【実施例1】
【0022】
<簡易型シールワッペンの組み立てる前の構成>
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施例1の簡易型シールワッペンを組み立てる前の状態を示す表面図である。
図2は本発明の実施例1の簡易型シールワッペンを組み立てる前の状態を示す裏面図であり、台紙は仮想線で表示している。
実施例1の簡易型シールワッペン1は、
図1に示すように、台紙2に貼られたシート状のワッペン本体3の粘着面同士を貼り合わせて作成するワッペンである。そのワッペンの表示面には文字、図が表示されている。本発明の簡易型シールワッペン1は、組み立てる前の形状はシート状の形態である。
【0023】
ワッペン本体3は、シート表面に形成された折り曲げ線4を挟み、その一側に所定の事項が印刷された表示部5と、その他側に安全ピンなどの留め具6用の通し穴7を有する支持部8から成る。図示例は所謂紋章型のワッペンであるために、略長方形状のシートである。素材として例えば、ポリ塩化ビニルなどの軟質合成樹脂がある。
【0024】
留め具6用の通し穴7は、支持部8のシートに単純に直線的な切れ込みを入れたものではない。
図1に示すように、通し穴7の両端に半円弧状に補強部7aを形成している。この半円弧状の補強部7aにより、通し穴7に安全ピンなどの留め具6を差し込む際、組み立てて衣服等に装着しているときに、留め具6が引っ張られても、この補強部7aのいわゆる「遊び」部分で通し穴7が裂け、又は切れることを防止するようになっている。この補強部7aは通し穴7にいわゆる「遊び」状態を付与できる形状であれば、この半円弧状の切れ込みに限定されない。
【0025】
折り曲げ線4は、例えば、ワッペン本体3にミシン目を施したものである。このミシン目に限定されず、シート材に、線状の薄肉に形成し、折り曲げやすくした構成でもよい。この折り曲げ線4は、表示部5と支持部8とを連結し、かつ容易に折り曲げることができる構造、又は素材であれば、ミシン目、薄肉以外の種々の構成にすることができる。
【0026】
ワッペン本体3のシート裏面に粘着剤9が塗布されている。このワッペン本体3のシート裏面には、台紙2が剥離自在に貼り付けられている。図示するように、台紙2はワッペン本体3より面積が広いものがよい。また、ワッペン本体3のシートの剛性が、台紙2の剛性より大きいものが好ましい。これは、ワッペン本体3に貼り付いた状態から台紙2を剥がしやすくするためである。
【0027】
粘着剤9は、ワッペン本体3の表示部5と支持部8の裏面全部に塗布する必要はない。
図2の裏面図に示すように、ワッペン本体3の支持部8の通し穴7部分の裏面と、この通し穴7部分が貼り合わされる表示部5の裏面に部分的に塗布しない、不塗布部分9aにすることができる。このように支持部8の通し穴7部分に粘着剤9が塗布されていない、不塗布部分9aがあると、通し穴7に安全ピンなどの留め具6を容易に通すことができる。また、ワッペン本体3の表示部5と支持部8を貼り合わせたときに、粘着剤9が食み出すことを防止できる。
勿論、簡易型シールワッペン1を簡易に製造するときは、ワッペン本体3の裏面全部に塗布することも可能である。
【0028】
ワッペン本体3の組み立て前の状態は、長方形状のシート状の形態を有し、大量にあっても、保管や運搬が容易である。また、安全ピン又はクリップ等の留め具6を取り付ける前の状態であれば、出っ張った部材がないため、ワッペンの重要な表示部5の印刷部分に傷を付けるおそれがない。なお、予め通し穴7に安全ピン(留め具6)を取り付けた状態であっても、組み立てる前であれば留め具6が重ね合わせた他のワッペン本体3の支持部8には当たるが、他のワッペン本体3の表示部5の印刷部分に傷を付けるおそれはない。
【0029】
<簡易型シールワッペンの組立方法>
図3は実施例1の簡易型シールワッペンを組み立てる作業手順を示すフロー図である。
図4は実施例1の簡易型シールワッペンを組み立てる状態を示す概略説明図であり、(a)はワッペン本体を台紙と共に、折り曲げ線部分で二つ折りにする状態、(b)はワッペン本体の支持部部分を台紙から剥がす状態、(c)は支持部の通し穴に安全ピン(留め具)を差し込む状態、(d)はワッペン本体を台紙から剥がす状態、(e)は表示部と支持部とを貼り付ける状態である。
簡易型シールワッペン1を組み立てる際には、ワッペン本体3を台紙2と共に、折り曲げ線4部分で二つに折る(
図4(a))。これは折り曲げ線4部分に折り目を付けて後の作業を円滑に進めるためである。ワッペン本体3の支持部8部分を台紙2から剥がし(
図4(b))、支持部8の通し穴7に安全ピン等の留め具6を取り付ける(
図4(c))。
次に、この支持部8に留め具6を(安全ピン)を取り付けた状態でワッペン本体3を台紙2から剥がす(
図4(d))。
最後に表示部5の粘着剤9と支持部8の粘着剤9とを貼り合わせる(
図4(e))。これでワッペンの体をなす。
ワッペンの体をなした状態で、通常のワッペンとして、安全ピンなどの留め具6を衣服などに装着する。
【0030】
図5は実施例1の簡易型シールワッペンを組み立てた状態を示す裏面図である。
図6は表示部と支持部のそれぞれの外形縁の相違を示す拡大部分表面図である。
実施例1の簡易型シールワッペン1は、ワッペン本体3を構成する表示部5の外形縁5aが、支持部8の外形縁8aより大きく、表示部5と支持部8を折り曲げて粘着剤9同士を貼り合わせたときに、常に支持部8の外形縁8aが表示部5の外形縁5aに隠れるように構成した。図示例では支持部8の外形縁8aと表示部5の外形縁5aとは、間隔「a」だけ相違することを示す。なお、この間隔を広げすぎると、粘着剤9の粘着面の露出面積が広くなり好ましくない。
【0031】
折り曲げ線4部分で二つ折りにして、表示部5の粘着剤9と支持部8の粘着剤9とを貼り合わせる際に、多少の位置ずれが生じても、表示部5の外形縁5aが、支持部8の外形縁8aより大きいので、常に支持部8の外形縁8aが表示部5の外形縁5aに隠れる。そのために見栄えが悪くなることがない。ワッペン本体3の表示部5の外周部分の裏面には粘着剤9を塗布しない。
【0032】
図5の組み立てた状態の簡易型シールワッペンの裏面図に示すように、安全ピン又はクリップ等の留め具6を取り付ける通し穴7は、2個の穴を形成する切り欠きが、平行線ではなく、位置によって間隔が異なる状態になっている(図示では「n」と「w」)。これは、本発明の簡易型シールワッペン1は、最初から組み立てられたものであれば、留め具6である安全ピンも所定の統一されたものが使用される。これに対して、本発明の簡易型シールワッペン1は、シート状のものを組み立て、その後に安全ピン(留め具6)を取り付けるものであるために、安全ピン(留め具6)の大きさが統一されていないことがある。そこで、本発明の簡易型シールワッペン1は、寸法の相違がある安全ピン(留め具6)について、何れにも対応できるようになる。
【0033】
<実施例1の簡易型シールワッペンの変形例1>
図7は本発明の簡易型シールワッペンの変形例1を示し、組み立てる前の状態を示す表面図である。
本発明の簡易型シールワッペン1の折り曲げ線4は、上述したようにシールワッペンとして使用する際に、上部位置になる場所に限定されない。
図7に示すようにシールワッペンとして使用する際に、横位置になる場所に折り曲げ線4を形成することも可能である。このような変形例1の簡易型シールワッペン1についても、組み立て方法等は実施例1で説明した方法と略同様である。
【実施例2】
【0034】
<組み立てる前の簡易型シールワッペンの構成>
図8は実施例2の組み立てる前の簡易型シールワッペンを示す表面図である。
図9は実施例2の簡易型シールワッペンを組み立てた状態を示す裏面図である。
実施例2の簡易型シールワッペン21は、吊り下げ型のワッペンであり、
図8に示すように、留め具6用の通し穴22を折り曲げ線4の位置に形成したものである。安全ピンなどの留め具6は、ワッペンとして使用する際に、必ずしもワッペンの裏面(本発明の支持部8)に取り付ける必要はない。組み立てた状態のワッペンの上部位置に取り付ける構成でも良い。そこで、実施例2の簡易型シールワッペン21は、この留め具6用の通し穴22を折り曲げ線4に形成した。
【0035】
このような構成の実施例2の簡易型シールワッペン21は、完成品の簡易型シールワッペン21の上部に安全ピンなどの留め具6が位置して吊り下げる状態になる。この実施例2の簡易型シールワッペン21についても、組み立て方法等は実施例1で説明した方法と略同様である。
【0036】
<実施例2の簡易型シールワッペンの変形例1>
図10は実施例2の簡易型シールワッペンの変形例1を示し、組み立てる前の状態を示す表面図である。
本発明の簡易型シールワッペン31は、上述した所謂紋章型の形状に限定されない。縦に細長い名札形状に形成することも可能である。この実施例2の変形例1の簡易型シールワッペン31は、折り曲げ線4が、シールワッペンとして使用する際に、上部位置になる場所にある。組み立て方法等は実施例1,2の説明と略同様である。
【0037】
<実施例2の簡易型シールワッペンの変形例2>
図11は実施例2の簡易型シールワッペンの変形例2を示し、組み立てる前の状態を示す表面図である。
実施例2の簡易型シールワッペンについても、シールワッペンとして使用する際に、横位置になる場所に折り曲げ線4を形成することも可能である。このときの通し穴22は支持部8に設ける。組み立て方法等は実施例1,2の説明と略同様である。
【実施例3】
【0038】
<組み立てる前の簡易型シールワッペンの構成>
図12は実施例3の簡易型シールワッペンを示し、(a)は組み立てる前のワッペン本体の表面図と、(b)は名札用クリップの正面図である。
図13は実施例3の簡易型シールワッペンを組み立てた状態を示す裏面図である。
実施例3の簡易型シールワッペン41は、衣服に留める部材として、安全ピンなどの留め具6ではなく、いわゆる名札用クリップ42を用いた。実施例3の構成では、支持部8又は折り曲げ線4に安全ピンなどの留め具6用の通し穴7が開けられていない。この名札用クリップ42は、長方形状の剛性を有する基盤部43に、わに口クリップ44が取り付けられたものである。この基盤部43には、例えば粘着剤を塗布して支持部8面に取り付ける。この塗布面には剥離自在な台紙(図示せず)が取り付けられている。ワッペン本体3、台紙2などのその他の構成は、実施例1又は実施例2の構成と略同じ構成であるため、詳細な説明を省略する。なお、図示していないが、このわに口クリップ44に安全ピンが取り付けられた両用タイプの構成のものを用いることができる。
【0039】
実施例3の簡易型シールワッペン41を組み立てる際には、ワッペン本体3を台紙2と共に、折り曲げ線4部分で二つに折り、折り目を付けた後に、ワッペン本体3を台紙2から剥がす。その後、表示部5部分の粘着剤9と支持部8部分の粘着剤9とを貼り合わせてワッペンの体を成すようにする。最後に、支持部8に、名札用クリップ42の基盤部43を、粘着剤の粘着力で取り付けて組み立てが完了する。この名札用クリップ42の基盤部43に粘着剤を塗布して取り付ける。この粘着剤の塗布に代えて両面テープを用いることも可能である。
【実施例4】
【0040】
<実施例4の簡易型シールワッペン>
図14は実施例4の簡易型シールワッペンを示し、(a)は組み立てる前の状態の表面図、(b)は裏面図である。
図15は実施例4の簡易型シールワッペンを組み立てた状態を示す図であり、(a)は支持部、(b)は安全ピンを通した状態の表示部である。
実施例4の簡易型シールワッペン51は、衣服に留める部材として、安全ピンなどの留め具6を使用するが、支持部8又は折り曲げ線4に安全ピンなどの留め具6用の通し穴7が開けられていない。ワッペン本体3を折り曲げた際に、折り曲げ線4部分に安全ピン(留め具6)を通す筒状部52が形成されるようになっている。実施例4の簡易型シールワッペン51は細長い形状のシールワッペンに適している。組み立てた状態で横幅が広いと、大きな安全ピン(留め具6)を用いることになるからである。
【0041】
実施例4の簡易型シールワッペン51は、粘着剤9は、ワッペン本体3の表示部5と支持部8の裏面それぞれに塗布するが、折り曲げ線4部分には略長方形状に部分的に塗布しない、不塗布部分9bにすることができる。なお、実施例4の簡易型シールワッペン51についても、折り曲げ線4部分で二つ折りにして、表示部5の粘着剤9と支持部8の粘着剤9とを貼り合わせる際に、多少の位置ずれが生じても、表示部5の外形縁5aが、支持部8の外形縁8aより大きくして、常に支持部8の外形縁8aが表示部5の外形縁5aに隠れるようにする。そのために見栄えが悪くなることがない。ワッペン本体3の表示部5の外周部分の裏面には粘着剤9を塗布しない。
組み立て方法等は実施例1,2,3の説明と略同様である。
【0042】
なお、本発明は、ワッペンの組み立て前の形状では薄いシート状のもので嵩張らず、その保管が容易であり、使用に際して容易に組み立てることができ、数週間から数か月の使用に耐えることができる安価な構成であれば、上述した発明の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。