(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2チップは、前記第5端子の電圧を所定のしきい値電圧と比較する低電圧ロックアウト回路をさらに含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の半導体装置。
前記パルス発生器は、(i)前記同期整流トランジスタの両端間電圧が所定の負の第1しきい値電圧より低くなると、前記パルス信号をオンレベルとし、(ii)前記同期整流トランジスタの両端間電圧が、前記第1しきい値電圧より高い所定の負の第2しきい値電圧より高くなると、前記パルス信号をオフレベルとすることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
前記パルス発生器は、前記第1コンパレータの出力、前記第2コンパレータの出力それぞれを、所定時間マスクするブランキング回路をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の半導体装置。
【背景技術】
【0002】
テレビや冷蔵庫をはじめとするさまざまな家電製品は、外部からの商用交流電力を受けて動作する。ラップトップ型コンピュータ、携帯電話端末やタブレット端末をはじめとする電子機器も、商用交流電力によって動作可能であり、あるいは商用交流電力によって、機器に内蔵の電池を充電可能となっている。こうした家電製品や電子機器(以下、電子機器と総称する)には、商用交流電圧をAC/DC(交流/直流)変換する電源装置(AC/DCコンバータ)が内蔵される。あるいは電子機器の外部の電源アダプタ(ACアダプタ)にAC/DCコンバータが内蔵される場合もある。
【0003】
図1は、本発明者が検討したAC/DCコンバータ100rの基本構成を示すブロック図である。AC/DCコンバータ100rは主としてフィルタ102、整流回路104、平滑キャパシタ106およびDC/DCコンバータ200rを備える。
【0004】
商用交流電圧V
ACは、ヒューズおよび入力キャパシタ(不図示)を介してフィルタ102に入力される。フィルタ102は、商用交流電圧V
ACのノイズを除去する。整流回路104は、商用交流電圧V
ACを全波整流するダイオードブリッジ回路である。整流回路104の出力電圧は、平滑キャパシタ106によって平滑化され、直流電圧V
INに変換される。
【0005】
絶縁型のDC/DCコンバータ200rは、入力端子P1に直流電圧V
INを受け、それを降圧して、目標値に安定化された出力電圧V
OUTを出力端子P2に接続される負荷(不図示)に供給する。
【0006】
DC/DCコンバータ200rは、1次側コントローラ202、フォトカプラ204、シャントレギュレータ206、出力回路210およびその他の回路部品を備える。出力回路210は、トランスT1、ダイオードD1、出力キャパシタC1、スイッチングトランジスタM1、を含む。出力回路210のトポロジーは、一般的なフライバックコンバータのそれであるため、説明を省略する。
【0007】
スイッチングトランジスタM1がスイッチングすることにより、入力電圧V
INが降圧され、出力電圧V
OUTが生成される。そしてコントローラ202は、スイッチングトランジスタM1のスイッチングのデューティ比を調節することにより、出力電圧V
OUTを目標値に安定化させる。
【0008】
DC/DCコンバータ200rの出力電圧V
OUTは、抵抗R1、R2により分圧される。シャントレギュレータ206は、分圧された電圧(電圧検出信号)V
Sと所定の基準電圧V
REF(不図示)の誤差を増幅し、誤差に応じた誤差電流I
ERRを、フォトカプラ204の入力側の発光素子(発光ダイオード)から引き込む(シンク)。
【0009】
フォトカプラ204の出力側の受光素子(フォトトランジスタ)には、2次側の誤差電流I
ERRに応じたフィードバック電流I
FBが流れる。このフィードバック電流I
FBが、抵抗およびキャパシタにより平滑化され、コントローラ202のフィードバック(FB)端子に入力される。コントローラ202は、FB端子の電圧(フィードバック電圧)V
FBにもとづいてスイッチングトランジスタM1のデューティ比を調節する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者は、
図1のAC/DCコンバータ100rについて検討した結果、以下の課題を認識するに至った。
図1のシャントレギュレータ206を安定に動作させるためには、ある程度大きなカソード電流I
Kが流れる状態で使用する必要がある。カソード電流I
Kは、フィードバックに寄与する成分と、固定的なバイアス成分(アイドル電流)の合計と把握される。たとえば市販されるシャントレギュレータの多くは、数百μA(たとえば700μA)ものアイドル電流が必要となり、これがAC/DCコンバータ100rの効率を悪化させる要因となっている。
【0012】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、効率を改善したDC/DCコンバータの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のある態様は、絶縁同期整流型DC/DCコンバータの2次側に配置され、DC/DCコンバータの2次側の同期整流トランジスタを制御する同期整流コントローラに関する。絶縁同期整流型DC/DCコンバータは、1次巻線および2次巻線を有するトランスと、トランスの1次巻線と接続されるスイッチングトランジスタと、トランスの2次巻線と接続される同期整流トランジスタと、フォトカプラと、フォトカプラの出力側と接続され、フォトカプラからのフィードバック信号に応じてスイッチングトランジスタをスイッチングする1次側コントローラと、を備える。同期整流コントローラは、同期整流トランジスタをスイッチングする駆動回路と、フォトカプラの入力側と接続されるフォトカプラ接続端子と、DC/DCコンバータの出力電圧に応じた電圧検出信号とその目標電圧の誤差を増幅し、誤差に応じた電流をフォトカプラ接続端子を介してフォトカプラの入力側から引き込むエラーアンプと、を備えて、単一のモジュールにパッケージ化される。
【0014】
この態様では、従来のシャントレギュレータに代えて、同期整流コントローラに内蔵されたエラーアンプによって、フォトカプラの入力側の電流を生成することとした。これにより、エラーアンプの消費電流をシャントレギュレータに比べて大幅に低減することができ、効率を改善できる。
【0015】
エラーアンプと駆動回路それぞれの電源プレーンは独立してもよく、またそれぞれのグランドプレーンが独立していてもよい。
これにより、同期整流トランジスタを、トランスの2次巻線の高電位側(出力端子側)に配置したトポロジーに対応できる。
【0016】
エラーアンプの電源プレーンには、フォトカプラ接続端子の電圧から生成された内部電源電圧が供給され、エラーアンプのグランドプレーンにはDC/DCコンバータの2次側の接地電位が供給されてもよい。
【0017】
同期整流トランジスタは、2次巻線の高電位側に挿入されるものであり、トランスは、その2次側に設けられた補助巻線をさらに有してもよい。DC/DCコンバータは、補助巻線を利用して同期整流トランジスタと2次巻線の間のラインの電位を基準とした電源電圧を生成するよう構成されてもよい。駆動回路のグランドプレーンには、ラインの電位が供給され、駆動回路の電源プレーンには、電源電圧が供給されてもよい。
【0018】
エラーアンプと駆動回路は、別々の半導体チップに集積化されてもよい。これにより、エラーアンプと駆動回路のアイソレーションを高めることができる。
【0019】
同期整流コントローラは、同期整流トランジスタをさらに備えて単一のモジュールにパッケージ化されてもよい。
【0020】
駆動回路は、少なくとも同期整流トランジスタの両端間電圧にもとづいてレベルが遷移するパルス信号を生成するパルス発生器と、パルス信号にもとづいて同期整流トランジスタをスイッチングするドライバと、を含んでもよい。
【0021】
パルス発生器は、(i)同期整流トランジスタの両端間電圧が所定の負の第1しきい値電圧より低くなると、パルス信号をオンレベルとし、(ii)同期整流トランジスタの両端間電圧が、第1しきい値電圧より高い所定の負の第2しきい値電圧より高くなると、パルス信号をオフレベルとしてもよい。
【0022】
パルス発生器は、同期整流トランジスタの両端間電圧を第1しきい値電圧と比較し、セットパルスを生成するセットコンパレータと、同期整流トランジスタの両端間電圧を第2しきい値電圧と比較し、リセットパルスを生成するリセットコンパレータと、セットパルス、リセットパルスに応じて出力が遷移するフリップフロップと、を含んでもよい。
【0023】
パルス発生器は、セットパルス、リセットパルスそれぞれを、所定時間マスクするブランキング回路をさらに含んでもよい。
【0024】
DC/DCコンバータはフライバック型であってもよいし、フォワード型であってもよい。
【0025】
本発明の別の態様は、DC/DCコンバータに関する。DC/DCコンバータは、1次巻線および2次巻線を有するトランスと、トランスの1次巻線と接続されるスイッチングトランジスタと、トランスの2次巻線と接続される同期整流トランジスタと、出力キャパシタと、フォトカプラと、同期整流トランジスタをスイッチングするとともに、出力キャパシタの出力電圧とその目標レベルの誤差に応じた電流を、フォトカプラの入力側に供給する上述のいずれかの同期整流コントローラと、フォトカプラの出力側と接続され、同期整流コントローラが生成した電流に応じたフィードバック信号に応じて、スイッチングトランジスタを駆動する1次側コントローラと、を備える。
【0026】
本発明の別の態様は、電源装置(AC/DCコンバータ)に関する。電源装置は、商用交流電圧をフィルタリングするフィルタと、フィルタの出力電圧を全波整流するダイオード整流回路と、ダイオード整流回路の出力電圧を平滑化し、直流入力電圧を生成する平滑キャパシタと、直流入力電圧を降圧し、負荷に供給する上述のDC/DCコンバータと、を備える。
【0027】
本発明の別の態様は、電子機器に関する。電子機器は、負荷と、商用交流電圧をフィルタリングするフィルタと、フィルタの出力電圧を全波整流するダイオード整流回路と、ダイオード整流回路の出力電圧を平滑化し、直流入力電圧を生成する平滑キャパシタと、直流入力電圧を降圧し、負荷に供給する上述のDC/DCコンバータと、を備える。
【0028】
本発明の別の態様は、ACアダプタに関する。ACアダプタは、商用交流電圧をフィルタリングするフィルタと、フィルタの出力電圧を全波整流するダイオード整流回路と、ダイオード整流回路の出力電圧を平滑化し、直流入力電圧を生成する平滑キャパシタと、直流入力電圧を降圧し、直流出力電圧を生成する上述のDC/DCコンバータと、を備える。
【0029】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0030】
本発明のある態様によれば、絶縁同期整流型DC/DCコンバータの効率を改善できる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0033】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0034】
(第1の実施の形態)
図2は、第1の実施の形態に係るAC/DCコンバータ100の回路図である。AC/DCコンバータ100は、フィルタ102、整流回路104、絶縁型のDC/DCコンバータ200を備える。
【0035】
絶縁型のDC/DCコンバータ200は、1次側コントローラ202、フォトカプラ204、出力回路210、同期整流コントローラ300を備える。出力回路210は、フライバック同期整流型のトポロジーを有し、トランスT1、1次巻線W1に接続されたスイッチングトランジスタM1、2次巻線W2に接続された同期整流トランジスタM2、出力キャパシタC1を備える。本実施の形態において同期整流トランジスタM2は、トランスT1の2次巻線W2よりも低電位側(接地電位側)に挿入されている。
【0036】
同期整流コントローラ300は、DC/DCコンバータ200の2次側に配置され、同期整流トランジスタM2をスイッチングする。フォトカプラ接続端子(PC)端子には、フォトカプラ204の入力側の発光素子(発光ダイオード)のカソードが接続される。VD端子には、同期整流トランジスタM2のドレイン電圧V
Dが入力される。OUT端子には同期整流トランジスタM2のゲートが接続される。なお同期整流トランジスタM2は、同期整流コントローラ300に内蔵されてもよい。VO端子には、出力電圧V
OUTに応じた電圧検出信号V
Sが入力される。GND端子は、トランスT1の2次側の接地ラインと接続される。
【0037】
同期整流コントローラ300は、駆動回路302およびエラーアンプ310を備え、単一のモジュールにパッケージ化される。駆動回路302は、同期整流トランジスタM2をスイッチングする。より具体的には駆動回路302は、パルス信号S1を生成するパルス発生器304と、パルス信号S1にもとづいて同期整流トランジスタM2をスイッチングするドライバ306と、を備える。
【0038】
パルス発生器304の構成およびパルス信号S1の生成方法は特に限定されないが、たとえばパルス発生器304は、少なくとも同期整流トランジスタM2の両端間電圧、つまりドレインソース間電圧V
DSにもとづいてパルス信号S1を生成する。より具体的にはパルス発生器304は、ドレインソース間電圧V
DSと、2つの負のしきい値電圧V
TH1、V
TH2にもとづいてパルス信号S1を生成する。2つのしきい値は、V
TH1<V
TH2<0となるよう定められる。たとえばV
TH1=−50mV、V
TH2=−10mVである。パルス発生器304は、ドレインソース電圧V
DSが負の第1しきい値V
TH1より低くなると、パルス信号S1を、同期整流トランジスタM2のオンを指示するレベル(オンレベル、たとえばハイレベル)とし、その後、ドレインソース間電圧V
DSがV
TH2より高くなると、同期整流トランジスタM2のオフを指示するレベル(オフレベル、たとえばローレベル)とする。
【0039】
エラーアンプ310は、DC/DCコンバータ200の出力電圧V
OUTに応じた電圧検出信号V
Sとその目標電圧V
REFの誤差を増幅し、誤差に応じた電流I
ERRを、PC端子を介してフォトカプラ204から引き込む(シンク)。エラーアンプ310は、オープンコレクタあるいはオープンドレイン形式の出力段を有しており、出力段のトランジスタ312のコレクタ(あるいはドレイン)はPC端子と接続される。差動アンプ314は、電圧検出信号V
Sと基準電圧V
REFの誤差に応じて、トランジスタ312のベース電流あるいはゲート電圧を制御する。本実施の形態では、トランジスタ312のコレクタとPC端子の間のダイオードD2は、回路保護あるいは電圧のレベルシフトを目的として挿入されるが、別の実施の形態において省略してもよい。
【0040】
以上が同期整流コントローラ300を備えるDC/DCコンバータ200の構成である。続いてその動作を説明する。
【0041】
電圧検出信号V
Sが基準電圧V
REFより高くなると、出力トランジスタ312が引き込む電流I
ERRは増大し、フォトカプラ204の出力側のフォトトランジスタに流れる電流I
FBも増大する。このときフィードバック電圧V
FBは低下し、したがってスイッチングトランジスタM1のデューティ比(オン時間)は低下し、電圧検出信号V
Sが基準電圧V
REFに近づく方向(低下)にフィードバックがかかる。反対に電圧検出信号V
Sが基準電圧V
REFより低くなると出力トランジスタ412が引き込む電流I
ERRは減少し、受光素子の電流I
FBも減少する。このときフィードバック電圧V
FBは増大し、したがってスイッチングトランジスタM1のデューティ比が増大し、電圧検出信号V
Sが基準電圧V
REFに近づく方向(上昇)にフィードバックがかかる。このようにしてDC/DCコンバータ200の出力電圧V
OUTはその目標レベルに安定化される。
【0042】
DC/DCコンバータ200によれば、以下の効果を得ることができる。
この同期整流コントローラ300では、エラーアンプ310を駆動回路302と同一の半導体基板に集積化することにより、
図1のシャントレギュレータ206に比べて、エラーアンプ310の消費電流を大幅に低減できる。
【0043】
具体的には、
図1のDC/DCコンバータ200rにおいて、市販されるシャントレギュレータ206を用いた場合、その消費電流は700μA程度であり、その内訳は、150μAがフォトカプラ204の入力側の発光素子に流れる電流であり、残りの550μAがシャントレギュレータ206の動作電流I
DDであるものとする。動作電流I
DDは発光素子およびそれと並列な抵抗を介して供給され、損失となっている。
【0044】
これに対して、
図2のエラーアンプ310は、その出力電流I
ERRが150μAとシャントレギュレータ206と同じであったとしても、そのときの動作電流I
DDを50μA程度まで低減することができ、DC/DCコンバータ200の、特に軽負荷状態における効率を改善できる。
【0045】
ここで同期整流コントローラ300の電源(VCC)端子は、たとえばDC/DCコンバータ200の出力ラインと接続され、同期整流コントローラ300は出力電圧V
OUTを電源電圧(たとえば24V)として動作する。そうすると、エラーアンプ310の消費電力は、24×200μA=4.8mWとなる。一方、同じ条件での
図1のシャントレギュレータ206の消費電力は、24V×700μA=16.8mWとなるため、
図2のDC/DCコンバータ200によれば、10mW以上も消費電力を低減できる。
【0046】
加えて同期整流コントローラ300によれば、以下の効果を得られる。
軽負荷時において、効率を高めるためにDC/DCコンバータ200を間欠動作(PFMモードとも称される)させる場合がある。
図3(a)は、PFMモードにおける
図2のDC/DCコンバータ200の動作波形図である。
図3(b)には、比較のために
図1のDC/DCコンバータ200rの動作波形図を示す。
【0047】
PFMモードでは1次側のスイッチングトランジスタM1をある時間T
ON、オンした後に、オフする。そして出力電圧V
OUTが基準レベル付近のしきい値に低下すると、スイッチングトランジスタM1を再度ターンオンする。
【0048】
スイッチングトランジスタM1のオフ時間T
OFFは、出力キャパシタC1の容量C、出力電圧V
OUTのリップルΔV、出力キャパシタC1からの放電電流Iを用いて以下の式で与えられる。
T
OFF=C・ΔV/I
またDC/DCコンバータのスイッチング周期tは、以下の式で与えられる。
t=(T
ON+T
OFF)=T
ON+C・ΔV/I
【0049】
ここでIは出力キャパシタC1からの放電電流であり、軽負荷時にはシャントレギュレータ206あるいはエラーアンプ310の消費電流と等しい。いま出力キャパシタC1の容量を100μF、リップルΔV=100mV、T
ON≒0とすれば、
図1のDC/DCコンバータ200rのスイッチング周期t
1、
図2のDC/DCコンバータ200のスイッチング周期t
2はそれぞれ以下で与えられる。
t
1≒100μA×100mV/700μA=14.28ms
t
2≒100μA×100mV/200μA=50ms
【0050】
つまり
図2のDC/DCコンバータ200によれば、
図1のDC/DCコンバータ200rに比べて軽負荷時における1次側のスイッチング周波数を1/3以下に減らすことができる。これによりコントローラ202がスイッチングトランジスタM1のゲートを充放電するのに使用されるスイッチング損失を1/3以下に減らすことができる。
【0051】
さらに駆動回路302とエラーアンプ310をパッケージ化することにより、DC/DCコンバータ200あるいはAC/DCコンバータ100の設計を簡易化することができる。
【0052】
図4は、
図2のDC/DCコンバータの具体的な構成例を示す回路図である。トランスT1の1次側には、スイッチングトランジスタM1と直列にセンス抵抗Rsが設けられる。コントローラ202は、センス抵抗Rsの電圧降下にもとづいて1次側電流をモニタする。1次側電流は、電流モード制御に利用され、あるいは過電流保護に利用される。コントローラ202の構成は特に限定されず、ピーク電流モード、平均電流モード、オフ時間固定モードなどのパルス変調器を含んでもよい。
【0053】
またトランスT1の補助巻線W3には、整流ダイオードD3、平滑キャパシタC3が接続される。平滑キャパシタC3に生ずる電圧は、コントローラ202の電源電圧として利用される。
【0054】
続いて同期整流コントローラ300について説明する。同期整流コントローラ300は同期整流トランジスタM2を内蔵する。同期整流コントローラ300は、2つの半導体チップ(ダイ)SC1、SC2を含む。半導体チップSC1は高耐圧プロセスで製造され、同期整流トランジスタM2が集積化される。半導体チップSC2には、駆動回路302およびエラーアンプ310が集積化される。
【0055】
駆動回路302は、パルス発生器304、ドライバ306に加えて、UVLO回路320、内部レギュレータ322、ドライバ用レギュレータ324を含む。UVLO(低電圧ロックアウト)回路320は、VCC端子の電圧がしきい値(3V)より低くなると、駆動回路302を停止する。内部レギュレータ322は、VCC端子の電圧をレギュレートし、その他の回路に供給する。ドライバ用レギュレータ324は、VCC端子の電圧をレギュレートし、ドライバ306の電源電圧を生成する。
【0056】
パルス発生器304は、ブランキング回路330、セットコンパレータ332、リセットコンパレータ334、ANDゲート336、ORゲート338、フリップフロップ340、ブランキング回路342を含む。
【0057】
同期整流トランジスタM2のドレイン端子と、セットコンパレータ332、リセットコンパレータ334の入力端子(−)の間には、図示しない高耐圧クランプ回路が挿入される。セットコンパレータ332は、同期整流トランジスタM2のドレインソース間電圧V
DSを第1しきい値電圧V
TH1(=−50mV)と比較する。V
DS<V
TH1となりセットコンパレータ332の出力(セットパルス)がアサート(ハイレベル)されると、フリップフロップ340の出力(パルス信号)S1がオンレベル(ハイレベル)に遷移する。
【0058】
リセットコンパレータ334は、同期整流トランジスタM2のドレインソース間電圧V
DSを第2しきい値電圧V
TH2(=−10mV)と比較する。V
DS>V
TH2となりリセットコンパレータ334の出力(リセットパルス)がネゲート(ローレベル)されると、フリップフロップ340がリセットされ、その出力S1がオフレベル(ローレベル)に遷移する。
【0059】
ブランキング回路330、ブランキング回路342はそれぞれ、同期整流トランジスタM2のドレイン電圧V
Dがノイズにより変動する期間、セットコンパレータ332からのセットパルス、リセットコンパレータ334からのリセットパルスをマスクするために利用される。それぞれのブランキング(マスク)時間は、T_BLANK1端子、T_BLANK2端子に外付けされる抵抗R11、R12により設定可能である。ANDゲート336は、セットパルスとブランキング回路330の出力の論理積をとることにより、セットパルスをマスクする。同様に、ORゲート338は、リセットパルスとブランキング回路342の出力の論理和をとることにより、リセットパルスをマスクする。
【0060】
(第2の実施の形態)
図5は、第2の実施の形態に係るAC/DCコンバータ100bの回路図である。DC/DCコンバータ200bの構成が
図2のそれと異なっている。具体的には、出力回路210bの同期整流トランジスタM2は、トランスT1の2次巻線W2の高電位側に設けられる。
【0061】
同期整流コントローラ300bは、駆動回路302bとエラーアンプ310bを含む。それぞれの基本構成および動作は
図2と同様であるが、本実施の形態では、駆動回路302bとエラーアンプ310bは、電源プレーンが独立であり、またグランドプレーンも独立に構成される。駆動回路302bとエラーアンプ310bは、別々の半導体チップ(ダイ)に集積化され、単一のモジュールにパッケージ化される。なお、プロセスデザインルールが、同一ダイ内に、独立した(アイソレートされた)2個の電源プレーン、2個のグランドプレーンを許容する場合、駆動回路302b、エラーアンプ310bを単一のチップに集積化してもよい。
【0062】
駆動回路302bのグランドプレーンは、GND1端子を介して、同期整流トランジスタM2のソースと接続される。VD端子は、同期整流トランジスタM2のドレインと接続される。
【0063】
トランスT1の補助巻線W4、ダイオードD4、キャパシタC4は、同期整流トランジスタM2のソースを基準として、電源電圧V
CC1を生成する。電源電圧V
CC1は、同期整流コントローラ300bの電源端子VCCを介して駆動回路302bの電源プレーンに供給される。
【0064】
一方、エラーアンプ310bのグランドプレーンは、GND2端子を介して、2次側のグランドと接続される。またエラーアンプ310bの電源プレーンには、PC端子の電圧V
PC、あるいはそれにもとづいて生成された内部電源電圧V
CC2が供給される。
【0065】
図6は、
図5のDC/DCコンバータの具体的な構成例を示す回路図である。同期整流コントローラ300bは、3つの半導体チップSC3、SC4、SC5を含む。半導体チップSC3は、高耐圧プロセスで製造され、ゲートに所定のバイアス電圧V
Gが印加されたFETであるトランジスタM10を含み、同期整流トランジスタM2のドレイン電圧V
Dをクランプする。トランジスタM10によりクランプされたドレイン電圧V
D’は、セットコンパレータ332、リセットコンパレータ334に入力される。半導体チップSC4は
図5の駆動回路302bに対応し、
図4と同様の構成を有するパルス発生器304およびドライバ306を含む。
【0066】
半導体チップSC5には、エラーアンプ310b、UVLO回路350、内部レギュレータ352が形成される。UVLO回路350は、PC端子(SH_OUTピン)の電圧を所定のしきい値電圧(1.4V)と比較し、低電圧状態において半導体チップSC5上の回路を停止する。また内部レギュレータ352は、PC端子の電圧を安定化し、内部電源電圧V
CC2をエラーアンプ310bに供給する。
【0067】
以上が第2の実施の形態に係る同期整流コントローラ300bの構成である。
この同期整流コントローラ300bによれば、第1の実施の形態と同様に、2次側の消費電流を低減することができる。また軽負荷時における1次側のスイッチング損失を低減できる。
【0068】
また第2の実施の形態では、駆動回路302b、エラーアンプ310bのグランドプレーン、電源プレーンそれぞれを独立させた。これにより、同期整流トランジスタM2をハイサイド側に挿入するアプリケーションにおいても、駆動回路302bにより、同期整流トランジスタM2をそのソース電圧をグランドプレーンとして駆動しつつ、エラーアンプ310bにより、フォトカプラ204をトランス2次側の接地電位をグランドプレーンとして駆動することができる。
【0069】
続いて、DC/DCコンバータ200の用途を説明する。
図7は、AC/DCコンバータ100を備えるACアダプタ800を示す図である。ACアダプタ800は、プラグ802、筐体804、コネクタ806を備える。プラグ802は、図示しないコンセントから商用交流電圧V
ACを受ける。AC/DCコンバータ100は、筐体804内に実装される。AC/DCコンバータ100により生成された直流出力電圧V
OUTは、コネクタ806から電子機器810に供給される。電子機器810は、ノートPC、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話、携帯オーディオプレイヤなどが例示される。
【0070】
図8(a)、(b)は、AC/DCコンバータ100を備える電子機器900を示す図である。
図8(a)、(b)の電子機器900はディスプレイ装置であるが、電子機器900の種類は特に限定されず、オーディオ機器、冷蔵庫、洗濯機、掃除機など、電源装置を内蔵する機器であればよい。
プラグ902、図示しないコンセントから商用交流電圧V
ACを受ける。AC/DCコンバータ100は、筐体804内に実装される。AC/DCコンバータ100により生成された直流出力電圧V
OUTは、同じ筐体904内に搭載される、マイコン、DSP(Digital Signal Processor)、電源回路、照明機器、アナログ回路、デジタル回路などの負荷に供給される。
【0071】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0072】
(第1変形例)
実施の形態では、フライバックコンバータを説明したが、本発明はフォワードコンバータにも適用可能である。この場合にはトランスT1の2次側に、複数の同期整流用のトランジスタが配置されることとなる。同期整流コントローラは、複数の同期整流トランジスタをスイッチングするよう構成された駆動回路302と、エラーアンプ310が、単一のパッケージにモジュール化される。あるいは、
図2や
図5の同期整流コントローラを複数個、利用することで、フォワードコンバータに対応することもできる。またコンバータは疑似共振型であってもよい。
【0073】
(第2変形例)
スイッチングトランジスタや同期整流トランジスタの少なくとも一方は、バイポーラトランジスタやIGBTであってもよい。
【0074】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。