(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6651009
(24)【登録日】2020年1月23日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】金属の圧延材の圧延のための、圧延スタンドおよび圧延ライン
(51)【国際特許分類】
B21B 31/07 20060101AFI20200210BHJP
B21B 1/24 20060101ALI20200210BHJP
【FI】
B21B31/07 E
B21B31/07 C
B21B1/24
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-519018(P2018-519018)
(86)(22)【出願日】2016年10月11日
(65)【公表番号】特表2018-530433(P2018-530433A)
(43)【公表日】2018年10月18日
(86)【国際出願番号】EP2016074356
(87)【国際公開番号】WO2017064070
(87)【国際公開日】20170420
【審査請求日】2018年5月1日
(31)【優先権主張番号】102015219864.2
(32)【優先日】2015年10月13日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102015223770.2
(32)【優先日】2015年11月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】アルケン・ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】クニー・ダニエル
【審査官】
藤長 千香子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−058535(JP,A)
【文献】
特開昭62−282715(JP,A)
【文献】
特開昭61−165217(JP,A)
【文献】
特開2000−024709(JP,A)
【文献】
特開昭61−007008(JP,A)
【文献】
特開2008−194721(JP,A)
【文献】
特表2016−502933(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0180394(US,A1)
【文献】
中国実用新案第203488955(CN,U)
【文献】
実開昭53−142534(JP,U)
【文献】
米国特許第3101980(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 27/00−35/14
B21B 1/00−11/00
B21B 47/00−99/00
F16C 13/00−15/00
F16C 17/00−17/26
F16C 33/00−33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属の圧延材の圧延のための、駆動側で1つの圧延スタンドフレーム(100′)、および、操作側で1つの圧延スタンドフレーム(100″)を有する圧延スタンド(100)であって、
この圧延スタンドが、
4つのロールネック(110)を備える2つのバックアップロールと、
前記バックアップロールの4つの前記ロールネックの収容および回転可能な軸受のための、前記圧延スタンドフレームにおける、4つの油膜軸受(120)と、
その際、これら油膜軸受(120)が、それぞれに、前記ロールネックの収容のための前記ロールネックの収容室内への、油のための少なくとも1つの供給導管(122)を有しており、および、その際、前記油膜軸受(120)が、それぞれに、油損失無しに作動可能である密閉機構を有しており、
および、
2つの前記バックアップロールの間に配設され且つ前記圧延材の圧延のためにロール間隙に跨る、2つのワークロール(130)とを有する、
前記圧延スタンドにおいて、
前記圧延スタンド(100)に、4つの前記油膜軸受(120)のための、少なくとも2つのタンク(140)が、個々に付設されていること、および、
駆動側で、前記圧延スタンドフレーム(100′)に、上側および下側の前記ロールネック(110)の両方の前記油膜軸受(120)のための、第1の共通のタンク(140′)が設けられていること;および、
操作側で、前記圧延スタンドフレーム(100″)に、上側および下側の前記ロールネック(110)の両方の前記油膜軸受(120)のための、第2の共通のタンク(140″)が設けられていること、
を特徴とする圧延スタンド(100)。
【請求項2】
前記第1のタンク(140′)は、駆動側で、前記圧延スタンドフレーム(100′)の上に配設されており、および、前記第2のタンク(140″)が、操作側で、前記圧延スタンドフレーム(100″)の上に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の圧延スタンド(100)。
【請求項3】
金属の圧延材の圧延のための、駆動側で1つの圧延スタンドフレーム(100′)、および、操作側で1つの圧延スタンドフレーム(100″)を有する圧延スタンド(100)であって、
この圧延スタンドが、
4つのロールネック(110)を備える2つのバックアップロールと、
前記バックアップロールの4つの前記ロールネックの収容および回転可能な軸受のための、前記圧延スタンドフレームにおける、4つの油膜軸受(120)と、
その際、これら油膜軸受(120)が、それぞれに、前記ロールネックの収容のための前記ロールネックの収容室内への、油のための少なくとも1つの供給導管(122)を有しており、および、その際、前記油膜軸受(120)が、それぞれに、油損失無しに作動可能である密閉機構を有しており、
および、
2つの前記バックアップロールの間に配設され且つ前記圧延材の圧延のためにロール間隙に跨る、2つのワークロール(130)とを有する、
前記圧延スタンドにおいて、
前記圧延スタンド(100)に、4つの前記油膜軸受(120)のための、少なくとも2つのタンク(140)が、個々に付設されていること、
両方の前記バックアップロールのための4つの前記油膜軸受(120)のそれぞれに、それぞれに1つの独自のタンク(140−I、140−II、140−III、140−IV)が、個々に付設されていること、
を特徴とする圧延スタンド(100)。
【請求項4】
それぞれの前記油膜軸受(120)に、前記バックアップロールにおける軸線方向の力の受け止めのためのスラスト軸受が付設されており、これらスラスト軸受が、前記油膜軸受と同じオイル循環回路に接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の圧延スタンド(100)。
【請求項5】
前記圧延スタンド(100)は、4重式圧延スタンド、または、6重式圧延スタンドであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の圧延スタンド(100)。
【請求項6】
少なくとも2つの前記タンクに、前記油のためのフィルター装置、及び/または、前記油のための冷却装置が付設されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の圧延スタンド(100)。
【請求項7】
前記タンク(140)の内の少なくとも1つのタンクは、前記油膜軸受(120)の内の1つの前記油膜軸受の、同様にチョックとも称される1つの軸受ケーシング内において、または前記軸受ケーシングの中空室内において、統合された状態で形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の圧延スタンド(100)。
【請求項8】
金属の圧延材の圧延のための、一列に相前後して配置された複数の圧延スタンドを有する圧延ライン(200)において、
これら圧延スタンドの内の少なくとも1つの圧延スタンドが、請求項1から7のいずれか一つにより形成されていることを特徴とする圧延ライン(200)。
【請求項9】
金属の圧延材の圧延のための、一列に相前後して配置された複数の圧延スタンドを有する圧延ライン(200)であって、
これら圧延スタンドの内の少なくとも2つの圧延スタンドが、油損失無しに作動可能である密閉機構を有している、前記圧延ライン(200)において、
前記少なくとも2つの圧延スタンドが、それぞれに、ただ唯一の独自のタンクを、
前記バックアップロールの4つの前記ロールネックの収容および回転可能な軸受のための、圧延スタンドフレームにおける前記圧延スタンドのそれぞれに4つの油膜軸受(120)のために、および、
同様に、前記バックアップロールにおける軸線方向の力の受け止めのための、前記圧延スタンドのスラスト軸受のためにも有していること、
前記圧延ラインの手前の前記圧延スタンドの前記タンクが、第1の油品質で充填されていること、および、この圧延ラインの後方の前記圧延スタンドの前記タンクが、第2の油品質で充填されていること、
を特徴とする圧延ライン(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属の圧延材の圧延のための、圧延スタンド、および、複数の圧延スタンドを有する圧延ラインに関する。特に、本発明は、圧延スタンドの油供給に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、金属の圧延材の熱間圧延のための圧延スタンド、および、冷間圧延のための圧延スタンドに関する。
【0003】
そのような圧延スタンドが油を供給されねばならないことは、従来技術において良く知られている、例えば、特許文献1を参照。
【0004】
熱間圧延機および冷間圧延機内において、バックアップロールの軸受けのために、いわゆる油膜軸受、例えば、モルゴイル軸受が使用される。これら油膜軸受は、圧延のために必要な接触力(Anstellkraft)を、油膜を介して、回転するバックアップロールに伝達する。
通常、標準規格圧延ライン内において、例えば28個のユニットである油膜軸受は、集中的な潤滑油供給装置を地下室内において備えている。そこで、これら圧延スタンドの軸受から還流する油が再生され、即ち、冷却され、解乳化され、ろ過され、且つ、脱気され、および、貯蔵される。
タンクの充填量は、7つの圧延スタンドを有する標準規格圧延ラインにおいて、油の約60m
3の値であり;および、この充填量が、通常、約30分の作動時間のために必要とされる量に従い、これに伴って、定められた調製基準が維持され得る。
通常使用される油は、少し添加剤を添加された比較的に安価な鉱油である。それに加えて、保持された予備量でもって、古い構造様式の圧延スタンド内において発生する、軸受における高い油損失は、補償され得る。
【0005】
最新式の油膜軸受は、改良された密閉機構を有しており、その理由で、この油膜軸受が、ほぼ油損失無しに、および、水の汚染無しに作動され得る。多くの貯蔵された量は、これに伴って、油を消泡させるために、わずかに必要なだけである。
適当な添加剤が油に添加されるか、または、直接的に合成油に交換された場合、上述の油の泡立ち(Oelaufschaeumens)の問題は、化学的に解決され得る。実際上は、このことは、しかしながら、従来行われない。何故ならば、必要な添加剤、もしくは、合成油の購入価格が、特に、伝統的に必要な多くの油量のために、過度に高いからである。
特許文献2は、金属の圧延材の圧延のための、駆動側で1つの圧延スタンドフレーム、および、操作側で1つの圧延スタンドフレームを有する圧延スタンドを開示している。
この圧延スタンドは、4つのロールネックを備える2つのバックアップロールと、圧延スタンドの圧延スタンドフレームにおいて、バックアップロールの4つのロールネックの収容および回転可能な軸受のための、4つの油膜軸受とを有している。これら油膜軸受は、それぞれに、ロールネックの収容室内への、油のための少なくとも1つの供給導管を有しており、その際、これら収容室が、バックアップロールのロールネックの収容のための役割を果たす。
更に、この圧延スタンドは、2つのバックアップロールと並んで、2つのワークロールを有しており、これらワークロールが、2つのバックアップロールの間に配設されており、且つ、圧延材の圧延のためにロール間隙に跨っている。適当な密閉に基づいて、これら油膜軸受は、ほぼ油損失無しに作動可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中華人民共和国実用新案第201618725 U号明細書
【特許文献2】特開昭61−165217 A号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の根底をなす課題は、金属の圧延材の圧延のための、公知の圧延スタンドおよび公知圧延ラインを、これら圧延スタンドおよび公知圧延ラインが、同様に上述の添加剤もしくは合成油の使用のためにも経済的に魅力的になるように、改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、圧延スタンドに関して、請求項1の対象によって解決される。この対象は、
圧延スタンドに、4つの油膜軸受のための、少なくとも2つのタンクが、個々に付設されていること、および、
駆動側で、圧延スタンドフレームに、上側および下側の前記ロールネックの両方の油膜軸受のための、第1の共通のタンクが設けられていること;および、
操作側で、圧延スタンドフレームに、上側および下側のロールネックの両方の油膜軸受のための、第2の共通のタンクが設けられていることによって特徴付けられている。
【発明の効果】
【0009】
この要件は、2つのワークロールと2つのバックアップロールとを有する4重式圧延スタンドにと同様に、それぞれに2つのワークロール、2つの中間ロール、および、2つのバックアップロールと有する6重式圧延スタンドにも当てはまる。
【0010】
従来技術における油膜軸受に比べて、そのことによって本発明に従う油膜軸受がほぼ油損失無しに、および、水の汚染無しに作動可能である、本発明に従う油膜軸受のための、請求され改良された密閉機構の使用は、本発明の重要な観点である。何故ならば、この改良された密閉機構が、総じて1つの圧延スタンドのために必要な貯蔵されるべき油量を、従来技術に比べて明確に減少することを、初めて、許容するからである。
【0011】
概念「ほぼ油損失無しに」は、本発明の趣旨において、油膜軸受毎の油損失が、0.1l/hよりも少ない、有利には、しかもそのうえ、0.01l/hよりも少ない値であることを意味する。
【0012】
貯蔵されるべき油量は、改良された密閉機構を有する油膜軸受において、圧延スタンド毎の、もしくは、圧延ライン毎の、伝統的に貯蔵されるべき油量との比較において、ただ僅かにほぼ50%またはそれ以下だけである。
請求されているように、この減少された量に基づいて、比較的に小さなタンクが、圧延スタンド毎に、もしくは、油膜軸受毎に設けられていることは可能である。圧延スタンド毎の、全てのタンクの全収容容積は、例えば、1m
3と8m
3との間の値である。明確により少ない、貯蔵されるべき油量の理由で、同様に経済的に合成油もしくは添加剤の助力を求めることも値打ちがあり、これら合成油もしくは添加剤は、解乳化(Demulgieren)、油泡沫形成(Oelschaumbildung)、等に関する比較的に良好な特性を有するだけでなく、油膜軸受の機能のために有利である。
圧延スタンド毎の、もしくは、油膜軸受毎の、請求された分散的なタンクの使用によって、有利には、比較的に小さな、もしくは、もはや必要ではない油地下室に基づいての基礎工事のための経費、並びに、集中的な油管敷設のための経費も減少される。
【0013】
1つの圧延スタンドにおける、少なくとも2つのタンクの配設のための異なる実施例は、従属請求項内において記載されている。特に、これらタンクの内の少なくとも1つのタンクが、油膜軸受の、同様にチョックとも称される1つの軸受ケーシング内において、統合された状態で形成されていることは可能である。油は、従って、この軸受ケーシング内において貯蔵され得る。
【0014】
上述の課題は、更に、圧延ラインに関して、
請求項9により解決される。
請求項9に従い、圧延スタンドの内の少なくとも1つの圧延スタンドは、
請求項1から8のいずれか一つにより形成されている。選択的に、圧延ラインの圧延スタンドの内の少なくとも2つの圧延スタンドが、改良された密閉機構に基づいて、同様に、ほぼ油損失無しに、および、水の汚染無しに作動可能に形成されており、且つ、
それぞれに、ただ唯一の独自のタンクを、
バックアップロールの4つのロールネックの収容および回転可能な軸受のための、圧延スタンドフレームにおける圧延スタンドのそれぞれに4つの油膜軸受のために、および、
有利には同様に、バックアップロールにおける軸線方向の力の収納のための、圧延スタンドのスラスト軸受のためにも有していることは、行われ得る。
【0015】
圧延ラインの圧延スタンドのための、これら請求された構成の利点は、個々の圧延スタンドに関して上述された利点に相応する。特に、地下室内における、圧延ラインの全ての圧延スタンドのための、集中的な油供給は、これと関連する経費の節約と共に、設けられなくて良い。
【0016】
圧延ラインのための実施例に従い、この圧延ラインの手前の圧延スタンドのタンクは、これら圧延スタンドの担持負荷が、予め与えられた担持負荷限界値に到達する範囲内では、第1の油品質で充填されており、この第1の油品質が、特に、この担持負荷限界値に至るまでの担持負荷のために構成されている。更に、この圧延ラインの後方の圧延スタンドのタンクは、これら圧延スタンドの担持負荷が、予め与えられた担持負荷限界値を下回る範囲内では、第2の油品質で充填されており、この第2の油品質が、特に、これら後方の圧延スタンド内におけるバックアップロールの回転数のために構成されている。
異なる油品質の使用、および、それぞれの圧延スタンドの作動のための、それと関連する利点は、個々の油膜軸受のための、請求された油供給の分散化により、総じて初めて可能である。
【0017】
要するに、個々の圧延スタンドの、請求された分散的な油供給は、タンクの大きさもしくは容積が、個々に、個々の圧延スタンドのそれぞれの油必要量に対して適合され得ることの利点を提供する。このことは、特に、比較的に遅鈍に走行する手前の圧延スタンドのために、迅速に走行する後方の圧延スタンドのためよりも少ない油が貯蔵されるべきである、1つの圧延ライン内において、意義がある。
それぞれのタンクもしくはそれぞれのオイル循環回路に、油のための独自のフィルター装置、及び/または、油のための冷却装置が、付設されていることは可能である。
【0018】
この明細書には、5つの図が添付されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】圧延スタンドの油膜軸受のためのタンクの配設の、第1の実施例の図である。
【
図2】圧延スタンドの油膜軸受のためのタンクの配設の、第2の実施例の図である。
【
図3】圧延スタンドの油膜軸受のためのタンクの配設の、第3の実施例の図である。
【
図4】複数の圧延スタンドを有する圧延ラインの図である。
【
図5】圧延スタンドの油膜軸受のためのタンクの配設の、第4の実施例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を、以下で、実施例の様式における上記の図の参照のもとで、詳細に説明する。全ての図内において、同じ技術的な要素は、同じ参照符号でもって示されている。
参照符号140は、140′、140″、140−1、140−2、140−I、140−II、140−III、および、140−IVの全てのバリエーションの代わりに使用される。
【0021】
全ての図は、例示的に、それぞれに、駆動側で1つの圧延スタンドフレーム(100′)、および、操作側で1つの圧延スタンドフレーム(100″)を有する、4重式圧延スタンドを示している。
それぞれの圧延スタンド(100)は、2つのバックアップロールを有しており、これらバックアップロールが、これらバックアップロールの4つのロールネック(110)でもって、それぞれに、油膜軸受(120)内において回転可能に軸受されている。それぞれの油膜軸受(120)は、1つの油流入部(122)、および、少なくとも1つの油流出部(124)を備えている。還流は、タンク内へと戻し案内され;および、流入部が、それぞれのタンクから供給される。
【0022】
図1は、圧延スタンド(100)における、もしくは、この圧延スタンド(100)の上での、タンク配設ための、第1の実施例を示している。
具体的に、この第1の実施例に従い、第1のタンク(140′)は、駆動側での圧延スタンドフレーム(100′)における、上側および下側のバックアップロールの、両方の油膜軸受(120)のために設けられている。更に、第2の共通のタンク(140″)は、操作側での圧延スタンドフレーム(100″)における、上側および下側のバックアップロールの、油膜軸受(120)のために設けられている。
第1のタンク(140′)は、有利には、駆動側で、圧延スタンドフレーム(100′)の上に配設されており、これに対して、第2の共通のタンク(140″)が、操作側で、圧延スタンドフレーム(100″)の上に配設されている。
【0023】
第2の実施例に従い、上側のバックアップロールの、駆動側および操作側における両方の油膜軸受(120)のための第1の共通のタンク(140−1)が設けられている。更に、下側のバックアップロールの、駆動側および操作側における両方の油膜軸受(120)のための第2の共通のタンク(140−2)が設けられている。
第1の共通のタンク(140−1)は、有利には、駆動側で、圧延スタンド(100)の圧延スタンドフレーム(100′)の上に、または、操作側で、圧延スタンド(100)の圧延スタンドフレーム(100″)の上に配設されている。第2の共通のタンク(140−2)に関しても同様なことが言える。
【0024】
図3は、本発明の第3の実施例を図示しており、この図に従い、両方のバックアップロールのための4つの油膜軸受(120)のそれぞれに、それぞれに1つの独自のタンク(140−I、140−II、140−III、および、140−IV)が、個々に付設されている。
【0025】
これらバックアップロールは、典型的に、半径方向の力の受け止めのために構成されている上述の油膜軸受内においてだけで軸受けされているのではない。更に、これらバックアップロールのロールネックは、典型的に、これらバックアップロールの軸線方向の力の受け止めのための、同様にスラスト軸受内においても軸受けされている。
図内において示されていないこれらスラスト軸受は、典型的に、軸線方向において、ここで図示されている油膜軸受(120)に対して隣接して配設されている。これらスラスト軸受は、典型的に、そのオイル循環回路が油膜軸受に関する図内において図示されているように、同じオイル循環回路に接続されている。
このことは、1つのスラスト軸受が、それぞれに、このスラスト軸受に付設された油膜軸受のオイル循環回路に統合されており、且つ、このオイル循環回路から油を共に供給されることを意味する。
【0026】
図4は、典型的は、金属の圧延材の熱間圧延もしくは冷間圧延のための圧延ラインを示している。この圧延ラインは、基本的に、一列に相前後して配置された、複数の圧延スタンド(100)から成っている。本発明に従い、これら圧延スタンド(100)の内の少なくとも1つの圧延スタンド、有利には、しかしながら全ての圧延スタンドは、個々の圧延スタンドのための、先に説明された実施例の内の1つの実施例により形成されている。
【0027】
選択的に、同様にこれら圧延スタンドの内の少なくとも2つの圧延スタンドが、同様に第4の実施例に従い構成されていることも可能である。
【0028】
図5は、1つの圧延スタンドにおけるタンク配設のための、この第4の実施例を図示している。
それに従って、この圧延スタンド(100)に、バックアップロールの4つの油膜軸受(120)の供給のためのただ唯一のタンクが付設されている。このタンク(140)は、有利には、駆動側の圧延スタンドフレーム(100′)の上に、または、操作側の圧延スタンドフレーム(100″)の上に配設されている。
【0029】
1つの圧延ライン内におけるこれら圧延スタンドの配設において、手前の、即ち圧延方向において上流側の設けられた圧延スタンドが、典型的に、後方の、即ち下流側の設けられた圧延スタンドよりも、大きな厚さの低減を実施することは、顧慮されるべきである。それ故に、手前の圧延スタンドは、典型的に、T=Tswまでの高い担持負荷(T)のために構成されている。上記のことに対して、後方の圧延スタンドは、典型的に、ただT<Tswを有する担持負荷だけのために構成されており;且つ、同時に、これら後方の圧延スタンドが、しかしながら、比較的に大きな回転数のために構成されている。
これら異なる作動条件に基づいて、圧延ライン内において、手前および後方の圧延スタンドのために、異なる油品質の使用が望まれる。異なる油品質の使用は、圧延スタンド毎の個々のタンクの本発明に従う配置により、総じて初めて可能とされる。
【0030】
上述の異なる作動条件は、更に、手前の圧延スタンドのために、後方の圧延スタンドのためよりも少ない油が保持されるべきであり;および、それに応じて、手前の圧延スタンドのために設けられるべき、圧延スタンド毎のタンク容積が、迅速に回転する後方の圧延スタンドのためよりも、明確に小さく選択され得ることを結果として招く。
【0031】
本発明に従う分散的な油供給において、保持されるべき、圧延スタンド毎の油容積を、伝統的な集中的な油供給に比べて半分に減らすことが、具体的に行われる。従って、本願発明において、圧延スタンド毎の保持されるべきタンク容積は、ただ1〜8m
3だけの値であり、即ち、圧延スタンド毎の4つの油膜軸受において、油膜軸受毎に、ただ0.25〜2m
3だけの量である。
圧延ラインの手前の圧延スタンドが、下位の(unteren)、指示された範囲内におけるタンク容積だけを必要とし、且つ、ただ後方の圧延スタンドだけが、より大きなタンク容積を必要とすることの、説明された事実を考慮にいれて、このことから、本発明に従い、伝統的に圧延ラインのために集中的な保持されたタンク容積の50%以下に相当する、タンク容積のための平均値が与えられる。
【符号の説明】
【0032】
100 圧延スタンド
100′ 駆動側での圧延スタンドフレーム
100″ 操作側での圧延スタンドフレーム
110 バックアップロールのロールネック
120 バックアップロールのための油膜軸受
122 油のための流体動力学的な供給導管
124 油のための流出導管、もしくは、還流導管
130 ワークロール
140 タンク
140′、140″ タンク
140−1、140−2 タンク
140−I、140−II、140−III、140−IV タンク
200 圧延ライン
T 担持負荷
Tsw 担持負荷限界値