特許第6651346号(P6651346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6651346
(24)【登録日】2020年1月24日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】工作機械のアタッチメント
(51)【国際特許分類】
   B23Q 5/04 20060101AFI20200210BHJP
【FI】
   B23Q5/04 520C
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-248599(P2015-248599)
(22)【出願日】2015年12月21日
(65)【公開番号】特開2017-113808(P2017-113808A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年7月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】315017775
【氏名又は名称】三菱重工工作機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】福島 健
【審査官】 山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−194795(JP,A)
【文献】 特開2005−069363(JP,A)
【文献】 特開昭62−224541(JP,A)
【文献】 特開2008−183647(JP,A)
【文献】 米国特許第06615466(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 1/25,1/64,1/70,
3/12,5/04,16/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の主軸先端に着脱可能に装着されるアタッチメントであって、
前記主軸の回転が伝達される回転軸と、
前記回転軸を回転可能に支持する本体と、
前記回転軸の回転により回転駆動され、かつ、先端に工具を着脱可能に装着するアタッチメント主軸と、
前記アタッチメント主軸を回転可能に支持し、前記回転軸の回転により旋回される旋回部と、
前記本体と前記旋回部とを係脱可能に係合させ、前記本体に対し前記旋回部を割出旋回させる割出手段と、
前記割出手段による前記本体と前記旋回部との係合が解除された状態で、前記本体と前記旋回部とが対向する箇所において、前記回転軸、前記アタッチメント主軸および前記旋回部の荷重が局所的に作用する箇所に設けられた摺動部材と、
を備え
前記旋回部は、割出時に、上部側にて前記割出手段を介して前記本体と接し、下部側にて、径方向外側へ突出して設けられた突部が前記本体の下部に設けられた凹部と接する形状をなし、
前記摺動部材は、割出時に、前記割出手段にて前記本体と接する箇所に設けられると共に、前記本体の前記凹部にて前記旋回部の前記突部と接する箇所に設けられ、
前記摺動部材は、
前記旋回部の上部にて前記割出手段の外周部と前記本体の内周部の間に設けられた第一の摺動部材と、
前記旋回部の下部にて前記旋回部の前記突部の上面部と前記本体の前記凹部の上面部の間に設けられた第二の摺動部材と、
前記旋回部の下部にて前記旋回部の前記突部の側面部と前記本体の前記凹部の側面部の間に設けられた第三の摺動部材と、
を有することを特徴とする工作機械のアタッチメント。
【請求項2】
請求項1に記載された工作機械のアタッチメントであって、
前記割出手段の前記外周部の下部側に、前記第一の摺動部材が設けられる第一の切欠きが設けられ、
前記本体の前記側面部の下部側に、前記第三の摺動部材が設けられる第二の切欠きが設けられていることを特徴とする工作機械のアタッチメント。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載された工作機械のアタッチメントであって、
前記第一の摺動部材は、前記割出手段の前記外周部に固定され、
前記第二の摺動部材は、前記本体の前記凹部の前記上面部に固定され、
前記第三の摺動部材は、前記本体の前記凹部の前記側面部に固定されていることを特徴とする工作機械のアタッチメント。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載された工作機械のアタッチメントであって、
前記摺動部材は、樹脂製である
ことを特徴とする工作機械のアタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械のアタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械において、加工対象ワークに対応する各種アタッチメントを有している。アタッチメントは、ワークの加工対象部に対して干渉を防止するために特殊な工具を使用したり、偏芯させたりする必要が生じる場合がある。ワークの加工部位が多数面ある場合は、アタッチメント本体を割出しして使用しなければならず、重量工具や偏芯したアタッチメントでの割出し動作に安定性が求められる。そのため、アタッチメントに、偏芯荷重をキャンセルするカウンター荷重(バランスウェイト)を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62−32740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、アタッチメントにカウンター荷重を設けると、カウンター荷重を含めたアタッチメント自体が大型化し、ワークに接近しづらくなる可能性があった。また、カウンター荷重の代わりにベアリングを設けることが考えられるが、カウンター荷重を含めたアタッチメントの場合と同様に、ベアリングを含めたアタッチメント自体が大型化し、ワークに接近しづらくなる可能性があった。
【0005】
以上のことから、本発明は、上述したような課題を解決するために為されたものであって、ワークへの接近性を低下させること無く、安定した割出し動作を行うことができる工作機械のアタッチメントを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する第1の発明に係る工作機械のアタッチメントは、
工作機械の主軸先端に着脱可能に装着されるアタッチメントであって、
前記主軸の回転が伝達される回転軸と、
前記回転軸を回転可能に支持する本体と、
前記回転軸の回転により回転駆動され、かつ、先端に工具を着脱可能に装着するアタッチメント主軸と、
前記アタッチメント主軸を回転可能に支持し、前記回転軸の回転により旋回される旋回部と、
前記本体と前記旋回部とを係脱可能に係合させ、前記本体に対し前記旋回部を割出旋回させる割出手段と、
前記割出手段による前記本体と前記旋回部との係合が解除された状態で、前記本体と前記旋回部とが対向する箇所において、前記回転軸、前記アタッチメント主軸および前記旋回部の荷重が局所的に作用する箇所に設けられた摺動部材と、
を備え
前記旋回部は、割出時に、上部側にて前記割出手段を介して前記本体と接し、下部側にて、径方向外側へ突出して設けられた突部が前記本体の下部に設けられた凹部と接する形状をなし、
前記摺動部材は、割出時に、前記割出手段にて前記本体と接する箇所に設けられると共に、前記本体の前記凹部にて前記旋回部の前記突部と接する箇所に設けられ、
前記摺動部材は、
前記旋回部の上部にて前記割出手段の外周部と前記本体の内周部の間に設けられた第一の摺動部材と、
前記旋回部の下部にて前記旋回部の前記突部の上面部と前記本体の前記凹部の上面部の間に設けられた第二の摺動部材と、
前記旋回部の下部にて前記旋回部の前記突部の側面部と前記本体の前記凹部の側面部の間に設けられた第三の摺動部材と、
を有する、ことを特徴とする。
【0007】
上述した課題を解決する第2の発明に係る工作機械のアタッチメントは、前述した第1の発明に係る工作機械のアタッチメントであって、
前記割出手段の前記外周部の下部側に、前記第一の摺動部材が設けられる第一の切欠きが設けられ、
前記本体の前記側面部の下部側に、前記第三の摺動部材が設けられる第二の切欠きが設けられている
ことを特徴とする。
上述した課題を解決する第3の発明に係る工作機械のアタッチメントは、前述した第1または第2の発明に係る工作機械のアタッチメントであって、
前記第一の摺動部材は、前記割出手段の前記外周部に固定され、
前記第二の摺動部材は、前記本体の前記凹部の前記上面部に固定され、
前記第三の摺動部材は、前記本体の前記凹部の前記側面部に固定されている
ことを特徴とする。
【0008】
上述した課題を解決する第の発明に係る工作機械のアタッチメントは、前述した第1から第3の発明のいずれかに係る工作機械のアタッチメントであって、
前記摺動部材は、樹脂製である
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る工作機械のアタッチメントによれば、割出手段による本体と旋回部との係合が解除された状態(割出時)で、本体と旋回部とが対向する箇所において、回転軸、アタッチメント主軸および旋回部の荷重が局所的に作用しようとしても、この箇所に摺動部材が設けられていることから、摩擦抵抗が局所的に大きくなることが防止される。これにより、旋回部の旋回動作は、円滑に行われることなる。摺動部材を設けただけであり、アタッチメント自体の大型化を抑制できる。これにより、ワークへの接近性の低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第一の実施形態に係る工作機械のアタッチメントの断面図である。
図2図1の囲み線IIの拡大図である。
図3図1の囲み線IIIの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る工作機械のアタッチメントの実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は、図面に基づいて説明する以下の実施形態のみに限定されるものではない。
【0012】
[第一の実施形態]
本発明の第一の実施形態に係る工作機械のアタッチメントについて、図1図3を用いて説明する。
【0013】
図1に示すように、工作機械のラム1内には円筒状の主軸2が回転可能に支持されており、この主軸2には図示しない主軸回転駆動用モータが連結されている。すなわち、主軸駆動用モータを駆動することにより主軸2が回転駆動される。
【0014】
ラム1の下面にはアタッチメント10が着脱可能に装着されている。アタッチメント10は、ラム1の下面に固定される支持部11と、この支持部11の内面に対し摺動回転可能に支持される水平旋回部21とを備えている。
【0015】
支持部11には当該支持部11をラム1側に固定するためのプルスタッド12が設けられている。プルスタッド12は、ラム1内に設けられる図示しない支持部クランプ装置により、クランプまたはアンクランプされるようになっている。すなわち、支持部11のプルスタッド12をクランプすることにより、ラム1に対しアタッチメント10は上昇して装着される一方、プルスタッド12をアンクランプすることにより、ラム1に対しアタッチメント10は下降して離脱され、吊り下げ状態となる。
【0016】
支持部11の内周面には、水平旋回部21の回転軸側本体21a上部が嵌入されている。この嵌入される回転軸側本体21aの外周面には複数のOリング22が設けられており、これらOリング22間における支持部11と回転軸側本体21aとの間には油溝23が形成されている。油溝23には図示しない油圧供給装置により油圧が供給されている。したがって、水平旋回部21の回転軸側本体21aが支持部11の内周面に対して摺動回転する場合には、Oリング22が支持部11の内周面に摺接することになる。なお、油溝23の油圧はOリング22によりシールされている。水平旋回部21は、詳細につき後述する、回転軸側本体21aの下部に設けられたアタッチメント主軸側本体21bを有する。
【0017】
ラム1の下面と水平旋回部21の回転軸側本体21aの上面との間には、ハースカップリング24が設けられている。ハースカップリング24は、ラム1側に配置される固定側ハースカップリング24aと、水平旋回部21側に配置される割出側ハースカップリング24bとから構成されている。各ハースカップリング24a,24bは、リング状の円板の表面に歯形が形成されているものであり、回転して互いの歯先と歯溝とを噛み合わせることにより割出可能となっている。
【0018】
水平旋回部21には円筒状の垂直軸31が垂直方向に設けられており、この垂直軸31は軸受32a,32bを介して回転軸側本体21aに回転可能に支持されている。垂直軸31の下端側にはかさ歯車33が形成されており、その中心孔には主軸2と同軸上に配置される軸部34がその軸方向に摺動可能に嵌入されている。
【0019】
軸部34の上端には主軸2の先端に着脱可能に装着されるプルスタッド35が形成されている。プルスタッド35の中心孔内に設けられる図示しない水平旋回部クランプ装置により、クランプまたはアンクランプされるようになっている。
【0020】
垂直軸31の上面とプルスタッド35の下面との間には、リング状の中間部材(回転軸)36が設けられている。垂直軸31の上端外側における垂直軸31と中間部材36との間には、皿ばね37が設けられている。皿ばね37は、垂直軸31と中間部材36との間において、圧縮状態で配置されており、この皿ばね37の付勢力により、軸部34およびプルスタッド35は、中間部材36を介して上方に付勢された状態となっている。
【0021】
なお、上述した主軸2の端面に設けられたキー溝(図示せず)は、中間部材36の端面に設けられたキー(図示せず)と係合可能な形状をなしている。前記キー溝(係合手段、主軸側係合部)と前記キー(係合手段、回転軸側係合部)とが係合することで、主軸2の回転運動は、前記キー溝、前記キー、中間部材36および垂直軸31を介して、詳細につき後述するアタッチメント主軸41に伝達される。
【0022】
水平旋回部21には円筒状のアタッチメント主軸41が水平方向に設けられており、このアタッチメント主軸41は軸受け42a,42b,42c,42dを介してアタッチメント主軸側本体21bに回転可能に支持されている。アタッチメント主軸41の外周面にはかさ歯車43が形成されており、このかさ歯車43は垂直軸31のかさ歯車33と噛み合っている。また、アタッチメント主軸41の中心孔には工具Tを固定する工具ホルダTaが着脱可能に装着されている。この工具ホルダTaは、アタッチメント主軸41の中心孔に設けられる図示しない工具ホルダクランプ装置により、クランプまたはアンクランプされるようになっている。
【0023】
さらに、上述した工作機械のアタッチメント10は、摺動部材50を備える。摺動部材50は、ハースカップリング24の係合が解除された状態で、支持部11と水平旋回部21の回転軸側本体21aとが対向する箇所において、荷重が局所的に作用する箇所に配置される。これにより、重量工具取付時や偏芯荷重が生じた際、旋回中心が傾こうとするが、荷重が局所的に作用する箇所には摺動部材50が配置されていることにより、摩擦抵抗が局所的に大きくなることが防止される。よって、割出動作が円滑に行われることになる。
【0024】
上述した水平旋回部21の回転軸側本体21aは、割出時に、上部にて割出側ハースカップリング24bを介して支持部11の上部と接すると共に、下部にて、径方向外側へ突出する突部21aaが支持部11の下部に設けられた凹部11aと接する形状をなしている。割出側ハースカップリング24bの外周部の下部側には、切欠き24baが全周に亘り設けられている。言い換えると、割出側ハースカップリング24bの外周部の上部側には、外側へ突出する肩部24bbが全周に亘り設けられている。支持部11の凹部11aは、当該支持部11の内周部の全周に亘り設けられている。凹部11aは、径方向外側へ水平に延在する上面部11aaと、上面部11aaの径方向外側の端部と接続し、上下方向に延在する側面部11abとを備える。側面部11abの下部側には、切欠き11abaが全周に亘り設けられている。
【0025】
上述した摺動部材50は、第1,第2,第3の摺動部材51,52,53を備える。第1の摺動部材51および第3の摺動部材52は、円筒形状をなしている。第1の摺動部材51および第3の摺動部材52の板厚は、例えば2mm〜3mmである。第2の摺動部材52は、円板形状をなしている。第2の摺動部材52の板厚は、例えば2mm〜3mmである。
【0026】
第1の摺動部材51は、割出側ハースカップリング24bの切欠き24baに貼り付けられる。すなわち、第1の摺動部材51は、内周部51a側が割出ハースカップリング24bの切欠き24baに固定され、外周部51b側が支持部11と接触することになる。これにより、第1の摺動部材51の固定箇所に対してラム1側には割出側ハースカップリング24bの肩部24bbがあり、第1の摺動部材51が割出側ハースカップリング24bから外れてラム1側へ移動しようとしても、第1の摺動部材51の上部51cが割出側ハースカップリング24bの肩部24bbの下部24bbaと接触して、第1の摺動部材51のラム1側への移動が阻止されることになる。
【0027】
第2の摺動部材52は、支持部11の凹部11aの上面部11aaに貼り付けられる。これにより、第2摺動部材52は、上面部52a側が支持部11の凹部11aの上面部11aaに固定され、下面部52b側が水平旋回部21の回転軸側本体21aの突部21aaの上面部21aaaと接触することになる。
【0028】
第3の摺動部材53は、支持部11の凹部11aの切欠き11abaに貼り付けられる。これにより、第3摺動部材53は、外周部53a側が支持部11の切欠き11abaに固定され、内周部53b側が水平旋回部21の回転軸側本体21aの突部21aaの側面部21aabと接触することになる。
【0029】
摺動部材50として、例えば、油との反応性が無い材料で作製されたものあれば良く、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド、ポリアセタールなど樹脂製のウェアリングを用いることが可能である。このような材質の摺動部材50を用いることにより、材質に起因するコスト増を抑制できる。
【0030】
次に、アタッチメント10の装着動作および工具Tの割出(旋回)動作について説明する。
【0031】
先ず、アタッチメント10に工具Tが固定された工具ホルダTaを装着して加工する場合には、図1に示すように、水平旋回部21のプルスタッド35を主軸2の中心孔に嵌入してクランプすると共に、ハースカップリング24における固定側ハースカップリング24aと割出側ハースカップリング24bとを所定の割出角度で噛み合わせる。この状態で、支持部11のプルスタッド12をラム1内でクランプすることにより、アタッチメント10はラム1に対し装着されることになる。このとき、前記キー溝と前記キーとが係合される。
【0032】
主軸2を回転させることにより、プルスタッド35と共に、中間部材36および垂直軸31が回転される。このように垂直軸31が回転すると、かさ歯車33,43の噛み合いにより、アタッチメント主軸41が回転され、このアタッチメント主軸41の回転により、工具Tが回転されて加工が行われる。
【0033】
続いて、工具Tを水平面内において割り出す場合には、水平旋回部21のプルスタッド35をクランプしたまま、支持部11のプルスタッド12をアンクランプする。これにより、プルスタッド35が主軸2に装着されたまま、アタッチメント10全体が下降し、ハースカップリング24における固定側ハースカップリング24aと割出側ハースカップリング24bとの噛み合いが外れる。
【0034】
主軸2を回転させることにより、プルスタッド35と共に、中間部材36および垂直軸31が回転される。このとき、ハースカップリング24の噛み合いが外れているので、垂直軸31の回転は水平旋回部21の回転軸側本体21aに伝達され、当該水平旋回部21は垂直軸31を中心に水平面内において旋回することになる。ここで、プルスタッド35で支持される部材に、主軸2に対する偏芯荷重がある場合には、プルスタッド35で支持される部材の荷重が支持部11に局所的に作用しようとするが、この箇所に摺動部材50(第1〜第3の摺動部材51〜53)が配置されていることから、摩擦抵抗が局所的に大きくなることが防止される。これにより、上述した水平旋回部21の旋回動作は、円滑に行われることなる。
【0035】
続いて、水平旋回部21が所定の旋回角度に旋回した後、支持部11のプルスタッド12をクランプしたアタッチメント10全体を上昇させる。これにより、ハースカップリング24における固定側ハースカップリング24aと割出側ハースカップリング24bとが所定の割出角度で噛み合うことになり、アタッチメント10がラム1に装着され、工具Tの水平面内における割り出しが行われる。
【0036】
したがって、本実施形態に係る工作機械のアタッチメント10によれば、割出時に、工作機械側にクランプされるプルスタッド35で支持される部材の荷重が水平旋回部21を介して支持部11に対して局所的に作用しようとする箇所に設けられた摺動部材50を備えることで、摩擦抵抗が局所的に大きくなることが防止される。これにより、水平旋回部21の旋回動作は、円滑に行われることなる。よって、アタッチメントにカウンター荷重を設ける必要が無いことから、アタッチメント10自体の大型化を防ぐことができ、ワークへの接近性を低下させることがなくなる。
【0037】
また、既存の工作機械のアタッチメントが、上述した工作機械のアタッチメント10と同様な装着機構および割出機構を備える場合、割出時に、支持部において局所的に荷重が作用する箇所に摺動部材を設けるだけで、上述した工作機械のアタッチメント10と同様の作用効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る工作機械のアタッチメントは、ワークへの接近性を低下させること無く、安定した割出し動作を行うことができるので、産業上、極めて有益に利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
10 アタッチメント(工作機械のアタッチメント)
11 支持部(本体)
12 プルスタッド
21 水平旋回部(旋回部)
21a 回転軸側本体
21b アタッチメント主軸側本体
22 Oリング
23 油溝
24 ハースカップリング(割出手段)
24a 固定側ハースカップリング
24b 割出側ハースカップリング
31 垂直軸(回転軸)
32a,32b 軸受
33 かさ歯車
34 軸部
35 プルスタッド
36 中間部材(回転軸)
37 皿ばね
41 アタッチメント主軸
42a〜42d 軸受
43 かさ歯車
50 摺動部材
51 第一の摺動部材
52 第二の摺動部材
53 第三の摺動部材
T 工具
Ta 工具ホルダ
図1
図2
図3