特許第6650640号(P6650640)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6650640
(24)【登録日】2020年1月23日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】活性層の製造方法、および光電変換素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/068 20120101AFI20200210BHJP
   H01L 31/18 20060101ALI20200210BHJP
   H01L 21/368 20060101ALI20200210BHJP
【FI】
   H01L31/06 300
   H01L31/04 420
   H01L21/368 Z
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-36990(P2016-36990)
(22)【出願日】2016年2月29日
(65)【公開番号】特開2017-157596(P2017-157596A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2018年11月29日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 第76回応用物理学会秋季学術講演会講演予稿集、平成27年8月31日(発行日) 〔刊行物等〕 The 9th international Symposium on Transparent Oxide and Related Materials for Electronics and Optics(TOEO−9)Abstracts、平成27年10月19日(発行日) 〔刊行物等〕 平成27年度応用物理学会北陸・信越支部学術講演会講演予稿集、平成27年12月12日(発行日) 〔刊行物等〕 金沢工業大学発行の「平成27年度PDIII公開発表審査会予稿集」、平成28年2月12日(発行日)
(73)【特許権者】
【識別番号】593165487
【氏名又は名称】学校法人金沢工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】南 内嗣
(72)【発明者】
【氏名】宮田 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】西 祐希
【審査官】 吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−239526(JP,A)
【文献】 特開2006−124754(JP,A)
【文献】 特開2015−162650(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0072231(US,A1)
【文献】 YU Luo et al.,Cu2O Homojunction Solar Cells: F-Doped N-type Thin Film and Highly Improved Efficiency,Journal of PHYSICAL CHEMISTRY,2015年 9月11日,VOL.119,pp.22803-22811
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02−31/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属元素が添加された多結晶の亜酸化銅からなる半導体基板を準備する工程と、
少なくとも銅イオンを含む100℃未満のアルカリ水溶液に前記半導体基板を浸漬し、該半導体基板の上に亜酸化銅をエピタキシャル成長させて亜酸化銅薄膜を形成する工程と、
を含むことを特徴とする活性層の製造方法。
【請求項2】
前記亜酸化銅薄膜を形成する工程は、前記半導体基板を一方の電極とし、該一方の電極と他方の電極との間に電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載の活性層の製造方法。
【請求項3】
前記該一方の電極と他方の電極との間の電流密度が4.0[mA/cm]未満となるように電圧を印加することを特徴とする請求項2に記載の活性層の製造方法。
【請求項4】
前記アルカリ水溶液は、硫酸銅と乳酸と水酸化ナトリウムとを混合したものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の活性層の製造方法。
【請求項5】
前記アルカリ水溶液は、pHが9以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の活性層の製造方法。
【請求項6】
前記金属元素は、ナトリウムであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の活性層の製造方法。
【請求項7】
金属元素が添加された多結晶の亜酸化銅からなるp形半導体基板と、
前記p形半導体基板上にエピタキシャル層として形成されたp形亜酸化銅薄膜と、
前記p形亜酸化銅薄膜の上に形成された、アルミニウムをドープされた酸化亜鉛からなる透明導電層と、
を備える光電変換素子。
【請求項8】
前記p形半導体基板は、亜酸化銅の(110)面に優先配向した多結晶基板であり、
前記p形亜酸化銅薄膜は、前記p形半導体基板における亜酸化銅の(110)面に優先配向していることを特徴とする請求項に記載の光電変換素子。
【請求項9】
前記p形亜酸化銅薄膜の、前記p形半導体基板と接する側と反対側の面上に形成されたn形半導体層を更に備えることを特徴とする請求項またはに記載の光電変換素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光エネルギーを電気エネルギーに変換できる光電変換素子の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新興国の飛躍的な経済発展に伴って、地球規模でのエネルギー需要が増大してきている。その結果、石油等の化石エネルギーコストが上昇している。また、これら新興国の化石エネルギー消費の増大は地球規模でのCO排出量の増加を招き、深刻な環境破壊を引き起こしている。これらの問題解決の有力な候補としては、自然エネルギーの積極的な利用が叫ばれており、中でも太陽電池による太陽光発電への期待は極めて大きい。
【0003】
太陽電池には、様々な材料が用いられており、主なものとしては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、銅インジウムガリウムセレン化合物(CIGS化合物)などが挙げられる。シリコンは、地殻埋蔵量は豊富であるもの、太陽電池の原料となる高純度シリコンの場合、安価な材料とは言い難い。また、CIGS化合物は、埋蔵量が少なく入手が困難なレアメタルを含んでおり、材料コストの低減にも限界がある。
【0004】
そこで、主原料が極めて安価でかつ地殻埋蔵量も豊富な亜鉛や銅を用いた酸化亜鉛や亜酸化銅などの太陽電池の開発も行われている。
【0005】
例えば、太陽電池用の亜酸化銅(CuO)層を作製する技術については、これまでに多くの研究がなされている。しかしながら、高品質なCuO層を作製することは、1000℃程度の高温での熱酸化による方法しか事実上なかった。また、水溶液を用いる液相法により比較的低温でCuO層を作製したとする報告も存在するが、その品質は高温での熱酸化による方法で作製したCuO層と比較して大きく劣っていた。
【0006】
このような状況において、将来的にウエラブルコンピューティング用デバイスの電源として、プラスチック等のフレキシブル基板上に「曲がるCuO太陽電池」を実現するためには、低温度で高品質なCuO層を作製する技術の確立が不可欠である。低温度で高品質なCuO層を作製する技術に先立ち、本願発明者らは、高品質なCuO層を作製する上で不可欠なエピタキシャル成長基板として使用可能な、ナトリウムを添加した低抵抗率のCuOシートを既に考案している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015−162650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、安価な材料からなる太陽電池は実現されつつあるものの、実用的には低温での高品質な成膜や変換効率の更なる向上が求められている。
【0009】
本発明はこうした状況に鑑みてなされており、その目的とするところの一つは、主として亜酸化銅からなる高品質な活性層を従来より低温で作製する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の活性層の製造方法は、金属元素が添加された多結晶の亜酸化銅からなる半導体基板を準備する工程と、少なくとも銅イオンを含む100℃未満のアルカリ水溶液に半導体基板を浸漬し、該半導体基板の上に亜酸化銅をエピタキシャル成長させて亜酸化銅薄膜を形成する工程と、を含む。
【0011】
この態様によると、従来より低温で高品質な亜酸化銅の活性層を作製できる。
【0012】
亜酸化銅薄膜を形成する工程は、半導体基板を一方の電極とし、該一方の電極と他方の電極との間に電圧を印加してもよい。これにより、薄膜の成長速度を制御できる。
【0013】
該一方の電極と他方の電極との間の電流密度が4.0[mA/cm]未満となるように電圧を印加してもよい。これにより、結晶性の高い亜酸化銅薄膜を形成できる。
【0014】
アルカリ水溶液は、硫酸銅と乳酸と水酸化ナトリウムとを混合したものであってもよい。これにより、安価な材料で亜酸化銅薄膜を形成できる。
【0015】
アルカリ水溶液は、pHが9以上であってもよい。これにより、上述の活性層を用いた光電変換素子において、従来より高い変換効率を実現できる。
【0016】
金属元素は、ナトリウムであってもよい。これにより、多結晶の亜酸化銅からなるp形の半導体基板の上に亜酸化銅をエピタキシャル成長させて亜酸化銅薄膜を形成できる。
【0017】
本発明の別の態様は、活性層の製造方法である。この方法は、金属元素が添加された多結晶の亜酸化銅からなるp形の半導体基板を準備する工程と、少なくとも銅イオンを含む100℃未満の酸性水溶液に半導体基板を浸漬し、該半導体基板の上にn形の亜酸化銅薄膜を形成する工程と、を含む。
【0018】
この態様によると、亜酸化銅のホモエピタキシャル成長によってヘテロ接合の活性層を製造できる。
【0019】
酸性水溶液は、酢酸銅と酢酸と水酸化カリウムとを混合したものであってもよい。これにより、安価な材料でn形の亜酸化銅薄膜を形成できる。
【0020】
本発明のさらに別の態様は、光電変換素子である。この光電変換素子は、金属元素が添加された多結晶の亜酸化銅からなるp形半導体基板と、p形半導体基板上にエピタキシャル層として形成されたp形亜酸化銅薄膜と、p形亜酸化銅薄膜の上に形成された、アルミニウムをドープされた酸化亜鉛からなる透明導電層と、を備える。
【0021】
この態様によると、良好な光起電力特性を示す。
【0022】
p形半導体基板は、亜酸化銅の(110)面に優先配向した多結晶基板であり、p形亜酸化銅薄膜は、p形半導体基板における亜酸化銅の(110)面に優先配向していてもよい。これにより、結晶性が高い高品質な光電変換素子が実現する。
【0023】
p形亜酸化銅薄膜の、p形半導体基板と接する側と反対側の面上に形成されたn形半導体層を更に備えてもよい。これにより、p形亜酸化銅薄膜を用いたヘテロ接合の活性層が実現する。
【0024】
本発明のさらに別の態様もまた、光電変換素子である。この光電変換素子は、金属元素が添加された多結晶の亜酸化銅からなるp形半導体基板と、p形半導体基板上にエピタキシャル層として形成されたn形亜酸化銅薄膜と、n形亜酸化銅薄膜の上に形成された、アルミニウムをドープされた酸化亜鉛からなる透明導電層と、を備える。n形亜酸化銅薄膜は、80nm〜800nmの厚みである。
【0025】
この態様によると、従来の亜酸化銅のヘテロ接合では実現できない高い変換効率を実現できる。
【0026】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。また、上述した各要素を適宜組み合わせたものも、本件特許出願によって特許による保護を求める発明の範囲に含まれうる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、主として亜酸化銅からなる高品質な活性層を従来より低温で作製できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1の実施の形態に係る光電変換素子の構成を示す概略断面図である。
図2】ECD法による成膜装置の概略図である。
図3図3(a)は、p形CuO:Naシートの表面SEM写真を示す図、図3(b)は、p形CuO薄膜/p形CuO:Naシートの表面SEM写真を示す図である。
図4図4(a)は、p形CuO:NaシートのX線回折(XRD)パターンを示す図、図4(b)は、p形CuO薄膜/p形CuO:NaシートのX線回折(XRD)パターンを示す図、図4(c)は、p形CuO薄膜/FTO/ガラスのX線回折(XRD)パターンを示す図である。
図5】CuOの結晶構造を示した模式図である。
図6図6(a)〜図6(c)は、p形CuO:Naシート上に異なる電流密度でp形CuO薄膜を形成した場合の表面SEM写真を示す図である。
図7図7(a)は、p形CuO:Naシート上に電流密度0.25[mA/cm2]でp形CuO薄膜を形成した場合のX線回折パターンを示す図、図7(b)は、p形CuO:Naシート上に電流密度1.0[mA/cm]でp形CuO薄膜を形成した場合のX線回折パターンを示す図、図7(c)は、p形CuO:Naシート上に電流密度4.0[mA/cm]でp形CuO薄膜を形成した場合のX線回折パターンを示す図である。
図8】実施例1に係る太陽電池(AZO/p形CuO薄膜/p形CuO:Naシート)及び比較例1に係る太陽電池(AZO/p形CuO薄膜/FTO/ガラス)のJ−V、P−V特性の一例を示した図である。
図9図9(a)は、第2の実施の形態に係るヘテロ接合した太陽電池の素子構造を示す図、図9(b)は、第2の実施の形態の変形例に係るヘテロ接合した太陽電池の素子構造を示す図である。
図10図10(a)は、電流密度と開放端電圧(Voc)との関係を示す図、図10(b)は、電流密度と短絡電流密度(Jsc)との関係を示す図、図10(c)は、電流密度と曲線因子(FF)との関係を示す図、図10(d)は、電流密度と変換効率(η)との関係を示す図である。
図11図11(a)は、成膜溶液pHと開放端電圧(Voc)との関係を示す図、図11(b)は、成膜溶液pHと短絡電流密度(Jsc)との関係を示す図、図11(c)は、成膜溶液pHと曲線因子(FF)との関係を示す図、図11(d)は、成膜溶液pHと変換効率(η)との関係を示す図である。
図12】ヘテロ接合太陽電池の電流密度(J)−電圧(V)特性と、電力密度(P)−電圧(V)特性を示した図である。
図13図13(a)は、ヘテロ接合太陽電池におけるCuO薄膜の膜厚と開放端電圧(Voc)との関係を示す図、図13(b)は、CuO薄膜の膜厚と曲線因子(FF)との関係を示す図、図13(c)は、CuO薄膜の膜厚と変換効率(η)との関係を示す図である。
図14】最大の変換効率を実現した厚さ240nmのCuO薄膜を形成して作製したAZO/CuO薄膜/CuO:Na太陽電池の光照射下での電流密度(J)−電圧(V)特性を示す図である。
図15】予想されるバンド構造を示す図である。
図16】正孔密度が異なる3つのヘテロ接合太陽電池の外部量子効率(EQE)の波長依存性を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0030】
(第1の実施の形態)
本発明者らは、Cu(銅)シートを高温で熱酸化して作製するp形多結晶CuO(亜酸化銅)シートを活性層に用いる太陽電池を研究している。CuO結晶は天然にも産し、多くの結晶成長法を用いて容易に作成できるが、導入されるCuの空孔がアクセプタとして働き、いずれの方法で作製してもp形伝導を呈し、n系CuO結晶の作成が困難であった。
【0031】
したがって、CuOを用いた太陽電池の研究では、p形CuOとCuO以外の他の材料で構成されたn形半導体との組合せからなるヘテロ接合が広く使用されている。最近、本発明者らが考案した技術ではp形CuOを活性層に用いるヘテロ接合太陽電池において、8.1[%]の高い変換効率を実現している。この値は、このタイプの太陽電池において実現可能な効率の理論的限界に近い。一方、エネルギーギャップが2[eV]のCuOのpn接合太陽電池では、理論的に約20[%]の変換効率が期待できる。
【0032】
しかしながら、その実現にはn形CuO層の実現が重要である。そこで、太陽電池の活性層として使用できる高品質n形CuO層を実現するための第一段階として、第1の実施の形態では、新たな活性層の製造方法について説明する。この製造方法は、本願発明者らが考案した高品質p形CuOシート上に、電気化学溶液堆積(Electro Chemical deposition:ECD)法を用いて、CuO薄膜をホモエピタキシャル成長させるものである。
【0033】
[光電変換素子]
図1は、第1の実施の形態に係る光電変換素子の構成を示す概略断面図である。光電変換素子10は、金属元素としてNa(ナトリウム)が添加された多結晶のCuO(亜酸化銅)からなるシート状のp形半導体基板12と、p形半導体基板12に一方の面上にエピタキシャル層として形成されたp形CuO薄膜14と、p形CuO薄膜14の上に形成された、透明導電層16と、p形半導体基板12の、p形CuO薄膜14が形成された面と反対側の面上に形成されているAu(金)からなる電極18と、を備える。
【0034】
本実施の形態に係るp形半導体基板12であるCuOシートは、10〜1000μmの厚みを有する。また、透明導電層16は、AZO(アルミニウムをドープした酸化亜鉛)である。
【0035】
[p形半導体基板の製造方法]
次に、本実施の形態に係るp形半導体基板の製造方法について説明する。はじめに、銅板(純度99.96[%])を洗浄後、約1025[℃]で酸化処理することで、基板および活性層を兼ねる多結晶のp形CuOシート(厚さ200μm)を作製する。
【0036】
次に、CuOシートを金属ハロゲン化物が存在する雰囲気で熱処理をする。金属化合物としてはNa、K、Li、Mg、Ca、Mn等の金属元素と各種ハロゲン、炭酸等の化合物が挙げられる。例えば、取扱いや入手の容易さからNaCl、NaCOやKClが好ましい。
【0037】
本実施の形態に係る熱処理工程では、雰囲気制御が可能な電気炉の内部において、NaCl粉末中にCuOシートを埋めた状態で、不活性ガスであるAr雰囲気とした。熱処理工程は、第1の半導体層を金属ハロゲン化物で被覆した状態で行うとよい。その状態でCuOシートを雰囲気温度100〜1000[℃]で1〜10[h]熱処理した(以下、「NaCl熱処理」と称する場合がある。)。なお、不活性ガスとしては、Ar以外の希ガスや窒素ガスを適宜用いてもよい。このような熱処理工程を経て多結晶のCuOからなるp形半導体基板12が形成される。
【0038】
[ECD法によるp形CuO薄膜の成膜方法]
図2は、ECD法による成膜装置の概略図である。図2に示す成膜装置20は、浴槽22に溶液24が満たされている。溶液24は、硫酸銅(CuSO:濃度0.20mol/L)と乳酸(CHCH(OH)COOH:濃度3.00mol/L)の水溶液に、水酸化ナトリウムを加えて全体のpHを12に調整してある。溶液24中には、陽極としてPtシート26、陰極としてp形半導体基板12またはFTO透明導電膜28が浸されている。
【0039】
p形半導体基板12としては、正孔密度が1019[cm−3]のオーダーで縮退したp形CuO:Naシートが用いられる。また、FTO透明導電膜28としては、ガラス上に成膜されたF添加SnO(FTO)透明導電膜が用いられる。溶液24の温度は70[℃]である。温度は温度計29により測定される。また、電流密度(J)は0.25〜4.0[mA/cm]の範囲で選択された値となるように制御部30によって制御する。制御部30は、電源32、電圧計34、および電流計36を備える。
【0040】
また、ECD法により作製された薄膜を活性層に使用した実施例1に係る光電変換素子(AZO/p形CuO薄膜/p形CuO:Naシート)、及び、比較例1に係る光電変換素子(AZO/p形CuO薄膜/FTO)を作製し、各素子の光起電力特性をAM1.5G(100[mW/cm])の光照射下で測定した。
【0041】
図3(a)は、p形CuO:Naシートの表面SEM写真を示す図、図3(b)は、p形CuO薄膜/p形CuO:Naシートの表面SEM写真を示す図である。図3(b)に示すように、p形CuO薄膜は、基板であるp形CuO:Naシート上に均一に成膜されていることがわかる。
【0042】
図4(a)は、p形CuO:NaシートのX線回折(XRD)パターンを示す図、図4(b)は、p形CuO薄膜/p形CuO:NaシートのX線回折(XRD)パターンを示す図、図4(c)は、p形CuO薄膜/FTO/ガラスのX線回折(XRD)パターンを示す図である。図5は、CuOの結晶構造を示した模式図である。
【0043】
図4(a)に示すXRDパターンの回折ピークからわかるように、p形CuO:Naシートは、図5に示す結晶構造の(110)面に優先配向した多結晶である。また、図4(b)に示すように、p形CuO薄膜は、p形CuO:Naシートの配向性と同じ(110)面に配向した回折ピークのみが観測された。一方、図4(c)に示すように、FTO薄膜上に形成したp形CuO薄膜は特定の面方位に配向していなかった。
【0044】
図6(a)〜図6(c)は、p形CuO:Naシート上に異なる電流密度でp形CuO薄膜を形成した場合の表面SEM写真を示す図である。図7(a)は、p形CuO:Naシート上に電流密度0.25[mA/cm]でp形CuO薄膜を形成した場合のX線回折パターンを示す図、図7(b)は、p形CuO:Naシート上に電流密度1.0[mA/cm]でp形CuO薄膜を形成した場合のX線回折パターンを示す図、図7(c)は、p形CuO:Naシート上に電流密度4.0[mA/cm]でp形CuO薄膜を形成した場合のX線回折パターンを示す図である。
【0045】
図6(a)〜図6(c)から明らかなように、p形CuO薄膜の表面モホロジーは、電流密度Jに依存し、電流密度Jが0.25[mA/cm]及び1.0[mA/cm]の場合において特に均一なCuO薄膜が作製できた。また、図7(a)〜図7(c)に示すXRDパターンから電流密度Jが0.25[mA/cm]及び1.0[mA/cm]で形成した膜がエピタキシャル成長していることがわかった。特に電流密度Jが0.25[mA/cm]で形成したCuO薄膜の回折ピークはシャープで強度が大きいため、より大きな電流密度Jで作製したCuO薄膜と比較して、配向性の優れたエピタキシャル膜が形成されていることを示している。
【0046】
このように、本実施の形態に係る活性層の製造方法は、金属元素としてNaが添加された多結晶のCuOからなる半導体基板を準備する工程と、少なくとも銅イオンを含む100℃未満のアルカリ水溶液に半導体基板を浸漬し、該半導体基板の上にCuOをエピタキシャル成長させてCuO薄膜を形成する工程と、を含む。これにより、従来より低温で高品質なCuOの活性層を作製できる。
【0047】
また、CuO薄膜膜を形成する工程は、p形半導体基板12を一方の電極とし、Ptシート26を他方の電極として、両電極間に電圧を印加することで、薄膜の成長速度を制御できる。
【0048】
図8は、実施例1に係る太陽電池(AZO/p形CuO薄膜/p形CuO:Naシート)及び比較例1に係る太陽電池(AZO/p形CuO薄膜/FTO/ガラス)のJ−V、P−V特性の一例を示した図である。
【0049】
実施例1に係る太陽電池では、p形CuO基板の結晶構造を反映した優れた配向性のp形CuO薄膜が形成されているため、比較例1に係る太陽電池と比べて優れた光起電力特性を実現することができた。
【0050】
上述のように、第1の実施の形態に係る活性層は、XRDによる評価によって、p形CuO薄膜がCuOシート上で(110)面に優先配向しており、ホモエピタキシャル成長していることが明らかとなった。また、電流密度が4.0[mA/cm]未満となるように、好ましくは電流密度が1.0[mA/cm]以下となるように、より好ましくは、電流密度を0.25[mA/cm]±0.10にすることで、結晶性の高い高品質なCuO薄膜を作製でき、このCuO薄膜を活性層とすることで優れた太陽電池を実現できた。
【0051】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、高品質なp形CuOシート基板上に、低温成膜技術である電気化学溶液堆積(ECD)法を用いてCuO薄膜をホモエピタキシャル成長することで、高品質な活性層およびその活性層を備えた光電変換素子(太陽電池)を実現できることを示した。しかしながら、ECD法は原理上導電性基板の使用が必須のため、その上に成長したCuO薄膜の電気的特性を評価することが困難である。そこで、第2の実施の形態では、ホモエピタキシャル成長によって形成されたCuO薄膜を太陽電池の活性層として使用するヘテロ接合太陽電池を作製し、光起電力特性を始めとする太陽電池の特性を評価することにより、CuO薄膜の品質を評価した。すなわち、第1の実施の形態で説明したCuOホモエピタキシャル薄膜を使用した太陽電池を作製して評価した。本実施の形態に係る太陽電池(光電変換素子)は、Al添加ZnO(AZO)透明導電膜/CuOホモエピタキシャル薄膜/p形CuOシートの積層構造を有するヘテロ接合太陽電池である。
【0052】
[太陽電池]
p形半導体基板12としては、正孔密度が1019[cm−3]のオーダーで縮退したNa添加のpCuO:Naシートを用いている。pCuO:Naシートは、熱酸化して作製したp形CuOシートをNaCOとともにArガス雰囲気中で、800[℃]、30[h]の熱処理により作製された。次に、第1の実施の形態で説明した成膜装置20の浴槽22に、濃度0.20[mol/l]のCuSOと、濃度3.00[mol/l]のCHCH(OH)COOHとを含み、pHを約7.0〜12に調整した水溶液を満たす。そこに、作製されたp形CuO:Naシートを陰極として浸漬し、第1の実施の形態と同様に、電気化学溶液堆積法(ECD)法によって、pCuO:Na基板上にCuO薄膜を成膜した。成膜条件は、溶液温度が40〜80[℃]、電流密度が0.25〜4.0[mA/cm]であり、CuO薄膜の膜厚は800[nm]である。
【0053】
次に、パルスレーザー蒸着(PLD)法を用いて、CuO薄膜の上に、n形半導体薄膜及びAZO透明電極層を、成膜温度が室温(RT)の条件で作製した。図9(a)は、第2の実施の形態に係るヘテロ接合した太陽電池の素子構造を示す図、図9(b)は、第2の実施の形態の変形例に係るヘテロ接合した太陽電池の素子構造を示す図である。
【0054】
各素子に対して、AM1.5G[100mW/cm]の光を照射し、25℃の条件下で素子の光起電力特性を測定した。光起電力特性は、成膜時の電流密度、pH及び膜厚等の作製条件に大きく影響することがわかった。
【0055】
はじめに、光起電力特性の電流密度依存性について説明する。図10(a)は、電流密度と開放端電圧(Voc)との関係を示す図、図10(b)は、電流密度と短絡電流密度(Jsc)との関係を示す図、図10(c)は、電流密度と曲線因子(FF)との関係を示す図、図10(d)は、電流密度と変換効率(η)との関係を示す図である。
【0056】
図10(a)〜図10(d)に示す結果は、成膜する際の水溶液のpHを12、水溶液の温度を70[℃]、作製されるCuO薄膜の膜厚を800[nm]とした場合である。そして、電流密度を0.25〜4.0[mA/cm]の範囲で変化させた場合に得られたCuO薄膜を活性層として図9(a)に示す素子構造の太陽電池を作製し、各光起電力特性を測定した。
【0057】
図10(a)に示すように、電流密度の増加に伴って開放端電圧(Voc)は低下している。また、図10(b)、図10(c)に示すように、短絡電流密度(Jsc)及び極性因子(FF)は電流密度が2.0[mA/cm]以上で低下している。結果として、変換効率(η)は電流密度が0.25[mA/cm]で最大となり、変換効率(η)は約2.15[%]を実現できた。
【0058】
次に、光起電力特性の成膜溶液pH依存性について説明する。図11(a)は、成膜溶液pHと開放端電圧(Voc)との関係を示す図、図11(b)は、成膜溶液pHと短絡電流密度(Jsc)との関係を示す図、図11(c)は、成膜溶液pHと曲線因子(FF)との関係を示す図、図11(d)は、成膜溶液pHと変換効率(η)との関係を示す図である。
【0059】
図11(a)〜図11(d)に示す結果は、成膜する際の水溶液の温度を70[℃]、作製されるCuO薄膜の膜厚を800[nm]、電流密度を0.25[mA/cm]とした場合である。そして、成膜する際の水溶液のpHを7.0〜12の範囲で変化させた場合に得られたCuO薄膜を活性層として図9(a)に示す素子構造の太陽電池を作製し、各光起電力特性を測定した。
【0060】
図11(a)に示すように、溶液pHの増加に伴って開放端電圧(Voc)は増加している。一方、図11(b)に示すように、溶液pHが増加しても、短絡電流密度(Jsc)はほとんど変化が見られない。また、図11(c)に示すように、溶液pHの増加に伴って極性因子(FF)は増加している。結果として、溶液のpHは9以上が好ましく、図11(d)に示すように、変換効率(η)は溶液pHが12で最大となり、変換効率(η)は約2.15[%]を実現できた。
【0061】
表1には、電流密度及びpHを最適化して作製したヘテロ接合太陽電池において得られた光起電力特性を示す。また、表1には比較のため熱酸化して作製した正孔密度が1014[cm−3]のp形CuOを活性層に用いて作製した太陽電池の光起電力特性を示している。両者では同程度の変換効率が実現できていることから、ECD法で作製したCuO薄膜は熱酸化して作製したp形CuOと同程度の品質を実現できていると考えられる。
【0062】
【表1】
【0063】
次に、n形半導体層を導入した場合の適合性を調べるために、電流密度とpHを最適化して形成したCuOホモエピタキシャル薄膜の上に、(Ga0.975Al0.025薄膜(膜圧60[nm])を形成し、AZO薄膜/(Ga0.975Al0.025/CuOホモエピタキシャル/pCuO:Naのヘテロ接合太陽電池(9(b)参照)を作製した。図12は、ヘテロ接合太陽電池の電流密度(J)−電圧(V)特性と、電力密度(P)−電圧(V)特性を示した図である。その結果、開放端電圧(Voc)が0.92[V]、短絡電流密度(Jsc)が8.63[mA/cm]、曲線因子(FF)が0.52、及び変換効率(η)が約4.15[%]という優れた光起電力特性を実現でき、ECD法で作製したCuO薄膜は、n形半導体層の導入に対しても有効であることがわかった。
【0064】
(第3の実施の形態)
上述の実施の形態では、高品質p形CuOシート基板上に電気化学溶液堆積(ECD)法を用いてCuO薄膜のホモエピタキシャル成長技術を検討した。上述のように、結晶学的に高品質なCuOホモエピタキシャル薄膜を活性層に用いて作製したヘテロ接合太陽電池の光起電力特性を評価した結果、エピタキシャル成長CuO薄膜は、正孔密度が1015[cm−3]のオーダーのp形であると推察される。この結果は、ECD法では70℃程度の成膜温度でCuOが容易に形成でき、かつCu空孔(VCu)すなわち正孔密度を低く抑えることができることを示唆する。すなわち、通常の熱平衡状態での結晶成長技術では、約500℃以上の高温でなければ1価の銅(Cu)からなるCuOを作製できない(2価のCu2+からなるCuOが形成される)ことに加えて、酸素(O)空孔(V)と比較してCu空孔(VCu)の形成エネルギーが非常に低いことが、高品質のCuO結晶成長が困難であり、かつn型CuO生成をも難しくしている。
【0065】
これらの問題を解決する一つの試みとして、近年、塩素(Cl)が有効なドナーとなるとの第一原理計算による報告があり、ECD法を用いるpHコントロールによる添加手法が提案され、n型CuO薄膜とpn接合太陽電池の作製が報告されている。そこで、本実施の形態では、熱酸化p形CuOシート基板上へのECD法を用いるエピタキシャル成長技術を駆使して、Clを含むOサイト置換及びCuサイト置換による有効なドナーとして可能性のある不純物の添加を試みている。
【0066】
第3の実施の形態では、p形多結晶CuOシート(厚さ:0.2[mm])は、Cuシートを約1025[℃]で熱酸化して作製されている。Naの添加は、p形CuOシートをNaを含有する化合物とともにArガス雰囲気中で、700〜1000[℃]、1〜30[h]の熱処理により実施された。ECD法を用いたCuO薄膜の成膜に用いる成膜装置は第1の実施の形態と同様である。成膜に用いる水溶液は、濃度0.20[mol/l]のCu(CHCOO)と、濃度0.08[mol/l]のCHCOOHとを含み、KOHを混入してpHを4.9に調整した酸性電解液である。これにより、安価な材料でn形のCuO薄膜を形成できる。
【0067】
陽極にPt板、陰極にはpCuO:Na(1015[cm−3])基板を用いて電解液に浸し、電流密度が0.25[mA/cm]となるように電極間に電圧を印加し、溶液温度70[℃]、成膜時間0〜10[min]として、pCuO:Na基板上にCuO薄膜を形成した。n形半導体薄膜層及びAl添加ZnO(AZO)透明導電膜(透明電極)は、パルスレーザー蒸着(PLD)法を用いて、成膜温度が室温(RT)の条件で作製された。裏面には背面電極として金(Au)を形成した。このように作製された素子に対して、AM1.5G[100mW/cm]の光を照射し、素子の光起電力特性を測定した。
【0068】
次に、第3の実施の形態に係る光起電力素子における光起電力特性のCuO薄膜の膜厚依存性について説明する。ECD法を用いてCuO:Na(1015[cm−3])基板上に成膜されたCuO薄膜の膜厚を0〜1600[nm]の範囲で変化させた、AZO/CuO薄膜/pCuO:Naのヘテロ接合太陽電池を作製し、各光起電力特性を測定した
【0069】
図13(a)は、ヘテロ接合太陽電池におけるCuO薄膜の膜厚と開放端電圧(Voc)との関係を示す図、図13(b)は、CuO薄膜の膜厚と曲線因子(FF)との関係を示す図、図13(c)は、CuO薄膜の膜厚と変換効率(η)との関係を示す図である。
【0070】
図13(a)に示すように、CuO薄膜の膜厚の増加に伴って開放端電圧(Voc)は増大し、膜厚が240[nm]以上で飽和している。一方、図13(b)に示すように、極性因子(FF)は膜厚が80[nm]程度で最大となり、それ以上膜厚が増加すると緩やかに低下した。短絡電流密度(Jsc)はCuO薄膜の膜厚が400nm程度で最大となる。結果として、図13(c)に示すように、変換効率(η)はCuO薄膜の膜厚が240[nm]ので最大となり、変換効率(η)は約3.37[%]を実現できた。
【0071】
図14は、最大の変換効率を実現した厚さ240nmのCuO薄膜を形成して作製したAZO/CuO薄膜/CuO:Na太陽電池の光照射下での電流密度(J)−電圧(V)特性を示す。図14では、比較として正孔密度が4.42×1013及び4.29×1015[cm−3]の熱酸化タイプのCuOシート上に直接AZOを形成して作製したヘテロ接合太陽電池の特性も示している。
【0072】
図14から明らかなように、AZO/CuO薄膜/CuO:Naの太陽電池において、得られる開放端電圧(Voc)が大幅に向上している。ヘテロ接合太陽電池の開放端電圧(Voc)は、n形半導体層及びpCuOの仕事関数の差で決定される。すなわち、開放端電圧(Voc)の差が拡散電位の差に対応すると考えると、本実施の形態に係るCuO薄膜のフェルミレベルが約0.275[eV]伝導帯に近づいていることを示唆する。したがって、正孔密度が1013[cm−3]以下であり、i形CuOに近いと推察される。図15は、予想されるバンド構造を示す図である。
【0073】
図16は、図14でも説明した正孔密度が異なる3つのヘテロ接合太陽電池の外部量子効率(EQE)の波長依存性を示した図である。いる。図16からも明らかなように、ECD法で形成したCuO薄膜を活性層とする素子では、CuOの吸収端近傍でのEQEの増加が認められ、フェルミレベルのシフトを支持する。
【0074】
このように、本実施の形態に係る光電変換素子は、Naが添加された多結晶のCuOからなるp形半導体基板と、p形半導体基板上にエピタキシャル層として形成されたn形CuO薄膜と、n形CuO薄膜の上に形成された、アルミニウムをドープされた酸化亜鉛からなる透明導電層と、を備える。n形CuO薄膜は、80nm〜800nmの厚みが好ましい。これにより、従来のCuOのヘテロ接合では実現できない高い変換効率を実現できる。
【0075】
以上、本発明を上述の各実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の各実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて各実施の形態における組合せや工程の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を各実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
【符号の説明】
【0076】
10 光電変換素子、 12 p形半導体基板、 14 p形CuO薄膜、 16 透明導電層、 18 電極、 20 成膜装置、 22 浴槽、 24 溶液、 26 Ptシート、 28 FTO透明導電膜、 29 温度計、 30 制御部、 32 電源、 34 電圧計、 36 電流計。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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図16