特許第6651523号(P6651523)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6651523水性ポリマー分散物を有する粘弾性ポリウレタンフォーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6651523
(24)【登録日】2020年1月24日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】水性ポリマー分散物を有する粘弾性ポリウレタンフォーム
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20200210BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20200210BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20200210BHJP
【FI】
   C08G18/00 F
   C08G18/48
   C08G18/00 C
   C08G18/48 033
   C08G18/48 004
   C08G101:00
【請求項の数】5
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-531517(P2017-531517)
(86)(22)【出願日】2015年12月15日
(65)【公表番号】特表2017-538824(P2017-538824A)
(43)【公表日】2017年12月28日
(86)【国際出願番号】US2015065680
(87)【国際公開番号】WO2016100263
(87)【国際公開日】20160623
【審査請求日】2018年12月3日
(31)【優先権主張番号】62/093,054
(32)【優先日】2014年12月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/166,261
(32)【優先日】2015年5月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128761
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】カオル・アオウ
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・ヤコブス
(72)【発明者】
【氏名】チンハオ・メン
(72)【発明者】
【氏名】ポール・クックソン
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−510602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00
C08G 18/48
C08G 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ASTM D 3574に従って測定されるとき、20%以下の弾力性を有する粘弾性ポリウレタンフォームを形成するための反応系であって、前記反応系が、
少なくとも1つのイソシアネートを含むイソシアネート成分であって、前記反応系のイソシアネート指数が、50〜110である、イソシアネート成分と、
少なくともポリオール成分、添加剤成分、及び予備形成された水性ポリマー分散物を添加することによって形成される混合物である、イソシアネート反応性成分と、を含み、前記混合物が、
少なくとも1つのポリエーテルポリオールを含む、前記混合物の総重量に基づき、50.0重量%〜99.8重量%のポリオール成分と、
少なくとも1つの触媒を含む、前記混合物の総重量に基づき、0.1重量%〜50.0重量%の添加剤成分と、
前記混合物の総重量に基づき、0.1重量%〜6.0重量%の予備形成された水性ポリマー分散物と、を含み、前記予備形成された水性ポリマー分散物が、前記予備形成された水性ポリマー分散物の総重量に基づき、10重量%〜80重量%の固体含有量を有し、かつ水性酸ポリマー分散物または水性酸改質ポリオレフィンポリマー分散物のうちの1つであり、前記ポリオレフィンが、少なくとも1つのC〜C20アルファオレフィンから誘導される、反応系。
【請求項2】
前記予備形成された水性ポリマー分散物が、室温及び気圧の周囲条件で連続液相成分であり、かつ液相及び固相から誘導され、前記液相が、水であり、前記固相が、酸系ポリマーまたは酸改質ポリオレフィンであり、前記ポリオレフィンが、少なくとも1つのC〜C20アルファオレフィンから誘導される、請求項1に記載の反応系。
【請求項3】
前記ポリオール成分が、少なくとも3つのポリオールのブレンドを含み、前記ブレンドが、
(i)少なくとも50重量%のエチレンオキシド含有量を有し、2〜4の名目ヒドロキシル官能価を有し、700g/モル〜1500g/モルの分子量を有し、前記イソシアネート反応性成分の35重量%〜90重量%を占めるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンポリエーテルポリオールと、
(ii)20重量%未満のエチレンオキシド含有量を有し、2〜4の名目ヒドロキシル官能価を有し、1500g/モル超かつ6000g/モル未満の分子量を有し、前記イソシアネート反応性成分の5重量%〜50重量%を占めるポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンポリエーテルポリオールと、
(iii)2〜4の名目ヒドロキシル官能価を有し、700g/モル〜1500g/モルの分子量を有し、前記イソシアネート反応性成分の5重量%〜50重量%を占めるポリオキシプロピレンポリエーテルポリオールと、を含む、請求項1または2に記載の反応系。
【請求項4】
ASTM D 3574に従って測定されるとき、20%以下の弾力性を有し、請求項1〜のいずれか一項に記載の反応系を使用して調製された、粘弾性ポリウレタンフォームであって、ASTM D3574に従って測定されるとき、少なくとも5.0ft/分(2.4L/s)の空気流、及び20秒未満の回復時間を有する、粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項5】
ASTM D 3574に従って測定されるとき、20%未満の弾力性を有する粘弾性ポリウレタンフォームを形成するための方法であって、前記方法が、
少なくともポリオール成分、添加剤成分、及び予備形成された水性ポリマー分散物を混合することによって、イソシアネート反応性成分を調製することであって、これにより得られた混合物が、
少なくとも1つのポリエーテルポリオールを含む、前記混合物の総重量に基づき、50.0重量%〜99.8重量%のポリオール成分と、
少なくとも1つの触媒及び少なくとも1つの界面活性剤を含む、前記混合物の総重量に基づき、0.1重量%〜50.0重量%の添加剤成分と、
前記混合物の総重量に基づき、0.1重量%〜6.0重量%の予備形成された水性ポリマー分散物と、を含み、前記予備形成された水性ポリマー分散物が、前記予備形成された水性ポリマー分散物の総重量に基づき、10重量%〜80重量%の固体含有量を有し、かつ水性酸ポリマー分散物または水性酸改質ポリオレフィンポリマー分散物のうちの1つであり、前記ポリオレフィンが、少なくとも1つのC〜C20アルファオレフィンから誘導される、調製することと、
前記反応系のイソシアネート指数が50〜110となるように、少なくとも1つのイソシアネートを含む、イソシアネート成分を提供することと、
前記イソシアネート成分を前記イソシアネート反応性成分と反応させて、前記粘弾性ポリウレタンフォームを形成することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、予備形成された水性ポリマー分散物を使用して調製された粘弾性ポリウレタンフォーム及びこのような粘弾性ポリウレタンフォームを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軟質粘弾性ポリウレタンフォーム(緩徐回復フォーム及び高減衰フォームとしても知られる)は、圧縮からの相対的に緩徐で緩やかな回復によって特徴付けられ、粘弾性フォームは、相対的により低い弾力性を有してもよい。粘弾性フォームの例示的な用途は、形状一致、エネルギー減弱化、及び/または音減衰などのフォームの特徴を利用する。例えば、粘弾性ポリウレタンフォームは、コンフォート用途(例えば、寝具及び枕)、緩衝用途(例えば、運動競技のパディング及びヘルメット)、ならびに防音用途(例えば、自動車の内装)において使用され得る。
【発明の概要】
【0003】
ASTM D 3574に従って測定するとき、20%以下の弾力性を有する粘弾性ポリウレタンフォームを形成するための反応系を提供することによって、実施形態を実現してもよく、反応系は、少なくとも1つのイソシアネートを有するイソシアネート成分であって、反応系のイソシアネート指数が50〜110である、イソシアネート成分と、少なくともポリオール成分、添加剤成分、及び予備形成された水性ポリマー分散物を添加することによって形成された混合物である、イソシアネート反応性成分と、を含む。混合物は、少なくとも1つのポリエーテルポリオールを含む、混合物の総重量に基づき、50.0重量%〜99.8重量%のポリオール成分と、少なくとも1つの触媒を含む、混合物の総重量に基づき、0.1重量%〜50.0重量%の添加剤成分と、混合物の総重量に基づき、0.1重量%〜6.0重量%の予備形成された水性ポリマー分散物と、を含む。予備形成された水性ポリマー分散物は、予備形成された水性ポリマー分散物の総重量に基づき、10重量%〜80重量%の固体含有量を有し、かつ水性酸ポリマー分散物または水性酸改質ポリオレフィンポリマー分散物のうちの1つであり、該ポリオレフィンは少なくとも1つのC〜C20アルファオレフィンから誘導される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】予備形成された水性ポリマー分散物を調製するために使用される溶融押出装置の例示的な概略図を例証する図である。
図2】実施例12の湿潤効果を例証する図である。
図3】比較例Dの湿潤効果を例証する図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
粘弾性ポリウレタンフォームは、ASTM D 3574(反発弾性試験と称されることもある)に従って測定するとき、20%以下の弾力性を有するものとして特徴付けられてもよい。例えば、弾力性は、15%未満、10%未満、8%未満、及び/または7重量%未満であってもよい。弾力性は、1%超であってもよい。粘弾性ポリウレタンフォームは、イソシアネート成分及びイソシアネート反応性成分を含む反応系を使用して調製され得る。特に、粘弾性フォームは、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分との反応生成物として形成される。イソシアネート成分は、少なくとも1つのイソシアネート、例えば、イソシアネート末端プレポリマー及び/またはポリイソシアネートを含む。イソシアネート反応性成分は、イソシアネート反応性水素原子基、例えば、ヒドロキシル基及び/またはアミン基を有する少なくとも1つの化合物を含む。イソシアネート成分及び/またはイソシアネート反応性成分は、添加剤、このような触媒、硬化剤、界面活性剤、発泡剤、ポリアミン、及び/または充填剤を含んでもよい。
【0006】
実施形態によれば、イソシアネート反応性成分は、少なくとも3つの成分を含む。特に、イソシアネート反応性成分は、ポリオール成分、添加剤成分、及び予備形成された水性ポリマー分散物を含む。
【0007】
ポリオール成分は、イソシアネート反応性成分の50.0重量%〜99.8重量%(例えば、粘弾性ポリウレタンフォームを形成するための反応系において主要成分となるように、60.0重量%〜99.8重量%、70.0重量%〜99.5重量%、80.0重量%〜99.0重量%、90.0重量%〜99.0重量%等)を占める。ポリオール成分は、少なくとも1つのポリエーテルポリオールを含み、任意選択で、少なくとも1つのポリエステルポリオールを含んでもよい。
【0008】
添加剤成分は、触媒、硬化剤、界面活性剤、発泡剤、ポリアミン、水、及び/または充填剤を含んでもよい。添加剤成分は、イソシアネート反応性成分の総重量に基づき、0.1重量%〜50.0重量%(例えば、0.1重量%〜40.0重量%、0.1重量%〜30.0重量%、0.1重量%〜20.0重量%、0.1重量%〜15.0重量%、0.1重量%〜10.0重量%、0.1重量%〜5.0重量%等)の添加剤成分を占める。例示的な実施形態における添加剤成分は、少なくとも1つの触媒及び少なくとも1つの界面活性剤を含む。
【0009】
予備形成された水性ポリマー分散物は、イソシアネート反応性成分の0.1重量%〜6.0重量%(例えば、0.1重量%〜5.0重量%、0.1重量%〜4.1重量%、0.1重量%〜4.0重量%、0.1重量%〜3.5重量%、0.1重量%〜3.0重量%、0.4重量%〜2.5重量%、0.5重量%〜2.4重量%等)を占める。予備形成された水性ポリマー分散物は、水性酸ポリマー分散物または水性酸改質ポリオレフィンポリマー分散物のうちの1つであり、該ポリオレフィンは少なくとも1つのC〜C20アルファオレフィン(例えば、少なくとも1つのC〜C10アルファオレフィン及び/もしくはC〜Cアルファオレフィン)から誘導される。予備形成された水性ポリマー分散物は、予備形成された水性ポリマー分散物の総重量に基づき、10重量%〜80重量%の固体含有量を有する。水性ポリマー分散物は、粘弾性ポリウレタンフォームを形成するために使用される1つ以上の水性ポリマー分散物の組み合わせであってもよい。
【0010】
予備形成された水性ポリマー分散物添加剤を使用して調製された粘弾性フォームは、標準条件下で5.0標準立方フィート毎分(scfm)(およそ2.4L/s)超の空気流を有してもよい。粘弾性フォームは、20秒未満(例えば、10秒未満及び/または5秒未満)の回復時間(粘弾性回復時間と称されることもある)を有してもよい。例えば、弾力性を犠牲にすることなく、増加した空気流を有する粘弾性ポリウレタンフォームが調製され得る。
【0011】
予備形成された水性ポリマー分散物
水性ポリマー分散物は、少なくとも(a)酸性ポリマー及び/または酸改質ポリオレフィンポリマーを含むベースポリマーと、(b)流体媒体(この場合、水)とを含み、ベースポリマーは、流体媒体中で分散される。予備形成された水性ポリマー分散物は、室温及び気圧の周囲条件で連続液相成分であってもよく、液相(すなわち、流体媒体)及び固相(すなわち、ベースポリマー)から誘導される。
【0012】
実施形態において、予備形成された水性ポリマー分散物は、水性酸ポリマー分散物または水性酸改質ポリオレフィンポリマー分散物のうちの1つであり、該ポリオレフィンは少なくとも1つのC〜C20アルファオレフィンから誘導される。水性酸ポリマー分散物とは、酸系ポリマーを用いて調製された水性分散物を意味する。水性酸改質ポリオレフィンポリマー分散物とは、酸改質ポリオレフィンポリマーを用いて調製された水性分散物を意味する。少なくとも1つのC〜C20アルファオレフィンから誘導されるとは、ポリオレフィンが、少なくとも1つのアルファオレフィンを使用して調製されたポリマーであることを意味し、使用される各アルファオレフィンは、C〜C20アルファオレフィン(例えば、ポリオレフィンは、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキセン、及び/またはオクテンのうちの少なくとも1つのから誘導され得る)のうちの1つである。例示的な実施形態において、ポリオレフィンは、エチレン系ポリマー及び/またはプロピレン系ポリマーであってもよい。
【0013】
本明細書で使用する場合、ポリマーとは、同じ種類であるかまたは異なる種類であるかにかかわらず、モノマーを重合させることによって調製される化合物を意味する。したがって、ポリマーという用語は、通常、1種類のみのモノマーから調製されるポリマーを指すのに用いられるホモポリマーという用語、及びインターポリマーという用語を包含する。それはまた、インターポリマー、例えば、ランダム、ブロック、同質、異質等のすべての形態も包含する。コポリマー/インターポリマーとは、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されるポリマーを意味する。これらの用語は、古典的コポリマー、すなわち、2つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマー、及び2つ以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマー、例えば、ターポリマー、テトラポリマー等の両方を含む。
【0014】
エチレン系ポリマーとは、(重合性モノマーの総重量に基づき)主要重量パーセントの重合エチレンモノマーを含むポリマーを意味し、任意選択で、エチレン系インターポリマーを形成するように、エチレンと異なる少なくとも1つの重合コモノマー(例えば、C〜C20アルファオレフィンから選択される少なくとも1つ)を含み得る。例えば、エチレン系ポリマーがエチレンプロピレンコポリマーであるとき、エチレンの量は、コポリマーに対する総重量に基づき、50重量%超であってもよい。「エチレンから誘導された単位」などの用語は、重合エチレンモノマーから形成されたポリマーの単位を意味する。
【0015】
プロピレン系ポリマーとは、(重合性モノマーの総重量に基づき)主要重量パーセントの重合プロピレンモノマーを含むポリマーを意味し、任意選択で、プロピレン系インターポリマーを形成するように、プロピレンと異なる少なくとも1つの重合コモノマー(例えば、C及びC〜C20アルファオレフィンから選択される少なくとも1つ)を含み得る。例えば、プロピレン系ポリマーがプロピレンエチレンコポリマーであるとき、プロピレンの量は、コポリマーに対する総重量に基づき、50重量%超であってもよい。「プロピレンから誘導された単位」などの用語は、重合プロピレンモノマーから形成されたポリマーの単位を意味する。
【0016】
例示的な水性酸ポリマー分散物は、エチレンアクリル酸インターポリマー、エチレンメタアクリル酸インターポリマー、及び/またはエチレンクロトン酸インターポリマーを含んでもよい。エチレンアクリル酸インターポリマーは、少なくともエチレンとアクリル酸との共重合によって調製される。エチレンメタクリル酸インターポリマーは、少なくともエチレンとメタクリル酸との共重合によって調製される。エチレンクロトン酸インターポリマーは、少なくともエチレンとクロトン酸との共重合によって調製される。このような水性酸ポリマー分散物において、例示的な実施形態は、エチレンアクリル酸インターポリマー、エチレンメタアクリル酸インターポリマー、及び/またはエチレンクロトン酸インターポリマーだけに限定されるものではないことが理解される。例えば、エチレンは、以下のアクリル酸、メタアクリル酸、及び/またはクロトン酸のうちの複数と共重合することができる。
【0017】
例示的な水性酸ポリマー分散物は、流体媒体(この場合、水)中に分散されるベースポリマーとして、少なくとも1つのエチレンアクリル酸(EAA)コポリマー(及び/またはエチレンメタアクリル酸コポリマー)を含んでもよい。分散物は、The Dow Chemical CompanyまたはThe Dow Chemical Companyの系列会社の所有財産であり、それらの商標である特許を受けた機械的分散技術である、BLUEWAVE(商標)技術によって可能になり得る。例えば、EAAは、エチレンアクリル酸EAAコポリマーを生じる、エチレンとアクリル酸との共重合によって調製されてもよい。エチレンアクリル酸コポリマーは、少なくとも10重量%(例えば、10重量%〜70重量%、10重量%〜60重量%、10重量%〜50重量%、10重量%〜40重量%、10重量%〜30重量%、及び/または15重量%〜25重量%)のアクリル酸含有量を有してもよい。例示的なEAAコポリマーは、THE DOW CHEMICAL COMPANY製のPRIMACOR(商標)製品として入手可能である。EAAコポリマーは、100〜2000g/10分のメルトインデックス(190℃及び2.16kgでのASTM法D−1238)を有してもよい。EAAコポリマーは、350°Fで5,000〜13,000cpsのブルックフィールド粘度を有してもよく、The Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0018】
エチレンメタアクリル酸コポリマーは、エチレンとメタアクリル酸との共重合によって調製され得る。例示的な、エチレンアクリル酸、エチレンメタアクリル酸、及び/またはエチレンクロトン酸コポリマーは、米国特許第4,599,392号及び/または同第4,988,781号において述べられている。
【0019】
例示的な水性酸改質ポリオレフィンポリマー分散物は、The Dow Chemical Companyから入手可能なHYPOD(商標)製品として販売される分散物を含む。HYPOD(商標)製品は、The Dow Chemical CompanyまたはThe Dow Chemical Companyの系列会社の所有財産であり、それらの商標である特許を受けた機械的分散技術である、BLUEWAVE(商標)技術によって可能になり得る。BLUEWAVE(商標)技術は、慣習的な熱可塑性ポリマー及びエラストマーを取得し、それらを極微粒子に砕くことによって、作動し得る高せん断機械的プロセスを利用してもよい。水性酸改質ポリマー分散物は、プロピレン系分散物及びエチレン系分散物を含んでもよく、それは、高分子量の熱可塑性樹脂及びエラストマーの性能とハイソリッドの水系分散物の適用利点とを組み合わせ得る。分散物のポリオレフィンは、メタロセン触媒ポリオレフィンであってもよい。例示的なポリオレフィンは、The Dow Chemical Companyから入手可能な、AFFINITY(商標)、ENGAGE(商標)、VERSIFY(商標)、及びINFUSE(商標)製品において販売されている。
【0020】
水性ポリマー分散物は、中和剤を使用することによって調製され得る。例示的な中和剤としては、アンモニア、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、及びそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、ベースポリマーの極性基が事実上酸性または塩基性である場合、ポリマーは、中和剤によって部分的にまたは完全に中和され、対応する塩を形成し得る。EAAを使用して調製された酸性ポリマー改質分散物が使用される場合、中和剤は、塩基、例えば、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、及び/または水酸化ナトリウムである。当業者であれば、適切な中和剤の選択が、配合される特定の組成物に依存し得ること、及びこのような選択が当業者の知識の範囲内であることを認識するであろう。
【0021】
水性ポリマー分散物は、例えば、米国特許第8,318,257号において述べられるように、押出プロセスにおいて調製され得る。図1は、水性ポリマー分散物を製造するための押出装置の例示的な概略図を例証する。押出機1(二軸スクリュー押出機など)は、圧力制御装置2(圧力制御弁、背圧レギュレータ、溶融ポンプ、及び/またはギヤポンプなど)に連結され得る。中和剤貯蔵器3及び初期貯水器4のそれぞれは、ポンプ(図示せず)を含み、押出機1と接続して提供され得る。中和剤及び初期水の所望量は、それぞれ、中和剤貯蔵器3及び初期貯水器4から提供される。例えば、所望の流量に基づいて、任意の好適なポンプを使用してもよい。中和剤及び初期水は、予熱器において予熱されてもよい。
【0022】
ポリマー樹脂(酸性ポリマー及び/またはポリオレフィンポリマーなど)は、供給機7から押出機1の入口8へ供給され得、ここで、樹脂は、溶融または合成される。ポリマー樹脂は、例えば、ペレット、粉末、及び/またはフレークの形態で提供されてもよい。分散剤は、ポリマー樹脂によって、及びポリマー樹脂とともに押出機に添加されてもよく、または押出機1に別々に提供されてもよい。例えば、ポリマー(及び含まれる場合、分散剤)は、混合及び運搬ゾーン内のスクリューによって、溶融、混合、及び運搬され得る。その後、混合及び運搬ゾーンから、初期量の水及び中和剤(貯蔵器3及び4から)が入口5を通じて添加される押出機の乳化ゾーンにポリマー樹脂溶融物が送達される。得られた乳化混合物は、押出機1の希釈ゾーン及び冷却ゾーンにおいて、貯蔵器6から入口9を介して追加の水を使用して、少なくとも1回さらに希釈され得る。少なくとも米国特許第8,318,257号を考慮して、当業者によって理解されるように、得られた乳化混合物の希釈方式は、変更され得る(例えば、所望の固体含有量に基づいて)。例えば、乳化混合物は、押出機1の希釈ゾーンにおいて、追加の貯蔵器からの追加の分散物媒体でさらに希釈されてもよい。分散物は、希釈ゾーンにおいて、少なくとも30重量パーセントの分散物に希釈されてもよい。
【0023】
混合及び運搬ゾーン内のスクリューに関して、1つ以上の回転制限オリフィスをスクリューに沿って配置してもよい。回転制限オリフィスは、分散物形成プロセスの安定性を改善し得る。非回転の制限オリフィスを使用してもよい。いくつかの実施形態において、スクリューは、高混合混練ディスクを含んでもよい。上記の高混合混練ディスク60に加えて、押出機1を使用して形成された分散物の体積加重粒径分布を最小化し得る、低自由体積混練ディスク62を任意選択で含んでもよい。
【0024】
押出機1は、例えば、米国特許第8,318,257号において述べられるように、その長さに沿って高内相エマルジョン生成(HIPE)ゾーンを含む。例えば、水性ポリマー分散物は、温度がゾーン内で変更される12個のHIPEゾーンを組み込むシステムを使用して調製され得る。供給組成物(例えば、ポリマー、分散剤、中和剤等)に応じて、より長いまたはより短いHIPEゾーンを有することが望ましくなり得る。必要に応じて、HIPEゾーンを延長または短縮することができるように、複数の分散媒体注入点が提供されてもよい。分散したポリマー粒子の粒径は、HIPEゾーンにおいて形成されるので、所望の粒径を発達させるために、適切な混合が提供されなければならない。HIPEゾーンのための可変長を有することにより、単一押出機において、より幅広い範囲のポリマーを加工することが可能になり、様々な利益のなかでプロセス柔軟性を提供し得る。
【0025】
分散物を含有するEEAを生成するとき、HIPEゾーンの直径に対する長さ(L/D)が少なくとも16になるように、二軸スクリュー押出機のバレル、スクリュー、及び希釈媒体注入点を変更してもよい。上記の装置は、分散物を生成するために使用されてもよく、いくつかの実施形態において、ポリマー供給速度は、約50〜約2000lb/h(約22〜約907kg/h)の範囲であってもよい。他の実施形態において、ポリマー供給速度は、約100〜約1000lb/h(約45〜約454kg/h)の範囲であってもよい。他の実施態様において、スクリュー速度は、約300rpm〜約1200rpmの範囲であってもよい。さらに他の実施態様において、押出機吐出し圧力は、約300〜約800psig(約21バール〜約56バール)の範囲の圧力で維持されてもよい。
【0026】
ポリオール成分
ポリオール成分は、少なくとも1つのポリエーテルポリオール及び/またはポリエステルポリオールを含む。例示的なポリエーテルポリオールは、アルキレンオキシド(例えば、少なくとも1つのエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/またはブチレンオキシド)と1分子当たり2〜8個の活性水素原子を含有する開始剤との反応生成物である。例示的な開始剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、エチレンジアミン、トルエンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ポリメチレンポリフェニレンポリアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、及びこのような開始剤の混合物が挙げられる。例示的なポリオールとしては、The Dow Chemical Companyから入手可能なVORANOL(商標)製品が挙げられる。ポリオール成分は、粘弾性ポリウレタンフォームを形成するために使用可能なポリオールを含んでもよい。
【0027】
例えば、ポリオール成分は、少なくとも50重量%のエチレンオキシド含有量を有し、2〜6(例えば、2〜4)の名目ヒドロキシル官能価を有し、500g/モル〜5000g/モル(例えば、500g/モル〜4000g/モル、600g/モル〜3000g/モル、600g/モル〜2000g/モル、700g/モル〜1500g/モル、及び/または800g/モル〜1200g/モル)の数平均分子量を有するポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンポリエーテルポリオールを含んでもよい。少なくとも50重量%のエチレンオキシド含有量を有するポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンポリエーテルポリオールは、イソシアネート反応性成分の5重量%〜90重量%(例えば、10重量%〜90重量%、35重量%〜90重量%、40重量%〜85重量%、50重量%〜85重量%、50重量%〜80重量%、及び/または55重量%〜70重量%)を占めてもよい。少なくとも50重量%のエチレンオキシド含有量を有するポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンポリエーテルポリオールは、イソシアネート反応性成分において主要成分であってもよい。
【0028】
ポリオール成分は、20重量%未満のエチレンオキシド含有量を有し、2〜6(例えば、2〜4)の名目ヒドロキシル官能価を有し、1000g/モル超(または1500g/モル超)かつ6000g/モル未満の数平均分子量を有するポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンポリエーテルポリオールを含んでもよい。例えば、分子量は、1500g/モル〜5000g/モル、1600g/モル〜5000g/モル、2000g/モル〜4000g/モル、及び/または2500g/モル〜3500g/モルであってもよい。20重量%未満のエチレンオキシド含有量を有するポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンポリエーテルポリオールは、イソシアネート反応性成分の5重量%〜90重量%(例えば、5重量%〜70重量%、5重量%〜50重量%、10重量%〜40重量%、及び/または10重量%〜30重量%)を占めてもよい。20重量%未満のエチレンオキシド含有量を有するポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンポリエーテルポリオールは、少なくとも50重量%のエチレンオキシド含有量を有するポリオキシプロピレンポリエーテルポリオールとブレンドしてもよく、一方でこのうちの後者は、より大きい量で含まれる。
【0029】
ポリオール成分は、2〜6(例えば、2〜4)の名目ヒドロキシル官能価を有し、500g/モル〜5000g/モル(例えば、500g/モル〜4000g/モル、600g/モル〜3000g/モル、600g/モル〜2000g/モル、700g/モル〜1500g/モル、及び/または800g/モル〜1200g/モル)の数平均分子量を有するポリオキシプロピレンポリエーテルポリオールを含んでもよい。ポリオキシプロピレンポリエーテルポリオールは、イソシアネート反応性成分の5重量%〜90重量%(例えば、5重量%〜70重量%、5重量%〜50重量%、10重量%〜40重量%、及び/または10重量%〜30重量%)を占めてもよい。ポリオキシプロピレンポリエーテルポリオールは、少なくとも50重量%のエチレンオキシド含有量を有するポリオキシプロピレンポリエーテルポリオールとブレンドしてもよく、一方でこのうちの後者は、より大きい量で含まれる。
【0030】
例示的な実施形態において、ポリオール成分は、少なくとも50重量%のエチレンオキシド含有量を有するポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンポリエーテルポリオール、20重量%未満のエチレンオキシド含有量を有するポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンポリエーテルポリオール、及びポリオキシプロピレンポリエーテルポリオールのブレンドを含んでもよい。
【0031】
ポリオール成分は、イソシアネート成分に接触する前に、予備形成された水性ポリマー分散物(及び任意選択で、添加剤成分の少なくとも一部)と混合されてもよい。
【0032】
添加剤成分
添加剤成分は、予備形成された水性分散物及びポリオール成分を形成する成分から分離される。添加剤成分は、イソシアネート反応性成分の一部であるが、他の添加剤はイソシアネート成分に組み込まれてもよい。添加剤成分は、触媒、硬化剤、架橋剤、界面活性剤、発泡剤(水性ポリマー分散物から分離された、水性及び非水性)、ポリアミン、可塑剤、芳香剤、色素、抗酸化剤、UV安定剤、水(水性ポリマー分散物から分離された)、ならびに/または充填剤を含んでもよい。他の例示的な添加剤としては、鎖延長剤、難燃剤、煙抑制剤、乾燥剤、タルク、粉末、離型剤、ゴムポリマー(「ゲル」)粒子、ならびに粘弾性フォーム及び粘弾性フォーム製品で使用するための当技術分野において既知の他の添加剤が挙げられる。
【0033】
添加剤成分は、スズ触媒、亜鉛触媒、ビスマス触媒、及び/またはアミン触媒を含んでもよい。イソシアネート反応性成分における触媒の総量は、0.1重量%〜3.0重量%であってもよい。
【0034】
界面活性剤は、例えば、フォームが拡大し硬化する場合、それを安定させる補助をするために、添加剤成分において含まれてもよい。界面活性剤の例としては、ノニオン性界面活性剤及び湿潤剤、例えば、長鎖アルコールのプロピレングリコール、固体または液体オルガノシリコーン、及びポリエチレングリコールエーテルに、プロピレンオキシドその後エチレンオキシドを順次添加することによって調製されるものなどが挙げられる。イオン性界面活性剤、例えば長鎖アルキル酸硫酸エステルの3級アミンまたはアルカノールアミン塩、アルキルスルホン酸エステル、及びアルキルアリールスルホン酸を使用してもよい。例えば、配合物は、オルガノシリコーン界面活性剤などの界面活性剤を含んでもよい。イソシアネート反応性成分内のオルガノシリコーン界面活性剤の総量は、0.1重量%〜5.0重量%、0.1重量%〜3.0重量%、0.1重量%〜2.0重量%、及び/または0.1重量%〜1.0重量%であってもよい。
【0035】
添加剤成分は、予備形成された水性ポリマー分散物から分離される、水を含んでもよい。水は、イソシアネート反応性成分の総重量の2.0重量%未満を占めてもよい。予備形成された水性ポリマー分散物からの水と追加成分からの水とを含む全体の水は、イソシアネート反応性成分の総重量の5重量%未満を占めてもよい。
【0036】
添加剤成分は、水性ポリマー分散物の使用に基づいて、任意の従来のポリウレタンフォーム化学セルオープナを除外してもよい。添加剤成分は、ポリブチレン、ポリブタジエン、及びワックス状脂肪族炭化水素、例えば低弾力性フォームにおいて一般に用いられるセルオープナである油(例えば、鉱油、パラフィン油、及び/またはナフテン系油)を除外してもよい。添加剤成分は、例えば、米国特許第4,596,665号で述べられるように、少なくとも4つの炭素原子を有するα,β−アルキレンオキシドのアルコキシル化から主に誘導されたポリオールであるセルオープナを除外してもよい。添加剤成分は、例えば、米国特許第4,863,976号の背景技術の節で述べられるように、エチレンオキシドまたはブチレンオキシドから誘導された単位の高い比率(通常、50パーセント以上)を含有する最大約3500分子量のポリエーテルであるセルオープナを除外してもよい。添加剤成分は、例えば、米国特許第4,863,976号の特許請求の範囲において述べられるように、少なくとも5000の分子量を有し、オキシエチレン単位の少なくとも50重量%を有するポリエーテルポリオールであるセルオープナを除外してもよい。
【0037】
イソシアネート成分
イソシアネート成分は、少なくとも1つのイソシアネートを含む。イソシアネート成分は、50〜110(例えば、60〜100、65〜100、70〜100、74〜100、70〜90、70〜85、及び/または74〜85)のイソシアネート指数で存在する。イソシアネート指数は、100を乗算した、イソシアネート反応性単位(イソシアネート部分と反応するために利用可能な活性水素)のモル数に対する、反応混合物中のイソシアネート部分のモル化学量論的過剰量として定義される。100のイソシアネート指数は、100を乗算した、1.0モルのイソシアネート反応性基当たり1.0モルのイソシアネート基が存在するように、化学量論的過剰量が存在しないことを意味する。
【0038】
イソシアネート成分は、1つ以上のイソシアネート、例えば、ポリイソシアネート及び/またはイソシアネート末端プレポリマーを含んでもよい。イソシアネートは、脂肪族、脂環式、脂環の、アリール脂肪族、及び/もしくは芳香族ポリイソシアネート、またはそれらの誘導体であるイソシアネート含有反応物であってもよい。例示的な誘導体としては、アロファネート、ビウレット、及びNCO(イソシアネート部分)末端プレポリマーが挙げられる。例えば、イソシアネート成分は、少なくとも1つの芳香族イソシアネート、例えば、少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートまたは芳香族ポリイソシアネートから誘導された少なくとも1つのイソシアネート末端プレポリマーを含んでもよい。イソシアネート成分は、トルエンジイソシアネート(TDI)の少なくとも1つの異性体、粗TDI、ジフェニルメチレンジイソシアネート(MDI)の少なくとも1つの異性体、粗MDI、及び/またはより高い官能性のメチレンポリフェニルポリイソシアネートを含んでもよい。例としては、TDIをその2,4及び2,6−異性体、ならびにそれらの混合物の形態で含んでもよく、MDIをその2,4´−、2,2´−、及び4,4´−異性体、ならびにそれらの混合物の形態で含んでもよい。MDI及びそのオリゴマーの混合物は、粗もしくはポリマー性MDI、ならびに/またはウレタン、アロファナート、尿素、ビウレット、カルボジイミド、ウレトンイミン、及び/もしくはイソシアヌレート基を含むMDIの既知の変異体であってもよい。例示的なイソシアネートとしては、VORANATE(商標)M220(The Dow Chemical Companyから入手可能なポリマー性メチレンジフェニルジイソシアネート)が挙げられる。他の例示的なポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、及びキシレンジイソシアネート(XDI)、ならびにそれらの修飾物が挙げられる。
【0039】
粘弾性フォーム
粘弾性ポリウレタンフォームは、様々な包装用途、コンフォート用途(例えば、マットレストッパー、枕、家具、シートクッション等を含む、マットレス)、緩衝用途(例えば、バンパーパッド、スポーツ及び医療器具、ヘルメットライナ等)、ならびに騒音及び/または振動減衰用途(例えば、耳栓、自動車パネル等)において有用であり得る。
【0040】
粘弾性ポリウレタンフォームは、スラブ材プロセス(例えば、フリーライズフォームとして)、成形プロセス(例えば、箱形成プロセスにおいて)、または当技術分野において既知の任意の他のプロセスにおいて調製されてもよい。スラブ材プロセスにおいて、成分は、混合されて、配合物が反応し、少なくとも一方向に自由に拡大して、硬化するトラフまたは他の領域に注がれてもよい。スラブ材プロセスは、一般に、商業規模で継続的に作動される。成形プロセスにおいて、成分は、混合されて、配合物が反応し、少なくとも一方向に型を用いずに拡大して、硬化する、型/箱(加熱または非加熱)に注がれてもよい。
【0041】
粘弾性ポリウレタンフォームは、初期の周囲条件(すなわち、20℃〜25℃の範囲の室温及びおよそ1気圧の標準気圧)で調製されてもよい。例えば、粘弾性ポリウレタンフォームは、酸性ポリマー及び/またはイソシアネート反応性成分に対する加熱もしくは加圧を必要としない酸改質ポリオレフィンポリマー(例えば、100℃超の融点を有するポリマー)を含んでもよい。フォーム密度を低減し、フォームを軟化させるために、気圧未満の圧力条件で発泡させることもできる。フォーム密度を増大させ、その結果、押し込み力たわみ(IFD)で測定されるようなフォーム耐荷重性を増大させるために、気圧超の圧力条件で発泡させることができる。成形加工において、粘弾性ポリウレタンフォームは、周囲条件超、例えば、50℃超の初期の型温度で調製されてもよい。フォーム密度を増大させるために、型のオーバーパッキング、すなわち、必要以上の発泡材料を型に充填することができる。
【0042】
粘弾性フォームを形成するために使用される反応系のための算出総含水量は、粘弾性ポリウレタンフォームを形成するための反応系の総重量に基づき、5重量%未満、3重量%未満、2.0重量%未満、及び/または1.6重量%未満であってもよい。算出総含水量は、予備形成された水性ポリマー分散物の一部として配合物に添加された水量に加えて、配合物に添加されたDI(脱イオン水)の総量として算出される。例えば、算出総含水量は、0.5重量%〜1.6重量%、0.5重量%〜1.5重量%、及び/または1.0重量%〜1.5重量%であってもよい。
【0043】
得られた粘弾性ポリウレタンフォームは、改善されたウィッキング効果及び/または改善された水分/熱管理を呈し得る。得られたフォームの水分及び熱管理に関して、例えば、粘弾性ポリウレタンフォームマットレスまたは枕に関して、良好なウィッキング効果は、汗が使用者の皮膚から速く離れることを可能にし得る。快適温度を維持するための人体の重要な側面は、発汗による水蒸気を通じるものである。発汗は、我々を涼しく保つ体の機構である。良好なウィッキング効果は、向上した快適さを提供するように、使用者が乾燥し涼しいままであることを可能にし得る。良好なウィッキング効果はまた、汗/水に蒸発するためのより多くの表面積を提供し得る。別の方法で述べると、汗/水がより大きい面積にわたって分散されるとき、それは、水が小さい表面積にわたって一緒に貯蔵されるときよりも急速に蒸発し得る。さらに、良好な水分透過性は、水分が使用者の皮膚から離れることを可能にし得、天然水蒸気が使用者の皮膚から熱を連れ去ることを可能にし得る。
【0044】
例えば、粘弾性ポリウレタンフォームは、(例えば、1.0インチ(2.54cm)×0.5インチ(1.27cm)×2.0インチ(5.08cm)の寸法を有する粘弾性ポリウレタンフォームの試料上での、試料の縁が5.0mmの着色水に浸されるときの)視覚的に観察可能なウィッキング高さを呈し得、そのウィッキング高さは、予備形成された水性ポリマー分散物が除外されることを除けば、同じイソシアネート成分、同じ算出総含水量を使用して調製される、及び同じイソシアネート反応性成分異なる粘弾性ポリウレタンフォームの試料(この試料は同じ寸法を有する)の視覚的に観察可能なウィッキング高さよりも大きい。例えば、ウィッキング高さは、少なくとも3倍大きくてもよい(例えば、3〜10倍大きく、かつ/または3.5〜5.5倍大きくてもよい)。
【0045】
粘弾性ポリウレタンフォームは、(粘弾性ポリウレタンフォームの試料を使用する場合の)視覚的に観察されるウィッキング時間を呈し得、3滴の着色水が前記試料の表面上に配置されるとき、その時間は、予備形成された水性ポリマー分散物が除外されることを除けば、同じイソシアネート成分、同じ算出総含水量、及び同じイソシアネート反応性成分を使用して調製される異なる粘弾性ポリウレタンフォームの試料を使用する場合の視覚的に観察されるウィッキング時間よりも少ない。理解し得るように、比較された試料は、同じ厚さ/深さを有し得るが、試料の長さ及び幅は、結果に依存しない。ウィッキング時間は、3滴の着色水が試料の表面から消失する(すなわち、フォームによって吸収される)のにかかる時間として視覚的に観察される。ウィッキング時間は、予備形成された水性ポリマー分散物が使用されるとき著しくより速くなるように、少なくとも30秒減少し得る。例えば、ウィッキング時間は、予備形成された水性ポリマー分散物を使用して調製されたポリウレタンフォームについて5秒未満であり得る(例えば、半秒超)。
【0046】
粘弾性ポリウレタンフォームは、例えば、ASTM E96/E96M(任意選択で、ASTM E2321− 03を考慮して)に従って測定するとき、改善された水蒸気透過性を呈し得る。例えば、水蒸気透過性は、予備形成された水性ポリマー分散物を使用して調製されるポリウレタンフォームについて、少なくとも5%(例えば、5%〜20%)改善され得る。
【0047】
当業者によって理解され得るように、比較例における予備形成された水性ポリマー分散物を除外することを説明するように、2つの異なるフォームの上の比較は、予備形成された水性ポリマー分散物及び増加した含水量の除外を除けば、同じプロセス条件、同じ器具、及び同じ配合物を使用して調製されるフォームを指す。
【0048】
すべての部及びパーセンテージは、別段の指定がない限り重量によるものである。特に明記しない限り、すべての分子量データは、数平均分子量に基づく。
【実施例】
【0049】
本明細書において提供されるデータ及び記述情報は、近似値に基づく。さらに、主に使用された材料は、以下の通りである。
【0050】
[表]
【0051】
【表1】
【0052】
[表]
【0053】
[表]
【0054】
[表]
【0055】
以下の表2内のおおよその配合に従って、実施例1〜3ならびに比較例A及びBを調製する。以下の実施例において、総配合質量は、1900グラムになるように設定する。予備形成された水性酸分散物である、AD1及びAD2のうちの1つを使用して、実施例1〜3を調製する。水のみを使用して、すなわち、分散物を使用しないで、比較例Aを調製する。比較例Bは、別々に添加されるエチレンアクリル酸コポリマー及び水を使用して、すなわち、予備形成された分散物を使用せずに、粘弾性フォームを調製しようと試みる。しかしながら、周囲条件で、水中にエチレン−アクリル酸コポリマーが溶解できないため(この理論に束縛されることを意図しないが、水中にエチレン−アクリル酸コポリマー結晶を溶融するために、少なくともおよそ120℃の温度が必要であると考えられる)、このような混合物は、粘弾性フォームを形成するための発泡反応での使用に好ましくなく、かつ/または不適当である。言い換えれば、溶解性を得るために必要な高温は、本明細書における目的にとって好ましくなく、かつ/もしくは不適当であり、かつ/または非溶解エチレン−アクリル酸コポリマー結晶は、本明細書における目的にとって好ましくなく、かつ/もしくは不適当である。試料の密度は、およそ2.7〜3.0lb/ft(43〜48kg/mの範囲である(ASTM D 3574に従う)。
【0056】
【表2】
【0057】
以下の表3内のおおよその配合に従って、実施例4〜11及び比較例Cを調製する。以下の実施例において、総配合質量は、1900グラムになるように設定する。予備形成された水性酸改質ポリオレフィン分散物である、AD3及びAD4のうちの1つを使用して、実施例4〜11を調製する。水のみを使用して、すなわち、分散物を使用しないで、比較例Cを調製する。試料の密度は、およそ2.5〜3.0lb/ft(40〜48kg/mの範囲である(ASTM D 3574に従う)。
【0058】
【表3】
【0059】
実施例1〜11及び比較例A〜Cのそれぞれについて、透明なプラスチックフィルムで裏打ちされた38cm×38cm×24cm(15”×15”×9.5”)の木箱を使用した換気フード下において、周囲条件でのボックス発泡によって、フォーム試料を調製する。高回転速度での16ピン(90°離れた4つの半径方向において各4本のピン)ミキサを、1ガロンのカップ(直径16.5cm、高さ18cm)とともに、高回転速度設定で使用した。スズ触媒を除いて、イソシアネート反応性成分内の成分は、15秒間2400rpmで、まず混合する。次いで、スズ触媒を添加し、さらに15秒間2400rpmですぐに混合する。次に、イソシアネート成分を添加し、さらに3秒間3000rpmですぐに混合する。次いで、混合したイソシアネート反応性成分及びイソシアネート成分をプラスチックフィルムで裏打ちされた箱に注ぐ。フォームは、気泡がフォームの上面に現れるときに、最大高さに到達したとして観察する。フォームが完成されると、換気フード下で、フォームを一晩さらに硬化させる。フォーム試料壁を廃棄し、残りの試料を特徴付ける。
【0060】
実施例12について、フォームを、Cannon Varimax発泡機を使用して作製する。ポリオール1及びポリオール3を、1:1の比を有するブレンドとして使用する。総ポリオール流量は、110lb/分(830g/s)を標的とする。フォームバンを、およそ96インチ×52インチ×20インチ(244cm×132cm×51cm)のサイズを用いて作製する。得られたフォーム試料を、フォームを製作した次の日にカットする。次いで、物理的特性試験を実行する前に、試料を24時間調整する。
【0061】
算出総含水量(重量部)は、水性分散物の一部として配合物に添加された水量に加えて、配合物に添加されたDI(脱イオン水)の総量として算出する。
【0062】
空気流は、所与の印加空気圧下でフォームを通過することが可能な空気の測定値である。空気流は、125Pa(0.018psi)の圧力で、1.0インチ(2.54cm)厚×2インチ(5.08cm)×2インチ(5.08cm)正方形断面のフォームを通過する空気の量として測定する。単位は、標準立方フィート毎分(scfm)またはリットル毎秒(L/s)で表される。空気流を測定するための代表的な商業用ユニットは、Zurich、SwitzerlandのTexTest AGによって製造され、TexTest Fx3300として認定される。本明細書において、空気流は、ASTM D 3574に従って測定される。
【0063】
平均弾力性は、ASTM D 3574に従って、特に反発弾性試験を使用して測定する。回復時間を、75%の位置(すなわち、フォーム試料を、100%マイナス75%の試料の元の厚さに圧縮する)から、フォーム圧縮が10%の位置に対する位置(フォーム試料の元の厚さに基づく)まで圧縮荷重ヘッドを放出/戻すことによって測定する測定する。回復時間は、圧縮荷重ヘッドを放出/戻す時間から、フォームが少なくとも1ニュートンの力を用いて荷重ヘッドに向かって押し返す瞬間までとして定義する。
【0064】
IFDは、押し込み力たわみと称され、ASTM D 3574に従って測定される。IFDは、50平方インチ(323平方センチメートル)の円板試料を、その試料の元の厚さの特定のパーセンテージだけ押し込むのに必要な力の量(ポンド)として定義される。本明細書において、IFDは、フォーム試料に対して25%のたわみ及び65%のたわみでのポンド数として規定される。粘弾性フォームに対しては、より低いIFD値が追求される。例えば、25%で6〜12のIFDは、ベッド枕、厚い後部枕等のために使用され得る。25%で12〜18のIFDは、中程度の厚さの後部枕、室内装飾用パディング等のために使用され得る。25%で18〜24のIFDは、薄い後部枕、タフト化マトリックス、非常に厚いシートクッション等のために使用され得る。25%で24超のIFDは、平均値が、より堅いシートクッション、堅いマットレス、緩衝フォーム、包装フォーム、カーペットパッド、及び非常に堅いフォームを必要とする他の用途に、使用され得る。
【0065】
25%でリターンのIFDは、フォームが回復する能力である。特に、25%でリターンのIFDは、65%でのIFDの測定を繰り返し、25%の圧縮に戻った後に回復される、25%でのIFDのパーセンテージとして測定される。
【0066】
本明細書で使用する場合、「引裂強度」という用語は、長手方向の細長いカットでプレノッチされたフォーム試料を、フォーム試料に引き裂くのに必要な最大平均力を表すために、本明細書において使用される。試験結果は、リニアインチ当たりの重量ポンド(lbf/in)、またはメートル当たりのニュートン(N/m)において、ASTM D3574−Fの手順に従って決定される。
【0067】
ウィッキング効果及び水分/熱管理
実施例12は、多回空気流と組み合わせるとき、ウィッキング及び水分/熱管理についてさらに評価する。ウィッキング湿潤効果を試験するために、比較例Dを、添加剤3を配合物に添加しないことを除けば、実施例12と同じ方法及び配合物を使用して調製する。
【0068】
良好なウィッキング効果を実現するために、材料は、良好な湿潤効果を有するべきである。図2は、実施例12のフォーム試料上の湿潤効果を例証する図であり、図3は、比較例Dのフォーム試料上の湿潤効果を例証する図である。湿潤効果を実行するために、3滴の着色水は、1.0インチの厚さを有するそれぞれのフォーム試料の表面上に置き、水の液滴が表面から消失するのにかかる時間を、視覚的に観察し、ウィッキング時間として記録する。水を、Milliken Chemicalから入手可能なオレンジ色素を用いて着色する。実施例12を、より速いウィッキング速度を有するために視覚的に観察し、水滴を、およそ1秒のウィッキング時間で試料の表面からウィックし、比較例Dを、38秒のウィッキング時間を伴うより緩徐なウィッキング速度を有するために視覚的に観察する。したがって、フォーム試料を、同じ条件及び配合物を使用して作製するとき、予備形成された水性ポリマー分散物が、比較例において除外されることを除けば、ウィッキング速度はより速く、予備形成された水性ポリマー分散物が含まれるとき、ウィッキング時間はおよそ37秒より遅いことが見られる。
【0069】
ウィッキング高さはまた、垂直ウィッキング試験を使用して試験され得る。特に、1.0インチ×0.5インチ×2.0インチ(2.54cm×1.27cm×5.08cm)の寸法を有するフォーム試料を、実施例12及び比較例Dのために調製する。フォーム試料の先端を、5.0mmの着色水に浸し、同時にフォーム試料を、着色水を保持する水平な皿に対して実質的に垂直な位置で維持する。水の垂直なウィッキング、すなわち、上方移動を、1分間(周囲条件で)可能にする。次いで、上方移動を、定規を使用して測定し、垂直なウィッキング高さとして記録する。実施例12を、6.35mmの垂直なウィッキング高さを有するとして測定し、比較例Dを、1.59mmの垂直なウィッキング高さを有するとして測定する。したがって、フォーム試料を、同じ条件及び配合物を使用して作製するとき、予備形成された水性ポリマー分散物が、比較例において除外されることを除けば、ウィッキング高さは、予備形成された水性ポリマー分散物が含まれるとき、およそ4倍に増加する。
【0070】
実施例12及び比較例Dの水蒸気透過性を試験し得る。特に、標準カップ乾燥方法を、ASTME96/E96Mに従って行う。さらに、標準的技法、シャーレ法について(シャーレの直径は5.5インチ(14cm)である)ASTM E2321− 03に従う。実施例12及び比較例Dのそれぞれの試験について、3つの検体を使用し、その検体は、およそ1.30インチ(3.3cm)の厚さを有し、それらの試料の縁がワックス(例えば、およそ140°F(60℃)で溶融されるワックス)を用いて密封されるフォーム試料である。水蒸気透過性を試験するために、シャーレを、頂部リムの1/4(0.64cm)以内まで満たす。試験中、湿度レベルは72.7%であり、温度制御は、50.8°F(10.4℃)である。
【0071】
実施例12を、およそ71.6(グレイン/時間/ft)/ΔP×インチ(4100ng・s−1・m−2・Pa−1の水蒸気透過性を有するとして観察し、比較例Dを、およそ67.4(グレイン/時間/ft)/ΔP×インチ(3850ng・s−1・m−2・Pa−1の著しくより低い水蒸気透過性を有するとして観察する。したがって、フォーム試料を、同じ条件及び配合物を使用して作製するとき、予備形成された水性ポリマー分散物が、比較例において除外されることを除けば、水蒸気透過性は、予備形成された水性ポリマー分散物が含まれるとき、およそ5.9%改善され得る。
なお、本発明には、以下の実施形態が包含される。
[1]ASTM D 3574に従って測定されるとき、20%以下の弾力性を有する粘弾性ポリウレタンフォームを形成するための反応系であって、前記反応系が、
少なくとも1つのイソシアネートを含むイソシアネート成分であって、前記反応系のイソシアネート指数が、50〜110である、イソシアネート成分と、
少なくともポリオール成分、添加剤成分、及び予備形成された水性ポリマー分散物を添加することによって形成される混合物である、イソシアネート反応性成分と、を含み、前記混合物が、
少なくとも1つのポリエーテルポリオールを含む、前記混合物の総重量に基づき、50.0重量%〜99.8重量%のポリオール成分と、
少なくとも1つの触媒を含む、前記混合物の総重量に基づき、0.1重量%〜50.0重量%の添加剤成分と、
前記混合物の総重量に基づき、0.1重量%〜6.0重量%の予備形成された水性ポリマー分散物と、を含み、前記予備形成された水性ポリマー分散物が、前記予備形成された水性ポリマー分散物の総重量に基づき、10重量%〜80重量%の固体含有量を有し、かつ水性酸ポリマー分散物または水性酸改質ポリオレフィンポリマー分散物のうちの1つであり、前記ポリオレフィンが、少なくとも1つのC〜C20アルファオレフィンから誘導される、反応系。
[2]前記予備形成された水性ポリマー分散物が、室温及び気圧の周囲条件で連続液相成分であり、かつ液相及び固相から誘導され、前記液相が、水であり、前記固相が、酸系ポリマーまたは酸改質ポリオレフィンであり、前記ポリオレフィンが、少なくとも1つのC〜C20アルファオレフィンから誘導される、前記[1]に記載の反応系。
[3]前記予備形成された水性ポリマー分散物が、室温及び気圧の周囲条件で連続液相成分であり、かつ液相及び固相から誘導され、前記液相が、水であり、前記固相が、エチレン−アクリル酸コポリマーを含む、前記[1]に記載の反応系。
[4]前記予備形成された水性ポリマー分散物が、前記ポリオール成分及び前記添加剤成分から別々に提供される、前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の反応系。
[5]前記添加剤成分が、少なくとも1つの界面活性剤を含む、前記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の反応系。
[6]前記添加剤成分が、混合物の総重量の2.0重量%未満を占める水を含む、前記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の反応系。
[7]前記ポリオール成分が、少なくとも50重量%のエチレンオキシド含有量を有し、2〜4の名目ヒドロキシル官能価を有し、前記イソシアネート反応性成分の35重量%〜90重量%を占める少なくとも1つのポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンポリエーテルポリオールを含む、前記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の反応系。
[8]前記ポリオール成分が、少なくとも3つのポリオールのブレンドを含み、前記ブレンドが、
(i)少なくとも50重量%のエチレンオキシド含有量を有し、2〜4の名目ヒドロキシル官能価を有し、700g/モル〜1500g/モルの分子量を有し、前記イソシアネート反応性成分の35重量%〜90重量%を占めるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンポリエーテルポリオールと、
(ii)20重量%未満のエチレンオキシド含有量を有し、2〜4の名目ヒドロキシル官能価を有し、1500g/モル超かつ6000g/モル未満の分子量を有し、前記イソシアネート反応性成分の5重量%〜50重量%を占めるポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンポリエーテルポリオールと、
(iii)2〜4の名目ヒドロキシル官能価を有し、700g/モル〜1500g/モルの分子量を有し、前記イソシアネート反応性成分の5重量%〜50重量%を占めるポリオキシプロピレンポリエーテルポリオールと、を含む、前記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の反応系。
[9]ASTM D 3574に従って測定されるとき、20%以下の弾力性を有し、前記[1]〜[8]のいずれか一項に記載の反応系を使用して調製された、粘弾性ポリウレタンフォームであって、ASTM D3574に従って測定されるとき、少なくとも5.0ft/分(2.4L/s)の空気流、及び20秒未満の回復時間を有する、粘弾性ポリウレタンフォーム。
[10]1.0インチ×0.5インチ×2.0インチ(2.54cm×1.27cm×5.08cm)の寸法を有する前記粘弾性ポリウレタンフォームの試料の視覚的に観察されるウィッキング高さが、前記試料の縁が5.0mmの着色水に浸されるとき、粘弾性ポリウレタンフォームの類似の試料の視覚的に観察されるウィッキング高さよりも大きく、前記類似の試料が、同じ寸法であり、前記予備形成された水性ポリマー分散物が除外されることを除けば、同じイソシアネート成分、同じ算出総含水量、及び同じイソシアネート反応性成分を使用して調製される、前記[9]に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
[11]前記粘弾性ポリウレタンフォームの試料を使用する場合、視覚的に観察されるウィッキング時間が、3滴の着色水が前記試料の表面上に配置されるとき、粘弾性ポリウレタンフォームの類似の試料を使用する場合の視覚的に観察されるウィッキング時間よりも少なく、前記類似の試料が、同じ寸法であり、前記予備形成された水性ポリマー分散物が除外されることを除けば、同じイソシアネート成分、同じ算出総含水量、及び同じイソシアネート反応性成分を使用して調製される、前記[9]に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
[12]ASTM D 3574に従って測定されるとき、20%未満の弾力性を有する粘弾性ポリウレタンフォームを形成するための方法であって、前記方法が、
少なくともポリオール成分、添加剤成分、及び予備形成された水性ポリマー分散物を混合することによって、イソシアネート反応性成分を調製することであって、これにより得られた混合物が、
少なくとも1つのポリエーテルポリオールを含む、前記混合物の総重量に基づき、50.0重量%〜99.8重量%のポリオール成分と、
少なくとも1つの触媒及び少なくとも1つの界面活性剤を含む、前記混合物の総重量に基づき、0.1重量%〜50.0重量%の添加剤成分と、
前記混合物の総重量に基づき、0.1重量%〜6.0重量%の予備形成された水性ポリマー分散物と、を含み、前記予備形成された水性ポリマー分散物が、前記予備形成された水性ポリマー分散物の総重量に基づき、10重量%〜80重量%の固体含有量を有し、かつ水性酸ポリマー分散物または水性酸改質ポリオレフィンポリマー分散物のうちの1つであり、前記ポリオレフィンが、少なくとも1つのC〜C20アルファオレフィンから誘導される、調製することと、
前記反応系のイソシアネート指数が50〜110となるように、少なくとも1つのイソシアネートを含む、イソシアネート成分を提供することと、
前記イソシアネート成分を前記イソシアネート反応性成分と反応させて、前記粘弾性ポリウレタンフォームを形成することと、を含む、方法。
図1
図2
図3