(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6650522
(24)【登録日】2020年1月22日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】OLED発光ダイオード及び表示装置
(51)【国際特許分類】
H05B 33/02 20060101AFI20200210BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20200210BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20200210BHJP
H05B 33/22 20060101ALI20200210BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20200210BHJP
【FI】
H05B33/02
H01L27/32
H05B33/14 A
H05B33/22 Z
G09F9/30 365
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-533989(P2018-533989)
(86)(22)【出願日】2015年10月20日
(65)【公表番号】特表2018-529213(P2018-529213A)
(43)【公表日】2018年10月4日
(86)【国際出願番号】CN2015092308
(87)【国際公開番号】WO2017049685
(87)【国際公開日】20170330
【審査請求日】2018年5月2日
(31)【優先権主張番号】201510608837.9
(32)【優先日】2015年9月22日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516010618
【氏名又は名称】深▲せん▼市華星光電技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN CHINA STAR OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】徐超
【審査官】
大竹 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0292652(US,A1)
【文献】
特開2011−228262(JP,A)
【文献】
特開2011−243290(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/187149(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/02
H05B 33/22
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
OLED発光ダイオードであって、
陰極と、発光層と、陽極と、基板と、光取り出し層とを備え、
前記発光層は、前記陰極と陽極との間に位置され、
前記基板は、前記陽極と光取り出し層との間に位置され、
前記光取り出し層の頂面と底面とが平面構造であり、前記光取り出し層は、少なくとも第1材料層と第2材料層とを備え、
前記第1材料層は、前記基板の上に位置され、
前記第2材料層は、前記第1材料層の上に位置され、
前記第1材料層と第2材料層とが、それぞれ、互いに接触している第1接触面と第2接触面とを有し、前記第1接触面と第2接触面との縦断面は、互いに嵌合している規則的な鋸歯状構造を呈し、前記第1材料層の屈折率nA、基板の屈折率n基板及び第2材料層の屈折率nBは、nA>n基板>nBの条件を満たし、
前記鋸歯状構造は、複数の同じ二等辺三角形で構成され、且つ前記第1材料層の二等辺三角形の底辺と前記基板の表面とが重ね合わせて配置され、
前記光取り出し層は、第3材料層をさらに備え、
前記第3材料層は、前記第2材料層の上に位置され、
前記第3材料層の屈折率ncは、前記第2材料層の屈折率nBより小さい、OLED発光ダイオード。
【請求項2】
OLED発光ダイオードであって、前記OLED発光ダイオードは、陰極と、発光層と、陽極と、基板と、光取り出し層とを備え、前記発光層は、前記陰極と陽極との間に位置され、前記基板は、前記陽極と光取り出し層との間に位置され、前記光取り出し層の頂面と底面とが平面構造であり、前記光取り出し層は、少なくとも第1材料層と第2材料層とを備え、前記第1材料層は、前記基板の上に位置され、前記第2材料層は、前記第1材料層の上に位置され、前記第1材料層と第2材料層とが、それぞれ、互いに接触している第1接触面と第2接触面とを有し、前記第1接触面と第2接触面との縦断面は、互いに嵌合している規則的な鋸歯状構造状を呈し、前記第1材料層の屈折率nA、基板の屈折率n基板及び第2材料層の屈折率nBは、nA>n基板>nBの条件を満たし、
前記鋸歯状構造は、複数の同じ二等辺三角形で構成され、且つ前記第1材料層の二等辺三角形の底辺と前記基板の表面とが重ね合わせて配置され、
前記第1材料層の二等辺三角形の底角は、前記第1材料層の屈折率に応じて算出され、
前記光取り出し層は、第3材料層をさらに備え、前記第3材料層は、前記第2材料層の上に位置され、前記第3材料層の屈折率ncは、前記第2材料層の屈折率nBより小さい、OLED発光ダイオード。
【請求項3】
前記第1材料層は、圧印加工により前記基板の上に形成される、請求項2に記載のOLED発光ダイオード。
【請求項4】
前記第2材料層は、塗布加工により前記第1材料層の上に形成され、前記第2材料層の頂面は、平面構造である、請求項2に記載のOLED発光ダイオード。
【請求項5】
前記第1材料層はポリカーボネートで製作されている、請求項2に記載のOLED発光ダイオード。
【請求項6】
前記OLED発光ダイオードは、集光層をさらに備え、前記集光層は、前記基板と陽極との間に挟まれ、前記集光層と陽極とが、それぞれ、互いに接触している第3接触面と第4接触面とを有し、前記第3接触面と第4接触面との縦断面は、互いに嵌合している規則的な鋸歯状構造を呈し、前記集光層の屈折率n1は、前記陽極の屈折率n陽より大きい、請求項2に記載のOLED発光ダイオード。
【請求項7】
前記陽極には、化学気相成長法により前記集光層の上に堆積され、且つ前記基板の表面に隣接する前記集光層の面は平面構造である、請求項6に記載のOLED発光ダイオード。
【請求項8】
OLED発光ダイオードを備える、OLED表示装置であって、前記OLED発光ダイオードは、陰極と、発光層と、陽極と、基板、光取り出し層とを備え、前記発光層は、前記陰極と陽極との間に位置され、前記基板は、前記陽極と光取り出し層との間に位置され、前記光取り出し層の頂面と底面とが平面構造であり、前記光取り出し層は、少なくとも第1材料層と第2材料層とを備え、前記第1材料層は、前記基板の上に位置され、前記第2材料層は、前記第1材料層の上に位置され、前記第1材料層と第2材料層とが、それぞれ、互いに接触している第1接触面と第2接触面とを有し、前記第1接触面と第2接触面の縦断面は、互いに嵌合している規則的な鋸歯状構造を呈し、前記第1材料層の屈折率nA、基板の屈折率n基板及び第2材料層の屈折率nBは、nA>n基板>nBの条件を満たし、
前記鋸歯状構造は、複数の同じの二等辺三角形で構成され、且つ前記第1材料層の二等辺三角形の底辺と前記基板の表面とが重ね合わせて配置され、
前記第1材料層の二等辺三角形の底角は、前記第1材料層の屈折率に応じて算出され、
前記光取り出し層は、第3材料層をさらに備え、前記第3材料層は、前記第2材料層の上に位置され、前記第3材料層の屈折率ncは、前記第2材料層の屈折率nBより小さい、OLED表示装置。
【請求項9】
前記第1材料層は、圧印加工により前記基板の上に形成される、請求項8に記載のOLED表示装置。
【請求項10】
前記第2材料層は、塗布により前記第1材料層の上に形成され、前記第2材料層の頂面は、平面構造である、請求項8に記載のOLED表示装置。
【請求項11】
前記第1材料層はポリカーボネートで製作されている、請求項8に記載のOLED表示装置。
【請求項12】
前記OLED発光ダイオードは、集光層をさらに備え、前記集光層は、前記基板と陽極との間に挟まれ、前記集光層と陽極とが、それぞれ、互いに接触する第3接触面と第4接触面とを有し、前記第3接触面と第4接触面との縦断面は、互いに嵌合している規則的な鋸歯状構造を有し、前記集光層の屈折率n1は、前記陽極の屈折率n陽より大きい、請求項8に記載のOLED表示装置。
【請求項13】
前記陽極には、化学気相成長法により前記集光層の上に堆積され、且つ前記基板の表面に隣接する前記集光層の面は平面構造である、請求項12に記載のOLED表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイの製造分野に関し、特にOLED発光ダイオード及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、OLED(有機発光ダイオード、Organic Light-Emitting Diode)は、自発光性、広い視野角、高応答速度、高コントラスト、低エネルギー消費、環境に優しい、長寿命、超薄型及びフレキシブルな表示構造などの利点を有するため、次世代の表示技術として広く注目されている。
【0003】
図1に示すように、典型的なOLED発光ダイオードは、ガラス基板10、ITO(indium tin oxide、インジウム錫酸化物)陽極(Anode)20、有機発光層30(Emitting Material Layer)、及び陰極40(Cathode)などからなり、有機発光層30は、ITO陽極20と金属陰極40との間に挟まれるように設けられている。有機発光層30には、電圧印加により、陽極20から注入された正孔(Hole)と陰極40からの電子(Electron)とが結合することで励起された有機材料は、光A1を発光することができる。
【0004】
しかしながら、ガラス基板10と空気との間にある表面層による反射及び屈折などの影響により、ほとんどの光A1は、OLED発光ダイオードの発光表面より出射することができず(図示せず)、発光表面の側面から出射されてしまう。これによって、OLEDの発光表面から出射できる光は、有機発光層30で生じられた光A1の全体に対して、低い割合(即ちOLED発光ダイオードの発光効率)であり、OLED発光ダイオードの発展に大きく制限されている。したがって、どのようにOLED発光ダイオードの発光効率を向上させるのは、重要な課題である。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、既存のOLED発光ダイオードにおける低発光効率、輝度不十分な課題を解決できる、OLED発光ダイオード及び表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の技術的な課題を解決するために、本発明は、OLED発光ダイオードを提供し、前記OLED発光ダイオードは、陰極と、発光層と、陽極と、基板と、光取り出し層とを備え、前記発光層は、前記陰極と陽極との間に位置され、前記基板は、前記陽極と光取り出し層との間に位置され、前記光取り出し層の頂面と底面とが平面構造であり、前記光取り出し層は、少なくとも第1材料層と第2材料層とを備え、前記第1材料層は、前記基板の上に位置され、前記第2材料層は、前記第1材料層の上に位置され、前記第1材料層と第2材料層とが、それぞれ、互いに接触している第1接触面と第2接触面とを有し、前記第1接触面と第2接触面との縦断面は、互いに嵌合している規側的な鋸歯状構造を呈し、前記第1材料層の屈折率n
A、基板の屈折率n
基板及び第2材料層の屈折率n
Bは、n
A>n
基板>n
Bの条件を満たし、
前記鋸歯状構造は、複数の同様な二等辺三角形で形成され、且つ前記第1材料層の二等辺三角形の底辺と前記基板の表面とが重ね合わせて位置され、
前記光取り出し層は、第3材料層をさらに備え、前記第3材料層は、前記第2材料層の上に位置され、前記第3材料層の屈折率n
cは、前記第2材料層の屈折率n
Bより小さい。
【0007】
さらに、前記第1材料層の二等辺三角形の底角は、前記第1材料層の屈折率に応じて算出される。
【0008】
本発明は、OLED発光ダイオードをさらに提供し、前記OLED発光ダイオードは、陰極と、発光層と、陽極と、基板と、光取り出し層とを備え、前記発光層は、前記陰極と陽極との間に位置され、前記基板は、前記陽極と光取り出し層との間に位置され、前記光取り出し層の頂面と底面とが平面構造であり、前記光取り出し層は、少なくとも第1材料層と第2材料層とを備え、前記第1材料層は、前記基板の上に位置され、前記第2材料層は、前記第1材料層の上に位置され、前記第1材料層と第2材料層とが、それぞれ、互いに接触している第1接触面と第2接触面とを有し、前記第1接触面と第2接触面との縦断面は、互いに嵌合している規則的な鋸歯状構造を呈し、前記第1材料層の屈折率n
A、基板の屈折率n
基板及び第2材料層の屈折率n
Bは、n
A>n
基板>n
Bの条件を満たす。
【0009】
さらに、前記鋸歯状構造は、複数の同じの二等辺三角形で構成され、且つ前記第1材料層の二等辺三角形の底辺と前記基板の表面とが重ね合わせて配置される。
【0010】
さらに、前記第1材料層の二等辺三角形の底角は、前記第1材料層の屈折率に応じて算出される。
【0011】
さらに、前記光取り出し層は、第3材料層をさらに備え、前記第3材料層は、前記第2材料層の上に位置され、前記第3材料層の屈折率n
cは、前記第2材料層の屈折率n
Bより小さい。
【0012】
さらに、前記第1材料層は、圧印加工により前記基板の上に形成される。
【0013】
さらに、前記第2材料層は、塗布により前記第1材料層の上に形成される、前記第2材料層の頂面は、平面構造である。
【0014】
さらに、前記第1材料層はポリカーボネートで作製されている。
【0015】
さらに、前記OLED発光ダイオードは、集光層をさらに備え、前記集光層は、前記基板と陽極との間に挟まれ、前記集光層と陽極とが、それぞれ、互いに接触する第3接触面と第4接触面とを有し、前記第3接触面と第4接触面との縦断面は、互いに嵌合している規則の鋸歯状構造を有し、前記集光層の屈折率n
1は、前記陽極の屈折率n
陽より大きい。
さらに、前記陽極は、化学気相成長法により前記集光層の上に堆積され、且つ前記基板の表面に隣接する面は平面構造である。
【0016】
本発明は、さらに、OLED表示装置を提供し、前記OLED表示装置は、OLED発光ダイオードと備え、前記OLED発光ダイオードは、陰極と、発光層と、陽極と、基板と、光取り出し層とを備え、前記発光層は、前記陰極と陽極との間に位置され、前記基板は、前記陽極と光取り出し層との間に位置され、前記光取り出し層の頂面と底面とが平面構造であり、前記光取り出し層は、少なくとも第1材料層と第2材料層とを備え、前記第1材料層は、前記基板の上に位置され、前記第2材料層は、前記第1材料層の上に位置され、前記第1材料層と第2材料層とが、それぞれ、互いに接触している第1接触面と第2接触面とを有し、前記第1接触面と第2接触面との縦断面は、互いに嵌合している規則的な鋸歯状構造を呈し、前記第1材料層の屈折率n
A、基板の屈折率n
基板及び第2材料層の屈折率n
Bは、n
A>n
基板>n
Bの条件を満たす。
【0017】
さらに、前記鋸歯状構造は、複数の同じの二等辺三角形で構成され、且つ前記第1材料層の二等辺三角形の底辺と前記基板の表面とが重ね合わせて配置される。
【0018】
さらに、前記第1材料層の二等辺三角形の底角は、前記第1材料層の屈折率に応じて算出される。
【0019】
さらに、前記光取り出し層は、第3材料層をさらに備え、前記第3材料層は、前記第2材料層の上に位置され、前記第3材料層の屈折率n
cは、前記第2材料層の屈折率n
Bより小さい。
【0020】
さらに、前記第1材料層は、圧印加工により前記基板の上に形成される。
【0021】
さらに、前記第2材料層は、塗布により前記第1材料層の上に形成される、前記第2材料層の頂面は、平面構造である。
【0022】
さらに、前記第1材料層はポリカーボネートで作製されている。
【0023】
さらに、前記OLED発光ダイオードは、集光層をさらに備え、前記集光層は、前記基板と陽極との間に挟まれ、前記集光層と陽極とが、それぞれ、互いに接触する第3接触面と第4接触面とを有し、前記第3接触面と第4接触面との縦断面は、互いに嵌合している規則的な鋸歯状構造を有し、前記集光層の屈折率n
1は、前記陽極の屈折率n
陽より大きい。
さらに、前記陽極は、化学気相成長法により前記集光層の上に堆積され、且つ前記基板の表面に隣接する面は平面構造である。
【0024】
本発明の有益な効果は、本発明に係るOLED発光ダイオード及び表示装置が、基板において、第1接触面と第2接触面とを有する第1材料層と第2材料層とを設け、第1接触面と第2接触面との縦断面は、互いに嵌合している規則的な鋸歯状構造を有し、且つn
A>n
基板>n
Bの条件を満たすことによって、OLED発光ダイオードの側面からの光出射を低減し、OLED発光ダイオードの発光表面からの光出射を増加することができ、OLED発光ダイオードの発光効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は既存の技術で光がOLED発光ダイオード内に伝送される経路を示す図である。
【
図2】
図2は本発明の第1実施例における光がOLED発光ダイオード内に伝送される経路を示す図である。
【
図3】
図3は本発明第2実施例における光がOLED発光ダイオード内に伝送される経路を示す図である。
【
図4】
図4は本発明第3実施例における光がOLED発光ダイオード内に伝送される経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明による技術的問題を解決するために、本発明の技術的解決策および有益な効果は、添付の図面を参照しながらより詳しく説明する。本明細書に記載された特定の実施形態は、単に本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0027】
図2に示すように、本発明は、OLED発光ダイオードを提供し、前記OLED発光ダイオードの一つの好ましい実施形態は、陰極1と、発光層2と、陽極3と、基板4及び光取り出し層5とを備え、発光層2は、陰極1と陽極3との間に位置され、基板4は、陽極3と光取り出し層5との間に位置される。光取り出し層5の頂面と底面とが、平面構造であり、前記光取り出し層は、少なくとも第1材料層51と第2材料層52とを備える。第1材料層51は、基板4の上に位置され、第2材料層52は、第1材料層51の上に位置され、第1材料層51と第2材料層52とは、互いに接触している第1接触面511と第2接触面521とを有し、第1接触面511と第2接触面521との縦断面は、互いに嵌合している規則的な鋸歯状構造を呈する。第1材料層51の屈折率n
A、基板4の屈折率n
基板及び第2材料層52の屈折率n
Bは、n
A>n
基板>n
Bの条件を満たす。ここで、n
A:n
基板=sinβ
1:sinβ
2、n
A:n
B=sinβ
4:sinβ
3であり、β
1とβ
2とは、それぞれ、光B1が基板4から第1材料層51に入射する入射角と屈折角であり、β
3和β
4は、それぞれ、光B1が第1材料層51から第2材料層52に入射する入射角と屈折角である。
【0028】
本実施例において、前記鋸歯状構造は、複数の同じ二等辺三角形で構成され、且つ第1材料層51での二等辺三角形の底辺と基板4の表面とが重ね合わせて配置され、その底角θは、第1材料層51の屈折率に応じて算出される。基板4は、ガラス板又は石英基板であり、その屈折率は1.52〜1.53である。第1材料層51は、ポリカーボネートで作製され、その屈折率は1.58〜1.59であり、透過率は90%より大きい。第2材料層52は、ポリメチルメタクリレートで作製され、その屈折率は1.49であり、透過率は92%より大きい。
【0029】
製造過程においては、まず、RFスパッタリングにより陽極3を、表面が洗浄された基板4に堆積させ、前記陽極3の表面を平坦化にする。ここでの陽極3材料は、インジウム錫酸化物(ITO)である。そして、陽極3には、真空蒸着により発光層2と陰極1とが形成され、前記発光層2は、発光効率の良い有機材料からなり、前記陰極1の材料は、通常、Agと、Alと、Mgとを含む。最後に、第1材料層51が、圧印加工により基板4に形成され、第2材料層52が、塗布加工により第1材料層51に重なって形成され、第2材料層52の頂面が平坦な面になるようにする。
【0030】
電圧を陽極3と陰極1との間に印加すると、発光層2が励起され、光B1が生じる。光B1は、基板4を通して第1材料層51と第2材料層52とに入射して、第2材料層52より空気に出射する。第1材料層51と第2材料層52との接触面511、521の縦断面が互いに嵌合している規則的な鋸歯状構造を呈し、且つ第1材料層51の屈折率n
A>基板4の屈折率n
基板>第2材料層52の屈折率n
Bの条件を満たしているため、第1材料層51に入射する光B1の透過方向を、第2材料層52の中央に近付くように最大限に変化させることができる。
【0031】
他の好ましい実施例において、光B1をさらに中央部に集光させるため、光取り出し層5は、第3材料層53をさらに備え、第3材料層53は、第2材料層52の上に位置され、その屈折率については、第3材料層53の屈折率n
c>第2材料層52の屈折率n
Bの条件を満たしている。
図3に示すように、n
B:n
C=sinβ
6:sinβ
5であり、ここで、β
5とβ
6とは、光B1が第2材料層52から第3材料層53に入射する入射角及び屈折角である。
【0032】
他の好ましい実施例において、陽極3とガラス基板10との間にある表面層での反射及び屈折などの影響を抑え、フォトンが陽極3の側面から射出することを回避するために、OLED発光ダイオードは、集光層6をさらに備える。集光層6は、基板4と陽極3との間に挟まれ、集光層6と陽極3とは、互いに接触する第3接触面61と第4接触面31とを有し、第3接触面61と第4接触面31との縦断面は、互いに嵌合している規則的な鋸歯状構造を呈し、その屈折率については、集光層6の屈折率n
1>陽極3の屈折率n
陽の条件を満たしている。本実施例において、陽極3が、化学気相成長法により集光層6の上に成膜され、且つ、
図4に示されているように、基板4に隣接する表面が、平面構成である。集光層6は、高透過率、高屈折率の材料、例えば、ZnO、TiO
2からなる。
【0033】
さらに、本発明は、上述した実施例のOLED発光ダイオードを備えるOLED表示装置(図示せず)を提供する。前記表示装置は、デレビ、ディスプレイ、デジタルカメラ、携帯電話、及びタブレット(図示せず)などの表示機能を有する任意の製品及びデバイスである。
【0034】
本発明の実施例における前記OLED発光ダイオード及び表示装置は、基板4上に、第1接触面511と第2接触面521とを有する第1材料層51と第2材料層52とが設けられ、且つ第1接触面511と第2接触面521との縦断面は、互いに嵌合している規則的な鋸歯状構造を呈する。また、その屈折率については、第1材料層51の屈折率n
A>基板4の屈折率n
基板>第2材料層52の屈折率n
Bの条件を満たす。これにより、光B1がOLED発光ダイオードの側面から射出することを低減し、OLED発光ダイオードの発光表面での光B1の出射率を増加させ、OLED発光ダイオードの発光効率を向上させることができる。
【0035】
上記した内容は、本発明の好ましい実施形態であり、本発明は、これに限定されるものではない。本発明の精神および原理、均等な置換および改良等の範囲内でなされたいかなる変更も、本発明の範囲内に含まれるべきである。