特許第6650265号(P6650265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6650265
(24)【登録日】2020年1月22日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】半田ごて
(51)【国際特許分類】
   B23K 3/03 20060101AFI20200210BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20200210BHJP
【FI】
   B23K3/03 B
   B23K3/03 A
   B23K1/00 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-256984(P2015-256984)
(22)【出願日】2015年12月28日
(65)【公開番号】特開2017-119293(P2017-119293A)
(43)【公開日】2017年7月6日
【審査請求日】2018年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204136
【氏名又は名称】太洋電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(72)【発明者】
【氏名】片岡 栄一郎
(72)【発明者】
【氏名】茂川 知寛
(72)【発明者】
【氏名】福山 育子
(72)【発明者】
【氏名】西村 知子
(72)【発明者】
【氏名】井上 健斗
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平3−8566(JP,A)
【文献】 米国特許第5408072(US,A)
【文献】 特開2004−314111(JP,A)
【文献】 英国特許出願公告第1289816(GB,A)
【文献】 特開昭53−64647(JP,A)
【文献】 特開平6−304747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 1/00 − 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端が半田を溶融可能に構成されたこて先を備えた半田ごてであって、
前記こて先は、内部に長手方向に沿って延びる空洞を有するこて先本体と、
前記空洞に収容される絶縁管と、
前記こて先本体を加熱するヒータ線と、
前記絶縁管の先端側に配される温度検出部および該温度検出部から延びるセンサ線とからなり前記こて先の先端側の温度を検出する温度センサと、を少なくとも有し、
前記ヒータ線は、前記こて先の先端に向けて延びる往路部と、前記空洞内における前記こて先の先端近傍で前記往路部が折り返された部分と前記往路部が折り返された部分から前記絶縁管の外周面にコイル状に巻回されつつ前記こて先の基端に向けて延びる復路部とを有し、
前記絶縁管は、前記ヒータ線の往路部を収容するヒータ線穴と、前記センサ線を収容するセンサ線穴とが、それぞれ独立して形成されており、
前記復路部は、前記往路部の周囲に配され、
前記温度検出部と前記ヒータ線の前記往路部が折り返された部分との間は、前記長手方向に沿って離間していることを特徴とする半田ごて。
【請求項2】
前記センサ線穴は、前記温度センサの陽極側センサ線を収容する第一センサ線穴と、前記温度センサの陰極側センサ線を収容する第二センサ線穴と、からなることを特徴とする請求項1記載の半田ごて。
【請求項3】
前記絶縁管は、前記ヒータ線が外周面にコイル状に巻回される絶縁管本体と、該絶縁管本体の一端側、他端側の少なくとも一方に隣接して配され、該絶縁管本体部よりも小さな断面径で、かつ前記センサ線穴が形成された絶縁管補助部とからなることを特徴とする請求項1または2記載の半田ごて。
【請求項4】
前記こて先本体は、外径が5mm未満であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか一項記載の半田ごて。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半田ごてに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半田ごてのこて先にあっては、熱伝導性の有する材料を長手方向に沿って延びる空洞を有するこて先本体とし、そのこて先本体の内部にヒータおよび温度制御用の温度センサを内蔵させたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、基板上の極小LSI等をロウ付けするなど、近年の表面実装技術においては、そのロウ付けさせたい部位と、溶融させたくない部位とが、極小範囲で配置されている。そのため、このようなロウ付けを行うにあたっては、その極小範囲に的確にこて先を当てることができるように、直径ができるだけ小さなこて先を備えた半田ごてが望まれている。従来、こうした小型の半田ごてとして、例えば、特許文献2に記載された構成の半田ごてが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−17060号公報
【特許文献2】特開2006−150365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に開示された半田ごては、外周面にヒータ線を巻回させる第1円筒部材の内側に、温度センサのセンサ線を保護する第2円筒部材を設けた構成となっている。このような二重管構造の半田ごての場合、こて先の大幅な小径化に限界があるという課題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、簡易な構成で、こて先の小径化が可能な半田ごてを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の半田ごては、以下の構成を有する。
先端が半田を溶融可能に構成されたこて先を備えた半田ごてであって、前記こて先は、内部に長手方向に沿って延びる空洞を有するこて先本体と、前記空洞に収容される絶縁管と、前記こて先本体を加熱するヒータ線と、前記絶縁管の先端側に配される温度検出部および該温度検出部から延びるセンサ線とからなり前記こて先の先端側の温度を検出する温度センサと、を少なくとも有し、前記ヒータ線は、前記こて先の先端に向けて延びる往路部と、前記空洞内における前記こて先の先端近傍で前記往路部が折り返された部分と前記往路部が折り返された部分から前記絶縁管の外周面にコイル状に巻回されつつ前記こて先の基端に向けて延びる復路部とを有し、前記絶縁管は、前記ヒータ線の往路部を収容するヒータ線穴と、前記センサ線を収容するセンサ線穴とが、それぞれ独立して形成されており、前記復路部は、前記往路部の周囲に配され、前記温度検出部と前記ヒータ線の前記往路部が折り返された部分との間は、前記長手方向に沿って離間していることを特徴とする。
【0008】
上述した構成の半田ごてによれば、こて先本体の内部に、ヒータ線の往路部を収容するヒータ線穴と、温度センサのセンサ線を収容するセンサ線穴とを形成した絶縁体からなる絶縁管を設けている。こうした構成によって、従来のように、外周面にヒータ線を巻回させる円筒部材と、温度センサのセンサ線を保護する円筒部材の2重管構造と比べて、こて先の絶縁管が単管構造となり、こて先の構造を簡易にすることができる。
【0009】
前記センサ線穴は、前記温度センサの陽極側センサ線を収容する第一センサ線穴と、前記温度センサの陰極側センサ線を収容する第二センサ線穴と、からなることを特徴とする。
【0010】
前記絶縁管は、前記ヒータ線が外周面にコイル状に巻回される絶縁管本体と、該絶縁管本体の一端側、他端側の少なくとも一方に隣接して配され、該絶縁管本体部よりも小さな断面径で、かつ前記センサ線穴が形成された絶縁管補助部とからなることを特徴とする。
【0011】
前記こて先本体は、外径が5mm未満であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の半田ごてによれば、簡易な構成でヒータ線および温度センサを含むこて先の小径化が可能な半田ごてを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第一実施形態に係る半田ごてを示す外観斜視図である。
図2】こて先を示す断面図である。
図3図2のA−A’線での断面図である。
図4】絶縁管を示す斜視図である。
図5】ヒータ線を示す斜視図である。
図6】本発明の第二実施形態に係る絶縁管を示す斜視図である。
図7】本発明の第三実施形態に係る絶縁管を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した一実施形態である半田ごてについて図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0015】
以下に、本発明に係る半田ごての実施の形態について説明する。
(第一実施形態)
図1は本発明の第一実施形態に係る半田ごてを示す外観斜視図である。図2はこて先を示す断面図である。また、図3は、図2のA−A’線での断面図である。
半田ごて10は、その先端部11aで低融点合金である半田を溶融し、はんだ付けしたり、付けられていた半田を取り除いたりすることを目的として使用されるものである。半田ごて10は、大まかに分けて、先端11aで半田を溶融可能にされたこて先11と、そのこて先11の基端11b側に、こて先11と一体とされるように設けられるこて本体12とから構成されている。
【0016】
また、こて本体12の基端12bには、ゴムで形成されたコードアーマ13が取り付けられている。そして、このコードアーマ13には、電源と接続可能なコード14が貫通形成されている。なお、以下の説明において、単に「先端」と称する場合は、その部材のこて先11の先端11a方向の端部を意味し、単に「基端」と称する場合は、その部材のこて本体12の基端12b方向の端部を意味する。
【0017】
こて先11は、図2に示すように、大きく分けて、こて先本体21と、このこて先本体21に内蔵される加熱装置22と、こて先本体21の先端21aの反対側となる基端21bの近傍を被覆するように設けられたグリップ部23(図1参照)とから構成されている。
【0018】
こて先本体21は、内部が空洞にされた外装体25と、この外装体25の内部に挿入される加熱装置22とを備えている。また、外装体25の先端は、こて先11の先端11aとされている。
【0019】
本実施形態では、外装体25は鉄によって形成されている。なお、外装体25は、ステンレス合金、銅、銅合金、銀、銀合金などによって形成することもできる。また、外装体25と加熱装置22との隙間には、熱伝導性のよい絶縁体、例えばセラミックスなどからなる充填材29が形成されている。
【0020】
加熱装置22は、絶縁材料、例えばセラミックスからなる絶縁管31と、こて先本体21を加熱するヒータ線32と、こて先本体21の先端側、即ちこて先11の先端11aの温度を検出する温度センサ33とを有している。ヒータ線32は、こて先11の先端11aに向けて延びる往路部32aと、こて先11の先端11aの近傍で往路部32aが折り返されて、こて先11の基端11bに向けて延びる復路部32bとを有する。なお、こうしたヒータ線32の往路部32aと復路部32bとは、一連の電熱線からなる。電熱線としては、例えば、アルミニウム含有鉄クロム合金、タングステン線、ニクロム線などが挙げられる。
【0021】
ヒータ線32の往路部32aは、後述する絶縁管31に形成されたヒータ線穴41に収容されている。また、ヒータ線32の復路部32bは、絶縁管31の外周面に巻回されている。また、ヒータ線32の往路部32aおよび復路部32bは、こて先本体21の基端21b側において、接片37a,37bを介して電力線38a,38bに接続されている。これにより、ヒータ線32は、電力線38a,38bから電力が供給されることで発熱し、充填材29を介してこて先11の先端11aを加熱することができる。
【0022】
なお、ヒーター線32は、絶縁性を高めるために表面を焼成するなどして酸化膜によって被覆することもできる。これにより、より配置密度を高くすることができ、ヒータ線やセンサ線やセンサ線どうしの間隔を詰めて配置することができる。これによって、より小さなこて先にすることも可能であり、ヒータ線の密度が高いので、熱効率を良くすることができる。
【0023】
温度センサ33は、絶縁管31の先端側に配される温度検出部34と、この温度検出部34から延びる2本のセンサ線35とからなる。温度検出部34は、加熱装置22の先端側に配される。温度検出部34は、例えば、アルメル−クロメル接合体などのK型熱電対、クロメル−コンスタンタン接合体などのE型熱電対、鉄−コンスタンタン接合体などのJ型熱電対および、熱電対と同等の働きをするセンサを用いることができる。
【0024】
温度センサ33の温度検出部34は、こて先25に当接させるように形成することで、こて先25の温度をより正確に検出することができる。なお、並列、直列に温度センサを形成する場合には、温度検出部34をこて先25に接触させないようにする。
【0025】
センサ線35は、導線35Aと、これを覆う絶縁被覆35Bとから構成される。2本のセンサ線35のうち、一方は陽極側センサ線35a、他方は陰極側センサ線35bを構成する。これら陽極側センサ線35a、陰極側センサ線35bは、後述する絶縁管31に形成された第一センサ線穴42、第二センサ線穴43にそれぞれ収容されている。
【0026】
図4は、絶縁管を示す外観斜視図である。このうち、図4(a)は、絶縁管を先端側から見た時の外観斜視図、図4(b)は、絶縁管を基端側から見た時の外観斜視図である。
絶縁管31は、全体が例えばセラミックスから形成された略円筒形の部材である。絶縁管31には、絶縁管31の長手方向に沿って延びるヒータ線穴41、第一センサ線穴42、および第二センサ線穴43の3つの穴が形成されている。このうち、ヒータ線穴41には、ヒータ線32の往路部32aが収容される。また、第一センサ線穴42には陽極側センサ線35aが、また、第二センサ線穴43には陰極側センサ線35bがそれぞれ収容される。
【0027】
また、絶縁管31の先端側(一端側)31aおよび基端側(他端側)31bには、それぞれ切欠部44,45がそれぞれ形成されている。切欠部44,45は、それぞれ略円筒形の部材を直径方向に半分程度切り欠いた形状を成し、長手方向に直角な断面が半円形を成している。そして、それぞれの切欠部44,45には、平坦面44a,45aが形成されている。
【0028】
絶縁管31のヒータ線穴41は、切欠部44,45にそれぞれ開口41a,41bが形成されている。一方、第一センサ線穴42、および第二センサ線穴43は、絶縁管31の先端側(一端側)31aおよび基端側(他端側)31bにそれぞれ開口42a,42b,43a,43bが形成されている。
即ち、ヒータ線穴41は、第一センサ線穴42、および第二センサ線穴43よりも穴の全長が短く、切欠部44の平坦面44a、および切欠部45の平坦面45aにおいては、ヒータ線32が露呈される。
【0029】
また、絶縁管31の切欠部44と切欠部45との間の断面が円形の領域の外周面には、ヒータ線32の復路部32bがコイル状に巻回される。なお、図5にヒータ線32だけの外観斜視図を示す。
【0030】
以上のような構成の半田ごて10の作用、効果について説明する。
本発明の半田ごて10では、こて先本体21を構成する外装体25の内部に、ヒータ線穴41、第一センサ線穴42、および第二センサ線穴43の3つの穴(配線穴)を形成した、絶縁体からなる絶縁管31を設けている。そして、この絶縁管31のヒータ線穴41にヒータ線32の往路部32aを、第一センサ線穴42に陽極側センサ線35aを、第二センサ線穴43に陰極側センサ線35bをそれぞれ収容されている。こうした構成によって、半田ごて10のこて先11を小径化することが可能になる。例えば、本発明の半田ごて10のこて先本体21の外径を5mm未満にすることができる。
【0031】
即ち、従来のように、外周面にヒータ線を巻回させる円筒部材と、温度センサのセンサ線を保護する円筒部材の2重管構造では、こて先の小径化に限界があったが、本発明のように、絶縁管31の外周面にヒータ線32を巻き付け、かつ、内部に温度センサ33の2本のセンサ線35a,35bとヒータ線とを通すことによって、こて先10の内部が単管構造となり、こて先の大幅な小径化を可能にする。よって、極小LSI等が密に配置された表面実装構造などにおいて、半田付け箇所の周囲にこて先11が干渉することなく、容易に極小な半田付け箇所の半田付けを行うことができる。
【0032】
また、セラミックスなどからなる絶縁管31に設けた第一センサ線穴42、第二センサ線穴43に2本のセンサ線35a,35bを通すことによって、ヒータ線32が通電した高温状態においても、これらセンサ線35a,35bとヒータ線32との間の絶縁を確実に行うことができる。
【0033】
また、絶縁管31の先端側(一端側)31aに切欠部44を形成し、この切欠部44にヒータ線穴41の開口41aを設けることによって、温度センサ33の温度検出部34とヒータ線32の先端側との離間距離を安定して保つことができる。
【0034】
また、絶縁管31の基端側(他端側)31bに切欠部45を形成し、この切欠部45にヒータ線穴41の開口41bを設けることによって、絶縁管31の基端側(他端側)31bの端面から引き出される温度センサ33の陽極側センサ線35aや陰極側センサ線35bの露呈部分と、ヒータ線32の基端側との間に長い離間距離を保つことができる。これによって、こて先本体21の基端21b側において、ヒータ線32と、温度センサ33の陽極側センサ線35aや陰極側センサ線35bとの間の絶縁性を確実に確保することができる。
【0035】
更に、絶縁管31の基端側(他端側)31bに、平坦面45aを備えた切欠部45を形成することによって、ヒータ線32を巻回させた復路部32bと、ヒータ線32の往路部32aとの絶縁性をより確実に確保することができる。
【0036】
なお、絶縁管は、長手方向の一端側、他端側の少なくとも一方に切欠部が形成されていればよい。また、切欠部は、長手方向に沿って広がる平坦面を備えていればよい。また、切欠部には、ヒータ線穴の一方の開口が形成されていればよい。
【0037】
(第二実施形態)
図6は、本発明の第二実施形態に係る絶縁管の形態を示す斜視図である。なお、第一実施形態と同様の構成には同一の番号を付し、その一部は図示を省略する(図2を参照)。
この実施形態は、第一実施形態における絶縁管の切欠部の領域を別部材にしたものである。即ち、第二実施形態の絶縁管51は、ヒータ線32が外周面にコイル状に巻回される、断面が略円形の絶縁管本体部52と、この絶縁管本体部52の先端側(一端側)51aおよび基端側(他端側)51bにそれぞれ隣接して配される絶縁管補助部53,54とからなる。
【0038】
絶縁管本体部52には、ヒータ線32の往路部32aが収容されるヒータ線穴41と、温度センサ33の陽極側センサ線35a、および陰極側センサ線35bがそれぞれ収容される第一センサ線穴42、第二センサ線穴43が形成されている。
【0039】
絶縁管補助部53,54は、絶縁管本体部52よりも小さな断面径、例えば、断面が略半円形になるように形成され、それぞれ平坦面55a,55bを備えている。そして、この絶縁管補助部53,54には、温度センサ33の陽極側センサ線35a、および陰極側センサ線35bがそれぞれ収容される第一センサ線穴42、第二センサ線穴43が形成されている。
このように、第一実施形態における絶縁管の切欠部に相当する領域を絶縁管補助部53,54として絶縁管本体部52とは別部材にすることで、切欠部を形成する場合と比較して、絶縁管51を容易に製造することができる。
【0040】
なお、第二実施形態における絶縁管補助部53,54を、更に分割された小領域を組み合わせて構成することもできる。
【0041】
(第三実施形態)
図7は、本発明の第三実施形態に係る絶縁管の形態を示す斜視図である。なお、第一実施形態と同様の構成には同一の番号を付し、その一部は図示を省略する(図2を参照)。
この実施形態は、第一実施形態における絶縁管の切欠部を省略し、外形が一様な円筒管にしたものである。即ち、第三実施形態の絶縁管61は断面が略円形を成し、ヒータ線32が外周面にコイル状に巻回される。
【0042】
絶縁管61には、ヒータ線32の往路部32aが収容されるヒータ線穴63と、温度センサ33の陽極側センサ線35a、および陰極側センサ線35bがそれぞれ収容される第一センサ線穴64、第二センサ線穴65がそれぞれ形成されている。
【0043】
このように、先端側から基端側まで断面が一律に略円形の絶縁管61とすることで、絶縁管の製造が容易になり、半田ごての製造コストを低減することができる。
【0044】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0045】
例えば、実施形態では温度センサ33の陽極側センサ線35aと陰極側センサ線35bを、それぞれ独立して収容する第一センサ線穴42、第二センサ線穴43を形成しているが、これら陽極側センサ線と陰極側センサ線とを一括して収容する1つの穴(例えば、断面が楕円形の穴)を形成することもできる。これによって、絶縁管に形成する穴の数を更に少なくする(例えば2つ)ことができ、こて先の更なる小径化を図ることもできる。 また、絶縁管に形成する穴の数を4つ以上にすることもできる。
【0046】
以上、説明した本発明の半田ごては、上述した実施形態以外にも、例えば、互いに開閉可能な2本のこて先を備えた、電子部品の脱着用のホットピンセット(半田ごて)にも適用することができる。これによって、微細な電子部品を把持、取り外しが可能な脱着用のホットピンセットを実現できる。
【符号の説明】
【0047】
10 半田ごて
11 こて先
21 こて先本体
22 加熱装置
25 外装体
31 絶縁管
32 ヒータ線
33 温度センサ
35 センサ線
41 ヒータ線穴
42 第一センサ線穴
43 第二センサ線穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7