特許第6650981号(P6650981)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6650981橋脚補修・補強工事に用いる仮締切り構造体の設置工法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6650981
(24)【登録日】2020年1月23日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】橋脚補修・補強工事に用いる仮締切り構造体の設置工法
(51)【国際特許分類】
   E02D 19/04 20060101AFI20200210BHJP
   E01D 22/00 20060101ALI20200210BHJP
【FI】
   E02D19/04
   E01D22/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-178890(P2018-178890)
(22)【出願日】2018年9月25日
【審査請求日】2018年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】595135671
【氏名又は名称】第一建設工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(74)【代理人】
【識別番号】100201237
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 将太郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 久人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 健一
(72)【発明者】
【氏名】春日 秀文
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−256587(JP,A)
【文献】 特開2018−145749(JP,A)
【文献】 特開2018−138726(JP,A)
【文献】 特許第6273328(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 19/04
E01D 22/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二本の橋脚が隣接状態に設けられている現場で施工するものであって、二本の橋脚のうちの補修・補強工事を行う一方の工事対象橋脚の非水没箇所で、この工事対象橋脚の外周を囲むように設置される仮締切り構造体を構築し、この工事対象橋脚と仮締切り構造体とに水中降下用ガイドを設置すると共に、工事対象橋脚に隣接する他方の工事対象外橋脚と前記仮締切り構造体とに補助ガイドを設置し、この補助ガイドは、前記工事対象外橋脚に設けられる降下用補助レールと、仮締切り構造体に工事対象外橋脚に向けて突出され前記降下用補助レールに降下移動可能に連結される連結アームとから構成され、この補助ガイドと前記水中降下用ガイドとの双方の降下ガイド機能を利用して前記仮締切り構造体を前記工事対象橋脚に対し橋下の水中に降下させ、この仮締切り構造体底部と前記工事対象橋脚との間の隙間を止水手段で止水し、止水完了後に仮締切り構造体内に入り込んでいる水を排水して、仮締切り構造体内を作業用ドライエリアとすることを特徴とする橋脚補修・補強工事に用いる仮締切り構造体の設置工法。
【請求項2】
水域の上流側と下流側に二本の橋脚が隣接状態に設けられている現場で施工するものであって、二本の橋脚のうちの補修・補強工事を行う下流側の前記工事対象橋脚と前記仮締切り構造体とに前記水中降下用ガイドを設置すると共に、工事対象橋脚と隣接する上流側の前記工事対象外橋脚と仮締切り構造体とに前記補助ガイドを設置することを特徴とする請求項1記載の橋脚補修・補強工事に用いる仮締切り構造体の設置工法。
【請求項3】
前記補助ガイドは、前記工事対象橋脚の対向側面に設けられる一対の前記降下用補助レールと、前記仮締切り構造体の二箇所から前記工事対象外橋脚に向けて突出され突出先端に前記降下用補助レールに滑走降下移動可能に連結される滑走部材を有する一対の前記連結アームとから構成されていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の橋脚補修・補強工事に用いる仮締切り構造体の設置工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川や海などの水域に設けられている橋脚の補修・補強工事に用いる仮締切り構造体の設置工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
河川や海などに架けられた橋は、その橋脚に経年劣化や地震などにより損傷を生じると、補修・補強工事を行う。
【0003】
具体的には、橋脚の周囲に筒状の仮締切り構造体を構築して水中に降下させ、この仮締切り構造体内を水が入らないように止水して作業スペース(ドライエリア)を確保する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、仮締切り構造体の水中への降下方法は、橋脚と仮締切り構造体とに降下用ガイドを設置し、この降下用ガイドを介して降下させている。この降下用ガイドとしては、上下方向に長さを有する降下用レールが前記橋脚外周に設置され、この降下用レールに、仮締切り構造体から突設したアームが降下移動可能に連結されることにより、仮締切り構造体が降下用レールに沿って降下移動するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6273328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
水流が強い現場の橋脚補修・補強工事では、大型の仮締切り構造体が水中に降下する際に多大な水流(流水圧)を受けるので、降下用ガイドが設置されていても安定的に降下させることが難しい場合がある。
【0007】
本発明は、この点、水流が強い現場であっても仮締切り構造体を安定的に水中に降下させることが可能な橋脚補修・補強工事に用いる仮締切り構造体の設置工法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
二本の橋脚1・2が隣接状態に設けられている現場で施工するものであって、二本の橋脚1・2のうちの補修・補強工事を行う一方の工事対象橋脚1の非水没箇所で、この工事対象橋脚1の外周を囲むように設置される仮締切り構造体3を構築し、この工事対象橋脚1と仮締切り構造体3とに水中降下用ガイド4を設置すると共に、工事対象橋脚1に隣接する他方の工事対象外橋脚2と前記仮締切り構造体3とに補助ガイド5を設置し、この補助ガイド5は、前記工事対象外橋脚2に設けられる降下用補助レール6と、仮締切り構造体3に工事対象外橋脚2に向けて突出され前記降下用補助レール6に降下移動可能に連結される連結アーム7とから構成され、この補助ガイド5と前記水中降下用ガイド4との双方の降下ガイド機能を利用して前記仮締切り構造体3を前記工事対象橋脚1に対し橋下の水中に降下させ、この仮締切り構造体3底部と前記工事対象橋脚1との間の隙間を止水手段で止水し、止水完了後に仮締切り構造体3内に入り込んでいる水を排水して、仮締切り構造体3内を作業用ドライエリアとすることを特徴とする橋脚補修・補強工事に用いる仮締切り構造体の設置工法に係るものである。
【0010】
また、水域の上流側と下流側に二本の橋脚1・2が隣接状態に設けられている現場で施工するものであって、二本の橋脚1・2のうちの補修・補強工事を行う下流側の前記工事対象橋脚1と前記仮締切り構造体3とに前記水中降下用ガイド4を設置すると共に、工事対象橋脚1と隣接する上流側の前記工事対象外橋脚2と仮締切り構造体3とに前記補助ガイド5を設置することを特徴とする請求項1記載の橋脚補修・補強工事に用いる仮締切り構造体の設置工法に係るものである。
【0011】
また、前記補助ガイド5は、前記工事対象橋脚1の対向側面に設けられる一対の前記降下用補助レール6と、前記仮締切り構造体3の二箇所から前記工事対象外橋脚2に向けて突出され突出先端に前記降下用補助レール6に滑走降下移動可能に連結される滑走部材8を有する一対の前記連結アーム7とから構成されていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の橋脚補修・補強工事に用いる仮締切り構造体の設置工法に係るものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上述のように構成したから、水中に降下させる際に水流(流水圧)を受ける仮締切り構造体を、工事対象橋脚と仮締切り構造体とに設置した通常の水中降下用ガイドと、これとは別に工事対象外橋脚と仮締切り構造体とに設置した補助ガイドとで支えながら降下移動させることができ、水流が強い現場であってもこの二つの降下ガイド機能を介して仮締切り構造体を安定的に水中へ降下させることができる極めて実用性に優れた橋脚補修・補強工事に用いる仮締切り構造体の設置工法となる。
【0013】
また、請求項2記載の発明においては、下流側で水流を受ける仮締切り構造体を、下流側の工事対象橋脚と仮締切り構造体とに設置した通常の水中降下用ガイドと、これとは別に上流側の工事対象外橋脚と仮締切り構造体とに設置した補助ガイドとで効果的に支えながら水中へと安定的に降下させることができる極めて実用性に優れた橋脚補修・補強工事に用いる仮締切り構造体の設置工法となる。
【0014】
また、請求項3記載の発明においては、前記作用・効果を確実に発揮する補助ガイドを簡易構成により容易に設計実現可能となる一層実用性に優れた仮締切り構造体の設置工法となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施例の仮締切り構造体を水中降下用ガイドと補助ガイドを介して水中に降下させた状態を示す概略説明側面図である。
図2図1の説明平面図である。
図3】本実施例の補助ガイド(降下用補助レールと連結アームとの連結構造)を示す説明部分拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0017】
隣接状態に設けられている二本の橋脚1・2のうちの補修・補強工事を行う一方の工事対象橋脚1の非水没箇所で、この工事対象橋脚1の外周を囲むように設置される仮締切り構造体3を構築する。
【0018】
次いで、この工事対象橋脚1と仮締切り構造体3とに水中降下用ガイド4を設置すると共に、工事対象橋脚1に隣接する他方の工事対象外橋脚2と前記仮締切り構造体3とに、工事対象外橋脚2に設けられる降下用補助レール6と、仮締切り構造体3に工事対象外橋脚2に向けて突出され前記降下用補助レール6に降下移動可能に連結される連結アーム7とから成る補助ガイド5を設置し、この補助ガイド5と前記水中降下用ガイド4との双方の降下ガイド機能を利用して前記仮締切り構造体3を前記工事対象橋脚1に対し橋下の水中に降下させる。
【0019】
即ち、工事対象橋脚1と仮締切り構造体3とに設置した通常の水中降下用ガイド4と、これとは別に工事対象外橋脚2と仮締切り構造体3とに設置した補助ガイド5との二つのガイドが仮締切り構造体3を支えながら降下させるので、この二つの降下ガイド機能によりたとえ水流が強い現場であっても仮締切り構造体3を安定的に水中へと降下させることができる。
【0020】
次いで、この仮締切り構造体3底部と前記工事対象橋脚1との間の隙間を止水手段で止水し、止水完了後に仮締切り構造体3内に入り込んでいる水を排水して、仮締切り構造体3内を作業用ドライエリアとし、この作業用ドライエリア内で作業者が工事対象橋脚1の補修・補強工事作業を行うことができる。
【実施例】
【0021】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0022】
本実施例は、河川(水域)に架けられた橋の橋脚に対して施工する橋脚の補修・補強工事に用いる仮締切り構造体の設置工法に適用したものである。尚、本発明は、河川以外の水域に架けられた橋の橋脚に対しても適用(施工)可能である。
【0023】
図2中の矢印Yは、河川の水流の方向を表している。図面は、河川の上流側と下流側に二本の橋脚1・2が隣接状態に設けられていて、二本の橋脚1・2のうちの一方(下流側)の橋脚1が補修・補強工事を行う工事対象橋脚1であって、他方(上流側)の橋脚2は補修・補強工事を行わない工事対象外橋脚2である現場を示している。
【0024】
また、図面は、水流に沿った長さを有する断面楕円形の橋脚1・2を図示しているが、この形の橋脚への設置工法に限定されるものではなく、現場の橋脚の形状に応じて仮締切り構造体3の形状等は適宜設計変更可能である。
【0025】
以下、設置手順を説明する。
【0026】
先ず、前記工事対象橋脚1の水面より上方位置(非水没箇所)に図示省略の作業用足場を設置する。尚、工事対象橋脚1の周囲の水面に浮体(浮桟橋)を設置して(浮かべて)この浮体を作業用足場としても良い。
【0027】
次いで、この作業用足場を利用して、工事対象橋脚1の外周を囲むように設置され中心部に橋脚1を貫通配設可能な貫通部9が設けられている筒状の仮締切り構造体3を構築する。
【0028】
具体的には、この仮締切り構造体3は、複数の分割壁材10が前記工事対象橋脚1の周方向及び高さ方向に組み合せ連結されて円筒状に構成されている。
【0029】
次いで、例えば工事対象橋脚1の上方に平衡保持用天秤11を設置し、この平衡保持用天秤11の数箇所に設けられた降下索12を前記仮締切り構造体3に連結する。
【0030】
具体的には、平衡保持用天秤11は、枠体で構成されていて、その数箇所が前記工事対象橋脚1の幅広上部の数箇所に固定された吊り索13に連結されることによって、中央の空間部に前記工事対象橋脚1を貫通配設しつつ工事対象橋脚1の上方に水平吊り下げ状態で設置されており、さらに、この平衡保持用天秤11の数箇所とこれに対応する前記橋脚1の数箇所の外周面との間に図示省略のパイプサポートを架設して突っ張ることにより、平衡保持用天秤11が工事対象橋脚1に対して揺動不能状態に設置されている。
【0031】
また、各降下索12は、チェーンブロックなどの昇降装置(図示省略)によって昇降駆動可能に構成されており、昇降装置の制御により平衡保持用天秤11に対し仮締切り構造体3を降下移動し得るように設けられていると共に、この際、降下索12を介して連結されている平衡保持用天秤11が揺動不能な水平状態に固定されていることにより、仮締切り構造体3が傾きにくい略平衡状態に保たれて降下可能となるように構成されている。
【0032】
次いで、この工事対象橋脚1と仮締切り構造体3とに水中降下用ガイド4を設置する。
【0033】
具体的には、水中降下用ガイド4は、前記工事対象橋脚1対向側面に設置される上下方向に長さを有する降下用レール14と、前記仮締切り構造体3内の対向部に前記工事対象橋脚1に向けて内向きに突設され突出先端に前記降下用レール14に嵌合して滑走可能な滑走部材16を有する滑走支持アーム15とから構成されている。
【0034】
更に詳しくは、降下用レール14は、断面溝形(コ字形)の金属製長尺材(溝型鋼材)で構成されており、その溝底部を前記工事対象橋脚1の外周面に沿わせて工事対象橋脚1に縦設状態に固定されている。
【0035】
また、この降下用レール14は、工事対象橋脚1の水流方向と平行な平坦状対向側面に片側二箇所ずつ固定されていると共に、工事対象橋脚1の水流方向に対し直交配設する湾曲状対向側面にも片側一箇所ずつ固定されている。即ち、降下用レール14は、工事対象橋脚1外周面の合計六箇所に固定されている(図2参照)。
【0036】
一方、滑走支持アーム15は、詳しく図示していないが断面H字形の金属製長尺材で構成され、この滑走支持アーム15の先端に滑走部材16として採用されたローラー16が付設されている。尚、滑走部材16は、本実施例のローラー16に限定されるものではなく、適宜設計変更可能である。
【0037】
また、この滑走支持アーム15は、前記仮締切り構造体3の内周面の、前記降下用レール14に対応する六箇所の対向二方向から内向きに水平突設するように構築されて、この六箇所の滑走支持アーム15の先端の前記滑走部材16を、工事対象橋脚1に固定されている六箇所の前記降下用レール14に滑走可能に嵌合(連結)させている(図2参照)。
【0038】
また、この六箇所の滑走支持アーム15は、詳しく図示していないが、仮締切り構造体3内で上下二段設けられている。
【0039】
従って、六本(六箇所)の降下用レール14を合計十二個の滑走部材16が滑走することにより、工事対象橋脚1に対し仮締切り構造体3が姿勢を保持したままスムーズに降下移動可能となるように構成されている。
【0040】
図中符号17は滑走支持アーム15の水平突設状態を補強すると共に、仮締切り構造体3の保形強度向上にも寄与する補強フレームである。
【0041】
次いで、前記工事対象橋脚1に隣接する他方の工事対象外橋脚2と前記仮締切り構造体3とに補助ガイド5を設置する。
【0042】
具体的には、補助ガイド5は、工事対象外橋脚2対向側面に設置される上下方向に長さを有する一対の降下用補助レール6と、前記仮締切り構造体3の二箇所から工事対象外橋脚2に向けて突出され突出先端が一対の前記降下用補助レール6に降下移動可能に連結される一対の連結アーム7とから構成されている。
【0043】
更に詳しくは、一対の降下用補助レール6は、工事対象外橋脚2の水流方向と平行な平坦状対向側面に夫々縦設状態に固定されている。
【0044】
また、この一対の降下用補助レール6は、図2図3に示すように、夫々が、工事対象外橋脚2の上流側に固定される第一レール6Aと、工事対象外橋脚2の下流側に固定される第二レール6Bとから構成され、この第一レール6Aと第二レール6Bとが互いに平行関係となるように縦設固定されている。
【0045】
第一レール6Aは、金属製長尺平板材で構成されており、第一固定部材19を介して工事対象外橋脚2の平坦状対向側面の上流側に、この平坦状対向側面から外方へ離間状態で固定されていると共に、この第一レール6Aの板面が工事対象外橋脚2の平坦状対向側面と平行となるようにして配設固定されている(図3参照)。
【0046】
第二レール6Bは、断面溝形(コ字形)の金属製長尺材(溝型鋼材)で構成されており、第二固定部材20を介して工事対象外橋脚2の平坦状対向側面の下流側に、この平坦状対向側面から外方へ離間状態で固定されていると共に、この第二レール6Bの開放部が上流側(第一レール6A側)を向くようにして配設固定されている(図3参照)。
【0047】
一方、連結アーム7は、詳しく図示していないが断面H字形の金属製長尺材で構成されていると共に、一対のこの連結アーム7が仮締切り構造体3の工事対象外橋脚2側の側面部の二箇所から工事対象外橋脚2に向けて平行に突設されて、夫々の連結アーム7の先端が、工事対象外橋脚2の平坦状対向側面の夫々に対し間隔を置いた臨設状態に配設されている。図中符号21は一対の連結アーム7間に架設された補強桟である。
【0048】
また、夫々の連結アーム7の先端に、前記降下用補助レール6を滑走する滑走部材8として採用されたローラー8が付設されている。尚、滑走部材8は、本実施例のローラー8に限定されるものではなく、適宜設計変更可能である。
【0049】
更に詳しくは、夫々の連結アーム7の先端の対向内側にベース部18が設けられ、このベース部18の先端部(上流側端部)と基端部(下流側端部)とに前記ローラー8(8A・8B)が付設されている。
【0050】
また、先端部のローラー8Aは、その回動軸の軸方向が水流方向と平行となるようにして設けられ、基端部のローラー8Bは、その回動軸の軸方向が水流方向と直交する方向となるようにして設けられている。
【0051】
そして、先端部のローラー8Aが、工事対象外橋脚2の平坦状対向側面の上流側に固定されている前記第一レール6Aの内側板面に滑走可能に当接するように配設されていると共に、基端部のローラー8Bが、工事対象外橋脚2の平坦状対向側面の下流側に固定されている前記第二レール6Bの溝底部に滑走可能に当接するように配設されることにより、連結アーム7が前記降下用補助レール6に滑走降下移動可能に連結されている。
【0052】
即ち、ローラー8Aと第一レール6Aとによって水流と直交する方向への仮締切り構造体3の揺動が防止されるように支持されると共に、ローラー8Bと第二レール6Bとによって水流を受ける仮締切り構造体3の荷重が支持されて、仮締切り構造体3の水流方向の揺動が防止されつつ仮締切り構造体3を安定的に降下移動可能となる前記補助ガイド5が採用されている。
【0053】
また、この一対の連結アーム7は、図1に示すように、仮締切り構造体3から上下二段突設されている。
【0054】
従って、降下用補助レール6を合計八個の滑走部材8が滑走することにより、工事対象外橋脚2に対し連結アーム7を介して仮締切り構造体3が姿勢を保持したままスムーズに降下移動可能となり、よって、工事対象橋脚1と仮締切り構造体3とに設置した通常の前記水中降下用ガイド4と、これとは別に工事対象外橋脚2と仮締切り構造体3とに設置した補助ガイド5との二つのガイドが仮締切り構造体3を支えながら降下させるので、この二つの降下ガイド機能によりたとえ水流が強い現場であっても仮締切り構造体3を安定的に水中へと降下させることができるように構成されている。
【0055】
図中符号22は、第一レール6Aと第二レール6Bの固定間隔に応じてローラー8A・8B間の位置を調整するための位置調整機構部である。
【0056】
尚、補助ガイド5を設置してから、前記水中降下用ガイド4を設置するようにしても良い。
【0057】
次いで、この仮締切り構造体3底部と前記工事対象橋脚1との間の隙間を図示省略の適宜な止水手段で止水し、止水完了後に仮締切り構造体3内に入り込んでいる水を排水して、仮締切り構造体3内を作業用ドライエリアとし、施工完了となる。
【0058】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0059】
1 工事対象橋脚
2 工事対象外橋脚
3 仮締切り構造体
4 水中降下用ガイド
5 補助ガイド
6 降下用補助レール
7 連結アーム
8 滑走部材
【要約】
【課題】水流が強い現場であっても仮締切り構造体を安定的に水中に降下させることが可能な橋脚補修・補強工事に用いる仮締切り構造体の設置工法を提供すること。
【解決手段】二本の橋脚1・2が隣接状態に設けられている現場において、工事対象橋脚1に仮締切り構造体3を構築し、工事対象橋脚1と仮締切り構造体3とに水中降下用ガイド4を設置すると共に、工事対象外橋脚2と仮締切り構造体3とに補助ガイド5を設置し、補助ガイド5と前記水中降下用ガイド4との双方の降下ガイド機能を利用して仮締切り構造体3を工事対象橋脚1に対し橋下の水中に降下させ、仮締切り構造体3底部と工事対象橋脚1との間の隙間を止水手段で止水し、止水完了後に仮締切り構造体3内に入り込んでいる水を排水する。
【選択図】図1
図1
図2
図3