【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の主題は、薄層の積重体を備えた透明基材であり、当該積重体は赤外線領域及び/又は太陽光線の反射特性を有するn個の機能層(ここではn≧2)と、1つ以上の誘電体層を含むn+1個のコーティングとを交互に、各機能層が2つのコーティングの間に配置されるように含んでおり、当該コーティング及び機能層は、前記透明基材に対する位置に従って番号付けされていて、下層コーティング1が透明基材の上方で且つ機能層1の下方に配置され、中間層コーティング2〜nが2つの機能層の間に配置され、上層コーティングn+1が機能層nの上方に配置されている透明基材であって、上層又は中間層コーティング2〜n+1のうちの、好ましくは中間層コーティング2〜nのうちの、少なくとも1つが、1つの層はケイ素を含みそして1つの層は窒化アルミニウムをベースとする、少なくとも2つのバリア層を含むバリアコーティングを少なくとも1つ含んでいることを特徴とする、薄層の積重体を備えた透明基材である。
【0010】
本書の全体を通して、本発明による基材は水平に配置されると見なされる。薄層の積重体は、基材の上方に被着される。「上方」及び「下方」そして「下層」及び「上層」という表現は、この位置づけに関して考察されるものである。具体的に明記されていない場合、「上方」及び「下方」という表現は、2つの層及び/又はコーティングが互いに接して配置されていることを必ずしも意味しない。
【0011】
下層コーティング1は1つ以上の誘電体層を含み、基材の上方に位置する。次に機能層1が、下層コーティング1の上方、且つ1つ以上の誘電体層を含む中間層コーティング2の下方に位置する。最終的に、最後の機能層nが、中間層コーティングnの上方、且つ1つ以上の誘電体層を含む上層コーティングn+1の下方に位置する。
【0012】
例えばコーティング1〜n+1の層の一部を説明するために、やはり上述した配置を指す「下層」及び「上層」の語を使用する。これは、上層が1つ以上の他の層の上方に位置する層に相当することを意味する。同様に下層は、1つ以上の他の層の下方に位置する層に相当する。
【0013】
本発明によれば、コーティングは複数の層で構成することができる。本発明により使用する上層コーティング、中間層コーティング、又は下層コーティングは、赤外線反射層を含まないが、吸収層を含むことができる。
【0014】
本発明によれば、薄層は1μm未満の厚さを有する層である。
【0015】
中間層又は上層コーティング中に及び積重体の特定の位置に特定のバリアコーティングが存在することが、引っかき傷はそれほどつきやすくなくて、焼戻しタイプの熱処理後の引っかき傷又は欠陥の露呈が特に減少し、これが特にそれらの視認性が強調されないことに反映される基材を得ることを可能にする。こうして、積重体の機械的特性と、変質を伴う処理、例えば洗浄、輸送、及び焼戻しタイプの熱処理など、に対する耐性とが改善される。
【0016】
積重体を高温に、特にグレージングの曲げ加工及び/又は焼戻しの標準的な操作に必要な温度範囲(約550〜750℃)に加熱すると、薄層及び基材を構成する材料は、この熱応力に対して異なる反応を示す。機能性金属層は、一般にそれに隣接する積重体の他の層よりも、特に誘電体層よりも、特に大きく膨張する。従って機能層は、高温では圧縮状態にある。同様に、ガラス基材も大きく膨張する。これは、積重体内に張力を引き起こし、特にすでに引っかき傷が存在する場合に、当該引っかき傷の増大を引き起こす。
【0017】
本出願人は、積重体の特定の位置において、ケイ素を含む層と窒化アルミニウムをベースとする層との組合せを含むバリアコーティングを使用することが、応力のレベルを低下させ、従って積重体の機械的特性を改善することを可能にすることを発見した。コーティング中に、好ましくは中間(2〜n)のコーティング中に位置する、異なる圧縮応力及び異なる熱膨張係数を示す2つの層を含むこのバリアコーティングの存在が、積重体で被覆されたガラス基材により形成された集成体の応力を緩和させることを可能にするように思われる。このバリアコーティングの存在は、これらの基材の他の特性を変更することなく、積重体の集成体がさらされる熱機械的応力を軽減することを可能にする。
【0018】
基材は、熱処理の高温に耐えることができる任意の材料で製作することができる。透明基材は、特に有機又は無機の剛性又は軟質基材であることができ、特にガラスのような剛性の無機材料製、又はポリマー基材のような剛性の有機材料製であることができる。透明基材は、好ましくはガラス製、特にソーダ石灰シリカガラス製である。
【0019】
好ましくは、積重体は、上層コーティング、中間層コーティング及び下層コーティングの3つと交互に存在する2つの機能層を含む(n=2の場合)。
【0020】
赤外線領域及び/又は太陽光線領域の反射特性を有する1つの若しくは複数の機能層は、金属層、好ましくは銀又は銀含有金属合金をベースとする金属層である。積重体の種々の機能層は、同一の又は異なる厚さを有することができる。例えば、欧州特許出願公開第0638528号明細書に、異なる厚さを有する2つの銀層を含む積重体が記載されている。
【0021】
上層コーティング、中間層コーティング、下層コーティング1〜n+1は、様々な機能性を示す1つ以上の誘電体層を含むことができる。特に、バリアコーティングの構成層として、また上層、中間層又は下層コーティングの構成層として、ブロッキング層、例えば犠牲層又は結合層などや、安定化層、及び吸収層を挙げることができる。
【0022】
上層コーティング、中間層コーティング、又は下層コーティングは、少なくとも20nmの幾何学的厚みを有し、それは最大120nmまでの範囲でよい。好ましくは、下層コーティング及び上層コーティングは15nmと60nmの間、20nmと50nmの間、又は20nmと40nmの間の厚さを有する。好ましくは、中間層コーティングは50nmと100nmの間、60nmと90nmの間、又は65nmと85nmの間の厚さを有する。
【0023】
本発明によれば、バリアコーティングは少なくとも1つのバリア層を含む。バリア層は、周囲雰囲気又は透明基材に由来し機能層に向かう酸素と水の高温での拡散に対するバリアを形成することができる材料で作製される層である。従ってバリア層の構成材料は、それらの光学的特性に変更をもたらすであろう高温での化学的な又は構造上の変化を受けてはならない。1つの若しくは複数のバリア層は、好ましくは、機能層の構成材料に対するバリアを形成することができる材料で製作されように選択される。従ってバリア層は、積重体が、過度に大きな光学的変化を受けることなく、焼なまし、焼戻し、又は曲げ加工タイプの熱処理に供されることを可能にする。
【0024】
バリア層は、酸化物、例えばSiO
2など、窒化物Si
3N
4、及び酸窒化物SiO
xN
yから選ばれる、ケイ素を含む層であることができる。バリア層はまた、窒化アルミニウムAlNをベースとすることもできる。
【0025】
窒化物層、例えば窒化アルミニウム層又は窒化ケイ素層を使用する場合、必要な光学特性、例えば透明性を得るために、安定した化学量論比を得る試みがなされる。しかしながら、被着条件によっては、このような安定した化学量論比は必ずしも達成されない。窒化物層は、窒素について化学量論的であっても、準化学量論的であっても、又は超化学量論的であってもよい。金属ターゲットから出発して反応性陰極スパッタリングによって層を被着させる場合には、特にスパッタリングチャンバー内の窒素の割合を変化させることにより、化学量論比を調整することが可能である。
【0026】
好ましくは、上層、中間層
及び下
層コーティング
のおのおのは、ケイ素を含みより好ましくはさらに窒化ケイ素をベースとする少なくとも1つのバリア層を含むバリアコーティングを含む。
【0027】
窒化ケイ素及び/又は窒化アルミニウムは、高温でもそれらの化学慣性が大きいことで知られている。これらの材料をベースとする層は、光学機能を有し、銀層を保護する機能を有し、そして吸収層と接触して配置される場合にはスクリーニング層の機能を有する、誘電体として働く。
【0028】
バリアコーティングは好ましくは、各機能層の上方且つ透明基材の上方に位置する。好ましくは、積重体は、各機能層の上方及び下方に少なくとも1つのバリアコーティングを含むことができる。
【0029】
バリアコーティングの幾何学的厚さは、少なくとも10nm、特に少なくとも15nmであり、そして最大120nmまでの範囲にあることができる。バリアコーティングが単一のバリア層から構成される場合、これらの厚さは単一のバリア層の厚さに一致する。
【0030】
バリアコーティングの各バリア層は、少なくとも5nmの厚さを有する。
【0031】
バリアコーティングの厚さは、積重体内のその箇所に依存することができ、例えば、
・コーティングが下層コーティングである場合、バリアコーティングの厚さは15nmと60nmの間、20nmと50nmの間、又は25nmと35nmの間であることができ、
・コーティングが中間層(2〜n)コーティングである場合、バリアコーティングの厚さは50nmと100nmの間、60nmと90nmの間、又は65nmと85nmの間であることができ、
・コーティングが上層コーティングである場合、バリアコーティングの厚さは10nmと40nmの間、10nmと30nmの間、又は10nmと20nmの間であることができる。
【0032】
1つの層がケイ素を含み1つの層が窒化アルミニウムをベースとする、少なくとも2つの層を含むバリアコーティングも、上述した厚さの基準を満たす。例えばバリアコーティングが2層で構成される場合、窒化アルミニウムをベースとする層及びケイ素を含む層はそれぞれ、少なくとも5nm,特に少なくとも7nm、とりわけ7nmと30nmの間、又は10nmと20nmの間の厚さを有する。
【0033】
有利には、中間層又は上層コーティング中に存在する窒化アルミニウムの1つ以上の層の総厚さは、10nmから、それが位置している中間層又は上層コーティングの厚さの半分まで様々であることができる。中間層又は上層コーティング中に含まれる窒化アルミニウムのすべての層の厚さは、当該中間層又は上層コーティングの全厚さの20〜80%、好ましくは30〜60%に相当する。
【0034】
窒化アルミニウムの層の化学量論比も様々でよい。これは、この窒化アルミニウムの層がアルミニウム以外の1種以上の金属又は半金属(メタロイド)を含むことができるからである。この又はこれらの他の金属又は半金属(メタロイド)の存在と比率とは、積重体の特性が変更されないように選択される。窒化アルミニウム層中のアルミニウムのすべての他の金属又は半金属(メタロイド)に対する原子濃度比率は、1よりも大きい。有利には、窒化アルミニウム層のアルミニウムとすべての他の金属又は半金属(メタロイド)とのこの原子濃度比率は、好ましさが増す順に、1.5より大きく、3より大きく、4より大きく、9より大きく、15より大きく、20より大きく、50より大きく、又は100より大きい。
【0035】
一例として、窒化アルミニウムの層は、特に層中のアルミニウムのケイ素に対する原子濃度比率が1より大きいケイ素を含むことができる。
【0036】
1つの実施形態によれば、窒化アルミニウムの層は、アルミニウム以外の金属又は半金属(メタロイド)を含まない。
【0037】
本発明の有利な実施形態によれば、積重体は、以下の特徴のうちの1つ以上を満たすことができる。
・下層コーティング1の1つ若しくは複数のバリアコーティングは窒化ケイ素から構成され、これはこのバリアコーティングが、従って下層コーティング1が、窒化アルミニウムの層を含まないことを意味する。
・上層コーティングn+1の1つ若しくは複数のバリアコーティングは窒化ケイ素から構成され、これは、これらのバリアコーティングが、従って上層コーティングn+1が、窒化アルミニウムの層を含まないことを意味する。
・少なくとも2つのバリア層を含み、1つの層がケイ素を含み1つの層が窒化アルミニウムをベースとするバリアコーティングは、2つの層が窒化アルミニウムをベースとする層の上方及び下方でケイ素を含む3つのバリア層を含む。
・少なくとも2つのバリア層を含み、1つの層がケイ素を含み1つの層が窒化アルミニウムをベースとするバリアコーティングは、2つの層がケイ素を含み2つの層が窒化アルミニウムをベースとする4つのバリア層を含む。
・窒化アルミニウムをベースとする層は、機能層と少なくとも2つの層を含むバリア層のケイ素を含む層との間に位置する。
・窒化アルミニウムをベースとする層は、少なくとも一方が窒化ケイ素をベースとし他方が酸化亜鉛をベースとする2つの誘電体層の間にある。
【0038】
好ましくは、少なくとも2つの層を含み、1つの層がケイ素を含み1つの層が窒化アルミニウムをベースとするバリアコーティングは、中間層コーティングn中に位置し、すなわち最後から2番目のコーティング中に位置する。この中間層コーティングnにおいて、窒化アルミニウムをベースとする層は、機能層n−1の上方、且つ少なくとも2つの層を含むバリアコーティングのケイ素含有層の下方に位置する。
【0039】
本発明の積重体は、少なくとも1つのブロッキング層を含むこともできる。好ましくは、ブロッキング層は機能層と直接接触している。機能層の上方に位置するブロッキング層は、ブロッキング上層として知られている。機能層の下方に位置するブロッキング層は、ブロッキング下層として知られている。
【0040】
ブロッキング層は、金属の、又は所望により窒化された準化学量論比の金属酸化物の薄層を含むことができる。本発明による好適なブロッキング層として、チタン、ニオブ、又はニッケル−クロム合金をベースとする金属又は金属酸化物若しくは亜酸化物の層を挙げることができる。金属層は、所望に応じ部分的に酸化される。
【0041】
好ましくは、ブロッキング層は5nm未満、好ましくは3nm未満、さらに好ましくは0.5nmと2nmの間の厚さを有する。
【0042】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つの、好ましくはそれぞれの機能層の上に、ブロッキング層が載っている。犠牲層は、好ましくは2nm未満の厚さを有する。
【0043】
本発明による積重体又は少なくとも1つのコーティングは、少なくとも1つの安定化層を含む。本発明の意義の範囲内で、「安定化」とは、層の性質が機能層とこの層との界面を安定化させるように選択されることを意味する。この安定化は、機能層を囲む層への機能層の密着性を強化することになり、実際これはその構成材料のマイグレーションを妨げる。
【0044】
安定化層は好ましくは、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、又はこれらのうちの少なくとも2種の混合物から選択される酸化物をベースとする層である。
【0045】
安定化層は、好ましくは酸化亜鉛の層である。これは、酸化亜鉛をベースとする層が、銀をベースとする機能層の密着と結晶化とを促進してその品質及び高温での安定性を高めるため、機能層の下方に酸化亜鉛をベースとする層を有することが有利なためである。機能層の密着性を高め基材と反対側の積重体の面への拡散を最も有利に妨げるために、機能層の上方に酸化亜鉛をベースとする層を有することも有利である。
【0046】
このように、少なくとも1つの機能層又は各機能層の上方及び/又は下方にそれと直接接触して又はブロッキング層により分離されて、安定化層を見いだすことができる。好ましくは、各機能層は、その上層が安定化層、好ましくは酸化亜鉛をベースとする安定化層であるコーティングの上方にあり、及び/又は、その下層が安定化層であるコーティングの下方にある。
【0047】
有利には、各バリア層は少なくとも1つの安定化層によって機能層から分離される。
【0048】
この安定化層は、少なくとも5nm、特に5nmと25nmの間、さらに好ましくは8〜15nmの厚さを有することができる。
【0049】
このように積重体が複数の機能層を使用する場合には、積重体で被覆された基材から最も遠い層である最後の機能層がバリアコーティングと安定化層の両方を備えることが有利である。この最後の機能層は、積重体内のその位置のために、周囲雰囲気による酸化を最も受けやすかったという意味で最も「露出」されている。さらに、この最後の機能層(n)は、その構成材料の一部が積重体の最後の層の外表面まで最も簡単にマイグレートできるそれである。
【0050】
もちろん、機能層のすべてが上述のようにバリアコーティング、安定化層、及び任意選択的に犠牲層及び/又は結合層を備えるようにすることが可能である。
【0051】
本発明による積重体、又は少なくとも下層コーティング、上層コーティング若しくは中間層コーティングは、少なくとも1つの吸収層を追加して含むことができる。このような層は、薄層の積重体を完全に再構成する必要なしに、グレージングの光透過率のレベルを一定の範囲内に調整することを可能にする。可視領域で吸収する層を、誘電体材料の2つの層の間に当該誘電体層により銀層から分離して挿入してもよい。
【0052】
吸収層は、金属、金属合金、金属酸化物、又は金属窒化物を含むことができる。金属は、チタンTi、ニオブNb、又はジルコニウムZr、及びニッケルとクロムの合金NiCrのうちの金属合金から選択することができる。金属酸化物は、酸化クロム、酸化鉄、又は準化学量論比のチタン又は亜鉛の酸化物から選択することができる。金属窒化物は、窒化チタン、窒化ニオブ、窒化ジルコニウム、窒化クロム、又は窒化ニッケルクロムから選択することができる。
【0053】
積重体が、3つの下層、中間層及び上層コーティングの間に2つの銀ベースの機能層を含む実施形態によれば、吸収層は、2つの機能層の間に位置する中間層コーティング中に及び/又は第2の機能層の上方に位置する上層コーティング中に挿入される。
【0054】
本発明の好ましい実施形態によれば、吸収層は、少なくとも一方はバリアコーティングに属する2つの誘電体層の間にある。従って、間に吸収層が挿入される2つの層のうちの少なくとも1つはバリア層であることができる。
【0055】
別の形態では、吸収層を、下層コーティング、中間層コーティング、又は上層コーティングの、好ましくは中間層コーティングのバリアコーティング中に、2つのバリア層の間で挿入することができる。
【0056】
可視領域で吸収する各層の厚さは、好ましさが増す順に、7nm以下、5nm以下、3nm以下、2nm以下、又は0.5nmと2nmの間である。
【0057】
吸収層は、少なくとも3%、特に4%と15%の間、又は6%と12%の間の固有の光吸収率を有する。
【0058】
犠牲層に適した一部の材料が、吸収層としても好適であることに注目することが有利である。1つの実施形態によれば、犠牲層の1つも吸収層として働く。同時に吸収層であり犠牲層である層は、基本的に金属性であることができ、特に、Ni、Cr、Nb、Sn又はTi金属、NiCr又は鋼などの合金、のうちの少なくとも1つから選択される材料で製作することができる。この場合、その厚さは好ましくは2〜5nmである。
【0059】
吸収層は、ケイ素を含む層と窒化アルミニウムをベースとする層とを含むバリアコーティングを含む中間層コーティング及び/又は上層コーティング中にあることができる。吸収層は好ましくは、2つのバリア層と直接接触している。吸収層は好ましくは、ケイ素を含む2つの層と直接接触している。
【0060】
窒化アルミニウムの層を特に含むバリアコーティングと吸収層は、「中間層」コーティングn中に挿入することができ、すなわち2つの機能層の間に配置されたコーティング中に挿入することができる。
【0061】
最後に、本発明の積重体は、好ましくは、保護オーバーレイヤーを含む。従ってこの保護オーバーレイヤーは、コーティングn+1の上層である。好ましくは、コーティングn+1は、上層として、SnZnO又はTiO
2をベースとする層を含む。その厚さは好ましくは、0.5nmと20nmの間、特に1nmと5nmの間で選択される。
【0062】
有利な実施形態によれば、透明基材は、透明基材から出発して規定される、
・少なくとも1つのバリアコーティング、
・少なくとも1つの安定化層、
・少なくとも1つの機能層、
・任意選択的なブロッキング層、
・少なくとも1つの安定化層、
・少なくとも1つのバリアコーティング、
・少なくとも1つの安定化層、
・少なくとも1つの機能層、
・任意選択的なブロッキング層、
・少なくとも1つの安定化層、
・少なくとも1つのバリアコーティング、
を含む積重体を含む。
【0063】
別の実施形態によれば、透明基材は、透明基材から出発して規定される、
・少なくとも1つのバリアコーティング、
・少なくとも1つの安定化層、
・少なくとも1つの機能層、
・任意選択的なブロッキング層、
・少なくとも1つの安定化層、
・少なくとも1つの吸収層が挿入されている少なくとも1つのバリアコーティング、
・少なくとも1つの安定化層、
・少なくとも1つの機能層、
・任意選択的なブロッキング層、
・少なくとも1つの安定化層、
・少なくとも1つのバリアコーティング、
を含む積重体を含む。
【0064】
透明基材から出発して規定されるこれらの積重体は、特に以下のものから選択することができる。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/ZnO/AlN/Si
3N
4/ZnO/Ag/ZnO/Si
3N
4。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/ZnO/Si
3N
4/AlN/ZnO/Ag/ZnO/Si
3N
4。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/AlN/Si
3N
4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si
3N
4。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si
3N
4/AlN/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si
3N
4。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/ZnO/AlN/Si
3N
4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si
3N
4/ZnO/Ag/ZnO/Si
3N
4。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/AlN/Si
3N
4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si
3N
4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si
3N
4。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/ZnO/Si
3N
4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si
3N
4/AlN/ZnO/Ag/ZnO/Si
3N
4。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si
3N
4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si
3N
4/AlN/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si
3N
4。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/ZnO/Si
3N
4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si
3N
4/ZnO/Ag/ZnO/AlN/Si
3N
4。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si
3N
4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si
3N
4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/AlN/Si
3N
4。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/ZnO/AlN/Si
3N
4/AlN/Si
3N
4/ZnO/Ag/ZnO/Si
3N
4。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/ZnO/Si
3N
4/AlN/Si
3N
4/AlN/ZnO/Ag/ZnO/Si
3N
4。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/AlN/Si
3N
4/AlN/Si
3N
4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si
3N
4。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si
3N
4/AlN/Si
3N
4/AlN/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si
3N
4。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/ZnO/AlN/Si
3N
4/AlN/Si
3N
4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si
3N
4/ZnO/Ag/ZnO/Si
3N
4。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/AlN/Si
3N
4/AlN/Si
3N
4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si
3N
4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si
3N
4。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/ZnO/Si
3N
4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si
3N
4/AlN/Si
3N
4/AlN/ZnO/Ag/ZnO/Si
3N
4。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si
3N
4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si
3N
4/AlN/Si
3N
4/AlN/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si
3N
4。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/ZnO/Si
3N
4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si
3N
4/ZnO/Ag/ZnO/AlN/Si
3N
4/AlN/Si
3N
4。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si
3N
4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si
3N
4/ZnO/Ag/NiCr/AlN/Si
3N
4/AlN/Si
3N
4/ZnO。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/ZnO/Si
3N
4/AlN/Si
3N
4/ZnO/Ag/ZnO/Si
3N
4。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/ZnO/Si
3N
4/AlN/Si
3N
4/ZnO/Ag/ZnO/Si
3N
4。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si
3N
4/AlN/Si
3N
4/Zn0/Ag/NiCr/Zn0/Si
3N
4。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si
3N
4/AlN/Si
3N
4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si
3N
4。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/ZnO/Si
3N
4/AlN/Si
3N
4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si
3N
4/ZnO/Ag/ZnO/Si
3N
4。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si
3N
4/AlN/Si
3N
4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si
3N
4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si
3N
4。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/ZnO/Si
3N
4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si
3N
4/AlN/Si
3N
4/ZnO/Ag/ZnO/Si
3N
4。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si
3N
4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si
3N
4/AlN/Si
3N
4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si
3N
4。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/ZnO/Si
3N
4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si
3N
4/ZnO/Ag/ZnO/Si
3N
4/AlN/Si
3N
4。
・Si
3N
4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si
3N
4/TiN又はNbN又はNiCrN/Si
3N
4/ZnO/Ag/NiCr/ZnO/Si
3N
4/AlN/Si
3N
4。
【0065】
本発明のグレージングは、積重体を支持する基材を含む。このグレージングはさらに、他の基材を含むことができる。これらの基材は透明でも着色されていてもよく、特に、基材のうちの少なくとも1つはその本体が着色されたガラス製でよい。色の種類の選択は、製造が完了した時点でグレージングに求められる光透過率レベル及び/又は測色的外観に依存する。
【0066】
基材は、サン−ゴバン社によりParsol(登録商標)の名称で販売されているガラスでよく、特に灰色がかった緑色の色合いを持つガラスでよい。それらはまた、その組成及び特性が特に欧州特許出願公開第0616883号明細書、同第0644164号明細書、同第0722427号明細書、及び国際公開第96/00394号に記載されたガラスでもよい。
【0067】
本発明は、これらの基材を備えたすべてのグレージング、例えば積層グレージング、「非対称」積層グレージング、又は二層グレージングタイプの複層グレージングに関する。
【0068】
積層構造を示すグレージングは、薄層/シート/ガラスタイプの、ガラス/積重体の構造を示すために、熱可塑性ポリマーの少なくとも1枚のシートにより一体化されているガラスタイプの少なくとも2枚の剛性基材を含む。ポリマーは、具体的に言えば、ポリビニルブチラールPVB、エチレン−酢酸ビニルEVA、ポリエチレンテレフタレートPET、又はポリ塩化ビニルPVCをベースとすることができる。積重体は、剛性基材の1つの上に、又は2つの剛性基材とともに集成されるポリマーシート上に、前記熱可塑性のシートにより被着される。
【0069】
グレージングはまた、ガラスタイプの剛性基材と、任意選択的に別のポリマー層と組み合わせた、エネルギー吸収特性を有するポリウレタンタイプの少なくとも1つのポリマーシートとを含む「非対称」積層グレージング構造を示すこともできる。このタイプのグレージングに関する更なる詳細については、特に欧州特許出願公開第0132198号明細書、同第0131523号明細書及び同第0389354号明細書を参照することができる。グレージングはこの場合、ガラス/薄層の積重体/ポリマーシートタイプの構造を示すことができる。
【0070】
本発明によるグレージングは、薄層の積重体を損傷することなく加熱処理を施すことが可能である。従ってそれらは、任意選択的に曲げ加工され及び/又は焼戻しされる。それらを、特に輸送手段向けのグレージングを作ることを目的に、曲げ加工する場合、薄層の積重体は少なくとも一部分は平らでない面の上にあるのが好ましい。積層構造体においては、それはポリマーシートに接触しているのが好ましい。
【0071】
グレージングはまた、積重体を備えた単一の基材で構成しながら曲げ加工及び/又は焼戻しすることができる。この場合は、「モノリシック構造」のグレージングと称される。グレージングはまた、少なくとも積重体を支持する基材が曲げ加工され及び/又は焼戻しされる、複層グレージング、特に二層グレージングでもよい。複層グレージングの構成においては、積重体はガスを充填した空洞に面するように配置されることが好ましい。
【0072】
二層グレージングタイプのグレージングの場合、積重体はグレージングの面2又は面3の上にある(基材の面は慣習により、建物に取り付けたグレージングの最も外側の面から内側の面の方向に向かって番号が付けられる)のが好ましい。
【0073】
本発明は、
・光透過率LTが5〜80%、特に40〜60%、及び/又は、
・外光反射率Rが10〜30%、及び/又は、
・外光反射のa
*とb
*の値が1以下、特に2つの銀層を含む積重体の場合には、負の値(焼戻しタイプの熱処理を受けた後でさえも)、
であるグレージングに関する。
【0074】
最後に、本発明による積重体を備えた基材を含むグレージングは、異なる機能を有する少なくとも1つの他のコーティング、特に防汚コーティング、疎水性コーティング、親水性コーティング、又は反射防止コーティング、を備えることもできる。それらは、例えば、光触媒性のTiO
2をベースとする防汚コーティング、フルオロポリマーをベースとする疎水性コーティング、SiO
2又はSiOCをベースとする親水性コーティング、及び1以上の反射防止コーティングを含むことができる。これらのコーティングは好ましくは、グレージングの外側面(積層体の場合には、内部の熱可塑性シートに向き合う面とは対照的に外側を向いている面、あるいは絶縁グレージングの場合には、空気を充填した、ガスを充填した、又は真空引きされた空洞に向いている面とは対照的に外側を向いている面)の少なくとも1つに配置される。
【0075】
本発明はまた、基材、好ましくはガラス製の基材上に、薄層の積重体を被着させるものである、基材の製造方法にも関する。被着は、所望に応じ磁場により支援される、陰極スパッタリングタイプの真空技術により(1以上の最初の層を別の技術により、例えば熱分解タイプの熱的に分解する技術により、被着させることができることを除外することなく)行うことができる。さらに、この方法は、コーティングされた基材の曲げ加工/焼戻し又は焼なましタイプの熱処理を含むことができる。
【0076】
本発明の詳細と有利な特徴は、以下の限定することのない例から明らかになる。