(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、CTO部を直接横断するための血管内撮像カテーテル装置を提供する。本発明の装置は、CTO部を直接貫通し(真腔横断)、また、罹患した血管の血管内画像を提供し得る。
【0014】
図1は、CTO分を横断するための装置101を示す。装置101は、患者の血管に挿入するように構成された延長体105を有するカテーテル103を含む。血管内撮像デバイス175が延長体105の遠位部分151に配設される。延長体105の遠位端部には出口ポート159がある。横断部材161がカテーテルのルーメン153内に配設され、出口ポート159から押し出されて、延長体の遠位端部151から離れて延びるように構成され、横断部材は、血管の真腔内でCTO部を横断するように構成された先端169を備える。
【0015】
装置101は、ロックリング115を有するハンドル部材121を含む。ロックリング115は、横断部材161の延長距離を制限又は制御するために使用され得る。プラグ133が撮像トランスデューサ175を撮像ベースステーションに接続する。ハンドル121の基部にはルーメン153にアクセスするためのルーメンアクセスポート127がある。
【0016】
任意の適当な撮像モダリティが、例えば、光コヒーレンス断層撮影、光−音響撮像、超音波、容量性マイクロ超音波トランスデューサ(cMUT)、圧電性マイクロ超音波トランスデューサ(pMUT)又はその他といった撮像デバイス175により提供される。好適な実施形態では、撮像デバイス175は、例えば1つ又は複数のcMUT、pMUT、又はこれらの組み合わせを使用して、血管内超音波法(IVUS)によって動作する。
【0017】
撮像デバイス175は、フェーズドアレイIVUSデバイス又は回転IVUSを使用する。IVUS撮像は、治療の必要性を判断し、介入を誘導し、その効果を評価するために、内部から人体の組織を評価するためのツールを与える。血管内撮像デバイス175がIVUSを使用する場合には、1つ以上のIVUSトランスデューサを備えるカテーテル103が血管内に導入され、撮像すべき領域に誘導される。トランスデューサは、関心血管の画像を作成するために、超音波エネルギーを放出した後、後方散乱された超音波エネルギーを受け取る。超音波は、(血管壁の種々の層等の)組織構造から生じる不連続部及び他の関心特徴により部分的に反射される。反射波のエコーはトランスデューサにより受信され、IVUS撮像システムに伝達される。撮像システムは、受信された超音波エコーを処理して、デバイスが置かれている血管の360度3次元画像を生成する。本発明との使用の変更に適したIVUS撮像デバイスは、それぞれが参照により援用される米国特許第4,794,931号、第5,000,185号、第5,313,949号、第5,243,988号、第5,353,798号、第4,951,677号、第4,841,977号、第5,373,849号、第5,176,141号、第5,240,003号、第5,375,602号、第5,373,845号、第5,453,575号、第5,368,037号、第5,183,048号、第5,167,233号、第4,917,097号、及び第5,135,486号に記載されている。
【0018】
典型的な回転IVUSデバイスでは、単一の超音波トランスデューサ素子が、関心血管に挿入されたプラスチックシース内部で回転する可撓性駆動軸の先端に位置する。トランスデューサ素子は、超音波ビームがカテーテル103の軸に概ね垂直に伝搬するように配向される。液体で満たされたシースが、トランスデューサ及び組織間の超音波信号の伝搬を可能にすると同時に、回転するトランスデューサ及び駆動軸から血管組織を保護する。駆動軸が回転すると、トランスデューサは高電圧パルスによって周期的に励起され、ショートバーストの超音波を放出する。そして同じトランスデューサは、様々な組織構造から反射される戻りエコーを待つ。IVUS撮像システムは、トランスデューサの1回転の間に生じるパルスシーケンス/捕捉サイクルから血管断面の2次元表示を構成する。
【0019】
一方、ソリッドステートIVUSデバイスは、一連のトランスデューサコントローラに接続されたデバイスの周囲に分散される超音波トランスデューサのアレイを含むトランスデューサ複合体を有する。トランスデューサコントローラは、超音波パルスを送信するため、及びエコー信号を受信するために、トランスデューサセットを選択する。送受信セットのシーケンスを通じて段階付けることにより、ソリッドステートIVUSシステムは、部品を動かさずに、機械的に走査したトランスデューサ素子の効果を合成することができる。同じトランスデューサ素子は、異なる種類の血管内データを取得するために使用され得る。異なる種類の血管内データは、トランスデューサ素子の異なる動作態様に基づいて取得される。ソリッドステートスキャナは、単純な電気ケーブル及び標準的な着脱可能な電気コネクタを用いて、撮像システムに直接ワイヤ接続され得る。
【0020】
トランスデューササブアセンブリは、単一のトランスデューサ或いはアレイを含み得る。トランスデューサ素子は、フローデータ、動きデータ及び構造画像データ等の異なる種類の血管内データを取得するために使用され得る。例えば、異なる種類の血管内データは、トランスデューサ素子の異なる動作態様に基づき取得される。例えば、グレースケール撮像モードでは、トランスデューサ素子は、1つのグレースケールIVUS画像を特定のシーケンスで送信する。IVUS画像を作成するための方法はよく知られており、例えば、それぞれが参照により援用される米国特許第8,187,191号、米国特許第7,074,188号、米国特許第6,200,268号に記載されている。撮像システムは、フローデータの1つの画像(又はフレーム)の取得を可能にする。さらに、本発明と整合性のある、異なるモード(例えば、グレースケール撮像モード、フロー撮像モード等)でのトランスデューサ素子の動作を含む、異なる種類の血管内データを取得するための方法及びプロセスは、それぞれが参照により援用される米国特許第7,914,458号(発明者:Hossack)、米国特許第7,846,101号(発明者:Eberle)、米国特許第7,226,417号(発明者:Eberle)、米国特許第6,049,958号(発明者:Eberle)、米国特許第5,846,205号(発明者:Curley)、米国特許第5,921,931号(発明者:O’Donnell)、及び米国特許出願公開第2013/0303907号(発明者:Corl)に記載されている。フローモードでIVUSカテーテルを操作し、フローデータを表示するための市販のソフトウェアは、CHROMAFLOW(Volcano Corporationにより提供されるIVUS流体フロー表示ソフトウェア)である。
【0021】
特定の実施形態では、撮像デバイスはOCTデバイスである。OCTシステム及び方法は、概して、それぞれが参照により援用される米国特許第8,108,030号、米国特許第8,049,900号、米国特許第7,929,148号、米国特許第7,853,316号、米国特許第7,711,413号、米国特許出願公開第2011/0152771号、米国特許出願公開第2010/0220334号、米国特許出願公開第2009/0043191号、米国特許出願公開第2008/0291463号、米国特許出願公開第2008/0180683号、米国特許出願公開第2012/0224751号、米国特許出願公開第2012/0136259号、米国特許出願公開第2012/0013914号、米国特許出願公開第2011/0152771号、及び米国特許出願公開第2009/0046295号に記載されている。
【0022】
撮像デバイス175は、血管内画像を捕捉するために使用され、施術者は、その画像を検査して、デバイス101の遠位部分が血管壁にあまり近接していないこと、したがって、デバイス101から延出している横断部材161が血管壁を損傷しないであろうことを確認することができる。
【0023】
図2は、カテーテルの長さ全体にわたって延びるオーバーザワイヤ構成のルーメン153を示す。横断部材161は、カテーテル103のルーメン153を通って延びるように描かれており、出口ポート159から押し出されるように構成される。
【0024】
好ましくは、カテーテル103の延長体105において、延長体105の近位部分は、一般的に非常に可撓性が高く、ガイドワイヤを通じた血管系内の標的部位への導入に適している。
図1及び
図2に示されるように、カテーテル103は、ルーメン153がカテーテル本体全体に延びる「オーバーザワイヤ」構造を示す。
図3及び
図4について以下で考察されるように、本発明のデバイスはさらに、ガイドワイヤチャネルがカテーテル本体の遠位部分だけを延びる「迅速交換」構造を備える。別の場合では、カテーテルの遠位部分に固定型若しくは一体型コイル先端又はガイドワイヤ先端を提供する、或いはガイドワイヤを完全に省くことが可能である。説明の便宜上、ガイドワイヤは、すべての実施形態で示されるわけではないが、これらの実施形態のうちのいずれにも組み込むことができることを理解されたい。
【0025】
血管内導入を目的とするカテーテル本体は、典型的には、50cmから200cmの範囲内の長さ、及び1フレンチから12フレンチ(0.33mm:1フレンチ)、通常、3フレンチから9フレンチの範囲内の外径を有する。冠動脈カテーテルの場合、長さは、典型的には、125cmから200cmの範囲内であり、直径は、好ましくは、8フレンチを下回り、より好ましくは、7フレンチを下回り、最も好ましくは、2フレンチから7フレンチの範囲内である。カテーテル本体は、典型的には、従来の押出技法によって加工される有機ポリマーから成る。好適なポリマーとして、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコーンゴム、天然ゴム等が挙げられる。任意で、カテーテル本体は、回転強度、カラム強度、靱性、押動性等を増大させるために、編組、螺旋ワイヤ、コイル、軸糸等で補強される。好適なカテーテル本体は、押出によって形成され、所望に応じて、1つ以上のチャネルが提供される。カテーテル径は、従来の技法を使用して、熱膨張及び収縮によって修正され得る。したがって、結果として生じるカテーテルは、従来の技法によって、血管系、多くの場合冠状動脈への導入に好適となる。
【0026】
横断部材161が含められ、閉塞を貫通するように構成される。好適な実施形態では、横断部材161は、(例えば、2014年7月15日出願の米国仮特許出願第62/024,520号、及びこの仮出願の利益を主張するあらゆる出願の公報に記載されているような)横向きではなく、(直接CTOを向く)前向きである。装置101の横断部材161は、好ましくはオーバーザワイヤ構造を画定するルーメン153から延びる。一部の実施形態では、本発明は、別個のガイドワイヤルーメンも含むデバイスを提供する。
【0027】
図3は、別個のガイドワイヤルーメン323を含む、CTO部を横断するための装置301を示す。装置301は、患者の血管に挿入するように構成された延長体305を有するカテーテル303を含む。血管内撮像デバイス375が、延長体305の遠位部分351に配設される。延長体305の遠位端部には出口ポート359がある。横断部材361がカテーテルの主ルーメン353内に配設され、出口ポート359から押し出されて、延長体の遠位端部351から離れて延びるように構成され、横断部材は、血管の真腔内でCTO部を横断するように構成された先端369を備える。ガイドワイヤ325がガイドワイヤルーメン323から延びる。
図3に描かれるように、ガイドワイヤルーメン323は、血管内撮像デバイス375より近位の出口ポートを有する。しかし、出口ポートがデバイス375より遠位であっても本発明の範囲を逸脱しない。
【0028】
装置301は、ロックリング315を有するハンドル部材321を含む。プラグ333が撮像トランスデューサ375を撮像ベースステーションに接続する。ハンドル321の基部には主ルーメン353にアクセスするための主ルーメンアクセスポート327がある。
【0029】
図4は、装置301内のガイドワイヤルーメン323の構成を示す。ガイドワイヤルーメン323は、迅速交換構成でカテーテルの長さの一部に沿って延びる。別個のガイドワイヤルーメン323を含むことによって、横断部材361によるCTO分の予備的横断の後に、別個のバルーンカテーテルをCTO部に誘導する等の複雑な手技を施術者が行うことを支援することができる。
【0030】
CTO部を横断するための装置は、CTO部に押し進められるのに十分な剛性を有する横断部材を含む。一般に、米国特許出願公開番号第2013/0072957号(発明者:Anderson)に説明される、組織を貫通する内膜下再入カテーテル等の内膜下再入カテーテルの剛性よりも大きな剛性を有する横断部材を含むことが好ましい。本発明の装置の横断部材は、特定の合金又は鋼等の剛性材料の使用によって、編組や側方隆起等の特定の構造を含むことによって、厚さによって、又はこれらの組み合わせによって剛性が高められる。横断部材の厚さは、その曲げ弾性率によって説明され得る。特定の実施形態では、横断部材は、(組織よりもむしろ)閉塞を貫通する能力が高まる、少なくとも20GPaの曲げ弾性率を有する。曲げ弾性率は、Harrison, 2011, Guidewire stiffness: what’s in a name?, J Endovasc Ther 18(6):797−801に記載されるように測定され得る。ギガパスカルで与えられる曲げ弾性率Efは、式1により表される。
Ef=(L^3F)/(48×I×D) (式1)
ここで、Lは支点間距離、Fは荷重、Dは撓み、Iは中立面に関するワイヤの断面二次モーメントである。
【0031】
円形断面を有するガイドワイヤでは、Iは式2により決定される。
I=(Pi×d^4)/(64) (式2)
ここで、dはガイドワイヤの直径で、Piは約3.14である。本発明の装置は、CTO部を貫通するように構成された横断部材、及び横断部材をCTO部に運ぶための血管内撮像カテーテルを含む。横断部材は、剛性を与えることにより、CTO貫通チップを与えることにより、又はその両方によりCTO部を貫通するように構成される。また、本発明の装置は、横断部材をCTO部に押し進めるための押圧機構を含む。例えば、装置は、横断部材を閉塞に押し進めるために必要な力を発生させるのに使用可能なばね押し機構を含む。
【0032】
図5は、横断部材に力を作用させ、横断部材をCTO部に押し進めるように構成されたばね機構507を含む、CTO部を横断するための装置501を示す。装置501は、カテーテル503から延出可能な前方延出横断部材561を収納するカテーテル503を含む。装置501はまた、フェーズアレイIVUSトランスデューサ等の血管内撮像デバイス575を含む。機構507は、押圧された時に横断部材571をデバイスから前方へ押し出すのに役立つ押圧可能面517の後方でデバイス内に嵌装される1つ以上のばね511を含む。また、機構507は、ピボット529に取り付けられたキャッチ521を含む(そしてキャッチ521自体が嵌装位置方向にばね負荷又は付勢される)。キャッチ521は、装置内部にデタント機構を提供するとともに、押すことによってばね511が解放され横断部材571を前方に動かすトリガハンドルをデバイスの外側に提供する。
【0033】
一部の実施形態では、本発明の装置は、例えば、横断部材の末端として、前方向にルーメンを貫通し、偶発的な血管壁穿刺を避けやすくする針を含む。CTO穿刺の遂行及び血管損傷の防止を支援するために、本発明の装置は、装置の本体を血管壁から(例えば血管の中心方向に)離れるように付勢する機構を備える。付勢機構は、バルーンや拡張可能な漏斗状の編組等の1つ以上の自己センタリング機構により提供される。装置を血管内の中心に配置させる他の機構は、2014年3月7日出願の米国特許出願第14/201,070号、及びこの出願のすべての特許又は出願公開公報に記載されている。
【0034】
図6は、バルーン631により提供される自己センタリング機構を含む、CTO部を横断するための装置601を示す。膨張ルーメン627がカテーテル本体605の長さを下方に延び、バルーン631と流体連通する。装置601は、患者の血管に挿入するように構成された延長体605を有するカテーテルを含む。血管内撮像デバイス675が延長体605の遠位部分651に配設される。描かれた実施形態では、撮像デバイス675は、バルーン631の直近位にあるが、直遠位又は任意の他の便利な位置にあってもよい。延長体605の遠位端部には出口ポート659がある。横断部材がカテーテルのルーメン653内に配設され、出口ポート659から押し出されて、延長体の遠位端部651から離れて延びるように構成され、横断部材は、血管の真腔内でCTO部を横断するように構成された先端を有する。本発明との使用の変更に適したデバイスは、米国特許第6,458,099号(発明者:Dutta)に示されている。
【0035】
図7は、装置601の延長体の内部にあるルーメンの構成を示す「7」で示された線に沿った断面図である。膨張バルーン631は、本体605周りに周方向に配設され、ルーメン653及びガイドワイヤルーメン625がこれを貫通する。膨張ルーメン627は、バルーン631に流体(例えば、水、生理食塩水、気体)を送達するために使用され、これにより、血管内でバルーン631が展開され、出口ポート659が血管の壁から離れるように付勢される。
【0036】
図8は、センタリングバルーン631が展開された状態の装置601を示す。バルーン631が血管の壁から離れるように撮像デバイス675を付勢するため、撮像デバイスは、手技中の解釈を容易にするより良い血管画像を生成することができる。バルーン631は出口ポート659を、結果的にはそこから延びる横断部材を血管の壁から離れるように付勢するため、施術者は、血管壁の外傷を回避するためのツールを有する。したがって、バルーン631は、本発明のデバイスに有用な1つの自己センタリング機構であるが、追加的又は代替的に、その他のものが使用されてもよい。
【0037】
図9は、拡張可能な漏斗状編組931を使用する自己センタリング機構を含む、CTO部を横断するための装置901を示す。漏斗931は、好ましくは、漏斗931の基部933で装置901のカテーテル903の延長体905に接続される。装置901はまた、カテーテル本体905上に摺動自在に配設された外側シース906を含む。
【0038】
この実施形態では、漏斗931は、可撓性支持材971から構成される。好ましくは、支持材971は、約0.004の直径を有するワイヤ等の複数の編組支持要素として構成される。これらの支持要素は、好ましくはNiTiから構成されるが、他の適当な材料から構成されてもよい。漏斗931の近位端部933は、一定の径を有し、(例えば、
図1、
図2等の任意の実施形態の)装置901におけるカテーテルの延長体の遠位部分に取り付けられる。漏斗状編組は、ニチノールのような形状記憶合金から作られ得る。
【0039】
特定の実施形態では、支持材971は、漏斗シース940で覆われる。漏斗シース940は、好ましくは厚さが約0.003インチであり、漏斗931を覆い、部分的にこれを構成する。好ましくは、漏斗シース940は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ウレタン、シリコーン、又は別の適当な高分子材料から構成される。漏斗シース940は、好ましくはePTFE又は別の適当な材料を巻回して複数の層を形成するように構成される。
【0040】
漏斗931の遠位端部934は、ガイドカテーテル905を覆う外側シース906に含まれる。カテーテル903が血管内に配置されると、外側シース906が除去され、これにより漏斗931の遠位端部934が拡張可能になる。
【0041】
図10は、拡張可能な漏斗状編組が展開された状態の装置901を示す。外側シース906が漏斗931の遠位端部934を覆う位置に戻されると、漏斗931の遠位端部934が圧迫され、これにより装置901の回収時の血管損傷が防止される。漏斗状編組を使用するセンタリング機構は、米国特許出願公開第2005/0159770号(発明者:Divani)で考察されている。センタリング機構は、真腔CTO横断のための横断部材又は針を用いるカテーテルにおいて役立つ可能性のあるツールである。
【0042】
含まれる別の機構は、例えば横断部材の遠位端部にある、CTO部に押し進められるように構成された特殊な針先である。突刺先端は、閉塞の直接横断を容易にするために様々な形で作られ得る。先端は、例えば針付き、鈍端、又はドリル付きであり得る。先端はまた、RF放出可能に構成され得る。別の例では、CTO部の貫通を助けるためにウォータージェットが使用され得る。先端はまた、切断バルーンを有するように構成され得る。先端がいくらか閉塞を通過すると、切断バルーンはCTO部を除去するために膨張され得る。
【0043】
図11は、先鋭化された針先を画定する先端1169を示す。CTO部は、非常に硬く高密度の線維性被膜を有することがあり、線維性被膜を穿通するために先鋭化された或いは斜めの先端が好ましいことが分かっている。
【0044】
本発明の1つの洞察は、CTO部の線維性被膜を、横断部材を意図せぬ望ましくない方向に誘導するマイクロチャネルが自然に横切ることがあることである。マイクロチャネルの存在は知られている。Carlino, 2008, CTO recanalization by intraocclusion injection of contrast: The microchannel technique, Cath and Cardio Interventions 71(1):20−16参照。しかし、特に拘束する機構がなければ、針が前方に押される時に、血管壁に接触するまでマイクロチャネルを辿るように、マイクロチャネルが実際に横断ワイヤ又は針を誤った方向に誘導することが分かっている。鈍い先端、或いは好ましくはバー付きの先端が、マイクロチャネルにより不必要に迂回させられることなく線維性被膜を通過する能力を向上させることが分かっている。
【0045】
図12は、尖端と鈍端の中間の先端1269を示す。中間的鈍さの先端は、血管壁との偶発的接触による外傷を最小限にしつつ、CTO被膜物質を穿通可能にする最良の妥協案を示す。また、端部の鈍い部分は針ルーメンを収容する(
図26参照)。
【0046】
図13は、鈍い端部を画定する先端1369を示す。鈍い形態によって、マイクロチャネルにより迂回させられることなく上手くCTO部を突き進むことができる。
【0047】
図14は、1つ以上のバー1404を含む先端1469を示す。追加的粗さを付加し、外傷を与えるエッジを追加的に先端部1469に与えるバー1404が含まれ得る。特にセンタリングデバイスと共に使用される場合、バー1404を有する先端1469は、CTO部の線維性被膜を効果的に切り裂いて進む優れた能力を提供する。追加的又は代替的に、横断部材はCTO部に穴を開けるように構成又は操作され得る。
【0048】
図15は、ドリル機構1501を画定する横断部材1561の先端を示す。好ましくは、横断部材1561の近位端部は、(手動又は電動の)トルカーに取り付けられる。横断部材1561は、トルカーから取り外し可能である。トルカーは従来の電気ドリルと同様であり、横断部材1561はドリルビットと同様の機能を果たす。トルカーは、2014年3月11日出願の米国特許出願第14/204,314号、及びこの出願のすべての特許又は出願公開公報に記載されているようなデバイスにより提供される。
【0049】
好ましくは、横断部材1561は、トルカーから取り外し可能であり、ガイドワイヤをトルカーに取り付ける前に患者の血管系に通過される。横断部材1561がCTO部に達すると、近位端部がトルカーに挿入され、例えばクランプ、チャック、又はコレットを使用して保持される。トルカーは、作動されて横断部材1561全体を回転させる回転子モーターを含む。ドリル機構1501の回転によって、閉塞に穴を開けることにより、横断部材1561が閉塞を越えて延びることができる。
【0050】
図16は、ドリル機構1501の正面図である。ドリル機構1501は、CTO部に穴を開けるようにサイズ設定され、長さが約1〜10ミリメートルである。ドリル機構1501は、好ましくは少なくとも2つの切断要素を有する。本実施形態では、ドリル機構1501は、縦フルート1522を含む。フルートは、ガイドワイヤを回転させる時に、ドリル機構1501が慢性完全閉塞等の閉塞を穿通できるようにする切断要素の機能を果たす薄いブレード状の構造体である。横断部材は、手動で又は上記したような機械的回転子を使用して回転される。ドリル機構1501は、例えば、横断部材1561の遠位端部に刻み目を圧入するように形作られた器具を有する液圧機を使用して形成される。当業者は、金属切削、放電加工(EDM)及び金属射出成形(MIM)を含む他の方法が用いられて構造体がガイドワイヤの遠位端に形成されてもよいことを理解するだろう。
【0051】
ドリル機構1501は、ステンレス鋼、ニチノール又は時効硬化ニッケルコバルトクロムモリブデン合金ワイヤといった任意の適当な材料を使用し、横断部材1561の細長本体部分及びドリル機構1501を含む。ドリル部分は対称であり、緩衝域で囲まれたフルートからなる複数の切断要素を有する。ドリル部分は、細長本体部分と略同じ直径を有する穴を開けるようにサイズ設定される。米国特許出願公開第2006/0184186号(発明者:Noone)は、慢性完全閉塞を治療するためのドリルワイヤを説明している。
【0052】
一部の実施形態では、本発明は、RFエネルギー送達のためのデバイス及び方法を提供する。
【0053】
図17は、RFエネルギーを送達してCTO部を破壊するように構成された先端1769を有する横断部材1761を備えるカテーテル1703を含む、CTO部を横断するための装置1701を有するシステム1700を示す。好ましくは、先端1769は、例えば、動脈及び閉塞の構造を可視化するIVUS撮像システムと併用して閉塞性プラークを切除可能な放電加工電極等の少なくとも1つの電極1732を含む。システム1700の目的は、閉塞物の放電加工を制御する能力に加えて、施術者にCTO部の位置及び特性に関する情報を提供することである。
【0054】
超音波信号用の電線及びRFエネルギーを活性電極に伝達するための高圧電線が、カテーテル1703及び横断部材1761をそれぞれ貫通する。米国特許第6,394,956号における考察参照。システム1700は、同時IVUS撮像とRF切除の併用でCTO部を横断するために使用される。
【0055】
カテーテル1703の遠位端部1751は、患者に挿入されるように構成され、患者の血管系内を移動し、目標とする治療部位にカテーテルの遠位端を進めるように構成される。カテーテル1703は、撮像装置1775と、エネルギーを血管の閉塞部分に送達するための電極1732を有する遠位端1769を有する横断部材1761とを含む。
【0056】
システムは、超音波システムを動作させる信号を生成するため、結果として生じた超音波エコーからの信号を受信及び処理するため、及びRF切除信号を生成するための回路及びソフトウェアを含む電子機器モジュール1731を含む。中央処理装置1720は、受信された超音波信号から画像を作成し、モニタに画像を表示する。画像は要求に応じて生成される。画像は、術者が画像のリフレッシュを忘れないように一定時間後に消えていく。中央処理装置1720は、ラップトップ若しくはデスクトップコンピュータ、又は専用の内蔵プロセッサを備える。別個のケーブルがカテーテルから電子機器モジュール1731へ延び、超音波信号及びRFエネルギーを運ぶ。
【0057】
特定の実施形態では、カテーテル1703、より具体的には横断部材1761は、完全に医師の手動制御下で回動及び前進される。同様に、切除パルスの開始が、カテーテル又はカテーテルの回動を検出するシステムとの直接的な接続とは無関係に医師により決定される。しかし、切除エネルギーの適用の制御についての「手動」への言及は、医師が切除電極の適切な位置に関する判断に基づいて切除シーケンスを開始する構成を含むことが理解されるべきである。したがって、「手動」操作は、機械的に制御されたスイッチ(例えば、足踏みスイッチや音声操作制御)又は医師が切除サイクルをトリガできる他の手段を含む様々な構成を含む。
【0058】
先端1769は、RF切除のスパークにより高められる温度に耐えるのに十分な高温性能を有する適当な熱硬化性材料から作られる。キャスタブルエポキシ樹脂やキャスタブルセラミック等の材料が用いられる。或いは、先端の本体は、アルミナジルコニア等の適当なセラミックから機械加工される。先端1769は、患者の血管系中の前進を促進する遠位側を向いた前端面を画定するように形成される。先端は、約1.5mmの直径又は断面寸法を有する。
図17に示される実施形態では、先端1769は単極で、RF切除電極1732を含み、システムはまた、患者身体の外側にある対電極1791を含む。
【0059】
電極1732は、金めっきされた若しくはフォトエッチングされたステンレス鋼、又は機械加工されたプラチナである。これらの材料は、組織の切除に良好な導電性を提供し、蛍光透視法下での先端の可視化を促進するためにX線不透過性である。超音波トランスデューサは、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)又はポリフッ化ビニリデン(PVDF)から作られる。トランスデューサは、直径が250〜650ミクロンである。横断部材1761は、RF切除アンテナ1732からの電気信号を遠位端及び電子機器モジュール1731間で伝送する導体を有する。
【0060】
カテーテルシャフト1703は、トランスデューサ34からの電気信号を遠位端及び電子機器モジュール1731間で伝送する導体を有する。血管内超音波撮像のための、及びRF切除によって深刻な血管閉塞を横断するための装置及び方法が、米国特許第8,480,593号(発明者:Magnin)で考察されている。
【0061】
他の態様及び実施形態では、本発明のデバイスは、CTO部の切断を支援する流体ジェットを含む。
【0062】
図18は、流体を送達してCTO部を切断する流体ジェットを横断カテーテルの一部として含む、CTO部を横断するための装置1801の断面図である。装置1801は、中心体1814、止血弁1816、高圧コネクタ1818、ルア継手1820、ルアコネクタ1822、翼付きルア継手1824、及びストレインレリーフチューブ1826を有するマニホールド1812を含む。マニホールド1812は、
図1に示されたハンドル121のようなIVUSカテーテルハンドルと共に使用される。好ましくは、商標PEBAXで販売される材料等のポリエーテルブロックアミドからなり、概して、低圧キャビティ1830の大部分を表す、トルク伝達可能かつ可撓性の(4フレンチ)近位カテーテルチューブ1828が、マニホールド1812の内部から遠位方向にストレインレリーフチューブ1826を通って延びている。デバイス1801はさらに、遠位部分に遠位カテーテルチューブを含む。
【0063】
図19は、好ましくはポリエーテルブロックアミドからなるトルク伝達可能で、小径の可撓成形可能な薄型(3フレンチ)遠位カテーテルチューブ1832の拡大断面図を示し、遠位カテーテルチューブ1832は、概して、遠位カテーテルチューブ1832に沿って、かつ遠位カテーテルチューブ1832の遠位端部に取り付けられたルーメンを有する可撓性テーパーチップ1836に沿って延びる高圧キャビティ1834の大部分を表す。マーカーバンドが、テーパーチップ1836の対向端部の上方かつ周囲に配置される。好ましくは、一方のマーカーバンドは、テーパーチップ1836の近位端部と遠位カテーテルチューブ1832の遠位端部の重なり合う同軸接合部上で固定的に整列され、もう一方のマーカーバンドは、テーパーチップ1836の遠位端部とガイドワイヤチューブ1842の遠位端部の重なり合う同軸接合部上で固定的に整列される。ルーメン1844を有するガイドワイヤチューブ1842及びルーメン1848を有する高圧チューブ1846の近位端部は、マニホールド1812内部で整列及び固定される。ガイドワイヤチューブ1842及び高圧チューブ1846の中心の大部分は、近位カテーテルチューブ1828のルーメン1850内で整列され、遠位カテーテルチューブ1832の接着プラグシールの近位にあるルーメン1852の近位部分で整列するように延びる。ガイドワイヤチューブ1842及び高圧チューブ1846の遠位に位置する短い部分は、遠位カテーテルチューブ1832の接着プラグシール1854の遠位にあるルーメン1852の遠位部分内で整列されて延び、遠位カテーテルチューブ1832の接着プラグシール1854を用いて固定される。また、ガイドワイヤチューブ1842の遠位端部は、テーパーチップ1836のルーメン1837内にさらに延び、ルーメン1837内で固定される。低圧キャビティ1830(
図18)は、近位カテーテルチューブ1828と全体的に結合され、高圧キャビティ1834は、遠位カテーテルチューブ1832のルーメン1852及び可撓性テーパーチップ1836のルーメン1837と全体的に結合される。
【0064】
マニホールド1812は、接続及び連絡通路と、中央通路を含む中心体1814に沿って中心体1814周りに配置されたキャビティを含む。小さな半径部分が、環状のコネクタフランジで終端する遠位環状体1862を貫通する。止血ナット1816の雌ねじを収容するねじ山が、マニホールド1812の近位領域にあるキャビティ本体の近位外側部分周りに配置される。装置1801を製造する方法は、米国特許出願公開第2008/0312672号及び米国特許第7,226,433号に記載されている。
【0065】
図示されているコンポーネントは、マニホールド1812の中を通るマニホールド低圧領域をともに形成する。マニホールド低圧領域は、近位カテーテルチューブ1828の低圧キャビティ1830に接続され、直接連通する。低圧キャビティ1830は、近位カテーテルチューブ1828の近位端部から、遠位カテーテルチューブ1832の近位端部と遠位カテーテルチューブ1832のルーメン1852の結合部分の交差点まで遠位に延びる近位カテーテルチューブ1828のルーメン1850の部分を含み、また、近位カテーテルチューブ1828の交差点からの部分を含む。
【0066】
ガイドワイヤチューブ1842は、高圧チューブ1846と概ね平行に延びる。ガイドワイヤチューブ1842の近位端部は、マニホールド1812のガイドワイヤ環状アダプタのテーパー穴へと延びる。ガイドワイヤチューブ1842は、近位カテーテルチューブ1828のルーメン1850を通って、遠位カテーテルチューブ1832のルーメン1852の近位端部、即ち低圧キャビティ1830へと延びる。そして、ガイドワイヤチューブ1842は、接着プラグシール1854を通って延び、遠位カテーテルチューブ1832のルーメン1852の部分へ、さらにテーパーチップ1836のルーメン1837内に続き、最終的にテーパーチップ1836の遠位端部の内部で終端し固定される、即ち、ガイドワイヤチューブ1842は、高圧キャビティ1834へと延びてそこに留まる。
【0067】
図20は、遠位カテーテルチューブ1832の遠位端部、及びCTOを有する患者の血管内に整列された前向き流体ジェット横断装置1801の可撓性テーパーチップ1836を示す。横断部材1861の遠位端部は、CTOに近接して又はCTOと密接に接触して配置される。横断部材1861は、前向き流体ジェット横断カテーテル装置1801の内部長に沿って整列される。より正確には、横断部材1861は、マニホールド1812及び密接に結合されたコンポーネント内、間接的に近位カテーテルチューブ1828及び遠位カテーテルチューブ1832内、間接的に低圧キャビティ1830及び高圧キャビティ1834内、間接的にテーパーチップ1836のルーメン1837内、及び直接的にガイドワイヤチューブ1842のルーメン1844内で整列される。テーパーチップ1836は、図ではCTO又はその近くに配置されている。CTOを通る通路を形成及び提供するように流体ジェットストリームが横断部材1861に沿ってCTO方向に向けられ、これにより交差が形成される。流体ジェットストリームは、
図20にも示されているように横断部材1861の外面に沿って適度な速度の円筒流を提供する、又は横断部材1861の遠位端部が再配置される時に流量の多い円筒流流体ジェットストリームを提供することができる。
【0068】
特定の態様及び実施形態では、本発明のデバイス及び方法は、CTO部の解体又は破壊を支援するために提供される。例えば、CTO部を貫通する最初の通路が形成され設けられると、治療デバイス又は薬剤がその通路に挿入又は導入され、患者を不快な症状からさらに解放する。特定の実施形態では、本発明の装置は、CTO部の一部内で膨張可能な切断バルーンを含む。切断バルーンは、その表面に1つ以上の刃先を有し、刃先は、例えば硬い線維性被膜を切断することによりCTO部を解体するのに役立つ。
【0069】
図21は、切断バルーン2116を使用する、CTO部を横断するための装置2110の部分側断面図である。装置2110は、血管2112に導入され、血管内病変2114に隣接配置されるように構成される。カテーテル2110は、カテーテルシャフト2118に結合されたバルーン2116を含む。1つ以上の切断部材又はブレード2120がバルーン2116に結合される。一般的に、カテーテル2110は、ガイドワイヤ2122を通じて血管系を通って標的領域まで前進される。そして、バルーン2116は、膨張されて病変2114を拡大し、切断部材2120は、病変2114を切断する。標的領域は、任意の適当な末梢又は心臓血管腔位置内にある。
【0070】
切断部材2120は、数、位置、及びバルーン2116に関する構成が変化する。例えば、カテーテル2110は、バルーン2116に沿った任意の位置に、規則的、不規則的、又は任意の他の適当なパターンで配設される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又はそれ以上の切断部材2120を含む。一般的に、切断部材2120は、高い屈曲性を有するように構成される。
【0071】
バルーン2116は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレン(PE)、弾性ポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(例えば商品名PEBAXで入手可能なPEBA)、シリコーン、Marlex高密度ポリエチレン、Marlex低密度ポリエチレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)等のポリマーを含む典型的な血管形成術用バルーン材料、他の適当な材料、又はこれらの混合物、結合体、若しくは共重合体から作られる。
【0072】
バルーン2116は、バルーン2116が収縮される時に1つ以上の「翼」又は翼状領域を含むように構成される。これらの翼は、バルーン2116が収縮される時に、バルーン2116における内向きと外向きが交互の複数の径方向撓みのように見える。これらの翼は、複数の理由で望ましい。例えば、翼を有するバルーン2116を含むことにより、バルーン2116は、より予測可能で安定性のある再折り畳み特性を有する。また、翼は、切断部材2120が収縮したバルーン2116の最も内側の位置に配置され得るように構成される。この構成によって、バルーン2116が収縮された時に切断部材2120をシャフト2118により密接して配置することが可能になる。したがって、切断部材2120を血管壁から遠ざけることができ、さもなければ、カテーテル2110の体腔内の移動中に健常組織に接触し、場合により損傷するという結果を招くかもしれない。また、翼と切断部材2120を互い違いにし、切断部材2120をシャフト2118の比較的近くに配置することによって、バルーン2116が収縮された時に翼が折り重なり、切断部材2120を覆うことができる。この機構もまた、切断部材2120の血管への露出を減らす。
【0073】
シャフト2118は、一般的なカテーテルシャフトと同様のカテーテルシャフトである。例えば、シャフト2118は、内側管状部材2124及び外側管状部材2126を含む。管状部材2124/26は、複数の異なる材料から製造される。例えば、管状部材2124/26は、金属、金属合金、ポリマー、金属ポリマー複合体、又は任意の他の適当な材料から作られる。適当な金属及び金属合金の幾つかの例には、ステンレス鋼、線形弾性若しくは超弾性ニチノール等のニッケル−チタン合金、ニッケル−クロム合金、他の合金又は適当な材料が含まれる。適当なポリマーの幾つかの例には、バルーン2116に関連して以上で説明されたものが含まれる。当然ながら、任意の他のポリマー、又はセラミックを含む他の適当な材料が本発明の精神から逸脱することなく使用される。内側管状部材2124を製造するために使用される材料は、外側管状部材2126を製造するために使用される材料と同じである又は異なる。本明細書で挙げられる材料は、切断部材2120を含むカテーテル2110の他のコンポーネントの製造にも使用される。
【0074】
管状部材2124は、任意の適切なやり方で配置される。例えば、一部の実施形態では、内側管状部材2124は、外側管状部材2126内に同軸に配設され得る。これらの実施形態によれば、内側部材2124及び外側管状部材2126は、シャフト2118の長手軸全体に沿って互いに固定される又は固定されない。或いは、内側管状部材2124は、内壁を辿る、又はさもなければ外側管状部材2126の内壁に隣接して配設される。内側管状部材2124は、内側ルーメン2128を含む。少なくとも一部の実施形態では、内側ルーメン2128は針ルーメンである。針ルーメン2128は、CTOを横断するために針をCTOに移動させるのに使用され得る。針ルーメン2128は、カテーテル2110が従来の「オーバーザワイヤ」カテーテルと類似するように、好ましくは基本的にカテーテルシャフト2118の全長に沿って延びる。また、装置2101は、カテーテル2110が「単独術者交換」又は「迅速交換」カテーテルと類似するように、シャフト2118の一部のみに沿って延びるガイドワイヤルーメンを含む。
【0075】
シャフト2118はまた、例えばバルーン2116との間で膨張媒体の輸送を行うために使用される膨張ルーメン2130を含む。膨張ルーメン2130の場所及び位置は変わる。例えば、外側管状部材2126が内側管状部材2124上に配設される場合、膨張ルーメン2130は、管状部材間の空間内に画定される。
【0076】
バルーン2116は、複数の適当なやり方のいずれかでカテーテルシャフト2118に結合される。例えば、バルーン2116は、シャフト2118に接着接合又は熱接合される。
【0077】
以上で説明した幾つかの構造に加えて、シャフト2118はまた、少なくとも1つの(例えば
図1又は
図3に関連して説明されたような)血管内撮像デバイス、及びルーメンを通って延びる少なくとも1つの横断部材を含む。また、シャフト2118は、本明細書で説明される他の機構のいずれか等の他の機構、又は一般的にカテーテルシャフトに結合される他の機構を含む。例えば、シャフト2118は、ユーザによる血管系内のカテーテル2110の位置決定を支援する結合されたX線不透過性マーカーを含む。また、カテーテル2110は、バルーンの折り畳み及び再折り畳みにさらに役立つ、例えば近位ウエスト2132に隣接してバルーン2116に結合される折り畳みばね(図示せず)を含む。適当な折り畳みばねの説明は、参照により援用される米国特許第6,425,882号に見られる。
【0078】
以上で説明されたように、切断部材2120は、高い可撓性を有するように構成される。可撓性は、切断部材2120がバルーン2116に接合される方法により与えられる。
【0079】
図22は、特定の実施形態による切断部材2120の構造を示す。可撓性接合部材2138は、切断部材2120及びバルーン2116に結合される。接合部材2138は、切断部材2120及びバルーン2116間の接合部分をやや弾性又は柔軟にすることができる全体的に可撓性のある又は柔軟な材料から形成される。例えば、接合部材2138は、低デュロメータポリウレタン又は任意の他の適当な材料(本明細書に開示されるポリマー及び他の材料のいずれかを含む)から製造される。したがって、切断部材2120は、横方向に約8度以内で移動可能である。また、切断部材2120の異なる部分が、他の部分が基本的に変化しない状態で湾曲又は屈曲することができる。接合部材2138は、切断部材2120とバルーン2116の間に取り付け及び配設可能である。例えば、接合部材2138は、バルーン2116の外面2140及び切断部材2120の基部2142に取り付け可能である。接合部材2138の切断部材2120及びバルーン2116への取り付けは、接着接合、鋳造、熱接合、機械的結合、溶接、ろう着等といった適切なやり方、又は任意の他の適当なやり方で実現される。切断部材2120と接合部材2138とを取り付けるための取付手段は、バルーン2116と接合部材2138とを取り付けるために使用される手段と同じである必要はない。
【0080】
本明細書で説明される他の機構は、本発明の装置に含まれる。
【0081】
特定の態様及び実施形態では、本発明は、先端を関心領域方向に操縦する撓み可能先端機構を含む、CTO部を横断するための装置2301を提供する。撓み可能又は操縦可能な先端の使用によって安全性を高められる。撓み可能先端機構は、先端を血管壁方向ではなく関心領域(即ち、プラーク)方向に操縦可能である。
【0082】
図23は、真腔におけるCTO部横断のための操縦可能な血管内撮像装置2301を示す。装置2301は、シャフト2312を有するカテーテル本体を含む。カテーテルシャフト2312は、遠位セグメント2314、近位セグメント2316、及び少なくとも1つのルーメン(図示せず)を有する全体として可撓性のある細長部材である。近位セグメント2316は、ハンドル2318に取り付けられる。ハンドル2318は、例として、ハウジング2320、操縦アクチュエータ2324を含む。
【0083】
アクチュエータ2324は、ユーザがアクチュエータ2324の露出された制御面をハンドル2318のハウジング2320の長さに沿って縦方向に動かすことにより操作される。代替的な実施形態では、親指制御のスライダアクチュエータが回転ノブに取って代わる。遠位セグメント2314は、例として10cmの長さである。しかし、遠位セグメント2314の長さの例示的な範囲は、5cm〜2320cmである。遠位セグメント2314の先端は、カテーテルシャフトの近位セグメント2316の径よりも一般的に小さい径を有する。カテーテルシャフト2312は、例として人口ナイロン(ポリエーテルブロックアミド)で作られ、少なくとも1つのルーメンを有する代替的にカテーテル管又はカテーテル管類と呼ばれる管又は管類を含む。
【0084】
図23に示された実施例では、操縦アクチュエータ2324は、ハンドル2318の2つの側でアクセス可能である(ハウジング2320を経由する露出された制御面を有する)。ストレインレリーフ2326が、カテーテルシャフトの近位セグメント2316がハンドル2318と接触する箇所でカテーテルシャフト2312を保護する。ケーブル2328がハンドル2318をコネクタ2330に接続する。コネクタ2330は、多くの考えられる構成のいずれであってもよく、カテーテルシャフト2312の遠位セグメント2314に取り付けられたセンサにより生成された信号から取得されるデータを処理、記憶、操作及び表示するための撮像システムと相互接続するように構成される。例示的なカテーテル操縦機構は、米国特許第5,358,478号(発明者:Thompson)に示されている。
【0085】
図24及び
図25は、遠位セグメント2314がどのように操縦又は撓み可能かを示す。カテーテル2312は、アクチュエータ2324を使用して、
図24に示される直線形状から
図25に示される屈曲操縦形状に屈曲される。また、カテーテル2312の遠位セグメント2314は、
図24の直線形状と
図25の屈曲形状との間の任意の数の屈曲位置へ操縦可能であり、
図25の形状を越えて屈曲することもできる。カテーテルは各方向に90°を越えて屈曲可能であり、直線形状、即ち中立形状から0°〜150°の角度範囲を有する。第2の方向は
図25に示されたものに類似するものであり、それは単に第1の方向に示された
図25の構成の鏡像に過ぎないことを理解することができる。
【0086】
上記した仕方で遠位セグメント2314を屈曲させることに影響を及ぼすために、第2の操縦アクチュエータ2324(例えば、ノブ)が相対的に固定された位置のハンドル2318に対して第1の回動方向に回される。アクチュエータ2324を第1の方向に回動させることで、第1の操縦ワイヤが操縦隔壁2338に対し張力を作用させ、カテーテルシャフト2312の遠位セグメント2314を付勢して湾曲継手2315のところで湾曲させる(
図24参照)。カテーテルを反対方向に屈曲させるために、第2の操縦アクチュエータ2324がハンドル2318に対して逆の第2の回動方向に回される。これにより、第2の操縦ワイヤが操縦隔壁2338の反対側に張力を作用させ、カテーテルを付勢して湾曲継手2315のところで反対方向に湾曲させる。カテーテル組立体2310は、例として、中立又は真っすぐなカテーテル位置から各方向に少なくとも150度だけ双方向への屈曲操縦を支える。これら2つの操縦モード(回動と屈曲)の組み合わせを用いることは、回動或いは屈曲のいずれかだけの、両方に基づかない操縦機構よりもユーザにとってはずっと直感的である。回動と屈曲の両方の操縦を有するカテーテル組立体2310を用いる方法の一例では、(
図1又は
図3に示されているような)横断部材をまず人体の所望の位置に配置する。例えば超音波を用いて、血管ひいては血管内の横断部材の位置を可視化する一方で、カテーテルの向きが所望の向きに近くなるまで第2の操縦アクチュエータ2324が調整される。
【0087】
コネクタからのケーブル線は、近位オリフィスを通って延びる。カテーテル操縦機構及び信号線束は、遠位オリフィスを通って延びる。親指の下部と小指及び薬指が把握領域でハンドルを快適に把握する。ハンドルの形状及びアクチュエータの位置により、ハンドルの把握領域を握ったままで、ハンドル上部にある親指、及びハンドル下部にある人差し指又は中指のいずれかが容易に接近して、操縦アクチュエータ2324を操作できるようになる。
【0088】
特定の実施形態では、ロックレバーが操縦アクチュエータ2324の外縁/外径より僅かに上方に突き出る。図示された休止ロック位置にある間は、レバーによって制御されているロック機構は、2324が動かないようにして、カテーテル2310を所望の屈曲状態に維持する。ユーザの親指がアクチュエータ2324の1つを操作している間は、ロックレバーの関係する1つが、親指によって僅かに押し下げられ、対応するロック機構を解除し、アクチュエータを動かすことができる(例えば、ノブが回転する)ようになる。アクチュエータ2324が所望の位置に動かされ、親指がロックレバーから外れた後、対応するロックが自動的にアクチュエータ2324と係合し、次に動かされるまで操縦アクチュエータ2324を所望の位置に保持する。
【0089】
本明細書で説明される他の機構は、本発明の装置に含まれる。
【0090】
特定の態様及び実施形態では、本発明は、薬剤を横断部材の先端からCTO被膜に注入するための送達機構を含む、CTO部を横断するための装置を提供する。一部の実施形態では、装置は、薬剤を横断部材の先端からCTO被膜に送達又は注入するための機構を含む。例えば、本発明の装置は、薬剤を横断部材の先端からCTO被膜に注入するための機構として、(例えば、横断部材又はカテーテルを通る)送達ルーメンを含む。適当な薬剤には、血栓溶解薬、又はCTO部を溶解するエタノール等の薬剤が含まれる。
【0091】
図26は、薬剤を横断部材2661の先端からCTO被膜に注入するための送達機構を含む、CTO部を横断するための装置2601を示す。横断部材2661は、その中を通って延びる内側送達ルーメン2699を含む。薬剤は、フィブリン、トロンビン、コラーゲン、脂質及びカルシウムから構成される線維性被膜を軟化させるために使用することができる。被膜を軟化させ、小さなチャネルを形成した後、そのチャネルを広げ、患者の管腔を形成するために経皮経管的血管形成(PTA)バルーンが挿入される。薬剤の別の態様は、再狭窄又はさらなる石灰化の進展を防ぐために用いられ得る。
【0092】
特定の態様及び実施形態では、本発明は、CTO部を横断するための方法を提供する。
【0093】
図27は、CTO部を横断する方法2701の図を示す。本明細書に示される任意の1つのようなカテーテル装置が患者の閉塞血管に挿入される(2705)。装置は、延長体を有するカテーテルと、延長体の遠位部分に配設された血管内撮像デバイスとを含む。延長体の遠位端部には出口ポートがある。撮像デバイスは、血管を撮像し、3D画像を取得する(2709)ために使用される。カテーテルのルーメン内に配設された横断部材が、カテーテルから延長体の遠位端部から離れるように延び(2717)、CTO部を横断する(2719)ために使用される。CTO部を横断するための部材及び血管内撮像デバイスを含む任意の適当な装置が使用される。例えば、本明細書に示されるデバイス又は本明細書に示される機構の任意の組み合わせを有するデバイスのいずれもが、本発明によるCTO部を横断するための方法2701に使用される。
【0094】
本発明の装置に任意に含まれる追加の特徴は、機能的測定に関するものである。機能的測定は、概して、圧力、速度、温度等の血管内の流体の品質又は特性を測定すること、又は冠血流予備能又は冠血流予備量比等を間接的に測定することに関する。
【0095】
一部の実施形態では、圧力センサ(流速センサ、又は複合センサ)が、追加的又は代替的に、本発明の方法、デバイス、及びキットで使用するデバイスのカテーテル又はガイドワイヤに配置される。
【0096】
図28は、圧力センサ2804を有するガイドワイヤ2801を示す。ガイドワイヤ2801は、全体として近位端部2810から遠位端部2802に延びる細長い本体を画定する。近位端部2810は、本発明のシステムのコンピュータデバイスに接続するためのモジュラープラグ2821を提供するコネクタハウジング2815に接続する。
【0097】
圧力センサによって体管腔内の圧力測定値を得ることができる。圧力センサの特別な利点は、圧力センサによって、シャントの両側の位置における血管内の圧力の比較である、血管の冠血流予備量比(FFR)を測定できることである。FFRのレベルは、例えば新たに横断されたCTOの開存率を決定する。
【0098】
圧力センサ2804は、例えば
図1又は
図3に示されるデバイスの1つを含む可撓性の細長部材の遠位部分に取り付けられ得る。特定の実施形態では、圧力センサは、
図28に示される細長部材の圧縮可能かつ湾曲可能なコイルセグメントの遠位に配置される。これによって、圧力センサは、縦軸及び湾曲されたコイルセグメントから離れるように移動できる。圧力センサは、リセスを有し、リムによって境界づけされるダイアフラムを形成する結晶半導体材料で形成され得る。補強部材が結晶に接合されて結晶のリムを補強し、ダイアフラムの下に横たわり、ダイアフラムに露出されたキャビティを有する。対向端部を有するレジスタが結晶に担持され、ダイアフラムの一部の上に横たわる部分を有する。導電線がレジスタの対向端部に接続され、可撓性細長部材内を可撓性細長部材の近位部分まで延び得る。本発明のデバイスと共に使用される適当な圧力センサのさらなる詳細は、圧力センサ3004をセンサハウジング内に取り付けるのに適した方法を説明する米国特許第6,106,476号に記載されている。以上で考察したように、追加的又は代替的に、本発明の装置又はこれと共に使用するガイドワイヤは、流量センサを含み得る。一部の実施形態では、流量センサを含むガイドワイヤが使用される。ガイドワイヤ2801に適した製品は、Volcano Corporation製のPrimeWire PRESTIGEである。好ましくは、ガイドワイヤは、それぞれが参照により援用される米国特許第5,125,137号、米国特許第5,163,445号、米国特許第5,174,295号、米国特許第5,178,159号、米国特許第5,226,421号、米国特許第5,240,437号及び米国特許第6,106,476号に記載されている、近位端部及び遠位端部を有し、径が0.018インチ以下の可撓性細長部材を含む。
【0099】
本発明のガイドワイヤは、近位端部及び遠位端部を有する可撓性細長部材を含み、例えば0.018インチ以下の外径を有し、例えば0.001〜0.002インチの適当な壁厚を有する、ステンレス鋼、ニチノール、ポリイミド、PEEK又は他の金属若しくはポリマー材料等の適当な材料で形成され得る。この可撓性細長部材は、従来からハイポチューブと呼ばれている。一実施形態では、ハイポチューブは、280cm未満、好ましくは約50、310、70、又は80cmの長さを有する。一般的に、このようなガイドワイヤはさらに、所望のねじり特性をもたらす可撓性細長部材の近位端部から遠位端部まで延びるステンレス鋼心線を含み、血管内でのガイドワイヤの操縦を容易にするとともに、ガイドワイヤに強度を与えてねじれを防ぐ。ガイドワイヤは、約0.014インチ(0.35mm)の径を有することができ、Volcano CorporationによりFLOWIREという名前で販売されているドップラーガイドワイヤ、Volcano CorporationによりPRIMEWIRE PRESTIGEという名前で販売されている圧力ガイドワイヤ、又はその両方からなる機能的器具類を含むことができる。
【0100】
圧力センサ2804を有するガイドワイヤ2801は、圧力を測定するために使用され、したがって、圧力勾配が測定される。新たに横断されたCTO部を挟んで測定された圧力又は速度勾配によって、手技が成功しているかどうかが判断される。ガイドワイヤ2801は、CTO部の一方の側で血圧を測定する。値が安定化して記録されると、圧力センサ2804は、CTO部のもう一方の側に移動され、再度血圧が記録される。これによって、CTO部を挟んだ圧力値が提供され、手技の評価に役立つ。
【0101】
追加的又は代替的に、機能的な測定センサを有するガイドワイヤを使用して血流速度が測定される。
【0102】
図29は、流量センサ2905を有するガイドワイヤ2901を示す。流量センサは、冠血流予備能(CFR)等を評価するために使用可能な、血管内の血流速度を測定するために使用され得る。流量センサは、ガイドワイヤの遠位端に又はこれに極めて近接して配設される、例えば超音波トランスデューサ、ドップラー流量センサ又は任意の他の適当な流量センサとすることができる。超音波トランスデューサは、任意の適当なトランスデューサであり、米国特許第5,125,137号、第6,551,250号及び第5,873,835号に記載されたやり方を含む、任意の従来の方法を用いて遠位端部に取り付けられる。流量センサ2905を有するガイドワイヤ2901に適した製品は、Volcano Corporation製のFLOWIREである。
【0103】
好適な実施形態では、本発明の方法は、圧力を測定するためのデバイス及び流量を測定するためのデバイス、即ち、複合先端部を含むガイドワイヤを採用する。
【0104】
図30は、本発明の実施形態によるガイドワイヤ2801の複合センサ先端部3000を示す。複合センサ先端部3000は、センサハウジング3003内に圧力センサ3004を含み、任意で近位コイル3006の遠位にX線不透過性先端コイル3005を含む。複合センサ先端部は、その中に超音波トランスデューサ3009が配設されている。超音波トランスデューサ3009は、任意の適当なトランスデューサであり、参照により全体が本明細書に援用される米国特許第5,125,137号に記載の手法を含む任意の従来の方法を用いて遠位端部に取り付けられる。導体(図示せず)が超音波トランスデューサ3009の表面及び裏面に固定され、ガイドワイヤの近位端部まで内側を延びる。
【0105】
複合センサ先端部3000はまた、複合センサ先端部3000の遠位端部2802に極めて近接した圧力センサ3004を含む。圧力センサ3004は、以上で説明したタイプである。複合センサ先端部3000は、その遠位端部付近に超音波トランスデューサ3009及び圧力センサ3004の両方を有することで、複合センサ先端部3000をCTO部を越えて遠位側に配置できるために有利である。また、複合センサ先端部3000は、略同じ位置及び略同時に超音波トランスデューサ3009及び圧力センサ3004から測定することができる。本発明のガイドワイヤとの使用に適した構造は、参照によりその内容が援用される米国特許出願公開第2013/0030303号(発明者:Ahmed)で考察されている。
【0106】
図31は、ガイドワイヤを通ってガイドワイヤの近位端部2810付近の導電帯3108に達する細線導体3107を示す。超音波トランスデューサ3009及び圧力センサ3004からの信号は、導体3107により伝送される。通常、独立型の圧力測定ガイドワイヤには3つの電気コネクタが必要であり、独立型の流量測定ガイドワイヤには2つの電気コネクタが必要である。本発明の複合センサ先端部3000を組み込んだガイドワイヤは、ガイドワイヤのルーメンを通って延びる導電体3107及びガイドワイヤの近位端部の導電帯3108を含む。導電帯3108は、エポキシ樹脂3109によって互いに電気的に絶縁される。或いは、導体を導電帯から絶縁するためにポリイミドチューブが使用される。
【0107】
電気接続線は、銅等の導電材料から作られる導電性の芯と、ポリイミド、フッ素重合体、又は他の絶縁材料等の絶縁被覆とを含み得る。電気接続線は、ガイドワイヤの遠位端部に位置する1つ以上のセンサから、ガイドワイヤの全長に延び、近位端部にあるコネクタハウジングに接続する。
【0108】
細長部材の全長を通る電気接続線の任意の適当な構成が使用され得る。電気接続線の構成によって、ガイドワイヤの近位端部から遠位端部への安定的な接続がもたらされる。好ましくは、近位端部は、
図28に示されるコネクタハウジング2815に接続する。特定の実施形態では、電気接続線は結合されて、近位端部に雄コネクタを形成する。雄コネクタは、コネクタハウジングの雌コネクタと嵌合する。雄コネクタの終端処理は、いずれも参照によりその全体が本明細書に援用される、米国特許第6,210,339号に記載の金属蒸着プロセス又は米国特許出願公開第2014/0179179号に記載のレーザー直接構造化により行われ得る。蒸着金属(又は任意の導電材料)は、ポリイミド層が除去された箇所で露出された導線に永久的に付着又は結合する。マスキング材料が除去された後、それぞれが異なる個別の電線に接続された独立の導電片が現れる。巻線プロセス並びにマスキング及び金属蒸着プロセスの精密さのために、長さは短いが、雌コネクタ及びケーブルとの嵌合に高い信頼性がある雄コネクタが作られる。或いは、金属化プロセスの代わりに導電帯が電線の露出端部に結合される。
【0109】
コネクタハウジングは、センサにより受信された信号を本発明のシステムにおいて圧力値及び速度値に変換する、コンピュータデバイス(例えば、ラップトップ、デスクトップ、又はタブレットコンピュータ)又は生理学的モニタ等の機器に接続され得る。
【0110】
以上で考察されたように、本発明の方法及びデバイスは、血管内撮像センサ、圧力センサ、流量センサのうちの1つ、又はこれらの任意の組み合わせ、即ち、複合センサ先端部3000を含む。このようなデバイスから収集されたデータは、撮像機器、コンピュータシステム、又はその両方で受信される。
【0111】
図32は、本発明の装置101と共に結合ガイドワイヤ2801を使用するシステム3201を示す。装置101の血管内撮像デバイス175により収集されたデータは、先ず撮像プロセッサ3231(例えばIVUSシステムのベースステーション)により処理される。結合ガイドワイヤ2801により収集されたデータは、解析の必要に応じて、先ずサブシステム3237により(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ又は他の処理チップにより)処理される。次に、これらのデータは、非一時的メモリ及び1つ以上の入力/出力(I/O)デバイスに結合されたプロセッサを含む解析コンピュータ3225により統合される。好ましくは、I/Oデバイスのうちの1つは、撮像デバイス175により捕捉されたIVUS画像を表示するためのモニタである。システム3201はまた、サーバコンピュータ3213及び追加のワークステーションコンピュータ3219のいずれか又は両方を含む。一般的に、各コンピュータデバイスは、非一時的メモリ及び1つ以上の入力/出力(I/O)デバイスに結合されたプロセッサを含む。
【0112】
プロセッサは、1つ以上のシリコーンチップ、その処理コア、又は一緒に動作して演算処理を行うチップ及びコアの任意の組み合わせを意味するものと見なされ得る。例えば、Intel Corporation(Santa Clara、カリフォルニア州)により商標I7で販売されているプロセッサは、システム3201での使用に適したプロセッサである。
【0113】
メモリは、一般的に、ランダムアクセス、ストレージ、又はその両方のための1つ以上のデバイスを含む。好ましくは、メモリは、有形の非一時的コンピュータ可読媒体を含み、ソリッドステートドライブ(SSD)、磁気ディスクドライブ(「ハードドライブ」の別名でも知られる)、フラッシュメモリ、光学式ドライブ等のうちの1つ以上、又はこれらの組み合わせにより提供される。
【0114】
I/Oデバイスは、モニタ、キーボード、マウス、タッチスクリーン、Wi−Fi(登録商標)カード、セルアンテナ、イーサネット(登録商標)ポート、USBポート、ライト、加速度計、スピーカー、マイクロホン、リムーバブルディスク用ドライブ等のうちの1つ以上、又はこれらの組み合わせを含む。好ましくは、システム3201のコンピュータの任意の組み合わせは、インターネット通信、電話通信等、又はこれらの組み合わせのための通信デバイスを含むネットワークを用いて通信する。
【0115】
装置101自体は撮像デバイスであるが、本発明を用いる一部の方法では、第2の撮像カテーテルが使用される。
図32はまた、カテーテル2801が血管内撮像カテーテルである第2の撮像カテーテルと共に装置101が使用されるシステムを示す。装置101は、CTO部が存在する血管中で使用する穿刺カテーテルを提供する。しかし、この実施形態では、撮像カテーテル2801は、隣接する血管内で使用される。隣接する血管内の撮像カテーテルは、閉塞血管を撮像し、CTO部がどれくらい広がっているかを測定できるほど近接している。これにより、穿刺カテーテルを使用する際の安全性が増す。
【0116】
上記のデバイス及び方法は、特に脚のCTOを治療するのに適しているが、動脈瘤を消失させること、神経系の処置、及び脳卒中治療等の他の症状にも使用され得る。
【0117】
(参照による援用)
特許、特許出願、特許公開、雑誌、書籍、論文、ウェブコンテンツのような、他の文献の参照及び引用が、本開示の全体にわたって成されている。すべてのこのような文献は、すべての目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に援用される。
【0118】
(均等物)
本発明は、その精神又は本質的な特性から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化される。したがって、前述の実施形態は、本明細書に記載の本発明を制限するものではなく、すべての点で例示的と考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は、上記の説明によってではなく添付の請求項によって示される。請求項の均等性の意味及び範囲内にあるすべての変更は、それらの範囲内に含まれることが意図される。