(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、第2実施形態以降の説明において、第1実施形態と共通する構成については、同一の符号又は共通の規則性を持って符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0016】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る採光装置110Aを備える照明装置2の模式図である。
図1に示すように照明装置2は、採光装置110Aと、照射装置50と、を備える。照明装置2は、太陽や照明等の光源からの光L1を本実施形態に係る採光装置110Aにより採光し、採光した光L2を光L3として照射装置50に伝送する。照射装置50は、例えばアクリルの透明板状部材や反射板等で構成され、照明装置2は、照射装置50の下端に形成された照射口51から光L4を対象物6に向けて照射する。
【0017】
図2は、本実施形態に係る採光装置110Aの縦断面図(鉛直方向の断面図)である。ここで、以下の各縦断面図における上下方向は鉛直方向を表し、左右方向は水平方向を表している。
図2に示すように、本実施形態に係る採光装置110Aは、採光面材120Aと、伝送面材130Aと、充填層140Aと、を備える。
【0018】
採光面材120Aは、光源側に配置される。採光面材120Aは、光源から照射される光L1を採光し、採光した光L6を後述する充填層140Aを介して伝送面材130Aに導光する(
図2中の光L2参照)。
採光面材120Aは、所定の幅で鉛直方向に延びており、所定の厚みを有する板状の透明部材である。この採光面材120Aは、アクリル樹脂で構成され、例えば金型を用いた射出成形により成形される。
【0019】
採光面材120Aは、その屈折率n1が、後述する充填層140Aの屈折率n3よりも0.08〜0.20大きく設定される。例えば、採光面材120Aをアクリル樹脂で構成した場合、その屈折率n1は1.49である。
【0020】
採光面材120Aの光源側の受光面121Aは、鉛直方向に延びる平面で構成される。光源からの光L1は、この受光面121Aを介して採光面材120A内に光L6として採光される。
【0021】
採光面材120Aの受光面121Aとは反対側の面125Aは、プリズム形状に形成される。採光面材120A内に採光された光L6は、この受光面121Aと反対側の面125Aを介して後述の充填層140Aに導光される。
【0022】
受光面121Aと反対側の面125Aには、鉛直方向に連続して複数形成され、採光面材120Aの幅方向(
図2の紙面に直交する方向)に延びる複数の突起部127Aが形成される。これら複数の突起部127Aにより、プリズム形状が形成される。
【0023】
突起部127Aは、後述する充填層140A側ほど下方に傾斜した傾斜面部128Aと、水平に延びる水平面部129Aと、を有する。光源を太陽とした場合、季節により変化する太陽高度を考慮して、傾斜面部128Aと水平面部129Aとのなす角θ1は、32.0〜39.0°の範囲内で設定されるのが好ましい。例えば、冬至の南中時の太陽高度は30.89°であり、この場合にはθ1の大きさは37.0°に設定されるのが好ましい。
【0024】
ここで、上述したように、採光面材120Aの屈折率n1は充填層140Aの屈折率n3よりも大きく設定されている。これら屈折率の関係と、上述のプリズム形状、具体的にはθ1の設定角度を好ましい範囲とすることにより、採光面材120A内に採光された光L6は、傾斜面部128Aでより全反射され易くなっている。そして、全反射された光は、充填層140A内に光L7として導光され易くなっている。
【0025】
また、突起部127Aは、鉛直方向の間隔(
図2中のピッチP1)が、0.10〜0.30mmの範囲内で形成されるのが好ましい。例えば、θ1の大きさが37.0°のとき、突起部127AのピッチP1は0.16mmに設定される。
【0026】
以上により、採光面材120Aは、その屈折率n1やプリズム形状(θ1の角度、ピッチ)を好ましい範囲に設定することにより、例えば光量の少ない冬至においても太陽光を効率的に採光できるようになっている。
【0027】
伝送面材130Aは、採光面材120Aの受光面121Aとは反対側の面125Aに対して、後述する充填層140Aを介して対向して配置される。伝送面材130Aは、後述する充填層140Aを介して導光される光L7を、光L3として下方に向けて伝送する。
伝送面材130Aは、採光面材120Aと同様に、所定の幅で鉛直方向に延びる板状の透明部材である。この伝送面材130Aは、アクリル樹脂で構成され、例えば金型を用いた射出成形により成形される。
【0028】
本実施形態では、伝送面材130Aと採光面材120Aとは、同一の材料(アクリル樹脂)を用いて形成されている。即ち、伝送面材130Aも採光面材120Aと同様に、その屈折率n2が、後述する充填層140Aの屈折率n3よりも0.08〜0.20大きく設定され、例えば伝送面材130Aをアクリル樹脂で構成した場合、その屈折率n2は1.49である。
【0029】
伝送面材130Aの採光面材120Aと反対側の面131Aは、平面状に形成される。伝送面材130Aの採光面材120Aと反対側の面131Aは、空気層に接している。即ち、隣接する空気層の屈折率nは伝送面材130Aの屈折率n2よりも小さい1.00であることから、伝送面材130A内に導光された光L8は、面131Aにおいて全反射されるようになっている。
【0030】
また、伝送面材130Aの採光面材120Aと反対側の面131Aは、光の伝送方向の下流側(下方)に向かうに従い採光面材120Aとは反対側に傾斜している。具体的には、伝送面材130Aの採光面材120Aと反対側の面131Aは、鉛直方向に対して、0°より大きく13.5°以下の範囲内で傾斜しているのが好ましい。即ち、伝送面材130Aの採光面材120Aと反対側の面131Aと、水平方向のなす角θ2は、76.5°以上90°未満に設定されるのが好ましい。例えば、面131Aの鉛直方向に対する傾斜角度が9°となるように、θ2は81°に設定される。
これにより、伝送面材130Aの採光面材120Aと反対側の面131Aにおいて、より下方に向かって光が全反射されるようになっている。
【0031】
伝送面材130Aの(充填層140Aを介して)採光面材120Aと対向する面135Aは、平面状に形成される。後述する充填層140Aを介して導光される光L7は、この伝送面材130Aの採光面材120Aと対向する面135Aを介して、伝送面材130A内に導光される。
伝送面材130Aの採光面材120Aと対向する面135Aは、後述する充填層140Aに接している。即ち、隣接する充填層140Aの屈折率n3は伝送面材130Aの屈折率n2よりも小さく設定されていることから、面131Aで全反射された光L9が面135Aにおいて全反射され易くなっている。
【0032】
また、伝送面材130Aの採光面材120Aと対向する面135Aは、光の伝送方向の下流側(下方)に向かうに従い採光面材120A側に傾斜している。即ち、伝送面材130Aは、台形状を有している。
具体的には、伝送面材130Aの採光面材120Aと対向する面135Aは、鉛直方向に対して、3〜12°の範囲内で傾斜しているのが好ましい。即ち、伝送面材130Aの採光面材120Aと対向する面135Aと水平方向とのなす角θ3は、78〜87°の範囲内に設定されるのが好ましい。例えば、面135Aの鉛直方向に対する傾斜角度が5°となるように、θ3は85°に設定される。
これにより、伝送面材130Aの採光面材120Aと対向する面135Aにおいて、より確実に光がより下方に向かって全反射されるようになっている。
【0033】
なお、伝送面材130Aの採光面材120Aと反対側の面131Aにおける鉛直方向に対する傾斜角度と、伝送面材130Aの採光面材120Aと対向する面135Aにおける鉛直方向に対する傾斜角度と、の合計値が、14°未満であることが好ましい。面131Aと面135Aの各傾斜角度の合計値がこの範囲内であれば、伝送面材130A内においてより確実に光を繰り返し全反射しながら下方に伝送できる。
【0034】
以上により、伝送面材130Aの採光面材120Aと反対側の面131Aで全反射された光L9が、伝送面材130Aの採光面材120Aと対向する面135Aにおいても全反射され、光L10として下方に伝送される。即ち、伝送面材130A内において、光は繰り返し全反射されながら、下方に伝送されるようになっている。
【0035】
充填層140Aは、採光面材120Aと伝送面材130Aの間に配置される。充填層140Aは、採光面材120Aから導光される光L6を、光L7として伝送面材130Aに導光する。また、充填層140Aは、伝送面材130Aとの界面において、光を全反射する。
【0036】
充填層140Aは、その屈折率n3が、採光面材120Aの屈折率n1よりも0.08〜0.20小さく設定されているとともに、伝送面材130Aの屈折率n2よりも0.08〜0.20小さく設定されている。即ち、充填層140Aの屈折率n3は、採光面材120Aの屈折率n1及び伝送面材130Aの屈折率n2のいずれよりも0.08〜0.20小さく設定されている。これにより、上述したように、充填層140Aと採光面材120Aの界面及び充填層140Aと伝送面材130Aの界面において、光を全反射させることができるようになっている。
【0037】
例えば、充填層140Aは、屈折率n3が1.40のシリコン樹脂で構成される。これにより、採光面材120A及び伝送面材130Aがアクリル樹脂で構成されてその屈折率n1及びn2が1.49であった場合に、上述の屈折率の関係を満たすことができるようになっている。
【0038】
また、充填層140Aは、例えば弾性力を有するシリコン樹脂で構成されるのが好ましい。これにより、適度な弾性力を有する充填層140Aを介して、採光面材120Aと伝送面材130Aとが一体化され、採光装置110Aの強度が高められる。
【0039】
また、充填層140Aは、熱硬化性のシリコン樹脂で構成されるのが好ましい。この場合には、所定の隙間を設けて配置された採光面材120Aと伝送面材130Aとの間の隙間に、熱硬化性の液状シリコン樹脂を流し込んだ後、加熱硬化させることで、充填層140Aを形成することができる。これにより、採光面材120Aの受光面121Aとは反対側の面125Aのプリズム形状に対応した表面形状とともに、伝送面材130Aの採光面材120Aと対向する面135Aの傾斜に対応した表面形状を有する充填層140Aが得られる。即ち、充填層140Aが接着層として機能し、採光面材120Aと伝送面材130Aは、この充填層140Aを介して互いに強固に固定される。
【0040】
以上の構成を備える採光装置110Aの動作について、
図2を参照して説明する。
先ず、光源からの光L1は、鉛直方向に延びる採光面材120Aの受光面121Aに照射される。受光面121Aに照射された光L1は、採光面材120Aと空気層との界面を構成する受光面121Aにおいて屈折して採光面材120A内に採光される。
【0041】
採光された光L6は、採光面材120Aの受光面121Aとは反対側の面125Aに複数形成された突起部127Aに達し、採光面材120Aと充填層140Aとの界面を構成する傾斜面部128Aにおいて全反射される。全反射された光は、光L7として充填層140A内に導光される。
導光された光L7は、充填層140Aと伝送面材130Aとの界面を構成する、伝送面材130Aの採光面材120Aと対向する面135Aにおいて屈折して、伝送面材130A内に導光される。
【0042】
伝送面材130内に導光された光L8は、空気層と伝送面材130Aとの界面を構成する、伝送面材130Aの採光面材120Aと反対側の面131Aにおいて、下方に向かって全反射される。
下方に向かって全反射された光L9は、充填層140Aと伝送面材130Aとの界面を構成する、伝送面材130Aの採光面材120Aと対向する面135Aにおいて、下方に向かって再び全反射される。
このようにして、下方に向かって全反射された光L10は、面131A及び面135Aとの間で繰り返し全反射されながら、下方の照射装置50に向かって伝送され、照射口51から対象物6に向かって照射される(
図1参照)。
【0043】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、採光面材120Aの受光面121Aと反対側の面125Aに複数の突起部127Aを形成してプリズム形状とし、伝送面材130Aの採光面材120Aと対向する面135Aを、光の伝送方向の下流側(下方)に向かうに従い採光面材120A側に傾斜させた。また、採光面材120Aと伝送面材130Aとの間に、採光面材120Aの屈折率n1及び伝送面材130Aの屈折率n2のいずれよりも0.08〜0.20小さい屈折率n3を有する充填層140Aを配置した。
【0044】
これにより、採光面材120Aの受光面121Aと反対側の面125Aのプリズム形状を構成する、突起部127Aの傾斜面部128Aにおいて、採光した光L6の全反射条件を満たすことができ、光L6を全反射させて効率良く充填層140Aに導くことができる。
また、空気層と伝送面材130Aとの界面を構成する、伝送面材130Aの採光面材120Aと反対側の面131Aにおいて、充填層140Aを介して伝送面材130A内に導光された光L8の全反射条件を満たすことができ、光L8を下方に向けて全反射させることができる。
さらには、伝送面材130Aと採光面材120Aとの界面を構成する、伝送面材130Aの採光面材120Aと対向する面135Aにおいて、全反射された光L9の全反射条件を満たすことができ、光L9を下方に向けて全反射させることができる。
以上のようにして、外部への漏出を抑制しつつ、伝送面材130A内で光を繰り返し全反射させながら下方の照射装置50に伝送できる。従って、本実施形態によれば、従来よりも、伝送面材130Aから漏出する光量を低減できる採光装置110Aを提供できる。
【0045】
また本実施形態によれば、採光面材120Aと伝送面材130Aは、充填層140Aを介して一体化される。そのため、従来よりも高い強度を有する採光装置110Aを提供できる。
【0046】
また本実施形態では、伝送面材130Aの採光面材120Aと反対側の面131Aを、光の伝送方向の下流側(下方)に向かうに従い採光面材120Aと反対側に傾斜させた。
これにより、空気層と伝送面材130Aとの界面を構成する、伝送面材130Aの採光面材120Aと反対側の面131Aにおいて、充填層140Aを介して伝送面材130A内に導光された光L8の全反射条件を確実に満たすことができるとともに、光L8をより下方に向けて全反射させることができる。
【0047】
[第2実施形態]
図3は、本発明の第2実施形態に係る採光装置110Bの縦断面図である。
図3に示すように、本実施形態に係る採光装置110Bは、伝送面材130Bの構成が第1実施形態と相違する以外は、第1実施形態と同一の構成である。
【0048】
伝送面材130Bは、第1実施形態の伝送面材130Aと比べて、その鉛直方向の断面形状が相違する以外は同一の構成である。具体的には、第1実施形態の伝送面材130Aでは、採光面材120Aと反対側の面131Aが鉛直方向に対して傾斜しているのに対して、本実施形態の伝送面材130Bでは、採光面材120Aと反対側の面131Bが鉛直方向に対して平行となっている。それ以外は両者は同一の構成である。
【0049】
本実施形態の採光装置110Bは、第1実施形態と同様に動作する。即ち、伝送面材130Bの採光面材120Aと反対側の面131Bが鉛直方向に対して平行であっても、光L8及びL10の全反射条件を満たすことができる。
従って本実施形態によれば、伝送面材130B内における全反射方向は第1実施形態ほど下方に向けられないものの、基本的には第1実施形態と同様の効果が奏される。また本実施形態によれば、第1実施形態と比べて、伝送面材130Bの厚みを薄くでき、採光装置を小型化できる。
【0050】
[第3実施形態]
図4は、本発明の第3実施形態に係る採光装置110Cの縦断面図である。
図4に示すように、本実施形態に係る採光装置110Cは、伝送面材130C及び充填層140Cの構成が第1実施形態と相違する以外は、第1実施形態と同一の構成である。
【0051】
伝送面材130Cは、第1実施形態の伝送面材130Aと比べて、その鉛直方向の断面形状が相違する以外は同一の構成である。具体的には、第1実施形態の伝送面材130Aでは、伝送面材130Aの採光面材120Aと対向する面135Aが、伝送方向下流側(下方)に向かうに従い採光面材120A側に傾斜する1つの傾斜平面のみで構成されているのに対して、本実施形態の伝送面材130Cでは、採光面材120Aと対向する面135Cが、第1傾斜面部136Cと第2傾斜面部137Cとの繰り返し構造により構成されている。それ以外は両者は同一の構成である。
【0052】
第1傾斜面部136Cは、伝送方向下流側(下方)に向かうに従い採光面材120A側に傾斜する傾斜面により形成される。第1傾斜面部136Cと水平方向とのなす角θ4の大きさは、第1実施形態の伝送面材130Aの採光面材120Aと対向する面135Aと水平方向とのなす角θ3と同様の大きさに設定される。具体的には、第1傾斜面部136Cは、鉛直方向に対して3〜12°の範囲内で傾斜しているのが好ましい。即ち、第1傾斜面部136Cと水平方向とのなす角θ4は、78°〜87°の範囲内に設定されるのが好ましい。例えば、面135Cの鉛直方向に対する傾斜角度が5°となるように、θ4は85°に設定される。
【0053】
第2傾斜面部137Cは、伝送方向下流側(下方)に向かうに従い採光面材120Aとは反対側に傾斜する傾斜面により形成される。第2傾斜面部137Cと水平方向とのなす角θ5の大きさは、45°〜58°の範囲内に設定されるのが好ましい。例えば第2傾斜面部137Cと水平方向とのなす角θ5は、51.4°に設定される。
【0054】
これにより、伝送面材130Cの採光面材120Aと対向する面135Cには、第1傾斜面部136Cと第2傾斜面部137Cとが接続されることで複数の凸部が形成される。即ち、伝送面材130Cの採光面材120Aと対向する面135Cは、これら凸部によるプリズム形状を有している。
【0055】
なお、第1傾斜面部136C及び第2傾斜面部137Cによって形成されるプリズム形状は、
図4に示すように凸部が0.8〜4.0mmのピッチで形成されるのが好ましい。例えば、これら凸部のピッチは、3.7mmに設定される。
【0056】
また同様に、本実施形態の充填層140Cも、その伝送面材側の表面形状が、伝送面材130Cの採光面材120Aと対向する面135Cの表面形状に対応しており、この点において第1実施形態と相違している。
【0057】
本実施形態の採光装置110Cは、第1実施形態と同様に動作する。即ち、伝送面材130Cの採光面材120Aと対向する面135Cがプリズム形状であっても、光L9の全反射条件を満たすことができる。
従って本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が奏される。また本実施形態によれば、第1実施形態と比べて、伝送面材130Cの厚みを薄くでき、採光装置を小型化できる。
【0058】
[第4実施形態]
図5は、本発明の第4実施形態に係る採光装置110Dの縦断面図である。
図5に示すように、本実施形態に係る採光装置110Dは、伝送面材130D及び充填層140Cの構成が第1実施形態と相違する以外は、第1実施形態と同一の構成である。
【0059】
より詳しくは、本実施形態の伝送面材130Dは、採光面材120Aと反対側の面131Bが、第2実施形態と同様に鉛直方向に対して平行となっている。また、採光面材120Aと対向する面135Cが、第3実施形態と同様に第1傾斜面部136Cと第2傾斜面部137Cとの繰り返し構造により構成されている点が相違する。
【0060】
本実施形態の採光装置110Dは、第1実施形態と同様に動作する。従って本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が奏される。また本実施形態によれば、第1実施形態と比べて、伝送面材130Dの厚みを薄く維持しながら、伝送面材130D内においてより確実に光を全反射させて伝送できる。即ち、採光装置を小型化しつつ、漏出光量をより低減できる。
【0061】
[第5実施形態]
図6は、本発明の第5実施形態に係る採光装置110Eの縦断面図である。
図6に示すように、本実施形態に係る採光装置110Eは、第1実施形態に係る複数の採光装置110Aが、鉛直方向に並べて配置された構造を有する。
図6に示す例では、第1実施形態の採光装置110Aが鉛直方向に3つ並べて配置されている。
【0062】
複数の採光装置110A間では、採光面材120Aの受光面121Aと反対側の各面125Aのプリズム形状が相違している。より詳しくは、傾斜面部128Aの傾斜角度が、複数の採光装置110A間で相違している。即ち、
図6に示すように、傾斜面部128Aと水平面部129Aとのなす角θ11、θ12及びθ13の大きさが、32.0〜39.0°の範囲内でそれぞれ相違している。これにより、例えば季節により太陽高度が変化する太陽からの光を、季節によらず複数の採光装置110Aにより効率良く採光できるようになっている。
【0063】
また、複数の採光装置110Aは、互いに隣接する端面同士が接合されている。具体的には、採光面材120Aや伝送面材130Aと同様のアクリル接着剤により、互いに隣接する端面同士が接合されている。
【0064】
本実施形態の採光装置110Eは、伝送面材130Aで光が伝送されるまでは、第1実施形態と同様に動作する。また、より上段の採光装置110Aにおいて伝送面材130Aの下端まで伝送された光は、その下段に配置された採光装置110Aの伝送面材130A内に導光された後、該伝送面材130A内で再び全反射を繰り返しながら下方に伝送され、さらに下段に配置された採光装置110Aの伝送面材130Aへと導かれる。
【0065】
従って本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が奏される。また、複数の採光装置110A間において、採光面材120Aの受光面121Aと反対側の各面125Aのプリズム形状(傾斜面部128Aの傾斜角度)が相違していることにより、例えば季節により太陽高度が変化する太陽からの光を、季節によらず複数の採光装置110Aにより効率良く採光できる。
また、本実施形態の採光装置110Eによれば、単一の採光装置110Aを伝送方向に延長させた場合に生じる、伝送面材130A下端における厚み(
図6の左右方向の寸法)の増大を抑制できる。
【0066】
[第6実施形態]
図7は、本発明の第6実施形態に係る採光装置110Fの縦断面図である。
図7に示すように、本実施形態に係る採光装置110Fは、第2実施形態に係る複数の採光装置110Bが鉛直方向に並べて配置された構造を有する。
図7に示す例では、第2実施形態の採光装置110Bが鉛直方向に3つ並べて配置されている。
【0067】
第5実施形態と同様に、複数の採光装置110B間では、採光面材120Aの受光面121Aと反対側の各面125Aのプリズム形状が相違している。より詳しくは、傾斜面部128Aと水平面部129Aとのなす角θ11、θ12及びθ13の大きさが、32.0〜39.0°の範囲内でそれぞれ相違している。
また第5実施形態と同様に、複数の採光装置110Bは、互いに隣接する端面同士が接合されている。
【0068】
本実施形態の採光装置110Fは、第5実施形態と同様に動作する。従って本実施形態によれば、第1実施形態及び第5実施形態と同様の効果が奏される。
【0069】
[第7実施形態]
図8は、本発明の第7実施形態に係る採光装置110Gの縦断面図である。
図8に示すように、本実施形態に係る採光装置110Gは、第5実施形態に係る採光装置110Eに対して、補助伝送面材160を追加した構造を有する。
【0070】
補助伝送面材160は、複数の採光装置110Aを鉛直方向に並べて配置した場合に、伝送面材130Aの採光面材120Aと反対側の各面131Aに生じる段差面を、面一とする機能を有する。例えば
図8に示すように、第1実施形態の採光装置110Aを3つ鉛直方向に並べて配置した例では、補助伝送面材160は、第1補助伝送面材161と、第2補助伝送面材162とにより構成される。
【0071】
図8に示す各採光装置110Aを、上方から順に、上段の採光装置110A、中断の採光装置110A、下段の採光装置110Aとした場合、第1補助伝送面材161は、下段の採光装置110Aと中段の採光装置110Aとの接合時に、各伝送面材130Aによって生じる段差面を面一にするように配置される。同様に、第2補助伝送面材162は、中段の採光装置110Aと上段の採光装置110Aとの接合時に、各伝送面材130Aによって生じる段差面を面一にするように配置される。
【0072】
これら第1補助伝送面材161及び第2補助伝送面材162は、伝送面材130Aと同様に、アクリル樹脂等からなる透明の板状部材により形成される。
【0073】
本実施形態に係る採光装置110Gは、第5実施形態と同様の動作に加えて、次のように動作する。即ち、各伝送面材130Aの空気層と接する側の下端から漏出するおそれのあった光L11、L12が、より下方に配置された補助伝送面材160内に導光された後、該補助伝送面材160内で全反射を繰り返しながら下方の照射装置へと伝送される。
従って本実施形態によれば、第5実施形態と同様の効果が奏されることに加えて、各伝送面材130Aの空気層と接する側の下端からの漏出光量を低減できる。
【0074】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
上記いずれの実施形態においても、採光面材の受光面を平面で構成したが、これに限定されない。例えば従来のように、受光面に、湾曲部を有する複数の突起を設けてもよい。
【0075】
また、上記いずれの実施形態においても、採光面材及び伝送面材にはアクリル樹脂を用いたが、これに限定されない。例えば、屈折率が1.59の透明なポリカーボネート樹脂により、採光面材及び伝送面材を形成することもできる。この場合には、充填層として屈折率が1.49のアクリル樹脂を用いることが好ましい。
【0076】
また、第5実施形態〜第7実施形態では、複数の採光装置間において、採光面材の受光面と反対側の各面のプリズム形状(傾斜面部の傾斜角度)を異なるものとしたが、これに限定されず、同一であってもよい。
さらには、第1実施形態〜第4実施形態の各採光装置を適宜組み合わせて並べて配置してもよく、その並びも特に限定されない。例えば、水平方向に複数並べて配置してもよい。