工具を装着したハンドピース、エアータービンハンドピース、レーザ光を照射するレーザハンドピース、スケーラハンドピース、口腔内カメラ、三次元口腔スキャナ、あるいは光重合照射器など歯牙の診療に用いる器具のみならず、ファイルやリーマ、切削バーなどの切削工具単体としてもよい。したがって、上述の診療器具を作用させるとは、例えば、歯科模型に対して診療器具で切削したりスケーリングしたり何らかの処置を行うことをいう。
【0009】
上記模擬診療は、歯牙に対して診療器具を用いて行う施術を歯科模型に対して実施する実習のため診療であることを指す。
上述の歯科模型及び前記診療器具に関する既知三次元情報は、形状や構造に関する三次元情報であり、殊に、歯牙や顎骨あるいは歯科模型の既知三次元情報としては、歯牙や顎骨などのX線CT撮影によって得られた三次元情報や、現実のX線CT撮影を模した三次元情報であってもよい。
【0010】
実習者の視野に重畳表示する表示部は、ゴーグルタイプやメガネタイプなどのヘッドマウントディスプレイ(以下においてHMDという)やヘッドアップディスプレイ(以下においてHUDという)などで構成してもよい。なお、これらの表示部に画像情報を重畳表示することで、仮想現実(バーチャルリアリティ,以下、VRという)、拡張現実(以下、ARという)あるいは複合現実(以下、MRという)を実習者が知覚することとなる。
【0011】
なお、実習者の視野とは、ゴーグルタイプやメガネタイプなどの表示部を透過して目視できる視野のみならず、ゴーグルタイプやメガネタイプなどの表示部に備えられたカメラによって撮像され、表示部に表示される映像による視野としてもよい。なお、映像による視野の場合、例えば、実習内容に応じて表示倍率を適宜調整して表示部に表示してもよい。
【0012】
三次元位置検出部は、赤外線マーカを前記歯科模型、前記診療器具及び前記表示部に装着して上方に設けた赤外線カメラで三次元位置を検出する構成でよい。また、上方に設けた画像認識カメラで前記歯科模型、前記診療器具及び前記表示部をパターン認識等で画像認識することで、三次元位置を検出する構成でもよい。
【0013】
さらに、前記歯科模型、前記診療器具及び前記表示部の検出する三次元位置情報は、それぞれの絶対的三次元位置、相互の相対的三次元位置、あるいは絶対的三次元位置と相対的三次元位置との組み合わせであってもよく、前記歯科模型、前記診療器具及び前記表示部すべての相対的な三次元位置関係が直接的、あるいは間接的に検出できる情報である。
【0014】
上記不可視部分は、歯牙模型や顎模型内部の意味であって施術前には視認不可能な領域である。また、診療器具における不可視部分とは、診療器具の口腔内挿入中において実際には視野に現れない部分という意味である。さらに、不可視部分とは、死角になって見えない部分のみならず、模型内部の見えない部分などとしてもよく、さらには、例えば、欠損部分や築造部分に対して補綴物により形成する形成後の形状など直接的に目視できない箇所としてもよい。つまり、上述の少なくとも不可視部分の前記画像情報は、不可視部分の画像情報のみならず、不可視部分を含む歯科模型や診療器具の全体や一部の画像情報としてもよい。
【0015】
また、上記項目とは、模擬診療に関する情報であり、個別の患者情報、患者プロフィール情報、例えばX線CT撮影情報など診断に要する診断情報、診療内容、診療器具の種類や制御等の情報、切削工具の種類や形状などの情報とし、上述の選択された項目に関する情報とは、直接選択した項目に関する情報のみならず、選択した項目に関連して派生した情報、つまり間接的に選択した項目に関する情報としてもよい。
【0016】
上記選択部は、表示部に重畳表示された項目や別途設けられたディスプレイ等に表示された項目の中から実習者のジェスチャ操作を認識して選択する機構や、音声、視線、あるいは直接的な操作等によって別途設けた物理的な選択操作部を操作して選択するものであってもよい。
【0017】
上記器具選択部における選択操作としては、選択画面に選択可能に表示された複数の診療器具を選択してもよい。また、実習者が選択して把持した診療器具を形状認識することで選択された診療器具を認識するように構成された場合においては、診療器具を選択して把持することで選択操作としてもよく、さらには、診療器具が保持されているホルダからの取り外しを検出して、選択操作としてもよい。なお、前記器具選択部は、前記切削器具を選択する切削器具選択部を兼ねていてもよい。
【0018】
上述の模擬診療中における前記歯科模型に対する前記診療器具の作用状態とは、例えば、スケーラ治療実習中における歯周ポケットにおける歯石に対するスケーラハンドピースによるスケーリング状態、根管治療実習中のファイルやリーマが根管を開削する状態、あるいはインプラント治療実習中における切削バーによる埋入孔の切削状態などをいう。
【0019】
上記切削器具は、切削工具が装着された診療器具であってもよいし、切削工具単体であってもよい。
上記切削到達点とは、根管治療における根尖設定位置や、インプラント治療においてインプラント体を埋入するための顎骨に設ける孔の先端位置などを指す。
【0020】
上述の切削到達点に対する前記切削器具の先端の相対位置は、深さ方向の離れ、平面方向のズレや傾きなどを指し、数値やポイントによって相対位置を表示してもよいし、模擬的な画像で表示してもよい、さらには、相対位置が少なくなることを、長さや径の変化で表現してもよい。
【0021】
したがって、例えば、インプラント施術においては、切削到達点を中心とする円形座標に前記切削器具の先端位置をプロットし、その円形座標の左右には、インプラント治療を行う歯牙のX線CT画像を、埋入中心軸を中心とし、それぞれで直交するX断面とY断面の断面画像として表示する。そして、そのX線断面画像上には切削器具のリアルタイムの位置に応じて切削器具の画像を重畳表示する。更に、X線CTの断面画像上には、予め切削器具の理想的な侵入方向を示す切削器具の進入軸が表示され、この進入軸と実際の切削器具との角度や位置が近づいたり離れたりすることに応じて径を変化させる円形表示が円形座標上に表示されるので、進入ガイドになることで、正確に、かつ安全に効率よい施術が行える。また、上記円形座標の下には、切削器具の切削深さを表示する表示部を設けてもよい。
【0022】
また、例えば、根管治療実習中における根管に対するファイルやリーマ等の切削器具の根管への侵入状態、切削状態を予め表示部に重畳表示する。このとき、重畳表示したX線CT撮影画像に基づく根管の断面画像上に根管長測定装置で測定した根管長を表示してもよい。
【0023】
この発明により、複雑化により高い精度や技術が求められる診療内容を実習することができる。
詳述すると、前記歯科模型及び前記診療器具に関する既知三次元情報に基づく画像情報を実習者の視野に重畳表示する表示部と、前記歯科模型、前記診療器具及び前記表示部の三次元位置情報を検出する三次元位置検出部と、該三次元位置検出部によって検出された三次元位置情報に基づいて、該選択部で選択された項目に応じた、少なくとも不可視部分の前記画像情報を前記表示部に重畳表示する表示制御部とが備えられているため、前記歯科模型、前記診療器具及び前記表示部すべての相対的な三次元位置関係を検出でき、不可視部分の画像表示を実習者の視野に適切に重畳表示できる。したがって、不可視部分であってもあたかも目視しているような状況で、複雑化により高い精度や技術が求められる模擬診療内容について正確な模擬診療を実習することができる
【0024】
また、
前記選択部は、使用する前記診療器具を選択する器具選択部が備えられ、前記表示制御部が、前記器具選択部で選択された前記診療器具の既知三次元情報を重畳表示することにより、診療内容に適する診療器具を選択して、模擬診療内容に応じた前記歯科模型と、選択した前記診療器具の既知三次元情報を重畳表示しながら、複雑な診療内容の実習をより正確に行うことができる。
【0025】
また、前記表示制御部は、模擬診療中における前記歯科模型に対する前記診療器具の作用状態を前記表示部に重畳表示することにより、目視確認しにくい箇所での模擬診療であっても、あたかも作用状態を目視しながら模擬診療できるため、より複雑な模擬診療内容について正確な模擬診療を実習することができる。
【0026】
また、前記診療器具が前記歯科模型を切削する切削器具であり、前記状態表示画像が、予め設定され、該切削器具で切削する前記歯科模型における切削到達点に対する前記切削器具の先端の相対位置を表示することにより、目視できない箇所である切削到達点に対する切削器具の位置を目視で正確に把握することができ、例えば、切削過多などの不具合の発生を防止し、より正確な模擬診療を実習することができる。
【0027】
この発明の態様として、前記歯科模型の前記既知三次元情報には歯科模型内部の三次元情報が含まれていてもよい。
この発明により、複雑な模擬診療内容であってもより正確な模擬診療を実習することができる。
【0028】
詳述すると、前記歯科模型の前記既知三次元情報には前記歯科模型内部の三次元情報が含まれていることで、歯科模型内部での模擬診療状態をあたかも目視したような状態で実習することができ、複雑な模擬診療内容であってもより正確な模擬診療を実習することができる。
【0029】
またこの発明の態様として、前記選択部は、
さらに、模擬診療内容を選択する診療選択
部が備えられ、前記表示制御部が、前記診療選択部で選択された模擬診療内容に応じた前記歯科模型の
前記既知三次元情報を重畳表示してもよい。
【0030】
上記模擬診療内容は、歯牙に対して診療器具を用いて行う治療内容であり、例えば、根管治療、インプラント治療、歯周病治療、齲蝕治療、支台歯形成、スケーリング、フラップ手術などの歯科診療における施術を歯科模型に対して模擬的に行うことである。なお、歯科医療における治療のみならず、予防診療などであってもよい。
【0031】
この発明により、所望の診療内容や予め設定された症状に適した診療内容を選択するとともに、選択した模擬診療内容に応じた前記歯科模型と、前記診療器具の既知三次元情報を重畳表示しながら、複雑な診療内容の実習をより正確に行うことができる。
【0032】
またこの発明の態様として、前記選択部は、患者に関する設定情報が予め設けられた複数の模擬患者情報のうちからいずれかを選択する患者選択部と、模擬患者情報に設けられた前記設定情報のうち模擬診療に関する設定情報を選択する設定情報選択部とが備えられ、前記表示制御部が、前記設定情報選択部で選択された前記設定情報を重畳表示してもよい。
【0033】
この発明により、選択した模擬患者に関する設定情報を選択して確認することで、設定情報に基づいて模擬患者に設定された診療内容を判断することができるため、臨床に近い実習を行うことができる。
【0034】
またこの発明は、上述の歯科診療実習装置と、少なくとも頭部を有するとともに、口腔内に前記歯科模型が交換可能に植立された
模擬患者体とで構成された歯科診療実習システムであることを特徴とする。
【0035】
この発明により、歯牙模型単体や歯牙模型が植立された顎模型に対する実習に比べて、臨場感のある診療実習を行うことができる。また、歯科模型を交換できるため、実際の診療器具で歯科模型を切削することでき、例えば、仮想画像のみで行う模擬診療する実習に比べてより臨場感のある実習を繰り返し行うことができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明により、複雑化により高い精度や技術が求められる診療内容を実習することができる歯科診療実習装置及び歯科診療実習システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明による歯科診療実習システム1および歯科診療実習システム1を用いた模擬診療実習について、
図1乃至
図21とともに説明する。
歯科診療実習システム1は、
図1に示す歯科診療実習装置2と模擬患者体100とで構成され、歯科診療実習装置2のヘッドマウントディスプレイ60(以下においてHMD60という)を装着した実習者Pが、診療器具80を用いて、チェアーユニット200に設置した模擬患者体100に対する施術を実習するシステムである。
【0039】
模擬患者体100を設置するチェアーユニット200は、
図2に示すように、背面シート201aの傾動や座面201bの昇降が可能な診療椅子201、唾液や冷却水等の吸引装置やうがいを行うための装置が装備されているベースンユニット202、操作部203、並びに、フートコントローラ204等で構成され、操作部203に複数の診療器具80を装着するホルダが設けられている。また、
図6に示すように、診療椅子201を構成する背面シート201aの肩部に診療器具80を引き出し可能に装着してもよい。
【0040】
模擬患者体100は、チェアーユニット200に設置された頭部模型で構成されており、頭部模型である模擬患者体100の口腔101(
図6)に装着した顎模型102に歯牙模型103が歯列弓に沿って着脱可能に固定されている(
図20)。なお、模擬患者体100は、
図2に破線で示すように、全身模型で構成してもよい。
【0041】
なお、
図6に示すように、模擬患者体100には、模擬患者体100における歯牙模型103の三次元位置を検出するための赤外線マーカ104を設けている。赤外線マーカ104は、3方向に枝分かれした支持部104aと、支持部104aの先端に備えたマーカ球体104bとで構成されている。この3つのマーカ球体104bを赤外線カメラで構成される位置検出部70(
図2)で検出することで、模擬患者体100の三次元位置を検出することができる。
【0042】
そして、
図16に示すように、模擬患者体100の口腔101における所定位置に、顎模型102を介して固定された歯牙模型103の三次元位置は、前記位置検出部70によって検出された三次元位置に基づいて算出することができる。なお、赤外線マーカ104は、診療椅子201を構成する背面シート201aに設けてもよい。また、赤外線マーカ104は、3つのマーカ球体104bではなく、4つ以上のマーカ球体104bを備えていてもよい。また、前記位置検出部70は、模擬患者体100の上方に設置された複数の赤外線カメラで構成されることが望ましい。
【0043】
歯科診療実習システム1を構成する歯科診療実習装置2は、
図1に示すように、制御部10、記憶部20、診療器具駆動部30、操作部40、画像処理部50、HMD60、位置検出部70及び診療器具80で構成されている。
【0044】
制御部10は、CPUとROMとRAMで構成されており、以下の機能的構成を備えている。
詳述すると、制御部10には、画像処理制御部11、HMD制御部12、位置検出制御部13、診療器具操作制御部14、ジェスチャ操作制御部15、駆動制御部16を備えている。
【0045】
画像処理制御部11は後述する画像処理部50が接続され、画像処理部50による画像処理を制御するように構成され、HMD制御部12は後述するHMD60が接続され、HMD60における画像の重畳表示処理を制御するように構成されている。
【0046】
位置検出制御部13はHMD60の三次元位置を検出するHMD位置検出制御部13a、診療器具80の位置を検出する器具位置検出制御部13b及び歯牙模型103の三次元位置を検出する歯牙模型位置検出制御部13cで構成され、後述する位置検出部70が接続され、位置検出部70によるHMD60、赤外線マーカ104及び診療器具80の三次元位置を検出する位置検出処理を制御するように構成されている。
【0047】
また、診療器具操作制御部14とジェスチャ操作制御部15とは後述する操作部40(41,42)が接続され、操作部40による操作処理を制御するように構成され、駆動制御部16は後述する診療器具駆動部30が接続され、診療器具駆動部30による診療器具80の駆動を制御するように構成されている。
【0048】
記憶部20は、実習で用いる各種情報を記憶する記憶部であり、HDDやSSDなどの記憶媒体で構成されている。そして、記憶部20は、機能的に、診療器具80、HMD60、模擬患者体100等の各種三次元位置情報を記憶する三次元情報記憶部21、実習する診療内容に応じて設定された複数の患者に関し、各患者の年齢や性別などのプロフィール情報、カルテ情報、X線CT撮影された三次元CT撮影情報などの診療するために要する診療情報や、インプラント治療におけるフィクスチャを埋入するためにあらかじめ設計した削孔情報やインプラント等の三次元形状データなどを記憶する患者情報記憶部22、診療に関し、複数の施術内容、施術のステップ、施術に必要な診療情報、施術に適した診療器具、施術のためにあらかじめ設定したパラメータなど診療に関する情報を記憶する診療情報記憶部23で構成されている。
【0049】
三次元情報記憶部21に記憶する三次元情報としては、口腔101の形状や口腔内部の歯牙の形状についての三次元情報、診療器具80の形状、切削工具91などの切削工具の長さや形状についての三次元情報、長さや形状についての三次元情報、フィクスチャ、アバットメント、スクリュー、上部構造(インプラント義歯)などインプラント治療に用いる器具の長さや形状についての三次元情報、上述の各種三次元位置情報、さらには、後述する三次元視野映像Sに重畳表示する選択操作用の三次元画像情報などが記憶されている。
【0050】
なお、記憶部20は制御部10に接続され、制御部10の制御によって、記憶する各種情報を読み書きするが、インターネット上に配置され、制御部10の制御に基づいて、インターネットを介して各種情報を読み書きするように構成されてもよい。
【0051】
診療器具駆動部30は後述する診療器具80を駆動する駆動部であり、具体的には、エアータービンハンドピース81を駆動するエアーを供給するエアータービン駆動部31、マイクロモータハンドピース82を駆動する電気を供給する電気供給部32、レーザハンドピース83を駆動する所定の波長のレーザ光を照射するレーザ照射部33、スケーラハンドピース84を駆動するスケーラ駆動部34、光照射重合器85を駆動する樹脂硬化光を照射する光照射部35など、診療器具80を構成する各種診療器具を駆動する各種駆動源で構成されている。そして、診療器具駆動部30は、駆動制御部16及び診療器具80に接続され、駆動制御部16の制御によって診療器具80を駆動するように構成されている。
【0052】
操作部40は、例えばフートコントローラ204などで構成し、診療器具80を操作する診療器具操作部41と、実習者Pによるその他の操作を受け付けるジェスチャ操作部42とで構成されている。
【0053】
詳しくは、ジェスチャ操作部42は、実習者Pのジェスチャによる入力器具であり、ジェスチャによって直観的に操作することができる。例えば、ジェスチャ操作部42は、上方に設置した複数台の赤外線カメラ70(
図2)と赤外線照射LEDで構成され、赤外線LEDに照らされた手や指を複数台の赤外線カメラで撮影し、画像解析によって三次元空間における手や指の位置を割り出し、さまざまなモーションコントロールを可能にしている。
【0054】
このように診療器具操作部41とジェスチャ操作部42は、それぞれ診療器具操作制御部14とジェスチャ操作制御部15とに接続され、診療器具操作部41やジェスチャ操作部42への入力操作情報を診療器具操作制御部14またはジェスチャ操作制御部15に送信し、診療器具操作制御部14やジェスチャ操作制御部15を介して、入力された操作情報に基づいて各種装置を操作することとなる。
【0055】
画像処理部50は、実習者Pの視野に重畳表示する画像情報の生成処理や合成処理を実行する処理部であり、実習者Pの視野に重畳表示する三次元画像を三次元情報記憶部21に記憶した三次元情報に基づいて生成する三次元画像生成部51と、後述するステレオカメラ61で撮像された実習者Pの三次元視野映像Sに、位置検出部70で検出した三次元位置情報に基づいて、三次元画像生成部51で生成した三次元画像を合成する画像合成部52とで構成され、画像処理制御部11に接続され、画像処理制御部11によって制御されている。
【0056】
実習中に実習者Pが頭部に装着するHMD60は、
図7(a)に示すように、実習者Pの視野に相当する三次元視野映像Sを撮像するステレオカメラ61と、画像合成部52で合成された三次元画像を重畳表示する表示部62とで構成されている。HMD60を装着した実習者Pは、表示部62で表示され、三次元画像が重畳表示された三次元視野映像Sを見ながら実習することとなる。
【0057】
なお、HMD60は、ステレオカメラ61と表示部62を備えた装置本体63と、装置本体63を実習者Pの頭部に
装着する固定バンド64とで構成されている。別の実施例として、HMD60の代わりに後述するヘッドアップディスプレイ60a(以下においてHUD60a:
図7(b))を用いることができる。
【0058】
また、HMD60は、後述する位置検出部70でHMD60の三次元位置を検出するための赤外線マーカ65を備えている。赤外線マーカ65は、赤外線マーカ104と同様の構成である。またHMD60は、HMD制御部12と無線接続され、HMD制御部12によって制御されている。
【0059】
位置検出部70は、
図4に示すように複数のカメラ71で構成され、模擬患者体100の赤外線マーカ104、HMD60の赤外線マーカ65、後述する診療器具80の赤外線マーカ801を画像認識で認識し、三次元空間におけるそれぞれの三次元位置と方向とを検出することができる構成であり、位置検出制御部13に接続され、位置検出制御部13によって制御されている。
【0060】
診療器具80は、歯牙模型103に作用させて施術するための機器であり、診療器具駆動部30に接続され、診療器具駆動部30の駆動によって稼働する構成である。
例えば、診療器具80のひとつとして、
図3、
図4に示すようなエアータービンハンドピース81は、先端のヘッド部811に装着した切削工具91を、エアータービン駆動部31から供給されたエアーによって回転させて切削する器具であり、略ペン型に構成されている。
【0061】
なお、エアータービンハンドピース81の後端上部には赤外線マーカ801が設けられており、赤外線マーカ801を認識した位置検出部70によってエアータービンハンドピース81の三次元位置及びその向きが検出されるため、エアータービンハンドピース81の先端に装着した切削工具91の向きやその先端の三次元位置を検出することができる。
【0062】
また、別の診療器具80のひとつとして、
図5に示すような、マイクロモータハンドピース82も略ペン型に形成され、根管を拡大する切削工具であるファイル92を先端のヘッド部821に装着し、電気供給部32から供給された電気によってファイル92を回転させて、根管を拡大することができる。なお、マイクロモータハンドピース82の上面には回転トルクを表示するトルクインジケータ822が設けられている。なお、インプラント治療用マイクロモータハンドピースにインプラント用の切削バー93を装着することもできる。
【0063】
なお、マイクロモータハンドピース82も、エアータービンハンドピース81と同様に後端上部に赤外線マーカ104と同様の構成の赤外線マーカ801が備えられており、赤外線マーカ801を認識した位置検出部70によってマイクロモータハンドピース82の三次元位置及びその向きが検出されるため、マイクロモータハンドピース82の先端のヘッド部821に装着したファイル92の向きやその先端の三次元位置を検出することができる。
【0064】
その他の診療器具80としては、レーザハンドピース83、スケーラハンドピース84、光照射重合器85などが挙げられるが、これらの診療器具に限定されず、口腔内において歯牙や顎骨に対して施術できる診療器具であればよい。
【0065】
各構成要素が上述のように構成された歯科診療実習システム1による模擬診療の実習について以下で詳細に説明する。
まず、実習を開始するにあたり、実習者Pは、装置本体63が目の前となるようにHMD60を装着する。実習が開始すると位置検出制御部13は、位置検出部70を制御してHMD60と歯牙模型103の三次元位置を検出するとともに(ステップs1)、HMD60のステレオカメラ61は、HMD制御部12の制御によって三次元視野映像Sとなる映像を撮像する。
【0066】
位置検出部70によるHMD60と歯牙模型103の三次元位置が検出されると、画像処理制御部11は画像処理部50を制御してステレオカメラ61が撮像した映像をもとに三次元視野映像Sを生成し、HMD制御部12が制御して
、三次元視野映像Sを表示部62に表示する(ステップs2)。
【0067】
表示部62に三次元視野映像Sが表示されたHMD60を装着した実習者Pは、通常肉眼で目視する視野のように、表示部62に表示された三次元視野映像Sを見ることとなる。
このとき、実習者Pが手を動かして所定のジェスチャをすることで、ジェスチャ操作部42が実習者Pの手の動きを検出し、三次元情報記憶部21から選択操作用の三次元画像情報に基づいて画像合成部52が
図9に示すような選択操作重畳表示Cを三次元視野映像Sに合成して表示部62に表示する。また、表示部62に表示された三次元視野映像Sの左下には、ひとつ前の表示に戻るリターン表示Rと、ホーム表示に移行するホーム表示Hとが表示されている。
【0068】
なお、
図9に示すメニュー表示の概略図において、選択操作重畳表示Cは、Menu重畳表示C1であり、複数のMenu項目C11a〜C11eが円形状に配置され、ジェスチャ操作部42(
図1)が検出する実習者Pの手の動きに対応して、手のアイコン(図示省略)が円形に沿って移動可能に構成され、ジェスチャでMenu項目C11a〜C11eのいずれかに手を置く動作に対応して前記項目のいずれかが選択することができる。
【0069】
このようなジェスチャよる選択操作によって、
図9に示すMenu項目C11のうち『Patient selection』選択項目C11aを選択すると後述する患者選択重畳表示C2(
図10)に移行し、『Patient information』選択項目C11b(
図9)を選択すると後述する患者情報選択重畳表示C3(
図11)に移行し、『Treatment selection』選択項目C11c(
図9)を選択すると後述する治療内容選択重畳表示C6(
図14)に移行し、『Equipment selection』選択項目C11d(
図9)を選択すると後述する診療器具選択重畳表示C7(
図15)に移行し、『Setting』選択項目C11e(
図9)を選択すると歯科診療実習システム1の各種設定を行う設定表示(図示省略)に移行する。
【0070】
複数のMenu項目C11のいずれかを選択する実習者Pは、ジェスチャによって、所望のMenu項目C11を上部まで移動させることで当該Menu項目C11は拡大表示されるとともに、選択される。
【0071】
まずは、実習者Pのジェスチャによって『Patient selection』選択項目C11a(
図9)が選択されると、三次元情報記憶部21から選択操作用の三次元画像情報に基づいて画像合成部52が
図10に示すような患者選択重畳表示C2を三次元視野映像Sに合成して表示部62に表示する(ステップs3)。
【0072】
詳述すると、
図8のフローチャートや
図10に示すように、表示部62に表示される患者選択重畳表示C2は、複数の患者が表示された患者選択表示C21a〜C21gが円形状に配置され、複数の患者選択表示C21のいずれかを選択する実習者Pは、ジェスチャによって、所望の項目を上部まで移動させること当該患者選択表示C21を選択することができる(ステップs4)。
【0073】
いずれかの患者選択表示C21が選択されると、三次元情報記憶部21から選択操作用の三次元画像情報に基づいて画像合成部52が
図11に示すような患者情報選択重畳表示C3を三次元視野映像Sに合成して表示部62に表示する(ステップs5)。なお、所望の患者の患者選択表示C21を選択操作した後、患者情報選択重畳表示C3を表示せずとも、リターン表示Rやホーム表示Hを操作してMenu重畳表示C1を表示し、『Patient information』選択項目C11b(
図9)を選択操作して患者情報選択重畳表示C3を表示するように構成してもよい。
【0074】
詳述すると、
図11に示すように、表示部62に表示される患者情報選択重畳表示C3は、
左上に選択した患者の患者画像表示Pが表示されるとともに、複数の患者情報選択表示C31(C31a〜C31d)が円形状に配置されている。
【0075】
患者情報選択表示C31のうち『Profile』選択項目C31aを選択すると後述する患者プロフィール重畳表示C4(
図12)に移行し、『X-ray data』選択項目C31bを選択すると後述する患者X線データ重畳表示C5(
図13)に移行し、『Dentition data』選択項目C31cを選択すると歯列データ重畳表示(図示省略)に移行し、『Setting』選択項目C31dを選択すると歯科診療実習システム1の各種設定を行う設定表示(図示省略)に移行する。
【0076】
実習者Pによって、例えば、『Profile』選択項目C31aが選択されると、
図12に示すように、表示部62に表示される患者プロフィール重畳表示C4は、患者情報選択重畳表示C3と同様に
左上に選択した患者の患者画像表示Pが表示されるとともに、選択した患者のプロフィール情報表示C41が表示される(ステップs7)。
プロフィール情報表示C41には、患者の“Name”,“Age”,“Birthday”,“Sex”,“History”,“Contraindications”などの患者情報記憶部22に記憶された複数プロフィール情報が表示される。
【0077】
図
11に示す患者情報選択重畳表示C3において『X-ray data』選択項目C31bが選択されると、
図13に示すように、表示部62に表示される患者X線データ重畳表示C5は、患者の患者画像表示Pが表示されるとともに、選択した患者のX線CT撮影された三次元CT撮影情報を表示す三次元CT撮影情報表示C51が表示される。なお、三次元CT撮影情報表示C51は透過状態で表示されるが、非透過表示としてもよい。また、プロフィール情報表示C41と三次元CT撮影情報表示C51をともに表示するよう構成してもよい。
【0078】
図12に示すプロフィール情報表示C41が表示された患者プロフィール重畳表示C4や
図13に示す三次元CT撮影情報表示C51が表示された患者X線データ重畳表示C5を確認した実習者Pによってリターン表示Rやホーム表示Hが操作され、表示されたMenu項目C11の『Treatment selection』選択項目C11c(
図9)が選択操作されると、診療情報記憶部23(
図1)から選択操作用の三次元画像情報に基づいて画像合成部52が
図14に示すような治療内容選択重畳表示C6を三次元視野映像Sに合成して表示部62に表示する(ステップs8)。なお、患者X線データ重畳表示C5(
図13)から治療内容選択重畳表示C6を直接表示するように構成してもよい。
【0079】
詳述すると、
図14に示すように、表示部62に表示される治療内容選択重畳表示C6は、複数の治療内容選択表示C61(C61a〜C61d)が円形状に配置され、これらの治療内容選択表示C61が選択されると(ステップs9)、選択した治療内容に応じた診療器具を診療情報記憶部23から抽出し、
図15に示すように、抽出された診療器具を選択可能に複数表示する診療器具選択重畳表示C7を表示することとなる(ステップs10)。
【0080】
図14に示す治療内容選択表示C61のうち『Root Canal treatment』選択項目C61aが選択されると、診療情報記憶部23から抽出し、根管治療に適した複数の診療器具を選択可能に表示する診療器具選択重畳表示C7(
図15)に移行し、『Tooth decay treatment』選択項目C61bを選択すると齲蝕治療に適した診療器具を選択する診療器具選択重畳表示C7に移行し、『Gum disease treatment』選択項目C61cを選択すると歯周病治療に適した診療器具を選択する診療器具選択重畳表示C7に移行し、『Dental implant treatment』選択項目C61dを選択するとインプラント治療に適した診療器具を選択する診療器具選択重畳表示C7に移行し、『Dental preventive treatment』選択項目C61eを選択すると歯科予防処理に適した診療器具を選択する診療器具選択重畳表示C7に移行する。
【0081】
例えば、実習者Pのジェスチャによって、複数の治療内容選択表示C61のうち『Root Canal treatment』選択項目C61aが選択されると、根管治療において必要な切削器具を選択するため、
図15に示す診療器具選択表示C71で構成される診療器具選択重畳表示C7を表示部62に表示する。
【0082】
『Root Canal treatment』選択項目C61aが選択されて表示された診療器具選択重畳表示C7の診療器具選択表示C71として、
図15に示すように、切削工具91が装着されたハンドピースを選択する『Hand piece (cutting drill)』選択項目C71aと、切削工具としてファイル92が装着されたハンドピースを選択する『Hand piece (f
ile)』選択項目C71bと、切削工具としてファイル単体を選択する『Reamer』選択項目C71cと、切削器具としてレーザハンドピースを選択する『Laser Hand piece』選択項目C71dとが円形状に配置され、表示される。
【0083】
例えば、
図8のフローチャートで示すように、実習者Pのジェスチャによって、複数の診療器具選択表示C71のうち『Hand piece (cutting drill)』選択項目C71aが選択され、エアータービンハンドピース81の取出しが検出されると(ステップs12)、位置検出制御部13は位置検出部70を制御して、カメラ71でエアータービンハンドピース81の赤外線マーカ801を画像認識して、エアータービンハンドピース81の三次元位置を検出する(ステップs13)。
【0084】
位置検出部70で三次元位置を検出したエアータービンハンドピース81や歯牙模型103がHMD60の表示部62に表示する三次元視野映像Sの範囲内にある場合(ステップs14:Yes)、画像処理制御部11は、画像処理部50によって取り出したエアータービンハンドピース81や歯牙模型103の三次元画像を三次元情報記憶部21に記憶された三次元情報に基づいて生成し、三次元視野映像Sに重畳表示する(ステップs15)。もちろん、エアータービンハンドピース81や歯牙模型103が三次元視野映像Sの範囲にない場合は(ステップs14:No)、三次元視野映像Sにエアータービンハンドピース81や歯牙模型103の三次元画像を重畳表示することなく、実習を続ける。
【0085】
なお、歯牙模型103及びエアータービンハンドピース81の一方のみを重畳表示してもよい。さらには、歯牙模型103やエアータービンハンドピース81が三次元視野映像Sの範囲にある場合であっても、歯牙模型103とエアータービンハンドピース81との三次元位置関係から、実習者Pから目視できない不可視部分が生じた場合のみ、不可視部分の三次元画像を生成して、三次元視野映像Sに重畳表示するように構成してもよい。
【0086】
このようにして、エアータービンハンドピース81や歯牙模型103の三次元画像が重畳表示された三次元視野映像Sを見ながら実習者Pは実習を進めるが、根管治療の実習の場合、根管口が露出するまで歯牙模型103の天蓋部分をエアータービンハンドピース81で切削する(ステップs16:No)。
【0087】
天蓋の切削が完了すると(ステップs16:Yes)、根管を拡大するための根管治療器具として診療器具を選択するため、診療器具選択重畳表示C7を三次元視野映像Sに重畳表示する(ステップs17)。
【0088】
例えば、実習者Pのジェスチャによって、診療器具選択重畳表示C7として表示された複数の診療器具選択表示C71のうち根管拡大するために『Hand piece (f
ile)』選択項目C71bが選択され(ステップs18)、マイクロモータハンドピース82の取出しが検出されると(ステップs19)、位置検出制御部13は位置検出部70を制御して、カメラ71でマイクロモータハンドピース82の赤外線マーカ801を画像認識して、マイクロモータハンドピース82の三次元位置を検出する(ステップs20)。
【0089】
位置検出部70で三次元位置を検出したマイクロモータハンドピース82や歯牙模型103の三次元画像を三次元情報記憶部21に記憶された三次元情報に基づいて生成し、
図16に示すように、マイクロモータハンドピース82や歯牙模型103の三次元画像を三次元視野映像Sに重畳表示する(ステップs21)。
【0090】
なお、
図16では、歯牙模型103と
マイクロモータハンドピース82との三次元位置関係から、実習者Pから目視できない根管内部の不可視部分Nのあらかじめ記憶した三次元X線画像を生成して、三次元視野映像Sに重畳表示するように図示しているが、歯牙模型103やマイクロモータハンドピース82の全体や一方の全体又は一部の三次元画像を重畳表示するように構成してもよい。
【0091】
さらに、根管治療では、マイクロモータハンドピース82に装着したファイル92の先端が、根管の先端である根尖位置に到達しているかいないかが非常に重要であり、ファイル92による根管切削時に、根管長測定器を併用して切削することで、実習者Pはファイル92の先端の根尖位置への到達を知ることができるものの、位置検出部70によって三次元位置が検出されたマイクロモータハンドピース82のヘッド部821に装着したファイル92の太さや長さは診療情報記憶部23に記憶されているため、ファイル92の先端の三次元位置も算出することができる。また、歯牙模型103内部における根管の位置や形状に関するX線CT画像情報も三次元情報記憶部21に記憶されているため、根管に対するファイル92の切削状況(作用状況)、つまり根管に対するファイル92の三次元相対位置関係も算出できる。
【0092】
したがって、
図17に示すように、ファイル92で根管を切削して根管拡大している根管切削状況画像表示Dを重畳表示する(ステップs22)。
この根管切削状況画像表示Dでは歯牙模型103の内部の根管を通る歯牙模型103のX線CT画像による断面画像に、根管を切削して拡大するファイル92の断面画像が合成されており、ファイル92の移動を位置検出部70が検出すると、三次元視野映像Sにおけるファイル92の断面画像も移動するように構成されている。なお、根管切削状況画像表示Dについては透過可能な状態で表示されるとよい。
【0093】
このように、不可視部分Nの三次元画像に加えて根管切削状況画像表示Dが重畳表示された三次元視野映像Sを見ながら実習者Pは、ファイル92の先端が根管の先端である根尖位置に位置するまで(ステップs23:No)、根管をファイル92で切削し、ファイル92の先端が根尖位置に到達すると根管治療実習における診療器具80を用いた施術は完了する。
【0094】
なお、根管を切削する根管拡大は、高精度を要する施術であるため、実習者Pは詳細に施術部位を見ながら施術する必要があり、
図18に示すように、表示部62に表示する三次元視野映像Sを、拡大させた拡大三次元視野映像Saとして表示部62に表示してもよい。これにより、通常の視野に比べてその範囲は狭まるものの、より詳細に施術箇所を見ながら施術することができる。
【0095】
次に、歯科診療実習システム1を用いてインプラント治療の模擬診療を実習する場合について
図19に沿って説明する。なお、上述の根管治療実習における説明と同じ説明については省略する。このインプラント治療実習においてステップt1乃至t13までは、ステップt8において治療内容選択重畳表示C6の『Dental implant treatment』選択項目C61dを選択し(
図14)、インプラント治療に適した診療器具が表示された診療器具選択重畳表示C7でインプラント用の切削バー93が装着されたマイクロモータハンドピース82を選択する(ステップt11)こと以外は、上述の根管治療実習と同じであり、その説明を省略する。
【0096】
インプラント治療は、フィクスチャ埋入用の埋入孔を、下顎管等に至らないように顎骨を削孔し、削孔した埋入孔にフィクスチャを埋入させ、埋入させたフィクスチャに、アバットメント、スクリュー、及びインプラント義歯をこの順で取り付ける施術である。したがって、上述の根管治療では、歯牙模型103を切削したり、歯牙模型103の根管を切削したが、インプラント治療における施術における施術部位は、フィクスチャを埋入する顎骨となり、実習では、顎模型102を削孔する。
【0097】
そして、実際のインプラント治療では、あらかじめ、フィクスチャを埋入する埋入孔を設計し、その位置や形状、並びに装着するフィクスチャ、アバットメント、スクリュー、及びインプラント義歯の三次元情報を患者情報記憶部22に記憶してから施術することとなる。したがって、インプラント治療を模擬診療する実習においても同様となる。
【0098】
上述したように、ステップt8において治療内容選択重畳表示C6の『Dental implant treatment』選択項目C61dを選択し(
図14)、インプラント治療に適した診療器具が表示された診療器具選択重畳表示C7でインプラント用の切削バー93が装着されたマイクロモータハンドピース82を選択し(ステップt11)、マイクロモータハンドピース82の取出しを検出すると(ステップt12)、位置検出制御部13は位置検出部70を制御して、カメラ71でマイクロモータハンドピース82の赤外線マーカ801を画像認識して、マイクロモータハンドピース82の三次元位置を検出する(ステップt13)。
【0099】
位置検出部70で三次元位置を検出したマイクロモータハンドピース82や顎模型102がHMD60の表示部62に表示する三次元視野映像Sの範囲内にある場合(ステップt14:Yes)、画像処理制御部11は、画像処理部50によって取り出したマイクロモータハンドピース82や顎模型102に加え、フィクスチャを埋入する埋入孔を設ける計画埋入孔eの三次元画像を三次元情報記憶部21に記憶された三次元情報に基づいて生成して三次元視野映像Sに重畳表示するとともに(
図20)、埋入孔を削孔する際のインジケータ表示M(
図21)を三次元視野映像Sに重畳表示する(ステップt15)。もちろん、マイクロモータハンドピース82や顎模型102が三次元視野映像Sの範囲にない場合は(ステップt14:No)、三次元視野映像Sにマイクロモータハンドピース82や顎模型102の三次元画像を重畳表示することなく、実習を続ける。
【0100】
なお、インジケータ表示Mは、
図21に示すように、中央の円形インジケータMz、左側のX方向断面インジケータMx、及び右側のY方向断面インジケータMy、円形インジケータMzの下側に配置され、切削バー93の先端と、埋入孔(計画埋入孔e)の先端との深さ方向の残差距離を数値で示す数値表示部Mcで構成されている。
【0101】
X方向断面インジケータMx、Y方向断面インジケータMyは施術部位、つまりこれから削孔する埋入孔を通る縦断面
図であり、埋入孔の中心軸方向をZ方向としてZ方向と直交する平面方向におけるX方向とY方向のそれぞれに沿った向きの断面図である。
【0102】
そして、X方向断面インジケータMx,
Y方向断面インジケータMyには、それぞれ計画埋入孔eと、埋入孔を削孔するための予め設定した切削バー93の削孔方向を示す理想的な中心軸方向線Lとが重畳表示されている。また、X方向断面インジケータMx,Y方向断面インジケータMyには、削孔時の切削バー93の三次元位置を、マイクロモータハンドピース82の赤外線マーカ801を画像認識した位置検出部70によって検出し、切削バー93の三次元画像を重畳表示する。なお、埋入孔の中心軸方向や埋入深さは、予めインプラントシミュレーションやX線CT画像を用いて適切に設定しておく。
【0103】
円形インジケータMzは、埋入孔の中心を鉛直方向から見た円形のインジケータであり、左右方向をX方向、上下方向をY方向に設定している。
円形インジケータMzの中心は埋入孔(計画埋入孔e)の中心軸と一致しており、X方向とY方向の基準線が左右方向と上下方向とで直交する十字状に設けられるとともに、基準線に対して交差する方向で等間隔に配置された補助線が表示されている。
【0104】
十字状の基準線の交点、つまり円形インジケータMzの中心には、埋入孔(計画埋入孔e)の中心を示す中心点Cpが表示され、その近傍に削孔する切削バー93の基端部付近の平面方向位置を示すドリル点Dpが表示されている。
【0105】
さらに、円形インジケータMzと同心上に配置され、切削バー93の先端と、埋入孔(計画埋入孔e)の先端との深さ方向の残差距離を示す円形の先端位置表示リングTrが設けられている。先端位置表示リングTrは、その径によって、つまり円形リングの大きさで切削バー93と埋入孔(計画埋入孔e)の先端との深さ方向の残差距離を示しており、埋入孔(計画埋入孔e)の先端との深さ方向の残差距離が近づくほど径が小さくなるように設定されている。したがって、切削バー93の先端が埋入孔(計画埋入孔e)の先端に到達する、つまり埋入孔(計画埋入孔e)の削孔が完了すると、中心点Cpと一致して表示されなくなる。
【0106】
なお、
図21において、X方向断面インジケータMxから切削バー93の基端部付近が中心軸方向線Lから左側にズレているとともに、Y方向断面インジケータMyから切削バー93の基端部付近が中心軸方向線Lから右側にわずかズレているため、円形インジケータMzにおいて、X方向及びY方向のズレ量に応じてドリル点Dpが中心点Cpからズレた位置に表示されている。
【0107】
このようにして、マイクロモータハンドピース82、顎模型102、計画埋入孔eの三次元画像あるいはインジケータ表示Mが重畳表示された三次元視野映像Sを見ながら実習者Pは計画埋入孔eに合わせて顎模型102の所定位置を、下顎管に至らないように削孔し(ステップt16:No)、計画埋入孔eに合わせた削孔が完了する。つまり埋入孔が形成されると(ステップt16:Yes)、画像処理制御部11は、三次元情報記憶部21に記憶したフィクスチャの三次元画像を生成して三次元視野映像Sに重畳表示する(ステップt17)。
【0108】
フィクスチャの装着が完了すると、次に、アバットメントの三次元画像を生成して三次元視野映像Sに重畳表示し(ステップt18)、アバットメント装着が完了すると、スクリューの三次元画像を生成して三次元視野映像Sに重畳表示し(ステップt19)、スクリューの装着が完了すると、インプラント義歯の三次元画像を生成して三次元視野映像Sに重畳表示し(ステップt20)、インプラント義歯の装着が完了すると、インプラント治療の実習は完了する。
【0109】
このように、歯牙模型103に対して診療器具80を作用させて模擬診療する歯科診療実習装置2に、歯牙模型103及び診療器具80に関する既知三次元情報に基づく三次元画像情報を実習者Pの視野である三次元視野映像Sに重畳表示する表示部62と、歯牙模型103、診療器具80及び表示部62の三次元位置情報を検出する位置検出部70と、位置検出部70によって検出された三次元位置情報に基づいて、模擬診療に関する項目を選択する選択操作重畳表示Cで選択された項目に応じた、少なくとも不可視部分の三次元画像情報を表示部62に重畳表示する制御部10とが備えられているため、複雑化により高い精度や技術が求められる診療内容を実習することができる。
【0110】
詳述すると、歯牙模型103及び診療器具80に関する既知三次元情報に基づく三次元画像情報を実習者Pの視野である三次元視野映像Sに重畳表示する表示部62と、歯牙模型103、診療器具80及び表示部62の三次元位置情報を検出する位置検出部70と、位置検出部70によって検出された三次元位置情報に基づいて、選択操作重畳表示Cで選択された項目に応じた、少なくとも不可視部分の三次元画像情報を表示部62に重畳表示する制御部10とが備えられているため、歯牙模型103、診療器具80及び表示部62すべての相対的な三次元位置関係を検出でき、不可視部分の画像表示を実習者Pの視野に適切に重畳表示できる。したがって、不可視部分であってもあたかも目視しているような状況で、複雑化により高い精度や技術が求められる診療内容について正確な模擬診療を実習することができる
【0111】
また、歯牙模型103の既知三次元情報には歯牙模型103の内部の三次元情報が含まれているため、複雑な診療内容であってもより正確に実習することができる。
詳述すると、歯牙模型103の既知三次元情報には歯牙模型103の内部の三次元情報が含まれていることで、歯科模型内部での診療状態をあたかも目視したような状態で実習することができ、複雑な診療内容であってもより正確に実習することができる。
【0112】
また、選択操作重畳表示Cとして、模擬診療内容を選択する治療内容選択重畳表示C6と、使用する診療器具80を選択する診療器具選択重畳表示C7とが表示され、制御部10が、治療内容選択重畳表示C6で選択された模擬診療内容に応じた歯牙模型103の既知三次元情報を重畳表示するとともに、診療器具選択重畳表示C7で選択された診療器具80の既知三次元情報を重畳表示するため、所望の診療内容や予め設定された症状に適した診療内容を選択するとともに、選択した診療内容に適する診療器具80を選択して、選択した模擬診療内容に応じた歯牙模型103と、選択した診療器具80の既知三次元情報を重畳表示しながら、複雑な診療内容の実習をより正確に行うことができる。
【0113】
また、患者に関する設定情報が予め設けられた複数の患者選択表示C21のうちからいずれかを選択する患者選択重畳表示C2と、患者選択表示C21に設けられた設定情報のうち模擬診療に関する設定情報である患者情報選択表示C31を選択する患者情報選択重畳表示C3とが表示され、制御部10が、患者情報選択表示C31で選択された情報を重畳表示するため選択した模擬患者に関する設定情報を選択して確認することで、設定情報に基づいて模擬患者に設定された診療内容を判断することができるため、臨床に近い実習を行うことができる。
【0114】
また、制御部10は、模擬診療中における歯牙模型103に対する診療器具80の作用状態の画像として根管切削状況画像表示Dを表示部62に重畳表示するため、目視確認しにくい箇所での模擬診療であっても、あたかも作用状態を目視しながら模擬診療できるため、より複雑な模擬診療内容について正確に模擬診療を実習することができる。
【0115】
また、予め設定され、切削バー93で切削する歯牙模型103における中心点Cpに対する切削バー93の先端の相対位置をインジケータ表示Mに重畳表示するため、目視できない箇所である中心点Cpに対する切削バー93の位置を目視で正確に把握することができ、例えば、切削過多などの不具合の発生を防止し、より正確に模擬診療を実習することができる。
【0116】
このように、歯科診療実習装置2と、口腔101内に歯牙模型103が交換可能に植立された模擬患者体100とで構成された歯科診療実習システム1は、歯牙模型単体や歯牙模型が植立された顎模型に対する実習に比べて、臨場感のある診療実習を行うことができる。また、歯牙模型103を交換できるため、実際の診療器具80で歯牙模型103を切削することでき、例えば、仮想画像のみで行う模擬診療する実習に比べてより臨場感のある実習を繰り返し行うことができる。
【0117】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、口腔は口腔101に対応し、
以下同様に、
歯科模型は歯牙模型103に対応し、
診療器具は診療器具80に対応し、
表示部は表示部62(透過型表示部62a)に対応し、
三次元位置検出部は位置検出部70に対応し、
選択部は選択操作重畳表示Cに対応し、
画像情報は三次元画像情報に対応し、
表示制御部は制御部10に対応し、
診療選択部は治療内容選択重畳表示C6に対応し、
器具選択部は診療器具選択重畳表示C7に対応し、
患者選択部は患者選択重畳表示C2に対応し、
診療情報選択部は患者情報選択重畳表示C3に対応し、
状態表示画像は根管切削状況画像表示Dまたはインジケータ表示Mに対応し、
切削器具はファイル92に対応し、
切削到達点は中心点Cpに対応するが、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0118】
なお、上述の説明では、例えば、
図9に示すMenu重畳表示C1においては、複数のMenu項目C11を円形状に配置して、実習者Pのジェスチャ操作でMenu項目C11を回転させて選択するように構成されていたが、各種の選択操作をするための選択操作重畳表示Cの表示方法はこれに限定されない。例えば、図
22に示すように、選択操作重畳表示Cを複数の選択項目重畳表示C8として、複数の選択項目C81を三次元的な平面上に並列配置して三次元視野映像Sに重畳表示し、実習者Pのジェスチャ操作によって、所望の選択項目C81を移動させ、そして、つかんで手前側に移動させるリープモーション(登録商標)と呼ばれるジェスチャ制御方法が使用できるので、その制御方法を使用して実習者Pのジェスチャ操作によって、選択操作するように構成してもよい。
【0119】
また、頭部模型である模擬患者体100の口腔101に顎模型102を介して歯牙模型103を装着したが、全身模型のバーチャル画像を重畳表示した模擬患者体100を構成して模擬診療で実習してもよい。また、模擬患者体100が映り込む三次元視野映像Sに顎模型102や歯牙模型103、あるいは診療器具80の三次元画像を重畳表示させたが、図
23に示すように、模擬患者体100自体の三次元画像情報を三次元情報記憶部21に記憶させておき、患者選択重畳表示C2で選択した患者の容姿に合わせた模擬患者体100の三次元画像を三次元視野映像Sに映り込む模擬患者体100に合わせて重畳表示するように構成してもよい。これにより、よりリアリティのある実習を行うことができる。
【0120】
上述の説明では、診療器具選択重畳表示C7の診療器具選択表示C71を選択することで使用する診療器具80を選択したが、診療器具選択重畳表示C7での選択をせず、ホルダに配置された複数の診療器具80の中から使用する診療器具80を取り出すことで、取り出された診療器具80を検出して、使用する診療器具80の選択操作としてもよい。
【0121】
また、上述の説明では、根管治療とインプラント治療の模擬実習について説明したが、これに限定されず、歯周病治療、齲蝕治療、支台歯形成、スケーリング、フラップ手術などの歯科診療における施術であればよく、また、歯科医療における治療のみならず、予防診療などであってもよい。
【0122】
また、上述の説明では、実習者PがHMD60を装着し、HMD60の赤外線マーカ65により位置検出部70でHMD60の三次元位置を検出したが、HMD60の代わりに、上述したように、
図7(b)に示すようなHUD60aを用いてもよい。
【0123】
HUD60aは、ステレオカメラ61aを備えるとともに、透過可能な透過型表示部62aと固定バンド64で構成されためがね型の外観であり、めがね部分に透過型表示部62aが設けられており、透過型表示部62aで実際の施術部位を視認し、且つ透過型表示部62aに表示された重畳画像を視認することとなる。
【0124】
なお、
図7(b)において、HUD60aには赤外線マーカ65を図示していないが、赤外線マーカ65を備えて位置検出部70で三次元位置を検出してもよいが、画像認識によって三次元位置を検出する画像認識位置検出部を使用してもよい。また、固定バンド64を設けずに、めがねのテンプル(つる)で頭部に固定するタイプであってもよい。