(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、内方延設部及び後方延設部はともに板状であるので、筐体の組付け工程において、上下に誤って重ね易いという問題点があった。
【0005】
本発明の目的は、筐体の誤組付けを防止できる加熱調理器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明の加熱調理器は、左側板部、右側板部、前記右側板部及び前記左側板部の夫々の後端部同士をつなぐ後板部、前板部を有する筐体を備え、
前記前板部の下端部のうち少なくとも左側部及び右側部には、後方に向けて延びる板状の後方延設部が夫々設けられ、前記左側板部及び前記右側板部の夫々の下端部のうち少なくとも前側部には、前記筐体の左右方向の中央に向けて延びる板状の内方延設部が設けられ、前記前板部の前記左側部の前記後方延設部及び前記左側板部の前記前側部の前記内方延設部、並びに前記前板部の前記右側部の前記後方延設部及び前記右側板部の前記前側部の前記内方延設部が夫々上下方向に互いに重合され、該互いに重合された重合部分が固定部材で固定されることで、前記左側板部及び前記右側板部と前記前板部とが相互に連結される加熱調理器において、前記後方延設部及び前記内方延設部のうち上側に重なる側に、前記後方延設部及び前記内方延設部の重合位置において上側に突出する突出部が設けられ
、前記固定部材は、上下方向に延びる柱状に形成された柱部と、前記柱部の外側面に設けられた係止部と、前記柱部の下端部に設けられ、前記柱部よりも外側に張り出して形成された張出部とを備え、前記柱部は、前記後方延設部及び前記内方延設部の前記重合部分を下側から上側に向けて貫通し、前記筐体の下側に位置する前記張出部の上面部と、前記係止部との間に、前記後方延設部及び前記内方延設部が上下から挟持される状態で固定され、前記張出部は、前記筐体を支持する脚部を兼ねることを特徴とする。
【0007】
【0008】
請求項
2に係る発明の加熱調理器は、
左側板部、右側板部、前記右側板部及び前記左側板部の夫々の後端部同士をつなぐ後板部、前板部を有する筐体を備え、前記前板部の下端部のうち少なくとも左側部及び右側部には、後方に向けて延びる板状の後方延設部が夫々設けられ、前記左側板部及び前記右側板部の夫々の下端部のうち少なくとも前側部には、前記筐体の左右方向の中央に向けて延びる板状の内方延設部が設けられ、前記前板部の前記左側部の前記後方延設部及び前記左側板部の前記前側部の前記内方延設部、並びに前記前板部の前記右側部の前記後方延設部及び前記右側板部の前記前側部の前記内方延設部が夫々上下方向に互いに重合され、該互いに重合された重合部分が固定部材で固定されることで、前記左側板部及び前記右側板部と前記前板部とが相互に連結される加熱調理器において、前記後方延設部及び前記内方延設部のうち上側に重なる側に、前記後方延設部及び前記内方延設部の重合位置において上側に突出する突出部が設けられ、前記重合部分において、前記後方延設部及び前記内方延設部のうち上側に重なる側には、左右方向に延びるスリットが設けられ、下側に重なる側には、前記スリットの長手方向に対して平行に延び且つ上方に突出する板状に形成され、前記スリットに対して下側から差し込まれる差込片が設けられたことを特徴とする。
【0009】
請求項
3に係る発明の加熱調理器は、請求項
2に記載の構成に加え、前記スリット及び前記差込片は、前記重合部分において、前記固定部材を前後に挟む位置に夫々設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明の加熱調理器では、内方延設部と後方延設部を互いに上下逆に重ね合わせた場合、突出部により両延設部間が浮き上がる。これにより、各延設部を重ね合わせた後で、固定部材で固定する前の仮組みの段階で、各延設部の重ね順が誤っていることを作業者に認識させることができる。よって、筐体の誤組み付けを防止できる。
【0011】
加熱調理器では
、固定部材の柱部を、内方延設部と後方延設部に夫々貫通させることで、柱部側の係止部と筐体の下側に位置する張出部とで、両延設部を上下から挟持する状態で両延設部を固定する。これにより、螺子止め等を不要化できるので、組み付け性を向上できる。また、固定部材の張出部が、筐体の脚部を兼ねるので、部品点数を削減できる。
【0012】
請求項
2に係る発明の加熱調理器では
、後方延設部及び内方延設部において、上側に重なる側に設けられたスリットに対して、下側に重なる側に設けられた差込片が下側から差し込まれる。これにより、各延設部の仮組みを容易化できるので、固定部材による両延設部の固定を容易にできる。また、差込片は、スリットの形状に合わせて左右方向に延びる板状に形成されているので、左右方向からの負荷に対して剛性が大きい。例えば、筐体が左右方向からの衝撃を受けた場合、内方延設部及び後方延設部の重合部分において互いに左右方向にずれる力が働くが、差込片は左右方向に対して剛性が大きいので、差込片が折れ曲がってスリットから抜けてしまうことを防止できる。
【0013】
請求項
3に係る発明の加熱調理器では、請求項
2に記載の効果に加え、スリット及び差込片は、内方延設部と後方延設部の重合部分において、固定部材を前後に挟む位置に夫々設けられているので、筐体に対して衝撃により力が加わったとしても、柱部周辺で両延設部に加わる力の方向を揃えることができる。これにより、柱部が内方延設部及び後方延設部によって破断されるように作用することを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。以下に記載されている装置の構造などは、特に特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。なお、以下説明では、図中に矢印で示す上下、左右、前後を使用する。
【0016】
図1,
図2を参照して、ガスコンロ1の外観構造を説明する。ガスコンロ1は、本発明の加熱調理器の一例である。ガスコンロ1は、略直方体状の筐体2を備える。筐体2は金属製であり、上面が開口する略直方体状に形成されている。底面の四隅には、樹脂製の底面視略円形状の後述する張出部62(
図4参照)が下方に突出して設けられる。4つの張出部62は、ガスコンロ1の脚部として機能し、図示しないキッチン等に設けられたコンロ台等に載置される。筐体2の上部には、上面の開口を閉塞するように、天板3が取り付けられている。天板3の上面の右側には右コンロバーナ5、左側には左コンロバーナ6が設けられている。右コンロバーナ5と左コンロバーナ6に挟まれる部分の後方には、グリル排気口(図示略)が設けられている。グリル排気口は、筐体2内に設置されるグリル庫(図示略)から延びる排気筒(図示略)と連通し、グリル庫内の燃焼ガスを排出する。グリル排気口には、複数の孔を備える排気カバー8が上方から設置されている。
【0017】
筐体2の前面の左右方向略中央部には、グリル庫(図示略)の前面に設けられたグリル開口(図示略)に連通するグリル用開口部(図示略)が設けられている。グリル用開口部の前側には、グリル扉10が前後方向に移動可能に設けられている。グリル扉10はグリル用開口部を開閉する。グリル扉10の前面は、筐体2の前方に対して上部から下部にかけて斜め下方に傾斜している。グリル扉10の前面の下部には、前方に突出する取手10Aが設けられている。ユーザは、グリル扉10の取手10Aを手前側に引き出すと、グリル扉10の背面下部に連結した受け皿(図示略)と焼き網を、グリル庫7内から同時に取り出すことができる。
【0018】
筐体2の前面には、後述する前板部24(
図2,
図3参照)が設けられ、その前板部24の前面において、グリル扉10の右側には、樹脂製の右側フロントパネル91が装着され、グリル扉10の左側には、樹脂製の左側フロントパネル92が装着されている。右側フロントパネル91の前面の下側には、点火スイッチ11,12が左右方向に並んで設けられている。点火スイッチ11は、グリル扉10の右側に隣接して設けられ、右コンロバーナ5の点火・消火の操作を行う。点火スイッチ12は、点火スイッチ11の右隣に設けられ、グリル庫内に設けられた一対のグリルバーナ(図示略)の点火・消火の操作を行う。一対のグリルバーナとは、グリル庫内の上下に設けられた上バーナ及び下バーナ(図示略)である。
【0019】
点火スイッチ11の上方には、火力調節レバー16が設けられ、点火スイッチ12の上方には、火力調節レバー17が設けられている。火力調節レバー16は、略水平方向におけるスライド操作によって、右コンロバーナ5の火力調節を行う。火力調節レバー17は、上火用調整レバー17Aと下火用調整レバー17Bを上下に備える。上火用調整レバー17Aは、略水平方向におけるスライド操作によって、上バーナの火力調節を行う。下火用調整レバー17Bは、略水平方向におけるスライド操作によって、下バーナの火力調節を行う。
【0020】
他方、左側フロントパネル92の前面部の下側には、点火スイッチ13、及び電池ケース15が左右方向に並んで設けられている。点火スイッチ13は、グリル扉10の左側に隣接して設けられ、左コンロバーナ6の点火・消火の操作を行う。電池ケース15は、点火スイッチ13の左隣に設けられ、ガスコンロ1の電源として、例えば2つの乾電池を格納する。点火スイッチ13の上方には、火力調節レバー18が設けられている。火力調節レバー18は、略水平方向におけるスライド操作によって、左コンロバーナ6の火力調節を行う。
【0021】
図2を参照し、筐体2の構造を説明する。筐体2は、筺体本体部20、前板部24の二つの板金部材を互いに組み付け、ネジで固定することによって構成されている。筺体本体部20は、前側が開口する平面視略U字形状に形成されている。筺体本体部20は、右側板部21、左側板部22、後板部23を備える。後板部23は、右側板部21及び左側板部22の夫々の後端部同士を繋いでいる。そのような筺体本体部20の開口する前側に、正面視略矩形状の前板部24がネジで組み付けられている。
【0022】
図3〜
図5を参照し、前板部24の構造を説明する。ここでは、前板部24の左側の構造を中心に説明する。
図3に示すように、前板部24は垂直に立設されている。前板部24の正面における左右方向の略中央部には、グリル用開口部(図示略)が設けられている。グリル用開口部は正面視略矩形状であり、グリル庫(図示略)の前面に設けられたグリル開口(図示略)に対向する。そのグリル用開口部の左側には、正面視矩形状の開口部31が設けられている。開口部31の内側には、左側フロントパネル92の裏面側に固定される電装基盤(図示略)、点火スイッチ13、電池ケース15等が配置される。開口部31の右側上方には、レバー用開口部32が設けられている。レバー用開口部32は、左右方向に延びる正面視略矩形状に形成されている。レバー用開口部32の内側には、火力調節レバー18(
図2参照)が、筐体2の内側から前方に突出し、左右方向にスライド可能に設けられる。
【0023】
図3,
図5に示すように、前板部24の上端部には、上側受け部241が設けられている。上側受け部241は、段付き状に形成され、前板部24の上端部に沿って左右方向に設けられている。上側受け部241は、前側水平部241A、垂直部241B、後側水平部241Cを備える。前側水平部241Aは、前板部24の上端部から後方に略水平に延びる部分である。垂直部241Bは、前側水平部241Aの後端部から略垂直上方に延びる部分である。後側水平部241Cは、垂直部241Bは、垂直部241Bの上端から後方に略水平に延びる部分である。そのような上側受け部241に対し、天板3の前端側が上方から載置して係合され、ネジ(図示略)等で固定される。
【0024】
前板部24の左端部の下端側を除く全部位には、左側固定部242が設けられている。左側固定部242は、前板部24の左端部から後方に延び、さらにその先端側が左側方に屈曲する平面視略L字状(
図5参照)に形成されている。左側固定部242は、左側板部22の前端部に設けられた後述する前側固定部221の前面に当接し、上下二つのネジ90で固定される。なお、図示しないが、前板部24の右端部にも、左側固定部242と左右対称形状の右側固定部が設けられ、右側板部21の前端部に設けられた前側固定部(図示略)の前面に当接し、上下二つのネジ(図示略)で固定される。
【0025】
図4,
図5に示すように、前板部24の下端部には、後方延設部243が設けられる。後方延設部243は、前板部24の下端部から後方に略水平に延び、底面視略矩形状に形成されている。後方延設部243は、左側板部22の下端部に沿って設けられた後述する右方延設部222の上面に重合して固定される部分である。後方延設部243の前後方向の長さは、例えば、筐体2の底面の前後方向長さの約1/3である。
図5に示すように、そのような後方延設部243の左端部37であって、且つ前側部分を除く部位には、左側方にさらに延出する幅広部38が設けられている。その幅広部38の左端部に沿って、上方に突出するリブ39が設けられている。リブ39が設けられる部分は、左側板部22の下端部に沿って設けられた後述する右方延設部222の上面に重合される部分である。
【0026】
図5に示すように、幅広部38の前端部近傍には、平面視略円形状の取付穴40(
図6参照)が設けられている。この取付穴40には、後述する固定部材60が上下方向に挿通して取り付けられる。さらに、後方延設部243において、取付穴40を前後方向から挟む位置には、一対のスリット35,36が設けられている。スリット35は、取付穴40から前方に離れた位置に設けられ、スリット36は取付穴40から後方に離れた位置に設けられている。スリット35,36は、左右方向に長い矩形状の長孔である。これらスリット35,36には、左側板部22の後述する右方延設部222に設けられた差込片45,46が下方から夫々差し込まれる。なお、図示しないが、後方延設部243の右端側にも、左端側と同様に、幅広部、リブ、取付穴、一対のスリット等が設けられている。
【0027】
図3〜
図5を参照し、左側板部22の構造を説明する。なお、右側板部21及び左側板部22は、互いに略左右対象形状であるので、ここでは、左側板部22の構造を説明し、右側板部21の構造の説明は省略する。左側板部22は、左側面視前後方向に長い略矩形状に形成されている。左側板部22の前端部には、右方に屈曲して延びるリブ状の前側固定部221が設けられている。前側固定部221は、正面視上下方向に長い略矩形状に形成されている。前側固定部221の上下には、一対の固定穴(図示略)が設けられている。該一対の固定穴は、前板部24の左端部に設けられた左側固定部242の上下に設けられた一対の固定穴に夫々対応する。前側固定部221の前面に対し、左側固定部242が当接され、左側固定部242に設けられた一対の固定穴と、前側固定部221に設けられた一対の固定穴とに対し、ネジ90が夫々締結される。これにより、前側固定部221に左側固定部242が固定されるので、左側板部22の前端部に前板部24の左端部が固定される。
【0028】
前側固定部221の下側には、正面視逆L字状の切欠き部42が設けられている。切欠き部42と前板部24の左端部との間に、正面視矩形状の開口部43が形成されている。
図3に示すように、筐体2の正面を見たときに、開口部43の内側を介して、前板部24の後方延設部243と、左側板部22の後述する右方延設部222との重合部分が確認できる。
【0029】
左側板部22の下端部には、右方延設部222が設けられている。右方延設部222は、左側板部22の下端部から右方に略水平に延び、底面視前後方向に長い略矩形状に形成されている。右方延設部222の右端部51側の上面には、前板部24の下端部に設けられた後方延設部243の左端側の下面が重合される。
図4に示すように、右方延設部222の右端部51の前側には、左方に向かって凹状に窪んだ凹部52が設けられている。右端部51において凹部52よりも前側部分には、右方にさらに延出する底面視略矩形状の被載置部53が形成されている。
【0030】
被載置部53の前後方向の長さは、前板部24の後方延設部243に設けられた一対のスリット35,36の離間距離に対応する。被載置部53の前端部53Aの右端側には、上方に屈曲して突出する差込片45が設けられている。他方、被載置部53の後端部53Bの右端側には、上方に屈曲して突出する差込片46が設けられている。
図5に示すように、差込片45,46は、側面視略半円形状に形成されている。被載置部53の略中央部には、略円形状の取付穴55(
図6参照)が設けられている。
図6に示すように、取付穴55は、左側板部22の右方延設部222の上面に、前板部24の後方延設部243の下面が重合されたときに、後方延設部243に設けられた取付穴40と相対する位置に配置されている。取付穴55には、取付穴40と共に、後述する固定部材60が上下方向に挿通して取り付けられる。これにより、右方延設部222の上面に対し、後方延設部243の下面が重合した状態で固定される。
【0031】
図5,
図6を参照し、固定部材60の構造を説明する。固定部材60は、可撓性を有する樹脂で形成され、柱部61及び張出部62を同軸上に備える。柱部61は、上下方向に延びる略円筒状に形成され、その内側には、軸穴61Aが形成されている。柱部61の外周面において、軸穴61Aを中央に挟んで互いに対向する位置には、係止部63,64が夫々設けられている。係止部63は、垂直部63Aと傾斜部63Bを備える。垂直部63Aは、係止部63の上端部から下方に延びる垂直部分である。傾斜部63Bは、垂直部63Aの下端部から径方向外側になだらかに下り傾斜する側面視略三角形状の部分である。係止部63の左右両側と下側には、軸穴61Aと連通する正面視略U字状のスリット65が設けられている。これにより、係止部63は、垂直部63Aを介して柱部61に支持され、外部からの付勢力に応じて径方向内側に移動できる。
【0032】
係止部64は、係止部63と同様に、垂直部64Aと傾斜部64Bを備える。垂直部64Aは、係止部64の上端部から下方に延びる垂直に部分である。傾斜部64Bは、垂直部64Aの下端部から径方向外側になだらかに下り傾斜する側面視略三角形状の部分である。係止部64の左右両側と下側には、軸穴61Aと連通する正面視略U字状のスリット66が設けられている。これにより、係止部64も、垂直部64Aを介して柱部61に支持され、外部からの付勢力に応じて径方向内側に移動できる。
【0033】
図6に示すように、張出部62は、柱部61の下端部に対して隙間69を空けて同軸上に連結され、柱部61の径よりも大きい略円盤状に形成されている。よって、固定部材60を上方から見下ろしたときに、張出部62は、柱部61の外周縁から径方向外側に放射状に張り出している。張出部62は、上側張出部67及び下側張出部68を備える。上側張出部67は略円盤状に形成されている。上側張出部67の上面の略中心部は、柱部61の下端部に連結されている。上側張出部67の下面には、外周縁部を除いて上方に窪んだ底面視略円形状の凹部71が設けられている。凹部71の内側上面には、凹部71よりも小さい径の円周上に沿って複数の凸部72が周方向に互いに間隔を空けて設けられている。
【0034】
他方、下側張出部68は、上側張出部67よりもやや径の小さい略円筒状に形成され、上側張出部67の下面に設けられた凹部71の内側に対して軸方向に嵌合される。下側張出部68の内側には、軸方向に貫通する軸穴81が設けられている。下側張出部68の上面の外周縁部に沿って、上方に突出する平面視リング状のリブ82が設けられている。リブ82は、上側張出部67の下面に設けられた凹部71と凸部72の間に嵌合される。さらに、下側張出部68の上面には、リブ82よりも小さい径の円周上に沿って複数の凸部83が周方向に互いに間隔を空けて設けられている。複数の凸部83は、上側張出部67の下面に設けられた複数の凸部72同士の隙間の位置に対応する。よって、複数の凸部83は、凸部72同士の隙間の位置に嵌合される。上側張出部67及び下側張出部68は上下方向に嵌合することで、張出部62を構成する。
【0035】
図4,
図5を参照し、前板部24の後方延設部243と、左側板部22の右方延設部222とを互いに仮組みして、固定部材60で固定するときの作業工程を説明する。作業者は、先ず、左側板部22の右方延設部222の前端側の上面に対し、前板部24の後方延設部243の左端側の下面を重ね合わせて仮組みを行う。このとき、
図5に示すように、後方延設部243の幅広部38の左端部に設けられたリブ39は、右方延設部222の上面に位置する。それ故、右方延設部222の上面に対し、後方延設部243の左端側の下面が当接する。このとき、右方延設部222に設けられた取付穴55に対し、後方延設部243に設けられた取付穴40を位置決めすると共に、右方延設部222に設けられた一対のスリット35,36に対して、後方延設部243に設けられた差込片45,46を下方から夫々差し込む。
【0036】
そして、右方延設部222及び後方延設部243の仮組みが終わった段階で、上下方向に位置決めされた取付穴40,55に対して、下方から固定部材60を挿入して取り付ける。このとき、取付穴40,55の夫々の内周縁部は、固定部材60に設けられた係止部63,64の垂直部63A,64Aと傾斜部63B,64Bの外周面を下方に摺動する。取付穴40,55の夫々の内周縁部が傾斜部63B,64Bの外周面を摺動するに従い、垂直部63A,64Aが径方向内側に撓むことによって、係止部63,64は径方向内側に押し込まれる。これにより、固定部材60の柱部61を、取付穴40,55に対し下方から挿入できる。
【0037】
そして、取付穴40,55の夫々の内周縁部が、係止部63,64の傾斜部63B,64Bの下部を下方に乗り越えたとき、垂直部63A,64Aの弾性復帰力によって、傾斜部63B,64Bは径方向外側に移動して元の位置に戻る。これにより、取付穴40,55の夫々の内周縁部が隙間69に嵌り込むと共に、傾斜部63B,64Bの夫々の下面が張出部62の上側張出部67の上面に係止する。即ち、右方延設部222及び後方延設部243は互いに重合された状態で、固定部材60の柱部61の下面と、張出部62の上側張出部67の上面との間に挟み込まれる。このようにして、右方延設部222及び後方延設部243は、固定部材60によって互いに固定される。
【0038】
そして、前板部24の後方延設部243の下面に重合する左側板部22の右方延設部222に設けられた取付穴55から、固定部材60の張出部62のみが下方に突出された状態となるので、ガスコンロ1の脚部として機能させることができる。これにより、前板部24の後方延設部243と、左側板部22の右方延設部222とを、固定部材60で固定する作業工程が終了する。
【0039】
上記作業工程において、作業者が誤って、右方延設部222と後方延設部243とを互いに上下逆に重合してしまった場合、即ち、後方延設部243の上面に、右方延設部222の下面を重合してしまった場合、後方延設部243の幅広部38の左端部に設けられたリブ39の上部に対して、右方延設部222の下面が当接するので、後方延設部243と右方延設部222の間が浮き上がる。これにより、後方延設部243と右方延設部222を重合した後で、固定部材60で固定する前の仮組みの段階で、後方延設部243と右方延設部222の重ね順が誤っていることを、作業者に速やかに認識させることができる。よって、本実施形態は、筐体2の誤組み付けを効果的に防止できる。
【0040】
また、本実施形態は、固定部材60の柱部61を、右方延設部222の取付穴55と、後方延設部243の取付穴40とに夫々貫通させることで、柱部61の係止部63,64と筐体2の下側に位置する張出部62とで、右方延設部222と後方延設部243を上下から挟持する状態で、右方延設部222と後方延設部243を重合した状態で固定する。これにより、ネジ止め等を不要化できるので、筐体2の組み付け性を向上できる。また、固定部材60の張出部62が筐体2の脚部を兼ねることができるので、ガスコンロ1の部品点数を削減できる。
【0041】
また、本実施形態では、右方延設部222と後方延設部243において、上側に重なる後方延設部243に設けられたスリット35,36に対して、下側に重なる右方延設部222に設けられた差込片45,46が下側から差し込まれる。これにより、右方延設部222と後方延設部243の仮組みを容易化できるので、固定部材60による右方延設部222と後方延設部243の固定作業を容易にできる。
【0042】
また、差込片45,46は、スリット35,36の形状に合わせて、左右方向に延びる板状に形成されているので、左右方向からの負荷に対して剛性が大きい。例えば、ガスコンロ1を誤って地面に落下させてしまい、筐体2が左右方向から衝撃を受けた場合、右方延設部222と後方延設部243の重合部分において互いに左右方向にずれる力が働く。これに対し、本実施形態の差込片45,46は左右方向に対して剛性が大きいので、差込片45,46が折れ曲がってスリット35,36から抜けてしまうことを防止できる。
【0043】
また、本実施形態では、スリット35,36及び差込片45,46は、右方延設部222と後方延設部243の重合部分において、固定部材60を前後に挟む位置に夫々設けられている。これにより、筐体2に対して衝撃により力が加わったとしても、柱部61周辺で右方延設部222と後方延設部243に加わる力の方向を揃えることができる。これにより、柱部61が右方延設部222と後方延設部243によって破断されるように作用することを防止できる。
【0044】
また、
図6に示すように、ガスコンロ1は、固定部材60の張出部62のみを筐体2の底面において下方に突出させ、ガスコンロ1を支持する脚部として機能させることができる。さらに、張出部62の上下方向の厚みだけで、筐体2の脚部を構成できるので、筐体2の底面と作業台との間の隙間P(
図3参照)を小さくできる。これにより、筐体2の底面と作業台との間にネズミ等が入り込むのを防止できる。
【0045】
なお、詳述しないが、前板部24の後方延設部243と、右側板部21の左方延設部(図示略)とを、固定部材60で固定する作業工程についても、上記と同様の作業工程である。左方延設部は、右側板部21の下端部から左方に延設される部分である。左方延設部の上面に対し、後方延設部243の下面が重合されて仮組みが行われた状態で、固定部材60によって固定される。
【0046】
以上説明したように、本実施形態のガスコンロ1は筐体2を備える。筐体2は、左側板部22、右側板部21、右側板部21及び左側板部22の夫々の後端部同士をつなぐ後板部23、前板部24を有する。前板部24の下端部には、後方に向けて延びる板状の後方延設部243が設けられている。左側板部22の下端部には、筐体2の右方に延びる板状の右方延設部222が設けられている。右方延設部222の上面に対し、後方延設部243が重合され、該互いに重合された重合部分が固定部材60で固定されることで、左側板部22と前板部24とが相互に連結される。このようなガスコンロ1において、右方延設部222の上面に重なる後方延設部243において、上側に突出するリブ39が設けられている。これにより、作業者が誤って仮に、右方延設部222と後方延設部243とを互いに上下逆に重合してしまった場合、後方延設部243に設けられたリブ39の上部に対して、右方延設部222の下面が当接するので、後方延設部243と右方延設部222の間が浮き上がる。これにより、後方延設部243と右方延設部222を重合した後で、固定部材60で固定する前の仮組みの段階で、後方延設部243と右方延設部222の重ね順が誤っていることを、作業者に速やかに認識させることができる。よって、筐体2の誤組み付けを効果的に防止できる。
【0047】
上記説明において、右方延設部222が本発明の「内方延設部」の一例であり、リブ39が本発明の「突出部」の一例である。
【0048】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上記実施形態はガスコンロ1であるが、上記と同様の構造の筺体を備える加熱調理器にも適用可能であり、例えば、グリル装置、電磁調理器等にも適用可能である。
【0049】
また、上記実施形態において、前板部24の後方延設部243は、前板部24の下端部の全部位に沿って設けられているが、前板部24の下端部のうち少なくとも左側部及び右側部に設ければよい。
【0050】
また、上記実施形態において、左側板部22の右方延設部222は、左側板部22の下端部のうち少なくとも前側部に設ければよい。右側板部21の左方延設部についても同様である。
【0051】
また、上記実施形態の固定部材60の張出部62の形状は、上記実施形態に限定されない。例えば、上側張出部67及び下側張出部68は一体化させてもよい。また、上側張出部67及び下側張出部68の材質は、互いに同じ樹脂でもよいが、材質を変えてもよい。例えば、上側張出部67を樹脂、下側張出部68をゴムにしてもよい。また、上側張出部67及び下側張出部68の硬さを異ならせてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、前板部24の後方延設部243の左端部には、上側に突出するリブ39を設けているが、上側に突出する形状であればよい。また、後方延設部243の左端部にリブ39を設ける以外に、右方延設部222と重合する部分であればよく、例えば、後方延設部243の上面において上方に突出する突出部を設けてもよい。