特許第6649969号(P6649969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特許6649969照明デバイス、照明デバイスを備えた照明装置、および照明デバイスの動作方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6649969
(24)【登録日】2020年1月21日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】照明デバイス、照明デバイスを備えた照明装置、および照明デバイスの動作方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/00 20200101AFI20200210BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20200210BHJP
【FI】
   H05B37/02 J
   H01L33/00 J
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-10370(P2018-10370)
(22)【出願日】2018年1月25日
(62)【分割の表示】特願2016-137508(P2016-137508)の分割
【原出願日】2013年6月10日
(65)【公開番号】特開2018-92942(P2018-92942A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2018年2月22日
(31)【優先権主張番号】102012105630.7
(32)【優先日】2012年6月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アイヘンベルグ ボリス
(72)【発明者】
【氏名】ホルツ ユルゲン
【審査官】 山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−059525(JP,A)
【文献】 特表2008−537344(JP,A)
【文献】 特開平06−029575(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/096588(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02 − 39/10
H01L 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明デバイス(1)と駆動回路(10)とを備えた照明装置(11)において、
前記照明デバイスは、
放射を生成する目的で設けられている複数の部品(2)と、複数の行ライン(Z1,Z2)と、複数の列ライン(S1,S2,...,S5)と、を備えた照明デバイスであって、前記部品それぞれが行ラインと列ラインとに導電接続されており、前記照明デバイスが、少なくとも2つの部品が同時に動作するように設けられており、前記部品がIII−V族化合物半導体材料に基づく半導体チップを含み、
前記照明装置は、いずれか一方が非アクティブ化対象の前記部品に関連付けられた少なくとも2本の行ラインを100%未満のデューティサイクルで交互に動作することにより、かつ、非アクティブ化対象の前記部品に関連付けられた列ラインを同じ前記デューティサイクルで動作することにより、非アクティブ化対象の前記部品に関連付けられた列全体または非アクティブ化対象の前記部品に関連付けられた行全体を非アクティブ化することなく、個々の部品を非アクティブ化するように構成される、
照明装置。
【請求項2】
ESD保護素子(4)が少なくとも1つの部品に割り当てられている、
請求項1に記載の照明デバイス。
【請求項3】
行ラインに導電接続されている前記部品に、もしくは、列ラインに導電接続されている前記部品に、またはその両方に、共通のESD保護素子(4)が割り当てられている、
請求項1に記載の照明デバイス。
【請求項4】
ESD保護素子(4)が各部品に並列に接続されている、
請求項1に記載の照明デバイス。
【請求項5】
前記ESD保護素子は、一方向において阻止する素子、または、両方向において阻止する素子である、請求項2から請求項4のいずれかに記載の照明デバイス。
【請求項6】
前記照明デバイスが、2〜8本の範囲内(両端値を含む)の行ラインと、2〜8本の範囲内(両端値を含む)の列ラインとを備えている、
請求項1から請求項5のいずれかに記載の照明デバイス。
【請求項7】
前記照明デバイスが、正確に2本の行ラインを備えている、
請求項1から請求項6のいずれかに記載の照明デバイス。
【請求項8】
前記照明デバイスが、ヘッドライト用に設計されている、
請求項1から請求項7のいずれかに記載の照明デバイス。
【請求項9】
前記行ラインそれぞれの動作電位が少なくとも2つの状態の間で可変であり、前記列ラインそれぞれが電流ドライバに接続されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の照明デバイスを備える照明装置。
【請求項10】
前記列ラインが3つの電位状態において動作可能であり、第一の状態は高電位を有する状態であり、第二の状態は低電位を有する状態であり、第三の状態は、第一の状態の電圧値と第二の状態の電圧値との間の中間電圧を有する中間の状態であり、前記行ラインの1つの状態が高インピーダンス状態(Z)である、
請求項9に記載の照明装置。
【請求項11】
行ラインの高電位を有する状態と中電圧との間の電圧差では、行ラインおよび列ラインに関連付けられた部品は、放射を放出せず
前記中間電圧は、高電位を有する状態の電圧値と、低電位を有する状態の電圧値との間にある、
請求項9に記載の照明装置。
【請求項12】
放射を生成する目的で設けられている複数の部品(2)と、複数の行ライン(Z1,Z2)と、複数の列ライン(S1,S2,...,S5)とを備えた照明デバイスを動作させる方法であって、前記部品がIII−V族化合物半導体材料に基づく半導体チップを含み、前記部品それぞれが、行ラインと列ラインとに導電接続されており、前記行ラインそれぞれの動作電位として、少なくとも2つの状態(L,H,Z)のうちの1つが設定され、前記列ラインそれぞれの電流供給が、電流ドライバ(I1,I2,...,I5)によって設定され、
少なくとも2つの行ラインのうちの1つに関連付けられ、かつ、少なくとも1つの列ラインに関連付けられた少なくとも1つの部品が非アクティブ化されるように、かつ、関連付けられた列全体および関連付けられた行全体がいずれも非アクティブ化されないように、前記2つの行ラインが100%未満のデューティサイクルで交互に動作し、前記1つの列ラインが同じ前記デューティサイクルで動作する、方法。
【請求項13】
放射を生成する目的で設けられている部品が、割り当てられている行ラインをアクティブ状態に設定することによって、あらかじめ選択され、割り当てられている列ラインの前記電流ドライバを作動させることによって動作する、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記電流ドライバによって供給される電流の強さが、アクティブ状態にある行ラインの数に応じて設定される、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
− 順方向に関して一方向において阻止する挙動を有するESD保護素子(4)が、前記部品それぞれに逆並列に接続されており、
− 行ラインが、アクティブ状態において動作し、
− さらなる行ラインが、高インピーダンス状態において動作し、
− 列ラインがアクティブ状態において動作し、
− さらなる列ラインが中間電圧(M)で動作し、前記中間電圧(M)が、前記行ラインのアクティブ状態の電圧と前記列ラインのアクティブ状態の電圧の間であり、したがって、前記アクティブ化された行ラインと、前記中間電圧を有する列ラインとに接続されている部品が非アクティブ化される、
請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、照明デバイスと、照明デバイスを備えた照明装置と、照明デバイスを動作させる方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
照明デバイス(例えばヘッドライトとして使用するためのLEDモジュール)においては、しばしば多数のLEDチップが使用され、これらのLEDチップは、動作時に個々に、またはグループ単位で駆動しなければならない。この目的のため、各LEDに、外部から接触接続するための2本のリード線を設けることができる。しかしながら、この方式では多数のリード線が必要となり、その結果として、個々のLEDの間の必要な距離が大きくなりうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
1つの目的は、個々の部品を、コンパクトかつ費用効果の高い配置構造において個々に接触接続できる照明デバイスを開示することである。さらなる目的は、照明デバイスを効率的に駆動することのできる方法を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本照明デバイスの少なくとも一実施形態によると、本照明デバイスは、放射を生成する目的で設けられている複数の部品を備えている。これらの部品は、インコヒーレントな放射、部分的にコヒーレントな放射、またはコヒーレントな放射を生成する目的で設けることができる。特に、これらの部品は、発光ダイオード(LED)として具体化することができる。これらの部品は、パッケージングされていない半導体チップとして具体化する、または、パッケージ内に半導体チップが配置されている部品として具体化することができる。
【0005】
本照明デバイスの少なくとも一実施形態によると、本照明デバイスは、複数の行ラインおよび複数の列ラインを備えている。部品それぞれは、行ラインと列ラインとに導電接続されている。部品は行列形式に配置されていることが好ましく、行ラインそれぞれが行列の行に割り当てられており、列ラインそれぞれが行列の列に割り当てられている。しかしながら、行ラインと列ラインの交点に、部品のグループを割り当てることもできる。この場合、グループに属する複数の部品は、一緒にのみ駆動することができる。この場合、用語「交点」は、行ラインと列ラインが交点において重なっていなければならないことを意味するものではない。そうではなく、用語「交点」は、どの行ラインとどの列ラインがそれぞれの部品または部品のグループに割り当てられているかを定義する。
【0006】
行ラインおよび列ラインは、それぞれ部品の同じ極に導電接続されていることが好ましい。一例として、行ラインそれぞれをアノードに導電接続し、列ラインをカソードに導電接続する、またはこの逆に導電接続することができる。行ラインの数が列ラインの数より少ないことが好ましい。
【0007】
本照明デバイスの少なくとも一実施形態によると、本照明デバイスは、2〜5本の範囲内(両端値を含む)の行ラインを備えている。特に、本照明デバイスは、正確に2本の行ラインを備えていることができる。
【0008】
本照明デバイスの少なくとも一実施形態によると、本照明デバイスは、2〜8本の範囲内(両端値を含む)の列ラインを備えている。特に、本照明デバイスは、4〜6本の範囲内(両端値を含む)の列ラインを備えていることができる。
【0009】
本照明デバイスの少なくとも一実施形態によると、本照明デバイスは、少なくとも2つの部品が同時に動作するように設けられている。特に、相互に異なる列ラインと相互に異なる行ラインに割り当てられている少なくとも2つの部品が同時に動作する。本照明デバイスの部品の少なくとも10%が同時に動作することが好ましい。
【0010】
本照明デバイスの少なくとも一実施形態によると、ESD(静電放電)保護素子が少なくとも1つの部品に割り当てられている。ESD保護素子は、静電帯電に起因して部品に印加される電圧(放電した場合に部品の損傷につながりうる)を逃がすことができるようにする目的で設けられている。ESD保護素子は、各部品に割り当てられていることが好ましい。
【0011】
一構造形態においては、ESD保護素子は、各部品に並列に接続されている。この場合、ESD保護素子の数は部品の数に一致する。
【0012】
1つの代替構造形態においては、行ラインに導電接続されている部品、もしくは、列ラインに導電接続されている部品、またはその両方に、共通のESD保護素子が割り当てられている。言い換えれば、各行ラインもしくは各列ラインまたはその両方に、ESD保護素子が設けられている。
【0013】
ESD保護素子は、一方向において阻止する素子(unidirectionally blocking element)として(例えばESDダイオードとして)具体化することができる。これに代えて、ESD保護素子は、降伏特性を有する、両方向において阻止する素子として具体化することができる。一例として、ESD保護素子は、バリスタとして、サイリスタとして、または順方向が互いに逆向きの状態で直列に接続されている2つのダイオードを備えたダイオード回路として、具体化することができる。アクティブESD保護素子(例えばいわゆる「ゲートダイオード」)を使用することもできる。
【0014】
少なくとも一実施形態によると、本照明デバイスはキャリアを備えており、このキャリアの上に、行ラインと、列ラインと、部品とが配置されている。キャリアは、例えば、セラミックを含んでいる、またはセラミックからなる。プリント基板をキャリアに使用することもできる。キャリアの上に、1つまたは複数のESD保護素子を配置することができる。これに代えて、キャリアに加えて設けられるプリント基板の上に、1つまたは複数のESD保護素子を配置することができる。
【0015】
少なくとも一実施形態によると、本照明デバイスは、ヘッドライト用に、特に、自動車のヘッドライト用に設計されている。特に、本照明デバイスは、アダプティブフロントライティングシステム(AFS)用に設計することができる。AFSには、正確に2本の行ラインを備えた照明デバイスが特に適している。
【0016】
少なくとも一実施形態によると、照明装置は、このような照明デバイスと駆動回路とを備えている。駆動回路によって、行ラインそれぞれの動作電位が少なくとも2つの状態の間で可変であり、列ラインそれぞれが電流ドライバに導電接続されている。したがって、列ラインそれぞれにおいて、互いに独立して電流を設定することができる。当然ながら、電流ドライバを行ラインに接続することができ、かつ列ラインそれぞれの動作電位が少なくとも2つの状態の間で可変であるならば、用語「行ライン」と「列ライン」を互いに置き換えることができる。
【0017】
本照明装置の少なくとも一実施形態によると、列ラインは、3つの電位状態において動作可能である。したがって、列ラインは、高電位を有する状態(「High」)と、低電位を有する状態(「Low」)とに加えて、これらの電圧値の間の中間電圧において動作可能である。
【0018】
本照明装置の少なくとも一実施形態によると、行ラインの1つの状態は、高インピーダンス状態である。このような状態は、いわゆるトライステート構造によって提供することができる。
【0019】
一方向において阻止するESD保護素子が個々の部品それぞれに並列に接続されている照明デバイスの場合、列ラインが3つの電位状態において動作可能であり行ラインが高インピーダンス状態において動作可能である照明装置が、特に適している。
【0020】
少なくとも一実施形態による、照明デバイスを動作させる方法においては、照明デバイスは、放射を生成する目的で設けられている複数の部品と、複数の行ラインと、複数の列ラインとを備えており、部品それぞれが行ラインと列ラインとに導電接続されている。
【0021】
本方法の少なくとも一実施形態によると、行ラインそれぞれの動作電位として、少なくとも2つの状態のうちの1つが設定される。
【0022】
本方法の少なくとも一実施形態によると、列ラインそれぞれの電流供給は、電流ドライバによって設定される。したがって、列ラインは、それぞれに割り当てられた電流ドライバによって互いに独立して通電される。個々の電流ドライバそれぞれは、共通の電流源の出力として、または相互に個別の電流源として、具体化することができる。
【0023】
本方法の少なくとも一実施形態によると、放射を生成する目的で設けられている部品は、割り当てられている行ラインをアクティブ状態に設定することによって、あらかじめ選択される。すなわち、それぞれの時点において、非アクティブ状態にある行ラインに割り当てられているすべての部品は、放射を放出しない。この場合、「あらかじめ選択される」という表現は、行ラインおよび列ラインの状態の設定の時間的な順序を意味しない。アクティブ化された行ラインに割り当てられている部品のうち、割り当てられている列ラインがアクティブ化されている部品が、その時点において放射を放出する。最も単純な場合、部品は、割り当てられている列ラインが「Low」状態にあると同時に、割り当てられている行ラインが「High」状態にある設定によってアクティブ化される、またはこの逆である。「High」状態と「Low」状態の電圧差の絶対値は、駆動される部品の公称動作電圧と少なくとも同じ大きさであることが好ましい。
【0024】
本方法の少なくとも一実施形態によると、電流ドライバによって供給される電流の強さは、アクティブ状態にある行ラインの数に応じて設定される。アクティブ状態にある行ラインの数が多いほど、電流ドライバに割り当てられている列ラインの通電時に、互いに並列に電気的に接続されている部品の数が多い。アクティブ化されている行ラインの数がn本である場合、電流の強さは、個々の部品の公称電流のn倍であることが好ましい。
【0025】
本方法の少なくとも一実施形態によると、行ラインは、100%のデューティサイクルで動作する。すなわち、アクティブ化されている行ラインは、すべてが一緒にアクティブ化され、放射を生成する目的で設けられている部品それぞれすべてにまとめて通電することができる。行全体のみ、もしくは列全体のみ、またはその両方が非アクティブ化される。
【0026】
本方法の少なくとも一実施形態によると、少なくとも2本の行ラインが、100%未満のデューティサイクルで交互に動作し、したがって、少なくとも1つの部品が非アクティブ化され、この非アクティブ化された部品に関連付けられる列における少なくとも1つのさらなる部品と、非アクティブ化された部品に関連付けられる行におけるさらなる部品とが、同時にアクティブ化される。したがって、デューティサイクルの設定によって、部品に割り当てられている列全体または部品に割り当てられている行全体を非アクティブ化する必要なしに、個々の部品を非アクティブ化することができる。デューティサイクルは、100%を行ラインの数で除した値であることが好ましい。したがって、2本の行ラインの場合、デューティサイクルは50%である。
【0027】
全体として放出される放射エネルギが、減少したデューティサイクルに起因して低いことを補正する目的で、電流の強さを、特に、デューティサイクルに反比例するように増大させることができる。例えば、50%のデューティサイクルの場合、電流の強さを200%とすることができる。したがって、部品から放出される時間平均した放射出力を、100%のデューティサイクルでの動作時における部品の放射出力に一致させることができる。
【0028】
本方法の少なくとも一実施形態によると、順方向に関して一方向において阻止する挙動を有するESD保護素子が、部品それぞれに逆並列に接続されている。1本の行ラインは、アクティブ状態において動作する。さらなる行ラインは、高インピーダンス状態において動作することが好ましい。さらに、1本の列ラインがアクティブ状態において動作することが好ましく、さらなる列ラインが中間電圧(行ラインのアクティブ状態の電圧と列ラインのアクティブ状態の電圧の間)で動作し、したがって、アクティブ化された行ラインと、中間電圧を有する列ラインに接続されている部品が非アクティブ化される。このようにすることで、一方向において阻止する挙動を有するESD保護素子が部品それぞれに割り当てられている照明デバイスにおいても、電気的接触を形成することができる。
【0029】
上述した照明デバイスの場合、n本の行およびm本の列が存在するとき、外側に通じる接続線の数はn+mである一方で、部品が個別に接触接続される場合、合計で2*n*m本のラインが必要となる。
【0030】
上述した照明デバイスおよび照明装置は、本方法に特に適している。したがって、本照明装置および本照明デバイスに関連して説明した特徴は、本方法にもあてはまり、逆も同様である。
【0031】
さらなる特徴、構造形態、および利点は、図面を参照しながらの例示的な実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】照明デバイスの例示的な一実施形態を概略平面図として示している。
図2A】第1の例示的な実施形態による照明装置の回路を示している。
図2B図2B図2Dは、照明装置の複数の異なる動作モードを示している。
図2C図2B図2Dは、照明装置の複数の異なる動作モードを示している。
図2D図2B図2Dは、照明装置の複数の異なる動作モードを示している。
図2E】第2の例示的な実施形態による照明装置の回路を示している。
図3A】第3の例示的な実施形態による照明装置の回路を示している。
図3B図3B図3Dは、照明装置の複数の異なる動作モードを示している。
図3C図3B図3Dは、照明装置の複数の異なる動作モードを示している。
図3D図3B図3Dは、照明装置の複数の異なる動作モードを示している。
図4】第4の例示的な実施形態による照明装置の回路を示している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図面において、同じ要素、同じタイプの要素、または同じ機能の構成要素には、同じ参照符号を付してある。
【0034】
図面と、図面に示した要素の互いのサイズの関係は、正しい縮尺ではないものとみなされたい。むしろ、図を見やすくする、または本発明を深く理解できるようにする目的で、個々の要素を誇張した大きさで示してあることがある。
【0035】
図1は、照明デバイス1の例示的な一実施形態を平面図として概略的に示している。この照明デバイスは、キャリア5の上に行列形式に配置された複数のオプトエレクトロニクス部品2を備えている。キャリアは、例えば、セラミックキャリア、またはプリント基板、特に、金属コアプリント基板とすることができる。
【0036】
照明デバイス1の行および列に、それぞれ、行ラインZ1,Z2および列ラインS1,S2,S3,S4が割り当てられている。
【0037】
この例示的な実施形態においては、照明デバイスは、2本の行と4本の列を備えている。しかしながら言うまでもなく、本照明デバイスは、3本以上の行ライン、例えば2〜5本の範囲内(両端値を含む)の行ラインを備えていることもできる。さらに、照明デバイス1は、4本以外の列の数、例えば2〜8本の範囲内(両端値を含む)の列ラインを備えていることもできる。
【0038】
例えば自動車のヘッドライトの場合、正確に2本の行ラインを備えた配置構造が、照明デバイスに特に適している。2本の行ラインが個別に駆動可能であることによって、アダプティブフロントヘッドライトシステムとしてのハイビームの機能とロービームの機能を単純な方法で実施することができる。
【0039】
行ラインZ1,Z2および列ラインS1〜S4は、互いに交差する連続的な導体トラックとして具体化されている。これら導体トラックの間に直接的な電気接続は存在しない。一例として、行ラインの導体トラックと列ラインの導体トラックとの間に絶縁層を形成することができる(明示的には示していない)。
【0040】
行ラインと列ラインは、必ずしも互いに交差する必要はない。一例として、行ラインのみ、または列ラインのみを連続的に具体化し、不連続な列ラインまたは行ラインの個々のセグメントを、ボンディングワイヤなどの接続線を介して互いに接続することも考えられる。
【0041】
行ラインZ1,Z2と列ラインS1〜S4の交点それぞれに、1つの部品2が割り当てられている。しかしながら、この変形形態においては、複数の部品を備えたグループを、少なくとも1つの交点に割り当てることもできる。この場合、グループの部品はつねに一緒にのみ駆動することができる。
【0042】
部品2は、パッケージングされていないLED半導体チップとして具体化されている。したがって、隣接する部品の半導体チップの間の距離を最小にすることができる。これにより、照明デバイス1の特にコンパクトな配置構造が単純化される。部品はLEDとして具体化されていることが好ましい。スーパールミネセンスダイオードを使用することもできる。コヒーレントな放射源(例えばレーザダイオード)を使用することも考えられる。
【0043】
部品2の半導体チップそれぞれは、照明デバイス1の主放出方向に対して裏側のコンタクトを有し、このコンタクトは、例えばはんだ層または導電性接着剤層によって、行ラインZ1,Z2に導電接続されている。関連する列ラインS1〜S4への導電接続は、半導体チップ2の上面のコンタクトと、関連する列ラインとの間の接続線3(例えばボンディングワイヤ)を介して行われる。図示した例示的な実施形態においては、接続線は開口部35を通ってそれぞれの列ラインまで達している。
【0044】
しかしながら、コンタクトの配置構造に関して、半導体チップの別の構造を使用することもできる。一例として、半導体チップを、2つの表側コンタクトを介して2本の接続線によって電気的に接続することができる。この場合、半導体チップの裏側を、行ラインおよび列ラインから電気的に絶縁することができる。いわゆるフリップチップ構造を用いる半導体チップを使用することもできる。この場合、接続線を省くことができる。
【0045】
さらに、平面視において、部品2は必ずしも行ラインZ1,Z2と重なっている必要はない。一例として、部品を行ラインから横方向に隔てて配置することができ、接続線を介して行ラインに導電接続することができる。当然ながら、部品2を列ラインS1〜S4の上に配置することもできる。
【0046】
オプトエレクトロニクス部品2の半導体チップは、III−V族化合物半導体材料系であることが好ましい。III−V族化合物半導体材料は、紫外スペクトル領域(AlInGa1−x−yN)から可視スペクトル領域(特に青色〜緑色放射のためのAlInGa1−x−yN、または特に黄色〜赤色放射のためのAlInGa1−x−yP)、さらには赤外スペクトル領域(AlInGa1−x−yAs)の放射を生成するのに特に適している。各場合において、0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1、特に、x≠1、y≠1、x≠0、y≠0の少なくとも1つが成り立つ。特に上に挙げた材料系のIII−V族化合物半導体材料では、放射の生成時に高い内部量子効率をさらに得ることができる。
【0047】
部品2には、パッケージングされていない半導体チップの代わりに、放射を生成する目的で設けられている半導体チップがパッケージ内に配置されている設計を使用することもできる。このような部品ではキャリア上により大きな空間が要求されるが、例えばより高い機械的堅牢性を特徴とすることができる。
【0048】
図2Aは、照明デバイス1と駆動回路10を備えた照明装置11の回路を示している。照明デバイスは、特に、図1に関連して説明したように具体化することができる。この例示的な実施形態においては、10個の部品が行列形式に配置されており、2本の行ラインZ1,Z2と5本の列ラインS1〜S5とに導電接続されている。行ラインそれぞれは、部品2のアノードに導電接続されており、列ラインは部品2のカソードに導電接続されている。したがって、照明デバイス1は、駆動回路10との接続部を合計で7箇所有する。
【0049】
列ラインS1〜S5それぞれに個別の電流ドライバI1〜I5が割り当てられている。すべての例示的な実施形態において、平均放射出力を低減する目的で、部品2を減光することのできるパルス幅変調を使用することができる。
【0050】
図2B図2Dの表は、動作時における照明装置の複数の異なる動作モードを示している。各表は、行ラインZ1,Z2の状態および列ラインS1〜S5の状態と、それらの結果としての照明パターンを示している。表中の「X」は、部品が放射を放出する状態にあることを意味する。
【0051】
図2Bに示した設定の場合、行ラインZ1がHigh(H)状態にあり、行ラインZ2がLow(L)状態にある。この設定においては、行ラインZ2に割り当てられている部品すべてが非アクティブ化される。行ラインZ1に割り当てられている部品のうち、Low状態にある部品(すなわち列ラインS1,S3,S4,S5に割り当てられている部品)が放射を放出する。列ラインS2に基づいて一例として示したように、1本の列ラインにHigh状態を割り当てることによって、アクティブ化されている行ライン(この場合には行ラインZ1)の個々の部品を非アクティブ化することが可能である。当然ながら、状態を適切に設定することによって、行ラインZ1に割り当てられている部品のうちの別の部品または2つ以上の部品を非アクティブ化することもできる。
【0052】
これとは異なり、図2Cに示した設定の場合、行ラインZ1,Z2の両方がHigh状態にある。結果として、列ラインS2に割り当てられている部品以外のすべての部品が放射を放出する。図2Bおよび図2Cに示した状態に実装する場合、個々の行ラインZ1,Z2、およびしたがって照明デバイス1のすべての部品2を、100%のデューティサイクルで動作させることができる。したがって、アクティブ化される部品すべてが同時に放射を放出する。
【0053】
図2Cに示した設定においては、列ラインS1〜S5にそれぞれ割り当てられている電流ドライバI1〜I5それぞれに、互いに並列に電気的に接続されている2つの部品2が割り当てられている。部品に通電する場合、電流ドライバI1〜I5それぞれは、1つの部品2の公称動作電流の公称的に2倍の動作電流を供給することが好ましい。行ラインが3本以上である場合、電流ドライバによって供給される動作電流は、アクティブ化されている行ラインの数nに対応して増加させる。
【0054】
図2Dは、図2Bおよび図2Cに示した動作モードとは異なり、関連する行全体または関連する列全体を非アクティブ化する必要なしに個々の部品2が非アクティブ化される動作モードを示している。この目的のため、行ラインZ1,Z2が、それぞれ50%のデューティサイクルで交互にアクティブ化される。列ラインS1,S3,S4,S5にはLow状態が割り当てられており、したがって、これらの列ラインに割り当てられている部品それぞれは、50%のデューティサイクルで放射を放出する。これとは異なり、行ラインZ1がアクティブ化されるときに列ラインS2がHigh状態にされ、したがって、行ラインZ1および列ラインS2に割り当てられている部品は放射を放出しない。行ラインZ2がアクティブ化されるときに列ラインS2はLow状態にされ、したがって、行ラインZ2および列ラインS2に割り当てられている部品は放射を放出する。図2Bに示した状態と比較してデューティサイクルが低減していることに起因する、放出される光エネルギの減少は、動作電流を2倍にすることによって補正することができ、したがって、個々のアクティブ化された部品2は、図2Dに示した動作モードにおいても、時間平均した放射出力として、同じかまたは少なくとも実質的に同じ出力を放出する。部品が個々に接触接続されている場合、駆動回路10への接続部は2×10=20箇所であるのに対して、この照明デバイスでは接続部が2+5=7箇所のみであるが、部品2はいずれも個別に互いに独立してアクティブ化および非アクティブ化することができ、結果として平均出力が減少することもない。したがって、このような照明デバイスと、照明デバイスのこのような動作方法は、ヘッドライト、特にアダプティブヘッドライトシステムにおいて使用するのに特に適している。
【0055】
図2Aに示した照明装置の配置構造の代わりに、第2の例示的な実施形態による照明装置も適しており、図2Eはこの照明装置の回路を示している。図2Aに示した例示的な実施形態とは異なり、部品2それぞれにESD保護素子4が割り当てられており、ESD保護素子は、降伏特性を有する、両方向において阻止する素子として具体化されている。一例として、ESD保護素子は、サイリスタ、バリスタ、または順方向が互いに逆向きの状態で直列に接続されている2つのダイオードを備えたダイオード回路とすることができる。ゲートダイオードなどのアクティブESD保護素子を使用することもできる。
【0056】
ESD保護素子4によって、個々の部品2それぞれを、静電放電に起因する損傷に対して保護することができる。このような照明装置は、特に高い堅牢性と、それに関連付けられる低い故障率とを特徴とする。ESD保護素子4は、オプトエレクトロニクス部品2と同じキャリア5の上に配置することができる。さらには、ESD保護素子を部品2に(特に半導体チップに)組み込むこともできる。しかしながら、これに代えて、キャリア5に加えて設けられるプリント基板の上にESD保護素子4を配置することもできる。
【0057】
両方向において阻止するESD保護素子を使用することで、この目的のために駆動回路10を修正する必要なしに、部品のESD保護を組み込むことができる。
【0058】
これとは異なり、図3Aは、照明装置の第3の例示的な実施形態の回路を示しており、この場合、ESD保護素子4それぞれは、一方向において阻止する要素として、特にESDダイオードとして、具体化されている。ESD保護ダイオードの順方向は、関連する部品2の順方向に逆並列な向きにある。
【0059】
この照明デバイスの複数の異なる動作モードは、図3B図3Dの表に基づいて示してあり、アクティブ化される部品2のパターンは、図2B図2Dによる表に一致する。
【0060】
図2A図2Eの説明とは異なり、行ラインZ1,Z2の状態を、High状態と高インピーダンス状態(Z状態)との間で切り替えることができる。このような状態は、例えばいわゆるトライステート回路によって提供することができる。図3Bに記載されている行ラインおよび列ラインの状態は、図3Aに示した図に対応しており、+3.3Vの値がHigh状態を表し、0Vの電圧がLow状態を表す。列ラインS2には、+1.9Vの中間電圧Mが割り当てられている。したがって、この電圧は、High状態とLow状態の間にある。中間電圧Mは、行ラインZ1および列ラインS2に割り当てられている部品2が、結果としての差電圧(この例示的な実施形態においては3.3V−1.9V=1.4V)において放射を放出しないように選択する。結果として、この部品を非アクティブ化することができる。
【0061】
高インピーダンス状態Zが割り当てられている行ラインZ2においては、行Z2および列S2に割り当てられている部品2に逆並列に接続されている保護ダイオード4が、存在する中間電圧Mにとって順方向に向いているため、1.9V−0.7V=1.2Vの電位が確立される。しかしながら、この結果としての1.2Vの電圧では、行ラインZ2に割り当てられている部品2は放射を放出しない。
【0062】
図3Cでは列S2において一例として示したように、この列ラインに中間電圧Mが割り当てられていることによって、列全体の非アクティブ化を達成することができる。
【0063】
個々の部品2の非アクティブ化は、図3Dに示したように、割り当てられている行ラインがアクティブ化されている間に、非アクティブ化する部品に関連付けられる列ラインにM状態が割り当てられる場合、相応に低減したデューティサイクル(すなわち2本の行ラインの場合には50%)で行ラインZ1,Z2をアクティブ化することによって達成することができる。したがって、説明した駆動方法を使用すると、一方向において阻止する挙動を有するESD保護素子が各オプトエレクトロニクス部品2に割り当てられている照明デバイスの場合にも、各部品2を個々に駆動することができる。このような動作のためには、高インピーダンス状態で行ラインを駆動することと、列ラインの適切な中間電圧が要求され、これにより駆動回路10の複雑さが増すが、このように具体化された駆動方法は、例えばLEDにおいて発生しうる漏れ電流に対する耐性が高いため、有利であり得る。
【0064】
図4に示した照明装置の第5の例示的な実施形態の回路は、図2Eに関連して説明した例示的な実施形態と実質的に同じである。後者と異なる点として、ESD保護素子が各部品2に個々に割り当てられているのではなく、行ラインZ1,Z2それぞれと列ラインS1〜S5それぞれにESD保護素子4が設けられている。
【0065】
ESD保護素子が各部品2に個々に割り当てられている配置構造と比較して、要求される保護素子の数を減らすことができる。この例示的な実施形態においては、一例として、ツェナーダイオードや、順方向に関して逆向きに直列接続されている2つのダイオードを備えたダイオード回路、サイリスタ、またはバリスタが、ESD保護素子として適切である。
【0066】
本特許出願は、独国特許出願第102012105630.7号の優先権を主張し、この文書の開示内容は参照によって本明細書に組み込まれている。
【0067】
ここまで、本発明について例示的な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明はこれらの例示的な実施形態に限定されない。本発明は、任意の新規の特徴および特徴の任意の組合せを包含しており、特に、特許請求項における特徴の任意の組合せを含んでいる。これらの特徴または特徴の組合せは、それ自体が特許請求項あるいは例示的な実施形態に明示的に記載されていない場合であっても、本発明に含まれる。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図4