(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吸気パイプと前記排気パイプとは一体に成型され、前記吸気パイプは、前記排気パイプの径方向に沿って外部へ延伸し且つ前記ウエイト部材と同一の回転平面上に配置されることを特徴とする請求項1に記載の蒸気バルブ。
前記排気パイプはプラスチック材であり、前記ウエイト部材は金属材であり、前記ウエイト部材は2ショット射出成型により前記排気パイプに固定されることを特徴とする請求項1に記載の蒸気バルブ。
前記カバー本体には前記蒸気バルブを収納する収納槽が設けられ、前記収納槽は一端が密閉され、他端が開口する筒状に形成され、前記排気パイプの開口端の端面は前記収納槽の密閉端の端面に当接し、前記収納槽の密閉端の端面には前記排気パイプと前記蒸気通路とを連通させる排気孔が設けられることを特徴とする請求項11または12に記載の容器カバー。
前記収納槽の密閉端の端面には少なくとも1つの防水槽が設けられ、前記排気パイプの開口端の端面には前記防水槽内に嵌入される少なくとも1つの第一防水環状部が設けられることを特徴とする請求項13に記載の容器カバー。
前記カバー本体には、出水バルブと、前記出水バルブを収納する第二収納槽と、前記出水バルブと外部とを連通させる出水通路とがさらに設けられ、前記蒸気通路と前記出水通路とは連通することを特徴とする請求項11または12に記載の容器カバー。
前記自由回転部は前記排気パイプの密閉端に設けられた軸孔であり、前記回転装着部は前記下部カバーに設けられ、軸孔に嵌入される回転軸であり、或いは前記自由回転部は前記排気パイプの開口端に設けられる軸受であり、前記回転装着部は前記カバー本体に設けられる、前記軸受を取り付ける軸受孔であることを特徴とする請求項11または12に記載の容器カバー。
前記排気パイプの外表面に設けられた水密閉構造と前記収納槽の内壁との間に形成される密閉空間の容積の和はV0であり、前記排気パイプと前記収納槽の内壁との間の総容積はV1であり、V0/V1∈[0.5、0.95]であることを特徴とする請求項15に記載の容器カバー。
前記ウエイト部材が前記自由回転部周りに回転する重力トルクは、前記吸気パイプが前記自由回転部周りに回転する重力トルクと、前記排気パイプが自転するとき前記カバー本体との摩擦トルクとの和より大きいことを特徴とする請求項11または12に記載の容器カバー。
前記フレームには、出水バルブと、前記出水バルブを収納する第二収納槽と、前記出水バルブと外部とを連通させる出水通路とがさらに設けられ、前記蒸気通路と前記出水通路とは連通することを特徴とする請求項25に記載の容器カバー。
前記下部カバーと前記カバー本体との間には密閉リングが設けられ、前記容器カバーは前記密閉リングにより前記容器本体の内壁と密閉して接続されることを特徴とする請求項27に記載の液体加熱容器。
前記容器カバーと前記容器本体とは係止構造により連結され、前記係止構造は容器カバーに設けられる伸縮可能なフックと容器本体の内壁に設けられるロック槽とを含むことを特徴とする請求項27に記載の液体加熱容器。
【発明を実施するための形態】
【0080】
以下、本発明の実施例の図面により、本発明の実施例に係る技術的方案を詳細に、充分に説明するが、下記の実施例は本発明の一部分の実施例であり、本発明の全部の実施例を示すものでない。当業者が、本発明の実施例に基づいて、創造性を働かせずに得られる他の実施例も、本発明の保護範囲に含まれる。
【0081】
注意されたいことは、本発明の実施例中に方向性指示(例えば、上、下、左、右、前、後・・・・)が記載されているが、前記方向性指示は、ある特定の姿勢(例えば図面中の姿勢)における各部材間の相対位置関係、移動状況などを説明するにすぎず、該特定の姿勢が変化すると、前記方向性指示も相応に変化する。
【0082】
また、本発明の実施例には「第一」、「第二」などの用語が記載されているが、前記「第一」、「第二」などの用語は、本発明を説明するものにすぎず、技術的特徴の重要性を直接または間接的に示すか或いは技術的特徴の数量を直接または間接的に示すものではない。よって、「第一」、「第二」と限定される特徴は、少なくとも1つの技術的特徴が含まれることを直接または間接的に示す。なお、各実施例における技術的方案を組み合わせてもよいが、当業者が実現できることを前提としなければならず、技術的方案の組合せにより矛盾が発生するか或いは実施不可能な場合、これらを組み合わせることができず、本発明が求める保護範囲に含まれないことは言うまでもない。
【0083】
本発明は、蒸気バルブと、該蒸気バルブが取り付けられる容器カバーと、該容器カバーを具備する液体加熱容器とを提供する。
【0084】
図1〜
図3を参照すると、液体加熱容器10は、容器カバー10a、容器本体10bおよび給電ベース10cを含み、容器カバー10aは、カバー本体10’と、カバー本体10’の上端に設けられる上部カバー11と、カバー本体10’の下端に設けられる下部カバー12とを含む。説明を簡単にするため、以下、液体加熱容器の例としてケトルを引用して説明する。
【0085】
カバー本体10’はフレーム13を具備し、フレーム13には蒸気バルブ15を取り付ける収納槽130が形成されている。該収納槽130は筒状に形成され、この一端は開口端であり、他端は密閉端である。該収納槽130の密閉端には蒸気バルブ15と連通する排気孔131が形成されている。
【0086】
容器カバー10a上には押しボタン16が設けられ、カバー本体10’上には、リンクロッド17と、出水バルブ18と、該出水バルブ18を収納する第二収納槽100とが形成されている。押しボタン16はリンクロッド17の一端に連結され、リンクロッド17の他端は出水バルブ18を開くために用いられる(出水バルブ18の閉めはその上端に取り付けられるスプリングと押し板により実施される)。
【0087】
カバー本体10’には蒸気通路14と出水通路とが形成されている。前記排気孔131と蒸気通路14とは連通し、該蒸気通路14の一端と外部とが連通していることにより容器本体内の気圧を維持する。出水通路の一端は吐水口であり、他端は第二収納槽100と連通している。出水バルブ18を開けるとき、容器本体10b内の水は第二収納槽100内に流入し、出水バルブ18によって吐水口から排出される。
【0088】
該漏水防止ケトル10で湯を沸かすとき、容器本体10b内の水は蒸発し、蒸気は下部カバー12に形成された貫通孔から蒸気バルブ15内に入り、次に排気孔131により蒸気通路14内に入り、最後に蒸気は蒸気通路14から液体加熱容器の取っ手に沿って液体加熱容器10の底部の温度制御装置側へ流れる。また、蒸気は外部と連通している蒸気通路14の一端により排出される。
【0089】
使用者が水を注ぐとき、容器本体10bに設けられる操作部品(図示せず)を押すことにより、該操作部品が前記押しボタン16に当接し、リンクロッド17により出水バルブ18が開けられるので、容器本体10b内の水が第二収納槽100内に流入し、吐水口141から排出される。
【0090】
本発明の実施例において、4つの方面から蒸気バルブ15、容器カバー
10aおよび液体加熱容器の具体的な実施例を説明する。
【0091】
第一方面において、
図4a乃至
図6bに示すとおり、蒸気バルブ15は、排気パイプ151、ウエイト部材152および吸気パイプ153を含む。排気パイプ151の一端は開口で、他端は密閉状になっており、排気パイプ151には該排気パイプ151をその軸方向に回転させる自由回転部が設けられている。
【0092】
吸気パイプ153は、排気パイプ151と連通するように排気パイプ151に連結され、且つ排気パイプ151から側方へ延伸している。ウエイト部材152は排気パイプ151に連結され、且つ排気パイプ151から側方へ延伸している。ウエイト部材152と吸気パイプ153との排気パイプ151の周方向における角度αは90°より大きく、且つ180°以下である。ウエイト部材152が前記自由回転部周りに回転する重力トルクは、前記吸気パイプ153が前記自由回転部周りに回転する重力トルクより大きい。
【0093】
具体的に、排気パイプ151は管体と端部板材とを含み、該管体の上端は開口になっており、下端は前記端部板材によって密閉状態になっている。ウエイト部材152は排気パイプ151の側壁に取り付けられるか或いは排気パイプ151の下端に取り付けられる。同様に、吸気パイプ153は排気パイプ151の側壁に取り付けられるか或いは排気パイプ151の下端に取り付けられる。取り付けの利便性を向上させるため、吸気パイプ153とウエイト部材152とはいずれも排気パイプ151の側壁に取り付けることが好ましい。以下、吸気パイプ153とウエイト部材152とはいずれも排気パイプ151の側壁に取り付けられる例について説明する。
【0094】
管体の側壁には排気口1510が形成されており、該排気口1510には吸気パイプ153が取り付けられる。前記吸気パイプ153は前記排気口1510によって管体と連通する。
【0095】
ウエイト部材152は排気パイプ151の側壁に設けられる。ウエイト部材152は例えば溶接により排気パイプ151に固定され、ウエイト部材152と排気パイプ151は一体に成型されることができる。ウエイト部材152は排気パイプ151に取り外し可能に接続され、例えばネジによりウエイト部材152は排気パイプ151に取り付けられることができる。ウエイト部材152と吸気パイプ153とは排気パイプ151の周方向において夾角を形成して設けられる。また、ウエイト部材152の重量は大きく、通常は金属材、例えばステンレスまたは銅などの高密度の材料で製造される。排気パイプ151と吸気パイプ153はプラスチック材料または金属材で製造されることができる。
【0096】
自由回転部は容器カバー10a内の回転装着部に取り付けられる。自由回転部は、管体の一部分、例えば管体の上端部、中央部または下端部に属し、回転装着部は環状部であり、管体は該環状部内に設置される。自由回転部は前記排気パイプ151の密閉端に形成された軸孔であり、前記回転装着部は前記下部カバー12に形成され、軸孔に嵌入される回転軸であってもよい。自由回転部は排気パイプ151の側壁に設けられる軸受であり、回転装着部は収納槽130内に形成される軸受孔であることができ、前記軸受は軸受孔内に固定される。自由回転部は排気パイプ151の下端面に設けられる回転軸
157であり、該回転軸
157と前記排気パイプ151とは同軸に設けられ、回転装着部は下部カバー12に形成される軸孔であることもできる。
【0097】
液体加熱容器10が倒れると、容器カバー10aは正常の状態に対して90°回転する。ウエイト部材152の重力トルクは吸気パイプ153の重力トルクより大きいので、ウエイト部材152の作用により自由回転部は回転装着部に対して回転し、最終的にウエイト部材152は液面の最下方に移動し、吸気パイプ153の位置が高くなり、液体加熱容器10内の水は吸気パイプ153に容易に入ることができない。
【0098】
ここで、ウエイト部材152の重力トルクはM
1=G
1×L
1であり、吸気パイプ153の重力トルクはM
2=G
2×L
2である。なお、G
1はウエイト部材152の重量であり、L
1はウエイト部材152の重心と排気パイプ151の軸線との垂直距離であり、G
2は吸気パイプ153の重量であり、L
2は吸気パイプ153の重心と排気パイプ151の軸線との垂直距離である。ここで、M
1>M
2を満たせば、液体加熱容器が倒れる(90°横転する)とき、蒸気バルブ15は回転し、ウエイト部材152は下側へ回転し、吸気パイプ153の位置は高くなることができる。
【0099】
ウエイト部材152と吸気パイプ153との排気パイプ151の周方向における角度αは90°<α≦180°である。これは、0°<α≦90°であれば、ケトル10が倒れると、ケトル10内の水位が蒸気バルブ15より高くなるので、水が吸気パイプ153に沿って排気パイプ151内に流入するためである。90°<α≦180°であれば、ケトル10が倒れても、ケトル10内の水が吸気パイプ153を完全に水没させることができず、吸気パイプ153の末端は水位上に延伸するので、水が吸気パイプ153によって排気パイプ151内に流入することができず、漏水防止の効果を向上させることができる。
【0100】
本発明の技術方案は、排気パイプ151にウエイト部材152と自由回転部が設けられることにより、蒸気バルブ15はウエイト部材152の作用により自由に回転できる。漏水防止型液体加熱容器10が倒れるとき、ウエイト部材152が下方へ回転するとともに吸気パイプ153を上方へ移動させることで、吸気パイプ153の位置が高くなり、液体加熱容器10内の水が排気口1510に入る確率が抑制され、液体加熱容器10の漏水防止の効果を向上させることができる。
【0101】
図3、
図4a、
図5a、
図6aを参照すると、前記実施例において、ウエイト部材152と吸気パイプ153との排気パイプ151の周方向における角度αの範囲は広く、90°<α≦180°である。ここで、αが小さければ、液体加熱容器10が倒れると、液体加熱容器10内の水位が吸気パイプ153の末端より高くなり、水が吸気パイプ153の末端から排気パイプ151内に流入するおそれがあるので、前記実施例の出水バルブ18の漏水防止の効果が悪くなる。本発明の好適な実施例において、出水バルブ18の漏水防止の効果を向上させるため、前記ウエイト部材152の延伸方向と前記吸気パイプ153の延伸方向との間の角度αを170°≦α≦180°にすることができる。このようにすると、液体加熱容器10が倒れても、液体加熱容器10内の水位が吸気パイプ153の末端を完全に水没させることができず、水が吸気パイプ153により排気パイプ151内に流入することができないので、漏水防止の効果を更に向上させることができる。
【0102】
上述した実施例に基づいて、蒸気バルブ15の漏水防止の効果を最適にするため、α=180°にすることができる。すなわち、ウエイト部材152と前記吸気パイプ153を前記排気パイプ151の両側にそれぞれ設けることができる。
【0103】
ケトル10が倒れる瞬間、容器本体10b内の水は容器カバー10a内に迅速に流入し、吸気パイプ153によって排気パイプ151内に流入する。蒸気バルブ15の回転速度が遅すぎると、
吸気パイプ153が最高位置まで回転する前に、水が
吸気パイプ153内に流入し(0.1秒の差でも多い水が
吸気パイプ
153内に流入するおそれがある)、容器カバー10
aから漏水するおそれがある。
【0104】
図3、
図4a、
図5aを参照すると、前記実施例において、吸気パイプ153は、円型パイプ、四角形パイプまたは他の形状のパイプであることができる。そのような形状のパイプは回転方向において空気と接触する面積が大きいので、空気の抵抗力が大きくなる。本実施例において、吸気パイプ153は扁平状に形成されている。これにより、ケトル10が倒れるとき、吸気パイプ153は迅速に最高位置まで回転することができ、吸気パイプ153に水が流入することを避けることができる。
【0105】
また、容器カバー10aの半径は通常5cm〜8cmであることを考慮して、吸気パイプ153の長さを制限しなければならない。吸気パイプ153が長すぎれば、吸気パイプ153は他の構造と干渉しやすく、蒸気バルブ15全体は回転しにくくなる。吸気パイプ153が短すぎれば、液体加熱容器10が倒れるとき、吸気パイプ153の末端が水没するおそれがある。本実施例において、前記吸気パイプ153の長さを3cm〜5cmにすることが好ましい。
【0106】
吸気パイプ153と排気パイプ151との連結の密閉性を考慮すると、吸気パイプ153と排気パイプ151は一体に成型されることができ、これにより、2つの部材の間の連結箇所の密閉性が向上し、漏気または漏水しにくくなる。
【0107】
吸気パイプ153とウエイト部材152とはいずれも排気パイプ151の側壁の任意の位置に取り付けられることができ、両者は上下方向に高度差を有するか、或いは同一の回転平面上に位置することができる。実施例において、両者は同一の回転平面に位置することが好ましい。以下、両者が異なる回転平面に位置し、ウエイト部材152が上方に設けられ、吸気パイプ153が下方に設けられる例について説明する。ウエイト部材152が回転するとき、排気パイプ151はウエイト部材152の重力トルクを吸気パイプ153に伝送する。この過程において、排気パイプ151はウエイト部材152の回転に対して抵抗力を生じるので、吸気パイプ153が最適な位置まで回転することが遅くなる。両者が同一の回転平面に位置するとき、排気パイプ151によって生じる抵抗力が小さいので、吸気パイプ153は最高位置まで迅速に回転することができる。
【0108】
ウエイト部材152は排気パイプ151の側壁に設けられる。ウエイト部材152は例えば溶接により排気パイプ151に固定接続され、ウエイト部材152と排気パイプ151とは一体に成型することができる。ウエイト部材152はさらに排気パイプ151に取り外し可能に接続することができる。排気パイプ151はプラスチック材であり、ウエイト部材152は金属材である。前記ウエイト部材152は2ショット射出成型により前記排気パイプ151に固定される。好適な実施例において、ウエイト部材152の取り付け、取り外しまたは取り替えを容易にするため、ウエイト部材152と排気パイプ151との連結方式を取り外し可能な連結にする。具体的に、排気パイプ151の側壁に凸部1512を形成し、前記ウエイト部材(152)を前記凸部1512に取り付ける。排気パイプ151の側壁に凸部1512を形成し、凸部1512とウエイト部材152との連結により排気パイプ151に対して保護作用を有する。ウエイト部材152が排気パイプ151の側壁に直接取り付けられると、ウエイト部材152の取り付けにより排気パイプ151に漏気または変形が発生するおそれがある。
【0109】
続いて、
図3、
図4a、
図5aを参照すると、他の好適な実施例において、前記ウエイト部材152は扇状に形成され、その円心端が前記排気パイプ151に連結する。これは、扇状のウエイト部材152は加工しやすく、コストが低いからである。また、扇状のウエイト部材152は回転時の抵抗力が小さく、回転速度が速く、吸気パイプ153を迅速に上げることができる。
【0110】
図2と
図8aを参照すると、ケトル10が倒れることには2つの状況がある。1つ目はケトル10が90°倒れる場合であり、2つ目はケトル10の傾斜角度が90°より大きい、例えば180°の場合である。90°倒れるとき、水流の排気パイプ151の周囲の位置における圧力が小さく、水が短時間に
蒸気通路14内に入ることは難しい。しかし、ケトル10が180°倒れるとき、排気パイプ151の周囲の位置の圧力が大きくなるので、水は短時間に排気パイプ151の開口端の端面に到り、排気孔131により蒸気通路14内に流入し、漏水が発生するおそれがある。好適な実施例において、上記の状況を避けるため、前記収納槽130の密閉端の端面に少なくとも1つの防水槽1310を形成する。前記排気パイプ151の開口端の端面には前記防水槽1310内に嵌入される少なくとも1つの第一防水環状部154が形成される。このように、前記第一防水環状部154が前記防水槽1310に挿入されることにより、水が
蒸気通路14内に流入することを有効に防止し、蒸気バルブ15の漏水防止の効果を向上させることができる。
【0111】
図7を参照すると、ケトル10が倒れると、水は排気パイプ151の外壁に到り、
蒸気通路14に流入し、漏水が発生するおそれがある。実施例において、水が排気パイプ151の外壁に到ることを防止するため、前記排気パイプ151の側部に前記収納槽130の内側壁へ延伸する少なくとも1つの第二防水環状部155を形成する。ここで、排気パイプ151は回転できるので、排気パイプ151は収納槽130の内側壁との間に干渉を生じない。そのため、排気パイプ151と収納槽130との間には隙間が残され、水は当該隙間を介して
蒸気通路14中に流入することができる。従って、第二防水環状部155を設けると、第二防水環状部155が水流に対して抵抗力を生じ、水が
蒸気通路14に流入する速度を低減することができるので、使用者がケトル10を立てるための時間を確保することができる。水が
蒸気通路14内に流入する速度を更に低減するために、2つ、3つまたは3つ以上の第二防水環状部155を形成してもよい。
【0112】
前記実施例において説明したとおり、ケトル10が180°倒れる場合、排気パイプ151の周辺の位置の圧力が大きいので、水は短時間内に
蒸気通路14内に流入し、漏水が発生する。他の好適な実施例において、水が
蒸気通路14内に流入する速度を低減するか或いは水が
蒸気通路14内に流入することを防止するため、前記排気パイプ151内に密閉用重錘156を設ける。前記密閉用重錘156は、前記排気パイプ151の傾斜角度が90°より大きいとき、前記排気パイプ151の密閉端から前記排気パイプ151の開口端へ移動することにより、前記収納槽130の密閉端の排気孔131を密閉させる。
【0113】
図6aを参照すると、前記実施例に基づいて、密閉用重錘156が排気パイプ151を塞げなければ、排気パイプ151の排気が滞ることが考えられる。そのため、本実施例において、前記排気パイプ151の内壁には気体ガイド構造が形成され、該気体ガイド構造により前記密閉用重錘156と前記排気パイプ151の内壁との間には気体ガイド通路が形成される。ここで、前記気体ガイド構造は、排気パイプ151の内壁に形成される突起、例えば円形突起またはリブ1511であるか、或いは排気パイプ
151の内壁に形成される気体ガイド槽である。ここで、前記気体ガイド構造は前記排気パイプ
151の軸方向に延伸し且つ前記排気パイプ
151の周方向に配置される複数個のリブ1511であることが好ましい。隣接するリブ1511の間には前記気体ガイド通路が形成されている。
【0114】
前記実施例において、密閉用重錘156は様々な形状に形成されることができ、ケトル10が倒れるとき排気孔131を塞ぐことができればよい。例えば、密閉用重錘156が柱状または球状に形成されると、密閉用重錘156が排気パイプ151内で移動する抵抗力は小さくなり、スムーズに移動することができる。
【0115】
他の好適な実施例において、排気パイプ151の上端と排気孔131の周辺の密閉性を向上させるため、前記下部カバー12と前記排気パイプ151の密閉端の端面との間に弾性材159を取り付ける。前記弾性材159は排気パイプ151の下端面の回転軸157周りに設けられる。これにより、ケトル10が倒れるとき、弾性材159は排気パイプ151を迅速に上昇させることにより、排気パイプ151の上端と排気孔131の周辺とを密閉させ、前記蒸気バルブ15の漏水防止の効果を向上させることができる。ここで、弾性材159はスプリング、ゴムスペーサーまたは弾性片であることができるが、弾性材159はスプリングであることが好ましい。
【0116】
図6aを参照すると、前記実施例において、弾性材159が長く圧縮されることにより弾性材159の弾性機能が低下するか或いはなくなることが考えられる。本実施例において、前記排気パイプ151上にはその密閉端の端面から延伸するスリーブ158が取り付けられ、該スリーブ158は前記弾性材159周りに設けられる。これにより、弾性材159が受ける圧力が大きすぎても、スリーブ158の支持により、弾性材159に恒久的な変形が発生しにくくなる。
【0117】
以上、蒸気バルブ15と容器カバー
10aの改善について説明してきたが、以下、容器カバー10aと容器本体10bの結合の関係について詳細に説明する。
【0118】
図2と
図3を参照すると、容器カバー10aは容器本体10bに取り付けられる。容器本体10bの上端は開口であり、容器本体10bの開口端は容器カバー10aにより密閉される。好適な実施例において、下部カバー12と容器本体10bとの間には密閉リング19が取り付けられ、容器カバー10aは密閉リング19により容器本体10bの内壁と密閉して連結される。また、容器カバー10aと容器本体10bとの連結の強度を確保するため、係止構造により容器カバー10aと容器本体10bとを結合させる。前記係止構造は容器カバー10aに設けられる伸縮可能なフックと容器本体10bの内壁に設けられるロック槽とを含む。容器カバー10aを容器本体10bに取り付けるとき、フックは圧力を受けて変形する。フックがロック槽に入ると、フックが元の形状に回復することにより、ロック槽に結合され、これにより容器カバー10aを容器本体10bに固定する。
【0119】
第二方面において、上記の実施例において、排気パイプ151が自転するとき受ける摩擦力を考慮していない。そのため、以下、蒸気バルブ15が回転するとき、排気パイプ151が受ける摩擦力の実施例について説明する。
【0120】
蒸気バルブ15は排気パイプ151、ウエイト部材152および吸気パイプ153を含む。ここで、排気パイプ151は一端が開口し、他端が密閉状であり、排気パイプ151には該排気パイプ151をその軸方向に回転させる自由回転部が設けられている。
【0121】
吸気パイプ153は、排気パイプ151と連通するように排気パイプ151に連結され、且つ排気パイプ151から側方へ延伸している。ウエイト部材152は排気パイプ151に連結され、且つ排気パイプ151から側方へ延伸している。ウエイト部材152と吸気パイプ153との排気パイプ151の周方向における角度αは90°より大きく、且つ180°以下である。ここで、ウエイト部材152が自由回転部周りに回転する重力トルクは、吸気パイプ153が自由回転部周りに回転する重力トルクと排気パイプ151が自転する際の摩擦トルクとの合計より大きい。
【0122】
具体的に、排気パイプ151は管体と端部板材を含み、該管体の上端は開口しており、下端は前記端部板材によって密閉されている。ウエイト部材152は排気パイプ151の側壁に取り付けられるか或いは排気パイプ151の下端に取り付けられる。同様に、吸気パイプ153は排気パイプ151の側壁に取り付けられるか或いは排気パイプ151の下端に取り付けられる。取り付けの利便性のため、吸気パイプ153とウエイト部材152とはいずれも排気パイプ151の側壁に取り付けることが好ましい。以下、吸気パイプ153とウエイト部材152とがいずれも排気パイプ151の側壁に取り付けられる例について説明する。
【0123】
管体の側壁には排気口1510が設けられており、該排気口1510には吸気パイプ153が取り付けられる。前記吸気パイプ153は前記排気口1510によって管体と連通する。
【0124】
ウエイト部材152は排気パイプ151の側壁に設けられる。ウエイト部材152は例えば溶接により排気パイプ151に固定接続され、ウエイト部材152と排気パイプ151とは一体に成型されることができる。ウエイト部材152は排気パイプ151に取り外し可能に接続され、例えばネジによりウエイト部材152は排気パイプ151に接続されることができる。ウエイト部材152と吸気パイプ153とは排気パイプ151の周方向において夾角を形成する。また、ウエイト部材152の質量は大きく、通常、金属材、例えばステンレスまたは銅などの高密度の材料が用いられる。排気パイプ151と吸気パイプ153とはプラスチック材または金属材が用いられる。しかし、食品の衛生、耐高温性、耐蒸気性、省スペース化などを総合的に考慮して、ステンレス材、例えばSU304を用いることが好ましい。
【0125】
自由回転部は容器カバー10a内の回転装着部に取り付けられる。自由回転部は、管体の一部分、例えば管体の上端部、中央部または下端部に属し、回転装着部は環状部であり、管体は環状部内に設置される。自由回転部は排気パイプ151の下端面に形成される第一回転軸157であることもできる。前記第一回転軸157と排気パイプ151とは同軸に設けられ、回転装着部は下部カバー12に設けられる第一軸孔である。自由回転部は排気パイプ151の密閉端に形成される第二軸孔(止まり穴)であり、回転装着部は下部カバー12に形成され且つ軸孔に嵌入される第二回転軸であることができる。自由回転部は排気パイプ151の側壁に設けられる軸受であってもよく、回転装着部は収納槽130内に形成される軸受孔であり、前記軸受は軸受孔内に固定される。
【0126】
液体加熱容器10が倒れるとき、容器カバー10aは正常な状態に対して90°回転する。ウエイト部材152の重力トルクが前記吸気パイプ153の重力トルクより大きいので、ウエイト部材152の作用により自由回転部は回転装着部に対して回転し、最終的にウエイト部材152は液面の最下方に位置し、吸気パイプ153の位置が高くなり、液体加熱容器10内の水は吸気パイプ153に容易に入ることができない。
【0127】
ここで、ウエイト部材152の重力トルクはM
1=G
1×L
1であり、吸気パイプ153の重力トルクはM
2=G
2×L
2であり、排気パイプ151が自転する際の摩擦トルクはM
3=f×d
1である。なお、G
1はウエイト部材152の重量であり、L
1はウエイト部材152の重心と排気パイプ151の軸心との垂直距離であり、G
2は吸気パイプ153の重量であり、L
2は吸気パイプ153の重心と排気パイプ151の軸心との垂直距離であり、fは排気パイプ
151が自転するときに受ける摩擦力(例えば、排気パイプ151と収納槽130の内壁との間の摩擦力または自由回転部と回転装着部との間の摩擦力)であり、d
1は排気パイプ
151の半径である。ここで、M
1>M
2+M
3を満たせば、液体加熱容器が倒れる(90°横転する)とき、蒸気バルブ15が回転し、ウエイト部材152が下側へ回転し、排気パイプ
151が持ち上げられる。
【0128】
ウエイト部材152と吸気パイプ153との排気パイプ151の周方向における角度αは90°<α≦180°である。これは、0°<α≦90°であれば、ケトル10が倒れると、ケトル10内の水位が蒸気バルブ15より高くなり、水が吸気パイプ153に沿って排気パイプ151内に流入してしまうからである。そのため、90°<α≦180°であれば、ケトル10が倒れても、ケトル10内の水が吸気パイプ153を完全に水没させることができず、吸気パイプ153の末端は水位上に延伸できるので、水が吸気パイプ153によって排気パイプ151内に流入しにくくなり、漏水防止の効果を向上させることができる。
【0129】
容器カバー10の体積が限られているので、ウエイト部材152の質量は重すぎてはならず、ウエイト部材152の質量が重すぎれば、容器カバー
10aの内部に占める体積が大きくなり、他の構造と干渉しやすくなる。ウエイト部材152の質量は軽すぎてはならず、ウエイト部材152の質量が軽すぎれば、ケトル10が倒れるとき、蒸気バルブ15の回転が遅くなり、漏水防止の効果が悪くなる。したがって、上記の状況に鑑み、本実施例において、ウエイト部材152の質量m
1は10g以上、且つ50g以下である。これにより、ウエイト部材152の空間の占有率を低減し、同時に蒸気バルブ
15の回転の反応速度を速くさせることができる。また、吸気パイプ153の質量m
2も5g以上、20g以下である必要がある。
【0130】
ケトル10が倒れるとき、蒸気バルブ15の正常な回転を確保するため、ウエイト部材152の重量をG
1、吸気パイプ153の重量をG
2とし、G
1/G
2∈[0.5、12]にする。さらに、容器カバーの直径が小さく、通常10cm乃至15cmであることを考慮すると、G
1とG
2との比が小さければ、ウエイト部材152の重心と排気パイプ151の軸線との距離を長くする必要があり、これにより、M
1>M
2+M
3を満たし、蒸気バルブ15が正常に回転することができる。好適な実施例において、G
1/G
2∈[1、10]である。
【0131】
ウエイト部材
152の重心と排気パイプ151の軸線との間の距離L
1と、吸気パイプ153の重心と排気パイプ151の軸線との間の距離L
2とは、蒸気バルブ15の回転効果に大きい影響を与える。通常、蒸気バルブ15の回転をスムーズにするため、L
1をL
2より大きくする。しかし、排気パイプ151自身が摩擦抵抗力を受けることを考慮しなければならないので、ケトル10が倒れた後、蒸気バルブ15が迅速に回転できるようにするため、吸気パイプ153の位置を調整し、L
1/L
2∈[2、20]にする。さらに、容器カバー
10aの内部のサイズを考慮すると、L
1/L
2の範囲を[4、15]にすることが好ましい。
【0132】
前記実施例において、ウエイト部材152と吸気パイプ153との排気パイプ151の周方向における角度αの範囲は広く、90°<α≦180°である。ここで、αの範囲が小さければ、液体加熱容器10が倒れると、液体加熱容器10内の水位が吸気パイプ153の末端より高くなり、水が吸気パイプ153の末端から排気パイプ151内に流入するおそれがあるので、前記実施例の出水バルブ18の漏水防止の効果が悪くなる。
図3、
図4a、
図6aを参照すると、好適な実施例において、出水バルブ18の漏水防止の効果を向上させるため、ウエイト部材152の延伸方向と吸気パイプ153の延伸方向との間の角度αを170°≦α≦180°にする。これにより、液体加熱容器10が倒れても、液体加熱容器10内の水が吸気パイプ153の末端を水没させることができず、水が吸気パイプ153から排気パイプ151内に流入することができないので、漏水防止の効果を更に向上させることができる。
【0133】
上述した実施例において、蒸気バルブ15の漏水防止の効果を最適にするため、α=180°にする。すなわち、ウエイト部材152と吸気パイプ153とを排気パイプ151の相対する両側にそれぞれ設ける。
【0134】
ケトル10が倒れる瞬間、容器本体10b内の水は容器カバー10a内に迅速に流入し、吸気パイプ153によって排気パイプ151内に流入する。蒸気バルブ15の回転速度が遅すぎれば、
吸気パイプ153が最高位置まで回転すると、水が
吸気パイプ153内に流入し(0.1秒の差でも多い水が
吸気パイプ
153内に流入するおそれがある)、容器カバー10から漏水するおそれがある。
【0135】
図3、
図4aを参照すると、前記実施例において、吸気パイプ153は、円型パイプ、四角形パイプまたは他の形状のパイプであることができる。そのような形状のパイプは回転方向において空気と接触する面積が大きく、空気抵抗が大きくなる。本実施例において、吸気パイプ153を扁平状に設ける。これにより、ケトル10が倒れるとき、吸気パイプ153は迅速に最高位置まで回転することができ、吸気パイプ153に水が流入することを避けることができる。
【0136】
また、容器カバー10aの半径が通常5cm〜8cmであることを考慮すると、前記吸気パイプ153の長さも制限しなければならない。吸気パイプ153が長すぎれば、吸気パイプ153は他の構造と干渉しやすくなり、排気バルブ15全体はスムーズに回転することができない。吸気パイプ153が短すぎれば、液体加熱容器10が倒れると、吸気パイプ153の末端が水没するおそれがある。本実施例において、吸気パイプ153の長さを3cm〜5cmにすることが好ましい。
【0137】
吸気パイプ153と排気パイプ151との連結の密閉性を考慮して、吸気パイプ153と排気パイプ151とは一体に成型されてもよい。これにより、両者間の連結箇所の密閉性が向上し、漏気または漏水しにくくなる。
【0138】
吸気パイプ153とウエイト部材152はいずれも排気パイプ151の側壁の任意の位置に取り付けられる。両者は上下方向において高度差を有するか、或いは同一の回転平面上に位置することができる。実施例において、両者が同一の回転平面上に位置することが好ましい。以下、両者が異なる回転平面上に位置した場合、ここではウエイト部材152が上方に設けられ、吸気パイプ153が下方に設けられる例について説明する。ウエイト部材152が回転するとき、排気パイプ151はウエイト部材152の重力トルクを吸気パイプ153に伝送しなければならず、この過程において、排気パイプ151はウエイト部材152の回転に対して抵抗力を生じるので、吸気パイプ153が最適な位置まで回転することが遅くなる。両者が同一の回転平面上に位置するとき、排気パイプ151によって生じる抵抗力が小さく、吸気パイプ153は最高位置まで迅速に回転することができる。
【0139】
ウエイト部材152は排気パイプ151の側壁に設けられる。ウエイト部材152は例えば溶接により排気パイプ151に固定接続され、ウエイト部材152と排気パイプ151とは一体に成型することができる。ウエイト部材152は排気パイプ151に取り外し可能に連結することができる。排気パイプ151はプラスチック材であり、ウエイト部材152は金属材である。ウエイト部材152は2ショット射出成型により排気パイプ151に固定される。好適な実施例において、ウエイト部材152の取り付け、取り外しまたは取り替えを容易にするため、ウエイト部材152と排気パイプ151との連結方式を取り外し可能な連結にすることが好ましい。具体的に、排気パイプ151の側壁には凸部1512が設けられ、ウエイト部材(152)を凸部1512に取り付ける。排気パイプ151の側壁には凸部1512が設けられ、凸部1512とウエイト部材152との連結により排気パイプ151に対して保護作用を有する。ウエイト部材152が排気パイプ151の側壁に直接取り付けられると、ウエイト部材152の連結により排気パイプ151に漏気または変形が発生するおそれがある。
【0140】
図3、
図4aを続けて参照すると、他の好適な実施例において、ウエイト部材152を扇状に形成し、その円心端が排気パイプ151と連結している。これは、扇状のウエイト部材152を容易に加工することができ、コストを低減することができるからである。また、扇状に設けられたウエイト部材152が回転するとき、抵抗力が小さく、回転速度が速く、吸気パイプ153を迅速に持ち上げることができる。
【0141】
図2と
図8aを参照すると、ケトル10が倒れることには2つの状況がある。1つ目はケトル10が90°倒れる場合であり、2つ目はケトル10の傾斜角度が90°より大きい、例えば180°の場合である。90°倒れるとき、水流の排気パイプ151の周囲の位置における圧力が小さく、水が短時間に
蒸気通路14内に入ることは難しい。しかし、ケトル10が180°倒れるとき、排気パイプ151の周囲の位置の圧力が大きく、水は短時間に排気パイプ151の開口端の端面に流れ、排気孔131から蒸気通路14内に流入し、漏水が発生するおそれがある。好適な実施例において、上記の状況を避けるため、収納槽130の密閉端に少なくとも1つの防水槽1310が設けられ、排気パイプ151の開口端の端面には前記防水槽1310に嵌入される少なくとも1つの第一防水環状部154が設けられる。このように、前記第一防水環状部154が防水槽1310に挿入されることにより、水が
蒸気通路14内に流入することを有効に防止し、蒸気バルブ15の漏水防止の効果を向上させることができる。
【0142】
さらに、
図7を参照すると、ケトル10が倒れると、水は排気パイプ151の外壁に流れて
蒸気通路14に流入し、漏水が発生するおそれがある。実施例において、水が排気パイプ151の外壁に流れることを避けるため、排気パイプ151の側部に収納槽130の内側壁へ延伸する少なくとも1つの第二防水環状部155が設けられる。ここで、排気パイプ151は回転できるので、排気パイプ151は収納槽130の内側との間に干渉が発生しない。そのため、排気パイプ151と収納槽130との間には隙間が残るので、水は当該隙間により
蒸気通路14中に流入することができる。これにより、第二防水環状部155を設けると、第二防水環状部155が水流に対して抵抗力を生じ、水が
蒸気通路14内に流入する速度を低減することができるので、使用者がケトル10を立てる時間を確保できる。なお、水が
蒸気通路14内に流入する速度を更に低減するため、2つ、3つまたは3つ以上の第二防水環状部155を設けてもよい。
【0143】
前記実施例において説明したとおり、ケトル10が180°倒れる場合、排気パイプ151の周辺の位置の圧力が大きく、水は短時間内に
蒸気通路14内に流入し、漏水が発生するおそれがある。他の好適な実施例において、水が
蒸気通路14内に流入する速度を低減するため、或いは水が
蒸気通路14内に流入することを避けるため、排気パイプ151内に密閉用重錘156が設けられる。密閉用重錘156は、排気パイプ151の傾斜角度が90°より大きいとき、排気パイプ151の密閉端から排気パイプ151の開口端へ移動することにより、収納槽130の密閉端の排気孔131を密閉させる。
【0144】
図6aを参照すると、前記実施例に基づいて、密閉用重錘156が排気パイプ151を塞ぐことができなければ、排気パイプ151の排気がスムーズにならないことが考えられる。そのため、本実施例において、排気パイプ151の内壁には気体ガイド構造が形成され、気体ガイド構造は密閉用重錘156と排気パイプ151の内壁との間に気体ガイド通路を形成する。ここで、前記気体ガイド構造は、排気パイプ151の内壁に設けられる突起、例えば円形突起またはリブ1511であるか、或いは排気パイプの内壁に設けられる気体ガイド槽である。ここで、気体ガイド構造は排気パイプ
151の軸方向に延伸し且つ排気パイプ
151の周方向に配置される複数個のリブ1511であることが好ましい。隣接するリブ1511の間には気体ガイド通路が形成されている。
【0145】
前記実施例において、密閉用重錘156は様々な形状であってよく、ケトルが倒れるとき排気孔131を塞ぐことができる形状であればよい。例えば、密閉用重錘156が柱状または球状に形成されることにより、密閉用重錘156が排気パイプ151内で移動する抵抗力は小さくなり、移動がよりスムーズになる。
【0146】
他の好適な実施例において、排気パイプ151の上端と排気孔131の周辺との密閉性を向上させるため、下部カバー12と排気パイプ151の密閉端の端面との間に弾性材159が設けられる。弾性材159は排気パイプ151の下端面の回転軸157周りに設けられる(ここでは回転装着部が回転軸157であることを例として説明する)。このように、ケトル10が倒れるとき、弾性材159は排気パイプ151を迅速に立て、排気パイプ151の上端と排気孔131の周辺とを密閉させることで、前記蒸気バルブ15の漏水防止の効果を向上させることができる。ここで、弾性材159はスプリング、ゴムスペーサーまたは弾性片であることができるが、弾性材159はステンレススプリングであることが好ましい。
【0147】
スプリングを設けると、排気パイプ151の上端と排気孔131の周辺を密閉させることができるが、排気パイプ151自身が回転する摩擦トルクも増加する。ここで、スプリングと排気パイプ151の下端とが当接することにより、排気パイプ151は主としてスプリングからの摩擦力を受ける。
【0148】
スプリングが排気パイプ151を緊密に当接しなければ、ケトル10が倒れると、スプリングの排気パイプ151に対する摩擦力が大きくなるか、或いはスプリングと下部カバー12との間の摩擦力が大きくなることにより、蒸気バルブ15がスムーズに回転できない。前記ウエイト部材152、吸気パイプ153のパラメーターに基づいて、前記スプリングの内径をD∈[10mm、20mm]にし、コイル総数をn∈[4、12]にし、ばね定数をk∈[10g/mm、40g/mm]にし、質量をm
3∈[0.3g、1.5g]にする。これにより蒸気バルブ15の正常な回転を確保することができる。
【0149】
図6aを参照すると、前記実施例に基づいて、弾性材159が長く圧縮されることにより、弾性材159の弾性機能が低下するか或いはなくなることが考えられる。本実施例において、排気パイプ151上にはその密閉端の端面から延伸するスリーブ158が設けられ、スリーブ158は弾性材159周りに設けられる。このように、弾性材159が受ける圧力が大きすぎても、スリーブ158の支持により、弾性材159に恒久的な変形が発生しにくい。
【0150】
以上、蒸気バルブ15と容器カバー10
aとの改善について主に説明したが、以下、容器カバー10aと容器本体10bとの結合関係について詳細に説明する。
【0151】
図2と
図3を参照すると、容器カバー10aは容器本体10bに取り付けられる。容器本体10bの上端は開口であり、容器カバー10aは容器本体10bの開口端を密閉する。好適な実施例において、下部カバー12と容器本体10bとの間には密閉リング19が設けられ、容器カバー10aは密閉リング19により容器本体10bの内壁と密閉して連結される。また、容器カバー10aと容器本体10bとの連結強度を確保するため、容器カバー10aと容器本体10bとは係止構造により結合される。前記係止構造は容器カバー10aに設けられる伸縮可能なフックと容器本体10bの内壁に設けられるロック槽とを含む。容器カバー10aを容器本体10bに取り付けるとき、フックは圧力を受けて変形する。フックがロック槽に入るとき、フックは元の形状に回復することにより、ロック槽と結合し、これにより容器カバー10aを容器本体10bに位置決めする。
【0152】
第三方面において、蒸気バルブは自由に回転することができる。そのため、漏水防止の効果を向上させるため、本実施例において、蒸気バルブ15は、排気パイプ151、ウエイト部材152および吸気パイプ153を含む。前記排気パイプ151は一端が開口し、他端が密閉状であり、排気パイプ151の外表面には水密閉構造が設けられている。水密閉構造は少なくとも、排気パイプ151の外側壁に設けられる第一防水環状部154及び/又は排気パイプ151の開口端の端面に設けられる第二防水環状部155を含む。排気パイプ151には排気パイプ151を軸方向に回転させる自由回転部が設けられている。
【0153】
吸気パイプ153は、排気パイプ151と連通するように排気パイプ151に連結され、且つ排気パイプ151から側方へ延伸している。ウエイト部材152は排気パイプ151に連結され、且つ排気パイプ151から側方へ延伸している。ウエイト部材152と吸気パイプ153との排気パイプ151の周方向における角度αは90°より大きく、180°以下である。ウエイト部材152が前記自由回転部周りに回転する重力トルクは、前記吸気パイプ153が前記自由回転部周りに回転する重力トルクより大きい。
【0154】
具体的に、排気パイプ151は管体と端部板材とを含み、該管体の上端は開口になっており、下端は前記端部板材によって密閉されている。ウエイト部材152は排気パイプ151の側壁に取り付けられるか、排気パイプ151の下端に取り付けられてもよい。同様に、吸気パイプ153は排気パイプ151の側壁に取り付けられるか、排気パイプ151の下端に取り付けられてもよい。なお、取り付けの利便性のため、吸気パイプ153とウエイト部材152とをいずれも排気パイプ151の側壁に取り付けることが好ましい。以下、吸気パイプ153とウエイト部材152とをいずれも排気パイプ151の側壁に取り付ける例について説明する。
【0155】
管体の側壁には排気口1510が設けられ、該排気口1510には吸気パイプ153が取り付けられる。前記吸気パイプ153は前記排気口1510によって管体と連通する。
【0156】
ウエイト部材152は排気パイプ151の側壁に設けられる。ウエイト部材152は例えば溶接により排気パイプ151に固定接続され、ウエイト部材152と排気パイプ151とは一体に成型されることができる。ウエイト部材152は排気パイプ151に取り外し可能に取り付けられ、例えばウエイト部材152と排気パイプ151とはネジにより連結できる。ウエイト部材152と吸気パイプ153とは排気パイプ151の周方向において夾角を形成する。また、ウエイト部材152の質量が大きく、通常は金属材、例えばステンレスまたは銅などの高密度の材料が用いられる。排気パイプ151と吸気パイプ153とはプラスチック材または金属材が用いられる。
【0157】
自由回転部は容器カバー10a内の回転装着部に取り付けられる。自由回転部は、管体の一部分、例えば管体の上端部、中央部または下端部に属し、回転装着部は環状部であり、管体は該環状部内に設置される。自由回転部は排気パイプ151の下端面に設けられる第一回転軸157であってもよい。前記第一回転軸157と排気パイプ151とは同軸に設けられ、回転装着部は下部カバー12に設けられる第一軸孔である。自由回転部は排気パイプ151の密閉端に設けられる第二軸孔(止まり穴)であり、回転装着部は前記下部カバー12に設けられ、軸孔に嵌入される第二回転軸であってもよい。自由回転部は排気パイプ151の側壁に設けられる軸受であってもよく、回転装着部は収納槽130内に設けられる軸受孔であり、前記軸受は軸受孔内に固定される。
【0158】
ケトル10が倒れるとき、容器カバー10aは正常な状態に対して90°回転する。ウエイト部材152の重力トルクは吸気パイプ153の重力トルクより大きいので、ウエイト部材152の作用により自由回転部は回転装着部に対して回転し、ウエイト部材152は最終的に液面の最下方に位置し、吸気パイプ153の位置が高くなり、ケトル10内の水は吸気パイプ153に容易に入ることができない。
【0159】
ここで、ウエイト部材152の重力トルクはM
1=G
1×L
1であり、吸気パイプ153の重力トルクはM
2=G
2×L
2である。この式において、G
1はウエイト部材152の重量であり、L
1はウエイト部材152の重心と排気パイプ151の軸心との垂直距離であり、G
2は吸気パイプ153の重量であり、L
2は吸気パイプ153の重心と排気パイプ151の軸心との垂直距離である。ここで、M
1>M
2を満たせば、液体加熱容器が倒れる(90°倒れる)とき、蒸気バルブ15が回転し、ウエイト部材152が下側へ回転し、排気パイプ153が持ち上げられる。
【0160】
ウエイト部材152と吸気パイプ153との排気パイプ151の周方向における角度αは90°<α≦180°である。0°<α≦90°である場合、ケトル10が倒れると、ケトル10内の水位が蒸気バルブ15より高くなるので、水が吸気パイプ153に沿って排気パイプ151内に流入することができる。そのため、90°<α≦180°である場合、ケトル10が倒れても、ケトル10内の水が吸気パイプ153を完全に水没させることは難しく、吸気パイプ153の末端は水位の上方に延伸するので、水が吸気パイプ153によって排気パイプ151内に簡単に流入することができず、漏水防止の効果が向上する。
【0161】
また、第一防水環状部154と第二防水環状部155とは排気パイプ151の外表面に凸設される。第一防水環状部154又は第二防水環状部155を設けることにより、ケトルが倒れるとき、水が蒸気バルブ15と収納槽130との間から浸透し、蒸気通路14内に流入することを有効に防止することができる。第一防水環状部154と第二防水環状部155とは連続していてもよく、非連続であってもよい。
【0162】
好適な実施例において、第一防水環状部154は複数個であり、排気パイプ151の軸方向に沿って順次配置される。このように、蒸気バルブ15を容器カバー10aに取り付けるとき、第一防水環状部154が形成されることにより、排気パイプ151の側表面と収納槽130の側壁面との接触面積が低減する。したがって、排気パイプ151が回転するとき、排気パイプ151と収納槽130の側壁面との干渉作用が低減され、蒸気バルブ15の回転の抵抗力が低減される。同様に、蒸気バルブ15の回転を考慮して、第二防水環状部155は複数個あり、排気パイプ151の径方向に沿って配置される。これにより、蒸気バルブ15の回転の抵抗力を低減することができる。
【0163】
また、ケトル10が倒れるとき、水は排気パイプ151と収納槽130の側壁面との間に流入することができる。第一防水環状部154及び/又は第二防水環状部155が形成されているので、水は2つの第一防水環状部154の間の隙間及び/又は2つの第二防水環状部155の間の隙間を完全に水没させた場合のみ、第一防水環状部154及び/又は第二防水環状部155から溢れることができるので、漏水防止の効果を向上させることができる。
【0164】
他の好適な実施例において、蒸気バルブ15の漏水防止の効果を更に向上させるため、水密閉構造と収納槽130の内壁との間に形成される密閉空間の容積の和はV0であり、排気パイプ151と収納槽130の側壁との間の総容積はV1であり、V0/V1∈[0.5、0.95]である。ここで、第一防水環状部154及び/又は第二防水環状部155が占める体積はV2であり、V1=V2+V0である。蒸気バルブ15は収納槽130内で回転できるので、収納槽130の側壁面と排気パイプ151の側表面との間に一定の隙間を有することで、両者間で摩擦力により大きな干渉作用が発生することを避ける。ここで、V0/V1の値が0.5に近付いているとき、すなわち第一防水環状部154及び/又は第二防水環状部155の体積の和が収納槽の残りの空間の50%程度を占めているとき、収納槽130の側壁面と排気パイプ151の側表面との間の隙間が相対的に大きくなり、蒸気バルブ15の回転効果が良くなるが、第一防水環状部154及び/又は第二防水環状部155の防水効果が相対的に低下する。V0/V1の値が0.95に近付いているとき、すなわち第一防水環状部154及び/又は第二防水環状部155の容積が収納槽130全体の5%の残りの空間を占めているとき、収納槽130の側壁面と排気パイプ151の側表面との間の隙間が相対的に小さくなり、蒸気バルブ15の回転の抵抗力が大きくなるが、第一防水環状部154及び/又は第二防水環状部155の防水の効果は相対的に増加する。ここで、V0/V1の値を0.6、0.7、0.8、0.9などにすることにより、蒸気バルブ15の回転をスムーズにし、第一防水環状部154及び/又は第二防水環状部155の防水の効果も良くなる。V0/V1の値は0.75乃至0.85であることが好ましい。
【0165】
図3、
図4b、
図6bを参照すると、前記実施例において、ウエイト部材152と吸気パイプ153との排気パイプ151の周方向における角度αの範囲は広く、90°<α≦180°である。ここで、αが小さければ、ケトル10が倒れると、ケトル10内の水位が吸気パイプ153の末端より高くなり、吸気パイプ153の末端から排気パイプ151内に流入するおそれがあるので、前記実施例の出水バルブ18の漏水防止の効果が悪くなる。好適な実施例において、出水バルブ18の漏水防止の効果を向上させるため、ウエイト部材152の延伸方向と吸気パイプ153の延伸方向との間の角度αを170°≦α≦180°にする。この場合、ケトル10が倒れても、ケトル10内の水が吸気パイプ153の末端を水没させることは難しく、水が吸気パイプ153によって排気パイプ151内に流入することができないので、漏水防止の効果が高まる。
【0166】
上述した実施例に基づいて、蒸気バルブ15の漏水防止の効果を最適にするため、α=180°にする。すなわち、ウエイト部材152と吸気パイプ153とを排気パイプ151の相対する両側にそれぞれ設ける。
【0167】
ケトル10が倒れる瞬間、容器本体10b内の水は容器カバー10aに迅速に流入し、吸気パイプ153によって排気パイプ151内に流入する。蒸気バルブ15の回転速度が遅すぎれば、
吸気パイプ153が最高位置まで回転する前に、水が
吸気パイプ153内に流入し(0.1秒の差でも多い水が
吸気パイプ153内に流入するおそれがある)、容器カバー10から漏水するおそれがある。
【0168】
図3、
図4bを参照すると、前記実施例において、吸気パイプ153は、円型パイプ、四角形パイプまたは他の形状のパイプであることができる。そのような形状のパイプは回転方向において、空気と接触する面積が大きいので、受ける空気の抵抗力も大きくなる。本実施例において、吸気パイプ153を扁平状に設ける。これにより、ケトル10が倒れるとき、吸気パイプ153は迅速に最高位置まで回転することができ、吸気パイプ153に水が流入することを避けることができる。
【0169】
また、容器カバー10aの半径が通常5cm〜8cmであることを考慮して、吸気パイプ153の長さも制限しなければならない。吸気パイプ153が長すぎれば、吸気パイプ153は他の構造と干渉を生じやすく、蒸気バルブ15全体がスムーズに回転しなくなる。吸気パイプ153が短すぎれば、液体加熱容器10が倒れると、吸気パイプ153の末端が水没するおそれがある。本実施例において、吸気パイプ153の長さを3cm〜5cmにすることが好ましい。
【0170】
吸気パイプ153と排気パイプ151との連結の密閉性を考慮して、吸気パイプ153と排気パイプ151とは一体に成型することができる。これにより、両者の間の連結箇所の密閉性が高まり、漏気または漏水しにくくなる。
【0171】
吸気パイプ153とウエイト部材152とはいずれも排気パイプ151の側壁の任意の位置に取り付けられる。両者は上下方向において高度差を有する、或いは両者は同一の回転平面上に位置することができる。実施例において、両者は同一の回転平面に位置することが好ましい。以下、両者が異なる回転平面に位置し、ウエイト部材152が上方に設けられ、吸気パイプ153が下方に設けられる例について説明する。ウエイト部材152が回転するとき、排気パイプ151はウエイト部材152の重力トルクを吸気パイプ153に伝送する必要がある。この過程において、排気パイプ151はウエイト部材152の回転に対して抵抗力を生じるので、吸気パイプ153が最適な位置まで回転することが遅くなる。両者が同一の回転平面に位置するとき、排気パイプ151によって生じる抵抗力が小さいので、吸気パイプ153は最高位置まで迅速に回転することができる。
【0172】
ウエイト部材152は排気パイプ151の側壁に設けられる。ウエイト部材152は例えば溶接により排気パイプ151に固定接続され、ウエイト部材152と排気パイプ151とは一体に成型することができる。ウエイト部材152は排気パイプ151に取り外し可能に連結することができる。排気パイプ151はプラスチック材であり、ウエイト部材152は金属材である。ウエイト部材152は2ショット射出成型により排気パイプ151に固定される。好適な実施例において、ウエイト部材152の取り付け、取り外しまたは取り替えを容易にするため、ウエイト部材152と排気パイプ151との連結方式は取り外し可能な連結であることが好ましい。具体的に、排気パイプ151の側壁には凸部1512が設けられ、ウエイト部材(152)は凸部1512に取り付けられる。排気パイプ151の側壁には凸部1512が設けられ、凸部1512とウエイト部材152との連結により排気パイプ151に対して保護作用を有する。ウエイト部材152が排気パイプ151の側壁に直接取り付けられると、ウエイト部材152の取り付けにより、排気パイプ151に漏気または変形が発生するおそれがある。
【0173】
図3、
図4bを続けて参照すると、他の好適な実施例において、ウエイト部材152は扇状に形成され、その円心端が排気パイプ151に連結する。これは、扇状のウエイト部材152は加工が容易で、コストが低いからである。また、扇状のウエイト部材152が回転するとき、抵抗力が小さく、回転速度が速く、吸気パイプ153を迅速に上げることができる。
【0174】
図2と
図8bを参照すると、ケトル10が倒れることには2つの状況がある。1つ目はケトル10が90°倒れる場合であり、2つ目はケトル10の傾斜角度が90°より大きい、例えば180°の場合である。90°倒れるとき、水流の排気パイプ151の周囲の位置における圧力が小さく、水が短時間に
蒸気通路14内に入ることは難しい。しかし、ケトル10が180°倒れるとき、排気パイプ151の周囲の位置の圧力が大きく、水は短時間に排気パイプ151の開口端の端面に到り、排気孔131によって蒸気通路14内に流入し、漏水が発生するおそれがある。好適な実施例において、上記の状況を避けるため、収納槽130の密閉端の端面に少なくとも1つの防水槽1310が設けられ、排気パイプ151の開口端の端面には防水槽1310に嵌入される少なくとも1つの第二防水環状部155が設けられる。このように、前記第二防水環状部155が防水槽1310に挿入されることにより、水が
蒸気通路14内に流入することを有効に防止し、蒸気バルブ15の漏水防止の効果を向上させることができる。
【0175】
前記実施例において説明したとおり、ケトル10が180°倒れる場合、排気パイプ151の周辺の位置の圧力が大きく、水が短時間内に
蒸気通路14内に流入し、漏水が発生するおそれがある。他の好適な実施例において、水が
蒸気通路14内に流入する速度を低減するため、或いは水が
蒸気通路14内に流入することを避けるため、排気パイプ151内に密閉用重錘156を設ける。密閉用重錘156は、排気パイプ151の傾斜角度が90°より大きいとき、排気パイプ151の密閉端から排気パイプ151の開口端へ移動することにより、収納槽130の密閉端の排気孔131を密閉させる。
【0176】
図6bを参照すると、前記実施例に基づいて、密閉用重錘156が排気パイプ151を塞げなければ、排気パイプ151の排気がスムーズにならないことが考えられる。そこで、本実施例において、排気パイプ151の内壁には気体ガイド構造が設けられ、気体ガイド構造は密閉用重錘156と排気パイプ151の内壁との間に気体ガイド通路を形成する。ここで、前記気体ガイド構造は、排気パイプ151の内壁に設けられる突起、例えば円形突起またはリブ1511であるか、或いは排気パイプ
151の内壁に設けられる気体ガイド槽であってもよい。気体ガイド構造は排気パイプ
151の軸方向に延伸し且つ排気パイプ
151の周方向に分布する複数個のリブ1511であることが好ましい。隣接するリブ1511の間には気体ガイド通路が形成されている。
【0177】
前記実施例において、密閉用重錘156は様々な形状であってよく、ケトルが倒れるときに排気孔131を塞ぐことができればよい。例えば、密閉用重錘156が柱状または球状に形成されると、密閉用重錘156が排気パイプ151内で移動する抵抗力は小さくなり、移動がよりスムーズになる。密閉用重錘156はステンレス、セラミックスまたはガラスなどの常用の材料であってよく、これにより製造コストを低減することができる。また、容器カバー内部の体積が限られているので、密閉用重錘156の質量は大きすぎてはならない。大きすぎれば、密閉用重錘156の体積がある程度増加し、干渉が発生しやすい。密閉用重錘156の質量は小さすぎてもならない。小さすぎれば、蒸気バルブ15の回転の反応速度に影響を与え、漏水防止に不利となる。
【0178】
他の好適な実施例において、排気パイプ151の上端と排気孔131の周辺との密閉性を向上させるため、下部カバー12と排気パイプ151の密閉端の端面との間に弾性材159が設けられる。弾性材159は排気パイプ151の下端面の回転軸157周りに設けられる。ケトル10が倒れるとき、弾性材159は排気パイプ151を迅速に上昇させることにより、排気パイプ151の上端と排気孔131の周辺とを密閉させ、該蒸気バルブ15の漏水防止の効果を向上させることができる。ここで、弾性材159はスプリング、ゴムスペーサーまたは弾性片であることができるが、弾性材159はスプリングであることが好ましい。
【0179】
図6bを参照すると、前記実施例に基づいて、弾性材159が長く圧縮されることにより、弾性材159の弾性機能が低下するか或いはなくなることが考えられる。本実施例において、排気パイプ151にはその密閉端の端面から延伸するスリーブ158が設けられ、スリーブ158は弾性材159周りに設けられる。これにより、弾性材159が受ける圧力が大きすぎても、スリーブ158の支持により、弾性材159には恒久的な変形が発生しにくくなる。
【0180】
第四方面において、吸気パイプ153の蒸気に対する伝導効果を考慮して、吸気パイプ153の横断面積は小さすぎてはならない。小さすぎれば、ケトル内の水が沸騰するとき、蒸気の吸気パイプ153内での伝導速度が遅くなり、液体加熱容器10の底部の温度制御装置にスムーズに流れることができず、ケトル10の電源オフの反応速度に影響を与える。これにより、ケトル10が一定期間加熱され続けることにより、ケトル10内の水が沸騰しすぎて、ケトル内の気圧が大きくなり、安全面のリスクになる。容器カバー内部の空間は限られているので、吸気パイプの横断面積も大きすぎてはならない。大きすぎれば、吸気パイプが回転するとき、容器カバー内の他の構造、または容器カバーの内壁と干渉が発生しやすい。これにより、蒸気バルブ全体の回転が制限を受け、漏水防止に不利となる。そこで、本実施例において、吸気パイプ153の横断面積はある程度の制限が必要であり、その横断面積はS∈[20mm
2、120mm
2]である。
【0181】
図3、
図4a、
図5a、
図6aを参照すると、前記実施例において、ウエイト部材152と吸気パイプ153との排気パイプ151の周方向における角度αの範囲は広く、90°<α≦180°である。ここで、αが小さければ、液体加熱容器10が倒れると、液体加熱容器10内の水位が吸気パイプ153の末端より高くなり、吸気パイプ153の末端から排気パイプ151内に流入するおそれがあるので、前記実施例の出水バルブ18の漏水防止の効果が悪くなる。好適な実施例において、出水バルブ18の漏水防止の効果を向上させるため、前記ウエイト部材152の延伸方向と前記吸気パイプ153の延伸方向との間の角度αを170°≦α≦180°にする。この場合、液体加熱容器10が倒れても、液体加熱容器10内の水が吸気パイプ153の末端を水没させることは難しく、水が吸気パイプ153から排気パイプ151内に流入しないので、漏水防止の効果が強化される。
【0182】
上述した実施例に基づいて、蒸気バルブ15の漏水防止の効果を最適にするため、α=180°にする、すなわち、ウエイト部材152と前記吸気パイプ153とを前記排気パイプ151の相対する両側にそれぞれ設ける。
【0183】
ケトル10が倒れる瞬間、容器本体10b内の水は容器カバー10aに迅速に流入し、吸気パイプ153によって排気パイプ151内に流入する。蒸気バルブ15の回転速度が遅すぎると、
吸気パイプ153が最高位置まで回転する前に、水が
吸気パイプ153内に流入し(0.1秒の差でも多い水が
吸気パイプ153内に流入するおそれがある)、容器カバー
10aから漏水するおそれがある。
【0184】
図3、
図4aを参照すると、前記実施例において、吸気パイプ153は、円型パイプ、四角形パイプまたは他の形状のパイプであることができる。そのような形状のパイプは回転方向において空気と接触する面積が大きく、受ける空気抵抗も大きい。本実施例において、吸気パイプ153を扁平状に形成する。これにより、ケトル10が倒れるとき、吸気パイプ153は最速で最高位置まで回転することができ、吸気パイプ153に水が流入することを避けることができる。
【0185】
また、容器カバー10aの半径が通常5cm〜8cmであることを考慮して、吸気パイプ153の長さも制限しなければならない。吸気パイプ153が長すぎれば、吸気パイプ153は他の構造と干渉しやすく、蒸気バルブ15全体がスムーズに回転しなくなる。吸気パイプ153が短すぎれば、液体加熱容器10が倒れると、吸気パイプ153の末端が水没するおそれがある。本実施例において、前記吸気パイプ153の長さを3cm〜5cmにすることが好ましい。
【0186】
吸気パイプ153と排気パイプ151との連結の密閉性を考慮して、吸気パイプ153と排気パイプ151とは一体に成型されてもよい。これにより、両者間の連結箇所の密閉性が高まり、漏気または漏水しにくくなる。
【0187】
吸気パイプ153とウエイト部材152とはいずれも排気パイプ151の側壁の任意の位置に取り付けられ、両者は上下方向に高度差を有するか、両者は同一の回転平面上に位置することができる。実施例において、両者は同一の回転平面に位置することが好ましい。以下、両者が異なる回転平面に位置し、ウエイト部材152が上方に設けられ、吸気パイプ153が下方に設けられる例について説明する。ウエイト部材152が回転するとき、排気パイプ151はウエイト部材152の重力トルクを吸気パイプ153に伝送する必要がある。この過程において、排気パイプ151はウエイト部材152の回転に対して抵抗力を生じるので、吸気パイプ153が最適な位置まで回転することが遅くなる。両者が同一の回転平面に位置するとき、排気パイプ151が生じる抵抗力は小さく、吸気パイプ153は最高位置まで迅速に回転することができる。
【0188】
ウエイト部材152は排気パイプ151の側壁に設けられる。ウエイト部材152は例えば溶接により排気パイプ151に固定接続され、ウエイト部材152と排気パイプ151とは一体に成型することができる。ウエイト部材152は排気パイプ151に取り外し可能に連結されることができる。排気パイプ151はプラスチック材であり、ウエイト部材152は金属材である。前記ウエイト部材152は2ショット射出成型により前記排気パイプ151に固定される。好適な実施例において、ウエイト部材152の取り付け、取り外しまたは取り替えを容易にするため、ウエイト部材152と排気パイプ151との連結方式は取り外し可能な連結であることが好ましい。具体的に、排気パイプ151の側壁には凸部1512が設けられ、前記ウエイト部材(152)を前記凸部1512に取り付ける。排気パイプ151の側壁には凸部1512が設けられ、凸部1512とウエイト部材152との連結により排気パイプ151に対して保護作用を有する。ウエイト部材152が排気パイプ151の側壁に直接取り付けられると、ウエイト部材152の取り付けにより排気パイプ151に漏気または変形が発生するおそれがある。
【0189】
図3、
図4aを続けて参照すると、他の好適な実施例において、前記ウエイト部材152は扇状に形成し、その円心端が前記排気パイプ151に連結する。これは、扇状のウエイト部材152は加工しやすく、コストが低いからである。また、扇状のウエイト部材152は回転時の抵抗力が小さく、回転速度が速く、吸気パイプ153を迅速に持ち上げることができる。
【0190】
図2と
図8aを参照すると、ケトル10が倒れることには2つの状況がある。1つ目はケトル10が90°倒れる場合であり、2つ目はケトル10の傾斜角度が90°より大きい、例えば180°の場合である。90°倒れるとき、水流の排気パイプ151の周囲の位置における圧力が小さく、水が短時間に
蒸気通路14内に入ることは難しい。しかし、ケトル10が180°倒れるとき、排気パイプ151の周囲の位置の圧力が大きく、水は短時間に排気パイプ151の開口端の端面に到り、排気孔131により蒸気通路14内に流入し、漏水が発生するおそれがある。好適な実施例において、上記の状況を避けるため、前記収納槽130の密閉端に少なくとも1つの防水槽1310が設けられ、前記排気パイプ151の開口端の端面には前記防水槽1310に嵌入される少なくとも1つの第一防水環状部154が設けられる。該第一防水環状部154が前記防水槽1310に挿入されることにより、水が
蒸気通路14内に流入することを有効に防止し、蒸気バルブ15の漏水防止の効果を向上させることができる。
【0191】
さらに、
図7を参照すると、ケトル10が倒れると、水は排気パイプ151の外壁に到り、
蒸気通路14に流入し、漏水が発生するおそれがある。実施例において、水が排気パイプ151の外壁に到ることを避けるため、前記排気パイプ151の側部に前記収納槽130の内側壁へ延伸する少なくとも1つの第二防水環状部155が設けられる。ここで、排気パイプ151は回転できるので、排気パイプ151は収納槽130の内側壁との間に干渉が発生しない。そのため、排気パイプ151と収納槽130との間には隙間が残されるので、水は当該隙間を介して
蒸気通路14中に流入することができる。第二防水環状部155を設置すると、第二防水環状部155が水流に対して抵抗力を生じ、水が
蒸気通路14内に流入する速度を低減することができるので、使用者がケトル10を立てる時間を確保することができる。水が
蒸気通路14内に流入する速度を更に低減するため、2つ、3つまたは3つ以上の第二防水環状部155を設置してもよい。
【0192】
前記実施例において説明したとおり、ケトル10が180°倒れる場合、排気パイプ151の周辺の位置の圧力が大きく、水が短時間内に
蒸気通路14内に流入し、漏水が発生するおそれがある。他の好適な実施例において、水が
蒸気通路14内に流入する速度を低減するか、或いは水が
蒸気通路14内に流入することを避けるため、前記排気パイプ151内に密閉用重錘156が設けられる。前記密閉用重錘156は、前記排気パイプ151の傾斜角度が90°より大きいとき、前記排気パイプ151の密閉端から前記排気パイプ151の開口端へ移動することにより、前記収納槽130の密閉端の排気孔131を密閉させる。
【0193】
図6aを参照すると、前記実施例に基づいて、密閉用重錘156が排気パイプ151を塞ぐことができなければ、排気パイプ151の排気がスムーズにならないことが考えられる。そのため、本実施例において、前記排気パイプ151の内壁には気体ガイド構造が設けられ、気体ガイド構造は前記密閉用重錘156と排気パイプ151の内壁との間に気体ガイド通路を形成する。ここで、該気体ガイド構造は、排気パイプ151の内壁に設けられる突起、例えば円形突起またはリブ1511であるか、或いは排気パイプ
151の内壁に設けられる気体ガイド槽であってもよい。ここで、気体ガイド構造は前記排気パイプ
151の軸方向に延伸し且つ前記排気パイプ
151の周方向に分布する複数個のリブ1511であることが好ましい。隣接するリブ1511の間には気体ガイド通路が形成されている。
【0194】
前記実施例において、密閉用重錘156は様々な形状であってよく、ケトルが倒れるとき排気孔131を塞ぐことができればよい。例えば、密閉用重錘156が柱状または球状に形成されることにより、密閉用重錘156が排気パイプ151内で移動する抵抗力は小さくなり、移動がよりスムーズになる。
【0195】
他の好適な実施例において、排気パイプ151の上端と排気孔131の周辺との密閉性を向上させるため、前記下部カバー12と前記排気パイプ151の密閉端の端面との間に弾性材159が設けられる。前記弾性材159は排気パイプ151の下端面の回転軸157周りに設けられる。ケトル10が倒れるとき、弾性材159は排気パイプ151を迅速に上昇させることにより、排気パイプ151の上端と排気孔131の周辺とを密閉させ、該蒸気バルブ15の漏水防止の効果を向上させることができる。ここで、弾性材159はスプリング、ゴムスペーサーまたは弾性片であることができるが、弾性材159はスプリングであることが好ましい。
【0196】
図6aを参照すると、前記実施例に基づいて、弾性材159が長く圧縮されることにより、弾性材159の弾性機能が低下するか或いはなくなることが考えられる。本実施例において、前記排気パイプ151にはその密閉端の端面から延伸するスリーブ158が設けられ、前記スリーブ158は前記弾性材159周りに設けられる。このように、弾性材159が受ける圧力が大きすぎても、スリーブ158の支持により、弾性材159に恒久的な変形が発生しにくい。
【0197】
以上は本発明の好適な実施例にすぎず、本発明の特許範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、本発明の明細書及び図面の内容を用いて実施される同等の構造の変更、又は直接/間接的に他の関連する技術分野に応用することは、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。