(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6651495
(24)【登録日】2020年1月24日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】同心フィルタ付きの喫煙物品
(51)【国際特許分類】
A24D 3/04 20060101AFI20200210BHJP
A24D 3/16 20060101ALI20200210BHJP
【FI】
A24D3/04
A24D3/16
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-243560(P2017-243560)
(22)【出願日】2017年12月20日
(62)【分割の表示】特願2015-514661(P2015-514661)の分割
【原出願日】2013年5月29日
(65)【公開番号】特開2018-64584(P2018-64584A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2018年1月15日
(31)【優先権主張番号】12170247.6
(32)【優先日】2012年5月31日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/653,550
(32)【優先日】2012年5月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ブランジー エレーヌ
(72)【発明者】
【氏名】オッジエ ナディーヌ ラクロワ
【審査官】
礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−038144(JP,A)
【文献】
米国特許第05392792(US,A)
【文献】
特表2003−500078(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/060008(WO,A1)
【文献】
特開平06−098747(JP,A)
【文献】
特開平07−250666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/00 − 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙物品であって、
タバコロッドと、
前記タバコロッドに取り付けられたフィルタと、
を備え、前記フィルタが、吸着剤材料を含む中央コア部分と前記中央コア部分の周りに外接する外周層とを有する同心吸着剤セグメントを含み、前記中央コア部分が、前記外周層よりも低い吸引抵抗を有し、前記喫煙物品内の吸着剤の少なくとも約80重量%が前記中央コア部分内に配置され、
前記喫煙物品がさらに、
前記同心吸着剤セグメントの上流かつ上流端部から5mm以内に配置された通気ゾーンを備える、ことを特徴とする喫煙物品。
【請求項2】
前記タバコロッド及び前記同心吸着剤セグメントの間でこれらと軸方向に整列された第2のフィルタセグメントをさらに備え、前記通気ゾーンが、前記第2のフィルタセグメントの長さに沿って配置される、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項3】
前記同心吸着剤セグメントが、第3のフィルタセグメントを前記第2のフィルタセグメントから分離することを特徴とする、請求項2に記載の喫煙物品。
【請求項4】
前記中央コア部分の吸引抵抗が、前記外周層の吸引抵抗の約75%又はそれよりも小さい、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の喫煙物品。
【請求項5】
前記喫煙物品が、約25mg未満の吸着剤材料を含む、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の喫煙物品。
【請求項6】
前記吸着剤が活性炭素を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の喫煙物品。
【請求項7】
前記喫煙物品内の吸着剤の全量が前記喫煙物品の中央コア部分内に配置されることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の喫煙物品。
【請求項8】
前記中央コア部分が、セルロース材料内に分散された炭素材料を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の喫煙物品。
【請求項9】
前記中央コア部分が炭素材料を含浸させた紙を含み、前記外周層がセルロースアセテート・トウを含む、ことを特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれかに記載の喫煙物品。
【請求項10】
前記同心吸着剤セグメントに沿って配置された第2の通気ゾーンをさらに備える、ことを特徴とする、請求項1〜請求項9のいずれかに記載の喫煙物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、同心フィルタセグメントのコア内に吸着材を配置した同心フィルタセグメント付きの喫煙物品に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルタ付きシガレットは、典型的には、カットフィラの巻きタバコロッドと、巻きタバコロッドと端と端を突き合わせた関係で位置合わせされた円筒形フィルタとを含む。従来のフィルタ付きシガレットにおいては、フィルタは、多孔性プラグラップに巻かれたセルロースアセテート・トウのプラグから成ることができる。場合によっては、一つの材料を内側コアに使用し、別の材料がコアを囲んで同心フィルタプラグの外側部分を形成する、同心コア設計を有するフィルタプラグを用いることが周知である。
【0003】
煙の成分を捕捉するための効率的な吸着材含有フィルタセグメントを有する新規な喫煙物品を提供することが望ましいことになる。新規な喫煙物品は、最小量の吸着剤材料を使用してコストを低減し、風味への影響を潜在的に最小限に抑えることが望ましい。吸着剤の効率を向上させる新規な喫煙物品構造を提供することが、特に望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本開示によると、タバコロッドと、タバコロッドに取り付けられたフィルタとを有する喫煙物品が提供される。フィルタは、吸着剤材料を有する中央コア部分と、中央コア部分の周りに外接する外周層とを備えた同心吸着剤セグメントを含む。中央コア部分は、外周層よりも低い吸引抵抗又は低密度、或いは、低吸引抵抗と低密度の両方を有する。同心吸着剤セグメントの上流端部に隣接して通気ゾーンが設けられる。
【0005】
本開示による喫煙物品は、吸着剤材料との煙成分の接触を改善するための効果的な方法を提供する。煙成分は、同心吸着剤セグメントの中央コア部分を優先的に通過する。新規な喫煙物品構造は、主流煙を同心吸着剤セグメントの中央コア部分を通るように集めて、吸着剤材料の効率を高める。このことにより、所望レベルの煙成分の捕捉を達成するために、より少ない吸着剤材料の使用(及びより少ない関連コスト)が可能になる。さらに、喫煙物品においてより少ない吸着剤材料を使用することは、喫煙物品の風味に対する吸着剤材料の影響を最小にするのを助けることができる。
【0006】
本開示による喫煙物品は、タバコロッドに取り付けられたフィルタを含む。フィルタ又はフィルタ要素は、タバコロッドと軸方向に整列される。多くの実施形態において、フィルタ又はフィルタ要素は、チップペーパーを用いてタバコロッドに接合される。フィルタ又はフィルタ要素は、1又はそれ以上のセグメントで形成することができる。喫煙物品は、互いに軸方向に整列された3つのフィルタセグメントを含むことが好ましい。
【0007】
フィルタは、同心のフィルタセグメントを含む。同心フィルタセグメントは、吸着剤材料を備えた中央コア部分と、中央コア部分の周りに外接する外周層とを含む。外周層及び中心コアは、材料の透過性層又はより好ましくは不透過性層によって互いから分離することができる。外周と中心コアとを分離する材料は、20コレスタ単位又はそれよりも大きい多孔率(porosity)を有する場合は透過性であり、20コレスタ単位未満の多孔率を有する場合は不透過性である。
【0008】
中央コア部分の吸引抵抗(RTD)は、外周層のRTDよりも小さい。多くの実施形態において、中央コア部分のRTDは、外周層のRTDの約90%よりも小さいか、又は外周層のRTDの約75%よりも小さいか、又は外周層のRTDの約65%よりも小さい。多くの実施形態において、中央コア部分のRTDは、外周層のRTDの約10%乃至約90%、又は約20%乃至約75%、又は約30%乃至約65%である。RTDの測定は、以下でさらに検討される。
【0009】
幾つかの実施形態において、外周層のRTDは、中央コア部分における可塑剤の量に対して外周層における可塑剤の量を増やすことにより、中心コアに対して増大させることができる。場合によっては、外周層は、約8重量%より多い可塑剤又は約9重量%より多い可塑剤を有することができる。加えて又は代替的に、外周層は、約12重量%より少ない可塑剤を有することができる。さらに、幾つかの実施形態においては、中央コア部分もまた、可塑剤を含有することができる。例えば、中央コア部分は、約7重量%未満の可塑剤又は約6重量%未満の可塑剤を有することができる。加えて又は代替的に、中央コアは、約3重量%より多い可塑剤を有することができる。中央コア部分は、外周層より低い密度を有することもできる。多くの実施形態において、中央コア部分は、外周層の密度の約90%より低い密度、約75%より低い密度、又は約65%より低い密度を有する。
【0010】
中央コア部分は円筒形形態を有することができる。中心コアは、セルロースベースの材料と、セルロースベースの材料内に分散又は含浸させた吸着剤材料とで形成することができる。多くの実施形態において、セルロースベースの材料は、例えば紙等のセルロース材料の不織ウェブである。他の実施形態において、中心コアは、セルロースアセテートとすることができる。
【0011】
「吸着剤」という用語は、1つ又はそれ以上の煙成分を捕捉する材料を指す。「煙」又は「タバコ煙」という用語は、タバコ材料が燃焼又は加熱、或いは燃焼と加熱の両方を受けたときに放出される蒸気及び粒子相の混合物を指す。吸着剤は、例えば、炭素(例えば、活性炭素、被覆炭素、ビーズ状炭素)、活性アルミニウム、ゼオライト、セピオライト、分子ふるい、及びシリカゲルを含む。多くの実施形態において、喫煙物品の総吸着剤材料の少なくとも約80重量%、又は少なくとも約90重量%、又は全重量(100重量%)が中心コア内にある。
【0012】
多くの実施形態において、喫煙物品は、約25mg未満、約15mg未満、約10mg未満の吸着剤材料を含有する。幾つかの実施形態において、喫煙物品は、約1mg乃至約25mg、約1mg乃至約15mg、又は約1mg乃至約10mgの、例えば活性炭素等の吸着剤材料を含有する。多くの実施形態において、中心コアは、約25mg未満、約15mg未満、約10mg未満の吸着剤材料を含有する。幾つかの実施形態において、中心コアは、約1mg乃至約25mg、約1mg乃至約15mg、又は約1mg乃至約10mgの、例えば活性炭素等の吸着剤材料を含有する。多くの実施形態において、吸着剤は、中心コアを形成する紙の中に組み込むこと又は中心コアを形成する紙の表面上に分散することが可能である。幾つかの実施形態において、吸着剤は、中心コアを形成する紙の中に組み込まれ、かつ中心コアを形成する紙の表面上に分散される。
【0013】
外周層は、環状形態を有し、中央コア部分を囲むことができる。外周層は、中心コアの密度よりも大きい密度を有することができる。多くの実施形態において、外周層は吸着剤材料を含まない。外周層は、任意の有用なろ過材料で形成することができる。多くの実施形態において、外周層は、セルロースアセテートから形成される。他の実施形態において、外周層は、紙等のセルロース材料の不織ウェブで形成される。
【0014】
幾つかの実施形態において、フィルタは、同心吸着剤セグメントのみを含む。多くの実施形態において、フィルタは、同心吸着剤セグメントをタバコロッドから分離する第2のフィルタセグメントと軸方向に整列された同心吸着剤セグメントを含む。好ましい実施形態において、フィルタ要素は、軸方向に整列され、第2のフィルタセグメントと第3のフィルタセグメントを分離する同心吸着剤セグメントを含む。同心吸着剤セグメントは、上流端部と下流端部とを有する。上流端部は、タバコロッドに向かって延びる。
【0015】
外周層は、第1の外径を有することができ、中央コア部分は第2の外径を有することができる。第2の外径は、第1の外径の少なくとも約40%であることが好ましく、少なくとも約60%であることがより好ましい。加えて又は代替的に、第2の外径は第1の外径の約90%未満であり、約80%未満であることがより好ましい。第2の外径は、第1の外径の約40%と約90%の間であることが好ましく、第1の外径の約60%と約80%の間であることがより好ましい。
【0016】
第2のフィルタセグメント及び第3のフィルタセグメントは、任意の有用なろ過材料で形成することができる。多くの実施形態において、第2のフィルタセグメント及び第3のフィルタセグメントは、セルロースベースの材料で形成される。セルロースベースの材料は、紙等のセルロース材料の不織ウェブとすることができる。他の実施形態において、第2及び第3のフィルタセグメントの一方又は両方は、セルロースアセテートで形成することができる。多くの実施形態において、第2のフィルタセグメント及び第3のフィルタセグメントは、セルロースアセテート・トウ等の均一なろ過材料で形成される。第2のフィルタセグメント及び第3のフィルタセグメントは、例えば吸引抵抗等の喫煙物品の物理的特性を調節するように設計することができる。
【0017】
通気ゾーンは、同心吸着剤セグメントの上流端部に隣接して配置される。通気ゾーンは、周囲空気を喫煙物品に流入させて、流入した周囲空気と主流煙を混合する。通気ゾーンは、増大した多孔率を有し、通気ゾーンに隣接する区域と比較すると、より多くの空気流を通気ゾーンに沿って装置内に流入させることを可能にする。通気ゾーンは、チップペーパー内に形成された複数の開口部又は穿孔により設けることができる。複数の開口部又は穿孔は、喫煙物品の外周を一周することができる。多くの実施形態において、通気ゾーンは、少なくとも約30%、又は少なくとも約40%、又は少なくとも約60%の主流煙の外気希釈をもたらす。加えて又は代替的に、通気ゾーンは、約90%未満、又は約80%未満の外気希釈をもたらす。幾つかの実施形態において、希釈水準は、約30%から約90%までの間、約40%から約90%までの間、又は約60%から約80%までの間とすることができる。「希釈」という用語は、通気が完全に開いた状態で、フィルタの口側端部から消費者に送出される煙内に含まれる空気の重量百分率を指す。換気要素により達成される通気又は希釈の水準は、ISO試験法9512:2002を用いて求めることができる。
【0018】
本出願人は、通気ゾーンを同心吸着剤セグメントの上流端部の近くに又はこれに隣接して位置決めすることにより、同心吸着剤セグメントの吸着剤材料の効率を改善できることを発見した。いかなる特定の理論によっても制約されることを意図するものではないが、通気ゾーンを同心吸着剤セグメントの上流端部の近くに又はこれに隣接して位置決めすると、煙が同心フィルタセグメントを流れるときに、煙が中央コア部分及び吸着剤材料に向けて集まるようになると考えられる。
【0019】
多くの実施形態において、通気ゾーンは、同心吸着剤セグメントの上流端部から約5mm以内、又は約3mm以内、又は約1mm以内に配置される。好ましい実施形態において、通気ゾーンは、同心吸着剤セグメントの上流端部の上流約5mm以内、又は約3mm以内、又は約1mm以内に配置される。幾つかの実施形態において、通気ゾーンは、同心吸着剤セグメントをタバコロッドから分離する第2のフィルタセグメントの長さに沿って配置される。通気ゾーンは、同心吸着剤セグメントの上流約5mm以内、又は約3mm以内、又は約1mm以内、例えば、第2のフィルタセグメント内に配置される。幾つかの実施形態において、通気ゾーンは、フィルタの長さに沿って少なくとも2つの位置に配置され、同心吸着剤セグメントの中央コア部分を通して主流煙をさらに案内する。例えば、第1の通気ゾーンは、同心吸着剤セグメントの上流端部から約5mm以内、又は約3mm以内、又は約1mm以内(例えば、同心吸着剤セグメントの上流端部の上流のこれら距離のいずれか)とし、第2の通気ゾーンは、同心吸着剤セグメントにおける、第1の通気ゾーンの下流とすることができる。
【0020】
多くの実施形態において、喫煙物品の全長は、約70mmから約130mmまでの間、又は約85mmである。喫煙物品の外径、つまり外周層の第1の外径は、スリムサイズ喫煙物品では、約5mmと約8.5mmの間、又は約5mmと約7.1mmの間、レギュラーサイズの喫煙物品では、約7.1mmから約8.5mmまでの間とすることができる。
【0021】
喫煙物品のフィルタの全長は、約18mmから約36mmまでの間、より好ましくは約27mmとすることができる。個々のフィルタセグメント(すなわち、同心吸着剤セグメント、第2のフィルタセグメント、及び第3のフィルタセグメント)の長さは、同心吸着剤セグメントのみが存在する、第2のフィルタセグメントも存在する、又は第3のフィルタセグメントも存在するかによって変わる可能性がある。第2及び第3のフィルタセグメントは、約5mmから約10mmまでの間であることが好ましく、同心吸着剤セグメントは、約8mmから約16mmまでの間であることが好ましい。
【0022】
本開示の喫煙物品の吸引抵抗(RTD)は変わる可能性がある。多くの実施形態において、喫煙物品のRTDは、約90乃至130mmH
2Oである。喫煙物品のRTDとは、出力端において流量が毎秒17.5ミリリットルである空気流を定常状態下で試料に通した場合の試料の2つの端部の間の静圧差を指す。試料のRTDは、ISO標準6565:2002に規定された方法を用いて測定することができる。外周層及び中央コア部分のRTDは、まず、同心吸着剤セグメントをフィルタの残り部分と分離することにより試験することができる。次いで、同心吸着剤セグメントの中央コア部分の上流端部を塞ぎ、上述のRTD試験法を用いて、同心吸着剤セグメントの外周層のRTDを試験することができる。同心吸着剤セグメントの外周層の上流端部を塞ぎ、上述のRTD試験法を用いて、同心吸着剤セグメントの中央コア部分のRTDを試験することができる。例えば不透過性接着剤等の不透過性材料を用いて、同心吸着剤セグメントの部分を塞ぐことができる。
【0023】
本発明による喫煙物品は、内側ライナが1つ又はそれ以上の香味料で被覆された、例えばソフトパック又はヒンジ蓋パックなどの容器内に包装することができる。
【0024】
添付図面を参照しながら単なる例示として本開示をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】2つのフィルタセグメントを有する本開示による喫煙物品の概略的断面図を示す。
【
図2】3つのフィルタセグメントを有する本開示による喫煙物品の概略的断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1及び
図2に示す喫煙物品10は、軸方向に整列されたフィルタ11に取り付けられた、タバコ基材又はタバコロッド12を含む。フィルタ11は、チップペーパー14を用いてタバコロッド12に接合される。タバコロッド12は、細断された刻みタバコなどのタバコ材料13を含む。
【0027】
図1は、互いに軸方向に整列された同心の吸着剤セグメント20と第2のフィルタセグメント15とを有する喫煙物品10を示す。第2のフィルタセグメント15は、タバコロッド12を同心吸着剤セグメント20から分離する。同心吸着剤セグメント20は、上流端部22及び下流端部21を有する。上流端部22は、タバコロッド12に向かって延びる。
【0028】
図2は、同心吸着剤セグメント20が軸方向に整列され、第2のフィルタセグメント15と第3のフィルタセグメント17を分離する3つのフィルタセグメントを有する喫煙物品10を示す。同心吸着剤セグメント20は、上流端部22及び下流端部21を有する。上流端部22は、タバコロッド12に向かって延びる。
【0029】
通気ゾーン30は、同心吸着剤セグメント20の上流端部22に隣接して配置される。通気ゾーン30には、チップペーパー14内に形成された複数の開口部つまり穿孔が設けられ、チップペーパー14は、その他の場合には一般的に空気不透過性である。通気ゾーン30は、喫煙物品10の外周を一周することができる。通気ゾーン30を同心吸着剤セグメント20の上流端部の近く又はこれに隣接して位置決めすることにより、同心吸着剤セグメント20における吸着剤材料の効率が改善されるように思われる。通気ゾーン30は、同心吸着剤セグメント20の上流端部22の約5mm以内又は約3mm以内に配置することができる。好ましい実施形態において、示されるように、通気ゾーン30は、同心吸着剤セグメント22から約5mm以内又は約3mm以内に、かつ、第2のフィルタセグメント15の長さに沿って配置される。
【0030】
フィルタ11は、同心吸着剤セグメント20を含む。同心吸着剤セグメント20は、吸着剤材料を含む中央コア部分23と、中央コア部分23の周りに外接する外周層24を含む。上述のように、中央コア部分23は、外周層24よりも低い吸引抵抗つまり密度を有する。
【実施例】
【0031】
喫煙物品プロトタイプ(実施例A)及び基準喫煙物品(比較例)は、通気ゾーンの位置を除いて、同様に作成された。次いで、実施例A及び比較例が試験され、結果が以下に報告された。
【0032】
実施例A及び比較例は、比較例において通気ゾーンの位置が変えられたことを除いて、ここでは
図2に示すように作成された。同心吸着剤セグメントは、活性炭素8.4mgを含む紙で形成された中央コア部分を含んでいた。外周層は、セルロースアセテートで形成され、第2及び第3のフィルタセグメントもセルロースアセテートで形成された。中央コア部分は、780mmWGのRTDを示し、外周層は、1600mmWGのRTDを示した。同心吸着剤セグメントは、12mmの長さを有し、第2及び第3のフィルタセグメントはそれぞれ、7.5mmの長さを有していた。
【0033】
実施例Aは、第2のフィルタセグメント上に、同心吸着剤セグメントの上流端部から2.5mmのところに通気を有していた。比較例は、同心吸着剤セグメント上に、同心吸着剤セグメントの下流端部から4.5mmのところに通気ゾーンを有していた。表1は、実施例A及び比較例についての選択される物理的結果及び分析結果を報告する。
【表1】
【0034】
実施例A及び比較例の両方に対して煙成分分析を行って、炭素効率に対する換気位置の影響を評価した。表2は、分析された煙成分に関する実施例A及び比較例両方についての平均値及び標準偏差を報告する。
表2
【0035】
上記に報告された結果は、同心吸着剤セグメントの上流又は上流端部の近くに通気ゾーンを配置すると、同心フィルタセグメントにおける吸着剤の効率が向上することを示す。
【符号の説明】
【0036】
10:喫煙物品
11:フィルタ
12:タバコロッド
13:タバコ材料
14:チップペーパー
15:第2のフィルタセグメント
17:第3のフィルタセグメント
20:同心吸着剤セグメント
21:下流端部
22:上流端部
23:中央コア部分
24:外周層
30:通気ゾーン