(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6649950
(24)【登録日】2020年1月21日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】単一のダンパを備えたハイブリッド駆動モジュール
(51)【国際特許分類】
F16H 45/00 20060101AFI20200210BHJP
F16H 45/02 20060101ALI20200210BHJP
F16H 41/24 20060101ALI20200210BHJP
B60K 17/04 20060101ALI20200210BHJP
F16D 25/0638 20060101ALI20200210BHJP
B60K 17/02 20060101ALI20200210BHJP
B60K 6/48 20071001ALI20200210BHJP
B60K 6/54 20071001ALI20200210BHJP
B60K 6/38 20071001ALI20200210BHJP
B60K 6/36 20071001ALI20200210BHJP
B60K 6/405 20071001ALI20200210BHJP
【FI】
F16H45/00 CZHV
F16H45/02 Y
F16H41/24 B
B60K17/04 G
F16D25/0638
B60K17/02 F
B60K6/48
B60K6/54
B60K6/38
B60K6/36
B60K6/405
【請求項の数】19
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-515958(P2017-515958)
(86)(22)【出願日】2015年9月8日
(65)【公表番号】特表2017-535726(P2017-535726A)
(43)【公表日】2017年11月30日
(86)【国際出願番号】US2015048932
(87)【国際公開番号】WO2016048650
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2018年9月5日
(31)【優先権主張番号】62/053,556
(32)【優先日】2014年9月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マークス シュタインベアガー
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ペイン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジー. スワンク
【審査官】
岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−330348(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0086897(US,A1)
【文献】
実開昭48−001625(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 45/00
B60K 6/36
B60K 6/38
B60K 6/405
B60K 6/48
B60K 6/54
B60K 17/02
B60K 17/04
F16D 25/0638
F16H 41/24
F16H 45/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド駆動モジュールであって、
トルクコンバータを備え、該トルクコンバータは、
出力軸と、
屈曲プレートに直接接続するために配置されているカバーであって、前記屈曲プレートは、内燃機関からの第1のトルクを受け取るように配置されている、カバーと、
前記カバーに相対回動不能に接続されたインペラと、
前記インペラに流体連通されたタービンと、
ねじりダンパと、を有しており、該ねじりダンパは、
前記タービンに相対回動不能に接続された入力部と、
前記出力軸に相対回動不能に接続された出力部と、
前記入力部と前記出力部とに係合する周方向で整列した少なくとも1つのコイルばねと、を備え、
当該ハイブリッド駆動モジュールは、
トランスミッション入力軸に相対回動不能に接続されるように配置された出力ハブと、
切離しクラッチアッセンブリと、を備え、該切離しクラッチアッセンブリは、
前記出力ハブに相対回動不能に接続されており、電気モータに相対回動不能に接続されるように配置された第1のクラッチ構成要素と、
前記出力軸に相対回動不能に接続された第2のクラッチ構成要素と、を有し、
前記カバーから前記出力ハブまでの第1のトルク経路は、前記タービン、前記ダンパ、前記出力軸、前記第2のクラッチ構成要素、前記第1のクラッチ構成要素の順に通過し、
前記電気モータから前記出力ハブへの第2のトルク経路は、前記第1の構成要素を通り、前記トルクコンバータを迂回する、
ハイブリッド駆動モジュール。
【請求項2】
前記切離しクラッチアッセンブリは、
前記第1の構成要素に相対回動不能に接続された少なくとも1つの第1のクラッチプレートと、
前記第2の構成要素に相対回動不能に接続された少なくとも1つの第2のクラッチプレートと、
前記第1及び第2のクラッチ構成要素を相対回動不能に接続するために前記少なくとも1つの第1及び第2のクラッチプレートをクランプするように軸方向可動のピストンと、
を備えている、請求項1記載のハイブリッド駆動モジュール。
【請求項3】
前記切離しクラッチアッセンブリは、少なくとも部分的に前記ピストンによって境界を定められた第1及び第2の圧力チャンバを備え、
前記第1のチャンバは、前記少なくとも1つの第1及び第2のクラッチプレートをクランプするように前記ピストンを軸方向に移動させるために加圧流体を受け取るように配置されており、
前記第2のチャンバは、前記少なくとも1つの第1及び第2のクラッチプレートを係合解除して、前記第1及び第2のクラッチ構成要素間の相対回動を可能とするように前記ピストンを軸方向に移動させるために加圧流体を受け取るように配置されている、
請求項2記載のハイブリッド駆動モジュール。
【請求項4】
前記トルクコンバータと前記クラッチアッセンブリとの間に軸方向で配置されたハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、前記加圧流体を前記第1の圧力チャンバへと供給するために配置された第1の通路と、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、前記加圧流体を前記第2の圧力チャンバへと供給するために配置された第2の通路と、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、加圧流体を前記トルクコンバータへと供給するために配置された第3の通路と、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、前記トルクコンバータから流体を排出するために配置された第4の通路と、
をさらに備える、請求項3記載のハイブリッド駆動モジュール。
【請求項5】
前記出力軸は、
前記第1の通路を前記第1の圧力チャンバに接続する第5の通路と、
前記第2の通路を前記第2の圧力チャンバに接続する第6の通路と、
前記第3の通路を前記トルクコンバータに接続する第7の通路と、
前記第4の通路を前記トルクコンバータに接続する第8の通路と、
を備える、請求項4記載のハイブリッド駆動モジュール。
【請求項6】
ワンウェイクラッチ用の、前記第1のクラッチ構成要素と前記出力ハブとを有する第1のレースをさらに備え、
前記第2のクラッチ構成要素は、前記ワンウェイクラッチ用の第2のレースを含んでおり、
前記第2のレースに対する前記第1のレースの相対回動のために、前記第1のレースは、前記第2のレースに対して相対的に回動可能であって、
前記第1のレースに対する前記第2のレースの相対回動のために、前記第1及び第2のレースは相対回動不能に接続されている、
請求項1記載のハイブリッド駆動モジュール。
【請求項7】
ハイブリッド駆動モジュールであって、
トルクコンバータを備え、該トルクコンバータは、
出力軸と、
屈曲プレートに直接接続するために配置されているカバーであって、前記屈曲プレートは、内燃機関からの第1のトルクを受け取るように配置されている、カバーと、
前記カバーに相対回動不能に接続されたインペラと、
前記インペラに流体連通されたタービンと、
ねじりダンパと、を有しており、該ねじりダンパは、
前記タービンに相対回動不能に接続された入力部と、
前記出力軸に相対回動不能に接続された出力部と、
前記入力部と前記出力部とに係合する周方向で整列した少なくとも1つのコイルばねと、を備え、
当該ハイブリッド駆動モジュールは、
ワンウェイクラッチを有する切離しクラッチアッセンブリを備え、前記ワンウェイクラッチは、
電気モータに相対回動不能に接続されており、トランスミッション入力軸に相対回動不能に接続されるように配置された第1のレースと、
前記出力軸に相対回動不能に接続された第2のレースと、を備え、
前記カバーから前記出力ハブまでの第1のトルク経路は、前記タービン、前記ダンパ、前記出力軸、前記第2のレース、前記第1のレースの順に通過し、
前記電気モータから前記出力ハブへの第2のトルク経路は、前記第1のレースを通り、前記トルクコンバータを迂回する、
ハイブリッド駆動モジュール。
【請求項8】
前記第2のレースに対する前記第1のレースの相対回動のために、前記第1のレースは、前記第2のレースに対して相対的に回動可能であって、
前記第1のレースに対する前記第2のレースの相対回動のために、前記第1及び第2のレースは相対回動不能に接続されている、
請求項7記載のハイブリッド駆動モジュール。
【請求項9】
前記切離しクラッチアッセンブリは、
前記第1のレースに相対回動不能に接続された少なくとも1つの第1のクラッチプレートと、
前記第2のレースに相対回動不能に接続された少なくとも1つの第2のクラッチプレートと、
前記第1及び第2のクラッチ構成要素を相対回動不能に接続するために前記少なくとも1つの第1及び第2のクラッチプレートをクランプするように軸方向可動のピストンと、
を備えている、請求項7記載のハイブリッド駆動モジュール。
【請求項10】
前記切離しクラッチアッセンブリは、少なくとも部分的に前記ピストンによって境界を定められた第1及び第2の圧力チャンバを備え、
前記第1のチャンバは、前記少なくとも1つの第1及び第2のクラッチプレートをクランプするように前記ピストンを軸方向に移動させるために加圧流体を受け取るように配置されており、
前記第2のチャンバは、前記少なくとも1つの第1及び第2のクラッチプレートを係合解除して、前記第1及び第2のクラッチ構成要素間の相対回動を可能とするように前記ピストンを軸方向に移動させるために加圧流体を受け取るように配置されている、
請求項9記載のハイブリッド駆動モジュール。
【請求項11】
前記トルクコンバータと前記クラッチアッセンブリとの間に軸方向で配置されたハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、前記加圧流体を前記第1の圧力チャンバへと供給するために配置された第1の通路と、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、前記加圧流体を前記第2の圧力チャンバへと供給するために配置された第2の通路と、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、加圧流体を前記トルクコンバータへと供給するために配置された第3の通路と、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、前記トルクコンバータから流体を排出するために配置された第4の通路と、
をさらに備える、請求項10記載のハイブリッド駆動モジュール。
【請求項12】
前記出力軸は、
前記第1の通路を前記第1の圧力チャンバに接続する第5の通路と、
前記第2の通路を前記第2の圧力チャンバに接続する第6の通路と、
前記第3の通路を前記トルクコンバータに接続する第7の通路と、
前記第4の通路を前記トルクコンバータに接続する第8の通路と、
を備える、請求項11記載のハイブリッド駆動モジュール。
【請求項13】
ハイブリッド駆動モジュールであって、
トルクコンバータを備え、該トルクコンバータは、
出力軸と、
屈曲プレートに直接接続するために配置されているカバーであって、前記屈曲プレートは、内燃機関からの第1のトルクを受け取るように配置されている、カバーと、
前記カバーに相対回動不能に接続されたインペラと、
前記インペラに流体連通されたタービンと、
ねじりダンパと、を有しており、該ねじりダンパは、
前記タービンに相対回動不能に接続された入力部と、
前記出力軸に相対回動不能に接続された出力部と、
前記入力部と前記出力部とに係合する周方向で整列した少なくとも1つのコイルばねと、を備え、
当該ハイブリッド駆動モジュールは、
トランスミッション入力軸に相対回動不能に接続されるように配置された出力ハブと、
電気モータと、
切離しクラッチアッセンブリと、を備え、該切離しクラッチアッセンブリは、
前記出力ハブと前記電気モータとに相対回動不能に接続された第1のクラッチ構成要素と、
前記出力軸に相対回動不能に接続された第2のクラッチ構成要素と、を有し、
前記カバーから前記出力ハブまでの第1のトルク経路は、前記タービン、前記ダンパ、前記出力軸、前記第2のクラッチ構成要素、前記第1のクラッチ構成要素の順に通過し、
前記電気モータから前記出力ハブへの第2のトルク経路は、前記第1の構成要素を通り、前記トルクコンバータを迂回する、
ハイブリッド駆動モジュール。
【請求項14】
ワンウェイクラッチ用の、前記第1のクラッチ構成要素と前記出力ハブとを有する第1のレースをさらに備え、
前記第2の構成要素は、前記ワンウェイクラッチ用の第2のレースを含んでおり、
前記第2のレースに対する前記第1のレースの相対回動のために、前記第1のレースは、前記第2のレースに対して相対的に回動可能であって、
前記第1のレースに対する前記第2のレースの相対回動のために、前記第1及び第2のレースは相対回動不能に接続されている、
請求項13記載のハイブリッド駆動モジュール。
【請求項15】
前記切離しクラッチアッセンブリは、
前記第1のレースに相対回動不能に接続された少なくとも1つの第1のクラッチプレートと、
前記第2のレースに相対回動不能に接続された少なくとも1つの第2のクラッチプレートと、
前記第1及び第2レースを相対回動不能に接続するために前記少なくとも1つの第1及び第2のクラッチプレートをクランプするように軸方向可動のピストンと、
を備える、請求項14記載のハイブリッド駆動モジュール。
【請求項16】
前記切離しクラッチアッセンブリは、
前記第1の構成要素に相対回動不能に接続された少なくとも1つの第1のクラッチプレートと、
前記第2の構成要素に相対回動不能に接続された少なくとも1つの第2のクラッチプレートと、
前記第1及び第2のクラッチ構成要素を相対回動不能に接続するために前記少なくとも1つの第1及び第2のクラッチプレートをクランプするように軸方向可動のピストンと、
を備える、請求項13記載のハイブリッド駆動モジュール。
【請求項17】
前記切離しクラッチアッセンブリは、少なくとも部分的に前記ピストンによって境界を定められた第1及び第2の圧力チャンバを備え、
前記第1のチャンバは、前記少なくとも1つの第1及び第2のクラッチプレートをクランプするように前記ピストンを軸方向に移動させるために加圧流体を受け取るように配置されており、
前記第2のチャンバは、前記少なくとも1つの第1及び第2のクラッチプレートを係合解除して、前記第1及び第2のクラッチ構成要素間の相対回動を可能とするように前記ピストンを軸方向に移動させるために加圧流体を受け取るように配置されている、
請求項16記載のハイブリッド駆動モジュール。
【請求項18】
前記トルクコンバータと前記クラッチアッセンブリとの間に軸方向で配置されたハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、前記加圧流体を前記第1の圧力チャンバへと供給するために配置された第1の通路と、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、前記加圧流体を前記第2の圧力チャンバへと供給するために配置された第2の通路と、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、加圧流体を前記トルクコンバータへと供給するために配置された第3の通路と、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、前記トルクコンバータから流体を排出するために配置された第4の通路と、
をさらに備える、請求項17記載のハイブリッド駆動モジュール。
【請求項19】
前記出力軸は、
前記第1の通路を前記第1の圧力チャンバに接続する第5の通路と、
前記第2の通路を前記第2の圧力チャンバに接続する第6の通路と、
前記第3の通路を前記トルクコンバータに接続する第7の通路と、
前記第4の通路を前記トルクコンバータに接続する第8の通路と、
を備える、請求項18記載のハイブリッド駆動モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2014年9月22日に出願された米国仮特許出願第62/053556号の合衆国第35法典第119条(e)に基づく利益を請求し、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
技術分野
本発明は、内燃機関と電気モータとからトルクを受け取るハイブリッド駆動モジュールに関する。ハイブリッド駆動モジュールは、ハイブリッド駆動モジュールの出力トルクを制御するために、トルクコンバータと切離しクラッチアッセンブリとを備える。内燃機関と出力部との間の唯一のねじり振動ダンパは、トルクコンバータにおけるねじり振動ダンパである。
【背景技術】
【0003】
図8A及び
図8Bには、ハイブリッド駆動モジュールを備える従来のドライブトレインの概略的なブロック図が示されている。米国特許出願第2012/0258838号には、電気モータと、内燃機関からのトルクを受け取るトルクコンバータとを備えたハイブリッド駆動モジュールと、このハイブリッド駆動モジュールの出力トルクを制御するクラッチアッセンブリとが開示されている。
図8Aに示すように、1つの態様では、デュアルマスフライホイールダンパが、ハイブリッド駆動モジュールと内燃機関との間に配置されており、第2の振動ダンパは、トルクコンバータの部分である。デュアルマスフライホイールダンパは、システムに必要な軸方向スペースと、システムの慣性を増加させる。
【0004】
図8Bに示すように、別の態様では、エンジンとクラッチアッセンブリとの間に振動ダンパは設けられていない。このような配置によれば、エンジンの振動が直接、クラッチアッセンブリに伝達されるので、クラッチアッセンブリの摩耗は増大する。特に、クラッチアッセンブリにおけるスプライン接続部とクラッチプレートとはエンジンの振動から保護されている。さらに、電気モータとトルクコンバータとが同じ側から組み付けられるという事実により、保守整備及び組み立てが複雑になっている。
【0005】
米国特許出願第2013/0192946及び2013/0192947号には、ハイブリッド駆動モジュールと内燃機関との間に配置された1つの振動ダンパと、トルクコンバータの部分である第2の振動ダンパとが開示されている。
図8Bは、上記特許出願公開の両方に適用可能である。米国特許出願第2012/0258838号の第1の態様に関する議論は、上記特許出願公開にも当てはまる。
【0006】
図9は、ハイブリッド駆動モジュールを備える従来の形式のドライブトレインを示す部分断面図である。米国特許出願第2013/0192947号では、ロータキャリア80を位置決めするために単一の軸受74が使用されており、これはロータキャリアの位置決めに対して不都合な影響を与える。さらに、トルクコンバータ49が、流体で満たされたトランスミッションハウジング58によって形成されたチャンバ内にあり、これによりトルクコンバータの作動に関連した抗力が増大する。さらに、チャンバ58が大きく傾けられると、
図9のチャンバの右側にオイルが集まり、戻り入口が露出し、入口でオイルの代わりに空気が吸い込まれ、結果として性能が低下し、損傷することさえある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に示す態様によれば、トルクコンバータを備えるハイブリッド駆動モジュールが提供される。トルクコンバータは、出力軸と、屈曲プレートに直接接続するために配置されているカバーであって、屈曲プレートは内燃機関からの第1のトルクを受け取るように配置されている、カバーと、カバーに相対回動不能に接続されたインペラと、インペラに流体連通されたタービンと、ねじりダンパと、を有する。ねじりダンパは、タービンに相対回動不能に接続された入力部と、出力軸に相対回動不能に接続された出力部と、入力部と出力部とに係合する周方向で整列した少なくとも1つのコイルばねと、を備える。ハイブリッド駆動モジュールは、トランスミッション入力軸に相対回動不能に接続されるように配置された出力ハブと、切離しクラッチアッセンブリと、を備え、切離しクラッチアッセンブリは、出力ハブに相対回動不能に接続されていて、電気モータに相対回動不能に接続されるように配置された第1のクラッチ構成要素と、出力軸に相対回動不能に接続された第2のクラッチ構成要素と、を有する。カバーから出力ハブまでのトルク経路は、タービン、ダンパ、出力軸、第2のクラッチ構成要素、第1のクラッチ構成要素の順に通過する。
【0008】
本明細書に示す態様によれば、トルクコンバータを備えるハイブリッド駆動モジュールが提供される。トルクコンバータは、出力軸と、屈曲プレートに直接接続するために配置されているカバーであって、屈曲プレートは内燃機関からの第1のトルクを受け取るように配置されている、カバーと、カバーに相対回動不能に接続されたインペラと、インペラに流体連通されたタービンと、ねじりダンパと、を有する。ねじりダンパは、タービンに相対回動不能に接続された入力部と、出力軸に相対回動不能に接続された出力部と、入力部と出力部とに係合する周方向で整列した少なくとも1つのコイルばねと、を備える。ハイブリッド駆動モジュールは、ワンウェイクラッチを含む切離しクラッチアッセンブリを備え、ワンウェイクラッチは、電気モータに相対回動不能に接続されており、トランスミッション入力軸に相対回動不能に接続されるように配置された第1のレースと、出力軸に相対回動不能に接続された第2のレースと、を有する。カバーから出力ハブまでのトルク経路は、タービン、ダンパ、出力軸、第2のレース、第1のレースの順に通過する。
【0009】
本明細書に示す態様によれば、トルクコンバータを備えるハイブリッド駆動モジュールが提供される。トルクコンバータは、出力軸と、屈曲プレートに直接接続するために配置されているカバーであって、屈曲プレートは内燃機関からの第1のトルクを受け取るように配置されている、カバーと、カバーに相対回動不能に接続されたインペラと、インペラに流体連通されたタービンと、ねじりダンパと、を有する。ねじりダンパは、タービンに相対回動不能に接続された入力部と、出力軸に相対回動不能に接続された出力部と、入力部と出力部とに係合する周方向で整列した少なくとも1つのコイルばねと、を備える。ハイブリッド駆動モジュールは、トランスミッション入力軸に相対回動不能に接続されるように配置された出力ハブと、電気モータと、切離しクラッチアッセンブリと、を備え、切離しクラッチアッセンブリは、出力ハブと電気モータとに相対回動不能に接続された第1のクラッチ構成要素と、出力軸に相対回動不能に接続された第2のクラッチ構成要素と、を有する。カバーから出力ハブまでの第1のトルク経路は、タービン、ダンパ、出力軸、第2のクラッチ構成要素、第1のクラッチ構成要素の順に通過する。
【0010】
様々な実施の形態は、添付の概略的な図面に関連して例としてのみ開示されている。図面では、対応する参照符号は対応する部材を示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本願において使用される空間に関する用語を説明する円柱座標系の斜視図である。
【
図2】単一のダンパを有するハイブリッド駆動モジュールの断面図である。
【
図3】
図2の領域3の詳細を示す軸方向断面図であり、周方向に重ねられた通路を図示している。
【
図4】
図2のハイブリッド駆動モジュールを備えるドライブトレインの概略的なブロック図である。
【
図5】単一のダンパとワンウェイクラッチを有するハイブリッド駆動モジュールの断面図である。
【
図6】
図5の領域6の詳細を示す軸方向断面図であり、周方向に重ねられた通路を図示している。
【
図7】
図5のハイブリッド駆動モジュールを備えるドライブトレインの概略的なブロック図である。
【
図8A】ハイブリッド駆動モジュールを備える従来のドライブトレインの概略的なブロック図である。
【
図8B】ハイブリッド駆動モジュールを備える従来のドライブトレインの概略的なブロック図である。
【
図9】ハイブリッド駆動モジュールを備える従来のドライブトレインを示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
最初に、異なる図面における同じ図面番号は、本開示の同一の又は機能的に類似の構造要素を識別していることが認識されるべきである。請求の範囲に記載された開示は、開示された態様に限定されないことが理解されるべきである。
【0013】
さらに、この開示は、特定の方法、材料及び記載された変更に限定されるものではなく、当然変更されてよいことが理解される。本明細書で使用される用語は、特定の態様を説明するためだけのものであり、本開示の範囲の限定を意図したものではないことも理解される。
【0014】
別段の定めがない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、この開示が属する技術分野における当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で説明されたものと類似又は均等なあらゆる方法、装置又は材料を、本開示の実用又は試験において使用できることを理解すべきである。
【0015】
図1は、本願において使用される空間に関する用語を説明する円柱座標系10の斜視図である。本願は、少なくとも部分的に円柱座標系に関して説明される。系10は、以下の方向及び空間に関する用語の基準として使用される長手方向軸線11を含む。軸方向ADは、軸線11に対して平行である。半径方向RDは、軸線11に対して垂直である。周方向CDは、軸線11を中心として回転する(軸線11に対して垂直な)半径Rの終端点によって規定されている。
【0016】
空間に関する用語を明らかにするために、物体12,13及び14が使用される。物体12の面15のような軸方向面は、軸線11と同一平面上の平面により形成される。軸線11は、平らな面15を通っているが、軸線11と同一平面上にある全ての平面は軸方向面である。物体13の面16のような半径方向面は、軸線11に対して垂直であり、半径、例えば半径17と同一平面にある平面により形成される。半径17は、平らな面16を通っているが、半径17と同一平面上にある全ての平面は半径方向面である。物体14の面18は、周方向面、又は円筒面を形成している。例えば円周19は面18を通っている。別の例として、軸方向の移動は、軸線11に対して平行であり、半径方向の移動は、軸線11に対して垂直であり、周方向の移動は、円周19に対して平行である。回転移動は、軸線11に関する。「軸方向に」、「半径方向に」及び「周方向に」という副詞は、それぞれ軸線11、半径17又は円周19に対して平行な向きに関するものである。例えば、軸方向に配置された面又は縁部は方向ADで延在しており、半径方向に配置された面又は縁部は方向Rで延在しており、周方向に配置された面又は縁部は方向CDで延在している。
【0017】
図2は、単一のダンパを有するハイブリッド駆動モジュール100の断面図である。
【0018】
図3は、
図2の領域3の詳細を示す軸方向断面図であり、周方向に重ねられた通路を図示している。
【0019】
図4は、
図2のハイブリッド駆動モジュール100を備えるドライブトレインの概略的なブロック図である。以下の説明については、
図2から
図4を参照すべきである。モジュール100は、トルクコンバータ102と、切離しクラッチアッセンブリ104と、出力軸106とを備える。トルクコンバータ102は、カバー108と、このカバー108に相対回動不能に接続されたインペラ110と、インペラ110に流体連通されたタービン112と、ねじりダンパ114とを備える。カバー108は、屈曲プレートFPに直接接続するために配置されている。屈曲プレートFPは、内燃機関EからのトルクTを受け取るように配置されている。ダンパ114は、タービン112に相対回動不能に接続された入力部116と、出力軸106に相対回動不能に接続された出力部118と、入力部116及び出力部118に係合し、周方向で整列した少なくとも1つのコイルばね120とを備える。モジュール100は、トランスミッション入力軸TISに相対回動不能に接続されるように配置された出力ハブ122を有する。
【0020】
切離しクラッチアッセンブリ104は、クラッチ構成要素124と126を有する切離し摩擦クラッチ123を備える。ロータキャリア124としても公知の構成要素124は、出力ハブ122に相対回動不能に接続されており、電気モータEMのロータRに相対回動不能に接続されるように配置されている。1つの実施の形態では、モジュール100はモータEMを有する。構成要素126は、出力軸106に相対回動不能に接続されている。1つの実施の形態では、構成要素126は、軸106に相対回動不能に接続されたハブ127と、ハブ127に相対回動不能に接続されたキャリア129とを備える。切離しクラッチ123が閉じられると、カバー108から出力ハブ122までのトルク経路128は、タービン112、ダンパ114、出力軸106、クラッチ構成要素126、クラッチ構成要素124の順に通過する。1つの実施の形態では、アッセンブリ104は、構成要素124に相対回動不能に接続された少なくとも1つのクラッチプレート130と、構成要素126に相対回動不能に接続された少なくとも1つのクラッチプレート132と、構成要素124と126を相対回動不能に接続するためにクラッチプレート130と132をクランプするように軸方向に移動可能なピストン134とを備える。
【0021】
アッセンブリ104は、少なくとも部分的にピストン134によって境界を定められている圧力チャンバ136と138を備える。チャンバ136は、クラッチプレート130と132をクランプするようにピストン134を軸方向AD1で軸方向に移動させるために加圧流体を受け取るように配置されており、チャンバ138は、クラッチプレート130と132を係合解除して、ピストン134を逆の軸方向AD2で軸方向に移動させ、クラッチ構成要素124と126の間で相対回動を可能にするために加圧流体を受け取るように配置されている。
【0022】
図示した態様では、モジュール100は、トルクコンバータ102と切離しクラッチアッセンブリ104との間に軸方向で配置されたハウジング140を備える。ハウジング140は、ハウジング140内に少なくとも部分的に配置され、加圧流体を圧力チャンバ136へと供給するために配置された通路142と、ハウジング140内に少なくとも部分的に配置され、加圧流体を圧力チャンバ138へと供給するために配置された通路144と、ハウジング140内に少なくとも部分的に配置され、加圧流体をトルクコンバータ102へと供給するために配置された通路146と、ハウジング140内に少なくとも部分的に配置され、トルクコンバータ102から流体を排出するために配置された通路148と、を含む。
図3に示すように、1つの実施の形態では、通路142,144,146,148は周方向で整列しているか、又は重ねられている。
【0023】
1つの実施の形態では、出力軸106は、それぞれ軸106に設けられた開口152と154を介して通路142を圧力チャンバ136に接続する通路150と、それぞれ軸106に設けられた開口158と160を介して通路144を圧力チャンバ138に接続する通路156と、それぞれ軸106に設けられた開口164と166を介して通路146をトルクコンバータ102に接続する通路162と、それぞれ軸106に設けられた開口170と172を介して通路148をトルクコンバータ102に接続する通路168と、を備える。
【0024】
1つの実施の形態では、トルクコンバータ102はタービンクラッチ174を備え、タービンクラッチ174は、インペラシェル176の部分176Aと、タービンシェル178の部分178Aとをそれぞれ備える。摩擦材料180は部分176Aと178Aとの間に配置されている。トルクコンバータモードでは、クラッチ174は開かれており、インペラシェル176とタービンシェル178とは独立的に回転可能である。従って、トルクTはシェル176とシェル178とに流体Fを介して伝達される。ロックアップモードでは、チャンバ182における圧力はトーラス180における圧力よりも高く、シェル178を方向AD1へ移動させ、部分176Aと178Aとを摩擦的に係合させ、クラッチ174を閉じる。従ってトルクTはシェル176からシェル178へとクラッチ174を介して直接伝達される。1つの実施の形態では、トルクコンバータ102は、ロータキャリア124を位置決めする軸受184と186を有する。
【0025】
切離しクラッチアッセンブリ104は、出力ハブ122に提供されたトルクを制御する。例えば、切離しクラッチ123が開かれている場合、トルクは、モータEMからではなくトルクコンバータ102からハブ122へと伝達することができる。切離しクラッチ123が閉じられている場合、トルクコンバータ102とモータEMの両方からのトルクをハブ122へと伝達することができる。さらに、切離しクラッチ123が閉じられている場合、エンジンEを始動させるために、トルクをモータEMからエンジンEへと伝達することができる。
【0026】
好適には、モジュール100は、トルクコンバータ102内の単一の振動ダンパ114だけを使用して、例えばデュアルマスフライホイールダンパを使用せずに、切離しクラッチアッセンブリ104のための振動保護を提供する。特に、モジュール100は、スプライン接続部とクラッチプレートのために保護を提供する。例えば、切離しクラッチアッセンブリ104に到達する前に、トルクTのトルク経路だけは、ダンパ114を通過しなければならない。特に、トルクコンバータ102のロックアップモードでは、トルク経路128が適用可能である。トルクコンバータ102のトルクコンバータモードでは、トルク経路188が適用可能である。両トルク経路128,188は、クラッチアッセンブリ104に到達する前にダンパ114を通過する。
【0027】
モジュール100は、以下のようなさらなる利点を提供する。
1.カバー102とエンジンEとの間に振動ダンパが必要ないので、モジュール100に必要な軸方向のスペースが減少する。
2.カバー102とエンジンEとの間に振動ダンパが必要ないので、慣性が減少する。
3.トルクコンバータ102と切離しクラッチアッセンブリ104とが、モジュール100の異なる側から組み立てられるので、保守整備性が改善される。
4.軸受184と186によりロータキャリア124の位置決めが改善される。
5.トルクコンバータ102が配置されているチャンバ190が乾式チャンバなので、トルクコンバータ102に関連する抗力が減少する。
6.
図8のハウジング58により形成されるチャンバのような湿式チャンバがないので、上述したような空気吸込の問題はなくなる。
【0028】
図5は、単一のダンパを有するハイブリッド駆動モジュール200の断面図である。
【0029】
図6は、
図5の領域6の詳細を示す軸方向断面図であり、周方向に重ねられた通路を図示している。
【0030】
図7は、
図5のハイブリッド駆動モジュール200を備えるドライブトレインの概略的なブロック図である。以下の説明については、
図5から
図7を参照すべきである。モジュール200は、トルクコンバータ202と、切離しクラッチアッセンブリ204と、出力軸206とを備える。トルクコンバータ202は、カバー208と、このカバー208に相対回動不能に接続されたインペラ210と、インペラ210に流体連通されたタービン212と、ねじりダンパ214とを備える。カバー208は、屈曲プレートFPに直接接続するために配置されている。屈曲プレートFPは、内燃機関EからのトルクTを受け取るように配置されている。ダンパ214は、タービン212に相対回動不能に接続された入力部216と、出力軸206に相対回動不能に接続された出力部218と、入力部216及び出力部218に係合し、周方向で整列した少なくとも1つのコイルばね220とを備える。
【0031】
切離しクラッチアッセンブリ204はワンウェイ切離しクラッチ222を備え、ワンウェイ切離しクラッチ222は、内レース224と、外レース226と、これらレース224,226の相対回動を可能にし、かつこれらレース224,226を相対回動不能に接続するために使用される係合アッセンブリ227と、を備える。切離しクラッチ222は、当業者に公知の任意の形式のワンウェイクラッチであってよく、例えば当業者には公知のローラ又はスプラグ式ワンウェイクラッチであってよい。レース224はモジュール200の出力部であり、トランスミッション入力軸TISに相対回動不能に接続されるように配置されている。ロータキャリア229は、レース224に相対回動不能に接続されており、電気モータEMのロータRに相対回動不能に接続されるように配置されている。1つの実施の形態では、モジュール200はモータEMを有する。レース226は、出力軸206に相対回動不能に接続されている。カバー208からレース224までのトルク経路228は、タービン212、ダンパ214、出力軸206、レース226の順に通過する。
【0032】
レース226に対するレース224の相対回動(フリーホイールモード)のために、例えば、レース224はレース226よりも速く回転しており、又はレース226は回転しておらず、レース224は、レース226に対して回転可能である。この場合、トルクは、トルクコンバータ202によってではなくモータEMによってレース224へと伝達することができる。レース224に対するレース226の相対回動(ロックモード)のために、例えば、レース226はレース224よりも速く回転しており、又はレース224は回転しておらず、レース224と226とは相対回動不能に接続されている。この場合、トルクは、モータEM及びトルクコンバータ202によってレース224へと伝達することができる。
【0033】
1つの実施の形態では、アッセンブリ204は切離し摩擦クラッチ231を備え、この切離し摩擦クラッチ231は、ロータキャリア229に相対回動不能に接続された少なくとも1つのクラッチプレート230と、レース226に相対回動不能に接続されたキャリア233に相対回動不能に接続された少なくとも1つのクラッチプレート232と、レース224と226を相対回動不能に接続するためにクラッチプレート230と232をクランプするように軸方向に移動可能なピストン234とを有している。
【0034】
アッセンブリ204は、少なくとも部分的にピストン234によって境界を定められている圧力チャンバ236と238を備える。チャンバ236は、クラッチプレート230と232をクランプするようにピストン234を軸方向AD1で軸方向に移動させるために加圧流体を受け取るように配置されており、チャンバ238は、クラッチプレート230と232を係合解除して、レース224と226の間で相対回動を可能にするためにピストン234を逆の軸方向AD2で軸方向に移動させるために加圧流体を受け取るように配置されている。
【0035】
1つの実施の形態では、モジュール200は、トルクコンバータ202と切離しクラッチアッセンブリ204との間に軸方向で配置されたハウジング240を備える。ハウジング240は、ハウジング240内に少なくとも部分的に配置され、加圧流体を圧力チャンバ236へと供給するために配置された通路242と、ハウジング240内に少なくとも部分的に配置され、加圧流体を圧力チャンバ238へと供給するために配置された通路244と、ハウジング240内に少なくとも部分的に配置され、加圧流体をトルクコンバータ202へと供給するために配置された通路246と、ハウジング240内に少なくとも部分的に配置され、トルクコンバータ202から流体を排出するために配置された通路248と、を含む。
図6に示すように、1つの実施の形態では、通路242,244,246,248は周方向で整列しているか、又は重ねられている。
【0036】
1つの実施の形態では、出力軸206は、それぞれ軸206に設けられた開口252と254を介して通路242を圧力チャンバ236に接続する通路250と、それぞれ軸206に設けられた開口258と260を介して通路244を圧力チャンバ238に接続する通路256と、それぞれ軸206に設けられた開口264と266を介して通路246をトルクコンバータ202に接続する通路262と、それぞれ軸206に設けられた開口270と272を介して通路248をトルクコンバータ202に接続する通路268と、を含む。
【0037】
1つの実施の形態では、トルクコンバータ202はタービンクラッチ274を備え、タービンクラッチ274は、インペラシェル276の部分276Aと、タービンシェル278の部分278Aとをそれぞれ備える。摩擦材料280は部分276Aと278Aとの間に配置されている。トルクコンバータモードでは、クラッチ274は開かれており、インペラシェル276とタービンシェル278とは独立的に回転可能である。従って、トルクTはシェル276とシェル278とに流体Fを介して伝達される。ロックアップモードでは、チャンバ282における圧力はトーラス280における圧力よりも高く、シェル278を方向AD1へ移動させ、部分276Aと278Aとを摩擦的に係合させ、クラッチ274を閉じる。従ってトルクTはシェル276からシェル278へとクラッチ274を介して直接伝達される。1つの実施の形態では、トルクコンバータ202は、ロータキャリア224を位置決めする軸受284と286を有する。
【0038】
切離しクラッチアッセンブリ204は、レース224に提供されたトルクを制御する。例えば、クラッチ231が開かれ、クラッチ222がフリーホイールモードにある場合、トルクは、トルクコンバータ202からではなくモータEMからレース224へと伝達することができる。例えば、クラッチ231が閉じられ、クラッチ222がロックモードにある場合、トルクは、モータEM及びコンバータ202からレース224へと伝達することができる。さらに、クラッチ231が閉じられている場合、エンジンEを始動させるために、トルクをモータEMからエンジンEへと伝達することができる。
【0039】
好適には、モジュール200は、トルクコンバータ202内の単一の振動ダンパ214だけを使用して、例えばデュアルマスフライホイールダンパを使用せずに、切離しクラッチアッセンブリ204のための振動保護を提供する。特に、モジュール200は、スプライン接続部とクラッチプレートのために保護を提供する。例えば、切離しクラッチアッセンブリ204に到達する前に、トルクTのトルク経路だけは、ダンパ214を通過しなければならない。特に、トルクコンバータ202のロックアップモードでは、トルク経路228が適用可能である。トルクコンバータ202のトルクコンバータモードでは、トルク経路288が適用可能である。両トルク経路228,288は、クラッチアッセンブリ204に到達する前にダンパ214を通過する。
【0040】
モジュール200は、以下のようなさらなる利点を提供する。
1.カバー202とエンジンEとの間に振動ダンパが必要ないので、モジュール200に必要な軸方向のスペースが減少する。
2.カバー202とエンジンEとの間に振動ダンパが必要ないので、慣性が減少する。
3.トルクコンバータ202と切離しクラッチアッセンブリ204とが、モジュール200の異なる側から組み立てられるので、保守整備性が改善される。
4.軸受284と286によりロータキャリア224の位置決めが改善される。
5.トルクコンバータ202が配置されているチャンバ290が乾式チャンバなので、トルクコンバータ202に関連する抗力が減少する。
6.
図8のハウジング58により形成されるチャンバのような湿式チャンバがないので、上述したような空気吸込の問題はなくなる。
【0041】
上に開示された特徴及び機能並びにその他の特徴及び機能、又はそれらに代替するものは、望ましくは多くのその他の異なるシステム又は用途に組み合わされてよいことが認められるであろう。現時点では予想又は予期されない様々な代替、修正、変更又は改良は、引き続き当業者によってなされてよく、これらも、以下の請求の範囲によって包含されることが意図されている。