特許第6650350号(P6650350)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6650350ズリ搬出装置およびこれを用いた施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6650350
(24)【登録日】2020年1月22日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】ズリ搬出装置およびこれを用いた施工方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/12 20060101AFI20200210BHJP
   E21D 9/00 20060101ALI20200210BHJP
【FI】
   E21D9/12 B
   E21D9/00 C
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-121554(P2016-121554)
(22)【出願日】2016年6月20日
(65)【公開番号】特開2017-226957(P2017-226957A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2019年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000158389
【氏名又は名称】岩田地崎建設 株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】594036135
【氏名又は名称】株式会社東宏
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】河村 巧
(72)【発明者】
【氏名】遠田 康英
(72)【発明者】
【氏名】小林 雅彦
【審査官】 富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−138796(JP,A)
【文献】 特公昭46−010402(JP,B1)
【文献】 特開平06−212889(JP,A)
【文献】 特開昭60−188600(JP,A)
【文献】 特開昭57−140498(JP,A)
【文献】 米国特許第04767253(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G47/80、
47/84−47/86、
47/90−47/96
B65H11/00−11/02
E21C25/00−51/00
E21D1/00−9/14
E21F1/00−17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル掘削工事において、切羽より発生したズリを、後続工程に影響しない位置に搬送するための、ズリ搬出装置であって、
前後進可能な搬送デッキを備え、
前記搬送デッキの左右の一側には通行部を有し、他側にはズリの仮置部を有し、
前記通行部は、前記通行部上のズリを前記仮置部に排出可能な、掃出機構を備えることを特徴とする、
ズリ搬出装置。
【請求項2】
ベース体をさらに備え、前記搬送デッキは、前記ベース体上に前後進可能に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のズリ搬出装置。
【請求項3】
前記ベース体は、前ベースと、後ベースと、を有し、前記前ベースと前記後ベースの間に、両者間を伸縮可能なスライド機構が介在することを特徴とする、請求項2に記載のズリ搬出装置。
【請求項4】
前記搬送デッキの後端に、掛止フックを備え、前記ベース体の上面に、掛止ラックを備え、前記掛止フックは、前記掛止ラックに係合可能な爪部と、前記爪部を前記搬送デッキへ引き寄せ可能な引張機構と、を備えることを特徴とする、請求項2または3に記載のズリ搬出装置。
【請求項5】
前記掃出機構はダンプ機構であり、前記ダンプ機構は、前記通行部の天板を前記仮置部側に傾斜可能に構成されていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のズリ搬出装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のズリ搬出装置を用いたトンネル掘削工事の施工方法であって、
トンネルの切羽前面に前記搬送デッキを設置する、設置工程と、
切羽を破砕する、破砕工程と、
破砕によって発生したズリを、前記搬送デッキで坑口側へ搬送する、搬送工程と、
前記通行部上のズリを前記仮置部へ排出する、排出工程と、
切羽付近で後工程を行う作業車を、前記通行部上を走行して切羽側へ通過させる、通過工程と、を備えることを特徴とする、
施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズリ搬出装置と、これを用いたトンネル掘削工事の施工方法に係る。
【背景技術】
【0002】
山岳トンネルの掘削工事は通常、(1)削孔、(2)装薬、(3)発破、(4)浮石処理(5)、ズリ輸送(6)、吹付け、(7)支保工建込み、(8)ロックボルト打設、などの一連の工程を1サイクルとし、このサイクルの繰り返しでトンネルを掘進してゆく。
坑内の空間は限られている一方、工程ごとに異なった種類の重機が必要となるため、これらの工程間の連携や重機の入れ替えの段取りが、施工上の要点になっている。
なかでもズリの輸送工程は、早期に切羽付近に作業空間を確保しないと、後続する吹付工や支保工、ロックボルト工などに着手できないため、これを迅速かつ効率よく行うための各種の技術が開発されている。
【0003】
特許文献1には、発破によって生じたズリをショベルローダーで移動式クラッシャに供給し、これを破砕後にベルトコンベアで坑外に輸送する施工方法が開示されている。
特許文献2には、同様の工法においてショベルローダーの台数を増やし、作業効率を高める施工方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−212888号公報
【特許文献2】特開平6−212889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来技術には次のような欠点がある。
<1>切羽からクラッシャまでの空間を工事車両が往復するため、作業中に車両や作業員が立ち入れない。よって、搬出作業が完了するまで他の作業に着手できず、無駄な手待ち時間が生じる。
<2>大量のズリを全てクラッシャへ搬送するまでに複数の工事車両を何回も往復させる必要がある。よって、作業時間が長く、作業効率が悪い。
<3>トンネルの坑内は狭いため、工事車両の取り回しが難しく、作業効率が悪い。また工事車両を複数台使用する場合、作業が錯綜し、車両同士が接触する可能性がある。
<4>切羽前面に積み上げられたズリを少量ずつ掬い取る方法なので、ズリをきれいに回収することができない。よって、作業後も床面にズリが残り、工事車両が乗り上げたり、作業の邪魔になることがある。
<5>坑内の床面には不陸があるため、工事車両が円滑に運行できない。また、搬送中の振動によりズリがこぼれ落ちることがある。
<6>工事車両による排気ガスで坑内の空気環境が悪化しやすい。
【0006】
本発明の目的は、これら従来技術の課題を解決するズリ搬出装置およびこれを用いた施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような課題を解決するための本発明のズリ搬出装置は、トンネル掘削工事において、切羽より発生したズリを、後続工程に影響しない位置に搬送するための、ズリ搬出装置であって、前後進可能な搬送デッキを備え、搬送デッキの左右の一側には通行部を有し、他側にはズリの仮置部を有し、通行部は、通行部上のズリを仮置部に排出可能な、掃出機構を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明のズリ搬出装置は、ベース体をさらに備え、搬送デッキは、ベース体上に前後進可能に配置されていてもよい。
【0009】
本発明のズリ搬出装置は、ベース体は、前ベースと、後ベースと、を有し、前ベースと後ベースの間に、両者間を伸縮可能なスライド機構が介在してもよい。
【0010】
本発明のズリ搬出装置は、搬送デッキの後端に、掛止フックを備え、ベース体の上面に、掛止ラックを備え、掛止フックは、掛止ラックに係合可能な爪部と、爪部を記搬送デッキへ引き寄せ可能な引張機構と、を備えてもよい。
【0011】
本発明のズリ搬出装置は、掃出機構はダンプ機構であり、ダンプ機構は、通行部の天板を仮置部側に傾斜可能に構成されていてもよい。
【0012】
本発明のズリ搬出装置を用いたトンネル掘削工事の施工方法は、トンネルの切羽前面に搬送デッキを設置する設置工程と、切羽を破砕する破砕工程と、破砕によって発生したズリを搬送デッキで坑口側へ搬送する搬送工程と、通行部上のズリを仮置部へ排出する排出工程と、切羽付近で後工程を行う作業車を通行部上を走行して切羽側へ通過させる通過工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のズリ搬出装置およびこれを用いた施工方法は、以上の構成を有するため、次の効果の少なくともひとつを備える。
<1>まず切羽のズリを仮置場へ搬出し、ズリの破砕と坑外への輸送は仮置場で行う。よって、モルタル吹付などの後続工程を、ズリの破砕・輸送の作業と並行して行うことができる。従って、無駄な手待ち時間がなくなる。山岳トンネルの施工は1サイクルの繰り返しであるため、削減した作業時間が累加されることで、大幅な工期の短縮につながる。
<2>搬送デッキの1ストロークで、大量のズリを一度に搬送できる。このため作業時間が短く、作業効率が非常に高い。
<3>一方向へのスライド移動で全てのズリを搬出できるため、作業が容易である。また、工事車両同士の接触などが生じない。
<4>ズリを搬送デッキ上に載せてデッキごと搬送するため、ズリを漏れなく回収することができる。
<6>ベース体に反力を取り、掛止フックと掛止ラックの噛み合わせ構造を利用して搬送するため、多量のズリを効率よく搬送できる。
<7>搬送に車両を使用しないため、坑内が排気ガスによって汚染されない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るズリ搬出装置の説明図。
図2】本発明に係るズリ搬出装置による施工方法の説明図(1)。
図3】本発明に係るズリ搬出装置による施工方法の説明図(2)。
図4】本発明に係るズリ搬出装置による施工方法の説明図(3)。
図5】本発明に係るズリ搬出装置による施工方法の説明図(4)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明のズリ搬出装置およびこれを用いた施工方法について詳細に説明する。
本明細書における「前後」「左右」「上下」などの各方向は、トンネル坑内に、坑口側から切羽側へ向けてズリ搬出装置を配置した場合におけるそれぞれの方向を指す。
また、「ズリ」とはトンネル掘削の際に発破や破砕によって生じた岩片や土砂などを総称する。
【実施例1】
【0016】
[ズリ搬出装置]
<1>全体の構成(図1)。
本発明のズリ搬出装置1は、トンネル掘削工事において、切羽より発生したズリAを、後続工程(吹付工・支保工・ロックボルト工など)に影響しない仮置場まで搬送するための装置である。
ズリ搬出装置1は、ベース体10と、搬送デッキ20と、を少なくとも備える。
搬送デッキ20はベース体10上を前後方向にスライド自在に設置される。
【0017】
<2>ベース体。
ベース体10は、トンネル坑内の床面を被覆して搬送デッキ20の移動を円滑にするとともに、搬送デッキ20によるズリAの搬送のための反力をとるための基台である。
ベース体10は概ね矩形状の板体であって、前ベース11と、後ベース12と、これらを接続するスライド機構13とを備える。
前ベース11、後ベース12の幅は、坑内の床面の幅に対応する。
後ベース12の両側部には掛止ラック14を備える。掛止ラック14は、後ベース12の上面から上方へ連続して突出する。
後ベース12の後端部には、車両が乗り上げるためのスロープを設けてもよい。
【0018】
<2.1>スライド機構。
スライド機構13は、ベース体10を移動させるための機構である。
スライド機構13は、前ベース11と後ベース12とを伸縮可能に連結する。
本例では、前ベース11と後ベース12とを、4本の油圧シリンダで連結してこれをスライド機構13とする。
ただしスライド機構13の種類と数はこれに限られず、油圧以外の動力シリンダや、他の公知の機構を採用することができる。
【0019】
<2.2>ベース体の移動方法。
ベース体10は、スライド機構13を利用することで、長手方向に移動することができる。その手順は以下である。
ベース体10を切羽方向へ移動するには、スライド機構13が縮んだ状態において、重機を後ベース12上に配置してウェイトとする。
続いて、スライド機構13の油圧シリンダを駆動してスライド機構13を伸長する。これによって、前ベース11が後ベース12に対して前方へ押し出される。
最後に、後ベース12上の重機を前ベース11上に移動させてカウンターウェイトとし、スライド機構13を短縮する。これによって、後ベース12が前ベース11に引き寄せられ、移動が完了する。
また、これと同様の工程を、前後反対向きに行うことで、ベース体10を坑口方向へ移動することも可能である。
なお、ベース体10の移動方法はこれに限られず、牽引などの他の方法によることもできる。この場合、ベース体10は分割体でなく、一体に構成してもよい。
【0020】
<3>搬送デッキ。
搬送デッキ20は、ズリAを切羽付近から後方に搬送するための部材である。
搬送デッキ20は、概ね矩形状の板体であって、その上面の両側に通行部21と仮置部22を備える。
搬送デッキ20の下部には、ベース体10上を移動するための移動ローラ23を設ける。
搬送デッキ20の前後には、車両が乗り上げるためのスロープを設けてもよい。
【0021】
<3.1>通行部。
通行部21は、ズリAを積載してベース体10上を搬送する機能と、ズリAを仮置部22に排出する機能と、工事車両を通過させる通路としての機能と、を兼ね備える部分である。
通行部21は、掃出機構21aと、天板21bと、を備える。
【0022】
<3.1.1>掃出機構。
掃出機構21aは、天板21b上のズリAを仮置部22に排出するための機構である。
本例では、天板21bを仮置部22側に傾斜させるダンプ機構を採用する。
掃出機構21aは、ズリAの運搬時および車両通行時には、天板21bの内部に折り畳まれている。ズリAの掃出作業時には、展開し、天板21bを持ち上げて仮置部22側に傾斜させる。
【0023】
<3.2>仮置部。
仮置部22は、ズリAを積載してベース体10上を搬送する機能と、ズリAの仮置場としての機能を備える平板状の部分である。
仮置部22の側方には、ズリAのこぼれ出しを防ぐための柵などを設けてもよい。
【0024】
<4>掛止フック。
掛止フック30は、搬送デッキ20を移動させるための部材である。
掛止フック30は、搬送デッキ20の後端部の両側にそれぞれ後方に向けて設置される。
掛止フック30は、爪部31と、引張機構32と、を備える。
爪部31は、掛止フック30の先端から下方に突起し、ベース体10の掛止ラック14に係合可能な形状を呈する。
引張機構32は、長尺状の形状を呈し、一端は爪部31に接続し、他端は搬送デッキ20の後端に軸支される。
【0025】
<4.1>引張機構。
引張機構32は、爪部31を搬送デッキ20側へ引き寄せる機構である。
引張機構32は、搬送デッキ20との接続部を中心に先端の爪部31を上下方向に回動可能であるとともに、軸方向に伸縮可能である。
本例では、引張機構32として油圧シリンダを採用する。
【0026】
[施工方法]
<1>全体の構成。
引き続き、本発明のズリ搬出装置を用いたトンネル掘削工事の施工方法について説明する。
本発明の施工方法は、破砕工程と、搬送工程と、排出工程と、通過工程と、を少なくとも備える。
なお、上記の工程は、本発明を構成する工程であり、これらの工程の前後には、切羽の削孔工程や、装薬工程、吹付け工程、支保工設置工程、ロックボルト打設工程などの公知の工程があるが、ここでは詳述しない。
【0027】
<2>施工前の状態。
前サイクルのズリの搬出が終わった状態から説明を始める。
切羽Bとベース体10の間には、前サイクルにおける発破により掘削された切羽Bの厚みに相当する間隔が空いている。
また、搬送デッキ20はベース体10の後部に位置し、通行部21の掃出機構21aは折り畳まれて、搬送デッキ20の上部は平坦である。
【0028】
<3>設置工程。
設置工程は、トンネルの切羽Bの前面に搬送デッキ20を設置する工程である。
まず、スライド機構13を使ってベース体10を移動し、前ベース11の前端部を切羽Bに当接させる。
続いて、ベース体10上で搬送デッキ20をスライドさせて、搬送デッキ20の前端部を切羽Bに当接させる。
なお、搬送デッキ20上にはズリAが積載されてないため、移動ローラ23で容易に移動することができる。
【0029】
<4>破砕工程(図2)。
破砕工程は、切羽Bを破砕する工程である。
発破によって切羽Bを破砕し、切羽B上に残った不安定なズリAを浮石落しする。
発破によって発生したズリAは、切羽B前面に設置した搬送デッキ20上に堆積する。
【0030】
<5>搬送工程(図3)。
搬送工程は、ズリAを搬送デッキ20で坑口側へ搬送する工程である。
搬送デッキ20にズリAを積載した状態で、ベース体10上をスライドさせて、搬送デッキ20をベース体10の後方へ移動させる。
本例では、搬送デッキ20の移動に掛止フック30を使用する。
まず、掛止フック30の爪部31を上方に持ち上げるとともに、引張機構32を、爪部31が後ベース12の掛止ラック14に係合可能な長さまで伸長する。
つづいて、爪部31を下して掛止ラック14に係合させる。
その状態で引張機構32の油圧シリンダを短縮すると、ベース体10に反力を取って搬送デッキ20が後方へ移動する。
この作業を繰り返すことによって、大量のズリAの積載した搬送デッキ20を、円滑にベース体10の後部へ移動させることができる。
【0031】
<6>排出工程(図4)。
排出工程は、通行部21上のズリAを仮置部22へ排出して、通行部21の天板21b上に工事車両の走行経路Cを確保する工程である。
作業員の操作によって掃出機構21aを展開し、天板21bを持ち上げて仮置部22側に傾斜させ、天板21b上のズリAを仮置部22側に排出する。
仮置部22はズリAの仮置場として利用し、ここからズリAをクラッシャに投入する。
【0032】
<7>通過工程(図5)。
通過工程は、切羽B付近で後工程を行う作業車を、通行部21上を走行して切羽B側へ通過させる工程である。
排出工程によって、ズリAは搬送デッキ20片側の仮置部22に寄せられ、通行部21の上面には平坦な走行経路Cが確保されている。
そこで、後続するモルタル吹付や支保工の建込みなどに使用する工事車両を、坑口側から走行経路Cを通過させて切羽Bまで送ることができる。
よって、切羽Bにて吹付工や支保工を施工しながら、これと並行してズリAの破砕や坑外への輸送作業を行うことができる。
【実施例2】
【0033】
[掃出機構をスライド機構とした例]
実施例1では掃出機構21aがダンプ機構である例を説明したが、これに限るものではない。例えば、天板21b上のズリAを仮置部22側へスライドして押し出す、スライド機構を採用してもよい。
要は通行部21上のズリAを仮置部22に排出でき、排出後の通行部21上を車両が走行できる機構であればよい。
【実施例3】
【0034】
[搬送デッキの移動方法のその他の例]
実施例1では掛止ラック14と掛止フック30との組み合わせによって搬送デッキ20を移動させる例を説明したが、これに限るものではない。
例えば、チェーンブロックやウインチで搬送デッキ20を牽引して移動させてもよい。あるいは、搬送デッキ20に歯車機構を設け、これとベース10の掛止ラック14と組み合わせて移動させてもよい。
なお、搬送デッキ20が自走可能な機構を備える場合、ベース体10は必須の構成要件ではなくなり、ベース体10を設置せずに搬送デッキ20のみでズリAの搬出が可能となる。
【符号の説明】
【0035】
1 ズリ搬出装置
10 ベース体
11 前ベース
12 後ベース
13 スライド機構
14 掛止ラック
20 搬送デッキ
21 通行部
21a 掃出機構
21b 天板
22 仮置部
23 移動ローラ
30 掛止フック
31 爪部
32 引張機構
A ズリ
B 切羽
C 走行経路
図1
図2
図3
図4
図5