(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6650419
(24)【登録日】2020年1月22日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】電気温水器
(51)【国際特許分類】
F24H 1/18 20060101AFI20200210BHJP
F24H 1/20 20060101ALI20200210BHJP
【FI】
F24H1/18 302P
F24H1/20 F
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-39958(P2017-39958)
(22)【出願日】2017年3月3日
(65)【公開番号】特開2018-146151(P2018-146151A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2018年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】露久保 尚史
【審査官】
藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−217747(JP,A)
【文献】
特開2005−037097(JP,A)
【文献】
実開平04−132356(JP,U)
【文献】
実開昭60−111447(JP,U)
【文献】
特開平06−221674(JP,A)
【文献】
実開平04−090849(JP,U)
【文献】
特開2011−064394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F24H 1/18−1/20
F24H 4/00−4/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方にお湯を出す給湯口と下方に水の流れ入る給水口とを設けた貯湯タンクと、
該貯湯タンクの前記給湯口のある上方の水を加熱する第1のヒータと、
前記貯湯タンクの前記給水口のある下方の水を加熱する第2のヒータ及び第3のヒータと、
前記貯湯タンク内の水の温度を検出する温度検出手段と、
前記第1のヒータ、前記第2のヒータ及び前記第3のヒータへの電力の供給を行う電気接続を変更するON/OFF切り替え装置と、
前記温度検出手段の検出結果に基づいて前記ON/OFF切り替え装置を制御する制御手段とを備えた電気温水器において、
前記制御手段は、
前記貯湯タンクの水の保温時は、前記第1のヒータ、前記第2のヒータ及び前記第3のヒータを電気的に直列に接続させる回路を構成して、前記給湯口のある上方の水を加熱する火力より記給水口のある下方の水を加熱する火力を強くなるように前記ON/OFF切り替え装置を制御し、お湯を大量に使用していると判断した時は、並列に接続される前記第2のヒータと前記第3のヒータと、前記第1のヒータが電気的に直列に接続される回路を構成して、記給水口のある下方の水を加熱する火力より前記給湯口のある上方の水を加熱する火力を強くなるように前記ON/OFF切り替え装置を制御することを特徴とする電気温水器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面台の下などに収納して使用する電気温水器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の電気温水器においては、お湯切れを防止する方法が数多く公開されている。
【0003】
特許文献1に示す電気温水器では、貯湯タンクの上下に複数のヒータを設け、お湯切れ近くに成ったら貯湯タンクの上部に設けたヒータによって上層部から順次沸き上げられるように工夫されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−337180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1における構造において、洗面台の下などに収納して使用する電気温水器の貯湯タンクは高さ方向の寸法が取れないため、お湯を使用すると新たな水が貯湯タンク内に入り貯湯タンク内の水が混ざり、上層部から順次沸き上げることが出来ず、貯湯タンク内の水全体の温度が低下する課題が考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、上方にお湯を出す給湯口と下方に水の流れ入る給水口とを設けた貯湯タンクと、該貯湯タンクの前記給湯口のある上方の水を加熱する
第1のヒータと、前記貯湯タンクの前記給水口のある下方の水を加熱する
第2のヒータ及び第3のヒータと、前記貯湯タンク内の水の温度を検出する温度検出手段と、前記
第1のヒータ、前記第2のヒータ及び前記第3のヒータへの電力の供給を行う電気接続を変更するON/OFF切り替え装置と、前記温度検出手段の検出結果に基づいて前記ON/OFF切り替え装置を制御する制御手段とを備えた電気温水器において、前記制御手段は、前記貯湯タンクの水の保温時は、
前記第1のヒータ、前記第2のヒータ及び前記第3のヒータを電気的に直列に接続させる回路を構成して、前記給湯口のある上方の水を加熱する火力より記給水口のある下方の水を加熱する火力を強くなるように前記ON/OFF切り替え装置を制御し、お湯を大量に使用していると判断した時は、
電気的に並列に接続される前記第2のヒータと前記第3のヒータと、前記第1のヒータが電気的に直列に接続される回路を構成して、記給水口のある下方の水を加熱する火力より前記給湯口のある上方の水を加熱する火力を強くなるように前記ON/OFF切り替え装置を制御
するように構成した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、洗面台の下などに収納して使用する小型の電気温水器のお湯切れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電気温水器の設置例を示す説明図である。
【
図2】同電気温水器に設けたシーズヒータとシーズヒータの接続を示す説明図である。
【
図3】同電気温水器の湯切れを防止するシーズヒータの接続を示す説明図である。
【
図4】同電気温水器の保温中のシーズヒータの接続を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について図面を用いて詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明の電気温水器の設置状態を示す図である。
【0011】
電気温水器100の貯湯タンク6に水を供給する給水口10には水道管より水を供給する給水管12が接続され、貯湯タンク6内のお湯は給湯口11から給湯管13によって水栓101に送られる。
【0012】
また、電気温水器100には、水道管と直結している給水管12と貯湯タンク6の給水口10の間に減圧弁24を設け、また貯湯タンク6の給湯口11と給湯管13の間に逃し弁25を設けている。減圧弁24は、貯湯タンク6内の圧力を所定の圧力以下に保持するために水道管等から直接流れくる水圧を抑えるものである。また逃し弁25は、貯湯タンク6内の湯温が高くなることによる圧力の過剰上昇を防止するため、貯湯タンク6内の圧力を所定の圧力以下に保持するものである。
【0013】
図2は本発明に係る貯湯タンク6内に設けたシーズヒータの配列とシーズヒータに電力を供給する電気接続を示した図である。
【0014】
シーズヒータ7は、発熱するヒータ線4の位置を一端側に寄せて設けているもので、シーズヒータa7aは給湯口11のある上側(上方)にヒータ線4が位置するよう設けて給湯口11から出る水を加熱できる構造とし、シーズヒータb7bとシーズヒータc7cは給水口10のある下側(下方)にヒータ線4が位置するように設けて給水口10から供給される水を加熱できる構造としている。通常のヒータ線が中央に有るシーズヒータを貯湯タンク6の上側、下側に設けて前記構成を達成しても良い。
【0015】
貯湯タンク6内の水の加熱は、お湯の使用状況に応じて複数のON/OFF切り替え装置5を切り替える事で前記設けたシーズヒータ7に供給する電力を変更することで、効率良く加熱できる回路構成としている。
【0016】
お湯を大量に使用してお湯切れが生じる恐れが生じた時は、
図3に示すように給水口10のある下側に設けたシーズヒータb7bとシーズヒータc7cとを並列接続とし、この並列状態に給湯口11のある上側に設けたシーズヒータa7aを直列に接続することで、給水口10のある下側のヒータ(ヒータ線b4bとヒータ線c4c)で貯湯タンク6に入ってくる水を加熱し、給湯口11から出ていく水を高い電力を供給したヒータ(ヒータ線a4a)で必要温度まで加熱するものである。
【0017】
お湯を使用していない保温時や少量のお湯を使用している時は、
図4に示すように各ヒータ(ヒータ線a4a、ヒータ線b4b、ヒータ線c4c)を直列に接続する事で、少ない電力で貯湯タンク6内の水を加熱するものである。
【0018】
温度検出手段9は、貯湯タンク6内の水の温度を検知するものでサーミスタなどが使用される。
【0019】
開閉手段8は、貯湯タンク6内の水の温度を一定に保つようにシーズヒータ7への電力の供給を制御するもので、温度検出手段9によって前記水の温度を検出し制御手段(図示無し)によって制御される。また前記ON/OFF切り替え装置5も同様に動作を制御される。
【0020】
本実施例は、以上の構成からなり、次に動作について説明する。
【0021】
お湯が使用されていない場合は、貯湯タンク6内の水の温度を略一定に保つように前記制御手段は制御するもので、温度検出手段9で貯湯タンク6内の水の温度を検知して特定の温度より低くなると、
図4に示す接続となるようにON/OFF切り替え装置5を制御して、開閉手段8を閉成してシーズヒータ7へ電力を供給して水を加熱し、該水の温度が特定の温度以上に上昇すると開閉手段8を開成して電力の供給を停止するものである。
【0022】
この場合の貯湯タンク6内の水の加熱は、貯湯タンク6内の下側の加熱が強くすることで貯湯タンク6内の水が貯湯タンク6内全体で対流を起こして水全体が効率良く加熱される。
【0023】
水栓101が開成されてお湯が使用されると、前記制御手段は水の使用状態を温度検出手段9の検知温度で判断してON/OFF切り替え装置5を制御する。
【0024】
水の使用量が少ない時は検知温度の下降温度も少なく、この場合は、給水口10より水の流入も少ない事から、
図4に示した各ヒータ(ヒータ線a4a、ヒータ線b4b、ヒータ線c4c)を直列に接続する事で少ない電力で貯湯タンク6内の水を加熱する。この場合、給水口10から流入する水は少ないことから、貯湯タンク6内の下側を強く加熱することで効率良く水を加熱するものである。
【0025】
上記制御で加熱を行っても水温の低下が止まらない場合や、水温の低下率が大きい場合は、
図3に示した給水口10のある下側に設けたシーズヒータb7bとシーズヒータc7cとを並列接続とし、この並列状態に給湯口11のある上側に設けたシーズヒータa7aを直列に接続制御を行い、給水口10から流入する水を加熱し、給湯口11から水栓101に流れていく水の加熱を強くすることでお湯切れを防止するものである。
【0026】
以上本発明によれば、洗面台の下などに収納して使用する小型の電気温水器のお湯切れを防止することができる。
【符号の説明】
【0027】
5 ON/OFF切り替え装置
6 貯湯タンク
7 シーズヒータ
8 開閉手段
9 温度検出手段
10 給水口
11 給湯口
12 給水管
13 給湯管
100 電気温水器