特許第6651481号(P6651481)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6651481より硬いプラスチックでオーバーモールドされたエラストマークリーニング要素を備える歯ブラシの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6651481
(24)【登録日】2020年1月24日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】より硬いプラスチックでオーバーモールドされたエラストマークリーニング要素を備える歯ブラシの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A46B 9/04 20060101AFI20200210BHJP
   A46D 1/00 20060101ALI20200210BHJP
   A46D 3/00 20060101ALI20200210BHJP
【FI】
   A46B9/04
   A46D1/00 101
   A46D3/00
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-80845(P2017-80845)
(22)【出願日】2017年4月14日
(62)【分割の表示】特願2015-539737(P2015-539737)の分割
【原出願日】2013年10月23日
(65)【公開番号】特開2017-148545(P2017-148545A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2017年5月9日
(31)【優先権主張番号】12191225.7
(32)【優先日】2012年11月5日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】316015877
【氏名又は名称】ザ ジレット カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE GILLETTE COMPANY LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】マルクス、モルゴット
【審査官】 粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−148020(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/082799(WO,A1)
【文献】 特表2005−504597(JP,A)
【文献】 特開2005−305116(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3173206(JP,U)
【文献】 特表2010−524625(JP,A)
【文献】 特表2009−506796(JP,A)
【文献】 特開平05−050463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 9/04
A46D 1/00
A46D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
具体的には歯ブラシ頭部であるブラシ頭部(10)又はその部品の製造方法であって、 −1つ以上のクリーニング要素(12a、12b、14a、14b、14c)を受容するために好適な1つ以上のキャビティを備えるクリーニング要素支持体を提供する工程であって、1つ以上の前記キャビティが、1つ以上の適切な第1の成形キャビティを表してエラストマークリーニング要素(12a、12b)をそこに形成し、前記クリーニング要素支持体が、適切な第2の成形キャビティの第1の半体を表して前記ブラシ頭部(10)又はその部品をそこに形成する、工程と、
2つ以上の外形を含む1つ以上の剛毛房(14a、14b、14c)を1つ以上の前記キャビティの少なくとも1つに提供する工程と、
−1つ以上の前記キャビティの少なくとも1つに第1のプラスチック材料(12)を注入して、そこに基底区域(13)と前記基底区域(13)から突出する複数の要素突出部とを含む少なくとも1つの前記エラストマークリーニング要素(12a、12b)を形成する工程であって、注入された前記第1のプラスチック材料(12)を受容する少なくとも1つのキャビティは、1つ以上の前記剛毛房(14a、14b、14c)を提供する少なくとも1つの前記キャビティとは異なり、前記第1のプラスチック材料(12)は、25〜35のショア硬度Aを有する熱可塑性エラストマーである、工程と、
−前記第2の成形キャビティの第2の半体を提供し、前記第2の成形キャビティの前記第2の半体を前記クリーニング要素支持体と組み合わせて、前記第2の成形キャビティを形成する工程と、
−第2のプラスチック材料(16)を前記第2の成形キャビティに注入して、前記ブラシ頭部(10)又はその部品を形成する工程であって、1つ以上の前記剛毛房(14a、14b、14c)と少なくとも1つの前記エラストマークリーニング要素(12a、12b)の前記基底区域(13)とが前記第2のプラスチック材料(16)によってオーバーモールドされる工程と、を含み、
前記第2のプラスチック材料(16)は、50〜60のショア硬度Dを有するポリプロピレンであり、
前記第2のプラスチック材料(16)及び前記エラストマークリーニング要素(12a、12b)の基底区域(13)は、接触表面(18)で相互作用し、前記第1のプラスチック材料(12)及び前記第2のプラスチック材料(16)は、前記接触表面(18)で少なくとも部分的に混合される、方法。
【請求項2】
前記第2のプラスチック材料(16)によるオーバーモールド中に前記第1のプラスチック材料(12)が部分的に融解される、請求項に記載の方法。
【請求項3】
1つ以上の前記剛毛房(14a、14b、14c)を1つ以上の前記キャビティの少なくとも1つに提供する工程が、前記第1のプラスチック材料(12)の注入の前又は後に行われる、請求項又はに記載の方法。
【請求項4】
前記第1のプラスチック材料(12)の注入から前記第2のプラスチック材料(16)の注入までの間の冷却時間が10秒未満、又は5秒未満、又は2秒未満である、請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のプラスチック材料(12)と前記第2のプラスチック材料(16)とが、成形装置の同じ部位から射出される、請求項のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ブラシ頭部、具体的には歯ブラシ頭部又はその部品の製造方法が開示される。その方法を用いて、設計上の融通性が高い、エラストマークリーニング要素及び剛毛房のクリーニング要素を備える歯ブラシ頭部を製造し得る。この示される方法によって、エラストマークリーニング要素の配置及びエラストマークリーニング要素に使用する材料に関して満たさなくてはならない要件が少なくなる。エラストマークリーニング要素は、第1のプラスチック材料の射出成形によって製造される。次いで、エラストマークリーニング要素と剛毛房のクリーニング要素がともに第2のプラスチック材料でオーバーモールドされて、ブラシ頭部又はその部品を形成する。第2のプラスチック材料は、エラストマークリーニング要素を製造するために使用される第1のプラスチック材料よりも高いショア硬度を示す。
【背景技術】
【0002】
ブラシ、具体的には歯ブラシを製造するためのいくつかの製造法が周知である。ブラシ頭部へのクリーニング要素の定着の仕方は、主要な課題である。従来、ブラシ頭部は、金属アンカーによって剛毛房がU形状で締結される複数の房を植えるための端が閉じられた穴を提供するように射出成形により製造されていた。クリーニング要素はアンカーフリー法又はホットタフティング法で成形技術によりブラシ頭部に締結される。通常、房の引き抜き抵抗を増すために、剛毛房の端部を融解して肥大部を形成する。これらの肥大部をプラスチック材料でオーバーモールドして、ブラシ頭部又はその部品を形成することができる。
【0003】
最近では、ブラシ頭部、具体的には歯ブラシの頭部のクリーニング要素場は、エラストマー要素を含んでいる。これらのエラストマー要素は、完全にエラストマー材から製造されてもよく、あるいは、それらは、硬質プラスチック材料製のコアを含んでもよい(US2012/0246857A1号)。通常、エラストマー要素は射出成形技術により形成され、ステープル止め(US2012/0246857A1号)、クリプシング、又は任意の他のスナップ及び嵌め合い接続(US2011/0000041A1号)を用いてブラシ頭部に取り付けられる場合がある。あるいは、エラストマークリーニング要素は、ブラシの表面又はブラシの頭部自体に、他のエラストマー部品と一緒に形成される(US2011/0061189号)。例えば、ブラシ頭部はブラシ頭部の裏側の舌クリーナー、及びブラシ頭部の前側、すなわちブラシ側のエラストマークリーニング要素を形成するエラストマー材でオーバーモールドされ得る。しかしながら、粘着力及び外形的な要件のために、そのような種類のクリーニング要素場に関しての設計の融通性は比較的低い。エラストマークリーニング要素は、ブラシ上の舌クリーナー又は他のエラストマー要素、すなわち、把持面又はブラシの首部若しくはハンドルの区域の何らかの設計要素と同じ材料で作製される必要がある。更に、エラストマークリーニング要素は、オーバーモールドプロセス中の外形的制限のために、クリーニング要素場の外側表面に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】US2012/0246857A1号
【特許文献2】US2011/0000041A1号
【特許文献3】US2011/0061189号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、エラストマークリーニング要素の配置及び使用可能な材料に関して設計上の融通性がより高いエラストマークリーニング要素を備える歯ブラシの製造方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によると、1つ以上のクリーニング要素を提供するブラシ頭部と、ハンドルと、ブラシ頭部とハンドルを接続する首部とを含む歯ブラシであって、1つ以上のクリーニング要素は第1のプラスチック材料からなる少なくとも1つ以上のエラストマークリーニング要素と1つ以上の剛毛房クリーニング要素とを含み、少なくとも1つ以上のクリーニング要素はオーバーモールドによって第2のプラスチック材料に埋め込まれ、第2のプラスチック材料のショア硬度は第1のプラスチック材料のショア硬度より高く、ブラシ頭部は、1つ以上のクリーニング要素のオーバーモールド中に少なくとも部分的に第2のプラスチック材料から形成される、歯ブラシが提供される。
【0007】
別の態様によると、本明細書に開示のブラシ頭部、具体的には歯ブラシ頭部又はその部品の製造方法が提供される。
【0008】
別の態様によると、ブラシ頭部、具体的には歯ブラシの頭部又はその部品を製造するために提供される方法は、
−1つ以上のクリーニング要素を受容するために好適な1つ以上のキャビティを備えるクリーニング要素支持体を提供する工程であって、1つ以上のキャビティが、1つ以上の適切な第1の成形キャビティを表してエラストマークリーニング要素をそこに形成し、クリーニング要素の支持体が、適切な第2の成形キャビティの第1の半体を表してブラシ頭部又はその部品をそこに形成する、工程と、
−1つ以上の剛毛房を1つ以上のキャビティの少なくとも1つに提供する工程と、
−1つ以上のキャビティの少なくとも1つに第1のプラスチック材料を注入して、そこに少なくとも1つのエラストマークリーニング要素を形成する工程であって、注入された第1のプラスチック材料を受容する少なくとも1つのキャビティは、1つ以上の剛毛房を提供する少なくとも1つのキャビティとは異なる、工程と、
−第2の成形キャビティの第2の半体を提供し、第2の成形キャビティの第2の半体をクリーニング要素支持体と組み合わせて、第2の成形キャビティを形成する工程と、
−第2のプラスチック材料を第2の成形キャビティに注入して、ブラシ頭部又はその部品を形成する工程であって、1つ以上の剛毛房及び少なくとも1つのエラストマークリーニング要素が第2のプラスチック材料によってオーバーモールドされる工程と、を含み、第2のプラスチック材料のショア硬度が第1のプラスチック材料のショア硬度より高い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】多成分プラスチック成形部品を形成するための、第2のプラスチック材料でオーバーモールドされる第1のプラスチック成形部品のためのキャビティを形成する射出成形型の概略側面図。
図2】多成分プラスチック成形部品を形成するための、第2のプラスチック材料でオーバーモールドされる突起を含む第1のプラスチック成形部品のためのキャビティを形成する射出成形型の概略側面図。
図3】アンダーカットを含む多成分プラスチック成形部品を形成するための、第2のプラスチック材料でオーバーモールドされる第1のプラスチック成形部品のためのキャビティを形成する射出成形型の概略側面図。
図4A】少なくとも1つのエラストマークリーニング要素を備えるいくつかのタイプのクリーニング要素を有する例示の歯ブラシ頭部のクリーニング側の概略平面図。
図4B図4Aに示した歯ブラシ頭部の概略長手方向断面図。
図4C図4Aに示した歯ブラシ頭部の概略斜視図。
図5A】少なくとも1つのエラストマークリーニング要素を備えるいくつかのタイプのクリーニング要素を有する別の例示の歯ブラシ頭部のクリーニング側の概略平面図。
図5B図5Aに示した歯ブラシ頭部の概略長手方向断面図。
図5C図5Aに示した歯ブラシ頭部の概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下は、エラストマークリーニング要素を有する歯ブラシの製造方法及びその方法により製造される歯ブラシの多くの実施形態の説明である。説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、あらゆる可能な実施形態を説明することは、不可能ではなくても非現実的であるため、あらゆる可能な実施形態を説明しておらず、更に、本明細書に説明される任意の特長、特徴、構造、構成要素、工程又は方法論は、削除され得るか、本明細書に説明される任意の他の特長、特徴、構造、構成要素、製造工程、又は方法論の説明と、その全部又は部分的に組み合わせ又は置換され得ることが理解される。
【0011】
本明細書に開示したブラシ頭部及びその製造方法は、例えば、エラストマークリーニング要素の配置及びエラストマークリーニング要素に使用する材料並びにブラシ頭部の形成に使用する材料の選択といった設計上の融通性を可能にする。
【0012】
かかるブラシ頭部、具体的には、かかる歯ブラシ頭部又はその部品の製造方法が提供され、そのエラストマークリーニング要素は、作製され、ブラシ頭部又はその部品に使用される材料でオーバーモールドされる。この歯ブラシは、1つ以上のクリーニング要素を提供するブラシ頭部と、ハンドルと、ブラシ頭部とハンドルを互いに接続する首部とを備えており、1つ以上のクリーニング要素は、第1のプラスチック材料からなる少なくとも1つのエラストマークリーニング要素と少なくとも1つの剛毛房クリーニング要素とを含む。
【0013】
本明細書で使用する「エラストマークリーニング要素」は、第1のプラスチック材料で作製される任意のタイプ又は形式のクリーニング要素として理解されるべきであり、第1のプラスチック材料は、エラストマー特性を示す。エラストマークリーニング要素を形成するために用いることができるエラストマー特性を示す好適な第1のプラスチック材料は、例えばゴム、ポリプロピレン(PP)又は熱可塑性エラストマー(TPE)である。一実施形態では、熱可塑性エラストマーが第1のプラスチック材料として使用される。第1のプラスチック材料のショアA硬度は、約10〜約80の範囲、又は約20〜約70の範囲、又は約30〜約50の範囲、又は約30〜約40の範囲であり得る。一実施形態では、第1の材料は、ショアA硬度が約35の熱可塑性エラストマーであり得る。エラストマークリーニング要素に関して選択されるショア硬度は、使用される外形に依存する。より厚いエラストマークリーニング要素と比較して、より高いショアA硬度を有するエラストマーからはより薄いエラストマークリーニング要素が製造される。エラストマー材の選択はまた、エラストマークリーニング要素の長さにも依存する。原則として、より短いエラストマークリーニング要素と比較して、より高いショアA硬度のエラストマーからはより長いエラストマークリーニング要素が製造され得る。加えて又は代わりに、エラストマークリーニング要素は任意の外形を有し得る。エラストマークリーニング要素は、例えば、ナブ、ピン、フィン、壁、バー、ガター、曲線、円、層板、テクスチャ付きの要素、例えば研磨カップのような研磨要素、若しくは舌クリーニング要素、又はそれらの組み合わせなどであり得る。2つ以上のエラストマークリーニング要素を組み合わせて複数のエラストマークリーニング要素にしてもよい。複数のエラストマークリーニング要素は、すべてのエラストマークリーニング要素が接続される共通の基部を含み得る。共通の基部は、エラストマークリーニング要素を含む1つの表面と、第2のプラスチック材料でオーバーモールドされる1つの表面とを備える。エラストマークリーニング要素を含む表面は、衛生的かつ洗浄の容易な表面を実現するために、主に構造化されていない表面であり得る。オーバーモールドされる表面は、主に構造化されていない表面であってもよく、構造化されていてもよい。加えて又は代わりに、オーバーモールドされる表面は、突出、突起、フック、窪み、又は、第1と第2のプラスチック材料間の結合強度を増し得る任意の他の外形を備え得る。これらの外形は、第2のプラスチック材料による第1のプラスチック材料のオーバーモールド中にアンダーカットが形成されるように形成され得る。加えて又は代わりに、共通の基部は、第1のプラスチック材料で作製される層であり得、そこに複数のエラストマークリーニング要素が取り付けられる。共通の基部及びエラストマークリーニング要素は、1つの共通の注入工程で共に製造されてもよく、あるいは、別々に製造され、後に組み合わされて1つのエラストマークリーニング構造物を形成してもよい。
【0014】
少なくとも1つのエラストマークリーニング要素は第2のプラスチック材料でオーバーモールドされ、第2のプラスチック材料のショア硬度は第1のプラスチック材料のショア硬度より高い。第2のプラスチック材料のショア硬度は、第1のプラスチック材料のショア硬度より大幅に高い場合がある。第2のプラスチック材料のショアD硬度は、約30〜約90の範囲、又は約40〜約80の範囲、又は約50〜約80の範囲、又は約65〜約75の範囲であり得る。第2のプラスチック材料として使用され得る適切な材料は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリアミド(PA)、又はポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオキシメチレン、ポリエチレンテレフタラート若しくはポリアミドを含むブレンド又は混合物であり得る。
【0015】
本明細書に開示される歯ブラシのブラシ頭部は、第2のプラスチック材料による第1のプラスチック材料のオーバーモールド中に少なくとも部分的に形成される。それは、少なくとも1つのエラストマークリーニング要素が第2のプラスチック材料を介してブラシ頭部に接続されることを意味する。第2のプラスチック材料は、歯ブラシ頭部の外形より小さいか又はそれと同一であれば、任意の外形へと射出され得る。例えば、第2のプラスチック材料で形成された歯ブラシ頭部の部品は、ブラシ頭部の輪郭を有するプレートであってもよく、ブラシ頭部と同様だがより小さい輪郭を有するプレートであってもよく、ブラシ頭部の輪郭の中に納まる任意の他の形状であってもよい。
【0016】
2つ以上のエラストマークリーニング要素は、第2のプラスチック材料との接触面を示す共通の基部を含んでもよく、あるいは、エラストマークリーニング要素が第2のプラスチック材料に個々に埋め込まれてもよい。エラストマークリーニング要素が個々に第2のプラスチック材料に埋め込まれる場合は、それぞれのエラストマークリーニング要素は、オーバーモールドされる端部に材料の肥大部を含み得る。この肥大部は、埋め込まれて、抽出力に対しての機械的障害物となり得、あるいは、この肥大部は、オーバーモールドプロセス中に融解し得る材料を提供して、第1及び第2のプラスチック材料を含む混合接触ゾーンを形成することができる。エラストマークリーニング要素が共通の基部によって第2のプラスチック材料内に埋め込まれる場合、共通の基部の接触表面は、第2のプラスチック材料の注入中に融解し得る。より柔らかい又は硬度の低い第1のプラスチック材料をより硬い第2のプラスチック材料でオーバーモールドすることにより、エラストマークリーニング要素とブラシ頭部自体との間の粘着強度を失うことなく小さい歯ブラシ頭部を形成することができる。本明細書に開示した歯ブラシは、5mm未満、又は4mm未満、又は3mm未満、又は2mm未満のブラシ頭部厚さを示し得る。
【0017】
本明細書に開示した歯ブラシは、エラストマークリーニング要素に加えて、1つ以上の剛毛房を含む1つ以上のクリーニング要素を含み得る。本明細書で使用される「剛毛房」は、個々の剛毛フィラメントを含む任意のタイプ、形式、又は配置として理解されるべきである。剛毛フィラメントは、天然材料、プラスチック、又はプラスチック混合物からなり得る。剛毛フィラメントを形成するために使用できるプラスチックは、例えば、ポリアミド(PA)、ポリブチルテレフタラート(PBT)、ポリエチルテレフタラート(polyethylterephthalate)(PET)、又はそれらの混合物である。複数の剛毛フィラメントの集合が剛毛房を形成する。剛毛房は、房の一方の端部に肥大部を含むことができ、この肥大部は剛毛の端部を溶融することにより形成され得る。肥大部の反対側の房の端部は、歯のクリーニングに使用される端部である。クリーニングに使用される剛毛の端部は、口内の軟組織を傷つけない安全かつ快適な剛毛房をもたらすために、特定の輪郭に切断されてもよく、テーパー形状であってもよく、端部が丸くてもよく、研磨されてもよい。剛毛房を第2のプラスチック材料に埋め込むことができる。したがって、第2のプラスチック材料は房の端部の肥大部の周囲に流れ、それにより、剛毛房を第2の材料にしっかりと固定する。
【0018】
本明細書に開示した歯ブラシは、エラストマークリーニング要素及び/又は剛毛房に加えて、混合房を含む1つ以上のクリーニング要素を含み得る。本明細書で使用される「混合房」は、エラストマークリーニング要素及び剛毛(房)フィラメントを含む、任意のタイプ、形状、又は配置のクリーニング要素として理解されるべきである。したがって、剛毛フィラメントは、エラストマー要素の周囲及び/又は内側に配置され得る。エラストマー要素の周囲の配置に関しての例は、エラストマーナブ、エラストマーピン、エラストマーフィン、エラストマー壁、エラストマーバー、エラストマーガター、エラストマー曲線、エラストマー円、エラストマー層板、エラストマーのテクスチャ付き要素、又はエラストマー研磨要素であり得、その輪郭の周囲は、剛毛フィラメント又は剛毛房により作製される対応する輪郭によって囲まれている。エラストマークリーニング要素の輪郭は、剛毛フィラメント又は剛毛房によって完全に又は部分的に囲まれている場合がある。エラストマー要素の内側の配置に関しての例は、エラストマーカップ又は他の開いた構造物であり得、そこにカップ剛毛フィラメント又は剛毛房のキャビティが配置される。加えて又は代わりに、混合房は、エラストマークリーニング要素の内側に配置された剛毛フィラメント又は剛毛房と、エラストマークリーニング要素の輪郭に配置された剛毛フィラメント又は剛毛房との両方を含み得る。
【0019】
加えて又は代わりに、本明細書に開示した歯ブラシの製造方法が提供される。この方法は、クリーニング要素支持体の1つ以上のキャビティに1つ以上の剛毛房の一方の端を提供する工程を含み、1つ以上のキャビティが、1つ以上の適切な第1の成形キャビティを表してエラストマークリーニング要素をそこに形成する。すなわち、クリーニング要素支持体の1つ以上のキャビティは、剛毛房を提供するために使用されるか、又は射出成形を用いてエラストマークリーニング要素をそこに形成するために使用される。剛毛房は、剛毛房を提供しない残りのキャビティにエラストマークリーニング要素が形成される前か、又はエラストマークリーニング要素を注入した後に、クリーニング要素支持体のキャビティに提供され得る。エラストマークリーニング要素が最初に注入される場合、剛毛房を提供することを目的としたキャビティは第1のプラスチック材料に対してカバーされる必要がある。加えて、クリーニング要素支持体自体は、適切な第2の成形キャビティの第1の部品を表してブラシ頭部又はその部品をそこに形成する。
【0020】
クリーニング要素支持体は、ブラシ頭部又はその部品内に埋め込まれる端部がクリーニング要素支持体のキャビティから突出し、クリーニングに使用される端部がクリーニング要素支持体によってカバーされるように、1つ以上の剛毛房の端部を提供することができる。クリーニング要素支持体の表面からオーバーモールドによって埋め込まれる端部までの距離は、剛毛房をしっかりとブラシ頭部に固定するために十分に大きい距離に調整される。加えて、剛毛房を提供するクリーニング要素支持体の表面は、ブラシ頭部の成形キャビティの部品を表す。クリーニング要素を提供するブラシ頭部の表面は、クリーニング要素を成形キャビティに提供するクリーニング要素支持体の表面のネガティブである。
【0021】
クリーニング要素支持体のキャビティは盲穴であり得、エラストマークリーニング要素を製造するためにそこに第1のプラスチック材料を直接注入することができる。したがって、歯ブラシ頭部の製造方法は、更に、少なくとも1つのエラストマークリーニング要素を備えることを目的とする成形キャビティ内に第1のプラスチック材料を注入する工程を含む。したがって、盲穴はエラストマークリーニング要素のための成形キャビティを表し、盲穴の形はエラストマークリーニング要素の外側表面を画定する。一実施形態では、エラストマークリーニング要素は、剛毛房がクリーニング要素支持体に挿入される前にクリーニング要素支持体に注入される。別の実施形態では、エラストマークリーニング要素は、剛毛房がクリーニング要素支持体に挿入された後にクリーニング要素支持体に注入される。加えて又は代わりに、エラストマークリーニング要素は、第1のクリーニング要素支持体に注入され、第2のクリーニング要素支持体に移動されてもよく、剛毛房は、エラストマークリーニング要素の前に、又はそれと同時に、又はその後に、その第2のクリーニング要素支持体に挿入され得る。エラストマークリーニング要素の外形が射出成形により製造可能な外形である限りは、本明細書に開示した方法により任意の外形のエラストマークリーニング要素を製造し得る。
【0022】
歯ブラシ頭部の製造方法は、更に、第2のプラスチック材料を注入してブラシ頭部又はその部品を形成する工程を含む。それにより、1つ以上の剛毛房及び少なくとも1つのエラストマークリーニング要素が第2のプラスチック材料によってオーバーモールドされ、第2のプラスチック材料のショア硬度は、第1のプラスチック材料のショア硬度より高い。それにより、優れた結合を示す多成分プラスチック部品が形成される。第1のプラスチック材料と第2のプラスチック材料との間の良好な接着は、組み立て、接触表面の活性化、又はアンダーカットにより両方の構成要素を接続させる必要なく達成される。それは、具体的には、逆の射出成形順序では互いに接着しないであろう材料の組み合わせもまた結合可能にすることにより、材料の高度な適応性を可能にする。したがって、この成形物品、具体的には歯ブラシの外形は、いかなる結合の制限も含まない。
【0023】
第2のプラスチック材料による第1のプラスチック材料のオーバーモールドの間、第1のプラスチック材料は部分的に融解され得る。この部分的な融解によって、2つのプラスチック成分の結合強度は、更に高められる。加えて又は代わりに、第1と第2のプラスチック材料を接触表面で少なくとも部分的に混合し得る。混合された接触表面は、さもなければ互いに接着しないプラスチック構成要素の結合を可能にする。
【0024】
加えて又は代わりに、第1及び第2のプラスチック材料は、成形装置の同じ部位から射出される。具体的には、第1及び第2のプラスチック材料を射出するためのノズルは、成形装置の同一の位置に配置され得る。そのような配置は、成形工具の費用を低減し得る。
【0025】
本明細書に開示した方法によると、より低いショア硬度を有する第1のプラスチック材料が最初に射出され、より高いショア硬度を有する第2のプラスチック材料によりオーバーモールドされる。それにより、第1の射出工程と第2の射出工程との間の冷却時間を短くすることができる。例えば、第1のプラスチック材料は完全に硬化されてはならないが、第1のプラスチック材料は、第2のプラスチック材料によるオーバーモールド中にその外形輪郭が変化しないほどに十分に硬化すれば十分である。例えば、第1のプラスチック材料の注入から第2のプラスチック材料の注入までの間の冷却時間は、10秒未満、5秒未満、又は2秒未満であり得る。
【0026】
剛毛房は、融合された房として、又は複数のフィラメントとして、クリーニング要素支持体に挿入され得る。フィラメントの端部を組み合わせるために、後者を加熱してフィラメントを部分的に融解し得る。そのようにして、丸い肥大部が形成される。次いで、融解された端部に任意の種類のプランジャを用い、平らな均一の構造を形成することができる。融解及び平坦化は、加熱されたプランジャを用いて1工程で行うことができる。したがって、この方法は、肥大部を形成するために剛毛フィラメントの端部を加熱し、肥大部を例えばプランジャのような平坦化工具で押圧することにより肥大部を平坦化する工程を含み得る。したがって、肥大部とクリーニング要素支持部との間の隙間は、射出成形中に第2の材料が肥大部の周囲に流れることができるようにそのまま残されなくてはならない。
肥大部がクリーニング要素の表面と直接接触している場合は、肥大部をブラシ頭部内にしっかりと埋め込むために必要な隙間を再び確立するために、クリーニング要素支持体の表面を肥大部から離すように移動し得る。
【0027】
本明細書に開示した方法により製造されたブラシ頭部、歯ブラシ頭部若しくはその部品又は歯ブラシは、任意の種類の手動又は電動の歯ブラシの製造に使用され得る。本明細書に開示した方法はまた、封止又は梱包にも使用することができ、あるいは、複合体及び多くの他の工業用の多成分射出成形製品に使用することができる。
【0028】
以下で、いくつかの例示的な実施形態の詳細な説明が示される。留意されたいこととして、本開示にて記載されるすべての特徴は、それらが、更に一般的な実施形態の先の説明に開示されているか、例示的な実施形態の次の説明に記載されているかに関わらず、それらが特定の実施形態の状況で記載され得るものであっても、本開示の趣旨及び範囲と矛盾しない限り、言うまでもなく、開示される他のすべての特徴と組み合わされ得る個々の特徴として開示されるように意図されたものである。具体的には、ブラシ頭部の製造方法又はブラシ頭部自体のいずれかについて開示したすべての特徴は、該当する場合、他方にもまた適用され得る。
【0029】
図1は、具体的には歯ブラシ頭部である多成分プラスチック部品を成形することができる成形工具30の例示の実施形態を示す。成形キャビティは、第1の成形半体32と第2の成形半体34から成形される。形成されたキャビティ内に第1のプラスチック材料12を注入し、第1のプラスチック材料のショア硬度より高いショア硬度を有する第2のプラスチック材料16により第1のプラスチック材料をオーバーモールドする。接触表面18で、第1と第2のプラスチック材料は少なくとも部分的に混合される。接触表面18は、本質的に構造化されていない平らな層である。
【0030】
図2は、具体的には歯ブラシ頭部である多成分プラスチック部品を成形することができる成形工具30の別の例示の実施形態を示す。前述の図1に示した成形工具と共通の特徴は、同じ参照番号で示されている。成形キャビティは、第1の成形半体32と第2の成形半体34から成形される。形成されたキャビティに第1のプラスチック材料12が注入され、第1のプラスチック材料12は、第2の成形半体34により形成されたキャビティ内に達する突出部19が形成されるように注入される。次いで、第1のプラスチック材料12は第2のプラスチック材料16でオーバーモールドされ、第2のプラスチック材料のショア硬度は第1のプラスチック材料のショア硬度より高い。接触表面18で、第1と第2のプラスチック材料は少なくとも部分的に混合される。第1の成形工程で形成された突出部19のために、接触表面18は第1の成形半体32と第2の成形半体34との接触平面内に完全には位置付けられず、第2の成形半体34により形成されるキャビティ内に部分的に位置付けられる。
【0031】
図3は、具体的には歯ブラシ頭部である多成分プラスチック部品を成形することができる成形工具30の別の例示の実施形態を示す。前述の図1及び2に示した成形工具と共通の特徴は、同じ参照番号で示されている。成形キャビティは、第1の成形半体32と第2の成形半体34から形成される。形成されたキャビティに第1のプラスチック材料12が注入され、第1のプラスチック材料12は、第2の成形半体34により形成されたキャビティ内に達する突出部19が形成されるように注入される。第2のプラスチック材料16で第1のプラスチック材料12をオーバーモールドする間にアンダーカット17が形成されるように突出部19が形成され、第2のプラスチック材料のショア硬度は第1のプラスチック材料のショア硬度より高い。接触表面18で、第1と第2のプラスチック材料は少なくとも部分的に混合される。形成されたアンダーカット17のために、第1のプラスチック材料12と第2のプラスチック材料16との間の結合力は機械的保持力により増加する。
【0032】
図1〜3の成形工具で形成された多成分プラスチック部品が歯ブラシ頭部である場合、エラストマークリーニング要素は第1のプラスチック材料12から形成されてよく、ブラシ頭部は第2のプラスチック材料16から形成されてよい。第1のプラスチック材料12は、35〜45の範囲のショアA硬度を有する熱可塑性エラストマーであり得、第2のプラスチック材料は、40〜80の範囲のショアD硬度を有するポリプロピレンであり得る。
【0033】
図4及び5は、歯ブラシを形成するために任意の歯ブラシ首部20と任意の歯ブラシハンドルが接続可能である歯ブラシ頭部10又はその断面を示す。これらの頭部10は、純粋に手動の歯ブラシ及び電動歯ブラシに等しく適している。これらの実施形態に示した歯ブラシ頭部10の特徴のそれぞれは、図示したものより縮小された形状又は異なる組み合わせで設計され得る。クリーニング要素は、第1のプラスチック材料12から作られ、第2のプラスチック材料16でオーバーモールドされる、少なくとも1つのエラストマークリーニング要素12aを含む。したがって、少なくとも1つのエラストマークリーニング要素12aは、第2のプラスチック材料16内に埋め込まれる。
【0034】
図4Aは、剛毛房クリーニング要素14a、14b、14cと組み合わされた少なくとも1つのエラストマークリーニング要素12aを含む、いくつかのタイプのクリーニング要素を有する例示の歯ブラシ頭部10のクリーニング側の概略平面図を示す。クリーニング要素はブラシ頭部10から矩形に突出してもよく、又はブラシ頭部10の表面に対して任意の方向に傾斜してもよい。剛毛房クリーニング要素14a、14b、14cは、異なる房外形、即ち丸房14a、細長い矩形房14b、又は楕円形房14cを示す。剛毛房14a、14b、14cの剛毛は、例えばポリアミドから作られる。エラストマークリーニング要素12aは、射出成形により第1のプラスチック材料12から作られる。第1のプラスチック材料12は、25〜35のショアA硬度を有する熱可塑性エラストマーであり得、選択されるショアA硬度は、エラストマークリーニング要素の外形によって異なる。
剛毛房クリーニング要素14a、14b、14cは、第1のプラスチック材料12を成形型に注入する前又は後に導入され得る。次いで、剛毛房クリーニング要素及びエラストマークリーニング要素を支持している成形型を用いて、ブラシ頭部材料の注入中に成形キャビティにクリーニング要素をもたらす。剛毛房クリーニング要素14a、14b、14c及びエラストマークリーニング要素12aをオーバーモールドする第2のプラスチック材料16の射出成形によりブラシ頭部10が形成される。第2のプラスチック材料16は、約50〜約60の範囲のショアD硬度を有するポリプロピレンであり得る。
【0035】
図4Bは、図4Aに示した歯ブラシ頭部10の概略長手方向断面図である。剛毛房クリーニング要素14a、14b、14cは、歯ブラシ頭部10を形成する第2のプラスチック材料16内に埋め込まれている。エラストマークリーニング要素12aは基底区域13を含み、そこからエラストマークリーニング要素12aが突出している。基底区域13が第2のプラスチック材料16でオーバーモールドされたので、エラストマークリーニング要素12aは第2のプラスチック材料16にしっかりと接続されている。図4Bに示した歯ブラシ頭部10は、2つの部品16、16aを含む。剛毛房14及びエラストマークリーニング要素12aを埋め込むために使用される材料16はまた、首部20の形成にも使用され得る。加えて又は代わりに、わずかに異なる第2の材料16bを使用してブラシ頭部10の首部を形成してもよい。例えば、第2のプラスチック材料16は、約50〜約60の範囲のショアD硬度を有するポリプロピレンであってよく、材料16bは、異なるショア硬度を有するポリプロピレン、又は同じショア硬度だが別の色を有するポリプロピレン、又は異なるプラスチック材料であってよい。
【0036】
図4Cは、図4Aに示した歯ブラシ頭部10の概略斜視図である。エラストマークリーニング要素12a及び剛毛房クリーニング要素14a、14b、14cは、第2の材料16でオーバーモールドされて、歯ブラシ頭部10を形成する。歯ブラシ頭部10は首部20によってハンドル(図示せず)に接続され得る。
【0037】
図5Aは、剛毛房クリーニング要素14a、14bと組み合わされた2つのエラストマークリーニング要素12a、12bを含むいくつかのタイプのクリーニング要素を有する別の例示の歯ブラシ頭部10のクリーニング側の概略平面図を示す。クリーニング要素はブラシ頭部10から矩形に突出してもよく、又はブラシ頭部10の表面に対して任意の方向に傾斜してもよい。剛毛房クリーニング要素14a、14bは、異なる房外形、即ち、丸房14a及び細長い矩形房14bを示す。剛毛房14a、14bの剛毛は、例えばポリアミドから作られる。エラストマークリーニング要素12a、12bは、射出成形により第1のプラスチック材料12から作られる。第1のプラスチック材料12は、約40〜約50の範囲のショアA硬度を有する熱可塑性エラストマーであり得る。剛毛房クリーニング要素14a、14bは、第1のプラスチック材料12を成形型に注入する前又は後に導入され得る。次いで、剛毛房クリーニング要素及びエラストマークリーニング要素を支持している成形型を用いて、ブラシ頭部材料の注入中に成形キャビティにクリーニング要素をもたらす。剛毛房クリーニング要素14a、14b及びエラストマークリーニング要素12a、12bをオーバーモールドする第2のプラスチック材料16の射出成形によりブラシ頭部10が形成される。第2のプラスチック材料16は、約55〜約65の範囲のショアD硬度を有するポリプロピレンであり得る。
【0038】
図5Bは、図5Aに示した歯ブラシ頭部10の概略長手方向断面図である。剛毛房クリーニング要素14a、14bは、歯ブラシ頭部10及び首部20を形成する第2のプラスチック材料16内に埋め込まれている。エラストマークリーニング要素12aは基底区域13を含み、そこからエラストマークリーニング要素12aが突出している。基底区域13が第2のプラスチック材料16でオーバーモールドされたので、エラストマークリーニング要素12aは第2のプラスチック材料16にしっかりと接続されている。エラストマークリーニング要素12bは、ブラシ頭部10から個々に突出している。したがって、エラストマークリーニング要素12bが第2のプラスチック材料16で個々にオーバーモールドされたので、エラストマークリーニング要素12bは第2のプラスチック材料16にしっかりと接続されている。
【0039】
図5Cは、図5Aに示した歯ブラシ頭部10の概略斜視図である。エラストマークリーニング要素12a、12b及び剛毛房クリーニング要素14a、14bは、第2の材料16でオーバーモールドされて、歯ブラシ頭部10を形成する。歯ブラシ頭部10は首部20によってハンドル(図示せず)に接続され得る。
【0040】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C