(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内部にトイレの便器を洗浄するためのゲル状洗浄剤が収納される容器本体と、前記容器本体に接続され、前記ゲル状洗浄剤をトイレの便器に対して押し出すための直径が10mm以上の円形である吐出口を有する吐出部と、を備え、
前記吐出部は、前記容器本体と接続される接続部と、前記接続部から突出する突出部とを備え、前記吐出口は、前記突出部の先端に備えられており、前記吐出部は、前記突出部の前記吐出口の周囲を囲むように、複数の突起部を有し、
前記容器本体は、前記吐出部と比較して軟質であり、
前記吐出口の内面と前記突起部の内側とが同一面上にあり、
前記ゲル状洗浄剤が押し出された際に、中央に凹部が形成され、その周囲が、前記凹部の全周を囲むように突出した形状となることを特徴とするゲル状洗浄剤収納容器。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態である押し出し式容器100の具体的な態様について、
図1から
図5に基づいて説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、図示例に限定されるものではない。
【0016】
[実施形態の構成]
{全体構成}
押し出し式容器100は、内部にゲル状洗浄剤Wが充填され、ゲル状洗浄剤Wを、トイレの便器内面等に付着させるために用いられる容器であり、
図1に示すように、容器本体1と、吐出部2と、を備える。
【0017】
{容器本体}
容器本体1は、内部が空洞となり収納空間Sが形成され、ゲル状洗浄剤Wによって充填される、押し出し式容器100の本体をなす部材である。
図1及び
図2に示すように、容器本体1には、一端が扁平となるように融着され、扁平端部11が形成されている。また、
図2に示すように、もう一方の端部は略円形の開口部となっており、本体側開口部12が形成されている。
容器本体1は、
図2に示すように、本体側開口部12の周囲の外周が、後述の吐出部2の吐出部側開口部211の内周と略同一の直径を有する円形に形成され、容器本体1が吐出部側開口部211に挿入されるようにして、容器本体1と吐出部2とが、所定の接着剤によって接着する等の任意の方法により接続されている。
なお、これとは反対に、本体側開口部12の内周が、後述の吐出部2の吐出部側開口部211の周囲の外周と略同一の直径を有する円形に形成され、吐出部2が本体側開口部12に挿入されるようにして、容器本体1と吐出部2とが接続されていてもよい。ただし、ゲル状洗浄剤Wの押し出し時に剥がれ難くするため、
図2に示すように接続されている方が好ましい。
【0018】
容器本体1は、吐出部2と比較して軟質な材料によって形成される。具体的な硬度としては、70から90であることが好ましい。なお、上記硬度は、JIS K 6253(タイプAデュロメータ)によって測定されたものである。
具体的な材料としては、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリプロピレン(PP)、アルミ、各種蒸着フィルム等が用いられる。
【0019】
容器本体1の大きさは、充填されるゲル状洗浄剤Wの量に応じて任意に定めることができるが、複数回使用できる十分な内容量を確保しつつ、かつ、ゲル状洗浄剤Wをトイレの便器内面に付着させる際の利便性も確保する観点から、本体側開口部12付近において直径5mmから30mmとなり、扁平端部11から本体側開口部12までの長さが50mmから150mmとなるように形成され、内容量が30mlから100mlであることが望ましい。
【0020】
{吐出部}
吐出部2は、ゲル状洗浄剤Wが押し出される開口部をなす部分であり、
図1及び
図2に示すように、接続部21と、突出部22と、を備える。
吐出部2は、容器本体1と比較して硬質な材料によって形成される。具体的な硬度としては、90から100であることが好ましい。なお、上記硬度は、JIS K 6253(タイプAデュロメータ)によって測定されたものである。
具体的な材料としては、例えばPET、PP等が用いられる。
【0021】
(接続部)
接続部21は、
図1及び
図2に示すように、一方の端部は略円形の開口部となっており、吐出部側開口部211が形成されている。
図2に示すように、吐出部側開口部211の内周は、容器本体1の本体側開口部12の周囲の外周と略同一の直径を有する円形に形成され、容器本体1が吐出部側開口部211に挿入されるようにして、容器本体1と吐出部2とが、所定の接着剤によって接着する等の任意の方法により接続されている。
なお、これとは反対に、吐出部2の吐出部側開口部211の周囲の外周が、本体側開口部12の内周と略同一の直径を有する円形に形成され、吐出部2が本体側開口部12に挿入されるようにして、容器本体1と吐出部2とが接続されていてもよい。ただし、ゲル状洗浄剤Wの押し出し時に剥がれ難くするため、
図2に示すように接続されている方が好ましい。
【0022】
また、接続部21の吐出部側開口部211と対向する面は、
図2に示すように、中央部のみが開口部となるように形成され、当該開口部に、突出部22が接続されている。
【0023】
接続部21は、直径が容器本体1の本体側開口部12付近と比較して僅かに大きくなり、高さが10mmから30mmとなる円筒状に形成されている。
【0024】
(突出部)
突出部22は、
図2に示すように、筒状に形成され、接続部21の容器本体1と接続される側とは反対側の面に形成された開口部に接続され、接続部21を介して、容器本体1の収納空間Sと接続されている。これによって、接続部21及び突出部22の内部を通って、収納空間S内のゲル状洗浄剤Wを押し出すことができる。
【0025】
突出部22の先端には、ゲル状洗浄剤Wが押し出される円形の吐出口221が形成されており、これを周回するように複数の突起部222…が形成されている。
図1においては、10個の突起部222…が形成された場合につき図示したが、突起部222…の形成数はこれに限られない。突起部222…が備えられていることによって、便器内面等の対象面に付着させたゲル状洗浄剤Wの形状を揃えることができ、かつ、突出部22先端にゲル状洗浄剤Wが付着してしまうことを防止することができる。
【0026】
突出部22は、後述のようにして、ゲル状洗浄剤Wを押し出し易く、かつ便器内面等に押し付けた際に適切な大きさとすることができるように、吐出口221の直径が10mmから25mmであることが好ましく、15mmから20mmであればさらに好ましい。
また、突出部22の長さは、後述のようにして、ゲル状洗浄剤Wを便器の内面に押し付ける際に、容器本体1から便器内面までに適切な距離を確保し、押し付ける作業を行い易くするため、突起部222…を除いて、5mmから30mmであることが好ましく、10mmから20mmであればさらに好ましい。
また、突起部222…は、上記効果を好適に生じさせるため、吐出口221の周囲から、0.5mmから5mm突出するように形成されることが好ましく、1mmから3mm突出するように形成されることがさらに好ましい。突起部222…の間の間隙は、突出部22先端にゲル状洗浄剤Wが付着してしまうことを防止するため、1mm以上の幅を有することが好ましい。
また、突起部222…は、全て同じ長さに形成され、先端部が同一平面状に位置するように形成されていることが好ましい。
【0027】
[押し出し式容器の使用方法]
押し出し式容器100を使用する際には、使用者は、まず、容器本体1を把持した上で、これを押圧し、突出部22の先端から、収納空間S内部のゲル状洗浄剤Wが押し出された状態とする。この際、使用者は、便器内面等に付着させたい量に応じて、押し出す量を調整する。
【0028】
続いて、使用者は、ゲル状洗浄剤Wが押し出された状態の押し出し式容器100を、突出部22側において、便器内面等のゲル状洗浄剤Wを押し付けたい箇所に近接させ、押し出された状態のゲル状洗浄剤Wを、当該箇所に押し付ける。この際、ひねりながら押し込むことで、突出部22の周りに、均等にゲル状洗浄剤Wが広がる。
なお、この際には、突出部22が直接便器内面等に振れないようにする。
【0029】
続いて、使用者は、押し出し式容器100を便器内面等から離す。この際、突出部22の先端から押し出されていたゲル状洗浄剤Wは、便器内面等に付着し、残ることとなる。
この際、上記のように、突出部22の周りに、均等にゲル状洗浄剤Wが広がり、突出部22の外側であった部分において付着量が多くなり、突出部22と重なっていた部分において付着量が少なくなるため、便器内面に付着したゲル状洗浄剤Wは、
図3に示すような、中心部に凹部が形成され、その周囲が、前記凹部の全周を囲むように突出した形状となる。
【0030】
[押し出し容器の効果]
押し出し式容器100によれば、上記のように、
図3に示すような形状となるように、便器内面等に対してゲル状洗浄剤Wを付着させることができる。
便器内面等に付着し、流水によって徐々に解け出す洗浄剤は、長時間トイレ等が使用されず、水が流されることがないと、付着させた洗浄剤の表面が乾燥してしまう。そして、過度に乾燥して固まってしまうと、トイレ等の流水によって溶け出さなくなってしまい、洗浄剤としての効果が失われてしまうことがある。
この点、押し出し式容器100によれば、上記のように中央に凹部が形成されるようにして、ゲル状洗浄剤Wを便器内面等に付着させることができることから、当該凹部に水が溜まり易く、付着させたゲル状洗浄剤Wの乾燥を防止することができる。
【0031】
また、押し出し式容器100によれば、上記のようにして、ゲル状洗浄剤Wを押し出した上で、これを便器の内面等に押し付けるのみで付着させることができることから、ゲル状洗浄剤Wを便器内面等に付着させる作業が容易となる。
【0032】
また、押し出し式容器100によれば、便器内面等に対してゲル状洗浄剤Wを付着させる際に、ゲル状洗浄剤Wが、便器内面等に対し押し付けられることとなる。これによって、付直後のゲル状洗浄剤Wを剥がれ難くすることができる。また、曲面に対しても、確実にゲル状洗浄剤Wを付着させることができる。
【0033】
また、押し出し式容器100によれば、便器内面等に対し、吐出部2を直接触れさせることなく、ゲル状洗浄剤Wを付着させることができる。したがって、衛生面でも優れる。
【0034】
また、押し出し式容器100によれば、任意の量のゲル状洗浄剤Wを容器から出すことができ、洗浄効果を継続させたい期間等に応じて、付着させる量を調整しつつ使用することができる。
【0035】
また、押し出し式容器100によれば、比較的軟質な容器本体1にゲル状洗浄剤Wが収納されていることによって、容器本体1を変形させつつゲル状洗浄剤Wを押し出すことができることから、容器内に残ってしまい、使用できないゲル状洗浄剤Wを減少させることができる。
【0036】
[変形例]
吐出部2の突出部22の先端形状は、上記の突起部222…を備えるものに限られない。ただし、先端部の円周上に複数の間隙を有する形状であることが好ましい。また、突出部22先端にゲル状洗浄剤Wが付着してしまうことを防止するため、それぞれの間隙が、1mm以上の幅を有することが好ましい。
【0037】
また、突出部の形状は、
図1及び
図2に示したような円筒状のものに限られず、例えば、
図4及び
図5に示す突出部22Aように、略半球状に形成され、その先端部に吐出口221Aを備えるようにしてもよい。吐出口221Aの形状は、
図4及び
図5においては、平面視星形となるように形成した場合につき図示したが、これに限られない。また、吐出口221Aの周辺は、
図4及び
図5に示したように、先端が平面状となるように形成されていることが、押し出されたゲル状洗浄剤Wを安定して保持する上で好ましい。
【0038】
[ゲル状洗浄剤の説明]
次に、実施形態に係る押し出し式容器100に充填されるゲル状洗浄剤Wについて説明する。なお、本発明において、「ゲル状」とは、25℃において、ゾルにならず、定形性のある半固形状の状態をいう。
【0039】
押し出し式容器100を使用する際には、上記のように、使用者は、突出部22の先端からゲル状洗浄剤Wが押し出された状態とした上で、当該状態を維持しつつ、押し出された状態のゲル状洗浄剤Wを、便器内面等に押し付けることとなる。したがって、押し出し式容器100に充填されるゲル状洗浄剤Wは、押し出された状態で形状が維持されるようにある程度高い粘度を有する必要がある。しかし、粘度が高くなり過ぎると、容器からの押し出しが困難になることから、具体的な粘度としては、25℃での粘度が、10×10
2Pa・s以上、20×10
2Pa・s以下であることが望ましく、15×10
2Pa・s以上、18×10
2Pa・s以下であることがさらに望ましい。
なお、上記粘度は、RV-DV2T(英弘精機株式会社製)によって、付属オプションであるヘリパススタンドMODEL Dを用いて測定されたものである。
【0040】
以下に、実施形態に係る押し出し式容器100に充填されるゲル状洗浄剤Wとして好適なゲル状洗浄剤組成物の一例である、セルロースナノファイバー(以下、「CNF」という。)を含有するゲル状洗浄剤組成物(以下、「CNF含有ゲル状洗浄剤組成物」という。)につき説明する。ただし、これはあくまで一例であり、押し出し式容器100に充填されるゲル状洗浄剤Wは、これに限られるものではない。
【0041】
{CNF含有ゲル状洗浄剤組成物の構成}
ゲル状洗浄剤Wの一例であるCNF含有ゲル状洗浄剤組成物は、ゲル状に形成され、セルロースナノファイバー(以下、「CNF」という。)を含有するものである。
【0042】
(CNF)
CNFとは、パルプ繊維を解繊して得られる微細なセルロース繊維をいい、一般的に平均繊維幅がナノサイズ(1nm以上、1000nm以下)のセルロース微細繊維を含むセルロース繊維をいう。
【0043】
CNFの製造に使用可能なパルプ繊維としては、広葉樹パルプ(LBKP)、針葉樹パルプ(NBKP)等の化学パルプ、晒サーモメカニカルパルプ(BTMP)、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)等の機械パルプ、茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙、更紙古紙等から製造される古紙パルプ、古紙パルプを脱墨処理した脱墨パルプ(DIP)などが挙げられる。これらは、本発明の効果を損なわない限り、単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
CNFの製造方法としては、例えば、高圧ホモジナイザー法、マイクロフリュイダイザー法、グラインダー磨砕法、ビーズミル凍結粉砕法、超音波解繊法等の機械的手法が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。
例えば、パルプ繊維に対して機械的手法の解繊処理を施したものに、カルボキシメチル化等の化学的処理を施しても良いし、酵素処理を施してもよい。
また、化学的処理や酵素処理を施したCNFに、機械的手法の解繊処理を施してもよい。
【0045】
CNF含有ゲル状洗浄剤組成物において用いられるCNFは、過度に解繊されることなく、比較的繊維幅が残ったものであることが望ましく、具体的には、後述の方法によって算出した平均繊維幅が、30nmから50nmであることが好ましい。このようなCNFは、例えば、機械的手法の解繊処理のみが施され、化学的処理が施されていない場合において得られるものである。この場合、CNFの形状が比較的残存しているため、立体障害物となり易く、後述の洗浄効果を向上させる効果を高めることができる。
【0046】
CNF含有ゲル状洗浄剤組成物中のCNFの含有割合としては、0.02質量%以上、0.2質量%以下であることが好ましい。例えば2質量%水溶液を用いる場合、1質量%以上、10質量%以下加えることが好ましいということとなる。0.02質量%未満となると、後述のCNFを加えることによる効果が十分に発揮されず、0.2質量%を超えると、製造時の撹拌による泡立ちが多くなり、製造が困難となる。さらに、0.1質量%以上、0.16質量%以下であることが最も好ましい。
【0047】
なお、具体的に用いることができるCNFとしては、例えば、NBKP100%のCNFであり、CNFの平均繊維幅(メジアン径)が49nmのものが挙げられる。このCNFは、NBKPをリファイナー処理して粗解繊した後、高圧ホモジナイザーを用いて、4回処理して解繊することにより得られたものである。
【0048】
ここで、CNFの繊維幅(平均繊維幅)の測定方法について説明する。
まず、固形分濃度0.01〜0.1質量%のセルロースナノファイバーの水分散液100mlをテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターでろ過し、エタノール100mlで1回、t−ブタノール20mlで3回溶媒置換する。
次に、凍結乾燥し、オスミウムコーティングして試料とする。この試料について、構成する繊維の幅に応じて5000倍、10000倍又は30000倍のいずれかの倍率(段落0047に記載のCNFについては、30000倍の倍率を用いた。)で電子顕微鏡SEM画像による観察を行う。具体的には、観察画像に二本の対角線を引き、対角線の交点を通過する直線を任意に三本引く。さらに、この三本の直線と交錯する合計100本の繊維の幅を目視で計測する。そして、計測値の中位径(メジアン径)を平均繊維径とする。なお、計測値の中位径に限らず、例えば、数平均径や、モード径(最頻径)を平均繊維径としてもよい。
【0049】
(その他の組成物)
CNF含有ゲル状洗浄剤組成物は、CNF以外に、界面活性剤、香料、グリセリン、水等を含む。この内、界面活性剤及び水を含有することは必須である。
【0050】
界面活性剤及び水は、洗浄剤をゲル化させるために必須となる。界面活性剤としては、具体的にはエステル型、エーテル型、アルキルグリコシド等の非イオン界面活性剤を用いることが好ましい。
界面活性剤の含有割合としては、10質量%以上、60質量%以下であることが好ましい。10質量%未満であるとゲル状となり難く、60質量%を超えると固体となってしまう。さらに、30質量%以上、39質量%以下であることが最も好ましい。
【0051】
香料は、CNF含有ゲル状洗浄剤組成物に、洗浄作用に加え、芳香作用を付与するために加えられる。
香料の含有割合としては、0.5質量%以上、10質量%以下であることが好ましい。0.5質量%未満であると、芳香作用が十分でない場合が多く、10質量%を超えるとゲル状となり難くなる。さらに、3質量%以上、7質量%以下であることが最も好ましい。
【0052】
グリセリンは、ゲル状洗浄剤組成物のゲル化濃度をコントロールするために加えられる。
グリセリンの含有割合としては、3質量%以上、20質量%以下であることが好ましい。
【0053】
{CNF含有ゲル状洗浄剤組成物の効果}
CNFは、チクソトロピー性が高い。すなわち、剪断応力を受けている際には粘度が低下し易く、静止している際には、粘度が上昇し易い。
したがって、使用者がCNF含有ゲル状洗浄剤組成物を容器から押し出そうとして力を加えた際には、その粘度が低下し、CNF含有ゲル状洗浄剤組成物を容器から押し出す作業が容易となる。また、これをトイレの便器内面等に付着させた後には、その粘度が上昇し、定着性が高まることから、長時間洗浄効果を発揮させることができる。
【0054】
また、CNFは立体障害物となり、発泡性を向上させる効果も有することから、洗浄効果を向上させることもできる。
【0055】
{CNF含有ゲル状洗浄剤組成物の変形例}
CNF含有ゲル状洗浄剤組成物には、さらに、カルボキシメチルセルロース(以下、「CMC」という。)を含有していてもよい。
CMCは、CNFのOH基に結合することで、静電相互作用により立体障害的に分子同士を離れやすくし、CNFの凝集を防ぎ、その効果を高めることができる。
【0056】
CNF含有ゲル状洗浄剤組成物にCMCを加える場合の含有割合としては、0.5質量%以上、10質量%以下であることが好ましい。0.5質量%未満であると、上記の効果を十分に発揮できず、10質量%を超えるとゲル化が不安定となり、ゲル状を維持し難くなる。さらに、1質量%以上、5質量%以下であることが最も好ましい。
【0057】
CNF含有ゲル状洗浄剤組成物は、ヒドロキシエチルセルロース(以下、「HEC」という。)を含有していてもよい。HECによっても、CMCと同様の効果を得ることができる。
CNF含有ゲル状洗浄剤組成物にHECを加える場合の含有割合としては、0.5質量%以上、10質量%以下であることが好ましい。0.5質量%未満であると、上記の効果を十分に発揮できず、10質量%を超えるとゲル化が不安定となり、ゲル状を維持し難くなる。さらに、1質量%以上、5質量%以下であることが最も好ましい。
【実施例】
【0058】
次に、本発明の実施例及び比較例に係るゲル状洗浄剤収納容器につき、付着させたゲル状洗浄剤の乾き難さ、ゲル状洗浄剤の押し出し易さ、及びゲル状洗浄剤の貼り付け易さに関する評価を行った結果について説明する。
【0059】
[実施例及び比較例の構成]
以下の実施例及び比較例に係るゲル状洗浄剤収納容器を用意した。
【0060】
(実施例1)
吐出部2につき、接続部21を底面の直径30.4mm、高さ11.0mmの円柱状となるように形成し、突出部22を、底面の直径が21.0mm、高さが18.4mm(突起部222…を除いた値)の円柱状となるように形成した。また、吐出口221を直径19.4mmの円形となるように形成した。
また、吐出口の周囲には、長さ3.3mmの突起部222…を6本形成した。
吐出部2の材料としては、ポリプロピレンを用いた。
また、容器本体1を、アルミ箔及びPETによって形成された蒸着フィルムを用いて、長さ70mmとなるように形成した。
【0061】
(実施例2)
突出部22につき、突起部222…を形成しなかった。
その他の構成は実施例1と同様である。
【0062】
(実施例3)
突出部22につき、底面の直径が10.5mm、高さが18.4mm(突起部222…を除いた値)の円柱状となるように形成した。また、吐出口221を直径10.0mmの円形となるように形成した。
その他の構成は実施例1と同様である。
【0063】
(実施例4)
突出部22につき、底面の直径が5.5mm、高さが18.4mm(突起部222…を除いた値)の円柱状となるように形成した。また、吐出口221を直径5.0mmの円形となるように形成した。
その他の構成は実施例1と同様である。
【0064】
(比較例1)
市販の容器(スクラビングバブルトイレスタンプクリーナー用容器、ジョンソン株式会社製)である。
【0065】
[評価方法]
上記実施例及び比較例を用いて、以下の3種類の評価を行った。
【0066】
(ゲル状洗浄剤の乾き難さ)
実施例1及び比較例1の容器に、ゲル状洗浄剤(界面活性剤を35質量%、香料を3質量%、グリセリンを15質量%、水を47質量%の割合で含有するもの。)を、80℃に暖めた上で、40ml押し込み、室温(25℃)まで冷ました。
タイル(株式会社LIXIL(旧株式会社INAX)製内装タイル(型番SPKC−1060/L06KC)、底面の寸法;97mm×97mm、厚さ;5.0mm)に、それぞれの容器を用いて、ゲル状洗浄剤を押し付けた。具体的には、実施例1については、吐出口221からゲル状洗浄剤が22mm押し出された状態とした上で、対象面に対し垂直に押し付けた。また、比較例1については、その用法に従い、一回分の量のゲル状洗浄剤を対象面に対し押し付けた。
この際、実施例1については、
図3に示した形状(直径:35mm、高さ:最大7mm、窪みの最深部で3.3mm)となり、比較例1については、平面視略円形状であり、中央部程高くなる形状(直径:40mm、高さ:最大7mm)となった。
押し付けられたゲル状洗浄剤に、水(温度12℃)を、タイル表面からの高さ100mmの蛇口から、2l/分の流量となるように調整して30秒間かけた後、3時間放置し、表面の状態を評価した。
【0067】
具体的には、ゲル状洗浄剤につき、元と同じ状態のゲル状を維持していると感じた場合に◎、表面が少し乾いたように感じた場合に○、乾いたように感じた場合に△、乾いて別の物質となったように感じた場合に×と評価した。
【0068】
(ゲル状洗浄剤の押し出し易さ)
実施例1から4の容器に、ゲル状洗浄剤(界面活性剤を35質量%、香料を3質量%、グリセリンを15質量%、水を47質量%の割合で含有するもの。)を、80℃に暖めた上で、40ml押し込み、室温(25℃)まで冷ました。
被験者5人に、吐出口221からゲル状洗浄剤を押し出させ、当該作業が行い易いと感じたか否かを評価させ、行い易いと感じた人数につき評価した。
【0069】
(ゲル状洗浄剤の貼り付け易さ)
実施例1から4の容器に、ゲル状洗浄剤(界面活性剤を35質量%、香料を3質量%、グリセリンを15質量%、水を47質量%の割合で含有するもの。)を、80℃に暖めた上で、40ml押し込み、室温(25℃)まで冷ました。
吐出口221からゲル状洗浄剤が22mm押し出された状態とした上で、被験者5人に、タイル(株式会社LIXIL(旧株式会社INAX)製内装タイル(型番SPKC−1060/L06KC)、底面の寸法;97mm×97mm、厚さ;5.0mm)に、ゲル状洗浄剤を押し付けて貼り付けさせ、当該作業が行い易いと感じたか否かを評価させ、行い易いと感じた人数につき評価した。
【0070】
(評価結果)
評価の結果を表Iに示す。
【0071】
【表1】
【0072】
(評価)
実施例1と、比較例1との比較により、本発明に係るゲル状洗浄剤収納容器によれば、付着させたゲル状洗浄剤につき、その乾燥を防止することができることが分かる。
また、実施例1から4の比較により、吐出口221の直径は、5.0mmの場合と比較して、10.0mmである場合に押し出し易くなり、19.4mmである場合にさらに押し出し易くなることが分かる。
また、実施例1と実施例2との比較により、吐出口221の周囲に突起部222…を備えることによって、ゲル状洗浄剤を対照面に押し付けて貼り付ける作業が行い易くなることが分かる。
また、実施例1、3及び4の比較により、吐出口221の直径は、5mmの場合と比較して、10mmである場合にゲル状洗浄剤を対照面に押し付けて貼り付ける作業が行い易くなり、19.4mmである場合にさらに当該作業を行い易くなることが分かる。