特許第6651491号(P6651491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6651491
(24)【登録日】2020年1月24日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】送風装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/60 20060101AFI20200210BHJP
   F04D 29/58 20060101ALI20200210BHJP
【FI】
   F04D29/60 H
   F04D29/58 M
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-227209(P2017-227209)
(22)【出願日】2017年11月27日
(65)【公開番号】特開2019-94881(P2019-94881A)
(43)【公開日】2019年6月20日
【審査請求日】2018年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106944
【氏名又は名称】シナノケンシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100135622
【弁理士】
【氏名又は名称】菊地 挙人
(72)【発明者】
【氏名】福澤 陽仁
(72)【発明者】
【氏名】冨澤 繁利
【審査官】 大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−2209(JP,A)
【文献】 実開平1−147659(JP,U)
【文献】 特開2017−155632(JP,A)
【文献】 国際公開第00/54996(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/110468(WO,A1)
【文献】 特表2015−506659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/60
F04D 29/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンと、
前記ファンを回転させるモータと、
前記モータを支持したケースと、
前記ケース内に収納された発熱部品と、を備え、
前記ケースは、前記ファンの回転により生じる送風空気を前記発熱部品へ案内する流路部を画定する本体部材、前記流路部上に形成された開口部を塞ぐ閉塞部材、を有し、
前記本体部材は、前記流路部上に設けられ前記閉塞部材を固定する固定部を有し、
前記固定部は、前記開口部の内周縁よりも内側に位置し
前記固定部は、前記開口部に向けて延びた柱状であり、前記固定部を当該固定部が延びた方向から見た場合に、前記流路部での前記送風空気の流通方向を長手方向とし、前記流通方向に直交する方向を短手方向とした形状であり、
前記固定部は、前記流通方向の上流側及び下流側にそれぞれ位置した上流側テーパー部及び下流側テーパー部を有し、
前記上流側テーパー部は、前記流通方向の上流側に従って前記流通方向に直交する方向の厚みが徐々に薄くなり、
前記下流側テーパー部は、前記流通方向の下流側に従って前記流通方向に直交する方向の厚みが徐々に薄くなる、送風装置。
【請求項2】
前記閉塞部材は、前記本体部材と共に前記発熱部品を収納する、請求項1の送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ファンを備えた送風装置には、ファンの回転によって生じる送風空気の一部をその送風装置内に設けられた発熱部品を冷却するために用いるものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6111914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
送風空気を発熱部品に導く流路部が、複数の部品から構成される場合が考えられる。例えば、送風装置のケースの一部分に流路部が形成され、このケースの流路部上に開口部があり、この開口部を塞ぐように閉塞部材がケースに取り付けられる場合がある。この場合、開口部と閉塞部材との隙間からの空気漏れを抑制するためには、開口部周辺の複数個所でケースと閉塞部材とを固定する必要があり、組立作業が煩雑となる。
【0005】
そこで本発明は、組立作業性が向上した送風装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、ファンと、前記ファンを回転させるモータと、前記モータを支持したケースと、前記ケース内に収納された発熱部品と、を備え、前記ケースは、前記ファンの回転により生じる送風空気を前記発熱部品へ案内する流路部を画定する本体部材、前記流路部上に形成された開口部を塞ぐ閉塞部材、を有し、前記本体部材は、前記流路部上に設けられ前記閉塞部材を固定する固定部を有し、前記固定部は、前記開口部の内周縁よりも内側に位置している、送風装置によって達成できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、組立作業性が向上した送風装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施例の送風装置の外観図である。
図2図2は、図1のA−A断面図である。
図3図3は、上ケースから下ケースを取り外した状態での斜視図である。
図4図4は、上ケースから下ケースを取り外した状態での斜視図である。
図5図5は、固定部周辺の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施例の送風装置Aの外観図である。図2は、図1のA−A断面図である。送風装置Aは、上ケース(以下、単にケースと称する)10、及び下ケース(以下、単にケースと称する)20、モータM、モータMにより回転されるファンI、モータMに電気的に接続されたプリント基板PB等を含む。尚、ファンIは、図2のみにおいて示し、その他の図では省略してある。ケース10の一方側にモータM及びファンIが位置し、ケース10の他方側にケース20が取り付けられている。ケース10及び20は、それぞれ半ケース状に形成され、互いに組み付けられることにより、ケース10及び20内にプリント基板PBや電子部品が収納されている。ケース10及び20は合成樹脂製であるが、これに限定されず、金属製であってもよい。
【0010】
ケース10には、ファンIの回転によって生じる送風空気を、プリント基板PBに熱的に接続された金属製のヒートシンク200へ案内する流路部11が形成されている。流路部11の導入口11a及び開口部11bは共にファンIに対向している。また、開口部11bからはヒートシンク200が露出しないようにカバーCVが設けられている。尚、カバーCVを開口部11bから取り外すことにより、ヒートシンク200のメンテナンス作業が容易となる。ファンIの回転によって生じた送風空気は、導入口11aから流路部11内を流れてヒートシンク200を通過して開口部11bからファンI側に排出される。図2には、流路部11を流通する送風空気の流通方向Fを矢印で記載している。このように、ヒートシンク200は、ファンIの回転により放熱が促進され、これによりプリント基板PBの冷却性が確保されている。ヒートシンク200は、発熱部品の一例である。尚、流路部11上には、詳しくは後述する固定部12が設けられている。
【0011】
モータMについて説明する。図2に示すように、モータMは、ファンIとケース10との間に位置している。モータMは、コイル30と、ロータ40、ステータ50、ターミナル60、ハウジング80、カバー90等を有している。ステータ50は、金属製であり詳しくは後述する。ステータ50の各ティース部には、それぞれコイル30が巻回されている。コイル30は、ステータ50に導通不能に支持されたターミナル60を介して、プリント基板PBと電気的に接続されている。プリント基板PBには、コイル30の通電状態を制御するための部品が実装されている。
【0012】
ロータ40は、回転軸42、ヨーク44、1つまたは複数の永久磁石46、を有している。回転軸42は、ハウジング80を貫通して回転可能に支持されており、具体的には、ハウジング80内で保持された軸受BBにより回転軸42は回転可能に支持されている。ヨーク44は、ハウジング80の外側で回転軸42に固定されており、略円筒状であり金属製である。ハウジング80は、略円筒形状の円筒部81と、円筒部81のプリント基板PB側の端部に円筒部81よりも外径が大きい円板状のフランジ部85とを有している。フランジ部85には、ターミナル60が貫通した逃げ孔が形成されている。ヨーク44の内周側面には、1つまたは複数の永久磁石46が固定されている。尚、ヨーク44には、回転軸42の周囲に複数の通気孔44aが設けられて、モータMの放熱が促進されている。永久磁石46は、ステータ50のティース部の外側に対向している。コイル30が通電されることにより、ステータ50のティース部が励磁され、これにより永久磁石46とティース部との間に磁気的吸引力及び反発力が作用し、ヨーク44、即ち、ロータ40はステータ50に対して回転する。このように、モータMはロータ40が回転するアウターロータ型のモータである。
【0013】
ケース10の略中心に開口が形成されている。この開口を貫通するようにハウジング80が配置されている。具体的には、ケース10及び20内であってプリント基板PB側にハウジング80のフランジ部85が位置し、円筒部81が開口から外側に突出するように配置されている。また、開口の周辺に位置するケース10の周辺壁部15とカバー90との間には、略円環状のゴム部材110が軸心方向ADに圧縮された状態で配置されている。また、ハウジング80のフランジ部85と周辺壁部15との間、及びフランジ部85とカバー90との間には、略円環状のゴム部材100が軸心方向ADに圧縮された状態で配置されている。ゴム部材100は、ゴム部材110と略同心円状に配置されており、外径はゴム部材110よりも小さい。ゴム部材100及び110は、軸心方向ADに圧縮されているため、これらの弾性復元力により上記の隙間をシールすることができ、防塵性、防水性、更には防振性が確保されている。
【0014】
次に流路部11について説明する。図3及び図4は、ケース10からケース20を取り外した状態での斜視図である。図4に示すように、ケース10には、外周側に固定部12〜12dが形成されている。固定部12〜12dは、熱カシメによりケース10にケース20を固定するための部分である。固定部12〜12dのそれぞれには、熱カシメ用の凸部が形成されている。ケース10へのケース20の固定は以下のように行う。固定部12〜12dの各凸部に対応するように、ケース20に孔部が形成されている。固定部12〜12dの各凸部とケース20の各孔部とが重なった状態で、ケース20から突出した凸部の端部を加熱して、ケース20の孔部の径よりもピンの端部が大きくなるように融解させる。これにより、ケース10にケース20が固定される。
【0015】
また、図4に示すように、流路部11上には、開口部11cが形成されている。開口部11cは、ケース10を成形する金型の制約により形成される。開口部11cは、上述したようにケース10にケース20が固定された際に、ケース20の一部分によって閉塞される部分である。従って、流路部11はケース10及び20により協働で画定されている。ケース10は、本体部材の一例である。ケース20は、閉塞部材の一例である。上述した固定部12は、開口部11cの略中央部から露出している。固定部12は、軸心方向ADに延びた柱状である。
【0016】
図5は、固定部12周辺の拡大図である。固定部12は、開口部11cの内周縁部で包囲された位置に設けられている。固定部12は、固定部12の延びた方向から見た場合、ファンIが回転した場合での流路部11での送風空気の流通方向Fを長手方向とし、流通方向Fに直交する方向を短手方向とした形状である。具体的には固定部12は、軸心方向ADに突出したピン状の凸部121と、凸部121よりも流通方向Fの上流側に位置した上流側テーパー部123と、凸部121よりも流通方向Fの下流側に位置した下流側テーパー部125とを有している。凸部121は、対応する位置に設けられたケース20の孔部に挿入されて先端が融解されてその後に硬化することにより、ケース10とケース20とが固定される。即ち、凸部121は、熱カシメ用のピンとして機能する。凸部121は、開口部11cの略中央に位置している。上流側テーパー部123は、流通方向Fの上流側に従って流通方向Fに直交する方向の厚みが徐々に薄くなっている。同様に、下流側テーパー部125は、流通方向Fの下流側に従って流通方向Fに直交する方向の厚みが徐々に薄くなっている。上流側テーパー部123及び下流側テーパー部125のそれぞれの先端部の厚みは、凸部121の直径よりも薄くなっている。
【0017】
上述したように、固定部12は開口部11cの内周縁で包囲された位置に形成されているため、開口部11cを塞ぐように固定部12にケース20の一部が固定された場合に、開口部11cとケース20との間に隙間が発生することが抑制される。これにより、空気漏れや、それに伴う騒音の増大などが抑制される。
【0018】
また、開口部11cとケース20との間の隙間の発生を抑制するために、開口部11c周辺の複数個所でケース10及び20を固定する必要もないため、ケース10及び20の組立作業性が向上している。
【0019】
上述したように固定部12は、流通方向Fを長手方向とした形状であって、上流側テーパー部123及び下流側テーパー部125を有している。これにより流路部11上に固定部12が形成されていても、流路部11を流通する空気の圧損を抑制し、ヒートシンク200の放熱を効果的に促進することができる。
【0020】
図4に示すように、固定部12、12a、及び12bは、略同一円弧線上に位置している。このため、ケース10及び20を安定して固定することができる。
【0021】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、変形・変更が可能である。
【0022】
上記実施例では発熱部品の一例としてヒートシンク200を説明したが、これに限定されない。例えば、発熱部品は電力が供給されることに伴って発熱する部品であればよく、ヒートシンク200以外に、例えばモータのコイルや端子部、その他プリント基板に実装された電子部品であってもよい。
【0023】
上記実施例では、凸部121は開口部11cの略中央に位置しているがこれに限定されず、発熱部品の位置や大きさ、形状に応じて、固定部12や凸部121の位置を開口部11cの中央からずれた位置に設定してもよい。但し、上述した空気漏れを抑制する観点からは、固定部12や凸部121の位置は開口部11cの中央に近い方が好ましい。
【0024】
上記実施例では、開口部11cを塞ぐように固定部12にケース20を固定する方法は、上述した熱カシメに限定されない。例えば、ネジ止めやスナップフィット、リベット等によって固定してもよい。ネジ止めやリベット等を用いる場合には、上述した凸部121がネジやリベットが挿入される孔部に対応する。
【符号の説明】
【0025】
A 送風装置
M モータ
10 ケース(本体部材)
11 流路部
11a 導入口
11b 開口部
11c 開口部
12 固定部
121 凸部
123 上流側テーパー部
125 下流側テーパー部
20 ケース(閉塞部材)
200 ヒートシンク(発熱部品)
図1
図2
図3
図4
図5