【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係る鉄塔基礎構造は、鉄塔の鉄骨脚部の一部を構成する脚材と、前記脚材の一端部と一体的に設けられると共に、均された設置面上に配置されたプレキャストコンクリート製の内側ピースと、を有している。
【0008】
第1の態様に係る構造物の鉄塔基礎構造によれば、内側ピースが、鉄塔の鉄骨脚部の一部を構成する脚材の一端部と一体的に設けられている。
【0009】
ところで、鉄骨脚部の設置時において、脚材を位置決めした後に当該脚材の周辺にコンクリートを打設するような構成を採用する場合、コンクリートの打設時やコンクリートの養生時において脚材の位置を一定にしておく必要があるため、脚材の位置決め作業が煩雑なものとなる。
【0010】
ここで、本態様では、内側ピースがプレキャストコンクリート製とされていると共に、当該内側ピースが均された設置面上に配置されているため、内側ピースを設置面上に配置することで脚材の位置決めを行うことができる。
【0011】
第2の態様に係る鉄塔基礎構造は、第1の態様に係る鉄塔基礎構造において、前記設置面は、設置地盤に埋設された杭における杭頭処理が施された杭頭部の上面とされている。
【0012】
第2の態様に係る鉄塔基礎構造によれば、鉄塔の設置地盤に杭が埋設されており、当該杭の杭頭部には、杭頭処理が施されている。そして、杭頭部の上面には、内側ピースが配置されている。このため、設置地盤が不安定な地盤であっても、安定した状態で鉄骨脚部を支持することができる。
【0013】
第3の態様に係る鉄塔基礎構造は、第1の態様又は第2の態様に係る鉄塔基礎構造において、前記内側ピースの外周側に当該内側ピースの外周面と間隔をあけて配置されると共に、当該内側ピース側からの圧力を支持可能な外側ピースと、前記内側ピースと前記外側ピースとの間に介在し、かつ当該内側ピース及び当該外側ピースに密着状態で設けられたコンクリート製の介在部と、をさらに有している。
【0014】
第3の態様に係る鉄塔基礎構造によれば、内側ピースの外周側には、当該内側ピースの外周面と間隔をあけて外側ピースが配置されている。そして、内側ピースと外側ピースとの間には、当該内側ピース及び当該外側ピースと密着状態で設けられたコンクリート製の介在部が介在している。
【0015】
このため、鉄塔に懸架された電線等に起因する引き上げ荷重等が脚材を介して内側ピースに伝達すると、内側ピース側から外側ピース側に介在部を介して圧力が作用することとなる。そして、この圧力は、外側ピースによって支持することができるため、本態様では、鉄塔を安定した状態で支持することができる。
【0016】
第4の態様に係る鉄塔基礎構造は、第3の態様に係る鉄塔基礎構造において、前記外周面と前記外側ピースの内周面との間に互いの押圧力を支持可能に配置された複数のジャッキをさらに備えている。
【0017】
第4の態様に係る鉄塔基礎構造によれば、複数のジャッキによって内側ピースと外側ピースとの相対移動を規制して、脚材の位置決めの精度をより高めることができる。
【0018】
第5の態様に係る鉄塔基礎構造は、第3の態様又は第4の態様に係る鉄塔基礎構造において、前記外側ピースは、プレキャストコンクリート製とされている。
【0019】
第5の態様に係る鉄塔基礎構造によれば、外側ピースがプレキャストコンクリート製とされているため、外側ピースを鋼材等で構成するような構成に比し、外側ピースの腐食対策に係る作業を省略し、外側ピースの設置作業を簡略化することができる。
【0020】
第6の態様に係る鉄塔基礎構造は、第5の態様に係る鉄塔基礎構造において、前記外周面及び前記外側ピースの内周面には、前記コンクリートが充填された凹部が設けられている。
【0021】
第6の態様に係る鉄塔基礎構造によれば、内側ピースの外周面及び外側ピースの内周面に介在部を構成するコンクリートが充填された凹部が設けられている。つまり、介在部は、内側ピース側に突出した突起部と外側ピース側に突出した突起部とが設けられた状態となっている。このため、内側ピースと外側ピースとが相対移動しようとするときに介在部に作用するせん断力を、当該介在部に設けられたこれらの突起部によって支持することができる。
【0022】
第7の態様に係る鉄塔基礎構造は、第1の態様〜第6の態様の何れかに係る鉄塔基礎構造において、前記脚材は、前記内側ピースから露出されて鉄塔上方側に延びる延在部と、当該延在部における当該内側ピース側の端部に設けられると共に内側ピースの下面側に露出された平板状の基部と、を含んで構成されている。
【0023】
第7の態様に係る鉄塔基礎構造によれば、脚材が、延在部と基部とを含んで構成されており、延在部は、内側ピースから露出されて鉄塔上方側に延びており、鉄塔の鉄骨脚部の下端部側の部分を構成している。一方、基部は、平板状とされており、延在部の内側ピース側の端部に設けられると共に、内側ピースの下面側に露出されている。このため、脚材の設置位置と鉄塔の構成との相関関係を予め延在部と基部との位置関係に反映させておけば、設置面の所定の位置に脚材を配置する作業のみによって当該脚材の位置決めを完了することができる。
【0024】
第8の態様に係る鉄塔基礎構造の構築方法は、平らな設置面を形成し、鉄塔の鉄骨脚部の一部を構成する脚材の一端部と一体に設けられたプレキャストコンクリート製の内側ピースを前記設置面に載置し、前記内側ピースの外周側に当該内側ピースの外周面と間隔をあけて内周側からの圧力を支持可能な外側ピースを配置し、前記内側ピースと前記外側ピースとの間に生コンクリートを打設する。
【0025】
第8の態様に係る鉄塔基礎構造の構築方法によれば、平らな設置面を形成し、鉄塔の鉄骨脚部の一部を構成する脚材の一端部と一体に設けられた内側ピースを当該設置面に載置する。そして、内側ピースの外周側に当該内側ピースの外周面と間隔をあけて内周側からの圧力を支持可能な外側ピースを配置し、内側ピースと外側ピースとの間に生コンクリートを打設する。
【0026】
このため、本態様では、内側ピース側から外側ピース側に作用する圧力を外側ピースによって支持することができるため、鉄塔を安定した状態で支持することができる。
【0027】
ところで、内側ピースを脚材の周辺に打設されたコンクリートで構成する場合、コンクリートの打設時やコンクリートの養生時において脚材の位置を一定にしておく必要があるため、脚材の位置決め作業が煩雑なものとなる。
【0028】
ここで、本態様では、内側ピースがプレキャストコンクリート製とされているため、内側ピースを設置面上に配置することで脚材の位置決めを行うことができる。
【0029】
第9の態様に係る鉄塔基礎構造の構築方法は、第8の態様に係る鉄塔基礎構造の構築方法において、前記内側ピースと前記外側ピースとの間に生コンクリートを打設する前に複数のジャッキを当該間に配置して当該内側ピースと当該外側ピースとの位置決めを行う。
【0030】
第9の態様に係る鉄塔基礎構造の構築方法によれば、内側ピースと外側ピースとの間に生コンクリートを打設する前に、複数のジャッキを内側ピースと外側ピースとの間に配置して、当該内側ピースと当該外側ピースとの位置決めを行う。このため、内側ピースと外側ピースとの間に生コンクリートを打設するときに、内側ピースと外側ピースとの相対位置関係が変化することを抑制することができる。