特許第6650491号(P6650491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6650491
(24)【登録日】2020年1月22日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 15/00 20060101AFI20200210BHJP
【FI】
   F04D15/00 Z
   F04D15/00 D
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-119754(P2018-119754)
(22)【出願日】2018年6月25日
(65)【公開番号】特開2020-2788(P2020-2788A)
(43)【公開日】2020年1月9日
【審査請求日】2018年6月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 哲則
(72)【発明者】
【氏名】山崎 修平
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智大
(72)【発明者】
【氏名】川本 彰三
【審査官】 冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−197082(JP,A)
【文献】 特開平07−208345(JP,A)
【文献】 特開2006−177316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ及び前記ポンプを駆動するモータを有する複数のポンプ装置と、
前記ポンプにそれぞれ設けられる複数の吐出管と、
前記複数の吐出管を合流する合流管と、
前記ポンプの一次側、又は、二次側に設けられ、水流を受けて回転する羽根車、及び、前記羽根車の回転を検出する検出部を含む流量検出部と、
前記合流管又は前記合流管の二次側に設けられる圧力検出部と、
前記ポンプの二次側であって、且つ、前記合流管の一次側の前記吐出管にそれぞれ配置される複数の逆止弁と、
前記モータを駆動制御することで前記ポンプを駆動するとともに、前記複数のモータのいずれかの駆動時に、前記圧力検出部で検出した圧力が目標圧力未満に低下し、且つ、駆動している前記ポンプに設けられた前記流量検出部で検出された流量が定格流量の一定比率以下となった場合に、停止している前記ポンプに設けられた前記逆止弁が故障していると判断する制御部と、
を備える給水装置。
【請求項2】
警報を送出する警報装置を備え、
前記制御部は、前記逆止弁の故障を判断した場合に、前記警報装置により警報を送出させる、請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記流量検出部で検出された流量が停止流量以下になった場合に、駆動している前記モータを停止し、その後、前記圧力検出部で検出した圧力が起動圧力以下に低下した場合に、故障していると判断した前記逆止弁の前記ポンプを駆動する、請求項1又は請求項2に記載の給水装置。
【請求項4】
前記制御部は、さらに、停止している前記ポンプの二次側に設けられた前記流量検出部で水流を検出すると、前記逆止弁が故障していると判断する、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の給水装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記複数のモータを駆動することで、前記ポンプを並列運転し、前記逆止弁が故障していると判断した場合には、前記逆止弁が故障している前記ポンプを常に先発起動し、前記逆止弁が故障している前記ポンプを駆動しているときに前記圧力検出部で検出した圧力が起動圧力以下に低下した場合に、前記逆止弁が正常な前記ポンプを並列起動する、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の給水装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ポンプを並列運転しているときに、前記流量検出部で検出した流量が解列流量以下に低下した場合に、前記逆止弁が正常な前記ポンプを解列する、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のポンプ装置を有する給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従前から、建造物等に用いる給水装置として、複数のポンプ装置を有するものが知られている。また、給水装置は、ポンプの二次側に逆止弁をそれぞれ有し、ポンプの吐出側から吸込側へ水が逆流することを防止している。
【0003】
この給水装置は、例えば、停止中に圧力検出部で検出されたポンプの二次側の圧力が起動圧力以下になった場合に、一台のポンプ装置を起動して単独運転を行い、給水量の減少を流量検出部により検出したときに、駆動中のポンプ装置を停止する。
【0004】
このような給水装置は、長期間の使用によって逆止弁のシール性能が低下すると、逆止弁において漏れが生じてしまう虞がある。逆止弁に漏れが生じると、全ポンプ装置が停止している場合には、アキュムレータ内の水が逆流し、いずれかのポンプ装置が駆動している場合には、駆動するポンプ装置のポンプから吐出された水が逆流することになる。
【0005】
このため、ポンプと逆止弁との間に羽根車式の流量検出部を設け、この流量検出部によって逆流を検出し、逆止弁の故障を検出する給水装置も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−197082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した給水装置では、逆止弁の故障を検出して外部に当該情報を報知することはできても、ポンプ装置の駆動中に逆止弁が故障した場合の処理ができず、このような場合にポンプ装置を停止すると、給水量が低下する虞等がある。一方で、ポンプ装置を停止すると、断水する、という問題もある。
【0008】
そこで本発明は、複数の逆止弁のいずれかが故障した場合であっても、好適な給水が可能な給水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様として、給水装置は、ポンプ及び前記ポンプを駆動するモータを有する複数のポンプ装置と、前記ポンプにそれぞれ設けられる複数の吐出管と、前記複数の吐出管を合流する合流管と、前記ポンプの一次側、又は、二次側に設けられ、水流を受けて回転する羽根車、及び、前記羽根車の回転を検出する検出部を含む流量検出部と、前記合流管又は前記合流管の二次側に設けられる圧力検出部と、前記ポンプの二次側であって、且つ、前記合流管の一次側の前記吐出管にそれぞれ配置される複数の逆止弁と、前記モータを駆動制御することで前記ポンプを駆動するとともに、前記複数のモータのいずれかの駆動時に、前記圧力検出部で検出した圧力が目標圧力未満に低下し、且つ、駆動している前記ポンプに設けられた前記流量検出部で検出された流量が定格流量の一定比率以下となった場合に、停止している前記ポンプに設けられた前記逆止弁が故障していると判断する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の逆止弁のいずれかが故障した場合であっても、給水が可能な給水装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る給水装置の構成を一部省略及び断面で示す正面図。
図2】同給水装置の構成を一部省略及び断面で示す側面図。
図3】同給水装置の構成を示すブロック図。
図4】同給水装置に用いられる逆止弁の構成を示す正面図。
図5】流量検出部の構成を示す断面図。
図6】同給水装置の制御の一例を示す流れ図。
図7図3とは異なる逆止弁が用いられている同給水装置の構成を一部省略及び断面で示す正面図。
図8】本発明の他の実施形態に係る給水装置の構成を一部省略及び断面で示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る給水装置1を、図1乃至図5を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る給水装置1の構成を一部省略及び断面で示す正面図である。図2は、給水装置1の構成を一部省略及び断面で示す側面図である。図3は、給水装置1の構成を示すブロック図である。図4は、給水装置に用いられる逆止弁16の構成を示す正面図である。図5は、給水装置1に用いられる流量検出部20の構成を示す断面図である。
【0013】
図1に示すように、給水装置1は、吸込管11と、吸込管11の二次側に設けられ、流路を複数に分岐する分岐管13と、分岐管13の二次側にそれぞれ設けられた複数のポンプ装置14と、複数のポンプ装置14にそれぞれ設けられた複数の吐出管15と、吐出管15にそれぞれ設けられた複数の逆止弁16と、複数の吐出管15を合流させる合流管17と、合流管17に設けられた蓄圧装置18と、吸込管11に設けられた第1圧力検出部19と、吐出管15にそれぞれ設けられた流量検出部20と、合流管17に設けられた第2圧力検出部21と、制御盤22と、を備えている。
【0014】
また、給水装置1は、ベース24と、ベース24に設けられた支持板25と、支持板25を覆うカバー26と、を備えている。給水装置1は、ベース24上及び支持板25の前面に上述の各構成部材が固定され、カバー26でベース24上、支持板25の正面側及び各構成部材を覆うことで構成される。
【0015】
吸込管11は、給水装置1の一次側の水道分管や受水槽等と接続される。
【0016】
分岐管13は、吸込管11に接続され、吸込管11の二次側の流路を構成し、当該流路を複数、本実施形態においては二つに分岐する。
【0017】
ポンプ装置14は、モータ14aと、ポンプ14bと、を備えている。ポンプ装置14は、例えば、回転軸が重力方向に沿って延設された縦型ポンプである。
【0018】
モータ14aは、回転軸を介してポンプ14bと接続される。モータ14aは、制御盤22に電気的に接続される。ポンプ14bは、モータ14aにより駆動される。ポンプ14bは、単段又は多段のポンプである。ポンプ14bは、一次側が分岐管13に接続され、二次側に吐出管15が接続される。例えば、ポンプ14bは、下端に吸込口が形成され、ポンプ14bの上端側の側面に吐出口が形成される。
【0019】
吐出管15は、ポンプ14bの吐出口に接続され、ポンプ14bの吐出口に隣接する位置において下方に曲折し、重力方向に沿って延設される。吐出管15は、例えば、複数の管を組み合わせることで構成される。
【0020】
逆止弁16は、ポンプ14bの二次側であって、且つ、合流管17の一次側に、即ち吐出管15内に設けられる。具体例として、逆止弁16は、吐出管15のポンプ14bの吐出口に隣接する位置に設けられる。例えば、逆止弁16は、スイング式逆止弁であり、弁体31と、座部32と、を備えている。
【0021】
弁体31は、吐出管15に固定される基部31aと、基部31aの一部と一体に連続する弁部31bと、弁部31bに設けられた整流フィン31cと、を備えている。弁体31は、ゴム材料により一体に成形されている。
【0022】
基部31aは、例えば、吐出管15の複数の管の間に配置され、管同士の間をシールするフランジパッキンである。換言すると、基部31aは、吐出管15及びフランジの間に配置され、吐出管15及びフランジが締結されることにより、吐出管15及びフランジの間を水密にする。基部31aは、管のフランジ面と略同じ形状に構成される。例えば、基部31aは、円環の平板状に構成される。
【0023】
弁部31bは、基部31aの内周面と、首部31dを介して一体に構成される。整流フィン31cは、弁部31bの水の流れ方向で二次側の主面に設けられる。
【0024】
座部32は、弁部31bと当接することで、吐出管15内の流路を閉塞する。例えば、座部32は、各ポンプ14bの吐出側に設けられる吐出フランジに設けられる。具体例として、座部32は、各ポンプ14bの吐出フランジの吐出口の外周縁に設けられた円筒状の突起である。
【0025】
合流管17は、各ポンプ14bに接続された吐出管15を合流する。合流管17は、建造物の蛇口やシャワーヘッド等の給水先に接続される配管が接続される。蓄圧装置18は、合流管17に設けられたアキュムレータである。
【0026】
第1圧力検出部19は、吸込管11の分岐管13よりも一次側に設けられる。第1圧力検出部19は、複数のポンプ装置14の一次側の圧力を検出する。第1圧力検出部19は、信号線を介して制御盤22に電気的に接続され、検出した圧力を信号に変換し、制御盤22に送信する。
【0027】
流量検出部20は、羽根車41と、羽根車41の回転を検出する検出部42と、を備えている。羽根車41は、吐出管15内を流れる水の水流によって回転可能に、吐出管15に設けられる。流量検出部20は、ポンプ14bの一次側、又は、二次側に設けられる。例えば、羽根車41は、回転軸と複数の羽根により構成され、吐出管15内であって、且つ、逆止弁16の二次側に設けられる。
【0028】
検出部42は、例えば、羽根車41の回転軸に設けられた磁石と、磁石の回転を検出するセンサにより構成される。検出部42は、信号線を介して制御盤22に接続される。
【0029】
第2圧力検出部21は、合流管17に設けられ、複数のポンプ装置14の二次側の圧力を検出可能に構成される。第2圧力検出部21は、信号線等を介して制御盤22に電気的に接続され、検出した圧力を信号に変換し、制御盤22に送信する。
【0030】
制御盤22は、表示部50と、インバータ51と、記憶部52と、制御部53と、を備えている。制御盤22は、インバータ51、記憶部52及び制御部53を構成する電装部品を収容する、支持板25に固定されるケース55を有する。また、制御盤22は、音により外部に情報を報知する報知部を有していても良い。
【0031】
表示部50は、ポンプ装置14の駆動状況、給水装置1の異常の有無等を表示可能な、ディスプレイやLED等である。表示部50は、信号線を介して制御部53に電気的に接続される。例えば、表示部50は、逆止弁16の故障を外部に報知する報知手段である。なお、制御盤22に報知部を有する場合においては、例えば、当該報知部は、逆止弁16の故障を音により外部に報知する報知手段となる。
【0032】
インバータ51は、信号線を介してモータ14a及び制御部53に電気的に接続される。本実施形態において、インバータ51は、モータ14aと同数の例えば二つが設けられる。インバータ51は、モータ14aの回転数を可変させる。
【0033】
記憶部52は、ポンプ装置14を起動する起動圧力、給水時における目標圧力及び定格流量、並びに、給水を停止する停止流量が記憶されている。また、記憶部52は、給水運転時に制御部53によりインバータ51を制御する制御プログラムや、逆止弁16の故障を検出する故障検出プログラム、逆止弁16の故障を検出したときの給水運転時にインバータ51を制御する故障時制御ブログラム等の各種プログラムが記憶されている。
【0034】
制御部53は、第1圧力検出部19、流量検出部20及び第2圧力検出部21で検出された圧力及び流量に基づいてインバータ51を制御し、吐出圧力一定又は推定末端圧力一定となるように、ポンプ装置14を制御する。
【0035】
具体例として、制御部53は、以下の(1)乃至(3)の機能を有する。なお、制御部53の各機能は、ポンプ装置14の駆動状況や記憶部52に記憶された各閾値やプログラムに基づいて生じる。
【0036】
(1) 給水運転を行う機能。
【0037】
(2) 逆止弁16の故障を検出する機能。
【0038】
(3) 逆止弁16の故障時に給水運転を行う機能。
【0039】
次に、制御部53が有する(1)乃至(3)の機能について説明する。
【0040】
(1)の機能は、給水装置1の二次側の給水先に、ポンプ装置14の二次側の圧力及び流量に基づいてポンプ装置14を駆動及び停止を行い、給水を行う機能である。具体例として、(1)の機能は、制御部53が、第2圧力検出部21で検出した圧力が起動圧力以下となった場合に、ポンプ装置14の一方を駆動し、ポンプ装置14の駆動後に駆動中のポンプ装置14の二次側の流量検出部20で検出した流量が停止流量以下となった場合に、駆動しているポンプ装置14を停止する機能である。また、(1)の機能として、例えば、制御部53は、駆動及び停止するポンプ装置14を交互に切り換える、所謂交互運転により給水運転を行う。
【0041】
(2)の機能は、(1)の機能に基づいて給水運転を行っているときに、ポンプ装置14の二次側の圧力及び流量の少なくとも一方に基づいて逆止弁16の故障を判断する機能である。
【0042】
具体例として、(2)の機能は、制御部53が、給水運転中に、第2圧力検出部21で検出された圧力が目標圧力未満に低下した場合であって、且つ、駆動中のポンプ装置14の二次側の流量検出部20で検出した流量が定格流量よりも低い場合に、停止中のポンプ装置14の二次側に設けられた逆止弁16の故障と判断する。
【0043】
ここで、駆動中のポンプ装置14の二次側の流量検出部20で検出した流量が定格流量よりも低い値としては、例えば、定格流量に一定比率を乗算した値が挙げられ、一定比率の一例は80%である。なお、逆止弁16の故障と判断する定格流量に一定比率を乗算した値は、給水装置1の構成により適宜設定可能であり、予め実測により求めても良い。
【0044】
また、一定比率の一例として80%を挙げたが、これに限定されないが、この80%は、ある給水装置1において、逆止弁16が故障した状態で逆止弁16が正常なポンプ装置14を駆動し、第2圧力検出部21で検出された圧力が目標圧力未満のときの流量検出部20で検出された流量が定格流量の75%まで低下したことによる。
【0045】
即ち、給水運転中に、給水先において給水需要が増加し、第2圧力検出部21で検出された圧力が目標圧力未満に低下した場合には、駆動しているポンプ装置14の二次側の流量検出部20で検出される流量は、定格流量と同程度になるところ、誤差の範囲を超えて当該流量が定格流量よりも低い場合には、停止中のポンプ装置14へ逆流していると推定できる。このため、制御部53は、給水運転中に駆動中のポンプ装置14の二次側の圧力が目標圧力未満であって、流量が定格流量よりも低い場合に、停止中のポンプ装置14に設けられた逆止弁16が故障していると判断する。
【0046】
(3)の機能は、制御部53が、(2)の機能でいずれかのポンプ装置14の二次側の逆止弁16を故障と判断した場合に、外部に逆止弁16が故障している情報を報知するとともに、給水運転を継続する機能である。
【0047】
具体例として、(3)の機能は、制御部53が、(2)の機能でいずれかのポンプ装置14の二次側の逆止弁16の故障を判断した場合に、表示部50から外部へ逆止弁16の故障を報知する。なお、制御盤22に報知部を有する場合においては、加えて、当該報知部から外部へ逆止弁16の故障を音により報知する。また、制御部53は、正常な逆止弁16が設けられたポンプ装置14による通常の給水運転を維持し、流量検出部20で検出した流量が停止流量以下となった場合に、ポンプ装置14を停止するとともに、次回以降、第2圧力検出部21で検出された圧力が起動圧力以下に低下した場合に、正常な逆止弁16が設けられたポンプ装置14を駆動せずに、故障した逆止弁16が設けられたポンプ装置14を駆動する。
【0048】
このように、(3)の機能は、制御部53が逆止弁16の故障を検出したときに、次回以降に逆止弁16が故障したと判断したポンプ装置14を駆動する機能である。
【0049】
次に、このように構成された給水装置1の制御の一例を、図6に示す流れ図を用いて説明する。
【0050】
先ず、制御部53は、第2圧力検出部21で検出された圧力が起動圧力以下である場合に、いずれかのポンプ装置14を起動する(ステップST1)。このとき、制御部53は、交互運転を行う場合には、前回駆動したポンプ装置14とは異なるポンプ装置14を駆動する。
【0051】
次に、制御部53は、ポンプ装置14の駆動中に、第2圧力検出部21で圧力を検出し(ステップST2)、検出した圧力が目標圧力未満であるか否かを判断する(ステップST3)。検出した圧力が目標圧力未満である場合(ステップST3のYES)には、制御部53は、流量検出部20で流量を検出し(ステップST4)、検出した流量が定格流量に対して一定比率以下であるか否かを判断する(ステップST5)。
【0052】
検出した流量が定格流量に対して一定比率以下である場合(ステップST5のYES)には、制御部53は、停止中のポンプ装置14の二次側に設けられた逆止弁16が故障していると判断する(ステップST6)。次いで、制御部53は、表示部50を制御し、表示部50により逆止弁16が故障している情報を外部に報知する(ステップST7)。なお、例えば、報知部が設けられている場合には、制御部53は、報知部を制御し、逆止弁16の故障を音により外部に報知する。
【0053】
次に、制御部53は、流量検出部20によって流量を検出する(ステップST8)。次に、制御部53は、検出した流量が停止流量以下であるか否かを判断する(ステップST9)。検出した流量が停止流量よりも大きい場合(ステップST9のNO)には、制御部53は、ポンプ装置14の駆動を継続し、ステップST8に戻る。検出した流量が停止流量以下である場合(ステップST9のYES)には、制御部53は、小水量であると判断し、ポンプ装置14を停止する(ステップST10)。ポンプ装置14の停止後、制御部は、第2圧力検出部21で検出されるポンプ装置14の二次側(吐出側)の圧力を検出し(ステップST11)、検出された圧力が起動圧力以下であるか否かを判断する(ステップST12)。検出された圧力が起動圧力よりも大きい場合(ステップST12のNO)には、ステップST11に戻り、ポンプ装置14の二次側の圧力の監視を継続する。検出された圧力が起動圧力以下である場合(ステップST12のYES)には、制御部53は、逆止弁16が故障しているポンプ装置14を起動し(ステップST13)、以後、逆止弁16が交換されるまで、逆止弁16が故障しているポンプ装置14を停止・駆動を繰り返す。
【0054】
また、検出した圧力が目標圧力以上である場合(ステップST3のNO)か、又は、検出した流量が定格流量に対して一定比率以下でない場合(ステップST5のNO)には、制御部53は、停止しているポンプ装置14の二次側の流量検出部20が流量を検出しているか否いなか、換言すると、停止しているポンプ装置14の二次側の吐出管15内の流路に水流が生じているか否かを判断する(ステップST14)。
【0055】
停止しているポンプ装置14の二次側の流量検出部20で流量を検出しない場合、換言すると、停止しているポンプ装置14の二次側に水流が生じていない場合(ステップST14のNO)には、ステップST2に戻り、ポンプ装置14の駆動を継続する。
【0056】
停止しているポンプ装置14の二次側の流量検出部20で流量が検出され、停止しているポンプ装置14の二次側に水流が生じている場合(ステップST14のYES)には、制御部53は、停止しているポンプ装置14の二次側の逆止弁16が故障していると判断する(ステップST15)。次いで、制御部53は、表示部50を制御し、表示部50により逆止弁16が故障している情報を外部に報知する(ステップST16)。次いで、制御部53は、駆動しているポンプ装置14を停止し(ステップST17)、第2圧力検出部21で圧力を検出し(ステップST18)、検出された圧力が起動圧力以下であるか否かを判断する(ステップST19)。
【0057】
第2圧力検出部21で検出した圧力が検出された圧力が起動圧力よりも大きい場合(ステップST19のNO)には、ステップST18に戻り、ポンプ装置14の二次側の圧力の監視を継続する。検出された圧力が起動圧力以下である場合(ステップST19のYES)には、制御部53は、逆止弁16が故障しているポンプ装置14を起動し(ステップST13)、以後、逆止弁16が交換されるまで、逆止弁16が故障しているポンプ装置14を停止・駆動を繰り返す。
【0058】
このように構成された給水装置1によれば、制御部53は、ポンプ装置14の二次側の圧力が目標圧力未満であって、且つ、流量が定格流量よりも低い場合か、又は、停止しているポンプ装置14の二次側の流量検出部20で水流を検知したときに、停止しているポンプ装置14の逆止弁16が故障していると判断する。また、制御部53は、逆止弁16を検出後すぐにポンプ装置14を停止以後か、又は、逆止弁16の検出後であって、且つ、駆動中のポンプ装置14の小水量停止以後にポンプ装置14を駆動する場合には、故障した逆止弁16が設けられたポンプ装置14を駆動する。
【0059】
これにより、給水装置1は、いずれかのポンプ装置14の二次側に設けられた逆止弁16が故障した場合であっても、逆止弁16の故障を検出できる。また、故障した逆止弁16側を駆動することで、給水量が低下することを防止できる。即ち、故障した逆止弁16側のポンプ装置14を停止し、正常な逆止弁16側のポンプ装置14を駆動すると、給水量不足を引き起こす虞がある。例えば、実際に故障したスイング式の逆止弁16を停止中のポンプ装置14の二次側に配置して給水量を測定したところ、逆止弁16が流路を部分的に閉塞し、給水量が正常時の75%まで低下した例があり、このことからも、給水装置1は、給水量の低下を防止することができる。
【0060】
また、逆止弁16の故障を判断後、ステップST9のYES以降のように、検出した流量が停止流量以下である場合にポンプ装置14を停止することで、給水量が低下した場合であっても、急な断水を防止できる。
【0061】
上述したように、本発明の一実施形態に係る給水装置1によれば、複数の逆止弁16のいずれかが故障した場合であっても、好適な給水が可能となる。
【0062】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した例では、流量検出部20は、各ポンプ14bの二次側に設けられる例を用いて説明したがこれに限られず、流量検出部20は、各ポンプ14bの一次側に接続された分岐管13内に設けられていてもよい。
【0063】
また、例えば、図7に示すように、逆止弁16は、スプリング式の逆止弁16Aであってもよい。このようなスプリング式の逆止弁16は、スイング式の逆止弁16に比べて、故障が生じた場合であっても給水量の低下がすくないことから、ステップST5において、検出した流量が定格流量に対して一定比率以下とならず、故障が判断できない場合もある。しかしながら、逆止弁16Aに故障が生じると、逆流が生じることから、ステップST14の判断によって、停止しているポンプ装置14の二次側の流量検出部20で流量が検出されることから、確実に故障を検出することができる。
【0064】
また、上述した例では、給水装置1は、ポンプ装置14が2台設けられる例を用いて説明したがこれに限定されず、図8に示すように、ポンプ装置14が3台設けられる構成であってもよく、4台以上であってもよい。また、給水装置1は、2台以上のポンプ装置14を備え、複数台のポンプ装置14を交互運転するだけでなく、複数台のポンプ装置14を並列運転する構成であってもよい。並列運転する場合には、先発起動するポンプ装置14を逆止弁16、16Aが故障しているポンプ装置14とし、給水需要が増加し、第2圧力検出部21で検出した圧力が起動圧力以下である場合に、正常な逆止弁16が設けられたポンプ装置14を駆動する構成とすればよい。同様に、複数台のポンプ装置14を駆動している場合において、給水需要が減少し、流量検出部20で検出された流量がポンプ装置14を解列する解列流量以下に低下した場合には、正常な逆止弁16が設けられたポンプ装置14から解列する構成とすればよい。即ち、単数及び複数台のいずれのポンプ装置14を駆動する場合において、逆止弁16、16Aが故障している側のポンプ装置14を駆動することで、逆流現象が生じず、また、給水能力の低下がなくなる。
【0065】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] ポンプ及び前記ポンプを駆動するモータを有する複数のポンプ装置と、
前記ポンプにそれぞれ設けられる複数の吐出管と、
前記複数の吐出管を合流する合流管と、
前記ポンプの一次側、又は、二次側に設けられ、水流を受けて回転する羽根車、及び、前記羽根車の回転を検出する検出部を含む流量検出部と、
前記合流管又は前記合流管の二次側に設けられる圧力検出部と、
前記ポンプの二次側であって、且つ、前記合流管の一次側の前記吐出管にそれぞれ配置される複数の逆止弁と、
前記モータを駆動制御することで前記ポンプを駆動するとともに、前記複数のモータのいずれかの駆動時に、前記圧力検出部で検出した圧力が目標圧力未満に低下し、且つ、前記流量検出部で検出された流量が定格流量の一定比率以下となった場合に、停止している前記ポンプに設けられた前記逆止弁が故障していると判断する制御部と、
を備える給水装置。
[2] 警報を送出する警報装置を備え、
前記制御部は、前記逆止弁の故障を判断した場合に、前記警報装置により警報を送出させる、[1]に記載の給水装置。
[3] 前記制御部は、前記流量検出部で検出された流量が停止流量以下になった場合に、駆動している前記モータを停止し、その後、前記圧力検出部で検出した圧力が起動圧力以下に低下した場合に、故障していると判断した前記逆止弁の前記ポンプを駆動する、[1]又は[2]に記載の給水装置。
[4] 前記制御部は、さらに、停止している前記ポンプの二次側に設けられた前記流量検出部で水流を検出すると、前記逆止弁が故障していると判断する、[1]乃至[3]のいずれか一項に記載の給水装置。
[5] 前記制御部は、前記複数のモータを駆動することで、前記ポンプを並列運転し、前記逆止弁が故障していると判断した場合には、前記逆止弁が故障している前記ポンプを常に先発起動し、前記逆止弁が故障している前記ポンプを駆動しているときに前記圧力検出部で検出した圧力が起動圧力以下に低下した場合に、前記逆止弁が正常な前記ポンプを並列起動する、[1]乃至[4]のいずれか一項に記載の給水装置。
[6] 前記制御部は、前記ポンプを並列運転しているときに、前記流量検出部で検出した流量が解列流量以下に低下した場合に、前記逆止弁が正常な前記ポンプを解列する、[1]乃至[4]のいずれか一項に記載の給水装置。
【符号の説明】
【0066】
1…給水装置、11…吸込管、13…分岐管、14…ポンプ装置、14a…モータ、14b…ポンプ、15…吐出管、16…逆止弁、16A…逆止弁、17…合流管、18…蓄圧装置、19…第1圧力検出部、20…流量検出部、21…第2圧力検出部、22…制御盤、24…ベース、25…支持板、26…カバー、31…弁体、31a…基部、31b…弁部、31c…整流フィン、31d…首部、32…座部、41…羽根車、42…検出部、50…表示部、51…インバータ、52…記憶部、53…制御部、55…ケース。
図1
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図7
図8