(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6651501
(24)【登録日】2020年1月24日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】地震事象におけるエスカレータおよび動く歩道のための横方向の減衰および中間支持
(51)【国際特許分類】
B66B 23/00 20060101AFI20200210BHJP
【FI】
B66B23/00 B
【請求項の数】20
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-502926(P2017-502926)
(86)(22)【出願日】2015年3月26日
(65)【公表番号】特表2017-510526(P2017-510526A)
(43)【公表日】2017年4月13日
(86)【国際出願番号】US2015022661
(87)【国際公開番号】WO2015148762
(87)【国際公開日】20151001
【審査請求日】2018年3月23日
(31)【優先権主張番号】61/971,805
(32)【優先日】2014年3月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040729
【氏名又は名称】インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エバンス,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】クランプル,ダービト
(72)【発明者】
【氏名】マタイスル,ミヒャエル
【審査官】
須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−267655(JP,A)
【文献】
実開昭58−055128(JP,U)
【文献】
特開2013−245084(JP,A)
【文献】
特開2006−213470(JP,A)
【文献】
特開2013−241227(JP,A)
【文献】
特開2008−176982(JP,A)
【文献】
特開2007−290785(JP,A)
【文献】
実開昭53−019940(JP,U)
【文献】
特開2014−196180(JP,A)
【文献】
特開2008−195474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エスカレータまたは動く歩道の支持構造であって、
エスカレータまたは動く歩道のトラス支持部であって、横方向スロットを有する前記エスカレータまたは動く歩道のトラス支持部と、
第1の端部および第2の端部を有する中間鉛直部材と、を備え、いったん所定の摩擦係数を超えると、前記中間鉛直部材が前記トラス支持部に対して自由に横移動するように、前記中間鉛直部材は、その前記第1の端部で前記スロットを通って前記トラス支持部に接続され、かつ、その前記第2の端部で建物支持部に接続される、エスカレータまたは動く歩道の支持構造。
【請求項2】
前記中間鉛直部材の前記第2の端部が、2つの弾性緩衝材の間で建物支持部に接続される、請求項1に記載のエスカレータまたは動く歩道の支持構造。
【請求項3】
トラス支持部の各側方端部に配置された側柱をさらに備え、前記側柱が、支持構造に作用する鉛直力に耐え、かつ、建物支持部に対する側柱の横移動を許容するように、前記側柱の下に板状軸受をさらに備える、請求項1に記載のエスカレータまたは動く歩道の支持構造。
【請求項4】
前記中間鉛直部材の前記第2の端部が、2つの角ブラケットの間で建物支持部に接続される、請求項1に記載のエスカレータまたは動く歩道の支持構造。
【請求項5】
前記中間鉛直支持部の前記第1の端部が、装着された脚部を含み、前記脚部は、摺動板および前記横方向スロットを通って延在する接続ねじによって第1の摺動板に接続されている、請求項1に記載のエスカレータまたは動く歩道の支持構造。
【請求項6】
第2の摺動板をさらに備える、請求項5に記載のエスカレータまたは動く歩道の支持構造。
【請求項7】
前記トラス支持部が、Iビーム構造を備える、請求項5に記載のエスカレータまたは動く歩道の支持部。
【請求項8】
前記トラス支持部が、その底部の底側に第1の固定板を含み、その底部の表側に第2の固定板を含み、前記第1の摺動板は前記第1の固定板に装着され、前記第2の摺動板は前記第2の固定板に装着される、請求項7に記載のエスカレータまたは動く歩道の支持部。
【請求項9】
第1および第2の摺動板が、接続ねじによって接続される、請求項8に記載のエスカレータまたは動く歩道の支持構造。
【請求項10】
接続ねじが、約40Nm〜80Nmの締め付けトルクまでねじ締めされる、請求項9に記載のエスカレータまたは動く歩道の支持構造。
【請求項11】
摺動板が、ステンレススチール、真鍮、銅、PTFEコーティングされたシート材料、またはホワイトメタルでできている、請求項8に記載のエスカレータまたは動く歩道の支持構造。
【請求項12】
エスカレータまたは動く歩道の支持構造であって、
エスカレータまたは動く歩道のトラス支持部と、
第1の端部および第2の端部を有する中間鉛直部材であって、前記第1の端部は前記トラス支持部に装着され、前記第2の端部は少なくとも1つの取付ブラケットに接続され、
前記取付ブラケットは、前記取付ブラケットを建物支持部に接続するための少なくとも1つの接続ねじを受容するために少なくとも1つのスロットを有する、中間鉛直部材と、
前記取付ブラケットと前記建物支持部との間に位置する継ぎ板と、を備え、
前記接続ねじは、いったん所定の摩擦係数を超えると、前記中間鉛直部材が前記ブラケットに対して自由に横移動するように前記建物支持部に接続される、エスカレータまたは動く歩道の支持構造。
【請求項13】
エスカレータまたは動く歩道の支持構造であって、
横方向スロットを有するエスカレータまたは動く歩道のトラス支持部と、
少なくとも一対の摺動板であって、取付穴を有する前記摺動板と、
第1の端部および第2の端部を有する中間鉛直部材であって、前記第1の端部は脚部を含み、前記第2の端部は建物支持部に移動可能に接続されている、中間鉛直部材と、
少なくとも2つの接続ねじと、を備え、
前記中間鉛直部材の脚部は、前記取付穴を通って前記接続ねじによって前記摺動板に接続され、かつ、前記横方向スロットを通って前記支持トラス支持部に接続され、前記接続ねじは、いったん所定の摩擦係数を超えると、前記中間鉛直部材が前記トラス支持部に対して自由に横移動するように接続される、エスカレータまたは動く歩道の支持構造。
【請求項14】
前記中間鉛直部材の前記第2の端部が、2つの弾性緩衝材の間で建物支持部に接続される、請求項13に記載のエスカレータまたは動く歩道の支持構造。
【請求項15】
前記中間鉛直部材の前記第2の端部が、2つの角ブラケットの間で建物支持部に接続される、請求項13に記載のエスカレータまたは動く歩道の支持構造。
【請求項16】
接続ねじが、約40Nm〜80Nmの締め付けトルクまでねじ締めされる、請求項13に記載のエスカレータまたは動く歩道の支持構造。
【請求項17】
摺動板が、ステンレススチール、真鍮、銅、PTFEコーティングされたシート材料、またはホワイトメタルでできている、請求項13に記載のエスカレータまたは動く歩道の支持構造。
【請求項18】
前記弾性緩衝材の前記第2の端部が、ゴムでできている、請求項14に記載のエスカレータまたは動く歩道の支持構造。
【請求項19】
エスカレータまたは動く歩道の支持構造であって、
横方向スロットを有するエスカレータのトラス支持部と、
少なくとも一対の摺動板であって、取付穴を有する前記摺動板と、
第1の端部および第2の端部を有する中間鉛直部材であって、前記第1の端部は脚部を含み、前記第2の端部は2つの弾性緩衝材の間で建物支持部に移動可能に接続されている、中間鉛直部材と、
少なくとも2つの接続ねじと、を備え、
前記中間鉛直部材の脚部は、前記取付穴を通って前記接続ねじによって前記摺動板に接続され、かつ、前記横方向スロットを通って前記支持トラス支持部に接続され、前記接続ねじは、いったん所定の摩擦係数を超えると、前記中間鉛直部材が前記トラス支持部に対して自由に横移動するように接続される、エスカレータまたは動く歩道の支持構造。
【請求項20】
前記中間鉛直部材の前記第2の端部が、2つの角ブラケットの間で建物支持部に接続される、請求項19に記載のエスカレータまたは動く歩道の支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、エスカレータおよび動く歩道の分野に関し、より具体的には、エスカレータまたは動く歩道が、変位、特に、地震事象または地震によって引き起こされる「層間変形」による変位を受けたときに、そのようなエスカレータまたは動く歩道に横方向の減衰および中間支持の両方を提供する接続装置および構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の動く歩道またはエスカレータは、典型的には、支持トラスと、指定経路に沿って連続的な運動を提供するようにトラス内でループ状に移動する、複数の相互接続された踏段または平坦な連結部とを含む。エスカレータまたは動く歩道アセンブリが建物の階床間に適切に取り付けられると、コンベヤシステムの可動踏段と静止構造との間に相対運動が存在する。エスカレータまたは動く歩道アセンブリが、建物の隣接する階床間に、または2つの別個の建物もしくは構造の間に堅く取り付けられ、エスカレータまたは動く歩道アセンブリと建物構造との間の相対運動に対して対策がなされていない場合、地震または地震事象中に故障が起こる可能性がある。
【0003】
この理由から、カリフォルニアを含むさまざまな州が、エスカレータおよび動く歩道に関する特定の耐震要件を導入している。そのような法令は、単一階床に対する移動(「水平変形」)に関する要件を含むことが多かったが、より最近では、階床間での移動(「層間変形」)により重点を置いている。この点に関して、最近、カリフォルニア州法は、潜在的な層間変形事象、特に、それに関連して中間支持部の使用を考慮に入れるように改正された(カリフォルニア州法第3137(d)(2)(C)項、「全ての支持部において横方向に地震抑制手段が提供されるものとする。中間支持部がある場合、全方向に自由に横移動するものとする。」を参照されたい)。
【0004】
そのような状況に対応するために、地震事象中に生じ得る層間変形の態様に適応するように設計された数多くの従来技術のエスカレータおよび/または動く歩道の設計が、これまで存在してきた。例えば、Inventio AGに対する米国特許第6129198号明細書は、エスカレータと建築構造との間に伝わる振動等に減衰を提供する弾性取付要素によって、建築構造の一部として形成される土台の上で支持される土台支持部を有するエスカレータアセンブリを開示している。搬送部の第2の端部にも、土台に堅固に取り付けられた支点上で支持される土台支持部が同様に提供される。支点は、その上に土台支持部が戻り止めされるねじの形態であってもよく、減衰手段が支点構造に組み込まれてもよい。
【0005】
反対に、Sneedに対する米国特許第6637580号明細書は、長手方向にエスカレータが取り付けられた建物の一部に対するエスカレータの移動を許容するエスカレータ架台のための伸縮アセンブリを開示している。さらに、架台の中心部は、層間変形型の移動を可能にするように枢軸上に取り付けられたシルプレートを含む。
【0006】
地震によって引き起こされる層間変形要件に適応することが提案されている別の従来技術のエスカレータ構造は、Nusimeに対する米国特許第6129198号明細書に開示されている。Nusimeの特許は、搬送部の第1の端部に、エスカレータと建築構造との間に伝わる振動等に減衰を提供する弾性取付要素によって、建築構造の一部として同様に形成される土台の上で支持される土台支持部が提供される、エスカレータアセンブリを開示している。搬送部の第2の端部にも、土台に堅固に取り付けられた支点上で支持される土台支持部が同様に提供される。支点は、その上に土台支持部が戻り止めされるねじの形態であってもよい。減衰手段が支点構造に組み込まれてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6129198号明細書
【特許文献2】米国特許第6637580号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の開示された構造、および他の従来技術の構造の全ては、地震事象中のエスカレータおよび動く歩道における層間変形に関する問題に取り組む際に有用性を有し得るが、比較的単純な設計であり、かつ設置の費用対効果に優れ、地震または他の地震事象中に生じ得る「層間変形」による移動に効果的に適応する、エスカレータまたは動く歩道に適切な所望の中間支持を提供するエスカレータまたは動く歩道の支持構造を有することがさらに所望される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、地震または地震事象中に、エスカレータのトラスまたは動く歩道のトラスの全方向への少なくともある程度の自由な横移動を許容する、エスカレータまたは動く歩道のための中間支持構造を対象とする。水平方向の移動は、建物の層間変形が生じたときに重大な破損を防ぐように、ある程度の自由な横移動を許容するために特に必要である。
【0010】
より具体的には、本開示は、支持されたエスカレータまたは動く歩道のトラスが、層間変形に起因する上部支持部の横変位に適応するために全方向に自由に横移動できるようにする一方で、同時にトラスの長さに沿った横たわみおよび振動を制御するスロットを有する中間支持部に関連した、抑制装置の使用を開示する。本開示による構造は、したがって、所望の移動を可能にする一方で、同時にトラス部材における過剰な応力レベルを防止する。
【0011】
より具体的には、本開示は、横方向スロットを有するトラス支持部と、第1の端部および第2の端部を有する中間鉛直部材と、を含むエスカレータまたは動く歩道の支持構造を提供し、いったん所定の摩擦係数を超えると、中間鉛直部材がトラス支持部に対して自由に横移動するように、中間鉛直部材は、スロットを通ってトラス支持部に接続され、かつ第2の端部で建物支持部に接続される。
【0012】
上述によれば、中間鉛直部材は、2つの弾性緩衝材の間で建物支持部に接続されてもよく、かつ/または、中間鉛直部材の第2の端部は、2つの角ブラケットの間で建物支持部に接続されてもよい。中間鉛直支持部は、摺動板および横方向スロットを通って延在する接続ねじによって第1の摺動板に接続される、装着された脚部を含んでもよい。
【0013】
エスカレータまたは動く歩道の支持構造はまた、側柱が支持構造に作用する鉛直力に耐えるように、トラス支持部の各側方端部に配置された側柱を含んでもよく、建物支持部に対する側柱の横移動を許容するように、側柱の下に板状軸受をさらに含む。支持構造はまた、第2の摺動板を含んでもよく、トラス支持部はIビームを備えてもよい。加えて、第1の摺動板が第1の固定板に装着され、第2の摺動板が第2の固定板に装着されるように、トラス支持部は、トラス支持部の底部の底側に第1の固定板を含んでもよく、またトラス支持部の底部の表側に第2の固定板を含んでもよい。
【0014】
本開示によれば、エスカレータまたは動く歩道の支持部の第1および第2の摺動板は、接続ねじによって接続されてもよく、それらは約40Nm〜80Nmの締め付けトルクまでねじ締めされてもよく、またそれらは、限定されないが、ステンレススチール、真鍮、銅、PTFEコーティングされたシート材料、またはホワイトメタルを含む任意の好適な材料でできていてもよい。
【0015】
本開示の代替の実施形態において、エスカレータまたは動く歩道の支持構造は、トラス支持部と、第1の端部および第2の端部を有する中間鉛直部材であって、第1の端部はトラス支持部に装着され、第2の端部は少なくとも1つの取付ブラケットに接続され、取付ブラケットは、取付ブラケットを建物支持部に接続するための少なくとも1つの接続ねじを受容するために少なくとも1つのスロットを有する、中間鉛直部材と、取付ブラケットと建物支持部との間に位置する継ぎ板と、を含んでもよく、接続ねじは、いったん所定の摩擦係数を超えると、中間鉛直部材がブラケットに対して自由に横移動するように建物支持部に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示の態様によるエスカレータまたは動く歩道アセンブリのための中間取付構造の正面図を示す。
【
図4】本開示による中間取付構造のさらなる実施形態の正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
これまで、本開示の特定の態様を、本明細書におけるその詳細な説明がよりよく理解され得るように、また本発明の当該技術分野への貢献がよりよく認識され得るように、どちらかと言えば広範に概説してきた。当然、後述される、また本明細書に添付される特許請求の範囲の主題を形成する、本開示のさらなる態様が存在する。
【0018】
図1および
図3において最もよく示されるように、本開示は、地震または地震事象中に、トラス支持部14の全方向への少なくともある程度の自由な横移動を許容する、エスカレータまたは動く歩道12のための支持構造10を対象とする。より具体的には、本開示は、トラス支持部14、鉛直部材22と関連した、抑制装置16の使用を開示する。当該技術分野で既知であるように、トラス支持部14は、「I」ビーム構造であってもよく、上部固定板15および下部固定板17を含んでもよい。トラス支持部14および固定板15、17にはスロット20、21が設けられ、それらは、支持されたトラス支持部14が層間変形に起因するエスカレータまたは動く歩道12の上部支持部(図示せず)の横変位に適応するために自由に横移動できるようにする一方で、同時にエスカレータまたは動く歩道12の長さに沿った横たわみおよび振動を制御する。したがって、本開示による支持構造10は、所望の移動を可能にする一方で、同時にトラス部材(図示せず)における過剰な応力レベルを防止する。
【0019】
より具体的には、「I」ビーム構造であってもよい中間支持鉛直部材22は、トラス支持部14の下側に装着されてもよい。抑制装置16の下部は、建物支持部28に取り付けられた2つの角ブラケット24と26との間に鉛直部材22を「閉じ込める」ように構築されてもよい。ゴム等の任意の所望の材料から作製され得る弾性緩衝材30、32は、鉛直部材22の垂直面29、31に隣接する角ブラケット24、26の面25、27の各々に装着されてもよい。鉛直部材22は、好ましくは、滑り継目接続部の一部分を形成する少なくとも1つの摺動板18を介してトラス支持部14に装着され得る脚部34を含む。本発明の実施形態によれば、少なくとも第2の摺動板19または低摩擦ワッシャーが、滑り継目接続部の第2の部分を含むようにトラス支持部14の反対側に位置してもよい。摺動板18、19は、ステンレススチール、真鍮、銅、PTFEコーティングされたシート材料、ホワイトメタル、および/または他の好適な材料を含む任意の好適な材料でできていてもよい。
【0020】
エスカレータまたは動く歩道12の鉛直力は、トラス支持部14の両側に配置された側柱50によって支持される。側柱50の高さは、調節ねじ51によって調節される。建物支持部28に対する側柱50の自由な横移動を許容するために、側柱50は板状軸受53を備えてもよい。本発明の例に示されるように、調節ねじ51は、側柱50と一緒に移動することができる。
【0021】
鉛直部材22の脚部34および摺動板18、19は、接続ねじ38を受容するために4つのばか穴36を有してもよい。
図1〜
図3において最もよく示されるように、トラス支持部14および固定板17、15は、所望の横移動を可能にするように横方向に延びるスロット20、21を有する。したがって、本発明の実施形態によれば、接続ねじ38は、所望の接続を形成するために、穴36を通って受容され得、次いで、摺動板18、固定板17のスロット20、21、トラス支持部14、および固定板15を通り、次いで、最後に摺動板19の穴36を通って延在し得る。接続ねじ38は、摺動板18と19の間、および対応する固定板17と15の間に特別に計算された所望のクランプ力を提供するために、設定トルクで設置され得る。
【0022】
より具体的には、接続ねじ38のトルクは、地震事象中にトラス支持部14の長さに沿った振動および横たわみが適切に制御されるように設定され得る。これにより、エスカレータまたは動く歩道12は、地震事象または地震中の特定の望ましくない振動から緩衝され得る。反対に、層間変形の場合、摺動板18、19および固定板17、15を含む滑り継目接続部は、それぞれの板の間の摩擦を克服することによって柔軟になり、したがって、トラス支持部14の所望の横移動を可能にする。
【0023】
本開示によれば、鉛直部材22とトラス支持部14との接続は、滑り継目接続部が、層間変形による横移動に適応できると同時に、地震事象においてトラス(図示せず)全体にわたって振動を抑制するように設定されなければならない。この要件は、摺動板18、19および固定板17、15を、それらの間に所望の摩擦を生じるように接続するために使用される接続ねじ38(当該技術分野で既知の標準的なM20締結具であってもよい)に、予荷重をかけることによって達成され得る。実際、摺動板18、19と固定板17、15との間の摩擦係数に悪影響を及ぼし得る腐食を防止するのに役立つように、摺動板18、19にステンレススチールを使用することが望ましいかもしれない。
【0024】
説明の目的で、トラス支持部14のビームから弾性緩衝材30、32まで伝達された水平力(F)は、約31kNであると推定され得る。接続ねじ38の各々に必要とされる予荷重(N)を算出するための標準式F=u*Nを用いて、滑り継目接続部は、それぞれの摺動板18、19と固定板17、15との間の2つの別個の摺動接続からなり得るということを考慮に入れるように適切に変更すると、式は、F=u*N*s(式中、s=摺動接続の数)と変更され得る。ステンレススチール板の面の間のスチール対スチールの摩擦係数(u)は、約0.2であると推定され得る。よって、ねじ当たりの法線力NはN=F/(4*s*u)のように算出され得、この場合、したがってN=31kN/4x0.21x2=18.45kNである。これによれば、本開示の一実施形態において、この力は、各接続ねじ38に必要とされる予荷重として用いられ得る。しかしながら、上述の値を決定するために、板状軸受53と側柱50との間に生じる摩擦力は考慮されないということに留意されたい。
【0025】
本開示の一実施形態によれば、接続ねじ38は、グレード8.8の標準的なM20メートル締結具であってもよい。このねじサイズおよびグレードには、以下のデータが有効であると推定される:最大予荷重=117000N、最大締め付けトルク=390Nm。したがって、そのようなパラメータであると仮定すると、Nmトルク当たりの予荷重は以下のように算出され得る:117000N/390Nm=300N/Nm。それに従って、接続ねじ38当たりに必要とされる締め付けトルク設定は、18450N/300N/Nm=61.5Nmのように算出され得る。
【0026】
図4において最もよく示されるように、本開示の代替の実施形態は、上で検討したような潜在的な層間変形に適応するために板金60および継ぎ板61を組み込んでもよい。この実施形態によれば、横移動は、ブラケット24、26に形成されたスロット62、64によって、トラス支持部14と建物支持部28との間で適応され得る。それに従って、固定板15、17のスロット20、21は、対応する穴65、66に置き換えられ、それによって角ブラケット24、26に対するトラス支持部14の横移動を防止する。代わりに、当業者には容易に理解されるように、スロット62、64の使用により、角ブラケット24、26と継ぎ板61との間の横移動が許容される。さらにこの実施形態によれば、継ぎ板61を介して建物支持部28に角ブラケット24、26を固定するために、低トルクボルト68が使用されてもよい。地震事象中にそのような所望の移動を促進するために、また摩擦面の腐食を防止するために、継ぎ板61と角ブラケット24、26との間に潤滑剤が提供されてもよい。
【0027】
本開示の多くの特徴および利点は、詳細な説明から明白であり、したがって、添付の特許請求の範囲によって、本開示の真の趣旨および範囲内に属する本開示の全てのそのような特徴および利点が包含されることが意図される。例えば、摺動板の全ての面は、摩擦部材間の摩擦係数を減少させるため、および摩擦面の腐食を防止するために、油またはグリースで潤滑化されてもよい。さらに、数多くの修正例および変形例が当業者には容易に想到されるため、本開示を例示されるおよび記載される正確な構造および動作に限定することは所望されず、したがって、全ての好適な修正例および等価物は、本開示の範囲内に属するものに用いられ得る。