特許第6651454号(P6651454)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6651454機械的特性の向上した機能層の積重体で被覆された基材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6651454
(24)【登録日】2020年1月24日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】機械的特性の向上した機能層の積重体で被覆された基材
(51)【国際特許分類】
   C03C 17/36 20060101AFI20200210BHJP
   C03C 27/06 20060101ALI20200210BHJP
   C03C 27/12 20060101ALI20200210BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20200210BHJP
【FI】
   C03C17/36
   C03C27/06 101H
   C03C27/12 L
   B32B9/00 A
【請求項の数】18
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-551064(P2016-551064)
(86)(22)【出願日】2014年11月5日
(65)【公表番号】特表2016-540723(P2016-540723A)
(43)【公表日】2016年12月28日
(86)【国際出願番号】FR2014052822
(87)【国際公開番号】WO2015067895
(87)【国際公開日】20150514
【審査請求日】2017年10月5日
(31)【優先権主張番号】1360970
(32)【優先日】2013年11月8日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン−ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(72)【発明者】
【氏名】ベロニク ロンド
(72)【発明者】
【氏名】エミリー シャルレ
(72)【発明者】
【氏名】エティエンヌ サンドル−シャルドナル
【審査官】 岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0136365(US,A1)
【文献】 特開2009−143805(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/167293(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C15/00−23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄層の積重体を備えた透明基材であり、当該積重体は、赤外線領域及び/又は太陽光線の反射特性を有するn個の機能層(n≧2)と、1つ以上の誘電体層を含むn+1個のコーティングとを交互に、各機能層が2つのコーティングの間に配置されるように含んでおり、当該コーティング及び機能層は、前記透明基材に対する位置に従って番号付けされていて、下層コーティング1が、透明基材の上方で且つ機能層1の下方に配置され、中間層コーティング2〜nが、2つの機能層の間に配置され、かつ上層コーティングn+1が、機能層nの上方に配置されている、透明基材であって、
上層又は中間層コーティング2〜n+1のうちの少なくとも1つが、少なくとも2つのバリア層を含むバリアコーティングを少なくとも1つ含んでおり、2つのバリア層のうちの1つの層は、窒化ケイ素をベースとする層であり、かつ他の1つの層は、窒化アルミニウムをベースとする層であること、
上層、中間層及び下層コーティングのおのおのが、窒化ケイ素をベースとする少なくとも1つのバリア層を含むバリアコーティングを含んでいること、及び
少なくとも2つの層を含むバリアコーティングが3つの層を含み、窒化ケイ素をベースとする2つの層が窒化アルミニウムをベースとする層の上方及び下方に位置していること
を特徴とする、薄層の積重体を備えた透明基材。
【請求項2】
薄層の積重体を備えた透明基材であり、当該積重体は、赤外線領域及び/又は太陽光線の反射特性を有するn個の機能層(n≧2)と、1つ以上の誘電体層を含むn+1個のコーティングとを交互に、各機能層が2つのコーティングの間に配置されるように含んでおり、当該コーティング及び機能層は、前記透明基材に対する位置に従って番号付けされていて、下層コーティング1が、透明基材の上方で且つ機能層1の下方に配置され、中間層コーティング2〜nが、2つの機能層の間に配置され、かつ上層コーティングn+1が、機能層nの上方に配置されている、透明基材であって、
上層又は中間層コーティング2〜n+1のうちの少なくとも1つが、少なくとも2つのバリア層を含むバリアコーティングを少なくとも1つ含んでおり、2つのバリア層のうちの1つの層は、窒化ケイ素をベースとする層であり、かつ他の1つの層は、窒化アルミニウムをベースとする層であること、
上層、中間層及び下層コーティングのおのおのが、窒化ケイ素をベースとする少なくとも1つのバリア層を含むバリアコーティングを含んでいること、及び
少なくとも1つの機能層の上に、ブロッキング層が載っていること
を特徴とする、薄層の積重体を備えた透明基材。
【請求項3】
薄層の積重体を備えた透明基材であり、当該積重体は、赤外線領域及び/又は太陽光線の反射特性を有するn個の機能層(n≧2)と、1つ以上の誘電体層を含むn+1個のコーティングとを交互に、各機能層が2つのコーティングの間に配置されるように含んでおり、当該コーティング及び機能層は、前記透明基材に対する位置に従って番号付けされていて、下層コーティング1が、透明基材の上方で且つ機能層1の下方に配置され、中間層コーティング2〜nが、2つの機能層の間に配置され、かつ上層コーティングn+1が、機能層nの上方に配置されている、透明基材であって、
上層又は中間層コーティング2〜n+1のうちの少なくとも1つが、少なくとも2つのバリア層を含むバリアコーティングを少なくとも1つ含んでおり、2つのバリア層のうちの1つの層は、窒化ケイ素をベースとする層であり、かつ他の1つの層は、窒化アルミニウムをベースとする層であること、
上層、中間層及び下層コーティングのおのおのが、窒化ケイ素をベースとする少なくとも1つのバリア層を含むバリアコーティングを含んでいること、及び
各機能層の上に、ブロッキング層が載っていること
を特徴とする、薄層の積重体を備えた透明基材。
【請求項4】
薄層の積重体を備えた透明基材であり、当該積重体は、赤外線領域及び/又は太陽光線の反射特性を有するn個の機能層(n≧2)と、1つ以上の誘電体層を含むn+1個のコーティングとを交互に、各機能層が2つのコーティングの間に配置されるように含んでおり、当該コーティング及び機能層は、前記透明基材に対する位置に従って番号付けされていて、下層コーティング1が、透明基材の上方で且つ機能層1の下方に配置され、中間層コーティング2〜nが、2つの機能層の間に配置され、かつ上層コーティングn+1が、機能層nの上方に配置されている、透明基材であって、
上層又は中間層コーティング2〜n+1のうちの少なくとも1つが、少なくとも2つのバリア層を含むバリアコーティングを少なくとも1つ含んでおり、2つのバリア層のうちの1つの層は、窒化ケイ素をベースとする層であり、かつ他の1つの層は、窒化アルミニウムをベースとする層であること、
上層、中間層及び下層コーティングのおのおのが、窒化ケイ素をベースとする少なくとも1つのバリア層を含むバリアコーティングを含んでいること、及び
少なくとも1つの下層コーティング、中間層コーティング又は上層コーティングが少なくとも1つの吸収層を含むこと
を特徴とする、薄層の積重体を備えた透明基材。
【請求項5】
薄層の積重体を備えた透明基材であり、当該積重体は、赤外線領域及び/又は太陽光線の反射特性を有するn個の機能層(n≧2)と、1つ以上の誘電体層を含むn+1個のコーティングとを交互に、各機能層が2つのコーティングの間に配置されるように含んでおり、当該コーティング及び機能層は、前記透明基材に対する位置に従って番号付けされていて、下層コーティング1が、透明基材の上方で且つ機能層1の下方に配置され、中間層コーティング2〜nが、2つの機能層の間に配置され、かつ上層コーティングn+1が、機能層nの上方に配置されている、透明基材であって、
上層又は中間層コーティング2〜n+1のうちの少なくとも1つが、少なくとも2つのバリア層を含むバリアコーティングを少なくとも1つ含んでおり、2つのバリア層のうちの1つの層は、窒化ケイ素をベースとする層であり、かつ他の1つの層は、窒化アルミニウムをベースとする層であること、
上層、中間層及び下層コーティングのおのおのが、窒化ケイ素をベースとする少なくとも1つのバリア層を含むバリアコーティングを含んでいること、及び
前記上層コーティングn+1が、その上の層として、SnZnO又はTiO2をベースとする層を含むこと
を特徴とする、薄層の積重体を備えた透明基材。
【請求項6】
少なくとも1つの下層コーティング、中間層コーティング、又は上層コーティングが、少なくとも1つの安定化層を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の透明基材。
【請求項7】
各機能層が、下層又は中間層コーティングの上方にあり、その上層が安定化層であり、及び/又は中間層又は上層コーティングの下方にあり、その下層が安定化層であるあることを特徴とする、請求項に記載の透明基材。
【請求項8】
当該透明基材から出発して規定される、
・少なくとも1つのバリアコーティング、
・少なくとも1つの安定化層、
・少なくとも1つの機能層、
・少なくとも1つの安定化層、
・少なくとも1つのバリアコーティング、
・少なくとも1つの安定化層、
・少なくとも1つの機能層、
・少なくとも1つの安定化層、
・少なくとも1つのバリアコーティング、
を含む積重体を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の透明基材。
【請求項9】
薄層の積重体を備えた透明基材であり、当該積重体は、赤外線領域及び/又は太陽光線の反射特性を有するn個の機能層(n≧2)と、1つ以上の誘電体層を含むn+1個のコーティングとを交互に、各機能層が2つのコーティングの間に配置されるように含んでおり、当該コーティング及び機能層は、前記透明基材に対する位置に従って番号付けされていて、下層コーティング1が、透明基材の上方で且つ機能層1の下方に配置され、中間層コーティング2〜nが、2つの機能層の間に配置され、かつ上層コーティングn+1が、機能層nの上方に配置されている、透明基材であって、
上層又は中間層コーティング2〜n+1のうちの少なくとも1つが、少なくとも2つのバリア層を含むバリアコーティングを少なくとも1つ含んでおり、2つのバリア層のうちの1つの層は、窒化ケイ素をベースとする層であり、かつ他の1つの層は、窒化アルミニウムをベースとする層であること、
上層、中間層及び下層コーティングのおのおのが、窒化ケイ素をベースとする少なくとも1つのバリア層を含むバリアコーティングを含んでいること、
当該透明基材が、当該透明基材から出発して規定される、
・少なくとも1つのバリアコーティング、
・少なくとも1つの安定化層、
・少なくとも1つの機能層、
・少なくとも1つの安定化層、
・少なくとも1つのバリアコーティング、
・少なくとも1つの安定化層、
・少なくとも1つの機能層、
・少なくとも1つの安定化層、
・少なくとも1つのバリアコーティング、
を含む積重体を含むこと、及び
前記少なくとも1つの機能層と当該透明基材に近い方又は当該透明基材から遠い方の前記少なくとも1つの安定化層との間に犠牲層を含むこと
を特徴とする、薄層の積重体を備えた透明基材。
【請求項10】
前記2つの安定化層の間に挟まれたバリアコーティングに少なくとも1つの吸収層が挿入されていることを特徴とする、請求項又はに記載の透明基材。
【請求項11】
前記安定化層が酸化亜鉛をベースとしていることを特徴とする、請求項6〜10のいずれか1項に記載の透明基材。
【請求項12】
前記積重体が、下層、中間層及び上層の3つのコーティングと交互になった2つの機能層を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の透明基材。
【請求項13】
窒化アルミニウムをベースとする層が、機能層と前記窒化ケイ素をベースとする層との間に位置することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の透明基材。
【請求項14】
1つの層が窒化ケイ素をベースとしそして1つの層が窒化アルミニウムをベースとする少なくとも2つの層を含むバリアコーティングが、前記中間層コーティングn中に位置することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の透明基材。
【請求項15】
前記中間層コーティングnにおいて、前記窒化アルミニウムをベースとする層が機能層n−1の上方且つ窒化ケイ素をベースとする層の下方に位置することを特徴とする、請求項14に記載の透明基材。
【請求項16】
窒化アルミニウムの層が、アルミニウム以外の金属又は半金属を1種以上、当該窒化アルミニウム層中のアルミニウムのすべての他の金属又は半金属に対する1よりも大きい原子濃度比率で含むことを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の透明基材。
【請求項17】
中間層又は上層コーティング中に含まれる窒化アルミニウムのすべての層の厚さが、当該中間層又は上層コーティングの全厚さの20〜80%に相当することを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の透明基材。
【請求項18】
積層グレージング、非対称グレージング、又は二層グレージングタイプの複層グレージングの形態であることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の透明基材を含むグレージング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽放射線及び/又は赤外線に影響を与えることができる少なくとも1つの機能層を含む薄層の積重体で被覆された透明基材に関する。本発明はまた、これらの基材を含むグレージングと、このような基材を断熱グレージング及び/又は日射防護グレージングを製造するために使用することとに関する。
【0002】
これらのグレージングは、特に、空調による身体の負担を低減し及び/又は住居のグレージング面の増加し続けるサイズによってもたらされる度を超えた過熱を低減する目的のために、建物や輸送手段の両方に取り付けられることを意図している。
【背景技術】
【0003】
所望の特性を示す誘電体材料から作製された3つのコーティングの間に配置された少なくとも2つの機能性金属層を含む薄層の積重体で被覆された透明基材を含むグレージングが知られている。これらの積重体は一般に、所望により磁場に支援された、真空を使用する技術、例えば陰極スパッタリングなどにより行われる一連の被着により得られる。
【0004】
現在、これらの日射防護グレージングに対して、基材自体に固有の特性、具体的には美的特性(それらを丸くできるようにするために)、機械的特性(それらをより耐久性にするために)、又は安全面の特性(破損した場合にそれらが傷をつけることがないようにするために)も発揮してほしいという要求が増加している。これは、基材、好ましくはガラス基材を、曲げ加工、焼きなまし、又は焼き戻しタイプの熱処理に供することを必要とする。従って層の積重体は、その一体性を維持するために、具体的にはこれらの変性操作中に悪い方向に変化することを防ぐために、最適化されなければならない。
【0005】
欧州特許出願公開第0847965号明細書及び国際公開第02/48065号により開発された1つの解決策は、窒化ケイ素タイプのバリア層と安定化層との使用により、大きな光学的変化なしに曲げ加工や焼戻しタイプの熱処理を施すことができる銀の層を2つ有する積重体を使用することである。
【0006】
これらのグレージングは不充分な機械的特性を有する。積重体上には引っかき傷が非常に頻繁に見られる。しかし、特に、いったんグレージング上にこれらの引っかき傷ができると、グレージングに焼戻しタイプの熱処理を施した場合に、それらの視認性が大幅に増大する。この現象は、引っかき傷のところの機能層を構成する材料のディウェッティングにある程度関連していると思われる。このようなグレージングの引っかき傷に対する感受性は、美的資質の面及び生産高の面で不利である。これは、これらのグレージングが積層タイプであるか又は積層タイプでない、曲げ加工/焼戻しされたグレージングである場合には特に、異常に高い不良品率をもたらしかねない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0847965号明細書
【特許文献2】国際公開第02/48065号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、積重体の品質を保持したまま、特に熱処理後の傷つきやすさを最小にしながら、洗浄操作に、又は曲げ加工、焼戻し、若しくは焼きなましタイプの高温熱処理に供することができる機能層を有する積重体で被覆された基材を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の主題は、薄層の積重体を備えた透明基材であり、当該積重体は赤外線領域及び/又は太陽光線の反射特性を有するn個の機能層(ここではn≧2)と、1つ以上の誘電体層を含むn+1個のコーティングとを交互に、各機能層が2つのコーティングの間に配置されるように含んでおり、当該コーティング及び機能層は、前記透明基材に対する位置に従って番号付けされていて、下層コーティング1が透明基材の上方で且つ機能層1の下方に配置され、中間層コーティング2〜nが2つの機能層の間に配置され、上層コーティングn+1が機能層nの上方に配置されている透明基材であって、上層又は中間層コーティング2〜n+1のうちの、好ましくは中間層コーティング2〜nのうちの、少なくとも1つが、1つの層はケイ素を含みそして1つの層は窒化アルミニウムをベースとする、少なくとも2つのバリア層を含むバリアコーティングを少なくとも1つ含んでいることを特徴とする、薄層の積重体を備えた透明基材である。
【0010】
本書の全体を通して、本発明による基材は水平に配置されると見なされる。薄層の積重体は、基材の上方に被着される。「上方」及び「下方」そして「下層」及び「上層」という表現は、この位置づけに関して考察されるものである。具体的に明記されていない場合、「上方」及び「下方」という表現は、2つの層及び/又はコーティングが互いに接して配置されていることを必ずしも意味しない。
【0011】
下層コーティング1は1つ以上の誘電体層を含み、基材の上方に位置する。次に機能層1が、下層コーティング1の上方、且つ1つ以上の誘電体層を含む中間層コーティング2の下方に位置する。最終的に、最後の機能層nが、中間層コーティングnの上方、且つ1つ以上の誘電体層を含む上層コーティングn+1の下方に位置する。
【0012】
例えばコーティング1〜n+1の層の一部を説明するために、やはり上述した配置を指す「下層」及び「上層」の語を使用する。これは、上層が1つ以上の他の層の上方に位置する層に相当することを意味する。同様に下層は、1つ以上の他の層の下方に位置する層に相当する。
【0013】
本発明によれば、コーティングは複数の層で構成することができる。本発明により使用する上層コーティング、中間層コーティング、又は下層コーティングは、赤外線反射層を含まないが、吸収層を含むことができる。
【0014】
本発明によれば、薄層は1μm未満の厚さを有する層である。
【0015】
中間層又は上層コーティング中に及び積重体の特定の位置に特定のバリアコーティングが存在することが、引っかき傷はそれほどつきやすくなくて、焼戻しタイプの熱処理後の引っかき傷又は欠陥の露呈が特に減少し、これが特にそれらの視認性が強調されないことに反映される基材を得ることを可能にする。こうして、積重体の機械的特性と、変質を伴う処理、例えば洗浄、輸送、及び焼戻しタイプの熱処理など、に対する耐性とが改善される。
【0016】
積重体を高温に、特にグレージングの曲げ加工及び/又は焼戻しの標準的な操作に必要な温度範囲(約550〜750℃)に加熱すると、薄層及び基材を構成する材料は、この熱応力に対して異なる反応を示す。機能性金属層は、一般にそれに隣接する積重体の他の層よりも、特に誘電体層よりも、特に大きく膨張する。従って機能層は、高温では圧縮状態にある。同様に、ガラス基材も大きく膨張する。これは、積重体内に張力を引き起こし、特にすでに引っかき傷が存在する場合に、当該引っかき傷の増大を引き起こす。
【0017】
本出願人は、積重体の特定の位置において、ケイ素を含む層と窒化アルミニウムをベースとする層との組合せを含むバリアコーティングを使用することが、応力のレベルを低下させ、従って積重体の機械的特性を改善することを可能にすることを発見した。コーティング中に、好ましくは中間(2〜n)のコーティング中に位置する、異なる圧縮応力及び異なる熱膨張係数を示す2つの層を含むこのバリアコーティングの存在が、積重体で被覆されたガラス基材により形成された集成体の応力を緩和させることを可能にするように思われる。このバリアコーティングの存在は、これらの基材の他の特性を変更することなく、積重体の集成体がさらされる熱機械的応力を軽減することを可能にする。
【0018】
基材は、熱処理の高温に耐えることができる任意の材料で製作することができる。透明基材は、特に有機又は無機の剛性又は軟質基材であることができ、特にガラスのような剛性の無機材料製、又はポリマー基材のような剛性の有機材料製であることができる。透明基材は、好ましくはガラス製、特にソーダ石灰シリカガラス製である。
【0019】
好ましくは、積重体は、上層コーティング、中間層コーティング及び下層コーティングの3つと交互に存在する2つの機能層を含む(n=2の場合)。
【0020】
赤外線領域及び/又は太陽光線領域の反射特性を有する1つの若しくは複数の機能層は、金属層、好ましくは銀又は銀含有金属合金をベースとする金属層である。積重体の種々の機能層は、同一の又は異なる厚さを有することができる。例えば、欧州特許出願公開第0638528号明細書に、異なる厚さを有する2つの銀層を含む積重体が記載されている。
【0021】
上層コーティング、中間層コーティング、下層コーティング1〜n+1は、様々な機能性を示す1つ以上の誘電体層を含むことができる。特に、バリアコーティングの構成層として、また上層、中間層又は下層コーティングの構成層として、ブロッキング層、例えば犠牲層又は結合層などや、安定化層、及び吸収層を挙げることができる。
【0022】
上層コーティング、中間層コーティング、又は下層コーティングは、少なくとも20nmの幾何学的厚みを有し、それは最大120nmまでの範囲でよい。好ましくは、下層コーティング及び上層コーティングは15nmと60nmの間、20nmと50nmの間、又は20nmと40nmの間の厚さを有する。好ましくは、中間層コーティングは50nmと100nmの間、60nmと90nmの間、又は65nmと85nmの間の厚さを有する。
【0023】
本発明によれば、バリアコーティングは少なくとも1つのバリア層を含む。バリア層は、周囲雰囲気又は透明基材に由来し機能層に向かう酸素と水の高温での拡散に対するバリアを形成することができる材料で作製される層である。従ってバリア層の構成材料は、それらの光学的特性に変更をもたらすであろう高温での化学的な又は構造上の変化を受けてはならない。1つの若しくは複数のバリア層は、好ましくは、機能層の構成材料に対するバリアを形成することができる材料で製作されように選択される。従ってバリア層は、積重体が、過度に大きな光学的変化を受けることなく、焼なまし、焼戻し、又は曲げ加工タイプの熱処理に供されることを可能にする。
【0024】
バリア層は、酸化物、例えばSiO2など、窒化物Si34、及び酸窒化物SiOxyから選ばれる、ケイ素を含む層であることができる。バリア層はまた、窒化アルミニウムAlNをベースとすることもできる。
【0025】
窒化物層、例えば窒化アルミニウム層又は窒化ケイ素層を使用する場合、必要な光学特性、例えば透明性を得るために、安定した化学量論比を得る試みがなされる。しかしながら、被着条件によっては、このような安定した化学量論比は必ずしも達成されない。窒化物層は、窒素について化学量論的であっても、準化学量論的であっても、又は超化学量論的であってもよい。金属ターゲットから出発して反応性陰極スパッタリングによって層を被着させる場合には、特にスパッタリングチャンバー内の窒素の割合を変化させることにより、化学量論比を調整することが可能である。
【0026】
好ましくは、上層、中間層及び層コーティングのおのおのは、ケイ素を含みより好ましくはさらに窒化ケイ素をベースとする少なくとも1つのバリア層を含むバリアコーティングを含む。
【0027】
窒化ケイ素及び/又は窒化アルミニウムは、高温でもそれらの化学慣性が大きいことで知られている。これらの材料をベースとする層は、光学機能を有し、銀層を保護する機能を有し、そして吸収層と接触して配置される場合にはスクリーニング層の機能を有する、誘電体として働く。
【0028】
リアコーティングは好ましくは、各機能層の上方且つ透明基材の上方に位置する。好ましくは、積重体は、各機能層の上方及び下方に少なくとも1つのバリアコーティングを含むことができる。
【0029】
バリアコーティングの幾何学的厚さは、少なくとも10nm、特に少なくとも15nmであり、そして最大120nmまでの範囲にあることができる。バリアコーティングが単一のバリア層から構成される場合、これらの厚さは単一のバリア層の厚さに一致する。
【0030】
バリアコーティングの各バリア層は、少なくとも5nmの厚さを有する。
【0031】
バリアコーティングの厚さは、積重体内のその箇所に依存することができ、例えば、
・コーティングが下層コーティングである場合、バリアコーティングの厚さは15nmと60nmの間、20nmと50nmの間、又は25nmと35nmの間であることができ、
・コーティングが中間層(2〜n)コーティングである場合、バリアコーティングの厚さは50nmと100nmの間、60nmと90nmの間、又は65nmと85nmの間であることができ、
・コーティングが上層コーティングである場合、バリアコーティングの厚さは10nmと40nmの間、10nmと30nmの間、又は10nmと20nmの間であることができる。
【0032】
1つの層がケイ素を含み1つの層が窒化アルミニウムをベースとする、少なくとも2つの層を含むバリアコーティングも、上述した厚さの基準を満たす。例えばバリアコーティングが2層で構成される場合、窒化アルミニウムをベースとする層及びケイ素を含む層はそれぞれ、少なくとも5nm,特に少なくとも7nm、とりわけ7nmと30nmの間、又は10nmと20nmの間の厚さを有する。
【0033】
有利には、中間層又は上層コーティング中に存在する窒化アルミニウムの1つ以上の層の総厚さは、10nmから、それが位置している中間層又は上層コーティングの厚さの半分まで様々であることができる。中間層又は上層コーティング中に含まれる窒化アルミニウムのすべての層の厚さは、当該中間層又は上層コーティングの全厚さの20〜80%、好ましくは30〜60%に相当する。
【0034】
窒化アルミニウムの層の化学量論比も様々でよい。これは、この窒化アルミニウムの層がアルミニウム以外の1種以上の金属又は半金属(メタロイド)を含むことができるからである。この又はこれらの他の金属又は半金属(メタロイド)の存在と比率とは、積重体の特性が変更されないように選択される。窒化アルミニウム層中のアルミニウムのすべての他の金属又は半金属(メタロイド)に対する原子濃度比率は、1よりも大きい。有利には、窒化アルミニウム層のアルミニウムとすべての他の金属又は半金属(メタロイド)とのこの原子濃度比率は、好ましさが増す順に、1.5より大きく、3より大きく、4より大きく、9より大きく、15より大きく、20より大きく、50より大きく、又は100より大きい。
【0035】
一例として、窒化アルミニウムの層は、特に層中のアルミニウムのケイ素に対する原子濃度比率が1より大きいケイ素を含むことができる。
【0036】
1つの実施形態によれば、窒化アルミニウムの層は、アルミニウム以外の金属又は半金属(メタロイド)を含まない。
【0037】
本発明の有利な実施形態によれば、積重体は、以下の特徴のうちの1つ以上を満たすことができる。
・下層コーティング1の1つ若しくは複数のバリアコーティングは窒化ケイ素から構成され、これはこのバリアコーティングが、従って下層コーティング1が、窒化アルミニウムの層を含まないことを意味する。
・上層コーティングn+1の1つ若しくは複数のバリアコーティングは窒化ケイ素から構成され、これは、これらのバリアコーティングが、従って上層コーティングn+1が、窒化アルミニウムの層を含まないことを意味する。
・少なくとも2つのバリア層を含み、1つの層がケイ素を含み1つの層が窒化アルミニウムをベースとするバリアコーティングは、2つの層が窒化アルミニウムをベースとする層の上方及び下方でケイ素を含む3つのバリア層を含む。
・少なくとも2つのバリア層を含み、1つの層がケイ素を含み1つの層が窒化アルミニウムをベースとするバリアコーティングは、2つの層がケイ素を含み2つの層が窒化アルミニウムをベースとする4つのバリア層を含む。
・窒化アルミニウムをベースとする層は、機能層と少なくとも2つの層を含むバリア層のケイ素を含む層との間に位置する。
・窒化アルミニウムをベースとする層は、少なくとも一方が窒化ケイ素をベースとし他方が酸化亜鉛をベースとする2つの誘電体層の間にある。
【0038】
好ましくは、少なくとも2つの層を含み、1つの層がケイ素を含み1つの層が窒化アルミニウムをベースとするバリアコーティングは、中間層コーティングn中に位置し、すなわち最後から2番目のコーティング中に位置する。この中間層コーティングnにおいて、窒化アルミニウムをベースとする層は、機能層n−1の上方、且つ少なくとも2つの層を含むバリアコーティングのケイ素含有層の下方に位置する。
【0039】
本発明の積重体は、少なくとも1つのブロッキング層を含むこともできる。好ましくは、ブロッキング層は機能層と直接接触している。機能層の上方に位置するブロッキング層は、ブロッキング上層として知られている。機能層の下方に位置するブロッキング層は、ブロッキング下層として知られている。
【0040】
ブロッキング層は、金属の、又は所望により窒化された準化学量論比の金属酸化物の薄層を含むことができる。本発明による好適なブロッキング層として、チタン、ニオブ、又はニッケル−クロム合金をベースとする金属又は金属酸化物若しくは亜酸化物の層を挙げることができる。金属層は、所望に応じ部分的に酸化される。
【0041】
好ましくは、ブロッキング層は5nm未満、好ましくは3nm未満、さらに好ましくは0.5nmと2nmの間の厚さを有する。
【0042】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つの、好ましくはそれぞれの機能層の上に、ブロッキング層が載っている。犠牲層は、好ましくは2nm未満の厚さを有する。
【0043】
本発明による積重体又は少なくとも1つのコーティングは、少なくとも1つの安定化層を含む。本発明の意義の範囲内で、「安定化」とは、層の性質が機能層とこの層との界面を安定化させるように選択されることを意味する。この安定化は、機能層を囲む層への機能層の密着性を強化することになり、実際これはその構成材料のマイグレーションを妨げる。
【0044】
安定化層は好ましくは、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、又はこれらのうちの少なくとも2種の混合物から選択される酸化物をベースとする層である。
【0045】
安定化層は、好ましくは酸化亜鉛の層である。これは、酸化亜鉛をベースとする層が、銀をベースとする機能層の密着と結晶化とを促進してその品質及び高温での安定性を高めるため、機能層の下方に酸化亜鉛をベースとする層を有することが有利なためである。機能層の密着性を高め基材と反対側の積重体の面への拡散を最も有利に妨げるために、機能層の上方に酸化亜鉛をベースとする層を有することも有利である。
【0046】
このように、少なくとも1つの機能層又は各機能層の上方及び/又は下方にそれと直接接触して又はブロッキング層により分離されて、安定化層を見いだすことができる。好ましくは、各機能層は、その上層が安定化層、好ましくは酸化亜鉛をベースとする安定化層であるコーティングの上方にあり、及び/又は、その下層が安定化層であるコーティングの下方にある。
【0047】
有利には、各バリア層は少なくとも1つの安定化層によって機能層から分離される。
【0048】
この安定化層は、少なくとも5nm、特に5nmと25nmの間、さらに好ましくは8〜15nmの厚さを有することができる。
【0049】
このように積重体が複数の機能層を使用する場合には、積重体で被覆された基材から最も遠い層である最後の機能層がバリアコーティングと安定化層の両方を備えることが有利である。この最後の機能層は、積重体内のその位置のために、周囲雰囲気による酸化を最も受けやすかったという意味で最も「露出」されている。さらに、この最後の機能層(n)は、その構成材料の一部が積重体の最後の層の外表面まで最も簡単にマイグレートできるそれである。
【0050】
もちろん、機能層のすべてが上述のようにバリアコーティング、安定化層、及び任意選択的に犠牲層及び/又は結合層を備えるようにすることが可能である。
【0051】
本発明による積重体、又は少なくとも下層コーティング、上層コーティング若しくは中間層コーティングは、少なくとも1つの吸収層を追加して含むことができる。このような層は、薄層の積重体を完全に再構成する必要なしに、グレージングの光透過率のレベルを一定の範囲内に調整することを可能にする。可視領域で吸収する層を、誘電体材料の2つの層の間に当該誘電体層により銀層から分離して挿入してもよい。
【0052】
吸収層は、金属、金属合金、金属酸化物、又は金属窒化物を含むことができる。金属は、チタンTi、ニオブNb、又はジルコニウムZr、及びニッケルとクロムの合金NiCrのうちの金属合金から選択することができる。金属酸化物は、酸化クロム、酸化鉄、又は準化学量論比のチタン又は亜鉛の酸化物から選択することができる。金属窒化物は、窒化チタン、窒化ニオブ、窒化ジルコニウム、窒化クロム、又は窒化ニッケルクロムから選択することができる。
【0053】
積重体が、3つの下層、中間層及び上層コーティングの間に2つの銀ベースの機能層を含む実施形態によれば、吸収層は、2つの機能層の間に位置する中間層コーティング中に及び/又は第2の機能層の上方に位置する上層コーティング中に挿入される。
【0054】
本発明の好ましい実施形態によれば、吸収層は、少なくとも一方はバリアコーティングに属する2つの誘電体層の間にある。従って、間に吸収層が挿入される2つの層のうちの少なくとも1つはバリア層であることができる。
【0055】
別の形態では、吸収層を、下層コーティング、中間層コーティング、又は上層コーティングの、好ましくは中間層コーティングのバリアコーティング中に、2つのバリア層の間で挿入することができる。
【0056】
可視領域で吸収する各層の厚さは、好ましさが増す順に、7nm以下、5nm以下、3nm以下、2nm以下、又は0.5nmと2nmの間である。
【0057】
吸収層は、少なくとも3%、特に4%と15%の間、又は6%と12%の間の固有の光吸収率を有する。
【0058】
犠牲層に適した一部の材料が、吸収層としても好適であることに注目することが有利である。1つの実施形態によれば、犠牲層の1つも吸収層として働く。同時に吸収層であり犠牲層である層は、基本的に金属性であることができ、特に、Ni、Cr、Nb、Sn又はTi金属、NiCr又は鋼などの合金、のうちの少なくとも1つから選択される材料で製作することができる。この場合、その厚さは好ましくは2〜5nmである。
【0059】
吸収層は、ケイ素を含む層と窒化アルミニウムをベースとする層とを含むバリアコーティングを含む中間層コーティング及び/又は上層コーティング中にあることができる。吸収層は好ましくは、2つのバリア層と直接接触している。吸収層は好ましくは、ケイ素を含む2つの層と直接接触している。
【0060】
窒化アルミニウムの層を特に含むバリアコーティングと吸収層は、「中間層」コーティングn中に挿入することができ、すなわち2つの機能層の間に配置されたコーティング中に挿入することができる。
【0061】
最後に、本発明の積重体は、好ましくは、保護オーバーレイヤーを含む。従ってこの保護オーバーレイヤーは、コーティングn+1の上層である。好ましくは、コーティングn+1は、上層として、SnZnO又はTiO2をベースとする層を含む。その厚さは好ましくは、0.5nmと20nmの間、特に1nmと5nmの間で選択される。
【0062】
有利な実施形態によれば、透明基材は、透明基材から出発して規定される、
・少なくとも1つのバリアコーティング、
・少なくとも1つの安定化層、
・少なくとも1つの機能層、
・任意選択的なブロッキング層、
・少なくとも1つの安定化層、
・少なくとも1つのバリアコーティング、
・少なくとも1つの安定化層、
・少なくとも1つの機能層、
・任意選択的なブロッキング層、
・少なくとも1つの安定化層、
・少なくとも1つのバリアコーティング、
を含む積重体を含む。
【0063】
別の実施形態によれば、透明基材は、透明基材から出発して規定される、
・少なくとも1つのバリアコーティング、
・少なくとも1つの安定化層、
・少なくとも1つの機能層、
・任意選択的なブロッキング層、
・少なくとも1つの安定化層、
・少なくとも1つの吸収層が挿入されている少なくとも1つのバリアコーティング、
・少なくとも1つの安定化層、
・少なくとも1つの機能層、
・任意選択的なブロッキング層、
・少なくとも1つの安定化層、
・少なくとも1つのバリアコーティング、
を含む積重体を含む。
【0064】
透明基材から出発して規定されるこれらの積重体は、特に以下のものから選択することができる。
・Si3N4/ZnO/Ag/ZnO/AlN/Si3N4/ZnO/Ag/ZnO/Si3N4
・Si3N4/ZnO/Ag/ZnO/Si3N4/AlN/ZnO/Ag/ZnO/Si3N4
・Si3N4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/AlN/Si3N4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si3N4
・Si3N4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si3N4/AlN/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si3N4
・Si3N4/ZnO/Ag/ZnO/AlN/Si3N4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si3N4/ZnO/Ag/ZnO/Si3N4
・Si3N4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/AlN/Si3N4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si3N4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si3N4
・Si3N4/ZnO/Ag/ZnO/Si3N4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si3N4/AlN/ZnO/Ag/ZnO/Si3N4
・Si3N4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si3N4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si3N4/AlN/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si3N4
・Si3N4/ZnO/Ag/ZnO/Si3N4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si3N4/ZnO/Ag/ZnO/AlN/Si3N4
・Si3N4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si3N4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si3N4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/AlN/Si3N4
・Si3N4/ZnO/Ag/ZnO/AlN/Si3N4/AlN/Si3N4/ZnO/Ag/ZnO/Si3N4
・Si3N4/ZnO/Ag/ZnO/Si3N4/AlN/Si3N4/AlN/ZnO/Ag/ZnO/Si3N4
・Si3N4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/AlN/Si3N4/AlN/Si3N4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si3N4
・Si3N4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si3N4/AlN/Si3N4/AlN/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si3N4
・Si3N4/ZnO/Ag/ZnO/AlN/Si3N4/AlN/Si3N4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si3N4/ZnO/Ag/ZnO/Si3N4
・Si3N4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/AlN/Si3N4/AlN/Si3N4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si3N4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si3N4
・Si3N4/ZnO/Ag/ZnO/Si3N4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si3N4/AlN/Si3N4/AlN/ZnO/Ag/ZnO/Si3N4
・Si3N4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si3N4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si3N4/AlN/Si3N4/AlN/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si3N4
・Si3N4/ZnO/Ag/ZnO/Si3N4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si3N4/ZnO/Ag/ZnO/AlN/Si3N4/AlN/Si3N4
・Si3N4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si3N4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si3N4/ZnO/Ag/NiCr/AlN/Si3N4/AlN/Si3N4/ZnO。
・Si3N4/ZnO/Ag/ZnO/Si3N4/AlN/Si3N4/ZnO/Ag/ZnO/Si3N4
・Si3N4/ZnO/Ag/ZnO/Si3N4/AlN/Si3N4/ZnO/Ag/ZnO/Si3N4
・Si3N4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si3N4/AlN/Si3N4/Zn0/Ag/NiCr/Zn0/Si3N4
・Si3N4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si3N4/AlN/Si3N4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si3N4
・Si3N4/ZnO/Ag/ZnO/Si3N4/AlN/Si3N4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si3N4/ZnO/Ag/ZnO/Si3N4
・Si3N4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si3N4/AlN/Si3N4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si3N4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si3N4
・Si3N4/ZnO/Ag/ZnO/Si3N4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si3N4/AlN/Si3N4/ZnO/Ag/ZnO/Si3N4
・Si3N4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si3N4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si3N4/AlN/Si3N4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si3N4
・Si3N4/ZnO/Ag/ZnO/Si3N4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si3N4/ZnO/Ag/ZnO/Si3N4/AlN/Si3N4
・Si3N4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si3N4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si3N4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si3N4/AlN/Si3N4
【0065】
本発明のグレージングは、積重体を支持する基材を含む。このグレージングはさらに、他の基材を含むことができる。これらの基材は透明でも着色されていてもよく、特に、基材のうちの少なくとも1つはその本体が着色されたガラス製でよい。色の種類の選択は、製造が完了した時点でグレージングに求められる光透過率レベル及び/又は測色的外観に依存する。
【0066】
基材は、サン−ゴバン社によりParsol(登録商標)の名称で販売されているガラスでよく、特に灰色がかった緑色の色合いを持つガラスでよい。それらはまた、その組成及び特性が特に欧州特許出願公開第0616883号明細書、同第0644164号明細書、同第0722427号明細書、及び国際公開第96/00394号に記載されたガラスでもよい。
【0067】
本発明は、これらの基材を備えたすべてのグレージング、例えば積層グレージング、「非対称」積層グレージング、又は二層グレージングタイプの複層グレージングに関する。
【0068】
積層構造を示すグレージングは、薄層/シート/ガラスタイプの、ガラス/積重体の構造を示すために、熱可塑性ポリマーの少なくとも1枚のシートにより一体化されているガラスタイプの少なくとも2枚の剛性基材を含む。ポリマーは、具体的に言えば、ポリビニルブチラールPVB、エチレン−酢酸ビニルEVA、ポリエチレンテレフタレートPET、又はポリ塩化ビニルPVCをベースとすることができる。積重体は、剛性基材の1つの上に、又は2つの剛性基材とともに集成されるポリマーシート上に、前記熱可塑性のシートにより被着される。
【0069】
グレージングはまた、ガラスタイプの剛性基材と、任意選択的に別のポリマー層と組み合わせた、エネルギー吸収特性を有するポリウレタンタイプの少なくとも1つのポリマーシートとを含む「非対称」積層グレージング構造を示すこともできる。このタイプのグレージングに関する更なる詳細については、特に欧州特許出願公開第0132198号明細書、同第0131523号明細書及び同第0389354号明細書を参照することができる。グレージングはこの場合、ガラス/薄層の積重体/ポリマーシートタイプの構造を示すことができる。
【0070】
本発明によるグレージングは、薄層の積重体を損傷することなく加熱処理を施すことが可能である。従ってそれらは、任意選択的に曲げ加工され及び/又は焼戻しされる。それらを、特に輸送手段向けのグレージングを作ることを目的に、曲げ加工する場合、薄層の積重体は少なくとも一部分は平らでない面の上にあるのが好ましい。積層構造体においては、それはポリマーシートに接触しているのが好ましい。
【0071】
グレージングはまた、積重体を備えた単一の基材で構成しながら曲げ加工及び/又は焼戻しすることができる。この場合は、「モノリシック構造」のグレージングと称される。グレージングはまた、少なくとも積重体を支持する基材が曲げ加工され及び/又は焼戻しされる、複層グレージング、特に二層グレージングでもよい。複層グレージングの構成においては、積重体はガスを充填した空洞に面するように配置されることが好ましい。
【0072】
二層グレージングタイプのグレージングの場合、積重体はグレージングの面2又は面3の上にある(基材の面は慣習により、建物に取り付けたグレージングの最も外側の面から内側の面の方向に向かって番号が付けられる)のが好ましい。
【0073】
本発明は、
・光透過率LTが5〜80%、特に40〜60%、及び/又は、
・外光反射率Rが10〜30%、及び/又は、
・外光反射のa*とb*の値が1以下、特に2つの銀層を含む積重体の場合には、負の値(焼戻しタイプの熱処理を受けた後でさえも)、
であるグレージングに関する。
【0074】
最後に、本発明による積重体を備えた基材を含むグレージングは、異なる機能を有する少なくとも1つの他のコーティング、特に防汚コーティング、疎水性コーティング、親水性コーティング、又は反射防止コーティング、を備えることもできる。それらは、例えば、光触媒性のTiO2をベースとする防汚コーティング、フルオロポリマーをベースとする疎水性コーティング、SiO2又はSiOCをベースとする親水性コーティング、及び1以上の反射防止コーティングを含むことができる。これらのコーティングは好ましくは、グレージングの外側面(積層体の場合には、内部の熱可塑性シートに向き合う面とは対照的に外側を向いている面、あるいは絶縁グレージングの場合には、空気を充填した、ガスを充填した、又は真空引きされた空洞に向いている面とは対照的に外側を向いている面)の少なくとも1つに配置される。
【0075】
本発明はまた、基材、好ましくはガラス製の基材上に、薄層の積重体を被着させるものである、基材の製造方法にも関する。被着は、所望に応じ磁場により支援される、陰極スパッタリングタイプの真空技術により(1以上の最初の層を別の技術により、例えば熱分解タイプの熱的に分解する技術により、被着させることができることを除外することなく)行うことができる。さらに、この方法は、コーティングされた基材の曲げ加工/焼戻し又は焼なましタイプの熱処理を含むことができる。
【0076】
本発明の詳細と有利な特徴は、以下の限定することのない例から明らかになる。
【実施例】
【0077】
I.試験したグレージングの説明
4mmの厚さの透明なソーダ石灰シリカガラス製の基材上に積重体を被着させる。
【0078】
本発明のすべての例において、
・機能層は銀(Ag)層であり、
・ブロッキング層はニッケルとクロムの合金(NiCr)製であり、
・安定化層は酸化亜鉛(ZnO)製であり、
・そして吸収層はニッケル−クロム窒化物(NiCrN)製である。
【0079】
本発明の積重体は、特定の位置に、1つの層は窒化ケイ素(Si34)をベースとし1つの層は窒化アルミニウム(AlN)をベースとする、少なくとも2つのバリア層を含む少なくとも1つのバリアコーティングを含む。好ましくは、バリアコーティングの窒化ケイ素(Si34)をベースとする少なくとも1つの層と窒化アルミニウム(AlN)をベースとする少なくとも1つの層とを含む2つのバリア層は、直接接触している。
【0080】
本発明による積重体の他のバリアコーティングは、参考例のとおり、窒化ケイ素(Si34)のみで構成してもよい。
【0081】
これらの例において、バリアコーティングの性質及びその位置をいろいろに変更した。
【0082】
積重体の層の連続被着を、磁場に支援される陰極スパッタリングによって行う。
【0083】
被着装置は、基材がその下を連続的に通過する、適切な材料で製作したターゲットを装備したカソードを備えた少なくとも1つのスパッタリングチャンバーを含む。パワー密度、基材の前進速度、雰囲気の圧力及び選定を、所望の層厚さを得るために、公知の方法で調整する。
【0084】
試験したグレージングは、以下の表に記載の積重体を含む。
【0085】
【表1】
【0086】
符号「−」は、層が存在しないことを意味する。参考例は、窒化アルミニウムをベースとする層を含まない。
【0087】
本発明1の例は、最終機能層の上方に位置する上層コーティング3中に窒化アルミニウムをベースとする層を含むバリアコーティングを含む。好ましくはないこの実施形態では、2つの機能層の間に窒化アルミニウムをベースとする層は含まれない。
【0088】
本発明2、3及び5の例は、2つの機能層の間に位置する中間層コーティング2中に窒化アルミニウムをベースとする層を含むバリアコーティングを含む。
【0089】
いったん層の積重体を設けたグレージングは、当該分野での通常の条件下での焼戻しをシミュレートするために熱処理を施すことができる。この場合、グレージングには約650℃の温度で約8分間の熱処理を施し、次に周囲空気(約20℃)中で冷却する。
【0090】
II.エリクセンブラシ試験(EBT)
上述した基材を含む各種グレージングを、焼戻しの前後に、100又は300サイクルのエリクセンブラシ試験(EBT)に供した。この試験は、ポリマー材料製の毛からなるブラシを使用して、水で覆われた積重体を擦るものである。肉眼できずが見えない場合に、グレージングは試験を満足すると見なされる。
【0091】
焼戻し前の試験は、洗浄作業中のグレージングの傷つきやすさに関して良好な指標を与える。焼戻し後の試験は、熱処理後の亀裂の伝播に関して良好な指標を与える。
【0092】
以下の評価指標を使用した。
+++: 引っかき傷なし
++: 1又は2個の細く不連続な引っかき傷
+: 数個の細く不連続な引っかき傷
0: 不連続な引っかき傷
−: 多数の細い引っかき傷
−−: さらに多数の細い引っかき傷
−−−: 激しくつけられた引っかき傷
【0093】
グレージング、評価条件及び評価指標を要約して下記の表に示す。
【0094】
【表2】
【0095】
本発明の積重体は、圧縮応力の十分な緩和を可能にし、こうして、熱処理後にこのような積重体が傷を付けられやすい傾向とその傷の伝播とに関連する欠点をなくすことを可能にし、これは特に、窒化アルミニウムを含むバリア層が中間層コーティング2中に位置している場合に当てはまる。
【0096】
III.エリクセン引っかき試験
上述した基材を含む種々のグレージングを、先に明示した条件下で焼戻しを施した後にエリクセン引っかき試験(EST)に供した。この試験は、試験の実行時に積重体に引っかき傷を生じさせる(Van Laarチップ、鋼球)のに必要な力の値をニュートンで記録するものである。試験は0.5Nで行なった。引っかき傷の幅(w)をμmで測定した。
【0097】
【表3】
【0098】
腐食し拡張(腐食が引っかき傷に隣接した領域へ伝播)した引っかき傷は、透過において非常によく目に見え、鮮やかな黄色の外観を示す。中間層コーティング2中に位置する本発明の特定のバリアコーティングを含む積重体は、焼戻し後に見えにくい傷を示す。これは、バリアコーティングが引っかき傷の腐食と、この腐食が引っかき傷に隣接する領域へ伝播する(拡張として知られている)のとを防ぐためである。引っかき傷の視認性は、焼戻しの前後で同じである。この傾向は、窒化アルミニウムをベースとする層が安定化層の上方且つSi34層の下方に位置する場合に一層顕著である。
【0099】
これらの例は、積重体の引っかき傷を受ける傾向を制限するために、あるいは引っかき傷を受ける場合でも引っかき傷の可視性を制限するために、特に窒化アルミニウムをベースとする層を含むバリアコーティングを積重体中に特定のやり方で挿入する必要があることを明確に示している。
本発明の態様としては、以下を挙げることができる:
《態様1》
薄層の積重体を備えた透明基材であり、当該積重体は赤外線領域及び/又は太陽光線の反射特性を有するn個の機能層(ここではn≧2)と、1つ以上の誘電体層を含むn+1個のコーティングとを交互に、各機能層が2つのコーティングの間に配置されるように含んでおり、当該コーティング及び機能層は、前記透明基材に対する位置に従って番号付けされていて、下層コーティング1が透明基材の上方で且つ機能層1の下方に配置され、中間層コーティング2〜nが2つの機能層の間に配置され、上層コーティングn+1が機能層nの上方に配置されている透明基材であって、上層又は中間層コーティング2〜n+1のうちの、好ましくは中間層コーティング2〜nのうちの、少なくとも1つが、1つの層はケイ素を含みそして1つの層は窒化アルミニウムをベースとする少なくとも2つのバリア層を含むバリアコーティングを少なくとも1つ含んでいることを特徴とする、薄層の積重体を備えた透明基材。
《態様2》
前記積重体が、下層、中間層及び上層の3つのコーティングと交互になった2つの機能層を含むことを特徴とする、態様1に記載の透明基材。
《態様3》
少なくとも2つの層を含むバリアコーティングが3つの層を含み、2つの層が窒化アルミニウムをベースとする層の上方及び下方に位置してケイ素を含んでいることを特徴とする、態様1又は2に記載の透明基材。
《態様4》
窒化アルミニウムをベースとする層が、機能層と前記ケイ素を含む層との間に位置することを特徴とする、態様1又は2に記載の透明基材。
《態様5》
1つの層がケイ素を含みそして1つの層が窒化アルミニウムをベースとする少なくとも2つの層を含むバリアコーティングが、前記中間層コーティングn中に位置することを特徴とする、態様1〜4のいずれか1つに記載の透明基材。
《態様6》
前記中間層コーティングnにおいて、前記窒化アルミニウムをベースとする層が機能層n−1の上方且つケイ素を含む層の下方に位置することを特徴とする、態様5に記載の透明基材。
《態様7》
各下層コーティング、中間層コーティング又は上層コーティングが、少なくとも1つのバリア層を含むバリアコーティングを少なくとも1つ含むことを特徴とする、態様1〜6のいずれか1つに記載の透明基材。
《態様8》
少なくとも1つの機能層の上、好ましくは各機能層の上に、ブロッキング層が載っていることを特徴とする、態様1〜7のいずれか1つに記載の透明基材。
《態様9》
少なくとも1つの下層コーティング、中間層コーティング又は上層コーティングが少なくとも1つの安定化層を含むことを特徴とする、態様1〜8のいずれか1つに記載の透明基材。
《態様10》
各機能層が下層又は中間層コーティングの上方にあり、その上層が安定化層、好ましくは酸化亜鉛をベースとする安定化層であり、及び/又は中間層又は上層コーティングの下方にあり、その下層が安定化層であるあることを特徴とする、態様9に記載の透明基材。
《態様11》
少なくとも1つの下層コーティング、中間層コーティング又は上層コーティングが少なくとも1つの吸収層を含むことを特徴とする、態様1〜10のいずれか1つに記載の透明基材。
《態様12》
前記上層コーティングn+1が、その上の層として、好ましくは厚さが5nm未満の、SnZnO又はTiO2をベースとする層を含むことを特徴とする、態様1〜11のいずれか1つに記載の透明基材。
《態様13》
窒化アルミニウムの層が、アルミニウム以外の金属又は半金属を1種以上、当該窒化アルミニウム層中のアルミニウムのすべての他の金属又は半金属に対する1よりも大きい、好ましくは9よりも大きい原子濃度比率で含むことを特徴とする、態様1〜12のいずれか1つに記載の透明基材。
《態様14》
中間層又は上層コーティング中に含まれる窒化アルミニウムのすべての層の厚さが、当該中間層又は上層コーティングの全厚さの20〜80%、好ましくは30〜60%に相当することを特徴とする、態様1〜13のいずれか1つに記載の透明基材。
《態様15》
当該透明基材から出発して規定される、
・少なくとも1つのバリアコーティング、
・少なくとも1つの安定化層、
・少なくとも1つの機能層、
・任意選択的な犠牲層、
・少なくとも1つの安定化層、
・少なくとも1つの吸収層が任意選択的に挿入されている少なくとも1つのバリアコーティング、
・少なくとも1つの安定化層、
・少なくとも1つの機能層、
・任意選択的な犠牲層、
・少なくとも1つの安定化層、
・少なくとも1つのバリアコーティング、
を含む積重体を含むことを特徴とする、態様1〜14のいずれか1つに記載の透明基材。
《態様16》
積層グレージング、非対称グレージング、又は二層グレージングタイプの複層グレージングの形態であることを特徴とする、態様1〜15のいずれか1つに記載の透明基材を含むグレージング。