【課題を解決するための手段】
【0004】
本照明デバイスの少なくとも一実施形態によると、本照明デバイスは、放射を生成する目的で設けられている複数の部品を備えている。これらの部品は、インコヒーレントな放射、部分的にコヒーレントな放射、またはコヒーレントな放射を生成する目的で設けることができる。特に、これらの部品は、発光ダイオード(LED)として具体化することができる。これらの部品は、パッケージングされていない半導体チップとして具体化する、または、パッケージ内に半導体チップが配置されている部品として具体化することができる。
【0005】
本照明デバイスの少なくとも一実施形態によると、本照明デバイスは、複数の行ラインおよび複数の列ラインを備えている。部品それぞれは、行ラインと列ラインとに導電接続されている。部品は行列形式に配置されていることが好ましく、行ラインそれぞれが行列の行に割り当てられており、列ラインそれぞれが行列の列に割り当てられている。しかしながら、行ラインと列ラインの交点に、部品のグループを割り当てることもできる。この場合、グループに属する複数の部品は、一緒にのみ駆動することができる。この場合、用語「交点」は、行ラインと列ラインが交点において重なっていなければならないことを意味するものではない。そうではなく、用語「交点」は、どの行ラインとどの列ラインがそれぞれの部品または部品のグループに割り当てられているかを定義する。
【0006】
行ラインおよび列ラインは、それぞれ部品の同じ極に導電接続されていることが好ましい。一例として、行ラインそれぞれをアノードに導電接続し、列ラインをカソードに導電接続する、またはこの逆に導電接続することができる。行ラインの数が列ラインの数より少ないことが好ましい。
【0007】
本照明デバイスの少なくとも一実施形態によると、本照明デバイスは、2〜5本の範囲内(両端値を含む)の行ラインを備えている。特に、本照明デバイスは、正確に2本の行ラインを備えていることができる。
【0008】
本照明デバイスの少なくとも一実施形態によると、本照明デバイスは、2〜8本の範囲内(両端値を含む)の列ラインを備えている。特に、本照明デバイスは、4〜6本の範囲内(両端値を含む)の列ラインを備えていることができる。
【0009】
本照明デバイスの少なくとも一実施形態によると、本照明デバイスは、少なくとも2つの部品が同時に動作するように設けられている。特に、相互に異なる列ラインと相互に異なる行ラインに割り当てられている少なくとも2つの部品が同時に動作する。本照明デバイスの部品の少なくとも10%が同時に動作することが好ましい。
【0010】
本照明デバイスの少なくとも一実施形態によると、ESD(静電放電)保護素子が少なくとも1つの部品に割り当てられている。ESD保護素子は、静電帯電に起因して部品に印加される電圧(放電した場合に部品の損傷につながりうる)を逃がすことができるようにする目的で設けられている。ESD保護素子は、各部品に割り当てられていることが好ましい。
【0011】
一構造形態においては、ESD保護素子は、各部品に並列に接続されている。この場合、ESD保護素子の数は部品の数に一致する。
【0012】
1つの代替構造形態においては、行ラインに導電接続されている部品、もしくは、列ラインに導電接続されている部品、またはその両方に、共通のESD保護素子が割り当てられている。言い換えれば、各行ラインもしくは各列ラインまたはその両方に、ESD保護素子が設けられている。
【0013】
ESD保護素子は、一方向において阻止する素子(unidirectionally blocking element)として(例えばESDダイオードとして)具体化することができる。これに代えて、ESD保護素子は、降伏特性を有する、両方向において阻止する素子として具体化することができる。一例として、ESD保護素子は、バリスタとして、サイリスタとして、または順方向が互いに逆向きの状態で直列に接続されている2つのダイオードを備えたダイオード回路として、具体化することができる。アクティブESD保護素子(例えばいわゆる「ゲートダイオード」)を使用することもできる。
【0014】
少なくとも一実施形態によると、本照明デバイスはキャリアを備えており、このキャリアの上に、行ラインと、列ラインと、部品とが配置されている。キャリアは、例えば、セラミックを含んでいる、またはセラミックからなる。プリント基板をキャリアに使用することもできる。キャリアの上に、1つまたは複数のESD保護素子を配置することができる。これに代えて、キャリアに加えて設けられるプリント基板の上に、1つまたは複数のESD保護素子を配置することができる。
【0015】
少なくとも一実施形態によると、本照明デバイスは、ヘッドライト用に、特に、自動車のヘッドライト用に設計されている。特に、本照明デバイスは、アダプティブフロントライティングシステム(AFS)用に設計することができる。AFSには、正確に2本の行ラインを備えた照明デバイスが特に適している。
【0016】
少なくとも一実施形態によると、照明装置は、このような照明デバイスと駆動回路とを備えている。駆動回路によって、行ラインそれぞれの動作電位が少なくとも2つの状態の間で可変であり、列ラインそれぞれが電流ドライバに導電接続されている。したがって、列ラインそれぞれにおいて、互いに独立して電流を設定することができる。当然ながら、電流ドライバを行ラインに接続することができ、かつ列ラインそれぞれの動作電位が少なくとも2つの状態の間で可変であるならば、用語「行ライン」と「列ライン」を互いに置き換えることができる。
【0017】
本照明装置の少なくとも一実施形態によると、列ラインは、3つの電位状態において動作可能である。したがって、列ラインは、高電位を有する状態(「High」)と、低電位を有する状態(「Low」)とに加えて、これらの電圧値の間の中間電圧において動作可能である。
【0018】
本照明装置の少なくとも一実施形態によると、行ラインの1つの状態は、高インピーダンス状態である。このような状態は、いわゆるトライステート構造によって提供することができる。
【0019】
一方向において阻止するESD保護素子が個々の部品それぞれに並列に接続されている照明デバイスの場合、列ラインが3つの電位状態において動作可能であり行ラインが高インピーダンス状態において動作可能である照明装置が、特に適している。
【0020】
少なくとも一実施形態による、照明デバイスを動作させる方法においては、照明デバイスは、放射を生成する目的で設けられている複数の部品と、複数の行ラインと、複数の列ラインとを備えており、部品それぞれが行ラインと列ラインとに導電接続されている。
【0021】
本方法の少なくとも一実施形態によると、行ラインそれぞれの動作電位として、少なくとも2つの状態のうちの1つが設定される。
【0022】
本方法の少なくとも一実施形態によると、列ラインそれぞれの電流供給は、電流ドライバによって設定される。したがって、列ラインは、それぞれに割り当てられた電流ドライバによって互いに独立して通電される。個々の電流ドライバそれぞれは、共通の電流源の出力として、または相互に個別の電流源として、具体化することができる。
【0023】
本方法の少なくとも一実施形態によると、放射を生成する目的で設けられている部品は、割り当てられている行ラインをアクティブ状態に設定することによって、あらかじめ選択される。すなわち、それぞれの時点において、非アクティブ状態にある行ラインに割り当てられているすべての部品は、放射を放出しない。この場合、「あらかじめ選択される」という表現は、行ラインおよび列ラインの状態の設定の時間的な順序を意味しない。アクティブ化された行ラインに割り当てられている部品のうち、割り当てられている列ラインがアクティブ化されている部品が、その時点において放射を放出する。最も単純な場合、部品は、割り当てられている列ラインが「Low」状態にあると同時に、割り当てられている行ラインが「High」状態にある設定によってアクティブ化される、またはこの逆である。「High」状態と「Low」状態の電圧差の絶対値は、駆動される部品の公称動作電圧と少なくとも同じ大きさであることが好ましい。
【0024】
本方法の少なくとも一実施形態によると、電流ドライバによって供給される電流の強さは、アクティブ状態にある行ラインの数に応じて設定される。アクティブ状態にある行ラインの数が多いほど、電流ドライバに割り当てられている列ラインの通電時に、互いに並列に電気的に接続されている部品の数が多い。アクティブ化されている行ラインの数がn本である場合、電流の強さは、個々の部品の公称電流のn倍であることが好ましい。
【0025】
本方法の少なくとも一実施形態によると、行ラインは、100%のデューティサイクルで動作する。すなわち、アクティブ化されている行ラインは、すべてが一緒にアクティブ化され、放射を生成する目的で設けられている部品それぞれすべてにまとめて通電することができる。行全体のみ、もしくは列全体のみ、またはその両方が非アクティブ化される。
【0026】
本方法の少なくとも一実施形態によると、少なくとも2本の行ラインが、100%未満のデューティサイクルで交互に動作し、したがって、少なくとも1つの部品が非アクティブ化され、この非アクティブ化された部品に関連付けられる列における少なくとも1つのさらなる部品と、非アクティブ化された部品に関連付けられる行におけるさらなる部品とが、同時にアクティブ化される。したがって、デューティサイクルの設定によって、部品に割り当てられている列全体または部品に割り当てられている行全体を非アクティブ化する必要なしに、個々の部品を非アクティブ化することができる。デューティサイクルは、100%を行ラインの数で除した値であることが好ましい。したがって、2本の行ラインの場合、デューティサイクルは50%である。
【0027】
全体として放出される放射エネルギが、減少したデューティサイクルに起因して低いことを補正する目的で、電流の強さを、特に、デューティサイクルに反比例するように増大させることができる。例えば、50%のデューティサイクルの場合、電流の強さを200%とすることができる。したがって、部品から放出される時間平均した放射出力を、100%のデューティサイクルでの動作時における部品の放射出力に一致させることができる。
【0028】
本方法の少なくとも一実施形態によると、順方向に関して一方向において阻止する挙動を有するESD保護素子が、部品それぞれに逆並列に接続されている。1本の行ラインは、アクティブ状態において動作する。さらなる行ラインは、高インピーダンス状態において動作することが好ましい。さらに、1本の列ラインがアクティブ状態において動作することが好ましく、さらなる列ラインが中間電圧(行ラインのアクティブ状態の電圧と列ラインのアクティブ状態の電圧の間)で動作し、したがって、アクティブ化された行ラインと、中間電圧を有する列ラインに接続されている部品が非アクティブ化される。このようにすることで、一方向において阻止する挙動を有するESD保護素子が部品それぞれに割り当てられている照明デバイスにおいても、電気的接触を形成することができる。
【0029】
上述した照明デバイスの場合、n本の行およびm本の列が存在するとき、外側に通じる接続線の数はn+mである一方で、部品が個別に接触接続される場合、合計で2*n*m本のラインが必要となる。
【0030】
上述した照明デバイスおよび照明装置は、本方法に特に適している。したがって、本照明装置および本照明デバイスに関連して説明した特徴は、本方法にもあてはまり、逆も同様である。
【0031】
さらなる特徴、構造形態、および利点は、図面を参照しながらの例示的な実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。