(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1及び2に記載のビア電極は、径を大きくすることで、電流密度を低下させることができ、Q値の向上が期待できる。しかし、ビア電極の径を大きくすると、ビア電極と遮蔽導体との距離が小さくなり、Q値が低下するという問題がある。すなわち、ビア電極と遮蔽導体との距離もQ値の最適解に関係するため、共振器の設計において考慮する必要がある。
【0007】
ビア電極の径を大きくすると、共振器を多段化して誘電体フィルタを構成する場合において、共振器間に電気壁が発生し、Q値の劣化につながるため、隣り合う共振器との間隔も考慮する必要がある。誘電体フィルタでは、必ず受給電や結合調整のための電極パターン(線路)の配置が必要となるが、この場合、ビア電極と側面の遮蔽導体との間に配置する必要がある。これは、ビア電極からの磁界の広がりを妨げながら電極パターンを配置することになるため、Q値の劣化、不要な結合の発生につながるという問題がある。
【0008】
一方、特許文献3記載の共振器において、TEM波の共振器として動作する部分はストリップ線路に限定されている。つまり、ビア電極はストリップ線路と平行に配置されたグランド用導体層とを接続する機能を有するに過ぎない。
【0009】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、ビア電極部のサイズを大きくすることなく、Q値の向上を図ることができる共振器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[1] 本発明に係る共振器は、誘電体基板内に形成されたビア電極部と、前記誘電体基板に、前記ビア電極部を囲むように形成された複数の遮蔽導体と、前記誘電体基板内において前記ビア電極部に接続され、且つ、少なくとも前記遮蔽導体と対向するストリップ線路とを有し、前記複数の遮蔽導体のうち、前記ビア電極部の短絡端が接続された遮蔽導体に第1入出力端子と第2入出力端子が接続されていることを特徴とする。
【0011】
これにより、第1入出力端子に例えば正方向の電流が供給されることで、電流が、前記ビア電極部の短絡端が接続された遮蔽導体(以下、特定遮蔽導体と記す)に拡散し、他の遮蔽導体に向かって流れる。その際に、ストリップ線路からもビア電極部を介して特定遮蔽導体に向かって変位電流が流れ(ファラデーの法則)、この変位電流も特定遮蔽導体を介して他の遮蔽導体に向かって流れる。すなわち、第1入出力端子に例えば正方向の電流が供給された瞬間から、特定遮蔽導体から他の遮蔽導体に拡散しながら電流が流れることになる。その結果、ビア電極部のサイズを大きくすることなく、Q値の向上を図ることができる。なお、本明細書において、単に「Q値」というときは、共振器のみの範囲の無負荷Q値と外部回路を含めた範囲の負荷Q値の両方を含む意である。
【0012】
[2] 本発明において、前記複数の遮蔽導体は、前記誘電体基板の第1主面側に形成された第1遮蔽導体(特定遮蔽導体)と、前記誘電体基板の第2主面側に形成された第2遮蔽導体と、前記誘電体基板の第1側面側に形成された第3遮蔽導体と、前記誘電体基板の第2側面側に形成された第4遮蔽導体とを有し、前記第1遮蔽導体(特定遮蔽導体)に前記ビア電極部の短絡端と、前記第1入出力端子及び前記第2入出力端子が接続されていてもよい。
【0013】
これにより、第1入出力端子に例えば正方向の電流が供給されることで、電流が、ビア電極部の短絡端が接続された第1遮蔽導体(特定遮蔽導体)に拡散し、第3遮蔽導体及び第4遮蔽導体に向かって流れる。その際に、ストリップ線路からもビア電極部を介して第1遮蔽導体に向かって変位電流が流れ、この変位電流も第1遮蔽導体を介して第3遮蔽導体及び第4遮蔽導体に向かって流れる。
【0014】
[3] 本発明において、前記ビア電極部は、隣接して形成された第1ビア電極部と第2ビア電極部とを有し、前記第1ビア電極部は、複数の第1ビア電極から構成され、前記第2ビア電極部は、複数の第2ビア電極から構成され、前記第1ビア電極部と前記第2ビア電極部との間に他のビア電極部が存在せず、前記複数の第1ビア電極は、上面から見たとき、仮想の第1湾曲線に沿って配列され、前記複数の第2ビア電極は、上面から見たとき、仮想の第2湾曲線に沿って配列されていてもよい。
【0015】
電流が集中する部分のみに複数の第1ビア電極及び複数の第2ビア電極を配列することができるため、第1ビア電極及び第2ビア電極を構成する金属材料(例えば銀)の量を大幅に低減することができると共に、第1ビア電極及び第2ビア電極の本数を減らすことができるため、工数及びコストの低減を図ることができる。
【0016】
[4] 本発明において、前記第1湾曲線と前記第2湾曲線は、1つの楕円の輪郭線の一部又は1つのトラック形状の輪郭線の一部を構成してもよい。
【0017】
第1ビア電極部と第2ビア電極部は、1つの楕円の輪郭線の一部又は1つのトラック形状の輪郭線の一部、すなわち、楕円又はトラック形状の長軸上の各端部に形成されることになる。この部分は、高周波電流の表皮効果により、電流が集中する部分でもある。すなわち、第1ビア電極部と第2ビア電極部に集中して電流が流れる。そのため、第1ビア電極部と第2ビア電極部との間に、他のビア電極部を配置する必要がなくなる。
【0018】
[5] [3]又は[4]において、前記第1ビア電極部は、前記ストリップ線路と共に、第1λ/4共振器を構成し、前記第2ビア電極部は、前記ストリップ線路と共に、第2λ/4共振器を構成してもよい。
【0019】
これにより、第1λ/4共振器と第2λ/4共振器には常に同相の電流が流れることとなる。同相となることで、共振器単体で見た場合、第1ビア電極部と第2ビア電極部との間は電磁界が疎の状態になり、その間に結合や引き回しのための電極を配置しても不要な結合を極力抑えることができる。その結果、Q値の劣化防止、ばらつき抑制の効果を奏する。
【0020】
[6] [3]〜[5]において、前記第1ビア電極部と前記第2ビア電極部間の間隔をdv、誘電体基板におけるストリップ線路の長手方向に沿った長さをLaとしたとき、dv/La≦0.25を満足することが好ましい。
【0021】
これにより、無負荷Q値として380以上が得られる。さらに好ましくは、dv/La≦0.21であり、より好ましくは、dv/Laが0.05以上、0.16以下である。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明に係る共振器によれば、ビア電極部のサイズを大きくすることなく、Q値の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1の実施の形態に係る共振器(第1共振器)を示す透視斜視図である。
【
図3】第1ビア電極部を構成する複数の第1小径ビア電極の配列状態と、第2ビア電極部を構成する複数の第2小径ビア電極の配列状態を示す説明図である。
【
図4】
図4Aは横断面形状が円形状のビア電極である場合の問題点を示す説明図であり、
図4Bは横断面形状が楕円形状のビア電極の有利な点を示す説明図である。
【
図5】
図5Aは楕円形状のビア電極を複数の小径ビア電極で構成した例を示す説明図であり、
図5Bは楕円形状のビア電極において、電流が集中する部分のみに小径ビア電極を配列させた例を示す説明図である。
【
図6】
図6Aは楕円形状のビア電極の問題点を示す説明図であり、
図6Bは楕円形状のビア電極を複数の小径ビア電極で構成した場合の問題点を示す説明図である。
【
図7】楕円形状のビア電極において、電流が集中する部分のみに小径ビア電極を配列させた場合の利点を示す説明図である。
【
図8】
図8Aは第1共振器を示す等価回路図であり、
図8Bは第1共振器の電流の流れを示す説明図である。
【
図9】参考例に係る共振器を示す透視斜視図である。
【
図10】実施例に係る共振器と参考例に係る共振器の周波数特性を示す図である。
【
図11】実施例1〜実施例6の誘電体基板の寸法と、第1ビア電極部と第2ビア電極部との間隔(ビア間隔)を示す説明図である。
【
図12】実施例1〜実施例6の無負荷Q値を示すグラフである。
【
図13】第1共振器の第1の変形例に係る共振器を示す透視斜視図である。
【
図14】第1共振器の第2の変形例に係る共振器を示す透視斜視図である。
【
図15】第2の実施の形態に係る共振器(第2共振器)示す透視斜視図である。
【
図17】第3の実施の形態に係る共振器(第3共振器)示す透視斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る共振器の実施の形態例を
図1〜
図18Bを参照しながら説明する。
【0025】
先ず、第1の実施の形態に係る共振器(以下、第1共振器10Aと記す)は、
図1、
図2A及び
図2Bに示すように、少なくとも上部及び下部にそれぞれ上部遮蔽導体12A及び下部遮蔽導体12Bが形成された誘電体基板14と、該誘電体基板14内に形成された1つの構造体16とを有する。構造体16は、下部遮蔽導体12Bと対向するストリップ線路18と、誘電体基板14内に形成され、ストリップ線路18から上部遮蔽導体12Aにかけて隣接して形成されたビア電極部20とを有する。ストリップ線路18の平面形状は例えば長方形状とされている。
【0026】
誘電体基板14は、複数の誘電体層を積層して構成され、例えば
図1に示すように、直方体状を有する。誘電体基板14の4つの側面のうち、第1側面14aに第1入出力端子22Aが形成され、第1側面14aと対向する第2側面14bに第2入出力端子22Bが形成されている。また、第3側面14cに第1側面遮蔽導体12Caが形成され、第3側面14cと対向する第4側面14dに第2側面遮蔽導体12Cbが形成されている。
【0027】
ビア電極部20は、第1ビア電極部20A及び第2ビア電極部20Bを有する。第1ビア電極部20A及び第2ビア電極部20Bは、誘電体基板14に形成されたビアホールにて構成されている。
【0028】
第1ビア電極部20Aは、複数の小径の第1ビア電極(以下、第1小径ビア電極24aと記す)から構成され、第2ビア電極部20Bは、複数の小径の第2ビア電極(以下、第2小径ビア電極24bと記す)から構成されている。第1ビア電極部20Aと第2ビア電極部20Bとの間に他のビア電極部は存在しない。
【0029】
さらに、第1共振器10Aでは、
図3に示すように、複数の第1小径ビア電極24aは、上面から見たとき、仮想の第1湾曲線26a(高周波電流が集中する部分)に沿って配列され、複数の第2小径ビア電極24bは、上面から見たとき、仮想の第2湾曲線26b(高周波電流が集中する部分である)に沿って配列されている。第1湾曲線26aと第2湾曲線26bは、1つの楕円の輪郭線の一部又は1つのトラック形状の輪郭線の一部を構成している。
【0030】
ここで、第1ビア電極部20A及び第2ビア電極部20Bと1つの楕円との関係について
図4A〜
図6Bを参照しながら説明する。
【0031】
図4Aに示すように、一般的な共振器100において、横断面形状が円形状のビア電極102の径を大きくすると、共振器100を多段化して誘電体フィルタを構成する場合において、共振器100間に電気壁104が発生し、Q値の劣化につながる。
【0032】
そこで、
図4Bに示すように、横断面形状が楕円形状のビア電極102にした場合、短軸方向に共振器100を多段化して誘電体フィルタを構成すると、共振器100間に電気壁104は生じるが、ビア電極102間の距離が円形状のビア電極102(
図4A参照)よりも長くなるため、Q値の向上につながる。
【0033】
さらに、
図5Aに示すように、楕円形状のビア電極102を複数の小径のビア電極(以下、小径ビア電極24と記す)で構成すると、磁界の包絡線106があたかも大径のビア電極であるかのように振る舞わせる。個々の小径ビア電極24の径が一定の割合でばらついても、包絡線106(大径のビア電極)への影響は、その割合未満となるため、ばらつきの低減効果も得ることができる。
【0034】
ところで、例えば
図5Aに示す楕円形状のビア電極102では、高周波電流は楕円の端部、曲率の大きい両端部に集中する。そこで、
図5Bに示すように、楕円形状のビア電極102を構成する複数の小径ビア電極24のうち、楕円形状の両端部に位置する曲率の大きい仮想の第1湾曲線26aに沿った複数の第1小径ビア電極24aと、曲率の大きい仮想の第2湾曲線26bに沿った複数の第2小径ビア電極24bを残し、中央に位置する複数の小径ビア電極24を取り除くことができる。
【0035】
すなわち、第1ビア電極部20Aを構成する複数の第1小径ビア電極24aは仮想の第1湾曲線26aに沿って配列され、第2ビア電極部20Bを構成する複数の第2小径ビア電極24bは仮想の第2湾曲線26bに沿って配列された形態となる。
【0036】
また、
図6Aに示すように、横断面形状が楕円形状のビア電極102や、
図6Bに示すように、複数の小径ビア電極24で楕円形状のビア電極102を構成した場合、楕円形状のビア電極102からそれぞれ対向する遮蔽導体108に向かって磁界110が広がる。しかし、共振器100を多段化して誘電体フィルタを構成する場合、受給電や結合調整をするためのパターン112(線路)を配置する必要があるが、楕円形状のビア電極102と側面の遮蔽導体108との間に、ビア電極102からの磁界110の広がりを妨げながら、受給電や結合調整をするためのパターン112(線路)を配置せざるを得なかった。これは、Q値の劣化や、不要な結合の発生をもたらす。
【0037】
一方、第1共振器10Aでは、
図7に示すように、第1ビア電極部20Aを構成する複数の第1小径ビア電極24aを仮想の第1湾曲線26a(
図5B参照)に沿って配列し、第2ビア電極部20Bを構成する複数の第2小径ビア電極24bを仮想の第2湾曲線26b(
図5B参照)に沿って配列したので、第1ビア電極部20A及び第2ビア電極部20Bからそれぞれ対向する遮蔽導体108に向かって磁界110が広がり、第1ビア電極部20Aと第2ビア電極部20B間に電磁界が疎になった領域28が形成される。
【0038】
そのため、上述した電磁界が疎になった領域28、すなわち、第1ビア電極部20Aと第2ビア電極部20B間に、受給電や結合調整をするためのパターン30(線路)を形成することが可能となる。その結果、Q値の劣化を抑制することができ、しかも、不要な結合を抑制することができる。
【0039】
また、
図6Aに示す楕円形状のビア電極102や、
図6Bに示す複数の小径ビア電極24等と異なり、
図7に示すように、電流が集中する部分のみに第1小径ビア電極24a及び第2小径ビア電極24bを配列させたので、第1小径ビア電極24a及び第2小径ビア電極24bを構成する金属材料(例えば銀)の量を大幅に低減することができると共に、第1小径ビア電極24a及び第2小径ビア電極24bの本数を減らすことができるため、工数の低減を図ることができる。
【0040】
さらに、第1共振器10Aでは、
図1、
図2A及び
図2Bに示すように、第1ビア電極部20A及び第2ビア電極部20Bの各短絡端が接続された上部遮蔽導体12Aに第1入出力端子22Aと第2入出力端子22Bが第1接続線路32a及び第2接続線路32bを介して接続されている。
【0041】
これにより、先ず、第1共振器10Aのビア電極部20は、第1側面遮蔽導体12Ca及び第2側面遮蔽導体12Cbと共にTEM波の共振器として動作する。つまり、ビア電極部20が、第1側面遮蔽導体12Ca及び第2側面遮蔽導体12Cbを参照したTEM波の共振器として動作する。ストリップ線路18は、開放端容量を形成する機能として動作する。これは、特許文献3記載の共振器の構造、すなわち、TEM波の共振器として動作する部分がストリップ線路に限定され、ビア電極部がストリップ線路と平行に配置されたグランド用導体層とを接続する機能を有するに過ぎない共振器の構造とは明らかに異なる。
【0042】
具体的には、
図1、
図2A及び
図2Bに示すように、第1入出力端子22Aに例えば正方向の電流iaが供給されることで、電流iaが、ビア電極部20の短絡端が接続された上部遮蔽導体12Aに拡散し、第1側面遮蔽導体12Ca及び第2側面遮蔽導体12Cbに向かって流れる。その際に、ストリップ線路18からもビア電極部20を介して上部遮蔽導体12Aに向かって変位電流ibが流れ(ファラデーの法則)、この変位電流ibも上部遮蔽導体12Aを介して第1側面遮蔽導体12Ca及び第2側面遮蔽導体12Cbに向かって流れる。すなわち、第1入出力端子22Aに例えば正方向の電流iaが供給された瞬間から、電流(電流ia及び電流ib)が上部遮蔽導体12Aから第1側面遮蔽導体12Ca及び第2側面遮蔽導体12Cbに拡散しながら流れることになる。その結果、ビア電極部20のサイズを大きくすることなく、Q値の向上を図ることができる。
【0043】
第1共振器10Aの等価回路を
図8A及び
図8Bに示す。
図8Aに示すように、ストリップ線路18から第1ビア電極部20Aの入出力部分(I/O)にかけて第1λ/4共振器34Aを構成し、ストリップ線路18から第2ビア電極部20Bの入出力部分(I/O)にかけて第2λ/4共振器34Bを構成する。これにより、
図8Bに示すように、第1λ/4共振器34Aと第2λ/4共振器34Bには常に同相の電流iが流れることとなる。同相となることで、第1共振器10A単体で見た場合、第1ビア電極部20Aと第2ビア電極部20Bとの間は電磁界が疎の状態になり、その間に結合や引き回しのための電極を配置しても不要な結合を極力抑えることができる。その結果、Q値の劣化を防止することができると共に、特性のばらつきを抑制することができる。
【0044】
次に、実施例及び参考例の周波数特性の違いを
図9及び
図10も参照しながら説明する。
【0045】
<実施例>
実施例に係る共振器の構成は、
図1、
図2A及び
図2Bに示すように、第1共振器10Aと同様の構成を有する。
【0046】
<参考例>
参考例に係る共振器の構成を
図9に示す。
図9において、第1共振器10Aと対応する部材には同じ参照符号を付してその説明を省略した。
【0047】
図9に示すように、参考例に係る共振器は、ストリップ線路18が上部遮蔽導体12Aと対向している。また、ストリップ線路18から下部遮蔽導体12Bにかけて隣接して形成された第1ビア電極部20A及び第2ビア電極部20Bとを有する。さらに、第1ビア電極部20Aと第2ビア電極部20Bとの間であって、且つ、ストリップ線路18から第1入出力端子22Aに延びる第1入出力線路40Aと、同じくストリップ線路18から第2入出力端子22Bに延びる第2入出力線路40Bとを有する。
【0048】
これにより、第1入出力端子22Aに例えば正方向の電流iaが供給されることで、電流iaが、第1入出力線路40Aを介してストリップ線路18に流れ、さらに、第1ビア電極部20A及び第2ビア電極部20Bを介して下部遮蔽導体12Bに流れる。下部遮蔽導体12Bに流れた電流iaは、下部遮蔽導体12Bに拡散し、第1側面遮蔽導体12Ca及び第2側面遮蔽導体12Cbに向かって流れる。
【0049】
なお、実施例及び参考例の寸法は、
図1に示すように、誘電体基板14の縦La=2.5mm、横Lb=3.2mm、高さLh=1.6mmであり、第1ビア電極部20Aと第2ビア電極部20Bとの間隔dv(
図3参照)は、0.5mmである。誘電体基板14の縦Laは、誘電体基板14のうち、ストリップ線路18の長手方向に沿った長さであり、誘電体基板14の横Lbは、誘電体基板14のうち、ストリップ線路18の短手方向に沿った長さである。
【0050】
実施例に係る共振器と参考例に係る共振器の周波数特性を
図10に示す。
図10において、実線Le(S11)は、実施例のS11(入力反射係数)を示し、実線Le(S21)は、実施例のS21(伝送特性)を示す。同様に、破線Lr(S11)は、参考例のS11(入力反射係数)を示し、破線Lr(S21)は、参考例のS21(伝送特性)を示す。
【0051】
図10の周波数特性の楕円で示す領域Zaからもわかるように、実施例の共振のピークが参考例よりも高く、実施例は、参考例よりもQ値が高いことがわかる。
【0052】
これは、参考例では、
図9に示すように、第1入出力端子22Aからの電流iaが、一旦、ビア電極部20に集中し、そこから下部遮蔽導体12Bを介して第1側面遮蔽導体12Ca及び第2側面遮蔽導体12Cbに流れることから、ビア電極部20での電流iaの集中によってQ値の向上に限界が生じるものと考えられる。
【0053】
これに対して、実施例では、
図1に示すように、第1入出力端子22Aに電流iaが供給されると同時に、ビア電極部20に変位電流ibが流れる。その結果、電流iaの第1入出力端子22Aから上部遮蔽導体12Aへの拡散、電流ibのビア電極部20から上部遮蔽導体12Aへの拡散がほぼ同時に行われて第1側面遮蔽導体12Ca及び第2側面遮蔽導体12Cbに流れることから、参考例よりもQ値の向上が図られたものと考えられる。
【0054】
次に、実施例1〜実施例6について、第1ビア電極部20Aと第2ビア電極部20Bとの間隔dv(以下、ビア間隔dvと記す)に対する無負荷Q(共振器のみの範囲のQ値:無次元数)を確認した。
【0055】
(実施例1)
図11に示すように、誘電体基板14の寸法は、縦La=4.5mm、横Lb=1.0mm、高さLh=2.0mm(図示せず)であり、ビア間隔dvは0.10mmである。第1ビア電極部20Aは、6つの第1小径ビア電極24aを円周状に配列させた形態を有し、第2ビア電極部20Bも、6つの第2小径ビア電極24bを円周状に沿って配列させた形態を有する。なお、
図11では、上部遮蔽導体12A、下部遮蔽導体12B、第1側面遮蔽導体12Ca、第2側面遮蔽導体12Cb、第1入出力端子22A、第2入出力端子22B等の記載を省略した。
【0056】
(実施例2〜6)
実施例2〜6の誘電体基板14の寸法は実施例1と同じである。ビア間隔dvは実施例2〜6によって異なり、具体的には以下の通りである。
実施例2:dv=0.30mm
実施例3:dv=0.52mm
実施例4:dv=0.72mm
実施例5:dv=0.92mm
実施例6:dv=1.12mm
【0057】
(評価結果)
実施例1〜6の無負荷Q値の違いを
図12に示す。なお、
図12において、特性曲線Caは、実施例1〜6の結果を結んだ曲線である。
図12からわかるように、無負荷Q値は、ビア間隔dv、すなわち、誘電体基板14の縦の長さLaに対するビア間隔dvの比(dv/La)によって変化することがわかる。
【0058】
そして、特性曲線Caからわかるように、比(dv/La)が1.13/4.5=0.25以下の場合に、無負荷Q値として380以上が得られ、比(dv/La)が0.96/4.5=0.21以下の場合に、無負荷Q値として390以上が得られ、比(dv/La)が0.24/4.5=0.05以上、0.70/4.5=0.16以下の場合に、無負荷Q値として400以上が得られることがわかる。
【0059】
上述した第1共振器10Aでは、
図1に示すように、ビア電極部20を第1ビア電極部20Aと第2ビア電極部20Bとで構成し、さらに、第1ビア電極部20Aを複数の第1小径ビア電極24aで構成し、第2ビア電極部20Bを複数の第2小径ビア電極24bで構成した例を示した。
【0060】
その他、
図13に示す第1の変形例に係る共振器10Aaのように、ビア電極部20を横断面が円形状あるいは楕円形状とされた1つのビア電極24Aにて構成してもよい。あるいは、
図14に示す第2の変形例に係る共振器10Abのように、ビア電極部20を横断面がトラック形状とされた1つのビア電極24Bにて構成してもよい。
【0061】
次に、第2の実施の形態に係る共振器(以下、第2共振器10Bと記す)について
図15〜
図16Bを参照しながら説明する。
【0062】
第2共振器10Bは、
図15〜
図16Bに示すように、上述した第1共振器10Aとほぼ同様の構成を有するが、以下の点で異なる。
(a−1) 誘電体基板14の下面14eに一定電位(例えば接地電位)が供給される外部端子40が形成されている。
(a−2) 下部遮蔽導体12Bが誘電体基板14内に形成されている。
(a−3) 下部遮蔽導体12Bと外部端子40とが第1ビアホール42Aを介して電気的に接続されている。
(a−4) 誘電体基板14内のうち、第3側面14cに近接する部分に、上部遮蔽導体12Aと下部遮蔽導体12Bとを電気的に接続する複数本(例えば6本)の第2ビアホール42Bが第3側面14cに沿って形成されている。すなわち、第1側面遮蔽導体12Caとして機能する複数本の第2ビアホール42Bが形成されている。
(a−5) 誘電体基板14内のうち、第4側面14dに近接する部分に、上部遮蔽導体12Aと下部遮蔽導体12Bとを電気的に接続する複数本(例えば6本)の第3ビアホール42Cが第4側面14dに沿って形成されている。すなわち、第2側面遮蔽導体12Cbとして機能する複数本の第3ビアホール42Cが形成されている。
【0063】
この第2共振器10Bでは、
図15、
図16A及び
図16Bに示すように、第1入出力端子22Aに例えば正方向の電流iaが供給されることで、電流iaが、上部遮蔽導体12Aに拡散し、第2ビアホール42B及び第3ビアホール42Cに向かって流れる。その際に、ストリップ線路18からもビア電極部20を介して上部遮蔽導体12Aに向かって変位電流ibが流れ、この変位電流ibも上部遮蔽導体12Aを介して第2ビアホール42B及び第3ビアホール42Cに向かって流れる。すなわち、第1入出力端子22Aに例えば正方向の電流iaが供給された瞬間から、電流(電流ia及び電流ib)が上部遮蔽導体12Aから第2ビアホール42B及び第3ビアホール42Cに拡散しながら流れることになる。その結果、ビア電極部20のサイズを大きくすることなく、Q値の向上を図ることができる。
【0064】
特に、この第2共振器10Bによれば、第1入出力端子22A及び第2入出力端子22Bに対する側面実装と、誘電体基板14の下面14eに形成された外部端子40に対するフリップチップ実装を行うことによって、第2共振器10Bを実装することができるため、第1共振器10Aよりも高密度実装を実現することができる。
【0065】
次に、第3の実施の形態に係る共振器(以下、第3共振器10Cと記す)について
図17〜
図18Bを参照しながら説明する。
【0066】
第3共振器10Cは、
図17〜
図18Bに示すように、上述した第2共振器10Bとほぼ同様の構成を有するが、以下の点で異なる。
(b−1) 誘電体基板14の側面に第1入出力端子22A及び第2入出力端子22Bが形成されていない。
(b−2) 誘電体基板14の下面14eのうち、上部遮蔽導体12Aの第1接続線路32aと対向する位置に第1入出力端子22Aが形成されている。
(b−3) 第1接続線路32aと第1入出力端子22Aとが第4ビアホール42Dを介して電気的に接続されている。
(b−4) 誘電体基板14の下面14eのうち、上部遮蔽導体12Aの第2接続線路32bと対向する位置に第2入出力端子22Bが形成されている。
(b−5) 第2接続線路32bと第2入出力端子22Bとが第5ビアホール42Eを介して電気的に接続されている。
【0067】
この第3共振器10Cでは、
図17、
図18A及び
図18Bに示すように、誘電体基板14の下面14eに形成された第1入出力端子22Aに例えば正方向の電流iaが供給されることで、電流iaが、第4ビアホール42Dを介して上部遮蔽導体12Aに拡散し、第2ビアホール42B及び第3ビアホール42Cに向かって流れる。その際に、ストリップ線路18からもビア電極部20を介して上部遮蔽導体12Aに向かって変位電流ibが流れ、この変位電流ibも上部遮蔽導体12Aを介して第2ビアホール42B及び第3ビアホール42Cに向かって流れる。すなわち、第1入出力端子22Aに例えば正方向の電流iaが供給された瞬間から、電流(電流ia及び電流ib)が上部遮蔽導体12Aから第2ビアホール42B及び第3ビアホール42Cに拡散しながら流れることになる。その結果、ビア電極部20のサイズを大きくすることなく、Q値の向上を図ることができる。
【0068】
特に、この第3共振器10Cによれば、誘電体基板14の下面14eに形成された外部端子40のほか、第1入出力端子22A及び第2入出力端子22Bに対してもフリップチップ実装を行うことによって、第3共振器10Cを実装することができるため、第2共振器10Bよりも高密度実装を実現することができる。
【0069】
なお、本発明に係る共振器は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。