特許第6650204号(P6650204)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6650204ベースにデータを登録して前記データを保護するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6650204
(24)【登録日】2020年1月22日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】ベースにデータを登録して前記データを保護するための方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/32 20130101AFI20200210BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20200210BHJP
   H04L 9/32 20060101ALI20200210BHJP
【FI】
   G06F21/32
   G06T7/00 510D
   H04L9/00 673D
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-55623(P2015-55623)
(22)【出願日】2015年3月19日
(65)【公開番号】特開2015-207279(P2015-207279A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2018年3月1日
(31)【優先権主張番号】1452444
(32)【優先日】2014年3月24日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508288744
【氏名又は名称】モルフォ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・ブランジェ
(72)【発明者】
【氏名】エルベ・シャバンヌ
【審査官】 吉田 歩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−156936(JP,A)
【文献】 特開2010−108365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/32
G06T 7/00
H04L 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データベース(10)に生体データ(I、M)を登録するための処理手段によって実行される登録方法(100)であって、各データ項目は生体特徴に関するバイナリ情報ベクトル(I)、およびデータの比較のために考慮に入れられる情報ベクトルの当該ビット(i)を決定する、バイナリマスクベクトル(M)を含み、
本方法は、情報ベクトル(I)およびマスクベクトル(M)のビットへの並べ替えの適用(130)を含み、
本方法は、登録コード(enc_enrol)を使用してベクトルを符号化するためのステップ(120)をさらに含むことを特徴としており、並べ替えは符号化されたベクトルに適用され、前記符号化が、
マスクベクトル(M)のビット(m)の符号化を表すビットのシーケンスの平均の重みが、マスクベクトルのビット(m)の値に関係なく、一定または統計的に一定であるように、マスクベクトル(M)の各ビット(m)マスクベクトル(M)の前記ビット(m)の符号化を表す、いくつかのビットのシーケンスに変換することと
情報ベクトル(I)の各ビット(i)情報ベクトル(I)の前記ビット(i)の符号化を表し、ランダムに抽出された少なくとも1つのビット(a)を含むシーケンスに変換することとを含み、ランダムに抽出されたビットが情報ベクトルのビットと同じ分布則に従う、登録方法(100)。
【請求項2】
データの比較のために考慮に入れられる情報ベクトル(I)のビット(i)の符号化を表すビットのシーケンスが少なくとも1つのランダムに抽出されたビット(a)および情報ベクトルのビット(i)を含む、請求項1に記載の登録方法(100)。
【請求項3】
符号化されたベクトル(I)および(M)に適用される並べ替えが同一で、データの比較のために考慮に入れられるビットの符号化を表すビットのシーケンスでの情報ベクトル(I)のビット(i)の位置がマスクベクトル(M)のビットの符号化を表すビットのシーケンス中の1のビット位置に対応している、請求項2に記載の登録方法(100)。
【請求項4】
データの比較のために考慮に入れられるビットの符号化を表すビットのシーケンスでの情報ベクトル(I)のビットの位置がマスクベクトルのビットの符号化を表すビットのシーケンス中の1のビット位置に対応しておらず、並べ替えステップ(130)が情報ベクトルおよびマスクベクトルの符号化を表すビットのシーケンスに対して異なる並べ替えを適用することを含み、並べ替えが並べ替え後の情報ベクトルのビットの位置が並べ替え後の符号化されたマスクベクトルのビットのシーケンスの1でのビットに対応するように適合されている、請求項2に記載の登録方法(100)。
【請求項5】
データの比較のために考慮に入れられない情報ベクトル(I)のビット(i)の符号化を表すビットのシーケンスがランダムに抽出された単一のビットまたはランダムに抽出されたビットおよび情報ベクトルのビットを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の登録方法(100)。
【請求項6】
マスクベクトル(M)のビット(m)の符号化を表すビットのシーケンスが
【数1】
ビットのシーケンスYおよびマスクベクトル(M)のビット(m)を含み、ビットのシーケンスYが場合により
【数2】
個の値
【数3】
を有し、マスクベクトルのビットが0の場合、
【数4】
を選択する確率
【数5】
、およびマスクベクトルのビットが1の場合、
【数6】
を選択する確率
【数7】
が、
【数8】
である、請求項1から5のいずれか一項に記載の登録方法(100)。
【請求項7】
ビットのシーケンスYによって表示され得る値
【数9】
が固定されるまたはランダムに抽出される、請求項6に記載の登録方法。
【請求項8】
マスクベクトルのビット(m)の符号化を表すビットのシーケンス
【数10】
中の1のビットの数がn/2の統計的に一定の平均の重みを有する、請求項6または7に記載の登録方法。
【請求項9】
並べ替えの適用後に符号化されたマスクベクトルと、可逆行列(W)との乗算(140)をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の登録方法(100)。
【請求項10】
生体特徴に関するバイナリ情報ベクトル(I’)およびデータの比較のために考慮に入れられる情報ベクトルの当該ビットを決定するバイナリマスクベクトル(M’)を含む新しい生体データ項目(I’、M’)を取得するための処理手段によって実行される取得方法(200)であって、前記データ項目は請求項1から9のいずれか一項に記載の方法を実施することで、データベース(10)に登録されたデータ項目との比較のために取得され、
本方法は新しい生体データ項目への並べ替え(230)の適用、検証コード(enc_verif)による新しい生体データ項目の符号化(220)を含み、並べ替えは符号化されたデータ項目(enc_verif(I’、M’))に適用され、ここで、
前記符号化および並べ替えはそれぞれの符号化後のベースの新しいデータ項目(I’、M’)とデータ項目(I、M)間のハミング距離または加重したハミング距離の値を保持するように適合されており、
新しいデータ項目の符号化(220)はベース(10)の符号化されたベクトルのデータ項目(I、M)を表すシーケンスのビットの数に等しい数のビットを含むシーケンスによるデータ項目のベクトルの各ビットの表現を含んでおり、
新しいデータ項目に適用された並べ替えは登録の時にベース(10)のデータ項目に適用された並べ替えと同一であり、
マスクベクトルのビットの表現がさらに、比較のために考慮に入れられる領域に対応するマスクベクトルのビットを表すビットの2つのシーケンスの論理積だけがゼロではないように適合されている、取得方法(200)。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法を使用して、データベース(10)に登録されたデータ項目との比較のための新しい生体データ項目(I’、M’)の取得(200)を含む、処理手段によって実行されるデータ処理方法であって、新しい生体データ項目への並べ替え(230)の適用、および
証コード(enc_verif)による新しい生体データ項目の符号化(220)を含み、並べ替えは符号化されたデータ項目(enc_verif(I’、M’))に適用され、前記符号化および並べ替えはそれぞれの符号化後のベースの新しいデータ項目(I’、M’)とデータ項目(I、M)間のハミング距離または加重したハミング距離の値を保持するように適合されており、
本方法がさらに、符号化された新しい生体データ項目とベースに登録されたデータ項目との比較(300)を含み、前記比較が検証コードによって符号化された新しいデータ項目とベースの符号化されたデータ項目間の加重したハミング距離の計算をさらに含む、データ処理方法。
【請求項12】
新しいデータ項目(I’、M’)が生体特徴に関するバイナリ情報ベクトル(I’)および比較のために考慮に入れられる情報ベクトルの当該ビットを決定するバイナリマスクベクトル(M’)を含み、新しいデータ項目の符号化(220)がベース(10)の符号化されたベクトルのデータ(I、M)を表すシーケンスのビットの数に等しい数のビットを含むシーケンスによるデータ項目のベクトルの各ビットの表現を含んでおり、
新しいデータ項目に適用された並べ替えが登録の時にベース(10)のデータ項目に適用された並べ替えと同一であり、マスクベクトルのビットの表現もまた、比較のために考慮に入れられる領域に対応するマスクベクトルのビットを表すビットの2つのシーケンスの論理積だけがゼロではないように適合されている、請求項11に記載の処理方法。
【請求項13】
データベース(10)で登録された生体データ項目が請求項9に記載の方法で実施され登録されており、比較が、
データベースのデータ項目の登録の時にマスクベクトルで乗算された可逆行列の逆行列の生成と、
ベースのデータ項目の符号化されたマスクベクトルを表すビットのシーケンスの逆行列による乗算(320)と、
検証コードによって符号化された新しいデータ項目と乗算後に取得されたベースの符号化されたデータ項目間の加重したハミング距離の計算(330)とを含む、請求項11または12に記載の処理方法(300)。
【請求項14】
データベース(10)およびデータベース(10)を管理する少なくとも1つの管理サーバ(11)を備えるシステム(1)であって、生体特徴に関するバイナリ情報ベクトル(I)と、データの比較のために考慮に入れられる情報ベクトルの当該ビット(i)を決定する、バイナリマスクベクトル(M)とを含む2つのバイナリベクトルを含む、データ項目(I、M)に
マスクベクトル(M)のビット(m)の符号化を表すビットのシーケンスの平均の重みが、マスクベクトルのビット(m)の値に関係なく、一定または統計的に一定であるように、マスクベクトル(M)の各ビット(m)を、マスクベクトル(M)の前記ビット(m)の符号化を表す、いくつかのビットのシーケンスに変換することと
情報ベクトル(I)の各ビット(i)を、情報ベクトル(I)の前記ビット(i)の符号化を表し、ランダムに抽出された少なくとも1つのビット(a)を含むシーケンスに変換することとを含む登録の符号化方法(enc_enrol)を適用するように適合された処理手段を備え、
ランダムに抽出されたビットが情報ベクトルのビットと同じ分布則に従う、システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、データ、具体的には生体データをデータベースに登録し、一旦ベースに登録されることでデータの安全性を保証するための方法およびそのようなデータを含むデータベースに関する。
【0002】
本発明は特に、虹彩生体データの登録に当てはまる。
【背景技術】
【0003】
特に虹彩または静脈の生体データは一般的に、同一のサイズの2つのバイナリベクトルからなり、第1のいわゆる情報ベクトルは人において取得された生体特徴を含んでいる。第2のいわゆるマスクベクトルは、データの比較を行うために、情報ベクトルの対応する部分が考慮に入れられる必要があるかどうかを決定するための情報を含んでいる。
【0004】
例えば、生体データが虹彩イメージに関するものである場合、情報ベクトルは、例えば、虹彩の色イメージを取得して、このイメージをモノクロ階調に変換し、最終的にバイナリ情報を取得するためにモノクロ階調に対してしきい値処理をすることによって生成される。
【0005】
この情報ベクトルは、虹彩に隣接する領域がベクトルの連続するビットに対応するように構成される。
【0006】
情報ベクトルのビットに対応するインデックス付きビットのセットを備える、マスクベクトルは、比較のために考慮に入れられる必要のある情報ベクトルのビットを決定する。例えば、虹彩の一部がまぶたによってマスクされる場合、この部分に対応する情報ベクトルのビットの値に関係なく、マスクベクトルの対応するビットの値0または1によって、考慮に入れられる必要がないことを示す。
【0007】
そのようなデータは、他の生体データの比較によって人の識別または認証を実行するためのデータベースに格納される。比較は最もよく、2つのデータ項目間の異なるピクセルの個数を数える、2つのデータ項目間のハミング距離を計算することによって行われる。
【0008】
マスクベクトルを含む、上述のタイプのデータの場合、ハミング距離は次のように記述される。
【0009】
【数1】
ここで、iおよびi’は2つのデータ項目の情報ベクトルで、mおよびm’は、マスクベクトルである。マスクベクトルは、隠されていない領域または比較の考慮に入れられる領域に対して1のビット、および比較の考慮に入れられない(隠されているまたは疑わしい)領域に対して0のビットを含む。
【0010】
したがって、ハミング距離は、比較のために情報ベクトルのそれらの部分だけが考慮に入れられて計算される。
【0011】
データベースに格納されたそのようなデータを保護するために、並べ替えを情報ベクトルおよびマスクベクトルに適用することが提案されてきており、並べ替えは両方のベクトルに対して同じである。
【0012】
これは、事実上、2つの同様に並べ替えられたデータ項目間のハミング距離の保持を可能にする。
【0013】
しかし、ペアx、p(x)を使用し(ここで、xは情報ベクトルおよびマスクベクトルを含むデータ項目を指定し、p(x)は並べ替えられたデータ項目を指定する)、あるいはx、p(x’)を使用してでさえ生体データ項目で使用される並べ替えを検出することは可能である。
【0014】
適用された並べ替えの検出では、(例えば、まつげ、または、まぶたによって)隠されている虹彩の地理的な領域を決定するために、マスクベクトルの0でのビットを使用することは常に可能である。さらに、虹彩の領域の地理的相関関係に対応する情報ベクトルの連続ビット間に存在する関連を利用することも可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、2つのベクトル、つまり、情報ベクトルおよびマスクベクトルを含むタイプの生体データに対してさらなる保護を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
従来の技術と比較して向上した安全性を提供する生体データを登録するための方法を提案することが本発明の1つの目的である。
【0017】
本発明のさらなる目的は、ベースにデータを登録するための方法、および2つのデータ項目間のハミング距離の計算を可能にする、ベースのデータ項目と比較されるデータ項目を取得するための方法を提案することである。
【0018】
この点で、本発明の主題はデータベースに生体データを登録するための方法で、各データ項目は生体特徴のバイナリ情報ベクトルを含み、バイナリマスクベクトルはデータ比較のために考慮に入れられる情報ベクトルのビットを決定し、方法は情報ベクトルおよびマスクベクトルのビットへの並べ替えの適用を含んでおり、
本方法は、いわゆる登録コードを使用するベクトルを符号化するためのステップをさらに含み、並べ替えは符号化されたベクトルに対して行われることを特徴とし、前記符号化は次を含んでいる。
【0019】
マスクベクトルのそれぞれのビットを、いくつかのビットのシーケンスにより表現し、それがマスクベクトルのすべてのビットの表現の平均の重みが、マスクベクトルのビットの値に関係なく、一定または統計的に一定であるような表現であり、および
情報ベクトルのそれぞれのビットを、あるシーケンスにより表現し、ここでシーケンスはランダムに抽出された少なくとも1つのビット、情報ベクトルのビットと同じ分布則に従うランダムに抽出されたビット。
【0020】
しかし、任意選択で、本発明の登録方法がさらに、次の特徴の少なくとも1つを含み得ることは利点となる。
【0021】
データの比較のために考慮に入れられる情報ベクトルのあるビットの符号化を表すビットのシーケンスが少なくとも1つのランダムに抽出されたビットおよび情報ベクトルのビットを含んでいること、
符号化されたベクトルに適用される並べ替えが同一で、データの比較のために考慮に入れられるあるビットの符号化を表すビットのシーケンスでの情報ベクトルのビットの位置がマスクベクトルのあるビットの符号化を表すビットのシーケンス中の1のビット位置に対応していること、
データの比較のために考慮に入れられるあるビットの符号化を表すビットのシーケンスでの情報ベクトルのビットの位置がマスクベクトルのあるビットの符号化を表すビットのシーケンス中の1のビット位置に対応しておらず、並べ替えステップが情報ベクトルおよびマスクベクトルの符号化を表すビットのシーケンスに対して異なる並べ替えを適用することを含み、当該並べ替えは、並べ替え後の情報ベクトルのビットの位置が並べ替え後の符号化されたマスクベクトルのビットのシーケンス中の1のビットに対応しているように適合されていること、
データの比較のために考慮に入れられない情報ベクトルのあるビットの符号化を表すビットのシーケンスがランダムに抽出された単一のビットまたはランダムに抽出されたビットおよび情報ベクトルのビットを含んでいること、
マスクベクトルのあるビット(m)の符号化を表すビットのシーケンスが
【0022】
【数2】
ビットのシーケンスYおよびマスクベクトルの該ビットを含み、ビットのシーケンスYは場合により
【0023】
【数3】
個の値
【0024】
【数4】
を有し、マスクベクトルのビットが0の場合、
【0025】
【数5】
を選択する確率
【0026】
【数6】
、およびマスクベクトルのビットが1の場合、
【0027】
【数7】
を選択する確率
【0028】
【数8】
は次のとおりである。
【0029】
【数9】
【0030】
ビットのシーケンスYによって表示され得る値が固定されているまたはランダムに抽出されたものであること、
マスクベクトルのあるビットの符号化を表すビットのシーケンス中の1のビットの数がn/2の統計的に一定の平均の重みを有していること、
並べ替えの適用後、本方法がさらに、符号化されたマスクベクトルの可逆行列による乗算を含んでいることである。
【0031】
本発明のさらなる主題は、前述の提示で記述された登録方法を実装することによって登録される少なくとも1つの生体データ項目を含むデータベースである。
【0032】
本発明のなおさらなる主題は、生体特徴のバイナリ情報ベクトル、および比較のために考慮に入れられる情報ベクトルのビットを決定するバイナリマスクベクトルを含む新しい生体データ項目を取得するための方法で、前記データ項目は前述の説明による方法を使用するデータベースに以前に登録されたデータ項目との比較のために取得され、
本方法は新しい生体データ項目への並べ替えの適用、いわゆる検証コードによる新しい生体データ項目の符号化を含み、並べ替えは符号化されたデータ項目に適用され、ここで、
前記符号化および並べ替えはそれぞれの符号化後のベースの新しいデータ項目とデータ項目間のハミング距離または加重したハミング距離の値を保持するように適合されており、
新しいデータ項目の符号化はベースに含まれる符号化されたベクトルのデータを表すシーケンスのビットの数に等しい数のビットを含むシーケンスによるデータベクトルの各ビットの表現を含んでおり、
新しいデータ項目に適用された並べ替えは登録の時にベースのデータ項目に適用された並べ替えと同一であり、
マスクベクトルのビットの表現はさらに、比較のために考慮に入れられる領域に対応するマスクベクトルのビットを表すビットの2つのシーケンスの論理積が単にゼロではないように適合されている。
【0033】
本発明のさらなる主題は、前述の提示に従いデータベースに登録されたデータ項目と比較するための新しい生体データ項目の取得を含み、新しい生体データ項目への並べ替えの適用およびいわゆる検証コードによる新しい生体データ項目の符号化を含むデータ処理方法で、並べ替えは符号化されたデータ項目に適用され、前記符号化および並べ替えは新しいデータ項目とそれぞれの符号化後のベースのデータ項目間のハミング距離または加重されたハミング距離の値を保持するように適用されており、本方法はさらに新しく符号化された生体データ項目とベースに登録されたデータ項目との比較を含み、前記比較は検証コードによって符号化された新しいデータ項目とベースの符号化されたデータ項目間の加重されたハミング距離の計算を含んでいる。
【0034】
しかし、任意選択で、本発明のデータ処理方法がさらに、次の特徴の少なくとも1つを含むことは利点となる。
【0035】
新しいデータ項目が生体特徴のバイナリ情報ベクトル、および比較のために考慮に入れられる情報ベクトルのそれらビットを決定するバイナリマスクベクトルを含み、新しいデータ項目の符号化がベースに含まれるデータの符号化されたベクトルを表すシーケンスのビットの数に等しい数のビットを含むシーケンスによるデータベクトルの各ビットの表現を含み、新しいデータ項目に適用される並べ替えは登録の時にベースのデータ項目に適用された並べ替えと同一であり、マスクベクトルのビットの表現も、比較のために考慮に入れられる領域に対応するマスクベクトルのビットを表すビットの2つのシーケンスの論理積が単にゼロではないように適合されていること、
データベースに登録された生体データ項目は前述の説明の方法を使用して登録されており、並べ替えの適用後、可逆行列による符号化されたマスクベクトルの乗算を含み、比較は次を含んでいる。
【0036】
ベースのデータ項目の登録の時にマスクベクトルで乗算された可逆行列の逆行列の生成、
ベースのデータ項目の符号化されたマスクベクトルを表すビットのシーケンスの逆行列による乗算、
検証コードによって符号化された新しいデータ項目と乗算後に取得されたベースの符号化されたデータ項目間の加重したハミング距離の計算。
【0037】
本発明の最後の主題は、前述の説明に従うデータベースと、2つのバイナリベクトルを含むデータ項目に適用するように適合された処理手段を備えるデータベースのための少なくとも1つの管理サーバとを備えるシステムで、登録符号化方法は次を含んでいる。
【0038】
いくつかのビットのシーケンスのマスクベクトルの各ビットの表現で、マスクベクトルのすべてのビットの表現の平均の重みが、マスクベクトルのビットの値に関係なく、一定であるような表現、および
ランダムに抽出された少なくとも1つのビットを含むシーケンスの情報ベクトルの各ビットの表現で、ランダムに抽出されたビットが情報ベクトルのビットと同じ分布則に従う表現。
【0039】
提案された登録方法は、符号化が、0または1ビットの位置を通して、例えば、虹彩のイメージのまぶたなどの生体データ項目の特徴点の位置を明らかにしないように、マスクベクトルのビットの分布をバランスさせるので、データベースに登録されたデータの安全性の向上が可能である。
【0040】
登録の符号化はさらに、このベクトルの符号化された表現にランダム成分を追加することによって、情報ベクトルの連続ビット間の関連の削除も可能にする。
【0041】
情報ベクトルに関して同じ分布則が維持されるということは、ランダム成分が検出不可能なであることを意味する。
【0042】
提案されている取得手段はさらに、データ間のハミング距離または加重したハミング距離の計算および検証の符号化を登録符号化に適合することによるといった、上述の方法を使用して、ベースに事前に登録されたデータ項目と新しいデータ項目の比較も可能にする。
【0043】
本発明の他の特徴、目的、および利点は、非制限的な例として付与されている添付図に関連した次の詳細な説明を読み取る時に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】データベースを備えるシステムを例示する図である。
図2】データベースにデータを登録するための方法の主なステップを例示する図である。
図3】新しいデータ項目を取得し、データベースと比較するための方法の主なステップを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
データ格納システム
図1を参照すると、システム1は、この文書の残りの部分でバイナリベクトルとも呼ばれるビットのシーケンスの形で、デジタルデータが記録、または登録されるデータベース10を含めて例示されている。
【0046】
好適には、データは、例えば、虹彩または静脈網のイメージなどの生体データである。
【0047】
各データ項目は2つのバイナリベクトル、つまり、人において取得される生体特徴についてのデータを含む第1のいわゆる情報ベクトルI、およびデータの比較を行うために、情報ベクトルの対応する部分が考慮に入れられる必要があるかどうかについての情報を含む第2のいわゆるマスクベクトルMを含んでいる。
【0048】
第1の実施形態によると、2つのバイナリベクトルIおよびMは同一のサイズからできている。したがって、各ベクトルI、Mはそれぞれインデックス付きビット、i、mのシーケンスを備え、マスクベクトルMのビットmの値は、情報ベクトルIの同じインデックスのビットiがデータの比較のために考慮に入れられる必要があるかどうかを示す。
【0049】
変形形態として、2つのベクトルIおよびMは異なるサイズからでき得る。例えば、生体特徴の地理的位置は、情報ベクトルIのいくつかのビットiおよびマスクベクトルの単一のビットmによって表され得る。
【0050】
次の例では、マスクベクトルMの1でのビットが情報ベクトルIの考慮に入れられる1つ以上のビットを示し、0でのビットが情報ベクトルIの考慮に入れられない1つ以上のビットを示している。虹彩のイメージの場合、これはまぶたまたはまつげによって隠される領域とし得る。
【0051】
システム1はさらに、データベース10への読み取りおよび書き込みアクセスを行うように適合されたベースを管理するためのサーバ11を備え、さらに、処理手段、例えば、以下で記述される登録の実施、および該当する場合には、新しいデータ項目の取得、並びにベースのデータ項目とこのデータ項目との比較を可能にするプロセッサを備えている。
【0052】
データベース10が生体データを格納するために使用される場合、このベース10はしたがって、人において取得された生体データを使用し、ベースのデータと比較して人の生体認証または識別を行うために使用される。
【0053】
システム1はさらに、取得された生体特徴に関連して選択された生体データセンサ12を備えている。
【0054】
このセンサ12はデータベース10に登録されるデータ項目を取得する、または認証または識別のためにベースのデータ項目と比較する新しいデータ項目を取得するために使用され得る。
【0055】
登録方法の提示
図2を参照すると、ベース10にデータ項目を登録するための方法100の説明がここで与えられている。
【0056】
この方法の第1のステップ110で、ベース10に登録されるデータ項目が取得される。このステップは、センサ12を使用して人においてデータ項目を取得したり、または別の媒体からデータ項目を回復したりすることによって実施され得る。例えば、このデータ項目は、管理サーバ11がアクセスできるネットワーク、または人の識別子文書などで入手可能であり得るはずである。
【0057】
したがって、回復されたデータ項目は、前述で記述された2つのバイナリベクトルIおよびMを含んでいる。
【0058】
次に、このデータ項目は、第1のいわゆる登録コードenc_enrolによって符号化120される。このステップは、管理サーバ11によって実行されることが好適であり、以下でより詳細に記述される。
【0059】
以下で記述するように、本方法は次に、符号化に適合され、好適には、情報およびマスクベクトルの符号化された表現と同一である、並べ替え130の適用を含んでいる。
【0060】
任意選択で、管理サーバはさらに、ステップ140でランダムに抽出された可逆行列Wによって符号化され、並べ替えられたマスクベクトルを乗算し得ることで、より複雑なものにするためのベクトルの変換を可能にし、開始データの検出をより困難にする。
【0061】
最終的に、ステップ150で、管理サーバ11は符号化されたデータ項目をデータベースに記録する。
【0062】
登録の符号化
登録の符号化ステップ120に戻り、この符号化は、2つのバイナリベクトルI、Mに異なる仕方で適用される。
【0063】
マスクベクトルMに適用される登録の符号化enc_enrolは、少なくとも2つのビットを含むビットのシーケンスによる該ベクトルの各ビットmの表現を含み、マスクベクトルの符号化されたビットを表すビットのシーケンスは、マスクベクトルのビットの値に関係なく、マスクベクトルの符号化全体で一定または統計的に一定の平均の重みを有している。
【0064】
統計的に一定の平均の重みということで、マスクベクトルMの符号化全体でのビットのシーケンスの平均の重みが固定値になる傾向があることを意味している。
【0065】
好適には、マスクベクトルのビットmの符号化を表すビットのシーケンスが、n個のビットを含み、その最初の
【0066】
【数10】
個のビットがベクトル
【0067】
【数11】
を形成し、最後が該マスクベクトルの該ビットである。
【0068】
ベクトルYは、これと
【0069】
【数12】
に対してある値、および
【0070】
【数13】
に対して別の値を関連付けることによって決定され固定され得るか、あるいは、
【0071】
【数14】
の1での(さらにしたがって0での)ビットの数が、mが0でも1でも、マスクベクトルMの符号化された表現で平均して一定であることに注意しつつ、ランダムに抽出され得る。
【0072】
この条件は、ベクトルYの可能な値が、値
【0073】
【数15】
【0074】
【数16】
であるように取得される確率
【0075】
【数17】
およびこの値が
【0076】
【数18】
であるように取得される確率
【0077】
【数19】
を関連付けることによって、
【0078】
【数20】
と書かれる場合に満たされ得るもので、確率
【0079】
【数21】
および
【0080】
【数22】
は次の制約を有している。
【0081】
【数23】
【0082】
ビットのシーケンスの重み(Weight)とはハミング重み、すなわち、シーケンス中の1のビットの数である。
【0083】
この条件は次の条件と同等である(したがって、第1の条件が満たされた場合に留意される)。
【0084】
【数24】
【0085】
提案されている符号化は、すなわち、比較のために考慮に入れられない情報ベクトルのビットに対応し、ビットを個別に考慮する場合は「マスクされない」位置から区別できない、「マスクされた」位置を表現することができる。
【0086】
マスクベクトルが符号化されない場合、2つのデータ項目の比較のために考慮に入れられる領域および考慮に入れられない領域についての情報を取得するには、ビットの値を調べることで十分である。
【0087】
しかし、マスクベクトルが符号化され、並べ替えがベクトルの表現のビットに適用される場合、それ自体のビットを考慮しても、このビットがマスクベクトルの1でのビットまたは0でのビットの表現から由来しているかどうかを述べることは不可能である。
【0088】
例えば、マスクベクトルの符号化は次のように行われ得る。
【0089】
【数25】
【0090】
代替方法として、マスクベクトルのビットが3つのビットのシーケンスで符号化される場合、符号化は、0におけるあるビットの表現、110、100、010、または000、およびそれぞれ、1におけるあるビットの表現、111、101、011、または001を含み得る。
【0091】
これの結果:
【0092】
【数26】
【0093】
例えば、確率
【0094】
【数27】
を次のように選択することは可能である。
【0095】
【数28】
【0096】
Yシーケンスのビットの数が高ければ高いほど、データの符号化はより安全になる。
【0097】
ベース内の符号化されたデータのさらに向上した保護を可能にする追加の条件は、マスクベクトルのビットのすべての符号化した表現に対して、mが0に等しくても1に等しくても、表現
【0098】
【数29】
の重みがn/2での平均で固定されることである(ここで、nはビットの符号化を表すビットのシーケンスの長さである)。上記の例によると、n/2の統計的に一定の平均重みは、データの平均の重みが統計的にn/2に等しくなるように、確率
【0099】
【数30】
を適合させることによって取得される。
【0100】
情報ベクトルに適用される登録の符号化enc_enrolに関して、これは、該ベクトル中の各ビットの表現を含んでいるが、その表現は、ランダムに抽出された少なくとも1つのビットを含むビットのシーケンスによるものであり、ランダムに抽出されたビットは情報ベクトルと同じ分布則に従っている。
【0101】
そのため、符号化されたデータ項目でそこから情報を抽出する可能性を排除するために、情報ベクトルの連続ビット間の相関関係を削除することが可能である。
【0102】
好適には、すなわちマスクベクトルの1の位置でのビットに対応するビットの前述の例に従い、考慮に入れられる情報ベクトルビットの符号化がランダムに抽出された少なくとも1つのビットおよび情報ベクトルの最初のビットを含むことは利点となる。こうして、本発明の実施形態の一利点となる例に従い、ハミング距離または加重したハミング距離を計算するか、またはこの分野でよく使用される別の比較関数を計算することによって2つのデータ項目間の比較の後続の実行のために、情報ベクトルに含まれる情報を格納することが可能である。
【0103】
好適には、ビットのシーケンスの情報ベクトルの最初のビットの位置がマスクベクトルで対応するビットの符号化を表すビットのシーケンス中の1のビット位置に対応する。それによって、ハミング距離を計算するためにベクトルに含まれる情報を格納することによって、データ項目の符号化時にこの距離を保持することが可能である。
【0104】
しかし、マスクされた領域に対応する情報ベクトルのビット(したがって、この例では、マスクベクトルの0でのビットに対応)がおそらくベクトルの最初のビットを含んでいない可能性があり、1つ以上のランダムに抽出されたビットに限定され得る。
【0105】
代替方法として、情報ベクトルのビットの符号化でまったく区別をしないために、比較のために考慮に入れられないビットの符号化された表現はそれでも、最初のビットおよびランダムに抽出された1つ以上のビットを含んでいる。例えば、情報ベクトルの登録の符号化の好適な実施形態は、マスクベクトルの前の符号化に適合されており、ビット
【0106】
【数31】
のシーケンスによって情報ベクトルの各ビットの表現を含み、ここで、
【0107】
【数32】
で、iは情報ベクトルのビットである。
【0108】
【数33】
はランダムビットであるが、それらは情報ベクトルのiビットの分布を尊重する。したがって、例えば、確率
【0109】
【数34】
の場合には、
【0110】
【数35】
ビットは、それが0に等しい確率が同じくηに従って抽出される。
【0111】
バイナリベクトルを表現する2つのビットのシーケンスの前に与えられた例に戻ると、次の符号化が取得される。
【0112】
【数36】
ここで、aおよびa’はランダムに抽出されたビットで、情報ベクトルのビットの分布に従っている。
【0113】
さらに、バイナリベクトルを表現する3つのビットのシーケンスの前に与えられた例に戻ると、次の符号化が取得される。
【0114】
【数37】
【0115】
ここで再び、情報ベクトルのビットの符号化された表現に対する並べ替えの適用によって、ビットを個別に考慮する場合、最初にビットで情報を取得することはまったく不可能になる。
【0116】
代替の実施形態によると、ビットのシーケンスの情報ベクトルの最初のビットの位置はマスクベクトルの対応するビットの符号化を表すビットのシーケンス中の1のビット位置に対応していないが、この場合、ベクトルIおよびMのビットの符号化されたシーケンスにステップ130で適用された並べ替えは異なっており、並べ替えの適用後、情報ベクトルのビットの位置がマスクベクトルの符号化を表すビットのシーケンスの並べ替え後の1のビット位置に対応するように適合されている。
【0117】
このことは一般に、情報ベクトルのビットが考慮に入れられるビットか(1でのマスクビット)、またはそうではないか(0でのマスクビット)のいずれかに当てはまる。
【0118】
この変形形態では、データ項目間のハミング距離の値の維持も可能である。
【0119】
図3を参照すると、次に、新しいデータ項目、好適には、前述の方法を使用してデータベース10に登録されたデータ項目との比較のための生体データ項目を取得のための方法200の説明が与えられている。
【0120】
この方法は、符号化されたデータ項目でハミング距離(加重したハミング距離を含む)の計算を可能することによって、符号化前後の2つのデータ項目間のこの距離の結果を格納するための前述の登録方法に適合されている。
【0121】
そのようにするために、方法200は新しいデータ項目を取得するための第1のステップ210を含んでいる。このステップは、好適には、人において生体特徴を取得することによりセンサ12を使用して実施され、次に、データ項目を管理サーバ11に転送する。代替方法として、このステップはネットワークまたはID文書から生体データ項目を回復することによって行われる。
【0122】
登録方法によって処理されたデータなどの取得されたデータは、同一のサイズの2つのベクトル、つまり、情報ベクトルおよびマスクベクトルを含んでいる。これらのベクトルのサイズは、登録方法100により処理されたデータ項目のベクトルのサイズとも同一である。
【0123】
次に方法200は、データ項目を符号化するための符号化ステップ220を含んでおり、こうして、いわゆる検証コードenc_verifを使用して取得され、これは、登録コードとは異なり得、さらにデータ項目間のハミング距離を維持するため後者に適合されている。
【0124】
この点で、情報ベクトルおよびマスクベクトルのビットの各符号化された表現は、登録されたデータ項目の符号化された情報およびマスクベクトルをそれぞれ表すビットのシーケンスと同じ数のビットを含んでいる。
【0125】
追加的に、マスクベクトルのビットの符号化は、比較のために考慮に入れられる情報ベクトルの領域に対応するビットの論理積が単にゼロではないように適合されている。
【0126】
加重したハミング距離は実際には、次のように記述される。
【0127】
【数38】
【0128】
前述の例によると、マスクベクトルm、m’の1でのビットが生体特徴の隠されていない領域に対応していて、比較のために考慮に入れられ、マスクのビットの登録の符号化が
【0129】
【数39】
と記述されされており、新しいデータ項目のマスクベクトルのビットm’の符号化が
【0130】
【数40】
であることは利点となる。
【0131】
2つのビットで登録の符号化が実施される前述の例に戻ると、したがって検証コードenc_verifは次のとおりになる。
【0132】
【数41】
【0133】
したがって、2つの最初のマスクビットは、次のように、ゼロではない論理積を有する1に位置する必要がある。
【0134】
【数42】
【0135】
情報ベクトルの検証の符号化(enc_verif)については、取得されたシーケンスが登録コードによって符号化されたシーケンスと同じ数のビットを有し、比較のために考慮に入れられる領域に対応するビットの表現がマスクベクトルの対応するビットの符号化された表現の1でのビットに面する位置に前記ビットを含んでいることで十分である。
【0136】
情報ビットの登録の符号化が
【0137】
【数43】
と記述される前述の例によると、新しいデータ項目の情報ビットi’の符号化がタイプ
【0138】
【数44】
からでき得、ここで、
【0139】
【数45】
で、
【0140】
【数46】
ビットはランダムに抽出される。
【0141】
したがって次の符号化は前述の例に従って取得される。
【0142】
【数47】
【0143】
それによって、情報ベクトルおよびマスクベクトルの同じ1つの最初のビットを表すビットのシーケンスのビットを区別することが可能になる。したがって、ビットを個別に調べる場合、このビットが符号化されたシーケンスの一部を形成するビットの最初の値から類推することは不可能である。
【0144】
次に、方法200は、情報およびマスクベクトルの符号化された表現に対する、管理サーバ11による登録されたデータ項目に適用されたものと同じ並べ替えの適用220を含んでいる。
【0145】
このことで、符号化されたデータのハミング距離を計算することによる取得されたデータ項目とベースのデータ項目間の後続の比較300が可能になる。
【0146】
この目的のため、ベースの管理サーバ11は符号化および並べ替えられた形でベースに記録されたデータ項目を回復する(310)。
【0147】
任意選択で、データベース10のデータの登録は可逆行列による符号化および並べ替えられたマスクベクトルの乗算を含む場合、方法200はさらに、可逆行列の逆行列の計算320、および符号化および並べ替えられたマスクベクトルに対応するベースに記録されたビットのシーケンスの逆行列による乗算も含んでいる。
【0148】
最終的に、管理サーバ11は上記で与えられた公式に従ってそれらの間の加重したハミング距離を計算することによって、2つのデータ項目間の比較を行う(330)。
【0149】
マスクベクトルの符号化それから並べ替えによって、提案された方法はしたがって、ビットが個別に調べられる場合、マスクされない領域から区別できないマスクされた領域を表示でき、情報ベクトルを符号化することによって、本方法は情報ベクトルの2つの連続ビット間の関連を排除する。
【0150】
加えて、登録の符号化および検証の符号化により、より高速の比較を可能にする、符号化の時点でのハミング距離の値が維持される。
【符号の説明】
【0151】
1 システム
10 データベース
11 管理サーバ
12 生体データセンサ
A、i、m、m’ ビット
I 情報ベクトル
M マスクベクトル
W 可逆行列
Y ベクトル
、α、β、η 確率
enc_enrol 登録コード
enc_verif 検証コード
i’ 情報ビット
x ペア
図1
図2
図3