(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6649929
(24)【登録日】2020年1月21日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】三次元プリンティング装置
(51)【国際特許分類】
B29C 64/209 20170101AFI20200210BHJP
B29C 64/30 20170101ALI20200210BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20200210BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20200210BHJP
【FI】
B29C64/209
B29C64/30
B29C64/393
B33Y30/00
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-210674(P2017-210674)
(22)【出願日】2017年10月31日
(65)【公開番号】特開2018-187912(P2018-187912A)
(43)【公開日】2018年11月29日
【審査請求日】2019年1月21日
(31)【優先権主張番号】201710307376.0
(32)【優先日】2017年5月4日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514008930
【氏名又は名称】三緯國際立體列印科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】XYZprinting, Inc.
(73)【特許権者】
【識別番号】511067204
【氏名又は名称】金▲宝▼電子工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(72)【発明者】
【氏名】李 洋得
(72)【発明者】
【氏名】陳 建志
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 識維
【審査官】
田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−107462(JP,A)
【文献】
特開2001−287408(JP,A)
【文献】
特開2016−124287(JP,A)
【文献】
特開平10−253347(JP,A)
【文献】
特開2009−229246(JP,A)
【文献】
特開平11−166823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/209
B29C 64/30
B29C 64/393
B33Y 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元(3−D)プリンティング装置であって、
ボディと、
前記ボディ内に配置されたプラットフォームと、
制御モジュールと、
前記ボディに取り付けられて前記制御モジュールに電気的に接続されたプリントヘッドモジュールであって、前記制御モジュールに制御されて前記ボディ内を移動して前記プラットフォーム上に3−Dオブジェクトを形成するプリントヘッドモジュールと、
前記プリントヘッドモジュールに取り付けられて前記ボディ内を前記プリントヘッドモジュールとともに移動する感知モジュールであって、前記制御モジュールに電気的に接続され、プローブを備える感知モジュールと、
を備え、
前記制御モジュールは、前記プリントヘッドモジュールを駆動して移動させ、前記ボディの一部が前記感知モジュールに当たるようにし、これによって前記プローブが前記プリントヘッドモジュールから突出して第1の状態となるように駆動し、
前記第1の状態において、前記制御モジュールは、前記プリントヘッドモジュールを駆動して移動させ、前記プローブを前記プラットフォームに接触させ、これによって前記プラットフォームの表面状態を判別する、
ことを特徴とする3−Dプリンティング装置。
【請求項2】
前記感知モジュールは、軸方向に沿って前記ボディの一部に当たり、前記プローブを、前記軸方向に沿って前記プリントヘッドモジュールから突出させ、
前記第1の状態において、前記プローブは、前記軸方向に沿って浮遊状態にある、ことを特徴とする請求項1に記載の3−Dプリンティング装置。
【請求項3】
前記感知モジュールは、軸方向に沿って前記プリントヘッドモジュールに移動可能に取り付けられた押圧部材を備え、
前記プローブは、前記軸方向に沿って前記押圧部材に移動可能にスリーブ状に収容され、前記押圧部材とともに移動し、
前記ボディの一部は、前記軸方向に沿って前記押圧部材に当たり、これによって前記プローブを駆動して前記プリントヘッドモジュールから突出させて前記第1の状態にさせる、ことを特徴とする請求項1に記載の3−Dプリンティング装置。
【請求項4】
前記感知モジュールは、さらに、前記プリントヘッドモジュールと前記押圧部材との間に接触する第1の弾性部材を備え、
前記第1の弾性部材は、継続的に前記プローブを駆動して前記第1の状態から前記プリントヘッドモジュールに退避させて第2の状態にさせる、ことを特徴とする請求項3に記載の3−Dプリンティング装置。
【請求項5】
前記感知モジュールは、さらに、前記プリントヘッドモジュールに向けてピボットしたトグル部材を備え、
前記第1の状態において、前記トグル部材及び前記押圧部材は、互いに干渉して前記第1の状態を維持する、ことを特徴とする請求項4に記載の3−Dプリンティング装置。
【請求項6】
前記トグル部材は、前記押圧部材に向けて延伸する第1の停止部を備え、
前記押圧部材は、前記トグル部材に向けて延伸する弾性片持ち梁を備え、
前記第1の停止部は、前記弾性片持ち梁の移動経路上に位置し、
前記第1の状態を形成するプロセスにおいて、前記弾性片持ち梁が移動して前記第1の停止部を切り替えて前記トグル部材をピボットさせ、
前記押圧部材は、前記第1の弾性部材を変形させて、前記第1の状態において、前記第1の弾性部材の弾性回復力によって前記押圧部材が駆動されて移動し、前記弾性片持ち梁を前記第1の停止部と干渉させる、ことを特徴とする請求項5に記載の3−Dプリンティング装置。
【請求項7】
前記弾性片持ち梁は、傾斜面を有し、
前記弾性片持ち梁が前記トグル部材を切り替えるプロセスにおいて、前記第1の停止部が前記傾斜面に沿って移動して前記トグル部材をピボットさせ、前記第1の停止部が前記弾性片持ち梁の前記移動経路から徐々に離間する、ことを特徴とする請求項6に記載の3−Dプリンティング装置。
【請求項8】
前記第1の停止部は、前記トグル部材の構造上の重心側に位置し、
前記トグル部材は、前記第1の停止部を介して前記弾性片持ち梁が前記第1の停止部を前記弾性片持ち梁の前記移動経路から離間させた後、前記構造上の重心に対してピボット回転し、これによって前記第1の停止部を前記弾性片持ち梁の前記移動経路に戻す、ことを特徴とする請求項7に記載の3−Dプリンティング装置。
【請求項9】
前記第1の状態において、前記制御モジュールは、前記プリントヘッドモジュールを駆動して移動させ、前記ボディの一部を前記トグル部に当てて当該トグル部をピボットさせ、前記第1の停止部を前記弾性片持ち梁から離間させて前記トグル部材と前記押圧部材との間の干渉を解除して第2の状態に変化させる、ことを特徴とする請求項6に記載の3−Dプリンティング装置。
【請求項10】
前記感知モジュールは、さらに、前記押圧部材と前記プローブとの間に接触する第2の弾性部材を備え、
前記押圧部材は、前記プローブを駆動して移動させ、前記第2の弾性部材を介して前記プリントヘッドモジュールから突出させ、第1の状態にさせ、
前記プローブは、前記第2の弾性部材を介して前記押圧部材に対して浮遊状態にある、ことを特徴とする請求項3に記載の3−Dプリンティング装置。
【請求項11】
前記感知モジュールは、さらに、前記制御モジュールに電気的に接続される感知ユニットを備え、
前記プローブは、さらに、浮遊状態にある前記感知ユニットをオン、オフするシャッター部を備える、ことを特徴とする請求項2に記載の3−Dプリンティング装置。
【請求項12】
前記押圧部材は、第1の部位と、第2の部位と、第3の部位とを備え、前記第2の部位は、前記第1の部位と前記第3の部位との間で前記軸方向に対して回転可能に隣接し、
前記プローブは、前記軸方向に沿って前記第3の部位にスリーブ状に収容され、
前記ボディは、前記軸方向に沿って前記第1の部位に当たり、前記第2の部位及び前記第3の部位を駆動して移動させる、ことを特徴とする請求項4に記載の3−Dプリンティング装置。
【請求項13】
前記第2の部位及び前記第3の部位は、それぞれ、前記第2の部位及び前記第3の部位が前記軸方向に沿って押された際に互いに接触して相互に前記軸方向に対して回転するラチェット構造を備える、ことを特徴とする請求項12に記載の3−Dプリンティング装置。
【請求項14】
前記プリントヘッドモジュールは、前記軸方向に沿って延伸する少なくとも1つのトラックを有し、
前記第2の部位は、前記トラックに摺動可能に結合された少なくとも1つのガイドブロックを備え、前記第2の状態から前記第1の状態に切り替えるプロセスにおいて、前記ガイドブロックが前記トラックから離脱するまで、前記ガイドブロックは前記第2の部位とともに前記トラックに沿って回転なしに移動し、
前記ガイドブロックが前記トラックから離脱した場合、前記ラチェット機構は、前記第2の部位を前記第3の部位に対して回転させ、前記第3の部位が駆動されて前記第1の弾性部材の弾性回復力によって戻り、前記ガイドブロックが前記トラックの先端に接触して干渉し、前記第1の状態を維持する、ことを特徴とする請求項13に記載の3−Dプリンティング装置。
【請求項15】
前記第1の状態が前記第2の状態に切り替わるプロセスにおいて、前記制御モジュールは前記プリントヘッドモジュールを駆動して移動させて前記ボディの一部を前記軸方向に沿って前記第1の部位に再度当て、前記第2の部位及び前記第3の部位を連続的に駆動して前記ガイドブロックと前記トラックとの間の干渉を解除させ、前記ラチェット機構を介して前記第2の部位を前記第3の部位に対して回転させ、前記ガイドブロックが前記トラックに対して位置合わせされ、
前記第3の部位が駆動されて前記第1の弾性部材の前記弾性回復力によって戻る、ことを特徴とする請求項14に記載の3−Dプリンティング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、三次元(3−D)プリンティング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ支援製造(CAM)における進歩とともに、製造産業では、オリジナルのデザインコンセプトを迅速に物理オブジェクトに変換する三次元(3−D)プリンティング技術が開発された。3−Dプリンティング技術は、実際には、一連のラピッドプロトタイピング(RP)技術の一般的なデザイン技法である。その基本原理は、最終的に3−Dオブジェクトを形成するように、スキャニングを通じてX−Y平面におけるワークピースの断面形状を形成し、Z軸に沿って層の厚さ分、断続的にシフトするRP機器を用いた付加製造である。3−Dプリンティング技術は特定の幾何学的形状に限定されず、部品が複雑であればあるほど、RP技術はより優れたデモンストレーションを行うことができる。3−Dプリンティング技術は、マンパワー及び処理時間を非常に節約し得る。最短時間の要求とともに、3−Dコンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアを用いてデザインされたデジタル3−Dモデルは、触れられるものとして真に提供される。一方で、3−Dオブジェクトの幾何学的形状を実際に感じられるのみならず、各ピースの組立性もまたテストされ、あるいは機能試験をもテストされ得る。
【0003】
一般に、現在利用可能な3−Dプリンティング装置は、上述したRP技術を用いてデジタル3−Dモデルに関連する3−Dオブジェクトを構築するため、通常デジタル3−Dモデルを読み込む。しかしながら、時間の経過とともに、形成材料を搬送するために用いる3−Dプリンティング装置の基部が、水平面と比較して徐々に傾斜する一方で、デジタル3−Dモデルの座標は変化せずにプリントヘッドがオリジナルの平面に基づくプラットフォーム上に形成材料を積み重ねる。この結果、プリントされた3−Dオブジェクトは実際の期待に沿えず、3−Dプリンティング装置のプリンティング品質及び歩留まりに悪影響が与えられる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、三次元(3−D)プリンティング装置に関し、感知モジュールがプリントヘッドモジュールに取り付けられてプリントヘッドモジュールに沿って移動し、このようにして制御モジュールがプリントヘッドモジュールを駆動して移動させ、ボディの一部が感知モジュールに接触するようにし、これによって感知モジュールのプローブがプリントヘッドモジュールから突出するように駆動する。従って、プラットフォームが、その平面度をテストするために好適に校正される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施の形態によれば、提供される3−Dプリンティング装置は、ボディと、プラットフォームと、制御モジュールと、プリントヘッドモジュールと、感知モジュールとを備える。プラットフォームはボディ内に配置される。プリントヘッドモジュールは、ボディに取り付けられて制御モジュールに電気的に接続される。プリントヘッドモジュールは、制御モジュールによって制御されてボディ内を移動し、プラットフォーム状に3−Dオブジェクトを形成する。感知モジュールは、プリントヘッドモジュールに取り付けられてボディ内をプリントヘッドモジュールとともに移動する。感知モジュールは、制御モジュールに電気的に接続され、また感知モジュールはプローブを備える。制御モジュールはプリントヘッドモジュールを駆動して移動させ、ボディの一部を感知モジュールに当てる。これにより、プローブを駆動してプリントヘッドモジュールから突出させて第1の状態にさせる。第1の状態において、制御モジュールはプリントヘッドモジュールを駆動して移動させ、プローブをプラットフォームに接触させ、これによってプラットフォームの表面状態を判別する。
【発明の効果】
【0006】
以上より、3−Dプリンティング装置において、感知モジュールはプリントヘッドモジュールに取り付けられ、これによって感知モジュールはプリントヘッドモジュールとともに同時に移動し、制御モジュールは、感知モジュールを駆動してプラットフォームの表面状態を感知させ、プリントヘッドモジュールを駆動して3−Dプリンティング動作を行わせる。従って、プラットフォームの表面状態が、3−Dプリンティング動作が行われる前に取得され、事前の校正あるいはプリンティング動作の間の補償に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本開示の実施形態に係る三次元(3−D)プリンティング装置を示す概略図である。
【0008】
【
図1B】
図1Aにおいて示した3−Dプリンティング装置の構成要素の一部における電気的な関連を示す図である。
【0009】
【
図2A】プリントヘッドモジュール及び感知モジュールの状態の変化を示す概略図である。
【0010】
【
図2B】別の視角におけるプリントヘッドモジュール及び感知モジュールの状態の変化を示す概略図である。
【0011】
【
図3】プリントヘッドモジュール及び感知モジュールのアセンブリを示す概略図である。
【0012】
【0013】
【
図4B】
図4Aにおいて示した感知モジュールを示す側面図である。
【0014】
【
図4C】別の状態における
図4Aにおいて示した感知モジュールの一部を示す側面図である。
【0015】
【
図4D】別の状態における
図4Aにおいて示した感知モジュールの一部を示す側面図である。
【0016】
【
図5A】本開示の別の実施形態に係る感知モジュールを示す概略図である。
【0017】
【0018】
【0019】
【
図6B】別の状態における感知モジュールを示す断面図である。
【0020】
【0021】
【0022】
【
図6E】別の状態における感知モジュールを示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1Aは、本開示の実施形態に係る三次元(3−D)プリンティング装置を示す概略図である。
図1Bは、三次元プリンティング装置の構成要素の一部の電気的な関連を示す。なお、構成要素の説明のために直行座標系X−Y−Z系を示す。
【0024】
図1A及び
図1Bの両方を参照すると、本実施形態では、3−Dプリンティング装置100は、ボディ110と、制御モジュール120と、プリントヘッドモジュール130と、感知モジュール140と、プラットフォーム150とを備える。プラットフォーム150はボディ110内に配置される。プリントヘッドモジュール130は、ボディ110に移動可能に取り付けられ、制御モジュール120に電気的に接続され、プラットフォーム150上に3−Dオブジェクトをプリントして形成するように、プリントヘッドモジュール130が制御モジュール120によって制御されてボディ110の内部を移動する。この場合、3−Dプリンティング装置100は、例えば熱溶解積層方式(FDM)プリンティング装置であり、その詳細な動作については繰り返しの説明を省略する。上述したように、3−Dプリンティング装置100に形成材料を搬送するために用いられるプラットフォーム150は、時間の経過とともに、徐々に傾斜する。3−Dプリンティング動作が実行される場合に常に品質を維持するため、本実施形態の3−Dプリンティング装置100は、さらに、プローブ(後述して詳細に説明する)及び感知ユニット144を備えた感知モジュール140を備える。感知ユニット144は、制御モジュール120に電気的に接続され、3−Dプリンティング動作が行われる前に、制御モジュール120がプローブを駆動してプラットフォーム150を検査し、プラットフォーム150の現在の平面度あるいは表面アウトラインを示し、3−Dプリンティング装置100の処理モジュールあるいはユーザに対して基準を提供し、対応してプラットフォーム150を調整させ、これによって校正効果を取得する。
【0025】
ここで、処理モジュールあるいはユーザに基準を提供することは、処理モジュールあるいはユーザが、プラットフォーム150の平面度を取得した後に校正を対応して実行し、これによってプラットフォームを元に戻し、あるいは求められる平面度に従ってプラットフォームを位置合わせする。別の状態では、プラットフォーム150の平面度を取得した後、処理モジュールあるいはユーザは、3−Dプリンティング動作のプロセスの間に測定された情報に従って続けて補償を対応して行う。プラットフォーム150の平面度が感知された後に行われる対応する動作は、これに制限されない。
【0026】
図2Aは、プリントヘッドモジュール及び感知モジュールの状態の変化を示す概略図である。
図2Bは、別の視角におけるプリントヘッドモジュール及び感知モジュールの状態の変化を示す概略図である。
図3は、プリントヘッドモジュール及び感知モジュールのアセンブリを示す概略図である。
図2A、
図2B及び
図3を同時に参照すると、本実施形態では、ボディ110内をプリントヘッドモジュール130とともに移動するように感知モジュール140がプリントヘッドモジュール130に取り付けられる。3−Dプリンティング動作が実行される前に、制御モジュール120は、プリントヘッドモジュール130を駆動して
図1Aにおいて示される矢印で示される経路に沿ってボディ110の一部に向かって移動させる。この場合、テーパー状の円筒ピラー112を例にし、プリントヘッドモジュール130がピラー112に向かって移動する場合、感知モジュール140は、ピラー112に対して位置決めされる、つまり、感知モジュール140は、ピラー112の下で垂直に位置する。次に、制御モジュール120は、プリントヘッドモジュール130を駆動してZ軸(正のZ軸に向かう方向)に沿って上方へ移動させ、感知モジュール140のプローブ143が駆動されてプリントヘッドモジュール130から突出して
図2A及び
図2Bに示す浮遊状態となる。この状況では、プリントヘッドモジュール130から突出するプローブ143の長さは、プリントヘッドモジュール130のプリントヘッド132の長さよりも大きい。従って、この状況における制御モジュール120は、さらに、プリントヘッドモジュール130を駆動してX−Y平面に沿って移動させ、プローブ143をプラットフォーム150に接触させる。従って、移動プロセスの間に、プローブ143は、接触によってプラットフォーム150の平面度あるいは表面アウトラインを示し、感知ユニット144は平面度あるいは表面アウトラインに関連するデータを感知し、当該データを制御モジュール120に送る。そのため、処理モジュールあるいは3−Dプリンティング装置100のユーザは、対応する動作を行うためのプラットフォーム150の表面状態を取得し得る。
【0027】
図4Aは感知モジュールを示す概略図である。
図4Bは、
図4Aに示した感知モジュールを示す側面図である。
図3、
図4A及び
図4Bを同時に参照すると、本実施形態では、感知モジュール140は押圧部材141と、トグル部材142と、感知ユニット144と、第1の弾性部材145aと、第2の弾性部材145bと、プローブ143とを備える。この場合、プリントヘッドモジュール130は、構造A1及びA2によって略形成される。押圧部材141は、Z軸に沿って移動可能に構造A2に取り付けられる。プローブ143も、Z軸に沿って移動可能に押圧部材141に取り付けられ、トグル部材142はX軸を中心としてピボットするように構造A1及びA2の間でピボットする。
図4Aに示すように、押圧部材141とプローブ143との間に第2の弾性部材145bが接触する。
図4Bに示すように、押圧部材141とプリントヘッドモジュール130(実質的には構造A1)との間に第1の弾性部材145aが接触する。このように、感知モジュール140が上記のようにピラー112に対して位置合わせされた場合、感知モジュール140の押圧部材141がピラー112の下で垂直に位置する。従って、ピラー112に当たっている押圧部材141は、負のZ軸に沿った方向に移動し、
図2A及び
図2Bにおける矢印で示す状態変化のように、プローブ143が、プリントヘッドモジュール130の底部から突出して第1の状態を形成し、感知モジュール140のプローブ143が第2の状態(プローブ143がプリントヘッドモジュール130に退避している状態)から第1の状態(プローブ143がプリントヘッドモジュール130の底部から突出する状態)に移行する。換言すると、押圧部材141が下降した場合、押圧部材141の下降によってプローブ143がプリントヘッドモジュール130の底部から突出する。
【0028】
図4Cは、別の状態における
図4Aで示した感知モジュールの一部を示す側面図である。
図4Dは、別の状態における
図4Aに示した感知モジュールの一部を示す側面図である。
図4Bから
図4Dを同時に参照すると、本実施形態では、押圧部材141は、トグル部材142から突出する弾性片持ち梁141aと、トグル部材142とを備え、プリントヘッドモジュール130のピボット部142aに対してピボットすることに加え、弾性片持ち梁141aの移動経路上に配置された第1の停止部142bを備える。更に、弾性片持ち梁141aは、傾斜面141bを備える。片持ち梁141aがトグル部材142を回転させるプロセスにおいて、第1の停止部142bは、傾斜面141bに沿って移動してトグル部材142をピボットさせ、従って第1の停止部142bは、徐々に弾性片持ち梁141aの移動経路から離間する。
図4Cに示すように、この場合のトグル部材142は、反時計回りに回転して押圧部材141から離間する。次に、
図4C及び
図4Dの両方を参照すると、第1の停止部142bは、トグル部材142の構造上の重心側に位置し、弾性片持ち梁141aがトグル部材142を回転することで第1の停止部142bが弾性片持ち梁141aの移動経路から離間(反時計回りの回転)した後、トグル部材142は、構造上の重心に対してピボット(時計回りの回転)し、第1の停止部142bが弾性片持ち梁141aの移動経路に戻る。この場合、押圧部材141は、
図4Dに示す位置に移動し、従って、第1の停止部142bは、弾性片持ち梁141a上に略位置する。また、押圧部材141は、ピラー112に当たって下方向に押圧され、これによって第1の弾性部材145aを変形してプレスする。従って、押圧部材141がピラー112によって下方向に押圧されなくなると、押圧部材141は、第1の弾性部材145aの弾性回復力によって駆動されて戻って上方向に移動する。この場合、第1の停止部142bは、弾性片持ち梁141aのリターン経路上に位置し、トグル部材142の第1の停止部142b及び押圧部材141の弾性片持ち梁141aは互いに干渉し、これによって感知モジュール140を第1の状態に維持する。
【0029】
また、プローブ143は、Z軸に沿って移動可能な浮遊状態にあり、押圧部材141及びトグル部材142は互いに干渉している。さらに、プローブ143は、Z軸に向かう方向における移動によってプリントヘッドモジュール130から落下することが防止されるが、これは、押圧部材141の凸部141cとプローブ143の第2の停止部143bとがZ軸上で互いに干渉するためである。実質的に、凸部141c上で、第2の弾性部材145bがプローブ143と押圧部材141との間で接触することのみによってプローブ143は浮遊状態となる。つまり、プローブ143は、プラットフォーム150に接触する際、プラットフォーム150の表面アウトラインの変化によってZ軸に沿って移動してもよい。換言すると、押圧部材141は、プローブ143を駆動してプリントヘッドモジュール130の底部から突出するように移動させて第2の弾性部材145bによって第1の状態を形成し、プローブ143は、第2の弾性部材145bによって押圧部材141に対して浮遊状態となる。
【0030】
感知モジュール140は、さらに、制御モジュール120に電気的に接続される感知ユニット144を備え、また、プローブ143は、さらに、浮遊状態の感知ユニット144をオンあるいはオフにするためのシャッター部143aを備える。
図4Dを参照すると、感知ユニット144は、例えば、光センサであり、プラットフォーム150にプローブ143を接触させるプロセスにおいてZ軸に沿って垂直に移動することが可能であり、従ってシャッター部143aは感知ユニット144の感知光を遮断あるいは通過させる。このように、感知光を遮断あるいは通過させる動作に応じて、制御モジュール120は、プラットフォーム150の表面状態を判別し得る。ここでの表面状態はプラットフォーム150の平面度、表面アウトライン、粗さ等である。
【0031】
そして、感知モジュール140がプラットフォーム150の表面状態の感知動作を完了した後、制御モジュール120は、プリントヘッドモジュール130を駆動して再びピラー112に向けて移動させ、第1の停止部142bと反対の側でトグル部材142をピラー112に当て、トグル部材142が駆動されて反時計回りにピボット回転して第1の停止部142bを弾性片持ち梁141aとの干渉から解放する。このように、押圧部材141は、第1の弾性部材145aの弾性回復力によって駆動されて
図4A及び
図4Bに示す第2の状態に戻る。以上で、プラットフォーム150の表面状態を感知する動作が3−Dプリンティング装置100によって完了される。
【0032】
図5Aは、本開示の別の実施形態に係る感知モジュールを示す概略図である。
図5Bは感知モジュールを示す分解図である。
図5A及び
図5Bの両方を参照すると、本実施形態では、感知モジュールも、同時に移動するようにプリントヘッドモジュール130に同様に配置される。上記実施形態と異なり、本実施形態の感知モジュールは、ハウジング210と、プローブ220と、押圧部材230とを備える。ハウジング210は、プリントヘッドモジュール130に取り付けられ、第1の部分212及び第2の部分214を備える。図示しない別の実施形態では、ハウジング210及びプリントヘッドモジュール130は、また一体構造を採用する。
【0033】
押圧部材230は、第1の部位231と、第2の部位232と、第3の部位233とを備える。第2の部位232は、軸方向(
図5Bに示す)を中心に回転可能に第1の部位231と第3の部位233との間に隣接する。プローブ220は、軸方向に沿って第3の部位233に移動可能にスリーブ状に収容される。上記実施形態と同様に、第1の弾性部材250は、押圧部材230の第3の部位233とハウジング210の第2の部分214との間に接触する。プローブ220は、第3の部分221及び第4の部分222とを備える。第3の部分221は、第1の弾性部材250にスリーブ状に収容される。第2の弾性部材260は、第4の部分222の凸状シャフト222aにスリーブ状に取り付けられ、第4の部分222と押圧部材230の第3の部位233との間に接触する。本実施形態では、第1の弾性部材250及び第2の弾性部材260によって得られる効果は、上記実施形態のものと同様であり、従って繰り返しの説明を省略する。
【0034】
上記実施形態と同様に、プローブ220の第3の部分221がハウジング210の第2の部分214から突出するように、また浮遊状態を維持するように(上述したように、プローブ143はプリントヘッドモジュール130の底部から突出し、浮遊状態に維持される)、押圧部材230の第1の部位231が力を受けて(例えば、上記のピラー112に当たることで)押圧されるように構成され、第2の部位232及び第3の部位233が移動される。そのため、第4の部分222のシャッター部222bが、感知光を遮断あるいは通過させることでプラットフォーム150の表面状態を感知するように感知ユニット240に対応する(光学センサがシャッター部に対応するのと同様である)。
【0035】
図6A及び
図6Bは、それぞれ、感知モジュールを示す断面図である。
図6Cは、感知モジュールを示す部分断面図である。
図6D及び
図6Eは、それぞれ、感知モジュールを示す部分拡大図である。
図6A乃至
図6Eを同時に参照し、ならびに
図5Bを参照すると、押圧部材230の第2の部位232がラチェット機構232aを備え、第3の部位233が、ラチェット機構232aに対応するラチェット機構233aを備え、第2の部位232が、第3の部位233に対して略ピボットし、従って軸方向周りに加えられる力とそれに対応するラチェット機構232a、233aがあることで、第2の部位232及び第3の部位233は、軸方向に関して互いにピボットする状態にある。
【0036】
更に、
図6Cにおいて、ハウジング210の第1の部分212は、軸方向に延伸するトラック212aを備え、第2の部位232は、トラック212aに対応して摺動可能に結合可能なガイドブロック232bを備える。押圧部材230の第1の部位231が力(例えば、上述したようにピラー112に当たるような)によって押圧される場合、
図6Bに示すように、第2の状態から第1の状態に移行するプロセスにおいて、第1の部位231は、第3の部位233に向けて移動するように第2の部位232を押し、ラチェット機構232aと233aとが互いに接触し、この時、ガイドブロック232bはまだトラック212a内を移動し、それによって制限されている。したがって、
図6Dで示すように、第2の部位232及び第3の部位233は軸方向に関して互いにピボットしない。
【0037】
図6Dで示すように、ガイドブロック232bは、トラック212aを出た後は、トラック212aを形成する2つの側面のリブ212bによって制限されない。従って、第2の部位232は、軸方向に関して第3の部位233に対してピボットする。第1の弾性部材250は、押圧されるプロセスにおいて、押圧部材230によって押圧されて変形し、押圧力が解除された後、第3の部位233が駆動されて第1の弾性部材250の弾性回復力によって戻る(また、第2の部位232及び第1の部位231が確かに間接的に押圧される)。しかしながら、ガイドブロック232bがトラック212aからこの時には離間しており、ガイドブロック232bが、第2の部位232のピボットによりガイドリブ212bの先端212cに略対応するので、弾性回復力によって駆動されたガイドブロック232bが、トラック212aの先端(つまり、リブ212bの先端212c)に接触して干渉し、感知モジュールが第1の状態に維持され、従って制御モジュール120は感知モジュールを駆動してプラットフォームの表面状態の測定を行う。
【0038】
ハウジング210及びプリントヘッドモジュール130が一体構造の場合、ハウジング210は、障害物のないプリントヘッドモジュール130の構造A2と略考えることができる。
【0039】
その後、測定が完了した後、上記と同様に、制御モジュール120は、プリントヘッドモジュール130を再度駆動してボディ110の一部(つまり、ピラー)に向けて移動させ、押圧部材230の第1の部位231を再度当該部分に当てて第1の部位231を押圧する。この状況で、第2の部位232及び第3の部位233は間接的に押される。対応するラチェット機構232a及び233aによる影響のため、第2の部位232は、再度軸方向に関して第3の部位233対してピボットする。このように、ガイドブロック232bとリブ212bの先端212cとの間の干渉が解除され、ガイドブロック232bは、第2の部位232のピボットとともに、トラック212aに再度対応する。従って、第3の部位233が第1の弾性部材250の弾性回復力によって再度駆動されて第2の部位232を押すと、ガイドブロック232bは、トラック212a内を当該トラックに沿って移動して、ポジションリターン効果を達成する。
【0040】
以上の実施形態に基づき、3−Dプリンティング装置では、感知モジュールは、プリントヘッドモジュールに取り付けられ、それによって感知モジュールは同時にプリントヘッドモジュールとともに移動し、制御モジュールは感知モジュールを駆動してプラットフォームの表面状態を感知させ、またプリントヘッドモジュールを制御して3−Dプリンティング動作を実行させる。従って、3−Dプリンティング動作が実行される前に、プラットフォームの表面状態が取得可能であり、これは事前の校正あるいはプリンティング動作中の補償に好適である。
【0041】
制御モジュールがプリントヘッドモジュールを駆動して感知モジュールの押圧部材をボディの一部に当てることで、それに従って感知モジュールのプローブがプリントヘッドモジュールの底部から突出して第1の状態になり、これはプラットフォームの表面状態の感知に寄与する。感知動作が完了すると、制御モジュールは再度押圧部材を駆動して当該部分に当てて、プローブがプリントヘッドモジュールに退避して第2の状態になる。従って、手動で感知をする場合に要する時間を効果的に短縮することができ、手動の感知動作において退避することで落下することにより、3−Dプリンティングの間にプローブが当たって損傷することを防止できる。
【0042】
当てる動作は様々なので、感知モジュールは、押圧部材としてトグル部材を採用することができ、ガイドブロック及び押圧部材のラチェット機構を介したトラックとともに用いることができ、プローブがプリントヘッドモジュールから突出した際の干渉効果を効果的に提供することが可能であり、これはプローブが突出状態を維持することに寄与し得る。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本開示は、三次元(3−D)プリンティング装置に関し、感知モジュールは、プリントヘッドモジュールに取り付けられてプリントヘッドモジュールと共に移動し、制御モジュールは、プリントヘッドモジュールを駆動して移動させ、またボディの一部を当てて感知モジュールを離間させ、制御モジュールが感知モジュールを駆動してプラットフォームの表面状態を感知させることができる。
【符号の説明】
【0044】
100 3−Dプリンティング装置
110 ボディ
112 ピラー
120 制御モジュール
130 プリントヘッドモジュール
140 感知モジュール
141、230 押圧部材
141a 弾性片持ち梁
141b 傾斜面
141c 凸部
142 片持ち梁
142a ピボット部
142b 第1の停止部
143、220 プローブ
143a、222b シャッター部
143b 第2の停止部
144、240 感知ユニット
145a、250 第1の弾性部材
145b、260 第2の弾性部材
150 プラットフォーム
210 ハウジング
212 第1の部分
212a トラック
212b リブ
212c 先端
214 第2の部分
221 第3の部分
222 第4の部分
222a 凸状シャフト
231 第1の部位
232 第2の部位
232a、233a ラチェット機構
232b ガイドブロック
233 第3の部位
A1、A2 構造
X−Y−Z 直交座標系