特許第6651444号(P6651444)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6651444
(24)【登録日】2020年1月24日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】ハイブリッドストレージ
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/06 20060101AFI20200210BHJP
   G06F 3/08 20060101ALI20200210BHJP
【FI】
   G06F3/06 301X
   G06F3/08 H
   G06F3/06 304N
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-525525(P2016-525525)
(86)(22)【出願日】2014年11月26日
(65)【公表番号】特表2016-539406(P2016-539406A)
(43)【公表日】2016年12月15日
(86)【国際出願番号】US2014067632
(87)【国際公開番号】WO2015081206
(87)【国際公開日】20150604
【審査請求日】2017年10月31日
(31)【優先権主張番号】201310618239.0
(32)【優先日】2013年11月27日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510330264
【氏名又は名称】アリババ・グループ・ホールディング・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ALIBABA GROUP HOLDING LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホワビン ドゥー
(72)【発明者】
【氏名】ヤンジュン マー
(72)【発明者】
【氏名】ジェンクン ヤン
【審査官】 打出 義尚
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−038212(JP,A)
【文献】 特開2011−233009(JP,A)
【文献】 特開2011−209973(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0159112(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/06
G06F 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のタイプのストレージデバイスにより、前記第1のタイプのストレージデバイスに格納された各データブロックのアクセス情報を定期的に取得し、第2のタイプのストレージデバイスにより、前記第2のタイプのストレージデバイスに格納された各データブロックのアクセス情報を定期的に取得するステップであって、前記第1のタイプのストレージデバイス及び前記第2のタイプのストレージデバイスのそれぞれは、個別のコンピューティングノードであり、かつ、前記第1のタイプのストレージデバイスは、前記第2のタイプのストレージデバイスよりデータアクセス速度が遅い、ステップと、
前記第1のタイプのストレージデバイスによって取得されたアクセス情報に基づき、前記第1のタイプのストレージデバイス内のデータブロックのうち、アクセス数が第1所定回数を超える第1のデータブロックを、前記第1のタイプのストレージデバイスにより前記第2のタイプのストレージデバイスに複製するステップと、
前記第2のタイプのストレージデバイスによって取得されたアクセス情報に基づき、前記第2のタイプのストレージデバイス内のデータブロックのうち、アクセス数が第2所定回数未満である第2のデータブロックを、前記第2のタイプのストレージデバイスにより前記第1のタイプのストレージデバイスに複製するステップとを含む
方法。
【請求項2】
前記第1のタイプのストレージデバイスによって取得された前記アクセス情報を記録するステップと、
前記第2のタイプのストレージデバイスによって取得された前記アクセス情報を記録するステップをさらに含む
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のタイプのストレージデバイスは、ハードディスクドライブ(HDD)型ストレージデバイスであり、
前記第2のタイプのストレージデバイスは、ソリッドステートドライブ(SSD)型ストレージデバイスである
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のタイプのストレージデバイスによって前記SSD型ストレージデバイスをランダムに選択するステップをさらに含む
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1データブロックを複製する前記ステップの後で、前記HDD型ストレージデバイスから前記第1データブロックを削除するステップをさらに含む
請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のタイプのストレージデバイスによって前記HDD型ストレージデバイスをランダムに選択するステップをさらに含む
請求項3〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2データブロックを複製する前記ステップの後で、前記SSD型ストレージデバイスから前記第2データブロックを削除するステップをさらに含む
請求項3〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
1つ以上の第1のタイプのストレージデバイスと、1つ以上の第2のタイプのストレージデバイスとを備えたストレージシステムであって、
前記1つ以上の第1のタイプのストレージデバイス及び前記1つ以上の第2のタイプのストレージデバイスのそれぞれは、個別のコンピューティングノードであり、
前記1つ以上の第2のタイプのストレージデバイスは、データブロックを格納するソリッドステートドライブ(SSD)型ストレージデバイスであり、前記1つ以上の第1のタイプのストレージデバイスは、データブロックを格納するハードディスクドライブ(HDD)型ストレージデバイスであり、
前記HDD型ストレージデバイスは、前記HDD型ストレージデバイスに格納された各データブロックのアクセス情報を定期的に取得し、前記SSD型ストレージデバイスは、前記SSD型ストレージデバイスに格納された各データブロックのアクセス情報を定期的に取得し、
前記HDD型ストレージデバイスは、前記HDD型ストレージデバイスによって取得されたアクセス情報に基づき、前記HDD型ストレージデバイス内のデータブロックのうち、アクセス数が第1所定回数を超える第1のデータブロックを、前記HDD型ストレージデバイスにより前記SSD型ストレージデバイスに複製し、
前記SSD型ストレージデバイスは、前記SSD型ストレージデバイスによって取得されたアクセス情報に基づき、前記SSD型ストレージデバイス内のデータブロックのうち、第2のアクセス数が第2所定回数未満である第2のデータブロックを、前記SSD型ストレージデバイスにより前記HDD型ストレージデバイスに複製する
ストレージシステム。
【請求項9】
前記HDD型ストレージデバイスは、取得した前記アクセス情報を記録し、
前記SSD型ストレージデバイスは、取得した前記アクセス情報を記録する
請求項に記載のストレージシステム。
【請求項10】
前記ストレージシステムが2つ以上のSSD型ストレージデバイスを含む場合、前記HDD型ストレージデバイスは、前記第1のデータブロックの複製先としてSSD型ストレージデバイスをランダムに選択する
請求項8又は9に記載のストレージシステム。
【請求項11】
前記HDD型ストレージデバイスは、前記第1データブロック複製された後で、前記HDD型ストレージデバイスから前記第1データブロックを削除する
請求項8〜10のいずれか1項に記載のストレージシステム。
【請求項12】
前記ストレージシステムが2つ以上のHDD型ストレージデバイスを含む場合、前記SSD型ストレージデバイスは、前記第2のデータブロックの複製先としてHDD型ストレージデバイスをランダムに選択する
請求項8〜11のいずれか1項に記載のストレージシステム。
【請求項13】
前記SSD型ストレージデバイスは、前記第2データブロック複製された後で、前記SSD型ストレージデバイスから前記第2データブロックを削除する
請求項8〜12のいずれか1項に記載のストレージシステム。
【請求項14】
1つ以上のプロセッサにより動作を実行するための実行可能なコンピュータ実行可能命令を記憶する1つ以上のメモリであって、前記動作は、
第1のタイプのストレージデバイスにより、前記第1のタイプのストレージデバイスに格納された各データブロックのアクセス情報を定期的に取得し、前記第1のタイプとは異なる第2のタイプのストレージデバイスにより、前記第2のタイプのストレージデバイスに格納された各データブロックのアクセス情報を定期的に取得するステップであって、前記第1及び第2のタイプの前記ストレージデバイスのそれぞれは、個別のコンピューティングノードである、ステップと、
前記第1のタイプのストレージデバイスによって取得されたアクセス情報に基づき、前記第1のタイプのストレージデバイス内のデータブロックのうち、アクセス数が第1所定回数を超える第1のデータブロックを、前記第1のタイプのストレージデバイスにより前記第2のタイプのストレージデバイスに複製するステップと、
前記第2のタイプのストレージデバイスによって取得されたアクセス情報に基づき、前記第2のタイプのストレージデバイス内のデータブロックのうち、アクセス数が第2所定回数未満である第2のデータブロックを、前記第2のタイプのストレージデバイスにより前記第1のタイプのストレージデバイスに複製するステップと
を含み、
前記第1のタイプのストレージデバイスは、ハードディスクドライブ(HDD)型ストレージデバイスであり、前記第2のタイプのストレージデバイスは、ソリッドステートドライブ(SSD)型ストレージデバイスである
メモリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2013年11月27日に出願された「ハイブリッドストレージ制御方法及びハイブリッドストレージシステム」(「HYBRID STORAGE CONTROLLING METHOD AND HYBRID STORAGE SYSTEM」)と題する中国特許出願第201310618239.0号に対する外国優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示はデータストレージの分野に関し、特にハイブリッドストレージの制御方法及びハイブリッドストレージのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
近年、ハイブリッドストレージ技術が流行となっている。ハイブリッドストレージとは、異なるストレージデバイスの異なる特性に基づいたある戦略に従ってストレージシステムに結合される複数の異なるストレージデバイスを指す。一般にハイブリッドストレージシステムは、単一ストレージシステムより優れたシステム性能を達成し得る。例えば、中央処理装置(CPU)のランダムストレージ部は、レベル1キャッシュ(L1キャッシュ)、レベル2キャッシュ(L2キャッシュ)、レベル3キャッシュ(L3キャッシュ)、及びメインストレージデバイス(メインメモリ)を備え得る。これらのストレージデバイスのデータアクセス速度は、これらのストレージデバイスの容量が段階的に大きくなるにつれ、段階的に遅くなる。あるキャッシュコヒーレンス機構によれば、大量のデータアクセスは、より小さい容量でより速い速度のキャッシュにおいて実行され、これにより全体のシステム性能が改善される。
【0004】
既存のハイブリッドストレージ技術は主に、ハイブリッドハードディスク技術、フラッシュキャッシュ技術等を含む。
【0005】
ハイブリッドハードディスク技術は、ハイブリッドハードディスクドライブ(HDD)をあるサイズのソリッドステートドライブ(SSD)と直接統合したハードディスクと、ハードディスクコントローラにより制御されるSSDとHDDを結合する技術とに関する。HDDは一般に容量が大きく、かつデータアクセス速度が遅く、そしてSSDは一般に容量が小さく、かつデータアクセス速度が速い。HDDに対するSSDの比は一般に固定化されるため、ハイブリッドハードディスク技術が異なるシナリオに効果的に適応しない場合でも最適な費用性能比が達成される。
【0006】
フラッシュキャッシュ技術は、アクセス回数の多いデータのキャッシュを実行するために、仮想ファイルシステム(VFS)とデバイスドライバの間に新たなキャッシュ層を追加する。フラッシュキャッシュ技術は一般にSSDをキャッシュの媒体として使用し(これに対して一般には内部メモリがキャッシュとして使用される)、アクセス回数の多いデータを従来のハードディスクからSSDへキャッシュし、優れたSSD読出し性能を使用して、システムの速度を高める。
【0007】
ハイブリッドハードディスク技術及びフラッシュキャッシュ技術は、どちらも単一デバイスに基づいたハイブリッド機構である。単一デバイスは、複雑な構成を有し柔軟性に乏しい。さらに、分散ストレージ技術の発展に伴い、ハイブリッドストレージ技術はクラスタレベルにおいても望まれる。しかしながら、既存のハイブリッドストレージ技術は、クラスタレベルにおいて実現されていない。
【発明の概要】
【0008】
当概要は、「発明を実施するための形態」において後に詳述される概念の精選を、簡潔な形式で紹介するために提供される。当概要は、請求される内容の全ての主要な特徴または重要な特徴を特定する意図はなく、また請求される内容の範囲の決定を補助するものとして単独で用いられる意図もない。例えば「技術」という用語は、前述の文脈及び本開示を通して容認されているように、装置(複数可)、システム(複数可)、方法(複数可)、及び/またはコンピュータ実行可能命令を指し得る。
【0009】
本開示の主目的は、既存技術における問題を解消するハイブリッドストレージの制御方法とハイブリッドストレージシステムを提供することである。
【0010】
本開示は、1つ以上のHDD型ストレージデバイス及び1つ以上のSSD型ストレージデバイスを有するストレージシステムにおける1つ以上のHDD型ストレージデバイス及び1つ以上のSSD型ストレージデバイスに適用される、ハイブリッドストレージの例示的制御方法を提供する。例えば、ストレージシステムにおける各HDD型ストレージデバイスは、SSD型ストレージデバイスに接続されている。各HDD型ストレージデバイス及び各SSD型ストレージデバイスは、1つ以上のデータブロックをそれぞれ格納する。例示的方法は、以下の動作を含み得る。ストレージデバイスに格納された各データブロックのアクセス情報は、定期的に取得される。ストレージシステム内の各データブロックの格納位置は、各データブロックの取得されたアクセス情報に従って調整される。
【0011】
本開示の例示的実施形態によれば、例示的方法はさらに、各データブロックのアクセス情報を記録することを含み得る。アクセス情報は、少なくともデータブロックに対するアクセス数を含み得る。
【0012】
本開示の実施形態によれば、ストレージシステム内の各データブロックの格納位置は、各データブロックの取得されたアクセス情報に従って調整され、これには以下の動作が含まれ得る。HDD型ストレージデバイスに格納され、アクセス数が第1所定回数を超えるデータブロックは、格納のためストレージシステム内のSSD型ストレージデバイスに移行される。例えばこのようなSSD型ストレージデバイスは、ランダムに選択され得る。あるいは、SSD型ストレージデバイスに格納され、アクセス数が第2所定回数未満であるデータブロックは、格納のためストレージシステム内のHDD型ストレージデバイスに移行される。例えばこのようなHDD型ストレージデバイスは、ランダムに選択され得る。
【0013】
本開示の例示的実施形態によれば、HDD型ストレージデバイスに格納され、アクセス数が第1所定回数を超えるデータブロックは、格納のためストレージシステム内のランダムなSSD型ストレージデバイスに移行され、これには以下の動作が含まれ得る。HDD型ストレージデバイスに格納され、アクセス数が第1所定回数を超えるデータブロックは、ストレージシステム内のランダムなSSD型ストレージデバイスに複製される。当該データブロックを最初に格納していたHDD型ストレージデバイスから、当該データブロックは削除される。SSD型ストレージデバイスに格納され、アクセス数が第2所定回数未満であるデータブロックは、格納のためストレージシステム内のランダムなHDD型ストレージデバイスに移行され、これには以下の動作が含まれ得る。SSD型ストレージデバイスに格納され、アクセス数が第2所定回数未満であるデータブロックは、ストレージシステム内のランダムなHDD型ストレージデバイスに複製される。当該データブロックを最初に格納していたSSD型ストレージデバイスから、当該データブロックは削除される。
【0014】
本開示は、1つ以上のHDD型ストレージデバイス及び1つ以上のSSD型ストレージデバイスを含み得る例示的ハイブリッドストレージシステムも提供する。各HDD型ストレージデバイスは、HDD型ストレージ部及び制御部を備える。各SSD型ストレージデバイスは、SSD型ストレージ部及び制御部を備える。HDD型ストレージ部及びSSD型ストレージ部は、1つ以上のデータブロックを格納する。制御部は、HDD型ストレージ部またはSSD型ストレージ部に格納された各データブロックのアクセス情報を定期的に取得するアクセス情報取得モジュールと、各データブロックの取得されたアクセス情報に従ってストレージシステム内の各データブロックの格納位置を調整する格納位置調整モジュールとを備える。
【0015】
本開示の例示的実施形態によれば、制御部はさらに、HDD型ストレージ部またはSSD型ストレージ部に格納された各データブロックのアクセス情報を記録する記録モジュールを備え得る。アクセス情報は、少なくともデータブロックに対するアクセス数を含み得る。
【0016】
本開示の例示的実施形態によれば、格納位置調整モジュールはさらに、HDD型ストレージデバイスのHDD型ストレージ部に格納され、アクセス数が第1所定回数を超えるデータブロックを、格納のためストレージシステム内のランダムなSSD型ストレージデバイスのSSD型ストレージ部に移行し得る。格納位置調整モジュールはさらに、SSD型ストレージデバイスのSSD型ストレージ部に格納され、アクセス数が第2所定回数未満であるデータブロックを、格納のためストレージシステム内のランダムなHDD型ストレージデバイスのHDD型ストレージ部に移行し得る。
【0017】
本開示の例示的実施形態によれば、格納位置調整モジュールはさらに、HDD型ストレージデバイスのHDD型ストレージ部に格納され、アクセス数が第1所定回数を超えるデータブロックを、ストレージシステム内のランダムなSSD型ストレージデバイスのSSD型ストレージ部に複製し、そして当該データブロックを最初に格納していたHDD型ストレージデバイスのHDD型ストレージ部から、当該データブロックを削除し得る。格納位置調整モジュールはさらに、SSD型ストレージデバイスのSSD型ストレージ部に格納され、アクセス数が第2所定回数未満であるデータブロックを、ストレージシステム内のランダムなHDD型ストレージデバイスのHDD型ストレージ部に複製し、そして当該データブロックを最初に格納していたSSD型ストレージデバイスのSSD型ストレージ部から、当該データブロックを削除し得る。
【0018】
既存技術と比較すると、本技術は、異なるストレージデバイスの利点を活かし、かつアクセス頻度に従ってデータブロックの格納位置を動的に設定し、これにより記憶容量及びデータ処理速度に関する性能最適化を達成する。
【0019】
本明細書の図面は、本開示のさらなる理解のために使用され、本開示の一部を成す。本開示の例示的実施形態及びそれらの説明は、本開示を限定するのではなく例示するために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の例示的実施形態によるハイブリッドストレージの例示的制御方法のフロー図である。
図2】本開示の例示的実施形態による例示的ハイブリッドストレージシステムの構造的ブロック図である。
図3a】本開示の例示的実施形態による例示的ハイブリッドストレージシステムにおける例示的HDD型ストレージデバイスの構造的ブロック図である。
図3b】本開示の例示的実施形態による例示的ハイブリッドストレージシステムにおける例示的SSD型ストレージデバイスの構造的ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本技術は、データのハイブリッドストレージを実行し最適化するように、HDD型及びSSD型ストレージデバイスを構成することのみ要し得る。
【0022】
本開示の目的、技術的解決策、及び利点を明確に説明するために、本開示の例示的実施形態及び対応図を参照することで本開示の技術的解決策を説明する詳細説明が以下に提供される。明らかに、図解された例示的実施形態は、本開示の実施形態の全てではなく一部のみを表す。本開示の実施形態に基づいて創意的な努力なしに当業者が得る他の実施形態は全て、本開示の保護範囲内となる。
【0023】
本開示の例示的実施形態によれば、本開示は、1つ以上のHDD型ストレージデバイス及び1つ以上のSSD型ストレージデバイスを有するストレージシステムにおける各HDD型ストレージデバイス及び各SSD型ストレージデバイスに適用され得る、ハイブリッドストレージの例示的制御方法を提供する。ストレージシステムにおける各HDD型ストレージデバイスは、SSD型ストレージデバイスに接続されている。各HDD型ストレージデバイス及び各SSD型ストレージデバイスは、1つ以上のデータブロックをそれぞれ格納する。データブロックとは、ストレージデバイス間で伝送されるデータ単位を指す。
【0024】
ストレージシステムにおいて、HDD型ストレージデバイス及びSSD型ストレージデバイスは、個別のコンピューティングノードであることは理解されよう。言い換えれば、各コンピューティングノードは、1種類のストレージ媒体のみを備える。例えば、あるコンピューティングノード(ストレージデバイス)がHDD型ストレージ部を備える場合、当該コンピューティングノード(ストレージデバイス)はSSD型ストレージ部を備えないため、当該コンピューティングノードはHDD型ストレージデバイスである。同様に、あるコンピューティングノード(ストレージデバイス)がSSD型ストレージ部を備える場合、当該コンピューティングノード(ストレージデバイス)はHDD型ストレージ部を備えないため、当該コンピューティングノードはSSD型ストレージデバイスである。
【0025】
言い換えると、HDD型ストレージデバイスはHDD(メカニカルハードドライブ)のみを備え、そしてSSD型ストレージデバイスはSSD(ソリッドステートハードドライブ)のみを備える。1つ以上のHDD型ストレージデバイスは同じサイズのHDD型ストレージデバイスであり、そして1つ以上のSSD型ストレージデバイスは同じサイズのSSD型ストレージデバイスであり得る。すなわち、全てのHDD型ストレージデバイスは同じであり、そして全てのSSD型ストレージデバイスは同じであり得る。勿論、1つ以上のHDD型ストレージデバイスは異なるサイズのHDD型ストレージデバイスでありえ、そして1つ以上のSSD型ストレージデバイスは異なるサイズのSSD型ストレージデバイスであり得ることは理解されよう。
【0026】
図1を参照すると、図1は、本開示の例示的実施形態によるハイブリッドストレージの例示的制御方法のフロー図である。図1に示されるように、ストレージシステムの1つ以上のストレージデバイスに関して、以下の動作が行われ得る。
【0027】
ステップ102において、ストレージデバイスに格納された各データブロックのアクセス情報が定期的に取得される。アクセス情報は、少なくともデータブロックに対するアクセス数を含み得る。言い換えると、HDD型ストレージデバイスまたはSSD型ストレージデバイスに格納された各データブロックに対するアクセス数は、所定の時間毎に取得される。例えば、過剰なメタ情報を避け、記憶領域を節約するために、データは数メガバイトのデータブロック等のメガバイト(MB、MByte)レベルのデータブロックに分割され得る。アクセス情報はさらに、データブロックの格納位置等のデータブロックのメタ情報を含み得る。
【0028】
本開示の例示的実施形態によれば、例示的方法はさらに、各格納データブロックのアクセス情報を記録するステップを含み得る。すなわち、各格納データブロックのアクセス数が計測及び記録される。記録中、各データブロックのアクセス情報は、非同期的に記録され得る。すなわち、2つ以上のデータブロックのアクセス情報が、同時に別々に記録され得る。例えば、1つのデータブロックのアクセス情報が記録される時に、別のデータブロックもアクセスされた場合、別のデータブロックのアクセス情報は同時に計測かつ記録され得る。
【0029】
ステップ104において、ストレージシステム内の各データブロックの格納位置が、各データブロックの取得されたアクセス情報に従って調整される。
【0030】
例えば、HDD型ストレージデバイスに格納され、アクセス数が第1所定回数を超えるデータブロックは、格納のためストレージシステム内のランダムなSSD型ストレージデバイスに移行される。あるいは、SSD型ストレージデバイスに格納され、アクセス数が第2所定回数未満であるデータブロックは、格納のためストレージシステム内のランダムなHDD型ストレージデバイスに移行される。
【0031】
HDDデバイスは一般に容量がより大きく、かつデータアクセス速度がより遅く、一方SSDは一般に容量がより小さく、かつデータアクセス速度がより速い。従って、ストレージデバイスがHDD型ストレージデバイスの場合、高アクセス頻度の(アクセス数が第1所定回数を超える)データブロックは、格納のためストレージシステム内のランダムのSSD型ストレージデバイスに移行され、これにより高アクセス頻度のデータブロックを読み出す速度が改善される。ストレージデバイスがSSD型ストレージデバイスの場合、低アクセス頻度の(アクセス数が第2所定回数未満である)データブロックは、格納のためストレージシステム内のランダムのHDD型ストレージデバイスに移行される。ゆえに、ストレージシステムにおいてデータブロックが格納された装置は、当該データブロックのアクセス数に従って調整され、これによりストレージシステム性能の最大至適化が実行される。
【0032】
前述の技術的解決策によれば、ストレージシステムは、2種類のストレージデバイス、すなわち1つ以上のHDD型ストレージデバイス及び1つ以上のSSD型ストレージデバイスで構成されることのみ要する。2種類のストレージデバイスのそれぞれの好適な数は、汎用シナリオまたは汎用アプリケーションの要件に従って設定される。高頻度にアクセスされるデータブロックをより速い記憶読出し速度を有するSSD型ストレージデバイスへ移行するため、かつ低頻度でアクセスされるデータブロックを大きな記憶容量を有するHDD型ストレージデバイスへ移行するために、各ストレージデバイスに格納された各データブロックに対するアクセス数が定期的に取得される。これにより、異なる種類のデバイスの利点が十分に活かされ、そして記憶容量及びデータ処理速度に関する性能バランスが達成される。
【0033】
本開示の例示的実施形態によれば、ストレージデバイス(元のストレージデバイス)から別のストレージデバイス(対象ストレージデバイス)へデータブロックを移行することは、当該データブロックを対象ストレージデバイスに複製し、かつ当該データブロックを元のストレージデバイスから削除することを含むことができ、これにより移行が達成される。
【0034】
言い換えると、HDD型ストレージデバイスに格納され、アクセス数が第1所定回数を超えるデータブロックは、格納のためストレージシステム内のランダムなSSD型ストレージデバイスに移行され、これには以下の動作が含まれ得る。HDD型ストレージデバイスに格納され、アクセス数が第1所定回数を超えるデータブロックは、ストレージシステム内のランダムなSSD型ストレージデバイスに複製される。当該データブロックを最初に格納していたHDD型ストレージデバイスから、当該データブロックは削除される。SSD型ストレージデバイスに格納され、アクセス数が第2所定回数未満であるデータブロックは、格納のためストレージシステム内のランダムなHDD型ストレージデバイスに移行され、これには以下の動作が含まれ得る。SSD型ストレージデバイスに格納され、アクセス数が第2所定回数未満であるデータブロックは、ストレージシステム内のランダムなHDD型ストレージデバイスに複製される。当該データブロックを最初に格納していたSSD型ストレージデバイスから、当該データブロックは削除される。
【0035】
本開示はさらに、例示的ハイブリッドストレージシステムを提供する。図2は、本開示の例示的実施形態による例示的ハイブリッドストレージシステム200の構造的ブロック図である。本開示の例示的実施形態によれば、ハイブリッドストレージシステム200は、1つ以上のHDD型ストレージデバイス202(1)、・・・、210(m)と、1つ以上のSSD型ストレージデバイス204(1)、・・・、204(n)とを備え得る。m及びnは任意の整数であり得る。
【0036】
各ストレージデバイスの構造をより明確に説明するために、図3aと図3bはそれぞれ、本開示の例示的実施形態によるハイブリッドストレージシステムにおける例示的HDD型ストレージデバイスと例示的SSD型ストレージデバイスの構造的ブロック図を示す。図3aに示されるように、例示的HDD型ストレージデバイス302は、HDD型ストレージ部304と、HDD型ストレージ部の制御部(すなわち第1制御部)306とを備え得る。第1制御部306は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組合せであり得る。例えば、図3aにおいて、第1制御部306は、プロセッサ308(複数可)またはデータ処理部(複数可)、及びメモリ310を備え得る。メモリ310は、コンピュータ可読媒体の実施例である。メモリ310は、第1アクセス情報取得モジュール312と第1格納位置調整モジュール314とを含む複数のモジュールを内部に格納し得る。
【0037】
図3bに示されるように、例示的SSD型ストレージデバイス316は、HDD型ストレージ部318と、SSD型ストレージ部の制御部(すなわち第2制御部)320とを備え得る。第2制御部320は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組合せであり得る。例えば、図3bにおいて、第2制御部320は、プロセッサ322(複数可)またはデータ処理部(複数可)、及びメモリ324を備え得る。メモリ324は、コンピュータ可読媒体の実施例である。メモリ324は、第2アクセス情報取得モジュール326と第2格納位置調整モジュール328とを含む複数のモジュールを内部に格納し得る。
【0038】
例えば、HDD型ストレージ部の制御部すなわち第1制御部306と、SSD型ストレージ部の制御部すなわち第2制御部320は、同じ部であり得る、同じ部に属し得る、すなわち同じ制御部を指し得る。すなわち、第1アクセス情報取得モジュール312と第2アクセス情報取得モジュール326は、同じであり得る、すなわち同じモジュールを指し得る。第1格納位置調整モジュール314と第2格納位置調整モジュール328は、同じであり得る、すなわち同じモジュールを指し得る。
【0039】
別の例では、HDD型ストレージ部の制御部すなわち第1制御部306と、SSD型ストレージ部の制御部すなわち第2制御部320は、別のものであり得る、または別個の部を指し得る。
【0040】
HDD型ストレージデバイス302及びSSD型ストレージデバイス316の構造は、前述のものと同一でありえ、このことは本明細書において繰返し記載しない。
【0041】
HDD型ストレージ部304及びSSD型ストレージ部318は、1つ以上のデータブロックを格納し得る。
【0042】
第1アクセス情報取得モジュール312は、HDD型ストレージ部304に格納された各データブロックのアクセス情報を定期的に取得する。第2アクセス情報取得モジュール326は、SSD型ストレージ部318に格納された各データブロックのアクセス情報を定期的に取得する。
【0043】
第1格納位置調整モジュール314は、ストレージシステム内の各データブロックの格納位置を、各データブロックの取得されたアクセス情報に従って調整する。第2格納位置調整モジュール328も、ストレージシステム内の各データブロックの格納位置を、各データブロックの取得されたアクセス情報に従って調整する。
【0044】
第1制御部306はまた、メモリ310に格納された第1記録モジュール(図示せず)を備え、そして第2制御部320はまた、メモリ324に格納された第2記録モジュール(図示せず)を備え得る。第1記録モジュール、第2記録モジュールはそれぞれ、HDD型ストレージ部304、SSD型ストレージ部318に格納された各データブロックのアクセス情報を記録する。アクセス情報は、少なくともデータブロックに対するアクセス数を含み得る。
【0045】
HDD型ストレージデバイス302のHDD型ストレージ部304に関して、第1格納位置調整モジュール314はさらに、HDD型ストレージデバイス302のHDD型ストレージ部304に格納され、アクセス数が第1所定回数を超えるデータブロックを、格納のためストレージシステム内のSSD型ストレージデバイス316のSSD型ストレージ部318といったランダムなSSD型ストレージデバイスのSSD型ストレージ部に移行し得る。
【0046】
SSD型ストレージデバイス316のSSD型ストレージ部318に関して、第2格納位置調整モジュール328はさらに、SSD型ストレージデバイス316のSSD型ストレージ部318に格納され、アクセス数が第2所定回数未満であるデータブロックを、格納のためストレージシステム内のHDD型ストレージデバイス302のHDD型ストレージ部304といったランダムなHDD型ストレージデバイスのHDD型ストレージ部に移行し得る。
【0047】
HDD型ストレージデバイス302のHDD型ストレージ部304に関して、第1格納位置調整モジュール314はさらに、HDD型ストレージデバイス302のHDD型ストレージ部304に格納され、アクセス数が第1所定回数を超えるデータブロックを、格納のためストレージシステム内のSSD型ストレージデバイス316のSSD型ストレージ部318といったランダムなSSD型ストレージデバイスのSSD型ストレージ部に複製し、そして当該データブロックを最初に格納していたHDD型ストレージデバイス302のHDD型ストレージ部304から、当該データブロックを削除し得る。
【0048】
SSD型ストレージデバイス316のSSD型ストレージ部318に関して、第2格納位置調整モジュール328はさらに、SSD型ストレージデバイス316のSSD型ストレージ部318に格納され、アクセス数が第2所定回数未満であるデータブロックを、格納のためストレージシステム内のHDD型ストレージデバイス302のHDD型ストレージ部304といったランダムなHDD型ストレージデバイスのHDD型ストレージ部に複製し、そして当該データブロックを最初に格納していたSSD型ストレージデバイス316のSSD型ストレージ部318から、当該データブロックを削除し得る。
【0049】
例示的デバイスの実施形態から成るシステムにより実行される機能は一般に、図1に示されるような例示的方法の実施形態におけるこれらの動作に対応する。従って、例示的デバイスの実施形態の説明において記載されていない任意の詳細は、前述の例示的方法の実施形態における関連例証を参照するとし、本明細書において詳述されないものとする。
【0050】
本開示で説明されるコンピューティングデバイスまたはシステムは、標準構成において、1つ以上の中央処理装置(CPU)と、1つ以上の入出力インターフェイスと、1つ以上のネットワークインターフェイスと、メモリとを備え得る。
【0051】
メモリは、コンピュータ可読媒体において、非永続メモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び/または読出専用メモリ(ROM)とフラッシュランダムアクセスメモリ(フラッシュRAM)等の不揮発性メモリといった形態を含み得る。メモリは、コンピュータ可読媒体の実施例である。
【0052】
コンピュータ可読媒体には、情報記憶を実行する任意の方法または技術を使用し得る永続的及び非永続的、取り外し可能及び取り外し不可能な媒体が含まれる。情報は、コンピュータ可読命令、データ構造、ソフトウェアモジュール、または任意のデータであり得る。コンピュータ記憶媒体の実施例には、相変化メモリ(PCM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)、他の種類のRAM、ROM、電気的消去可能プログラマブル読出専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、内部メモリ、CD−ROM、DVD、光学メモリ、磁気テープ、磁気ディスク、その他の磁気記憶装置、またはコンピューティングデバイスによりアクセス可能な情報を記憶し得るその他の非通信媒体が含まれ得るが、これに限定されない。本明細書で定義されるように、コンピュータ可読媒体には、変調データ信号及び搬送波等の一時的媒体は含まれない。
【0053】
用語「含む(including)」、「備える(comprising)」、またはそれらの任意の活用形は非排他的含有を指すため、複数の要素を含むプロセス、方法、製品、またはデバイスは、当該の複数の要素を含むだけでなく、明確に記載されていないその他の要素、もしくはそのようなプロセス、方法、製品、またはデバイスに必須もしくは固有の任意の要素も含むことに留意されたい。さらなる制約なしに、「〜を含む」という句により定義される要素は、プロセス、方法、製品、またはデバイスが当該要素に加えて別の同じ要素を含むことを除外しない。
【0054】
当業者は、例示的実施形態が、方法、システム、またはコンピュータソフトウェア製品の形態で提供され得ることを理解するであろう。従って本技術は、ハードウェア、コンピュータソフトウェア、またはそれらの組合せにより実行され得る。さらに本技術は、コンピュータ実行可能命令もしくはコンピュータ可読命令を含む1つ以上のコンピュータ記憶媒体(ディスク、CD−ROM、または光学記憶装置を含むが、これに限定されない)の形態であるコンピュータソフトウェア製品として実行され得る。
【0055】
上記の説明は、本開示の例示的実施形態を説明するものであり、本開示の範囲を限定するものとして使用されるべきではない。当業者は、本技術に対し任意の修正または変更を加えてもよい。本技術の精神及び範囲から逸脱しない任意の変更、均等物の置換え、または改良は尚、本開示の請求の範囲内に含まれるものとする。
図1
図2
図3a
図3b