特許第6649980号(P6649980)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6649980耐衝撃性LLDPE組成物及びそれから製造されるフィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6649980
(24)【登録日】2020年1月21日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】耐衝撃性LLDPE組成物及びそれから製造されるフィルム
(51)【国際特許分類】
   C08F 10/02 20060101AFI20200210BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20200210BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20200210BHJP
   C08F 4/6592 20060101ALI20200210BHJP
   C08F 4/70 20060101ALI20200210BHJP
   B29C 49/04 20060101ALI20200210BHJP
   B29K 23/00 20060101ALN20200210BHJP
   B29L 7/00 20060101ALN20200210BHJP
【FI】
   C08F10/02
   C08L23/08
   C08L23/06
   C08F4/6592
   C08F4/70
   B29C49/04
   B29K23:00
   B29L7:00
【請求項の数】5
【全頁数】49
(21)【出願番号】特願2018-87085(P2018-87085)
(22)【出願日】2018年4月27日
(62)【分割の表示】特願2016-89821(P2016-89821)の分割
【原出願日】2009年9月22日
(65)【公開番号】特開2018-115345(P2018-115345A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2018年5月16日
(31)【優先権主張番号】08016904.8
(32)【優先日】2008年9月25日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500289758
【氏名又は名称】バーゼル・ポリオレフィン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ファンティネル,ファビアナ
(72)【発明者】
【氏名】マネバッハ,ゲルト
(72)【発明者】
【氏名】ミハン,シャーラム
(72)【発明者】
【氏名】マイアー,ゲルハルドゥス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィットリアス,イアコボス
【審査官】 内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−534822(JP,A)
【文献】 特表2007−534812(JP,A)
【文献】 特開2000−191719(JP,A)
【文献】 特表2009−517509(JP,A)
【文献】 特開2001−114909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/06
C08L 23/08
C08F 4/6592
C08F 4/70
C08F 10/02
C08J 5/18
B29C 49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンを含み、フィルム厚さが5〜250μmのブローンフィルムを製造する製造方法であって、
リマー材料を、フルオロエラストマーから選択されるポリマー加工添加剤を使用せずにブローンフィルム押出を行う工程を含み、
前記ポリエチレンが、コモノマー分布分析において多峰性であり、
(i)第1のポリマー成分として、エチレンと少なくとも1種類のC〜C20−α−オレフィンコモノマーとのコポリマー70重量%〜95重量%;
(ii)第2のポリマー成分として、ホモポリマーのポリエチレン5〜30重量%;
を含み、
前記第1のポリマー成分はCRYSTAF(登録商標)によって分析される低温ピーク重量フラクション(%LT)であり、
前記第2のポリマー成分はCRYSTAF(登録商標)によって分析される高温ピーク重量フラクション(%HT)であり、
3<MWD<8の多分散度、および0.91〜0.925g/cmの密度を有し、
第1、第2の触媒(A)、(B)を含む触媒組成物を用いて重合して得られ、
第1の触媒(A)がジルコノセン触媒であり、
第2の触媒(B)が、鉄成分をベースとし、かつ、少なくとも2つのアリール基を有する三座リガンドを有する重合触媒であり、及び
前記第1の触媒(A)が、下記式のジルコノセンであり、
【化1】
式中、Xは、フッ素、塩素又は臭素であり、
tが2であり、
1B〜R5Bが、それぞれ、水素、C〜Cアルキル又はC〜Cアリールであり、
9B〜R13Bが、それぞれ、水素、C〜Cアルキル若しくはC〜Cアリールであることを特徴とするブローンフィルムの製造方法。
【請求項2】
ポリエチレンが、50,000〜500,000g/モルの重量平均分子量M及び/又は>1.5のM/Mを有する請求項1に記載のブローンフィルムの製造方法。
【請求項3】
%HTフラクションがDSCにおいて識別され、DSCにおいて120〜124.5℃の結晶融点においてピークに達する、請求項1又は2に記載のブローンフィルムの製造方法。
【請求項4】
%LTフラクションがDSCにおいて101〜107℃の結晶融点においてピークに達する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のブローンフィルムの製造方法。
【請求項5】
ポリエチレンがGPCによって測定して単峰性の分子量分布曲線を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のブローンフィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ押出フィルム又はブローンフィルムを製造するための、多峰性のコモノマー分布を有する新規な低密度のポリエチレン、並びにかかるポリエチレンを用いることによって得られる生成物に関する。驚くべきことに、本発明のLLDPE組成物は、劇的に向上した機械的耐衝撃性及び優れた加工特性を示し、フィルム加工における加工助剤、特にフルオロエラストマーの添加を不要にすることができる。
【背景技術】
【0002】
メタロセン誘導LLDPEから製造されるポリオレフィンフィルムは、それらの良好な光学特性及び封止強度のために、物品を包装するために用いるホイル又はフィルムのための最新技術になってきている。しかしながら、これに対して良好な加工性はLLDPEフィルムの本質ではない。
【0003】
Mobil OilのUS−5,420,220においては、約800gの良好なダートドロップ衝撃強さ及び5〜7の曇り価を伴う良好な光学特性を有するが、僅か1g/10分の非常に低いメルトフローインデックス(@2.16kg)(及び17のメルトフロー比MFR21/2、2.6のMWD)を有する、0.918g/cmの単峰性LLDPEポリマーが記載されている。単峰性生成物は、流動床反応器内でのビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドによる触媒作用によって重合される。かかる生成物からフィルムを製造することができるが、低いメルトフローレートを考慮すると、かかるLLDPEのフィルム押出は高い運転圧力が必要で、メルトフラクチャーの危険性があり、このために、技術的に望ましくなく、例えば食品又は医薬の包装製品に関する特定の製造のニーズに反するフィルム加工助剤を加えることが必要である。加工添加剤は易抽出性であり、健康及び環境に有害であると考えられている。
【0004】
しばしば、若干量のより広範に分布している高密度ポリマー、例えばチーグラー触媒を用いて得られる伝統的なHDPEグレードを加えることによって、かかる材料の加工特性を向上させることが求められている。
【0005】
UnivationのWO−2001/098409においては、ホモポリマーHDPEと、0.89〜0.915g/cmの密度、2.0〜3.0のMWD=M/M、50〜85%のCDBIを有し、TREF−二峰性であるメタロセン誘導の狭い分布のVLDPEとの、20:80の混合比のブレンドから製造される二層フィルム、及びこれらをかかる成分のいずれか1つから製造される同様の非ブレンドフィルムと比較することが記載されている。二層であるにもかかわらず、得られるダートドロップ衝撃強さは僅か634g/ミルであり、許容できるが良好でない約10の曇り価及び若干劣った光沢を合わせて有していた。
【0006】
また、UnivationのWO−2005/061614においては、約1.1g/10分のメルトフローインデックス(@2.16kg)及び僅か166〜318gの非常に低いダートドロップ衝撃値を有する0.921〜0.924g/cmの密度のポリマー組成物を与える、メタロセンで製造されるLLDPEと2〜10%(w/w)の異なるHDPEグレードのブレンドが記載されており、実際、HDPEの代わりにHD−LDPEを用いて製造されるブレンドに関しても、単一のメタロセン生成物と比較したダートドロップの損失は通常50%以上に達していた。少なくとも幾つかの単一のHDPEグレードに関しては10%より低い良好な曇り度が報告されているが、良好なダートドロップとは釣り合っていない。要約すると、ブレンドされた組成物においてメタロセン生成物の優れたダートドロップ特性を保持することは達成されていなかった。
【0007】
BorealisのEP−1333044B1においては、まず第1及び第2の反応器内で高密度で低分子量のエチレン−1−ヘキセンコポリマーを合成し、最後に、0.949g/cmの密度及び310g/10分のメルトフローインデックス(@2.16kg)(これらは比較的低い重量及び低い剪断粘度を示す)を有する第2の生成物を、第3の反応器内で合成される高分子量のエチレン−1−ブテンコポリマーとブレンドするカスケード反応器プロセスが記載されている。反応器カスケード全体にわたってチーグラー・ナッタ触媒が用いられていた。結果として得られるVLDPE/HDPEブレンドは、27g/10分の高負荷メルトフローインデックス(@21.6kg)及び27のメルトフローレートMFR(これらは0.923g/cmの全密度において大きく増加した粘度を示す)を有していた。かかる生成物の光学特性は非常に劣っていたが、ダートドロップは>1700gに達した。しかしながら、高い粘度及び劣った光学特性は、かかるブレンドから製造されるフィルムによって示される優れたダートドロップ耐衝撃性では相殺されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US−5,420,220
【特許文献2】WO−2001/098409
【特許文献3】WO−2005/061614
【特許文献4】EP−1333044B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、従来技術の欠点を回避し、その光学的品質を保持しながら良好な機械的耐衝撃特性を有する低密度エチレンポリマーを提供することである。驚くべきことに、この目的は、独立クレームによるポリマー組成物、及びそれから得られる対応する生成物、特にブローン又は押出フィルムによって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、エチレンに重合している少なくとも1種類のC〜C20オレフィンコモノマーを含み、≦0.960g/cm、好ましくは<0.935g/cm、最も好ましくは<0.922g/cmの密度を有するポリエチレン又はポリエチレン組成物が提供される。かかるオレフィンは、アルケン、アルカジエン、アルカトリエン、又は共役若しくは非共役二重結合を有する他のポリエンであってよい。より好ましくは、これは共役二重結合を有しないα−オレフィンであり、最も好ましくはα−アルケンである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の材料のバッチ及び比較標準試料(単峰性m−LLDPE単独、本発明に関して用いたものと同じジルコノセン触媒)に関するSHI値をプロットしたグラフである。
図2図2は、本発明の材料のバッチ及び比較標準試料に関するVan Gurp-Palmenプロットである。
図3図3は、実施例において用いた本発明の粒状ポリエチレン材料の透過電子顕微鏡(TEM)画像である。
図4図4は、実施例において用いた本発明の粒状ポリエチレン材料のCrystaf(登録商標)ダイアグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましくは、本発明のポリエチレン又はPE組成物は、0.85〜0.96g/cm、より好ましくは0.90〜0.935g/cm、最も好ましくは0.91〜0.925g/cmの密度を有し、且つ単独か又はこれと組み合わせて、好ましくはISO−1133:2005にしたがって測定して0.1〜10g/10分、好ましくは0.8〜5g/10分のメルトインデックス(@2.16kg、190℃)を有する。
【0013】
好ましくは、これはISO−1133:2005にしたがって測定して10〜100g/10分、好ましくは20〜50g/10分の高負荷メルトインデックス(@21.6kg、190℃)を有する。
【0014】
更に好ましくは、これは、3<MWD<8の多分散度又は分子量分布幅MWD(ここでMWD=M/Mである)を有し、好ましくは3.6<MWD<5のMWDを有する。更に好ましくは、時にはFRR(フローレート比)と略称され、MFR(21.6/2.16)=HLMI/MIとして定義されるメルトフローレートMFRは>18であり、好ましくは18<MFR<30である。
【0015】
更に好ましくは、ポリエチレンは、50,000〜500,000g/モル、好ましくは100,000〜150,000g/モルの重量平均分子量Mを有し、好ましくは200,000〜800,000g/モルのz−平均分子量Mを有する。z−平均分子量は、粘度、及びしたがって溶融流動挙動を主として決定する非常に高い分子量のフラクションに対してより感受性である。したがって、更なる分散度の指標としてM/M係数を計算することができる。好ましくは、本発明のポリエチレンは、>1.5、好ましくは>2のM/Mを有する。
【0016】
より好ましくは、かかるポリエチレンは、TREF、CRYSTAF(登録商標)、及びDSCからなる群から選択される少なくとも1種類のコモノマー分布分析法(好ましくはDSCによって測定する)によって分析して、コモノマー分布において少なくとも二峰性である。モダリティ及びマルチモダリティはそれぞれ、例えばDSCから得ることができる分布曲線における明確に認識できる極大値の観点で解釈される。異なる方法の分離能は変化する可能性があり、特にDSCはより厳格な分析法であるが、TREFを良好な器具の使用法で正しく行うとTREFよりも低い分離能を有する。
【0017】
したがって、DSCは、本発明のポリエチレンの多峰性を確認するために好ましい方法である。更に、与えられた試料に関する絶対ピーク温度は、それらが基づく異なる物理的原理のために方法間で更に異なり、同等の分離能が達成される温度スケールに沿ったピークフラクションの相対的な離隔がより少ない。
【0018】
したがって、より高感度の定量分析のためには、商業的に入手できる標準的な装置によって行うことができるCRYSTAF(登録商標)が、本発明による最適の方法である。好ましくは、ポリエチレンはCRYSTAF(登録商標)分析から、即ちCRYSTAF(登録商標)分布曲線の積分によって求めてポリエチレン組成物の全重量の1〜40%の高温ピーク重量フラクション(%HT)(ここで、%HTは80℃の温度閾値より高い(略して、T>80℃に関する)ポリマーの割合である)を有し、より好ましくは、ポリエチレンは組成物の全重量の5〜30%、更により好ましくは10%〜28%、最も好ましくは15%〜25%の%HTを有し、更に、ポリエチレンは80℃の温度閾値より低い(略してT<80℃に関する)ポリマーの割合に関してCRYSTAF(登録商標)分析によって同様に測定して、組成物の全重量の95%乃至70%までの低温ピーク重量フラクション(%LT)を有する。
【0019】
本発明の更なる対象は、本発明のポリエチレンから製造されるブレンドである。したがって、本発明のポリエチレン組成物から製造される任意のブレンドにおいて、ブレンド用の成分として用いられ、好ましくは反応器ブレンド生成物それ自体として得られる本発明のポリエチレンの%LT及び%HT質量フラクションの相対割合は、95〜70:5〜30である。
【0020】
更に好ましくは、かかる%LTフラクションは、>60%、好ましくは>70%、より好ましくは>80%のCDBI値を有し、好ましくは1〜3.5のMWDを有し、好ましくは本発明に関して定義するエチレン−C〜C20−1−オレフィンコポリマーであり、より好ましくはかかるコポリマーは1種類又は2種類の異なるコモノマーを含む。
【0021】
また、更に好ましくは、%LTフラクションは、好ましくは0.91〜0.93g/cmの密度を有するLLDPEであるか、或いは好ましくは0.88〜0.91g/cmの密度を有するVLDPEフラクションであるか、及び/又はメタロセン触媒によって製造され、3.5未満の狭いMWDを有し、好ましくは1〜3の範囲のMWDを有するVLDPE又はLLDPEである。
【0022】
好ましくは、ポリエチレンの%HTフラクションは、0.94g/cm以上、好ましくは0.94〜0.98g/cm、より好ましくは0.95〜0.97g/cmの密度を有し、好ましくはコモノマーを含まないか、又はHTフラクションそれ自体の5重量%未満、より好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満のコモノマーを含む。更に好ましくは、単独か又は上記と組み合わせて、かかる%HTフラクションは、>4、好ましくは>6、より好ましくは>8、最も好ましくは>10、そして好ましくは20以下のMWDを有する。
【0023】
また、更に好ましくは、その良好な加工性と組み合わさった本発明のポリエチレン又はポリエチレン組成物の1つの顕著な特性として、ポリエチレンは、25μmのフィルム厚さを有するブローンフィルムについてASTM−D1709:2005方法Aにしたがって測定して、少なくとも1200g、より好ましくは少なくとも1500gのダートドロップ衝撃値を有する。かかる機械的耐衝撃性が僅か25μmの厚さのフィルムに関して得られ、これは注目すべきことである。部分的には、これは不連続的なコモノマー分布、したがって組成物内における明確なサブフラクションの存在にもかかわらず、ポリマーの独特の均一度によって達成される。これに関し、好ましくは、ポリエチレン又はポリエチレン組成物に関する重合反応はワンポット反応で行う。
【0024】
本発明によれば、コポリマーはエチレンと少なくとも1種類のコモノマーとのコポリマーとして理解すべきであり、即ち、本発明による「コポリマー」は、ターポリマー、及びより高級の多重コモノマー共重合体も包含する。しかしながら好ましい態様においては、「コポリマー」はエチレンと実質的に1種類のコモノマー種のみとの真に二元の共重合体である。「実質的に1種類」とは、好ましくは、コモノマー内容物の>97%(w/w)が1種類のコモノマー分子又は種のみであり、言い換えればコモノマーが少なくとも97%の純度であることを意味する。
【0025】
CDBI(組成分布幅指数)は、組成分布の幅の指標である。これは、例えばWO−93/03093に記載されている。CDBIは、平均全コモノマーモル含量の±25%のコモノマー含量を有するコポリマー分子の重量%又は質量分率、即ちそのコモノマー含量が平均コモノマー含量の50%以内であるコモノマー分子の割合として定義される。これは、TREF(温度上昇溶出フラクション)分析(Wildら,J. Poly. Sci., Poly. Phys. Ed. Vol. 20, (1982), 441又は米国特許5,008,204)によって求められる。
【0026】
モル質量分布幅(MWD)又は多分散度はM/Mとして定義される。M、M、M、MWDの定義は、"Handbook of PE", A. Peacock編, p.7-10, Marcel Dekker Inc., New York/Basel 2000において見ることができる。モル質量分布、及び平均M、M、並びにそれから誘導されるM/Mの測定は、1995年2月発行のDIN−55672−1:1995−02に記載されている方法を用いて高温ゲル透過クロマトグラフィーによって行った。言及したDIN標準規格による修正点は次の通りである:溶媒1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB);装置及び溶液の温度135℃;並びに、濃度検出器として、TCBと共に用いることができるPolymerChar(Valencia, Paterna 46980, スペイン)IR-4赤外検出器。
【0027】
直列に接続した以下のプリカラムSHODEX UT-G、並びに分離カラムSHODEX UT 806M(3x)及びSHODEX UT 807を装備したWATERS Alliance 2000を用いた。溶媒は窒素下で真空蒸留し、0.025重量%の2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールで安定化した。用いた流速は1mL/分であり、注入量は500μLであり、ポリマー濃度は0.01%w/w<濃度<0.05%w/wの範囲であった。分子量の較正は、Polymer Laboratories(現在はVarian, Inc., Essex Road, Church Stretton, Shropshire, SY6 6AX, 英国)からの580g/モル〜11600000g/モルの範囲の単分散ポリスチレン(PS)標準試料、及び更にヘキサデカンを用いることによって行った。次に、汎用較正法(Benoit H., Rempp P.及びGrubisic Z., J. Polymer Sci., Phys. Ed., 5, 753 (1967))を用いて、較正曲線をポリエチレン(PE)に適合させた。ここで用いたMark-Houwingパラメーターは、TCB中135℃における有効値で、PSに関しては、kPS=0.000121dL/g、αPS=0.706であり、PEに関しては、kPE=0.000406dL/g、αPE=0.725であった。データの記録、較正、及び計算は、それぞれNTGPC-Control-V6.02.03及びNTGPC-V6.4.24(HS-Entwicklungsgesellschaft fur wissenschaftliche Hard-und Software mbH, Hauptstrasse 36, D-55437 Ober-Hilbersheim)を用いて行った。更に、低い圧力におけるスムーズで好都合な押出加工に関しては、好ましくは、分子量分布の標準的な測定のためのGPCによって測定して<1,000,000g/モルのモル質量を有する本発明のポリエチレンの量は、好ましくは95.5重量%より多い。これは、"HS-Entwicklungsgesellschaft fur wissenschaftliche Hard-und Software mbH", Ober-Hilbersheim/ドイツのWIN-GPCソフトウエアを適用することによってモル質量分布測定の通常の過程において求められる(上記参照)。
【0028】
好ましくは、本発明のブレンドは、>5Pa、好ましくは>10Pa、最も好ましくは>15Paの貯蔵弾性率G’(0.02rad/秒において測定)を有する。より好ましくは、単独か又はこれらと組み合わせて、0.02radにおいて測定されるtanδ=G”/G’は、<100であり、好ましくは<50であり、最も好ましくは<20である。当業者に通常的に知られているように、G’は、動的レオメーターにおいてポリマーブレンドを動的(正弦)変形した際の剪断/歪みの比として求められ、剪断による与えられたポリマー試料の弾性特性の指標である。動的プレート&コーン又はダブルプレートレオメーターは商業的に容易に入手でき、これにより自動データサンプリング及びデータの直接比較が可能である。実験方法の詳細な説明は実験セクションにおいて与える。
【0029】
好ましくは、成分(a)の固有粘度η(vis)値は、0.3〜7Pa・秒、より好ましくは1〜1.5Pa・秒、又は場合によってより好ましくは1.3〜2.5Pa・秒である。η(vis)は、ISO−1628−1及び−3にしたがって、毛細管粘度測定によってデカリン中135℃において測定される固有粘度である。
【0030】
本発明のポリエチレン(a)は、好ましくは、1000炭素原子あたり少なくとも0.1のビニル基、例えば1000炭素原子あたり0.6〜2のビニル基を有する。1000炭素原子あたりのビニル基の含量は、ASTM−D6248−98にしたがってIRを用いて測定する。
【0031】
本発明のポリエチレンは、1000炭素原子あたり0.01〜20の分岐、好ましくは1000炭素原子あたり0.5〜10の分岐、特に好ましくは1000炭素原子あたり1.5〜8の分岐を有する。1000炭素原子あたりの分岐は、James. C. Randall, JMS-REV. Macromol. Chem. Phys., C29 (2&3), 201-317 (1989)によって記載されているようにして13C−NMRを用いて測定し、これは末端基を含む1000炭素原子あたりのCH基の全含量を指す。したがって、1000炭素原子あたりのCH及び1000炭素原子あたりの分岐という表現は同義であるが、通常は、分岐の主な割合は、単純にポリマー鎖中への単一のコモノマーの挿入によるものであり、例えば1−ヘキセンコモノマーによってC又はブチル側鎖或いは短鎖分岐が生成する。分岐度は、明らかに1000炭素原子あたりの全CH基含量であり、これはコモノマーの導入速度を反映している。個々のポリマー質量フラクションにおける分岐度は、13C−NMRと組み合わせたHoltrupの溶媒−非溶媒抽出法(W. Holtrup, Makromol, Chem. 178, 2335 (1977))によって求める。かかる分別のための溶媒として130℃のキシレン及びエチレングリコールジエチルエーテルを用い、5gのポリエチレンをHoltrup分別によって8つのフラクションに分割した。フーリエ変換モードで120℃において100.61MHzで操作するBruker DPX-400分光計上で、ポリマーの13C−NMR高温スペクトルを獲得した。ピークSδδ(C. J. Carman, R.A. Harrington, 及びC.E. Wilkes, Macromolecules, 10, 3, 536 (1977))の炭素を29.9ppmにおける内部参照として用いた。試料を、120℃において1,1,2,2−テトラクロロエタン−d中に8%(wt/v)の濃度で溶解した。90°のパルス、15秒のパルス間遅延、及びCPD(WALTZ16)を用いてそれぞれのスペクトルを獲得してH−13Cカップリングを除去した。6000又は9000Hzのスペクトルウインドウを用いて約1500〜2000の過渡スペクトルを32Kのデータ点で保存した。スペクトルの割り当ては、Kakugo(M.Kakugo, Y.Naito, K.Mizunuma, 及びT.Miyatake, Macromolecules 15, 4, 1150 (1982))及びJ.C. Randal, Macromol. Chem. Phys., C29, 201 (1989)を参照して行った。1−アルケンとして1−ブテン、1−ヘキセン、又は1−オクテンと共重合しているポリエチレンにおいて、1000炭素原子あたり0.01〜20のエチル、ブチル、又はヘキシル短鎖分岐、より好ましくは1000炭素原子あたり1〜10のエチル、ブチル、又はヘキシル分岐、特に好ましくは1000炭素原子あたり2〜6のエチル、ブチル、又はヘキシル分岐を有することが特に好ましい。これは或いは「短鎖分岐」(SCB)と呼ぶことができ、かかる側鎖分岐はC〜C側鎖である。
【0032】
本発明のポリエチレンは、好ましくは10000炭素原子あたり0〜2の長鎖分岐、特に好ましくは10000炭素原子あたり0.1〜1.5の長鎖分岐の長鎖分岐度λを有する。長鎖分岐度λは、例えばACS Series 521, 1993, Chromatography of Polymers, Ed. Theodore Provder; Simon Pang及びAlfred Rudin: Size-Exclusion Chromatographic Assessment of Long-Chain Branch (LCB) Frequency in Polyethylenes, p. 254-269に記載されているように光散乱によって測定した。LCBの存在は更にレオロジーデータから推測することができる(Trinkerら(Rheol. Acta 2002, 41:103-113; van Gurp-Palmen Plot-classification of long chain branched polymers by their topology)を参照)。
【0033】
本発明によれば、ポリエチレンは、与えられたポリマー鎖の分子量とは実質的に独立して結晶性挙動/溶融温度に基づいてコモノマー含量を求めるTREF分析又はDSC分析、好ましくはDSC分析において、実質的に多峰性、好ましくは二峰性の分布を有することが非常に好ましい。TREF又はDSC多峰性分布とは、TREF/DSC分析によって、少なくとも2つの異なる分岐及びしたがって重合中のコモノマー挿入速度を示す少なくとも2つ又はそれ以上の明確な極大値が示されることを意味する。TREFは、結晶化挙動に基づき分子量とは実質的に独立して短側鎖分岐頻度に基づいてコモノマー分布を分析する(Wild, L., Temperature rising elution fractionation, Adv. Polymer Sci. 98:1-47 (1990)、米国特許5,008,204(参照として本明細書中に包含する)における記載も参照)。
【0034】
通常、本発明の好ましい態様においては、ポリエチレンは、好ましくは異なる触媒によって合成される少なくとも2種類、好ましくは実質的に丁度2種類の異なるポリマーサブフラクション、即ち、より低いか及び/又はゼロのコモノマー含量、高い溶出温度を有し、好ましくはより広い分子量分布を有する第1の好ましくは非メタロセンポリマーサブフラクション(%HT質量フラクション)、及びより高いコモノマー含量、より狭い分子量分布、より低い溶出温度、及び場合によってはより低いビニル基含量を有する第2の好ましくはメタロセンポリマーサブフラクション(%LT質量フラクション)を含む。好ましくは、最も高いコモノマー含量(及びより低いレベルの結晶化度)を有するポリエチレンの40重量%又は質量分率、より好ましくは20重量%は1000炭素原子あたり2〜40分岐の分岐度を有し、及び/又は、最も低いコモノマー含量(及びより高いレベルの結晶化度)を有するポリエチレンの40重量%又は質量分率、より好ましくは20重量%は1000炭素原子あたり3未満、より好ましくは0.01〜2分岐の分岐度を有する。更に、本発明のポリエチレン中のCHより大きい側鎖の分岐の少なくとも70%は、最も高いモル質量を有するポリエチレンの50重量%中に存在する。最も低いか又は最も高いモル質量を有するポリエチレンの部分は、溶媒−非溶媒分別法(最近では上記で既に記載したようにHoltrup分別と呼ばれる)によって求める。結果として得られるポリマーフラクションにおける分岐度は、James. C. Randall, JMS-REV. Macromol. Chem. Phys., C29 (2&3), 201-317 (1989)によって記載されるようにして13C−NMRを用いて測定することができる。
【0035】
本発明のポリエチレンは、上記のようにコモノマー分布において好ましくは二峰性又は少なくとも二峰性であるが、高温ゲル透過クロマトグラフィー分析(上記のように特定の修正(HT−GPCを用いるM、Mの測定に関するセクションを参照)を行った1995年2月発行のDIN−55672−1:1995−02に記載の方法にしたがうポリマーに関する高温GPC)による質量分布分析において単峰性又は多峰性のポリエチレンであってよい。GPC多峰性ポリマーの分子量分布曲線は、ポリマーサブフラクション又はサブタイプの分子量分布曲線の重なりとして見ることができ、これによれば、個々のフラクションに関する質量曲線において見られる単一のピークの代わりに2つ以上の明確な曲線極大値が示される。かかる分子量分布曲線を示すポリマーは、それぞれ、GPC分析に関して「二峰性」又は「多峰性」と呼ばれる。
【0036】
本発明のポリエチレンには、0〜6重量%、好ましくは0.1〜1重量%のそれ自体公知の助剤及び/又は添加剤、例えば加工安定剤、光及び熱及び/又は酸化剤の影響に対する安定剤を更に含ませることができる。当業者は、これらの添加剤のタイプ及び量に関して精通している。特に、本発明の更なる有利性として、更なる好ましい態様においては、本発明の接着性組成物から製造される押出フィルムは潤滑剤及び/又はポリマー加工助剤(PPA)を加えることを更に必要とせず、これは本発明の接着性ポリマー組成物から製造されるフィルムがかかる添加剤を実質的に含まないことを意味する。特に、かかる押出成形、キャスト、又はブローンフィルムは、驚くべきことに、加工特性を向上させるためにフルオロエラストマー加工添加剤を加える必要がなく、最も好ましくは、本発明のポリエチレンから製造されるブローンフィルムはフルオロエラストマー加工添加剤又は助剤を実質的に含まず、最も好ましくはそれを含まない。フィルムのブローにおいては、押出物をダイから取り出す時点又はその直後に摩擦力による表面のメルトフラクチャーによって製造されるフィルムに凹凸が生じ、しばしば「鮫肌状」の外観と呼ばれる非常に望ましくない表面の凹凸を有する危険性がある。技術的には、鮫肌状の外観を有する製品は単純に廃棄物であり、現在のフィルムブロー機内での高速加工中のメルトフラクチャーの危険性は押出速度に相関する。即ち、生成物がメルトフラクチャー現象をより受けやすい場合には、機械の押出速度及び圧力はより低くなければならない。フルオロエラストマーは抗ブロッキング剤又は潤滑剤として機能する。これらは加工助剤として当該技術において通常的に知られており、例えばViton(登録商標)及びDynamar(登録商標)(例えばUS−A−3125547も参照)の商品名で商業的に入手できる。加えるppm量を考慮すると、これらはまた、フィルムブローの前に均一な分布を達成するために激しいブレンドも必要であり、かかる更なるブレンド工程は時間がかかり、不具合の更なる潜在源である。最後に、医薬又は特に食品産業のような幾つかの用途のためには、かかる添加剤は包装された物品上に容易に漏出してそれに付着するので、存在させないことが非常に好ましい。特に食品用途に関しては、例えば、冷凍されたフィルム包装物品を加熱することによって形成されるペルフッ素化され潜在的に有害な分解生成物に関する幾つかの第1に不利な報告が発表されている。
【0037】
フルオロエラストマー助剤の不存在下で本発明のポリエチレンから製造されるブローンフィルムによって、優れたバブル安定性を有し、好ましくはフルオロエラストマーのような潤滑助剤及び更なるブレンド工程が回避される活発なプロセスが可能である。同じメタロセン又は第1の触媒(A)のみによって製造される狭い分布のTREF単峰性生成物と比較すると、本発明のTREF及び/又はDSC−二峰性又は多峰性生成物は、単峰性の比較生成物と比較してより低い標準化シェアシニング指数(SHI)によって示されるより良好な加工性によって区別される。SHIは、動的粘性率測定のための任意の与えられたラジアン角ωに関して次式:
SHI(ω)=η(ω)/η
(式中、ηはCox-Merz経験則によって求められる190℃におけるゼロ剪断粘性率であり;ηは、例えば実験セクションにおいて記載するようなRheometrics RDA II動的レオメーターのようなコーン&プレート動的レオメーターにおいてポリマーブレンドの動的(正弦)剪断又は変形によって測定することができる190℃における複素粘性率(s.G’弾性率)である)
として定義される。Cox-Merz則によれば、回転速度ωをラジアン単位で表すと、低い剪断速度においては、ηの数値は低剪断毛細管測定に基づく通常の固有粘度のものと同等である。流動学の分野の当業者は、このようにしてηを求めることに精通している。
【0038】
好ましくは、本発明のポリエチレンは、<0.98、より好ましくは<0.95、更により好ましくは<0.9、最も好ましくは0.5<SHI(@0.1rad/秒)<0.95のSHI(@0.1rad/秒)を有する。単独か又はこれと組み合わせて、好ましくは、本発明のポリエチレンは、<0.7、好ましくは0.4<SHI(@2rad/秒)<0.7のSHI(@2rad/秒)を有する。
【0039】
好ましくは、本発明のポリエチレンのSHIは、任意の与えられた回転数ωに関して、メタロセン触媒のみによって重合される単峰性比較標準試料、即ち他は同等の合成及び加工条件下での第1のメタロセン触媒(A)の純粋な生成物の材料に関するそれぞれの値と比較して少なくとも10%低い。
【0040】
本発明の驚くべき要素は、実質的にメタロセン誘導VLDPE又はLLDPEである本発明のポリエチレンをコモノマー分布において二峰性にすることによって、いずれに関しても加工性を大きく向上させながらメタロセン生成物の優れたダートドロップ特性が文字通り保持されることである。従来技術からは、当業者は、加工性はダートドロップ特性を犠牲にしてしか達成することができず、否応なしにそれを損なうと予想するであろう。驚くべきことに、本発明によれば、ポリエチレン材料は、機械的衝撃特性、即ちダートドロップ抵抗特性を損なうことなく向上した加工性を有することを特徴とする。
【0041】
一般に、添加剤と本発明のポリエチレンとの混合は全ての公知の方法によって行うことができるが、好ましくは二軸押出機のような押出機を用いて直接行うことができる。本発明の接着性組成物からフィルム押出によって製造されるフィルムは、本発明の更なる対象である。押出機技術は、例えばUS−3,862,265、US−3,953,655、及びUS−4,001,172(参照として本明細書中に包含する)に記載されている。フィルム押出プロセスは、好ましくは、本発明によれば100〜500barの圧力及び好ましくは200〜300℃の温度において運転する。
【0042】
本発明のポリエチレンを用いて5μm〜2.5mmの厚さを有するフィルムを製造することができる。フィルムは、例えばブローンフィルム押出によって5μm〜250μmの厚さで、或いはキャストフィルム押出によって10μm〜2.5mmの厚さで製造することができる。ブローンフィルムが特に好ましい態様である。ブローンフィルム押出中においては、環状ダイを通してポリエチレン溶融体を押出す。形成されるバブルを空気で膨張させて、ダイの出口速度よりも速い速度で牽引する。バブルを空気流によって強く冷却して、フロストラインにおける温度が微結晶の融点より低くなるようにする。ここでバブルの寸法が固定される。次に、バブルを破壊し、必要ならば切断し、好適な巻取装置を用いて巻き取る。本発明のポリエチレンは、「通常」法又は「長ストーク」法のいずれかによって押出すことができる。平坦なフィルムは、例えば冷却ロールライン又は熱成形フィルムライン内で得ることができる。更に、被覆及び積層ライン上で、本発明のポリエチレンから複合体フィルムを製造することができる。紙、アルミニウム、又は布帛基材が複合体構造中に導入されている複合体フィルムが特に好ましい。フィルムは、共押出によって得られる単層又は多層構造であってよく、好ましくは単層構造である。
【0043】
本発明のポリエチレンが重要な成分として存在するフィルムは、非ポリマー添加剤とは別に、50〜100重量%、好ましくは70〜90重量%の本発明のポリエチレンを含み、好ましくはフルオロエラストマーを実質的に含まないものである。特に、層の1つが50〜100重量%の本発明のポリエチレンを含むフィルムも包含される。
【0044】
本発明のポリエチレン又はPE組成物は、下記に記載する触媒系、特にその好ましい態様を用いて得ることができる。好ましくは、重合反応は、2種類の触媒を含み、好ましくは少なくとも2種類の遷移金属コンプレックス触媒を含み、より好ましくは丁度2種類の遷移金属コンプレックス触媒を含む触媒組成物を用いて、好ましくは実質的に単一の反応器システム内で行う。このワンポット反応法によって、用いる触媒系から得られる生成物の他に例を見ない均一性が与えられる。本明細書においては、区域間において、少なくとも時々及び両方の方向に生成物の循環又は実質的な自由流動を与える二区域又は多区域反応器は、本発明による単一の反応器又は単一の反応器システムと考えられる。
【0045】
ポリエチレンを生成するための重合方法に関し、更に、第1の触媒がシングルサイト触媒又は触媒系であり、好ましくはシングルサイト特性を有するハーフサンドイッチ又はモノサンドイッチメタロセン触媒などのメタロセン触媒(A)であり、第1の触媒によって%LTピーク重量フラクションを構成する第1の生成物フラクションを与え、更に好ましくは第2の触媒(B)が非メタロセン触媒又は触媒系であり、より好ましくは第2の触媒が好ましくは%HTピーク重量フラクションを構成する第2の生成物フラクションを与える非シングルサイト金属コンプレックス触媒であることが好ましい。より好ましくは、本発明の一態様においては、(B)は好ましくは、鉄コンプレックスが好ましくは三座リガンドを有する少なくとも1種類の鉄コンプレックス成分(B1)である。
【0046】
他の好ましい態様においては、非メタロセン重合触媒(B)は、そのシクロペンタジエニル系が非荷電ドナーによって置換されており、一般式:C−Z−A−M(ここで、C−Z−A部分は式:
【0047】
【化1】
【0048】
(式中、変数は以下の意味を有する:
1A〜E5Aは、それぞれ炭素であるか、或いはE1A〜E5Aの1以下はリンであり、好ましくはE1A〜E5Aは炭素であり;
1A〜R4Aは、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、NR5A、N(SiR5A、OR5A、OSiR5A、SiR5A、BR5Aであり、ここで有機基R1A〜R4Aはまたハロゲンによって置換されていてもよく、及び2つの隣接する基R1A〜R4Aはまた結合して少なくとも1つの5、6、又は7員の炭素環式環を形成していてもよく、及び/又は2つの隣接する基R1A〜R4Aは結合して、N、P、O、及びSからなる群からの少なくとも1つの原子を含む少なくとも1つの5、6、又は7員の複素環を形成していてもよく、但し、かかる結合基によって形成される1つより多い環又は複素環が存在する場合には、かかる環又は複素環は縮合多環式環系を形成し、好ましくは、これらはオルト縮合縮合多環式環系を形成し、より好ましくは基R1A〜R4Aによって形成される多環式環系は、環又は複素環が、ハロゲノ、NR5A、N(SiR5A、OR5A、OSiR5A、SiR5A、BR5A、C〜C22アルキル又はC〜C22アルケニルによって更に置換されていてもよい1つ又は2つ以下の5、6、又は7員の炭素環式環又は複素環を含み;
基R5Aは、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C20アルキル、C〜C20
アルケニル、C〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子及びアリール
部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールであり、2つのジェミナル基R5Aはまた結合して5又は6員環を形成していてもよく;
Zは、AとCとの間の二価橋架基であり、
【0049】
【化2】
【0050】
−BR6A−、−BNR6A7A−、−AlR6A−、−Sn(II)−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−NR6A−、−CO−、−PR6A−、又は−P(O)R6A−であり;
(ここで、
1A〜L3Aは、それぞれ、互いに独立して、珪素Si又はゲルマニウムGeであり;
6A〜R11Aは、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子及びアリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR12Aであり、ここで有機基R6A〜R11Aはまたハロゲンによって置換されていてもよく、及び2つのジェミナル又は隣接基R6A〜R11Aはまた結合して5又は6員環を形成していてもよく;
基R12Aは、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アリール、又はアルキル部分に1〜10個の炭素原子及びアリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、C〜C10アルコキシ、又はC〜C10アリールオキシであり、2つの基R12Aはまた結合して5又は6員環を形成してもよい)
からなる群から選択され;
Aは、元素周期律表の第15及び/又は16族の1種類以上の金属を含む非荷電ドナー基であり、好ましくはAは、環炭素に加えて酸素、イオウ、窒素、及びリンからなる群からのヘテロ原子を含む非置換、置換、又は縮合ヘテロ芳香族環系である)
のものであり;
は、周期律表の第IV〜VI族からの金属であり、好ましくは3の酸化状態のチタン、バナジウム、クロム、モリブデン、及びタングステンからなる群から選択され;そして
kは0又は1である)
を有する、元素周期律表の第4〜6族の金属、好ましくはTi、V、Cr、Mo、及びWからなる群から選択される金属のモノシクロペンタジエニルコンプレックス触媒(B2)
である。
【0051】
本発明の幾つかの好ましい態様によれば、基R1A〜R4Aと一緒に炭素又は複素環式の多環式環系を形成するC部分の好適な例は、例えば、1−インデニル、9−フルオレニル、1−s−(モノヒドロ)−インダセニルである。1−インデニル、及び1−インデニル部分を含むオルト縮合のトリ−又はより高級の炭素環式環系が非常に好ましい。1−インデニル及び1−s−(1H)−インダセニルが特に好ましい。エチレンと、オレフィンコモノマー、特にC〜C20コモノマー、最も好ましくはC〜C10コモノマーとを共重合する際に好適な、非シングルサイトの多分散生成物特性を有するモノシクロペンタジエニル触媒が、EP−1572755−Aに記載されている。非シングルサイト特性は、選択される芳香族リガンドの特定の組合せ及び結合性に大きく依存するので、上記で記載したような任意のかかるコンプレックス(B2)に関する機能的記述である。
【0052】
更により好ましくは、上記に定義したモノシクロペンタジエニル触媒コンプレックス(A1)と組み合わせて、Aは式(IV):
【0053】
【化3】
【0054】
(式中、
6A〜E9Aは、それぞれ、互いに独立して炭素又は窒素であり;
16A〜R19Aは、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子及びアリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR20Aであり、ここで有機基R16A〜R19Aはまたハロゲン又は窒素及び更にC〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子及びアリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR20Aによって置換されていてもよく、及び2つの隣接する基R16A〜R19A又はR16A及びZはまた結合して5又は6員環を形成していてもよく;
基R20Aは、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アリール、又はアルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールであり、2つの基R20Aはまた結合して5又は6員環を形成していてもよく;
pは、E6A〜E9Aが窒素である場合には0であり、E6A〜E9Aが炭素である場合には1である)
の基である。
【0055】
好ましくは、Aは上記の式IVにおいて定義した通りであり、ここで0又は1つのE6A〜E9Aは窒素である。触媒(A1)C−Z−A−Mの一般的組成に関し、特に上記で記載した任意の好ましい態様と組み合わせて、Mは、2、3、及び4の酸化状態のクロムであり、より好ましくは、Mは3の酸化状態のクロムであることが更に非常に好ましい。
【0056】
好ましくは、第1及び/又はメタロセン触媒(A)は、少なくとも1種類のジルコノセン触媒又は触媒系である。本発明によるジルコノセン触媒は、例えばシクロペンタジエニルコンプレックスである。例えば、シクロペンタジエニルコンプレックスは、例えばEP−129368、EP−561479、EP−545304、及びEP−576970に記載されているような橋架又は非橋架ビスシクロペンタジエニルコンプレックス、例えばEP−416815に記載されている橋架アミドシクロペンタジエニルコンプレックスのような橋架又は非橋架モノシクロペンタジエニル「ハーフサンドイッチ」コンプレックス、或いはUS−6,069,213、US−5,026,798に記載されているハーフサンドイッチコンプレックスであってよく、更に、EP−632063に記載されているような多核シクロペンタジエニルコンプレックス、EP−659758に記載されているようなπリガンド置換テトラヒドロペンタレン、又はEP−661300に記載されているようなπリガンド置換テトラヒドロインデンであってもよい。
【0057】
ここでの記載と合致するメタロセン触媒成分の非限定的な例としては、例えば、シクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、インデニルジルコニウムジクロリド、(1−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(2−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(2−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、メチルシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、テトラヒドロインデニルジルコニウムジクロリド、ペンタメチルシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、シクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタンジクロリド、テトラメチルシクロペンタジエニルチタンジクロリド、(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)(1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルシクロペンタジエニルインデニルジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(2−メチルインデニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリル(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドが挙げられる。
【0058】
特に好適なジルコノセン(A)は、一般式:
【0059】
【化4】
【0060】
(式中、置換基及び指数は以下の意味を有する:
は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C15アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子及びアリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、−OR6B、又は−NR6B7Bであり、或いは2つの基Xは置換又は非置換ジエンリガンド、特に1,3−ジエンリガンドを形成し、基Xは同一か又は異なり、互いに結合していてもよく;
1B〜E5Bは、それぞれ炭素であるか、又はE1B〜E5Bの1つ以下はリン又は窒素であり、好ましくは炭素であり;
tは、1、2、又は3であり、Hfの価数によって定まり、一般式(VI)のメタロセンコンプレックスが非荷電であるような値であり;
ここで、
6B及びR7Bは、それぞれ、C〜C10アルキル、C〜C15アリール、それぞれアルキル部分に1〜10個の炭素原子及びアリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、アリールアルキル、フルオロアルキル、又はフルオロアリールであり;
1B〜R5Bは、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、置換基としてC〜C10アルキル基を有していてよい5〜7員のシクロアルキル又はシクロアルケニル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル部分に1〜16個の炭素原子及びアリール部分に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR8B、N(SiR8B、OR8B、OSiR8B、SiR8Bであり、ここで、有機基R1B〜R5Bはまたハロゲンによって置換されていてもよく、及び/又は2つの基R1B〜R5B、特に隣接する基はまた結合して5、6、又は7員環を形成していてもよく、及び/又は2つの隣接する基R1D〜R5Dは結合して、N、P、O、及びSからなる群からの少なくとも1つの原子を含む5、6、又は7員の複素環を形成していてもよく;
ここで、
基R8Bは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、C〜C10アルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C15アリール、C〜Cアルコキシ、又はC〜C10アリールオキシであってよく;
1Bは、X、又は
【0061】
【化5】
【0062】
(式中、
基R9B〜R13Bは、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、置換基としてC〜C10アルキル基を有していてよい5〜7員のシクロアルキル又はシクロアルケニル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル部分に1〜16個の炭素原子及びアリール部分に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR14B、N(SiR14B、OR14B、OSiR14B、SiR14Bであり、ここで、有機基R9B〜R13Bはまたハロゲンによって置換されていてもよく、及び/又は2つの基R9B〜R13B、特に隣接する基はまた結合して5、6、又は7員環を形成していてもよく、及び/又は2つの隣接する基R9B〜R13Bは結合して、N、P、O、及びSからなる群からの少なくとも1つの原子を含む5、6、又は7員の複素環を形成していてもよく;
基R14Bは、同一か又は異なり、それぞれ、C〜C10アルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C15アリール、C〜Cアルコキシ、又はC〜C10アリールオキシであり;
6B〜E10Bは、それぞれ炭素であるか、又はE6B〜E10Bの1つ以下はリン又は窒素であり、好ましくは炭素である)
であり;
或いは、ここで基R4B及びZ1Bは、一緒に−R15B−A1B−基を形成し、
ここで、R15Bは、
【0063】
【化6】
【0064】
であるか、又は=BR16B、=BNR16B17B、=AlR16B、−Ge(II)−、−Sn(II)−、−O−、−S−、=SO、=SO、=NR16B、=CO、=PR16B、又は=P(O)R16Bであり;
ここで、
16B〜R21Bは、同一か又は異なり、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、トリメチルシリル基、C〜C10アルキル基、C〜C10フルオロアルキル基、C〜C10フルオロアリール基、C〜C10アリール基、C〜C10アルコキシ基、C〜C15アルキルアリールオキシ基、C〜C10アルケニル基、C〜C40アリールアルキル基、C〜C40アリールアルケニル基、又はC〜C40アルキルアリール基であり、或いは2つの隣接する基は、それらを結合する原子と一緒に4〜15個の炭素原子を有する飽和又は不飽和環を形成し;
2B〜M4Bは、独立して、それぞれ、Si、Ge、又はSn、好ましくはSiであり;
1Bは、−O−、−S−、>NR22B、>PR22B、=O、=S、=NR22B、−O−R22B、−NR22B、−PR22B、又は、非置換、置換、若しくは縮合複素環式環系であり;ここで、
基R22Bは、それぞれ、互いに独立して、C〜C10アルキル、C〜C15アリール、C〜C10シクロアルキル、C〜C18アルキルアリール、又はSi(R23Bであり;
23Bは、水素、C〜C10アルキル、置換基としてC〜Cアルキル基を有していてもよいC〜C15アリール、又はC〜C10シクロアルキルであり;
vは、1であるか、或いはA1Bが、非置換、置換、又は縮合複素環式環系である場合には0であってもよく;
或いは、ここで基R4B及びR12Bは一緒に−R15B−基を形成する)
のジルコニウムコンプレックスである。
【0065】
1Bは、例えば橋架基R15Bと一緒に、アミン、エーテル、チオエーテル、又はホスフィンを形成していてもよい。しかしながら、A1Bはまた、環炭素に加えて酸素、イオウ、窒素、及びリンからなる群からのヘテロ原子を含んでいてよい非置換、置換、又は縮合の複素環式芳香環系であってもよい。炭素原子に加えて環員として1〜4個の窒素原子及び/又は1個のイオウ若しくは酸素原子を含んでいてもよい5員のヘテロアリール基の例は、2−フリル、2−チエニル、2−ピロリル、3−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、3−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、1−ピラゾリル、2−オキサゾリルである。1〜4個の窒素原子及び/又は1個のリン原子を含んでいてもよい6員のヘテロアリール基の例は、2−ピリジニル、2−ホスファベンゼニル、3−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、2−ピラジニル、1,3,5−トリアジン−2−イルである。5員及び6員のヘテロアリール基は、また、C〜C10アルキル、C〜C10アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子及びアリール部分に6〜10個の炭素原子を有するアルキルアリール、トリアルキルシリル、又はフッ素、塩素、若しくは臭素のようなハロゲンによって置換されていてもよく、或いは、1以上の芳香環又はヘテロ芳香環と縮合してもよい。ベンゾ縮合5員ヘテロアリール基の例は、2−インドリル、7−インドリル、2−クマロニルである。ベンゾ縮合6員ヘテロアリール基の例は、2−キノリル、8−キノリル、3−シンノリル、1−フタラジル、2−キナゾリル、及び1−フェナジルである。複素環の命名及び付番は、L. Fieser及びM. Fieser, Lehrbuch der organischen Chemie, 第3改訂版, Verlag Chemie, Weinheim 1957からとった。
【0066】
一般式(I)中の基Xは、好ましくは同一であり、好ましくは、フッ素、塩素、臭素、C〜Cアルキル又はアラルキル、特に塩素、メチル、又はベンジルである。
【0067】
一般式(I)のジルコノセンの中で、式(II):
【0068】
【化7】
【0069】
のものが好ましい。
【0070】
式(VII)の化合物の中で、
が、フッ素、塩素、臭素、C〜Cアルキル、又はベンジルであるか、或いは2つの基Xが、置換又は非置換ブタジエンリガンドを形成し;
tが、1又は2、好ましくは2であり;
1B〜R5Bが、それぞれ、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアリール、NR8B、OSiR8B、又はSi(R8Bであり;
9B〜R13Bが、それぞれ、水素、C〜Cアルキル若しくはC〜Cアリール、NR14B、OSiR14B、又はSi(R14Bであり;
或いは、それぞれの場合において、2つの基R1B〜R5B及び/又はR9B〜R13Bが、C環と一緒に、インデニル、フルオレニル、又は置換インデニル若しくはフルオレニル系を形成する;
ものが好ましい。
【0071】
シクロペンタジエニル基が同一である式(II)のジルコノセンが特に有用である。
【0072】
かかるコンプレックスの合成は、それ自体公知の方法によって行うことができ、適当に置換された環式炭化水素アニオンとジルコニウムのハロゲン化物との反応が好ましい。適当な製造法の例は、例えば、Journal of Organometallic Chemistry, 369 (1989), 359-370に記載されている。
【0073】
メタロセンは、ラセミ又は偽ラセミ形態で用いることができる。偽ラセミという用語は、コンプレックスの全ての他の置換基を無視した場合に、2つのシクロペンタジエニルリガンドが互いに対してラセミ配列であるコンプレックスを指す。
【0074】
好ましくは、第2の触媒又は触媒系(B)は、少なくとも2つのアリール基を有する三座リガンドを有し、より好ましくはかかる2つのアリール基のそれぞれがオルト位にハロゲン及び/又はアルキル置換基を有し、好ましくはそれぞれのアリール基がオルト位にハロゲン及びアルキル置換基の両方を有する鉄成分をベースとする少なくとも1種類の重合触媒である。
【0075】
好適な触媒(B)は、好ましくは一般式(IIIa):
【0076】
【化8】
【0077】
(式中、変数は以下の意味を有する:
F及びGは、互いに独立して、
【0078】
【化9】
【0079】
(式中、Lは窒素又はリンであり、好ましくは窒素である)
からなる群から選択され;
更に、好ましくはF及びGの少なくとも1つは、上記のかかる基から選択することができるエナミン又はイミノ基であり、但しFがイミノである場合にはGはイミノであり、G、Fは、それぞれ、それぞれがオルト位にハロゲン又はtert−アルキル置換基を有する少なくとも1つのアリール基を有し、一緒に式IIIaの三座リガンドを形成し、或いはGはエナミンであり、より好ましくは少なくともF又はG或いは両方は、上記のかかる群から選択することができるエナミン基であり、或いはF及びGの両方はイミノであり、G、Fは、それぞれ、少なくとも1つ、好ましくは丁度1つのアリール基を有しており、それぞれのかかるアリール基は、オルト位に少なくとも1つのハロゲン又は少なくとも1つのC〜C22アルキル置換基、好ましくは丁度1つのハロゲン又は1つのC〜C22アルキルを有しており;
1C〜R3Cは、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子及びアリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、ハロゲン、NR18C、OR18C、SiR19Cであり、ここで有機基R1C〜R3Cはまたハロゲンによって置換されていてもよく、及び/又は2つの隣接する基R1C〜R3Cはまた結合して5、6、又は7員環を形成していてもよく、及び/又は2つの隣接する基R1C〜R3Cは結合して、N、P、O、及びSからなる群からの少なくとも1つの原子を含む5、6、又は7員の複素環を形成し;
、Rは、互いに独立して、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、又はSiR19Cを表し、ここで有機基R、Rはまた、ハロゲンによって置換されていてもよく、及び/又はそれぞれの場合において2つの基R、Rはまた互いに結合して5又は6員環を形成していてもよく;
、Rは、互いに独立して、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、又はSiR19Cを表し、ここで有機基R、Rはまた、ハロゲンによって置換されていてもよく、及び/又はそれぞれの場合において2つの基R、Rはまた互いに結合して5又は6員環を形成していてもよく;
1Cは、窒素又はリンであり、好ましくは窒素であり;
2C〜E4Cは、それぞれ、互いに独立して、炭素、窒素、又はリンであり、但し好ましくは、E1Cがリンである場合には、E2C〜E4Cはそれぞれ炭素であり、より好ましくはこれらは炭素又は窒素であり、但し好ましくは、E2C〜E4Cの群から選択される0、1、又は2つの原子は窒素であってよく、最も好ましくはE2C〜E4Cはそれぞれ炭素であり;
uは、対応するE2C〜E4Cが窒素又はリンである場合には0であり、E2C〜E4Cが炭素である場合には1であり;
基R18C、R19C、Xは、下記の式IIIに関して与えられるものと同じように上記の式IIIaにおいて且つこれに関して定義され;
Dは、非荷電のドナーであり;
sは、1、2、3、又は4であり;
tは、0〜4である)
の鉄触媒コンプレックスである。
【0080】
分子中の3つの原子E2C〜E4Cは同一であっても異なっていてもよい。E1Cがリンである場合には、E2C〜E4Cは好ましくはそれぞれ炭素である。E1Cが窒素である場合には、E2C〜E4Cはそれぞれ好ましくは窒素又は炭素、特に炭素である。
【0081】
好ましい態様においては、コンプレックス(B)は式(IV):
【0082】
【化10】
【0083】
(式中、
2C〜E4Cは、それぞれ、互いに独立して、炭素、窒素、又はリンであり、好ましくは炭素又は窒素であり、より好ましくは、E2C〜E4Cの0、1、又は2つの原子は窒素であり、但し窒素でない残りの基E2C〜E4Cは炭素であり、最も好ましくは、これらはそれぞれ炭素であり;
1C〜R3Cは、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子及びアリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、ハロゲン、NR18C、OR18C、SiR19Cであり、ここで有機基R1C〜R3Cはまたハロゲンによって置換されていてもよく、及び/又は2つの隣接する基R1C〜R3Cはまた結合して5、6、又は7員環を形成していてもよく、及び/又は2つの隣接する基R1C〜R3Cは結合して、N、P、O、及びSからなる群からの少なくとも1つの原子を含む5、6、又は7員の複素環を形成し;
4C〜R5Cは、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子及びアリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、NR18C、SiR19Cであり、ここで有機基R4C〜R5Cはまたハロゲンによって置換されていてもよく;
uは、E2C〜E4Cが窒素又はリンである場合には0であり、E2C〜E4Cが炭素である場合には1であり;
8C〜R11Cは、それぞれ、互いに独立して、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子及びアリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、ハロゲン、NR18C、OR18C、SiR19Cであり、ここで有機基R8C〜R11Cはまたハロゲンによって置換されていてもよく、及び/又は2つの隣接する基R8C〜R17Cはまた結合して5、6、又は7員環を形成していてもよく、及び/又は2つの隣接する基R8C〜R17Cは結合して、N、P、O、及びSからなる群からの少なくとも1つの原子を含む5、6、又は7員の複素環を形成し、R8C〜R11Cは、塩素、臭素、フッ素からなる群から選択されるハロゲンであってよく、但し好ましくは少なくともR8C及びR10Cはハロゲン又はC〜C22アルキル基であり;
12C〜R17Cは、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子及びアリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、ハロゲン、NR18C、OR18C、SiR19Cであり、ここで有機基R12C〜R17Cはまたハロゲンによって置換されていてもよく、及び/又は2つの隣接する基R8C〜R17Cはまた結合して5、6、又は7員環を形成していてもよく、及び/又は2つの隣接する基R8C〜R17Cは結合して、N、P、O、又はSからなる群からの少なくとも1つの原子を含む5、6、又は7員の複素環を形成し;
指数vは、それぞれ、互いに独立して0又は1であり;
基Xは、それぞれ、互いに独立して、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子及びアリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、NR18C、OR18C、SR18C、SO18C、OC(O)R18C、CN、SCN、β−ジケトネート、CO、BF、PF、又は嵩高の非配位アニオンであり、基Xは互いに結合していてよく;
基R18Cは、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子及びアリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、SiR19Cであり、ここで有機基R18Cはまた、ハロゲン、並びに窒素−及び酸素−含有基によって置換されていてもよく、及び2つの基R18Cはまた結合して5又は6員環を形成していてもよく;
基R19Cは、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子及びアリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールであり、ここで有機基R19Cはまた、ハロゲン、或いは窒素−及び酸素−含有基によって置換されていてもよく、及び2つの基R19Cはまた結合して5又は6員環を形成していてもよく;
sは、1、2、3、又は4、特に2又は3であり;
Dは、非荷電のドナーであり;
tは、0〜4、特に0、1、又は2である)
のものである。
【0084】
置換基R1C〜R3C及びR8C〜R17Cは広範囲に変化してよい。可能な炭素有機置換基R1C〜R3C及びR8C〜R17Cは、線状であっても又は分岐であってもよいC〜C22アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、又はn−ドデシル;置換基としてC〜C10アルキル基及び/又はC〜C10アリール基を有していてもよい5〜7員のシクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、又はシクロドデシル;線状、環式、又は分岐であってよく、二重結合が内部であっても又は末端であってもよいC〜C22アルケニル、例えばビニル、1−アリル、2−アリル、3−アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル、又はシクロオクタジエニル;更なるアルキル基によって置換されていてもよいC〜C22アリール、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、又は2,6−ジメチルフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−、又は3,4,5−トリメチルフェニル;或いは、更なるアルキル基によって置換されていてもよいアリールアルキル、例えば、ベンジル、o−、m−、p−メチルベンジル、1−又は2−エチルフェニル;であり、ここで、2つの基R1C〜R3C及び/又は2つの隣接する基R8C〜R17Cはまた結合して5、6、又は7員環を形成していてもよく;及び/又は2つの隣接する基R1C〜R3C及び/又は2つの隣接する基R8C〜R17Cは、結合して、N、P、O、及びSからなる群からの少なくとも1つの原子を含む5、6、又は7員の複素環を形成していてもよく;及び/又は有機基R1C〜R3C及び/又はR8C〜R17Cはまた、フッ素、塩素、又は臭素のようなハロゲンによって置換されていてもよい。更に、R1C〜R3C及びR8C〜R17Cはまた、基−NR18C又は−N(SiR19C、−OR18C、又は−OSiR19Cであってもよい。例は、ジメチルアミノ、N−ピロリジニル、ピコリニル、メトキシ、エトキシ、又はイソプロポキシ、或いはハロゲン、例えばフッ素、塩素、又は臭素である。
【0085】
かかるシリル置換基における好適な基R19Cは、同様に、R1C〜R3Cに関して上記に与えた基の説明と同様である。例は、トリメチルシリル、トリ−tert−ブチルシリル、トリアリルシリル、トリフェニルシリル、又はジメチルフェニルシリルである。
【0086】
特に好ましいシリル置換基は、アルキル基中に1〜10個の炭素原子を有するトリアルキルシリル基、特にトリメチルシリル基である。
【0087】
可能な炭素有機置換基R18Cは、線状であっても又は分岐であってもよいC〜C20アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、又はn−ドデシル;置換基としてC〜C10アリール基を有していてもよい5〜7員のシクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、又はシクロドデシル;線状、環式、又は分岐であってよく、二重結合が内部であっても又は末端であってもよいC〜C20アルケニル、例えばビニル、1−アリル、2−アリル、3−アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル、又はシクロオクタジエニル;更なるアルキル基及び/又はN−若しくはO−含有基によって置換されていてもよいC〜C20アリール、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、又は2,6−ジメチルフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−、又は3,4,5−トリメチルフェニル、2−メトキシフェニル、2−N,N−ジメチルアミノフェニル;又は更なるアルキル基によって置換されていてもよいアリールアルキル、例えば、ベンジル、o−、m−、p−メチルベンジル、1−又は2−エチルフェニル;であり、ここで、2つの基R18Cはまた結合して5又は6員環を形成していてもよく;及び有機基R18Cはまた、フッ素、塩素、又は臭素のようなハロゲンによって置換されていてもよい。C〜C10アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、並びにビニル、アリル、ベンジル、及びフェニルを基R18Cとして用いることが好ましい。
【0088】
好ましい基R1C〜R3Cは、水素、メチル、トリフルオロメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ビニル、アリル、ベンジル、フェニル、オルト−ジアルキル−又は−ジクロロ−置換フェニル、トリアルキル−又はトリクロロ−置換フェニル、ナフチル、ビフェニル、及びアントラニルである。
【0089】
好ましい基R12C〜R17Cは、水素、メチル、トリフルオロメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ビニル、アリル、ベンジル、フェニル、フッ素、塩素、及び臭素、特に水素である。特に、R13C及びR16Cはそれぞれ、メチル、トリフルオロメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ビニル、アリル、ベンジル、フェニル、フッ素、塩素、又は臭素であり、R12C、R14C、R15C、及びR17Cは、それぞれ水素である。
【0090】
置換基R4C〜R5Cは広範囲に変化してよい。可能な炭素有機置換基R4C〜R5Cは、例えば以下のものである:水素;線状であっても又は分岐であってもよいC〜C22アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、又はn−ドデシル;置換基としてC〜C10アルキル基及び/又はC〜C10アリール基を有していてもよい5〜7員のシクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、又はシクロドデシル;線状、環式、又は分岐であってよく、二重結合が内部であっても又は末端であってもよいC〜C22アルケニル、例えばビニル、1−アリル、2−アリル、3−アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル、又はシクロオクタジエニル;更なるアルキル基によって置換されていてもよいC〜C22アリール、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、又は2,6−ジメチルフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−、又は3,4,5−トリメチルフェニル;或いは、更なるアルキル基によって置換されていてもよいアリールアルキル、例えば、ベンジル、o−、m−、p−メチルベンジル、1−又は2−エチルフェニル;ここで、有機基R4C〜R5Cはまた、フッ素、塩素、又は臭素のようなハロゲンによって置換されていてもよい。更に、R4C〜R5Cは、置換アミノ基NR18C、又はN(SiR19C、例えばジメチルアミノ、N−ピロリジニル、又はピコリニルであってもよい。好ましい基R4C〜R5Cは、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、又はベンジル、特にメチルである。
【0091】
好ましい基R9C及びR11Cは、水素、メチル、トリフルオロメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ビニル、アリル、ベンジル、フェニル、フッ素、塩素、及び臭素である。
【0092】
特に、R8C及びR10Cは、好ましくはハロゲン、例えばフッ素、塩素、又は臭素、特に塩素であり、R9C及びR11Cは、それぞれ、ハロゲンによって置換されていてもよいC〜C22アルキル、特にハロゲンによって置換されていてもよいC〜C22−n−アルキル、例えばメチル、トリフルオロメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ビニル、或いはハロゲン、例えばフッ素、塩素、又は臭素である。他の好ましい組合せにおいては、R8C及びR10CはC〜C22アルキル基であり、R9C及びR11Cはそれぞれ、水素、又はハロゲン、例えばフッ素、塩素、又は臭素である。
【0093】
特に、R12C、R14C、R15C、及びR17Cは同一であり、R13C及びR16Cは同一であり、R9C及びR11Cは同一であり、R8C及びR10Cは同一である。これは、上記に記載の好ましい態様においても好ましい。
【0094】
リガンドXは、例えば、鉄コンプレックスの合成のために用いる適当な出発金属化合物の選択に由来するが、その後に変化させることもできる。可能なリガンドXは、特に、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素のようなハロゲン、特に塩素である。また、メチル、エチル、プロピル、ブチルのようなアルキル基、ビニル、アリル、フェニル、又はベンジルも用いることができるリガンドXである。アミド、アルコキシド、スルホネート、カルボキシレート、及びジケトネートも特に有用なリガンドXである。更なるリガンドXとしては、純粋に例として且つ全く排他的でなく、トリフルオロアセテート、BF、PF、及び、弱配位又は非配位アニオン(例えば、S. Strauss, Chem. Rev., 1993, 93, 927-942を参照)、例えばB(Cを言及することができる。したがって、特に好ましい態様は、Xが、ジメチルアミド、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、フェノキシド、ナフトキシド、トリフレート、p−トルエンスルホネート、アセテート、又はアセチルアセトネートであるものである。
【0095】
リガンドXの数sは、鉄の酸化状態によって定まる。したがって、数値sは包括的な用語では与えることができない。触媒活性コンプレックス中の鉄の酸化状態は、当業者に通常的に知られている。しかしながら、その酸化状態が活性触媒のものに対応しないコンプレックスを用いることもできる。かかるコンプレックスは、次に好適な活性化剤を用いて適当に還元又は酸化することができる。+3又は+2の酸化状態の鉄コンプレックスを用いることが好ましい。
【0096】
Dは、非荷電のドナー、特に非荷電のルイス塩基又はルイス酸、例えばアミン、アルコール、エーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、スルフィド、又はホスフィンであり、これは鉄中心に結合していてよく、或いは鉄コンプレックスの製造からの残留溶媒として未だ存在していてもよい。リガンドDの数tは0〜4であってよく、しばしば、その中で鉄コンプレックスを製造する溶媒、及び、得られたコンプレックスを乾燥する時間によって定まり、したがって、0.5又は1.5のような非整数であってもよい。特に、tは、0、1〜2である。
【0097】
化合物(B)の製造は、例えば、J. Am. Chem. Soc., 120, p.4049以下 (1998)、J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1998, 849、及びWO−98/27124において記載されている。好ましいコンプレックス(B)は、2,6−ビス[1−(2−tert−ブチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)ジクロリド、2,6−ビス[1−(2−tert−ブチル−6−クロロフェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)ジクロリド、2,6−ビス[1−(2−クロロ−6−メチルフェニルイミノ)エチル」ピリジン鉄(II)ジクロリド、2,6−ビス[1−(2,4−ジクロロフェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)ジクロリド、2,6−ビス[1−(2,6−ジクロロフェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)ジクロリド、2,6−ビス[1−(2,4−ジクロロフェニルイミノ)メチル]ピリジン鉄(II)ジクロリド、2,6−ビス[1−(2,4−ジクロロ−6−メチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)ジクロリド、2,6−ビス[1−(2,4−ジフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)ジクロリド、2,6−ビス[1−(2,4−ジブロモフェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)ジクロリド、又はそれぞれのトリクロリド、ジブロミド、又はトリブロミドである。
【0098】
遷移金属コンプレックス(A)、即ち狭いMWD分布を生成するシングルサイト触媒と、広いMWD分布を生成する重合触媒(B)とのモル比は、通常、100〜1:1、好ましくは20〜5:1、特に好ましくは1:1〜5:1の範囲である。
【0099】
遷移金属コンプレックス(A)及び/又は鉄コンプレックス(B)は、時には低い重合活性しか有さず、良好な重合活性を示すことができるように次に1種類以上の活性化剤(C)と接触させる。したがって、触媒系は、場合によっては成分(C)として1種類以上の活性化化合物、好ましくは1種類又は2種類の活性化化合物(C)を更に含む。
【0100】
1種類又は複数の活性化剤(C)は、好ましくは、それぞれの場合においてそれらが活性化するコンプレックス(A)又は(B)を基準として過剰又は化学量論量で用いる。用いる1種類又は複数の活性化化合物の量は、活性化剤(C)のタイプによって定まる。一般に、遷移金属コンプレックス(A)又は鉄若しくは他のコンプレックス(B)と活性化化合物(C)とのモル比は、1:0.1〜1:10000、好ましくは1:1〜1:2000であってよい。
【0101】
本発明の好ましい態様においては、触媒系は少なくとも1種類の活性化化合物(C)を含む。これらは、好ましくは、それらが活性化する触媒を基準として過剰又は化学量論量で用いる。一般に、触媒と活性化化合物(C)とのモル比は、1:0.1〜1:10000であってよい。かかる活性化化合物は、一般に、非荷電の強ルイス酸、ルイス酸カチオンを有するイオン性化合物、或いはカチオンとしてブレンステッド酸を含むイオン性化合物である。本発明の重合触媒の好適な活性化剤、特に非荷電の強ルイス酸及びルイス酸カチオンの定義、及びかかる活性化剤の好ましい態様、それらの製造方法、並びにそれらの使用の詳細及び化学量論に関する更なる詳細は、同じ出願人のWO−05/103096において既に詳細に示されている。例は、アルミノキサン、ヒドロキシアルミノキサン、ボラン、ボロキシン、ボロン酸、及びボリン酸である。活性化化合物として用いるための非荷電の強ルイス酸の更なる例は、WO−03/31090及びWO−05/103096(参照として本明細書中に包含する)に与えられている。
【0102】
好適な活性化化合物(C)は、例として及び非常に好ましい態様としての両方で、アルミノキサン、非荷電の強ルイス酸、ルイス酸カチオンを有するイオン性化合物、又は含有イオン性化合物のような化合物である。アルミノキサンとして、例えばWO−00/31090(参照として本明細書中に包含する)に記載の化合物を用いることができる。特に有用なアルミノキサンは、一般式(III)又は(IV)
【0103】
【化11】
【0104】
(式中、R1B〜R4Bは、それぞれ、互いに独立して、C〜Cアルキル基、好ましくはメチル、エチル、ブチル、又はイソブチル基であり、lは、1〜40、好ましくは4〜25の整数である)
の開鎖又は環式アルミノキサン化合物である。
【0105】
特に有用なアルミノキサン化合物はメチルアルミノキサン(MAO)である。
【0106】
更に、炭化水素基の幾つかが水素原子、又はアルコキシ、アリールオキシ、シロキシ、若しくはアミド基によって置換されている変性アルミノキサンを、活性化化合物(C)として式(III)又は(IV)のアルミノキサン化合物に代えて用いることもできる。
【0107】
ボラン類及びボロキシン類、例えばトリアルキルボラン、トリアリールボラン、又はトリメチルボロキシンが、活性化化合物(C)として特に有用である。少なくとも2つのペルフッ素化アリール基を有するボラン類を用いることが特に好ましい。より好ましくは、トリフェニルボラン、トリス(4−フルオロフェニル)ボラン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(トリル)ボラン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボラン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボラン、又はトリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボランからなるリストから選択される化合物を用い、最も好ましくは、活性化化合物はトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。また、ペルフッ素化アリール基を有するボリン酸類、例えば(CBOHも特に言及される。活性化化合物(C)として用いることができる好適なBorベースのルイス酸化合物のより包括的な定義は、上記のWO−05/103096(参照として本明細書中に包含する)に与えられている。
【0108】
WO−9736937(参照として本明細書中に包含する)に記載されているようなアニオン性ホウ素複素環を含む化合物、例えばジメチルアニリノボラトベンゼン又はトリチルボラトベンゼンもまた、活性化化合物(C)として好適に用いることができる。好ましいイオン性活性化化合物(C)は、少なくとも2つのペルフッ素化アリール基を有するボレート類を含んでいてよい。N,N−ジメチルアニリノテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、及び特にN,N−ジメチルシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルベンジルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、又はトリチルテトラキスペンタフルオロフェニルボレートが特に好ましい。また、ジアニオン[(CB−C−B(C2−におけるように2以上のボレートアニオンが互いに結合していてもよく、或いはボレートアニオンが橋架基を介して担体表面上の好適な官能基に結合していてもよい。更に好適な活性化化合物(C)はWO−00/31090(参照として本明細書中に包含する)に列記されている。
【0109】
更に特別に好ましい活性化化合物(C)としては、好ましくは、ジ[ビス(ペンタフルオロフェニルボロキシ)]メチルアランのようなホウ素−アルミニウム化合物が挙げられる。かかるホウ素−アルミニウム化合物の例は、WO−99/06414(参照として本明細書中に包含する)に開示されているものである。また、上記記載の全ての活性化化合物(C)の混合物を用いることもできる。好ましい混合物は、アルミノキサン類、特にメチルアルミノキサン、及びイオン性化合物、特にテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンを含むもの、及び/又は非荷電の強ルイス酸、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン又はボロキシンを含む。
【0110】
触媒系には、更なる成分(K)として、WO−05/103096(参照として本明細書中に包含する)において一般式、その使用方法及び化学量論、並びに特定の例を用いて規定されている金属化合物を更に含ませることができる。金属化合物(K)は、同様に触媒(A)及び(B)と、及び場合によっては活性化化合物(C)及び担体(D)と、任意の順番で反応させることができる。
【0111】
更に、同時に担体(D)として用いることができる活性化化合物(C)を用いることもできる。かかる系は、例えば、無機酸化物をジルコニウムアルコキシドで処理し、次に例えば四塩化炭素を用いて塩素化することによって得られる。かかる系の製造は、例えばWO−01/41920に記載されている。
【0112】
(C)の好ましい態様と、メタロセン(A)及び/又は遷移金属コンプレックス(B)の好ましい態様との組合せが特に好ましい。触媒成分(A)及び(B)のための共通の活性化剤(C)としては、アルミノキサンを用いることが好ましい。また、一般式(XIII)のカチオンの塩様化合物、特にN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルベンジルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、又はトリチルテトラキスペンタフルオロフェニルボレートを、ジルコノセン(A)のための活性化剤(C)として、特に鉄コンプレックス(B)のための活性化剤(C)としてのアルミノキサンと組み合わせて組み合わせることも好ましい。
【0113】
メタロセン(A)及び鉄又は他の遷移金属コンプレックス(B)を気相中又は懸濁液中の重合プロセスにおいて用いることができるようにするためには、コンプレックスを固体の形態で用いる、即ちそれらを固体担体(D)に適用することがしばしば有利である。更に、担持コンプレックスは高い生産性を有する。したがって、メタロセン(A)及び/又は鉄コンプレックス(B)は、場合によっては、有機又は無機担体(D)上に固定化して、重合において担持形態で用いることもできる。これにより、例えば、反応器内の堆積物を回避し、ポリマーのモルホロジーを制御することができる。担体材料としては、シリカゲル、塩化マグネシウム、酸化アルミニウム、メソ多孔質材料、アルミノシリケート、ハイドロタルサイト、並びに、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、或いは極性官能基を有するポリマー、例えばエテンとアクリル酸エステル、アクロレイン、又は酢酸ビニルとのコポリマーのような有機ポリマーを用いることが好ましい。
【0114】
少なくとも1種類の遷移金属コンプレックス(A)、少なくとも1種類の鉄コンプレックス(B)、少なくとも1種類の活性化化合物(C)、及び有機又は無機の好ましくは多孔質の固体であってよい少なくとも1種類の担体成分(D)を含む触媒系が特に好ましい。(A)及び(B)は、更により好ましくは、異なる触媒中心の比較的接近した空間的近接状態を確保して、それによって形成される異なるポリマーの良好な混合を確保するために、共同又は共通の担体に適用する。
【0115】
メタロセン(A)、鉄又は他の遷移金属コンプレックス(B)、及び活性化化合物(C)は、互いに独立して、例えば逐次的か又は同時に固定化することができる。而して、担体成分(D)をまず1種類又は複数の活性化化合物(C)と接触させることができ、或いは、担体成分(D)をまず遷移金属コンプレックス(A)及び/又はコンプレックス(B)と接触させることができる。担体(D)と混合する前に、1種類以上の活性化化合物(C)を用いて遷移金属コンプレックス(A)を予備活性化することもできる。鉄成分は、例えば遷移金属コンプレックスと同時に活性化化合物(C)と反応させることができ、或いは後者を用いて別に予備活性化することができる。予備活性化したコンプレックス(B)を、予備活性化したメタロセンコンプレックス(A)の前又は後に担体に適用することができる。1つの可能な態様においては、コンプレックス(A)及び/又はコンプレックス(B)を担体材料の存在下で製造することもできる。更なる固定化方法は、担体に予め適用するか又は適用しないで触媒系を予備重合することである。
【0116】
固定化は、一般に不活性溶媒中で行い、これは固定化の後に濾過又は蒸発によって除去することができる。個々のプロセス工程の後、固体を、脂肪族又は芳香族炭化水素のような好適な不活性溶媒で洗浄し、乾燥することができる。しかしながら、未だ湿潤状態の担持触媒を用いることも可能である。
【0117】
担持触媒系を製造する好ましい方法においては、少なくとも1種類のコンプレックス(B)を活性化化合物(C)と接触させ、次に脱水又は不動態化した担体材料(D)と混合する。メタロセンコンプレックス(A)を同様に、好適な溶媒中で少なくとも1種類の活性化化合物(C)と接触させて、好ましくは可溶性の反応生成物、付加体、又は混合物を与える。このようにして得られる調製物を、次に固定化した例えば鉄コンプレックス(B)(これは直接か又は溶媒を分離除去した後に用いる)と混合し、溶媒を完全か又は部分的に除去する。得られる担持触媒系は、好ましくは乾燥して溶媒の全部又は殆どが担体材料の孔から除去されることを確保する。担持触媒は好ましくは自由流動粉末として得られる。上記のプロセスの工業的な実施の例は、WO−96/00243、WO−98/40419、又はWO−00/05277に記載されている。更なる好ましい態様は、まず担体成分(D)上の活性化化合物(C)を製造し、次に担持化合物を遷移金属コンプレックス(A)及び鉄又は他の遷移金属のコンプレックス(B)と接触させることを含む。
【0118】
用いる担体材料は、好ましくは、10〜1000m/gの範囲の比表面積、0.1〜5mL/gの範囲の孔容積、及び1〜500μmの平均粒径を有する。50〜700m/gの範囲の比表面積、0.4〜3.5mL/gの範囲の孔容積、及び5〜350μmの範囲の平均粒径を有する担体が好ましい。200〜550m/gの範囲の比表面積、0.5〜3.0mL/gの範囲の孔容積、及び10〜150μmの平均粒径を有する担体が特に好ましい。
【0119】
メタロセンコンプレックス(A)は、好ましくは、最終触媒系中の遷移金属コンプレックス(A)からの遷移金属の濃度が、担体(D)1gあたり1〜200マイクロモル、好ましくは5〜100マイクロモル、特に好ましくは10〜70マイクロモルとなるような量で適用する。例えば鉄のコンプレックス(B)は、好ましくは、最終触媒系中の鉄コンプレックス(B)からの鉄の濃度が、担体(D)1gあたり1〜200マイクロモル、好ましくは5〜100マイクロモル、特に好ましくは10〜70マイクロモルとなるような量で適用する。
【0120】
無機担体は、例えば吸着水を除去するために熱処理にかけることができる。かかる乾燥処理は、一般に、50〜1000℃、好ましくは100〜600℃の範囲の温度において行い、100〜200℃における乾燥は、好ましくは減圧下及び/又は不活性ガス(例えば窒素)の雰囲気下で行い、或いは、無機担体は、固体の所望の構造を形成するか及び/又は表面上の所望のOH濃度を生成するように200〜1000℃の温度においてカ焼することができる。また、担体は、金属アルキル、好ましくはアルミニウムアルキル、クロロシラン、又はSiClのような通常の乾燥剤、或いはメチルアルミノキサンを用いて化学的に処理することもできる。例えばWO−00/31090に適当な処理法が記載されている。
【0121】
また、無機担体材料は化学的に変性することもできる。例えば、シリカゲルをNHSiF又は他のフッ素化剤で処理することによりシリカゲル表面がフッ素化され、或いは、シリカゲルを、窒素、フッ素、又はイオウ含有基を有するシランで処理することによって、相応して変性されたシリカゲル表面が形成される。
【0122】
また、微粉砕ポリオレフィン粉末(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリスチレン)のような有機担体材料を用いることもでき、好ましくは、同様に、使用前に適当な精製及び乾燥操作によって、吸着湿分、溶媒残留物、又は他の不純物を除去する。また、官能化ポリマー担体、例えば、その官能基、例えばアンモニウム又はヒドロキシ基を介して少なくとも一つの触媒成分を固定化することができるポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリブチレンをベースとするものを用いることもできる。ポリマーブレンドを用いることもできる。
【0123】
担体成分(D)として好適な無機酸化物は、元素周期律表の第2、3、4、5、13、14、15、及び16族の元素の酸化物の中から見出すことができる。担体として好ましい酸化物の例としては、シリコーン、二酸化物、酸化アルミニウム、及び、カルシウム、アルミニウム、ケイ素、マグネシウム、又はチタン元素の混合酸化物、並びに対応する酸化物混合物が挙げられる。単独か又は上記記載の好ましい酸化物担体と組み合わせて用いることができる他の無機酸化物は、例えば、MgO、CaO、AlPO、ZrO、TiO、B、又はこれらの混合物である。
【0124】
更なる好ましい無機担体材料は、MgClのような無機ハロゲン化物、或いはNaCO、KCO、CaCO、MgCOのような炭酸塩、NaSO、Al(SO、BaSOのような硫酸塩、KNO、Mg(NO、又はAl(NOのような硝酸塩である。
【0125】
オレフィン重合用の触媒のための固体担体材料(D)としては、その寸法及び構造によってそれらがオレフィン重合のための担体として好適である粒子をこの材料から製造することができるので、シリカゲルを用いることが好ましい。比較的小さい顆粒状粒子、即ち一次粒子の球状凝集物である噴霧乾燥シリカゲルが特に有用であることが分かった。シリカゲルは、使用前に乾燥及び/又はカ焼することができる。更なる好ましい担体(D)は、ハイドロタルサイト及びカ焼ハイドロタルサイトである。鉱物学的には、ハイドロタルサイトは、理想式:
MgAl(OH)16CO・4H
を有し、その構造が水滑石Mg(OH)のものから誘導される天然鉱物である。水滑石は、最密のヒドロキシルイオンの二つの層の間の8面体孔中に金属イオンを有し、8面体孔の各第2層のみが占有されている層状構造で結晶化する。ハイドロタルサイトにおいては、層の群が正の電荷を獲得する結果として、一部のマグネシウムイオンがアルミニウムイオンによって置き換えられている。これは、結晶水と一緒に中間層中に配置されているアニオンと釣り合っている。
【0126】
かかる層状構造は、マグネシウム−アルミニウム水酸化物においてのみならず、一般式:
M(II)2x2+M(III)3+(OH)4x+4・A2/nn−・zH
(式中、M(II)は、Mg、Zn、Cu、Ni、Co、Mn、Ca、及び/又はFeのような二価の金属であり、M(III)は、Al、Fe、Co、Mn、La、Ce、及び/又はCrのような三価の金属であり、xは0.5刻みで0.5〜10の数であり、Aは格子間アニオンであり、nは格子間アニオン上の電荷であり、1〜8、通常は1〜4であってよく、zは1〜6、特に2〜4の整数である)
の層状構造を有する混合金属水酸化物においても一般的に見られる。可能な格子間アニオンは、アルコキシドアニオン、アルキルエーテルスルフェート、アリールエーテルスルフェート、又はグリコールエーテルスルフェートのような有機アニオン;特に炭酸塩、炭酸水素塩、硝酸塩、塩化物、硫酸塩、又はB(OH)のような無機アニオン;或いはMo246−又はV10286−のようなポリオキソ金属アニオン;である。しかしながら、複数のかかるアニオンの混合物も可能である。
【0127】
したがって、層状構造を有するかかる混合金属水酸化物は全て、本発明の目的のためのハイドロタルサイトとみなすべきである。
【0128】
カ焼ハイドロタルサイトは、カ焼、即ちそれを用いてとりわけ所望のヒドロキシド基含量を定めることができる加熱によってハイドロタルサイトから製造される。更に、結晶構造も変化する。本発明にしたがって用いるカ焼ハイドロタルサイトの製造は、通常は180℃より高い温度において行う。250℃〜1000℃、特に400℃〜700℃の温度で3〜24時間カ焼を行うことが好ましい。同時に、空気又は不活性ガスを固体の上に流したり、或いは真空を適用することができる。加熱によって、天然又は合成ハイドロタルサイトはまず水を放出し、即ち乾燥が起こる。更なる加熱、即ち実際のカ焼を行うと、ヒドロキシル基及び格子間アニオンが脱離することによって金属水酸化物が金属酸化物に転化する。OH基或いは炭酸塩のような格子間アニオンがカ焼ハイドロタルサイト中に未だ存在している可能性もある。この測定法は強熱減量である。これは、まず乾燥オーブン内において200℃で30分間、次にマッフル炉内において950℃で1時間の2段階で加熱した試料が受ける重量損失である。
【0129】
而して、成分(D)として用いるカ焼ハイドロタルサイトは、M(III)に対するM(II)のモル比が、一般に0.5〜10、好ましくは0.75〜8、特に1〜4の範囲である2価及び3価の金属M(II)及びM(III)の混合酸化物である。更に、通常量の不純物、例えばSi、Fe、Na、Ca、又はTi、並びに塩化物及び硫酸塩が存在していてもよい。好ましいカ焼ハイドロタルサイト(D)は、M(II)がマグネシウムであり、M(III)がアルミニウムである混合酸化物である。かかるアルミニウム−マグネシウム混合酸化物は、Condea Chemie GmbH(現在はSasol Chemie), HamburgからPuralox Mgの商品名で得ることができる。構造変形が完全であるか又は実質的に完全であるカ焼ハイドロタルサイトもまた好ましい。カ焼、即ち構造の変形は、例えばX線回折パターンを用いて確認することができる。用いるハイドロタルサイト、カ焼ハイドロタルサイト、又はシリカゲルは、一般に、5〜200μmの平均粒径D50を有する微粉砕粉末として用いられ、通常は、0.1〜10cm/gの孔容積及び30〜1000m/gの比表面積を有する。メタロセンコンプレックス(A)は、好ましくは、最終触媒系中の遷移金属コンプレックス(A)からの遷移金属の濃度が、担体(D)1gあたり1〜100マイクロモルとなるような量で適用する。
【0130】
また、触媒系を、まずオレフィン、好ましくはC〜C10−1−アルケン、特にエチレンで予備重合し、次に得られた予備重合触媒固体を実際の重合において用いることもできる。予備重合において用いる触媒固体とその上に重合するモノマーとの質量比は、通常、1:0.1〜1:1000、好ましくは1:1〜1:200の範囲である。更に、変性成分として少量のオレフィン、好ましくは1−オレフィン、例えばビニルシクロヘキサン、スチレン、又はフェニルジメチルビニルシラン、静電防止化合物又は好適な不活性化合物、例えばワックス又はオイルを、触媒系の製造中又は製造後に添加剤として加えることができる。添加剤と遷移金属化合物(A)及び鉄コンプレックス(B)の合計とのモル比は、通常、1:1000〜1000:1、好ましくは1:5〜20:1である。
【0131】
本発明のポリエチレンを製造するためには、エチレンを、3〜20個の炭素原子、好ましくは3〜10個の炭素原子を有するオレフィン、好ましくは1−アルケン又は1−オレフィンと共に上記に記載のように重合する。好ましい1−アルケンは、線状又は分岐のC〜C10−1−アルケン、特に線状の1−アルケン、例えば、エテン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、又は分岐の1−アルケン、例えば4−メチル−1−ペンテンである。C〜C10−1−アルケン、特に線状のC〜C10−1−アルケンが特に好ましい。また、種々の1−アルケンの混合物を重合することもできる。エテン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、及び1−デセンからなる群から選択される少なくとも1種類の1−アルケンを重合することが好ましい。1種類より多いコモノマーを用いる場合には、好ましくは1つのコモノマーは1−ブテンであり、第2のコモノマーはC〜C10アルケン、好ましくは1−ヘキセン、1−ペンテン、又は4−メチル−1−ペンテンである。エチレン−1−ブテン−C〜C10−1−アルケンターポリマーが1つの好ましい態様である。好ましくは、ポリエチレン中のかかるコモノマーの重量割合は、少なくとも、遷移金属触媒(A)によって合成され、%LTピークフラクションに対応する第1の生成物フラクション中において0.1〜20重量%、通常は約5〜15%の範囲である。
【0132】
エチレンを1−アルケンと共に重合するための本発明方法は、通常的に知られている工業的重合法を用いて、−60〜350℃、好ましくは0〜200℃、特に好ましくは25〜150℃の範囲の温度、及び0.5〜4000bar、好ましくは1〜100bar、特に好ましくは3〜40barの圧力下で行うことができる。重合は、公知の方法で、バルク中、懸濁液中、気相中、或いは超臨界媒体中で、オレフィンの重合のために用いられる通常の反応器内において行うことができる。これは、バッチ式か、又は好ましくは1以上の段階で連続的に行うことができる。管状反応器又はオートクレーブ内での高圧重合法、溶液法、懸濁法、撹拌気相法、及び気相流動床法が全て可能である。
【0133】
重合は、例えば撹拌オートクレーブ内でバッチ式か、或いは例えば管状反応器、好ましくはループ反応器内で連続的のいずれかで行うことができる。
【0134】
上記記載の重合法の中で、特に気相流動床反応器内での気相重合、特にループ反応器及び撹拌タンク反応器内での溶液重合及び懸濁重合が特に好ましい。気相重合は、一般に、30〜125℃の範囲で1〜50barの圧力において行う。
【0135】
気相重合は、また、循環気体の一部を露点より低く冷却し、二相混合物として反応器に再循環する凝縮又は超凝縮モードで行うこともできる。更に、2つの重合区域が互いに接続されており、ポリマーが、これらの2つの区域を複数回交互に通過する多区域反応器を用いることができる。2つの区域が異なる重合条件を有することもできる。かかる反応器は、例えばWO−97/04015に記載されている。更に、モル質量調整剤、例えば水素、或いは静電防止剤のような通常の添加剤を重合において用いることもできる。水素を加え温度を上昇させると、通常、より低いz平均モル質量が得られ、このため、本発明によれば、水素応答性で、その活性が水素によって調節されているか又は調節することができるシングルサイト遷移金属コンプレックス触媒(A)のみが好ましい。
【0136】
好ましくは単一の反応器内で本発明のポリエチレンを製造することによって、エネルギー消費が減少し、その後のブレンド工程が必要なく、種々のポリマーの分子量分布及び分子量分率の簡単な制御が可能になる。更に、ポリエチレンの良好な混合が達成される。好ましくは本発明によれば、本発明のポリエチレンは、例えば二軸押出機内で60℃〜70℃から200℃〜250℃に徐々にゆっくりと加熱することによる粉末反応生成物の更なるテンパリング工程(例えば、押出機ZSK-240, Werner & Pfleiderer;剪断を低く保持するために8〜12t/時において最大227回転/分−篩板を通して水浴中への実際のポンプ移送は、押出機に接続したギヤタイプのポンプによって達成し;このようにして徐々に加熱することによって5区域にわたって粉末を溶融し、その後の区域6〜14は47barの水蒸気によって加熱する)の後に最適に達成される。より好ましくは、テンパリング処理は、60〜150℃の温度又はピーク温度範囲において、好ましくはDSCプロファイルにおけるピーク温度が安定でそれ以上シフトしなくなるまで行う。
【0137】
本発明のポリエチレンは、好ましくはISO−13949にしたがって測定して3未満、特に0〜2.5の混合品質を有する。この値は、反応器から直接回収されるポリエチレン、好ましくは単一の気相反応器内での重合から直接回収され、好ましくは両方の触媒が共通の担体上に固定化されている上記に記載の混合触媒系から得ることができるポリエチレン粉末に基づくものである。これはポリエチレンがコモノマー分布において多峰性である場合に特に重要である。反応器から直接得られるポリエチレン粉末の混合品質は、試料の薄片(ミクロトーム切片)を光学顕微鏡下で評価することによって試験することができる。高粘度ポリマーフラクションと低粘度ポリマーフラクションが分離するので、小片又は「白点」の形態の異質物が現れる。
【0138】
すなわち、本発明の主な目的は、以下の項目(1)〜(41)に報告するものである。
【0139】
(1)コモノマー分布分析において多峰性であり、
(i)第1のポリマー成分として、<5のMWD、>60%のCDBI、及びISO−1133:2005にしたがって測定して10〜100g/10分の高負荷メルトインデックス(@21.6kg、190℃)を有するエチレンと少なくとも1種類のC〜C20−α−オレフィンコモノマーとのコポリマー70重量%〜95重量%;
(ii)第2のポリマー成分として、>10のMWD、>80%のCDBI、及びISO−1133:2005にしたがって測定して0.2〜20g/10分の高負荷メルトインデックス(@21.6kg、190℃)を有する実質的にホモポリマーのポリエチレン5〜30重量%;
を含むポリエチレン。
【0140】
(2)ポリエチレンが、0.90〜0.935g/cmの密度を有し、及び/又は50,000〜500,000g/モルの重量平均分子量M及び/又は>1.5のM/Mを有し、好ましくは、α−オレフィンが、1−アルケン及び非共役1−アルカジエンからなる群から選択され、好ましくは1−アルケンである、(1)に記載のポリエチレン。
【0141】
(3)ポリエチレンがCRYSTAFによって分析して高温ピーク重量フラクション(%HT)及び低温ピーク重量フラクション(%LT)を含み、%HTフラクションが第2のポリマー成分に実質的に対応し及び/又は実質的にこれを構成し、%LTフラクションが第1のポリマー成分に実質的に対応し及び/又は実質的にこれを構成する、(1)に記載のポリエチレン。
【0142】
(4)第1のポリマー成分がISO−1133:2005にしたがって測定して20〜60g/10分の高負荷メルトインデックス(@21.6kg、190℃)を有する、(1)に記載のポリエチレン。
【0143】
(5)第1のポリマー成分が2〜4のMWDを有する、(1)に記載のポリエチレン。
【0144】
(6)第1のポリマー成分が>70%、好ましくは>80%のCDBIを有する、(1)に記載のポリエチレン。
【0145】
(7)第1のポリマー成分が0.890〜0.930g/cmの密度を有する、(1)に記載のポリエチレン。
【0146】
(8)第2のポリマー成分がISO−1133:2005にしたがって測定して1〜10g/10分の高負荷メルトインデックス(@21.6kg、190℃)を有する、(1)に記載のポリエチレン。
【0147】
(9)第2のポリマー成分が>90%のCDBIを有する、(1)に記載のポリエチレン。
【0148】
(10)第2のポリマー成分が少なくとも0.940g/cm又はそれ以上、好ましくは0.945g/cm〜0.970g/cmの密度を有する、(1)に記載のポリエチレン。
【0149】
(11)ポリエチレンが25μmのブローンフィルムについてASTM−D1709:2005方法Aによって測定して少なくとも1200g、好ましくは少なくとも1600gのダートドロップ衝撃値を有する、(1)に記載のポリエチレン。
【0150】
(12)第1のポリマー成分及び/又は%LTフラクションがメタロセン触媒によって製造されている、(3)に記載のポリエチレン。
【0151】
(13)重合反応を単一の反応器、好ましくは単一の気相反応器内で混合触媒系を用いて行うことによって得られる、(1)〜(12)のいずれかに記載のポリエチレン。
【0152】
(14)<2.5の混合品質を有する粉末であり、及び/又は共通の担体材料上に固定化されている混合触媒系によって得られ、好ましくは粉末はポリエチレンの熱及び/又は貯蔵安定性を向上させるために塩化物を含まない、(13)に記載のポリエチレン。
【0153】
(15)共通の担体が粒状担体材料であり、少なくとも2種類の触媒が担体材料の単一の細粒上で混合されている、(14)に記載のポリエチレン。
【0154】
(16)%HTフラクションがDSCにおいて識別され、DSCにおいて120〜124.5℃の結晶融点においてピークに達する、(3)〜(15)のいずれかに記載のポリエチレン。
【0155】
(17)%LTフラクションがDSCにおいて101〜107℃の結晶融点においてピークに達し、より好ましくはポリエチレンがDSC分析において二峰性分布を示す、(3)〜(16)のいずれかに記載のポリエチレン。
【0156】
(18)ポリエチレンがGPCによって測定して実質的に単峰性の分子量分布曲線を有する、(1)〜(17)のいずれかに記載のポリエチレン。
【0157】
(19)ポリエチレンが全メチル基含量に基づいて1000炭素原子あたり0.01〜20のCHの分岐を有する、(1)〜(18)のいずれかに記載のポリエチレン。
【0158】
(20)重合反応を、2種類の遷移金属コンプレックス触媒を含む混合触媒系を用いて行い、好ましくは2種類の遷移金属コンプレックス触媒が共通の担体材料上に固定化されている、(13)〜(15)のいずれかに記載のポリエチレン。
【0159】
(21)第1の触媒がメタロセン触媒である、(20)に記載のポリエチレン。
【0160】
(22)(1)〜(21)のいずれかに記載のポリエチレンを含むポリマーブレンド。
【0161】
(23)ブレンドが、(1)〜(121)のいずれかに記載のポリエチレンである第1のポリマー20重量%〜99重量%、及び第1のポリエチレンとは異なる第1のポリマー1〜80重量%を含み、ここで重量%はブレンドの全質量を基準とするものである、(22)に記載のブレンド。
【0162】
(24)重合反応を、単一の反応器内において少なくとも2種類の遷移金属コンプレックス触媒を含む触媒系を用いて行う、(1)に記載のポリエチレンを製造するための重合方法。
【0163】
(25)触媒系がチーグラー触媒を含まず、及び/又は第1の触媒(A)がポリエチレンの第1のポリマー成分である第1の生成物フラクションを与えるシングルサイト触媒である、(24)に記載の重合方法。
【0164】
(26)第1の触媒が、ポリエチレンの第1のポリマー成分である第1の生成物フラクションを与えるメタロセン触媒(A)である、(24)又は(25)に記載の重合方法。
【0165】
(27)第2の触媒(B)が非メタロセンの遷移金属コンプレックス触媒であり、第2の触媒が第2の生成物フラクションを与え、第2の生成物フラクションがポリエチレンの第2のポリマー成分である、(24)に記載の重合方法。
【0166】
(28)第2の触媒(B)が少なくとも2つのアリール基を有する三座リガンドを有する鉄コンプレックス触媒成分(B1)である、(27)に記載の重合方法。
【0167】
(29)2つのアリール基のそれぞれがオルト位にハロゲン及び/又はアルキル置換基を有する、(28)に記載の重合方法。
【0168】
(30)フィルム、繊維、又は成形品を製造するための、(1)〜(21)のいずれかに記載のポリエチレン或いは(22)又は(23)に記載のブレンドの使用。
【0169】
(31)更にポリマー加工添加剤を実質的に含まないフィルム又は成形品を製造するための、(30)に記載の使用。
【0170】
(32)ポリマー加工添加剤を含まないか又は実質的に含まない(1)に記載のポリエチレン組成物又は(22)に記載のポリエチレンブレンドを、かかる加工添加剤を連続的に存在させないで押出す工程を含む、ポリマー加工添加剤を実質的に含まないフィルム、繊維、又は成形品、好ましくはブローンフィルム又はブロー成形品を製造する方法。
【0171】
(33)フィルム又は成形品が、その表面上にメルトフラクチャー又は鮫肌状の凹凸を有しないか又は実質的に有しないか、及び/又はゲルを含まず、これによりポリエチレンのポリマー成分の安定な混合が示される、(32)に記載の方法。
【0172】
(34)ポリエチレンを≧40kg/時の加工速度で押出す、(32)に記載の方法。
【0173】
(35)(1)〜(21)のいずれかに記載のポリエチレン或いは(22)又は(23)に記載のブレンドから製造される、フィルム、繊維、又は成形品、好ましくはブローンフィルム又はブロー成形品。
【0174】
(36)(1)〜(21)のいずれかに記載のポリエチレン又は(22)又は(23)に記載のブレンドから製造される>1200gのDDIを有するフィルム、好ましくはブローンフィルム。
【0175】
(37)フィルムがポリマー加工添加剤を含まないか又は実質的に含まない、(36)又は(37)に記載のフィルム。
【0176】
(38)フィルムがその表面上に鮫肌状の凹凸を有しないか又は実質的に有さず、及び/又はゲルを含まない、(36)又は(37)に記載のフィルム。
【0177】
(39)フィルムが<15%の曇り価及び/又は60℃において>60%の光沢値を有する、(36)〜(38)(32)のいずれかに記載のフィルム。
【0178】
(40)フィルムが<1.50のDIN−53375:1998にしたがう摩擦係数値を有する、(36)〜(29)のいずれかに記載のフィルム。
【0179】
(41)フィルムが<50μmのフィルム厚さを有し、好ましくは10〜30μmの厚さを有する、(36)〜(40)のいずれかに記載のフィルム。
【0180】
以下の実施例によって、本発明の範囲を限定することなく本発明を説明する。
【実施例】
【0181】
殆どの具体的な方法は、既に上記において記載し言及している。
【0182】
NMR試料は、不活性ガス下でチューブ内に配置し、適当な場合には溶融した。溶媒信号がH−及び13C−NMRスペクトルにおける内部標準として働き、それらの化学シフトをTMSに関連する値に変換した。
【0183】
1000炭素原子あたりの分岐を、James C. Randall, JMS-REV, Macromol. Chem. Phys., C29 (2&3), 201-317 (1989)によって記載されているようにして13C−NMRを用いて測定した。これは、1000炭素原子あたりのCH基の全含量に基づく。1000炭素原子あたりのCHより大きい側鎖、特にエチル、ブチル、及びヘキシル側鎖分岐を、このようにして同様に測定した。個々のポリマー質量フラクションにおける分岐度は、13C−NMRと組み合わせたHoltrupの方法(W. Holtrup, Makromol, Chem. 178, 2335 (1977))によって測定した。フーリエ変換モードで120℃において100.61MHzで操作するBruker DPX400分光計上で、ポリマーの13C−NMR高温スペクトルを獲得した。ピークSδδ(C. J. Carman, R.A. Harrington, 及びC.E. Wilkes, Macromolecules, 10, 3, 536 (1977))炭素を29.9ppmにおける内部参照として用いた。試料を、120℃において1,1,2,2−テトラクロロエタン−d中に8%(wt/v)の濃度で溶解した。90°のパルス、パルス間の遅延15秒、及びCPD(WALTZ16)を用いてそれぞれのスペクトルを獲得してH−13Cカップリングを除去した。6000又は9000Hzのスペクトルウインドウを用いて約1500〜2000の過渡スペクトルを32Kのデータ点で保存した。スペクトルの割り当ては、Kakugo(M.Kakugo, Y.Naito, K.Mizunuma, 及びT.Miyatake, Macromolecules 15, 4, 1150 (1982))及びJ.C. Randal, Macromol. Chem. Phys., C29, 201 (1989)を参照して行った。
【0184】
ポリマーの溶融エンタルピー(ΔHf)は、標準法(ISO−11357−3(1999))にしたがって、熱流DSC(TA-Instruments Q2000)上での示差走査熱量測定(DSC)によって測定した。試料ホルダーであるアルミニウム皿に5〜6mgの試料を装填し、密封した。次に、試料を雰囲気温度から200℃へ20K/分の加熱速度で加熱した(第1の加熱)。200℃において5分間の保持時間(これによって微結晶を完全に溶融させることができた)の後、試料を20K/分の冷却速度で−10℃に冷却し、その温度で2分間保持した。最後に、試料を−10℃から200℃へ20K/分の加熱速度で加熱した(第2の加熱)。基準線を構築した後、第2の加熱操作のピークの下側の面積を測定し、対応するISO(11357−3(1999))にしたがって融解エンタルピー(ΔHf)(J/g)を計算した。
【0185】
Polymer Char, P.O. Box 176, E-46980 Paterna, スペインからの装置上で、溶媒として1,2−ジクロロベンゼンを用いてCrystaf(登録商標)測定を行い、関連するソフトウエアを用いてデータを処理した。特に、Crystaf(登録商標)温度−時間曲線は、積分すると個々のピークフラクションを定量することができる。微分Crystaf(登録商標)曲線によって短鎖分岐分布のモダリティが示される。また、用いるコモノマーのタイプに応じて好適な較正曲線を用いることによって、得られるCrystaf(登録商標)曲線を1000炭素原子あたりのCH基に変換することもできるが、ここでは行わなかった。
【0186】
密度(g/cm)はISO−1183にしたがって測定した。ビニル基含量は、ASTM−D6248−98にしたがってIRを用いて測定した。同様に、ビニリデン基のものを別に測定した。フィルムのダートドロップ衝撃値は、25μmのフィルム厚さを有する記載のブローンフィルムについて、ASTM−D1709:2005方法Aによって測定した。摩擦係数又は滑り摩擦係数は、DIN−53375A(1986)にしたがって測定した。
【0187】
曇り度は、ASTM−D1003−00によって、少なくとも5片の10×10cmのフィルムについてBYK Gardener Haze Guard Plus Device上で測定した。フィルムの透明度は、ASTM−D1746−03にしたがって、少なくとも5片の10×10cmのフィルムについて、較正セル77.5によって較正したBYK Gardener Haze Guard Plus Device上で測定した。異なる角度における光沢は、ASTM−D2457−03にしたがって、少なくとも5片のフィルムについて、フィルムを固定するための真空プレートを有する光沢度計上で測定した。
【0188】
モル質量分布、及び平均M、M、M、及びそれから誘導されるM/Mの測定は、1995年2月発行のDIN−55672−1:1995−02に記載されている方法を用いて高温ゲル透過クロマトグラフィーによって行った。言及したDIN標準規格による修正点は次の通りである:溶媒1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB);装置及び溶液の温度135℃;並びに、濃度検出器として、TCBと共に用いるのに適しているPolymerChar(Valencia, Paterna 46980, スペイン)IR-4赤外検出器。この方法の更なる詳細に関しては、本明細書において上記に更に詳細に示す方法の記載を参照されたい。与えられたMark-Houwink定数に基づく汎用較正法を適用することは、更に、較正後のクロマトグラフィー操作中に与えられた試料をスパイクするために更なる内部標準PEを用いることに関する更なる説明と共に、ASTM−6479−99からうまく且つ包括的に詳細に示唆することができる。
【0189】
動的粘性率測定は、貯蔵弾性率(G’)及び損失弾性率(G”)を複素粘性率ηと共に求めるために行う。測定は、Rheometrics RDA II 動的レオメーターのようなコーン&プレートレオメーター、又はAnton-Paar MCR 300 (Anton Paar GmbH, Graz/オーストリア)のような同様のダブルプレートレオメーターにおいてポリマーブレンドの動的(正弦)変形によって行う。以下に与える測定のためにAnton-Paarレオメーターモデルを用いた。まず、次のようにして測定用の試料(粒状又は粉末状形態)を調製した:2.2gの材料を秤量し、これを用いて70×40×1mmの成形用プレートに充填した。プレートをプレス内に配置し、20〜30barの圧力下で200℃に1分間加熱した。200℃の温度に達した後、試料を100barにおいて4分間プレスした。プレス時間の終了後、材料を室温に冷却し、プレートを成形体から取り外した。プレスしたプレートに関して、あり得る亀裂、不純物、又は異質物について視覚品質管理試験を行った。プレスした成形体から直径25mm、厚さ0.8〜1mmのポリマーディスクを切り出し、動的機械分析(又は周波数掃引)測定のためにレオメーター内に導入した。
【0190】
Anton Paar MCR300応力制御回転レオメーター内で、周波数の関数としての弾性係数(G’)、粘性係数(G”)、及び複素粘性率の測定を行った。装置に、プレート/プレート構造物、即ちそれぞれがそれらの間に1.000mmの標準的な間隙を有する半径24.975mmの2つの平行ディスクを装備した。この間隙に関して、〜0.5mLの試料を装填し、測定温度(PEに関する標準:T=190℃)において加熱した。溶融した試料を試験温度に5分間保持して、均一な溶融を達成した。その後、0.01及び628rad/秒の間の点を対数的に採取する装置によって周波数掃引を開始した。
【0191】
0.05(又は5%)の歪み振幅を用いて線形範囲の周期的変形を加えた。周波数を、628.3rad/秒(又は〜100Hz)から開始して8.55rad/秒に変化させ、非常に低い周波数に関しては、増加したサンプリング速度を用いて4.631rad/秒から0.01rad/秒(又は0.00159Hz)へ試験を継続して、低周波数範囲に関してより多くの点が採取されるようにした。
【0192】
加えられた変形から得られる剪断応力振幅及び位相遅れを獲得し、これを用いて弾性率及び複素粘性率を周波数の関数として計算した。
【0193】
周波数範囲から高周波数から低周波数へ対数的に降下する複数の点を選択し、それぞれの周波数点における結果を少なくとも2〜3の振幅後に示し、安定な測定値を獲得した。
【0194】
下表における略号:
Cat.:触媒;
T(poly):重合温度;
:重量平均モル質量;
:数平均モル質量;
:z平均モル質量;
:絡合臨界重量;
密度:ポリマー密度;
生産性:1時間あたり用いる触媒1gあたりで得られるポリマーのg数での触媒の生産性;
全CHは末端基を含む1000炭素あたりのCH基の量である;
LT%:T<80℃におけるフラクションとして積分曲線から求めた、CRYSTAF(登録商標)から求めた低温重量フラクション(図4参照)。
HT%:T>80℃におけるフラクションとして積分曲線から求めた、CRYSTAF(登録商標)から求めた高温重量フラクション(図4参照)。
【0195】
触媒系の個々の成分の製造:
ビス(1−n−ブチル−3−メチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
は、Chemtura Corporationから商業的に入手できる。
【0196】
2,6−ビス[1−(2,4,6−トリメチルフェニルイミノ)エチル]ピリジンを、
WO−98/27124の実施例1におけるようにして調製し、同様の方法で塩化鉄(I
I)と反応させて、同様にWO−98/27124に開示されている2,6−ビス[1−
(2,4,6−トリメチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)ジクロリドを与
えた。
【0197】
固体担体粒子上の混合触媒系の製造及び小規模重合:
(a)担体の予備処理:
Graceからの噴霧乾燥シリカゲルであるSylopol XPO-2326Aを、600℃において6時間カ焼した。
【0198】
(b)混合触媒系の製造及びバッチ重合: b.1.混合触媒1:
2608mgのコンプレックス1及び211mgのコンプレックス2を、122mLのMAO中に溶解した。この溶液を、0℃において、100.6gの上記のXPO2326担体に加えた(装填量:60:4マイクロモル/g)。
【0199】
その後、触媒溶液を室温にゆっくりと加熱し、2時間攪拌した。196gの触媒が得られた。粉末は象牙色を有していた。コンプレックス1の装填量は60マイクロモル/gであり、コンプレックス2の装填量は4マイクロモル/gであり、Al/(コンプレックス1+コンプレックス2)の比は90:1(モル:モル)であった。
【0200】
【化12】
【0201】
1.7Lオートクレーブ内での重合:
1.7Lの鋼製オートクレーブに、アルゴン下70℃において、>1mmの粒径を有する100gのPE粉末(既に真空中80℃において8時間乾燥し、アルゴン雰囲気下で保存していた)を充填した。125mgのトリイソブチルアルミニウム(ヘプタン中TiBAl、50mg/mL)、2mLのヘプタン、及び50mgのCostelan AS100(ヘプタン中Costelan、50mg/mL)を加えた。5分間攪拌した後に触媒を加え、触媒投与ユニットを2mLのヘプタンですすいだ。まず、圧力を窒素によって70℃において10barに上昇させ、次にエチレンに対する一定の比:0.1mL/gで供給するエチレン及びヘキセンによって20barの圧力を調節した。重合中は、エチレンに対する一定の比:0.1mL/gで供給する更なるエチレン及びヘキセンを加えることによって、70℃において20barの圧力を1時間一定に保持した。1時間後、圧力を解放した。オートクレーブからポリマーを取り出し、ポリマー床を除去するために篩別した。
【0202】
【表1】
【0203】
b.2.混合触媒2:
2620mgのメタロセンコンプレックス1及び265mgのコンプレックス2を、138mLのMAO中に溶解した。この溶液を、0℃において、101gの上記のXPO2326担体に加えた(装填量:60:5マイクロモル/g)。その後、触媒溶液を室温にゆっくりと加熱し、2時間攪拌した。196gの触媒が得られた。粉末は象牙色を有していた。コンプレックス1の装填量は60マイクロモル/gであり、コンプレックス2の装填量は4マイクロモル/gであり、Al/(コンプレックス1+コンプレックス2)の比は90:1(モル:モル)であった。
【0204】
1.7Lオートクレーブ内での重合:
1.7Lの鋼製オートクレーブに、アルゴン下70℃において、>1mmの粒径を有する100gのPE粉末(既に真空中80℃において8時間乾燥し、アルゴン雰囲気下で保存していた)を充填した。125mgのトリイソブチルアルミニウム(ヘプタン中TiBAl、50mg/mL)、2mLのヘプタン、及び50mgのCostelan AS100(ヘプタン中Costelan、50mg/mL)を加えた。5分間攪拌した後に触媒を加え、触媒投与ユニットを2mLのヘプタンですすいだ。まず、圧力を窒素によって70℃において10barに上昇させ、次にエチレンに対する一定の比:0.1mL/gで供給するエチレン及びヘキセンによって20barの圧力を調節した。重合中は、エチレンに対する一定の比:0.1mL/gで供給する更なるエチレン及びヘキセンを加えることによって、70℃において20barの圧力を1時間一定に保持した。1時間後、圧力を解放した。オートクレーブからポリマーを取り出し、ポリマー床を除去するために篩別した。
【0205】
【表2】
【0206】
b.3.混合触媒3:
398.9mgのコンプレックス1(1.6mg、25重量%トルエン溶液)を、N雰囲気下でガラスフラスコ内に充填し、次に29.8mgのコンプレックス2を加え、両方のコンプレックスを17.5mLのMAO中に溶解した。
【0207】
この溶液を、0℃において、101gの上記のXPO2326担体に加えた(装填量:65:4マイクロモル/g)。その後、触媒溶液を室温にゆっくりと加熱し、2時間攪拌した。29.5gの触媒が得られた。粉末は象牙色を有していた。コンプレックス1の装填量は65マイクロモル/gであり、コンプレックス2の装填量は4マイクロモル/gであり、Al/(コンプレックス1+コンプレックス2)の比は85:1(モル:モル)であった。
【0208】
1.7L気相オートクレーブ内での重合:
1.7Lの鋼製オートクレーブに、アルゴン下70℃において、>1mmの粒径を有する100gのPE粉末(既に真空中80℃において8時間乾燥し、アルゴン雰囲気下で保存していた)を充填した。200mgのイソプレニルアルミニウム(ヘプタン中IPRA、50mg/mL)、及び50mgのCostelan AS100(ヘプタン中Costelan、50mg/mL)を加えた。5分間攪拌した後に触媒を加え、触媒投与ユニットを7mLのヘプタンですすいだ。まず、アルゴン圧を70℃において10barに上昇させ、次にエチレンに対する一定の比:0.1mL/gで供給するエチレン及びヘキセンによって20barの圧力を調節した。重合中は、エチレンに対する一定の比:0.1mL/gで供給する更なるエチレン及びヘキセンを加えることによって、70℃において20barの圧力を1時間一定に保持した。1時間後、圧力を解放した。オートクレーブからポリマーを取り出し、ポリマー床を除去するために篩別した。
【0209】
【表3】
【0210】
3種類の混合触媒バッチによって製造された3種類のポリマーb.1、b.2、b.3は全て、DSCを用いてコモノマー分布において二峰性であることを示すことができた。
【0211】
パイロットスケール気相重合:
単一の気相反応器内でポリマーを製造した。上記記載の混合触媒1及び2を、それぞれ実験(A)及び(B)のために用いた。用いたコモノマーは1−ヘキセンであった。両方の実験に関して不活性ガスとして窒素/プロパンを用いた。モル質量調整剤として水素を用いた。
【0212】
(A)触媒1は、安定な運転のための直径508mmの連続気相流動床反応器内で運転した。試料1と示す生成物が製造された。触媒収率は>5kg/g(触媒1gあたりのポリマーのkg数)であった。灰分は約0.008g/100gであった。
【0213】
(B)触媒2は、安定な運転のための直径219mmの連続気相流動床反応器内で運転した。試料2と示す生成物が製造された。触媒収率は>5kg/g(触媒1gあたりのポリマーのkg数)であった。灰分は約0.009g/100gであった。
【0214】
プロセスパラメータを下記に報告する。
【0215】
【表4】
【0216】
造粒及びフィルム押出:
スクリューの組合せE1Hを有するKobe LCM50押出機上でポリマー試料を造粒した。処理量は57kg/時であった。ゲートの正面において220℃の溶融温度を有するように、Kobeのゲート位置を調節した。ギヤポンプの吸引圧は2.5barに保持した。ローターの回転数は500rpmに保持した。
【0217】
2000ppmのHostanox PAR 24FF、1000ppmのIrganox 1010、及び1000ppmのZn−ステアレートを加えてポリエチレンを安定化した。材料の特性を表1及び2に与える。表2は、加工挙動に関連するレオロジー挙動(シェアシニング)を示す。
【0218】
フィルムブロー:
Alpine HS50Sフィルムライン(Hosokawa Alpine AG, Augsburg/ドイツ)上でのブローンフィルム押出によって、ポリマーをフィルムに押出した。
【0219】
環状ダイの直径は120mmであり、2mmのギャップ幅を有していた。Carlotte混合セクション及び50mmの直径を有するバリヤスクリューを、40kg/時の産出量に対応するスクリュー速度で用いた。190℃から210℃への温度プロファイルを用いた。冷却はHK300ダブルリップクーラーを用いて行った。ブローアップ比は1:2.5のオーダーであった。フロストラインの高さは約250mmであった。25μmの厚さを有するフィルムが得られた。フィルムの光学特性及び機械特性を表3にまとめる。本発明のポリエチレン組成物から製造されたフィルム中には、フルオロエラストマー添加剤は含まれていなかった。これに対して、比較例に関して用いた材料から製造されたフィルムは、通常的にフルオロエラストマー(600〜800ppmのフルオロエラストマー−PPA様物質、例えばDynamar FX 5920A PPA, Dyneon GmbH, Kelsterbach/ドイツ)をブレンドしていた。
【0220】
ポリマー生成物の特性:
かくして得られた材料の特性を下表1〜3に示す。比較標準試料(比較例1)として、本出願の出願人によって販売され、本発明によるポリエチレン材料を製造するために上記で用いたものと同じメタロセン触媒1を単一の触媒として単独で用いた基本的に同様の気相プロセスで製造された単峰性mLLDPE製品である商業的に入手できるLuflexen(登録商標)18P FAX m−LLDPE(Basel Polyolefine GmbH, Wesseling,ドイツから商業的に入手できる)(下記においては略して18P FAXと呼ぶ)を用いた。
【0221】
【表5】
【0222】
【表6】
【0223】
【表7】
【0224】
本発明のポリマーは、m−LLDPE(比較例1)の加工のために一般的に必要な加工助剤としてのフルオロエラストマーを用いないで加工することができる。この特徴は、ブレンド中のHDPE(%HT)成分によって達成される。
【0225】
向上した加工性は、比較例1と比較した本発明のポリマーのレオロジー挙動によって説明することができる。表2及び対応する図1を参照。図1は、本発明の材料のバッチ、及び比較標準試料(単峰性m−LLDPE単独、本発明に関して用いたものと同じジルコノセン触媒)に関するSHI値をプロットしたものである。本発明の生成物は良好な加工性を示す。周波数=0.01radにおける粘度に対する与えられた回転数におけるSHIは、常に比較ポリマーのものよりも低い。これによって、加工における有利性が与えられる。図2において下記に更に示すVan Gurp-Palmenプロット(上記のTrinkelら, 2002)においては欠陥が観察されなかったので、この特徴はLCBの存在によるものではない。良好な加工特性は、低い回転数、特に5rad/秒より低く、表において更に1rad/秒より低い回転数における本ポリマー組成物に関する非常に大きい貯蔵弾性率G’(ω)から特に明らかである。これらは材料の弾性特性の指標であり、本発明のポリエチレンは、標準試料の優れたダートドロップ値を保持しながら5倍向上した弾性率を有する。
【0226】
図3は、実施例において用いた本発明の粒状ポリエチレン材料の透過電子顕微鏡(TEM)画像を示す。全ての画像において左下の角部のスケールバーによって示されているように、解像度は左から右へ増加する。左側の画像によって2〜3μmの範囲の物体を識別することができ、右側の画像は数十ナノメートル(〜50nmの範囲)異なる物体を識別することができる最大の解像度である。球状の構造は観察されなかった(左側の画像)。より大きい倍率においては、結晶質の薄層が明らかであった(右側の画像)。本発明の生成物の優れた混合品質が明らかである。
【0227】
図4は、同じ試料のCrystaf(登録商標)ダイアグラムを示す。微分輪郭プロットから2つの異なる高温及び低温ピークフラクションの区別が明らかであるが、ピークの形状は溶媒効果のためにDSC分析とは異なる可能性があり、結晶化温度も同様である。2番目のグラフ(ボールオンスティックプロット)は、それに基づいて高温フラクションの質量分率を本発明にしたがって計算した積分形態である。適宜、80℃における下降は低温フラクションから高温フラクションを区切るように示された。したがって、高温フラクショ
ンに関して与えられる全ての数値は、>80℃の任意の温度に関するCrystaf曲線の積分から算出され、逆もまた同様である。
【0228】
表3は、比較単峰性材料と比較したポリエチレン試料1bから製造したブローンフィルムについて行った機械的及び光学的試験に関する試験結果を示す。
【0229】
【表8】
【0230】
本発明によるポリエチレン組成物から製造されるフィルムは、DIN−53375にしたがって、1.60未満、最も好ましくは1.00未満、及び/又は1.00〜0.30の範囲の摩擦係数を有する。本発明のポリエチレン材料及びそれから製造されるフィルムは、摩擦減少剤又は抗ブロッキング剤を実質的に含まず、特にフルオロエラストマー添加剤を含まないか又は実質的に含まない。ポリオレフィン加工助剤(PPA)とも呼ばれる摩擦減少剤は、本思想においては、ブローンフィルムの摩擦係数を減少させることができる添加剤を意味する。上記で製造した比較試料は、そうでなければ不可避的なメルトフラクチャー現象を回避するためにかかる添加剤を常に含み、このために特に≧40kg/時のフィルム加工速度においては比較試料の機械的及び光学的特性は更に低下する。幾つかの規制機関が少なくとも幾つかの食品、パーソナルケア/化粧品、及び医薬用途に関してかかる添加剤の存在を嫌うことを考えると、これは極めて優れた成果である。更に、特に食品用途に関して公の議論及び関心が高まっている。
【0231】
また、優れた機械的耐衝撃性を維持しながら劇的に向上した加工特性を有する本発明のポリエチレンの更に別の利益は、フルオロエラストマー添加剤は殆どの他の種類のポリオレフィン添加剤と相溶性であるが、顔料又は抗ブロッキング剤のような幾つかの材料は、ポリマー中のフルオロカーボンエラストマー加工添加剤に悪影響を与えることが知られていることである(Rudinら, 1985, J. Plast. Film Sheet I (3): 189, Flurocarbon Elastomer Processing Aid in Film Extrusion of LLDPEs; B. Johnson及びJ. Kunde, SPE ANTEC 88 Conference Proceedings XXXIV: 1425 (1988), The Influence of Polyolefin Additives on the Performance of Florocarbon Elastomer Process Aids)。したがって、フルオロエラストマー添加剤の必要なしに材料の加工挙動を向上させることによって、犠牲を伴うことなく必要な他の添加剤を自由に選択することが可能になる。
図1
図2
図3
図4