【実施例】
【0056】
実施例1:ヒト治癒能力向上装置の構成
図4は本発明のヒト治癒能力向上装置の一実施例の構成を示す正面図である。
図5は
図4の平面図である。
図6は
図4の側面図である。図に示す通り、本実施例のヒト治癒能力向上装置10は複数のパネル板30で構成された気密部11と、この気密部11の内側に一端を開放した排気管12に連通する減圧ポンプ13と、気密部11内の排気管12と対向する位置に一端を開放した給気管14の他端部にはフィルター15を気密部11の外方に取付けられている。
【0057】
気密部11の外観は、略同一の大きさの複数枚のパネル板30で構成された筐体である。本実施例では、14枚のパネル板によって構成されている。正面及び背面(図示せず)には、中央部に2つの窓33が備わった気密扉32が配された出入り口パネル31が用いられている。両側面には各々に2つの窓33が備わった3枚の側面パネル34が連結されて用いられている。天井面には3枚の天井パネル35が連結されて用いられている。
床面には天井面と同様に3枚の床パネル36が連結されて用いられている。
【0058】
尚、図示はしていないが、各々のパネル板30は、矩形の4辺を取り巻くようにリム部が立設されており、リム部によってパネル板30同士又は接合部材を介して隣接するパネル板30が連結する構成となっている。接合されるパネル板30のリム部間又はパネル板のリム部と接合部材との間には弾性ゴム板を介在させて連結することにより、連結部間の気密性を保つ。
【0059】
正面の出入り口パネル31の一側部には給気管14が配されており、この給気管14の途中には、圧力調節弁16が取付けられ、圧力調節弁16の開度によって生ずる圧力損失を調節することによって、フィルター15を通過した外気が気密部11内の気圧に応じて連続的に自然吸入される。この圧力調節弁16の開度は後述する制御装置22によって行われる。尚、圧力調節弁16は完全に閉塞することはできない構造であり、これにより酸欠防止手段として機能する。
【0060】
正面の出入り口パネル31の他側部には排気管12が配されており、この排気管12の途中には排気用電磁弁17が取付けられ、その減圧ポンプ13側には分岐管18及び外気用電磁弁19を介して外気に連通する過減圧防止配管20が配されている。更に、気密部11には内部の気圧を計測する圧力センサ21が多数配されており、気密部11内の気圧が何らかの異常により、予め設定した閾値を下回った場合には、減圧ポンプ13が停止され、外気用電磁弁19が開放し、外気が吸入されることによって過減圧を防止することができる。
【0061】
減圧ポンプ13の上部には、減圧ポンプ13の駆動を制御する減圧制御手段としての制御装置22が配されており、気密部11の圧力センサ21の数値もこの制御装置22に入力され、前記電磁弁17,19の駆動及び圧力調節弁16の開度も制御する。
【0062】
図7は
図4の制御装置の駆動を示すフローチャートであり、a図は減圧工程を示すフローチャートであり、b図は与圧工程を示すフローチャートである。a図に示す通り、減圧工程では、制御装置22によって、減圧ポンプ13が駆動される。尚、この際には、外気用電磁弁19を閉塞し、排気用電磁弁17を開放した上で行われることは言うまでもない。
【0063】
減圧ポンプ13の駆動の際には、圧力調節弁16の開度を最小の開度にし、速やかな減圧が行われるようにし、減圧ポンプ13の駆動中は気密部11の圧力センサ21によって内部の気圧を定時的にチェックし、予め設定しておいた目標減圧値となっているのかを判断し、目標減圧値となった場合には減圧ポンプ13を停止する。尚、減圧ポンプ13を停止する際には排気用電磁弁17を閉塞して気密部11の内部の気圧を保持する。
【0064】
また、圧力調節弁16は閉塞されない構造となっているため、減圧ポンプ13の駆動が停止した場合には、徐々に圧力が上昇する。そのため、目標の減圧状態を長く保持する場合には、目標の圧力を基準にして一定の圧力が上昇したら、排気用電磁弁17を開放して再度減圧ポンプ13を駆動するように制御してもよい。
【0065】
b図に示す通り、与圧工程では、制御装置22によって圧力調節弁16の開度を開放して気密部11内の気圧を上昇させる。気密部11の圧力センサ21によって内部の気圧を定時的にチェックし、予め設定しておいた目標与圧値となっているのかを判断し、目標与圧値(広範常圧状態)となった場合には圧力調節弁16の開度を最小に搾る。
【0066】
同様に、圧力調節弁16は閉塞されない構造となっているため、圧力調節弁16の開度を最小に搾っても徐々に圧力が常圧まで上昇する。常圧よりも低い広範常圧状態を長く保持する場合には、目標の圧力を基準にして一定の圧力が上昇したら、排気用電磁弁17を開放して再度減圧ポンプ13を駆動するように制御してもよい。
【0067】
尚、本実施例の気密部11の室内には、必要に応じて、照明、エアコン、床暖房、CDプレイヤー、テレビ等の被験者の居室を快適にする装置を備えてもよい。尚、エアコンについては、気密部の室内のドレインは室内に排出するように気密性を確保する必要がある。
【0068】
本実施例によるヒト治癒能力向上装置を用いて気密部11内の気圧を減圧して気密部内の気温を断熱膨張作用によって低下させる減圧工程と、この減圧状態から常圧よりも低い広範常圧状態に与圧して気密部内の気温を当初の気密部の気温以上に復元する与圧工程とを一定の気圧とすることなく連続的に繰り返して気密部内の気温の変化を計測した。
結果を表1に示す。
【0069】
表1に示す通り、数分の時間によって、3℃以上の気温差を気密部内に入った被験者に与えることができ、気温の素早い変化による刺激を被験者に与えることができることが確認され、更に、この閾値気圧以上の減圧状態とする減圧工程と、常圧又は前記減圧状態よりも高く常圧よりも低い広範常圧状態とする与圧工程とを一定な圧力の状態がなく連続して繰り返し行われる刺激によって、異常な身体組織、身体器官等を、健康な身体組織、身体器官に戻そうとする自然な治癒力効果が確認された。
【0070】
また、
図8及び
図9に減圧工程と与圧工程とを繰り返した場合の気密部内の気温変化を測定した結果を示す。各図において、黒丸点を結んだ実線が気密部内の気温(℃)であり、黒四角点を結んだ破線が気密部内の圧力(hPa)である。
【0071】
図8では、減圧工程は常圧(1013hPa)又は高度200mに相当する気圧(989hPa)から高度1000mに相当する気圧(900hPa)、与圧工程は高度1000mに相当する気圧(900hPa)から高度200mに相当する気圧(989hPa)又は常圧(1013hPa)を2.5分で繰り返した。
図9では、減圧工程は常圧(1013hPa)又は高度200mに相当する気圧(989hPa)から高度3000mに相当する気圧(700hPa)、与圧工程は高度3000mに相当する気圧(700hPa)から高度200mに相当する気圧(989hPa)又は常圧(1013hPa)を6分で繰り返した(最初の減圧及び最後の与圧では8分)。
【0072】
【表1】
【0073】
図8に示す通り、与圧工程で高度200mに相当する気圧(989hPa)又は常圧(1013hPa)の広範常圧状態の気圧にした場合には、当初の外気温度(25℃)よりも高い温度となることが確認された。また、23.6℃〜26.8℃の温度範囲を1サイクル5分で繰り返すことが判った。
【0074】
一方、
図9に示す通り、
図8と同様に、与圧工程で高度200mに相当する気圧(989hPa)又は常圧(1013hPa)の広範常圧状態の気圧にした場合には、当初の外気温度(26℃)よりも高い温度となることが確認された。また、21.5℃〜30.0℃の温度範囲を1サイクル12分で繰り返すことが判った。
【0075】
実施例2:ヒト治癒能力向上効果の検証(条件)
このように閾値気圧以上の減圧状態とする減圧工程と、常圧又は前記減圧状態よりも高く常圧よりも低い広範常圧状態とする与圧工程とを連続して繰り返すことにより生体による自然な治癒能力向上効果が現れる。以下、ヒト治癒能力向上効果を検証した。
【0076】
【表2】
【0077】
検証に際して、ヒト治癒能力向上装置の減圧工程と与圧工程との連続的な繰り返し操作は表2及び
図10に示す通りに行った。以下の各実施例の検証データは、表2及び
図10に示した50分間の減圧工程と与圧工程との連続的な繰り返しを1サイクルとして行ったものである。
【0078】
実施例3:ヒト治癒能力向上効果の検証(1)
被験者は肝細胞癌を患った60歳代の男性であり、前述のヒト治癒能力向上装置に入室し、1サイクルを5回/週程度の入室間隔で継続して行った。尚、投薬等の治療は入室以前からの担当医師に従った。腫瘍マーカー検査時系列情報の推移結果を
図11に示す。
図11において、縦軸は異常プロトロンビン(PIVKA−2)及びアルファフェトプロティン(AFP)の数値、横軸は月単位の時間を示し、入室開始(start)を経た最初の月初めを0月1日と表記し、この0月1日を中心として右方向に+1月?日…、左方向に−1月?日…を示す。
【0079】
図11に示す通り、入室する前には改善の兆候が見られなかったアルファフェトプロティン(AFP)と異常プロトロンビン(PIVKA−2)との腫瘍マーカーの数値が、
図11に示す通り、入室開始から約1ヶ月後から徐々に下がり始め約5ヶ月後には異常プロトロンビン(PIVKA−2)が20、アルファフェトプロティン(AFP)が5程度にまで下がっていることが判った。
【0080】
尚、被験者の話によると、閾値気圧以上の減圧状態とする減圧工程と、常圧又は前記減圧状態よりも高く常圧よりも低い広範常圧状態とする与圧工程とを一定な圧力の状態がなく連続して繰り返すことにより、被験者の手足における血流が上昇するため、手足がぽかぽかと暖かくなることが証言された。
【0081】
実施例4:ヒト治癒能力向上効果の検証(2)
被験者は乳癌を患った女性であり、前述のヒト治癒能力向上装置に入室し、1サイクルを5回/週程度の入室間隔で継続して行った。尚、投薬等の治療は入室以前からの担当医師に従った。白血球の好中球とリンパ球の比較結果を次の表3と
図12とに示す。
図12において、縦軸は好中球(図中、黒丸)及びリンパ球(図中、白丸)の割合(%)、横軸は月単位の時間を示し、入室を経た最初の月初め0月1日とし、この0月1日を中心として右方向に+1月?日…、左方向に−1月?日…を示す。
図12に示す通り、入室する前には改善の兆候が見られなかったが、入室開始から徐々に好中球の割合が下がり、リンパ球の割合が増えてきたことが判った。また、リンパ球の割合が増えるに従い、体重も増加し、見た目も判るくらい元気になってきた。
【0082】
尚、被験者の話によると、閾値気圧以上の減圧状態とする減圧工程と、常圧又は前記減圧状態よりも高く常圧よりも低い広範常圧状態とする与圧工程とを一定な圧力の状態がなく連続して繰り返すことにより、被験者の手足における血流が上昇するため、手足がぽかぽかと暖かくなることが証言された。
【0083】
【表3】
【0084】
実施例5:ヒト治癒能力向上効果の検証(3)
被験者は関節リウマチを患った40歳代の女性であり、前述のヒト治癒能力向上装置に入室し、1サイクルを5回/週程度の入室間隔で継続して行った。尚、投薬等の治療は入室以前からの担当医師に従った。C反応性蛋白(C-reactive protein)とリウマチ因子RAPA(rheumatoid arthritis particle agglitination)の数値推移の結果を次の表4と
図13とに示す。
図13において、縦軸はC反応性蛋白(CRP)及びRAPAの数値、横軸は月単位の時間を示し、入室を経た最初の検査日を0とし、2ヶ月毎に検査を実施した。
【0085】
図13に示す通り、入室開始から徐々にリウマチ因子RAPA(図中、黒丸)の数値が下がり、入室開始から1年半後には正常値近くにまで回復した。また、炎症マーカーであるC反応性蛋白(図中、白丸)は、入室開始から約1年で減少し始め、入室開始から1年半後には重度から軽度にまで回復していることが判った。
【0086】
【表4】
【0087】
尚、被験者の話によると、閾値気圧以上の減圧状態とする減圧工程と、常圧又は前記減圧状態よりも高く常圧よりも低い広範常圧状態とする与圧工程とを一定な圧力の状態がなく連続して繰り返すことにより、被験者の手足における血流が上昇するため、手足がぽかぽかと暖かくなることが証言された。
【0088】
実施例6:ヒト治癒能力向上効果の検証(4)
被験者はリウマチを患った50歳代女性であり、前述のヒト治癒能力向上装置に入室し、1サイクルを5回/週程度の入室間隔で継続して行った。尚、投薬等の治療は入室以前からの担当医師に従った。炎症反応CRPとリウマトイド因子RF数値の推移結果を次の表5と
図14とに示す。
図14において、縦軸は炎症反応CRP(図中、実線)及びリウマトイド因子RF(図中、破線)の値、横軸は時間(週)を示し、入室開始(start)を経た最初の検査日を0とし、この検査日から2,4,8週間後の検査結果を示す。
【0089】
尚、2年前の検査結果も記載した。
図14に示す通り、入室する前には改善の兆候が見られなかったが、入室後、C反応性蛋白(CRP) の値は、直ぐには下降しなかったが、その後は確実に低下している。また、リウマトイド因子(RF)の値については、一時上昇したが、その後は確実に低下している。尚、被験者は、現在では薬の服用を止めている。
【0090】
【表5】
【0091】
尚、被験者の話によると、閾値気圧以上の減圧状態とする減圧工程と、常圧又は前記減圧状態よりも高く常圧よりも低い広範常圧状態とする与圧工程とを一定な圧力の状態がなく連続して繰り返すことにより、被験者の手足における血流が上昇するため、手足がぽかぽかと暖かくなることが証言された。
【0092】
実施例7:ヒト治癒能力向上効果の検証(5)
被験者は50歳代女性である。前述のヒト治癒能力向上装置に入室し、1サイクルを5回/週程度の入室間隔で継続して行った。
図15は骨密度(YAM:若年成人平均値(young adult mean))を比較した線図であり、縦軸はYAMに対する%、横軸は8年前に右膝を人工関節にする手術時に計測した骨密度及び入室開始から6ヶ月後のデータを示している。
図15に示す通り、8年前の骨密度は82.5程度であった。リウマチ患者では年相応らしい。入室開始から6ヶ月後に左膝を人工関節にした時に計測した骨密度は120であり、二十歳くらいの骨密度であると判断されている。
【0093】
尚、被験者の話によると、閾値気圧以上の減圧状態とする減圧工程と、常圧又は前記減圧状態よりも高く常圧よりも低い広範常圧状態とする与圧工程とを一定な圧力の状態がなく連続して繰り返すことにより、被験者の手足における血流が上昇するため、手足がぽかぽかと暖かくなることが証言された。
【0094】
実施例8:ヒト治癒能力向上効果の検証(6)
被験者は子宮筋腫を有する50歳代女性である。以前に卵巣癌で右の卵巣を摘出され、子宮と左の卵巣は残されている被験者である。子宮筋腫が数個あり、一番大きいものがφ6cmであり、その他、φ4cmのものなどが数個あった。前述のヒト治癒能力向上装置に入室し、1サイクルを5回/週程度の入室間隔で継続して行った。尚、投薬等の治療は入室以前からの担当医師に従った。結果を
図16に示す。
図16は最も大きい子宮筋腫のサイズを検証したものであり、縦軸は子宮筋腫の大きさ(cm)、横軸は入室開始直前と、入室開始から15ヶ月後である。
【0095】
入室開始から15ヶ月後の受診では腫瘍マーカーが正常値になり、子宮筋腫がφ6cmからφ3cmに縮小していた。その他の点在する子宮筋腫も縮小していた。尚、頭の中や下腹部や座骨、仙骨部、ふくらはぎ、足の甲などの痛みが入室の回数を重ねているうちに改善され、最近は疲れなども取れるようになってきた。
【0096】
尚、被験者の話によると、閾値気圧以上の減圧状態とする減圧工程と、常圧又は前記減圧状態よりも高く常圧よりも低い広範常圧状態とする与圧工程とを一定な圧力の状態がなく連続して繰り返すことにより、被験者の手足における血流が上昇するため、手足がぽかぽかと暖かくなることが証言された。
【0097】
実施例8:ヒト治癒能力向上効果の検証(7)
被験者はII型糖尿病を患っている60歳代女性である。
図17はグリコヘモグロビン(HbA1c)の移行結果を示す線図であり、縦軸はグリコヘモグロビン(HbA1c)割合(%)、横軸は入室開始直前と12ヶ月後を示す。
図17に示す通り、入室直前ではグリコヘモグロビン(HbA1c)が7.2%であり、II型糖尿病であると診断された。その後、前述のヒト治癒能力向上装置に入室し、1サイクルを5回/週程度の入室間隔で継続して行った。尚、投薬等の治療は入室以前からの担当医師に従った。
【0098】
入室開始から12ヶ月後の受診ではグリコヘモグロビン(HbA1c)が7.2%から6.2%に低下していることが判った。糖尿病の薬が3種類から1種類に減らされ、コレステロール低下剤も中止になった。
【0099】
尚、被験者の話によると、閾値気圧以上の減圧状態とする減圧工程と、常圧又は前記減圧状態よりも高く常圧よりも低い広範常圧状態とする与圧工程とを一定な圧力の状態がなく連続して繰り返すことにより、被験者の手足における血流が上昇するため、手足がぽかぽかと暖かくなることが証言された。
【0100】
実施例9:ヒト治癒能力向上効果の検証(8)
被験者はII型糖尿病を患っている60歳代男性である。
図18はグリコヘモグロビン(HbA1c)の移行結果を示す線図であり、縦軸はグリコヘモグロビン(HbA1c)割合(%)、横軸は入室開始直前と12ヶ月後を示す。被験者は、長年の暴飲暴食で発症したのか、もう15年くらいに糖尿病のコントロールが悪くコレステロールと中性脂肪の値も高かった。入室開始前の検診ではグリコヘモグロビン(HbA1c)が8.2%であった。
【0101】
その後、前述のヒト治癒能力向上装置に入室し、1サイクルを5回/週程度の入室間隔で継続して行った。尚、投薬等の治療は入室以前からの担当医師に従った。入室開始から12ヶ月後の受診ではグリコヘモグロビン(HbA1c)が6.5%に低下していることが判った。中性脂肪やコレステロールも正常値になっていることが判った。
【0102】
尚、被験者の話によると、閾値気圧以上の減圧状態とする減圧工程と、常圧又は前記減圧状態よりも高く常圧よりも低い広範常圧状態とする与圧工程とを一定な圧力の状態がなく連続して繰り返すことにより、被験者の手足における血流が上昇するため、手足がぽかぽかと暖かくなることが証言された。
【0103】
実施例10:ヒト治癒能力向上効果の検証(9)
被験者は糖尿病、高血圧を罹患している70歳代女性である。
図19はグリコヘモグロビン(HbA1c)の移行結果を示す線図であり、縦軸はグリコヘモグロビン(HbA1c)割合(%)、横軸は入室開始直前と12ヶ月後を示す。被験者は2004年ごろに糖尿病が発覚、血糖値が330だった。以前から中性脂肪やコレステロールが高く、血圧も高かった。
【0104】
前述のヒト治癒能力向上装置に入室し、1サイクルを5回/週程度の入室間隔で継続して行った。尚、投薬等の治療は入室以前からの担当医師に従った。入室開始から1年後には血糖値は330が、12〜130くらいで落ち着いている。
図19に示す通り、ヘモグロビンA1cは入室開始前には9%だったのに、入室開始から12ヶ月後には6.7%に下がった。尚、コレステロールと中性脂肪の値も下がり、問題ないレベルにまでになっている。
【0105】
尚、被験者の話によると、閾値気圧以上の減圧状態とする減圧工程と、常圧又は前記減圧状態よりも高く常圧よりも低い広範常圧状態とする与圧工程とを一定な圧力の状態がなく連続して繰り返すことにより、被験者の手足における血流が上昇するため、手足がぽかぽかと暖かくなることが証言された。
【0106】
実施例11:ヒト治癒能力向上効果の検証(10)
以上の通り、被験者の話によると、閾値気圧以上の減圧状態とする減圧工程と、常圧又は前記減圧状態よりも高く常圧よりも低い広範常圧状態とする与圧工程とを一定な圧力の状態がなく連続して繰り返すことにより、被験者の手足における血流が上昇するため、手足がぽかぽかと暖かくなることが証言された。また、減圧工程と与圧工程とを連続して繰り返すことにより自然な治癒力向上効果が現れることも確認された。よって、本発明のヒト治癒能力向上装置の効果の検証として、掌(手のひら)の体温を計測した。
【0107】
以下の検証データは、表6及び
図20に示した50分間の減圧工程と与圧工程との連続的な繰り返しを1サイクルとして3回連続して行ったものである。
図20に示す通り、減圧工程に対して、与圧工程の単位時間当たりの圧力変化を大きくしている。即ち、長い時間をかけて緩やかに減圧した後、急速に与圧するように繰り返し制御した。比較として、減圧工程と与圧工程とを同じ変化率で連続制御した例として表7及び
図21に示した。
図20及び
図21の縦軸は掌の温度(℃)(図中、黒丸)及び気圧(hPa)(図中、白丸),横軸は時間(min)である。
【0108】
各々の減圧工程と与圧工程との連続的な繰り返しを行っている際に、手のひらの温度を経時的に計測した。尚、掌の温度は皮膚赤外線体温計(商品名:サーモフォーカス プロ )で行った。
【0109】
【表6】
【0110】
【表7】
【0111】
表6、表7及び
図20、
図21に示す通り、減圧工程と比較して与圧工程の単位時間当たりの圧力変化を大きくした表6及び
図20に示す方が、減圧工程と与圧工程との圧力変化を同等としたものに比べて、掌温度の上昇が揚がっていることが確認された。これは与圧工程の際に掌温度は下がる傾向にあるが、この与圧工程の時間を減圧工程よりも短くすることにより、掌温度が下がりきらずに引き続く減圧工程となるため、掌温度が更に上昇することになるためと考えられる。尚、以下の各実施例では、表6及び
図20に示した50分間の減圧工程と与圧工程との連続的な繰り返しを1サイクルとして3回連続して行った。
【0112】
実施例12:ヒト治癒能力向上効果の検証(11)
被験者は卵巣癌に罹患している59歳の女性である。前述のヒト治癒能力向上装置に入室前の約2ヶ月前に摘出手術を行っていた。ヒト治癒能力向上装置に入室時は、頸部リンパ節転移、肝転移が判明した4期の被験者であった。前述のヒト治癒能力向上装置に入室し、1サイクルを5回/週程度の入室間隔で継続して行った。尚、投薬等の治療は担当医師に従った。結果を次の表8及び
図22に示す。
【0113】
尚、表8及び
図22において、入室を経た最初の月初めを0月1日とし、この0月1日を中心として右方向に+1月?日…、左方向に−1月?日…を示す。また、
図22において、a図は白血球数、b図はリンパ球数(%)、c図はリンパ球個数(個/ml)を示す。
【0114】
【表8】
【0115】
表8及び
図22に示す通り、入室開始後はリンパ球数が正常範囲(1100〜1200個/ml)に入り、良好な状態を維持していることが解った。
【0116】
実施例13:ヒト治癒能力向上効果の検証(12)
被験者は早期(I型)胃癌を罹患しており、他院にて胃全摘手術を指摘されてた65歳の男性である。前述のヒト治癒能力向上装置への入室を開始し、1サイクルを5回/週程度の入室間隔で継続して行った。尚、投薬等の治療は入室開始からの担当医師に従った。結果を次の表9及び
図23に示す。
【0117】
尚、表9及び
図23において、入室を経た最初の月初めを0月1日とし、この0月1日を中心として右方向に+1月?日…、左方向に−1月?日…を示す。また、
図22において、a図は白血球数、b図はリンパ球数(%)、c図はリンパ球個数(個/ml)を示す。
【0118】
【表9】
【0119】
表9及び
図23に示す通り、入室開始後2ヶ月間はリンパ球数が正常範囲(1100〜1200個/ml)近くまで下がりつつあり、良好な状態を維持しつつあることが解った。そのため、被験者は、胃全摘手術を回避し、他院にて+3/13に内視鏡粘膜下層剥離術が施行され、移行のリンパ球等の数値も良好な状態を維持しつつあることが解った。
【0120】
実施例14:ヒト治癒能力向上効果の検証(13)
被験者は、左乳房癌(多発性1.6cm及び0.7cm)及び糖尿病を罹患した61歳の女性であり、他院にて、左乳房の全摘出を指摘されていた。前述のヒト治癒能力向上装置への入室を開始し、1サイクルを5回/週程度の入室間隔で継続して行った。尚、投薬等の治療は入室開始からの担当医師に従った。結果を次の表10及び
図24に示す。
【0121】
尚、
図24のa図は、縦軸は入室を経た最初の月初めを0月1日とし、この0月1日を中心として右方向に+1月?日…、左方向に−1月?日…を示す。また、
図22において、a図は白血球数、b図はリンパ球数(%)、c図はリンパ球個数(個/ml)を示す。
【0122】
【表10】
【0123】
表10及び
図24に示す通り、入室開始後1ヶ月間で、リンパ球数が上昇していた。PET、CT等の検査により、左乳房以外の部位に転移がないことが確認され、大胸筋膜との浸潤もないことが確認された。このため、他院にて+1/07に熱凝固療法を施行し、経過を観察中である。尚、糖尿病については、軽易であったためか、1ヶ月で血糖値及びHbA1cの値が正常値に入っていることが解った。
【0124】
実施例15:ヒト治癒能力向上効果の検証(14)
被験者は、卵巣癌及び糖尿病を罹患した59歳の女性であり、他院にて、卵巣癌を全摘出する手術が行われていた(-1/08)。術後1ヶ月後からヒト治癒能力向上装置への入室を開始し、1サイクルを5回/週程度の入室間隔で継続して行った。尚、投薬等の治療は入室開始からの担当医師に従った。結果を次の表11及び
図25に示す。
【0125】
【表11】
【0126】
尚、表11及び
図25において、入室を経た最初の月初めを0月1日とし、この0月1日を中心として右方向に+1月?日…、左方向に−1月?日…を示す。また、
図22において、a図は白血球数、b図はリンパ球数(%)、c図はリンパ球個数(個/ml)を示す。
【0127】
表11及び
図25に示す通り、入室開始後2ヶ月間で、リンパ球数が上昇し、卵巣癌腫瘍マーカー(CA125)が急激に低下し正常値になっていた。消化器癌の腫瘍マーカーCA19-9及びCEAは入室開始直後から正常値であった。
【0128】
実施例16:ヒト治癒能力向上効果の検証(15)
被験者は他院にてヒト治癒能力向上装置への入室を開始の3年4ヶ月前にS状結腸癌の手術を行った61歳の女性である。その後、入室を開始の10ヶ月前に脳転移が確認された。そのため、放射線治療(通院3日間)を行ったが、入室を開始の7ヶ月前に肺転移が確認された。そのため、入室を開始の4ヶ月前より樹状細胞療法(計8回)を施行した。入室の開始直前に緩和ケアを勧められた。ヒト治癒能力向上装置への入室を開始し、1サイクルを5回/週程度の入室間隔で継続して行った。尚、投薬等の治療は入室開始からの担当医師に従った。結果を次の表12及び
図26に示す。
【0129】
尚、表12及び
図26において、入室を経た最初の月初めを0月1日とし、この0月1日を中心として右方向に+1月?日…、左方向に−1月?日…を示す。また、
図22において、a図は白血球数、b図はリンパ球数(%)、c図はリンパ球個数(個/ml)を示す。
【0130】
【表12】
【0131】
表12及び
図26に示す通り、入室開始後1ヶ月間で、白血球数、リンパ球数が共に上昇したことが解った。尚、本被験者は現在も経過観察中である。
【0132】
実施例17:ヒト治癒能力向上効果の検証(16)
被験者は、糖尿病を罹患した41歳の男性である。前述のヒト治癒能力向上装置への入室を開始し、1サイクルを5回/週程度の入室間隔で継続して行った。尚、投薬等の治療は入室開始からの担当医師に従った。結果を次の表13及び
図27に示す。
【0133】
【表13】
【0134】
尚、
図27のa図は血糖値(mg/dl)の推移結果を示し、b図はHbAlc(%)の推移結果を示す。a図及びb図の縦軸は血糖値(mg/dl)又はHbAlc(%),横軸は時間(週)である。
【0135】
表13及び
図27に示す通り、経時的に糖尿病の症例が改善され、半年程度で糖尿病がほぼ完治している。
【0136】
実施例18:ヒト治癒能力向上効果の検証(17)
被験者は、糖尿病を罹患した43歳の男性である。前述のヒト治癒能力向上装置への入室を開始し、1サイクルを5回/週程度の入室間隔で継続して行った。尚、投薬等の治療は入室開始からの担当医師に従った。結果を次の表14及び
図28に示す。
【0137】
尚、
図28のa図は血糖値(mg/dl)の推移結果を示し、b図はHbAlc(%)の推移結果を示す。a図及びb図の縦軸は血糖値(mg/dl)又はHbAlc(%),横軸は時間(週)である。
【0138】
【表14】
【0139】
表14及び
図28に示す通り、経時的に糖尿病の症例が改善され、3ヶ月程度で糖尿病がほぼ完治している。